JP5796826B2 - ベルトのバックル及びこのバックルを備えたベルト - Google Patents

ベルトのバックル及びこのバックルを備えたベルト Download PDF

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この発明は主として皮のベルト用のバックルに係り、特に厚さの異なるベルトに柔軟に対応可能なバックル、及びこのバックルを備えたベルトに関する。
従来よりバックル本体部に設けたピンを挿通するための孔をベルトに開けることなく、ベルトをバックル本体部に圧着させることによって固定し得るように構成したバックルが各種提案されている。
例えば特開平08−224113号のベルト用バックルは、ベルトの一端が固定されるバックル本体と、このバックル本体にベルトの他端を任意の位置で固定するベルト固定機構とを有し、このベルト固定機構は、前記バックル本体に回動自在に取付けられ且つバックル本体とともにベルト側に倒れた姿勢でベルトを挾持する回動部材と、前記回動部材をベルトに圧接する方向へ付勢するバネとから成る。また特開2002−159308号のベルトのバックルは、バックル本体の一端側にベルトの基部を止着し、他端側に係止部材を軸部にて回動可能に取り付け、前記係止部材の一端側に回動作用板を傾斜状に設けて、ベルトの自由端を挿通もしくは抜脱するように構成したものである。
特開平08−224113号公報 特開2002−159308号公報
上述した特開平08−224113号のバックルも、特開2002−159308号のバックルも、確かにベルトをしっかりと固定することは出来る。しかしながら特開平08−224113号のバックルでは、ベルトをバックル本体から抜ける方向へ引くと、回動部材が時計回りの方向へ回動し、バネの力で回動部材がベルトに圧接されるため、いつも圧接されるベルトの部位に凹みが出来てベルトを痛めてしまうと言う問題がある。殊に回動部材に爪が設けられていると爪がベルトに食い込むため、確かにベルトの抜け止めにはなるものの爪でベルトに傷を付けてしまう虞がある。また特開2002−159308号のバックルでは、回動作用板の底面が腹部に当接して底面に腹力が加わる結果、係止部材の台形状や鈎状の係止部がベルトを強力に押圧してベルトを止めるため、やはりベルトを痛めてしまう虞がある。なお係止部材に鋸歯状の係止部が形成されているものでは、鋸歯がベルトを傷付ける可能性がある。
一方、ベルトの厚みには様々なものがあるため、例えば比較的厚い寸法のベルトに合うように製造したバックルに比較的薄いベルトを適用した場合、腹圧などでベルトが不本意に滑って緩んでしまうと言うようなことが起こる。このような問題に対して上述した特開平08−224113号のバックルのような回動部材をバネの力でベルトに圧接する構成を採用して、バネにベルトの厚さの違いを吸収させようとしても、特開2002−159308号のバックルの腹力利用の場合と同様うまく行かないことが分かっている。やはりベルトをしっかりと固定するためには、ベルトの厚さごとにきちんと合わせてやる機構が必要がある。
そこでこの発明は、バックルにベルトを通して固定する際に、ベルトのこの部位に傷を付けることなくしっかりと固定することが出来、また適用するベルトの厚さに適切に対応することが可能な、新規な構造を備えたバックル及びこのバックルを備えたベルトの提供を課題とする。
上記課題は、ベルトの一端部を固定し得るバックル本体部と、バックル本体部に前記ベルトの他端部を通した時に前記ベルトに弾接する弾接板と、弾接板を前記ベルト方向に押圧する押圧具とを備え、押圧具は前記ベルトの厚みの違いを吸収すべく前記弾接板を押圧する力を調節するための調節機構を備えている、ベルトのバックルとすることにより解決される。なおベルトの一端部を固定し得るようにするための構成は任意であるが、一般的には後述するベルトを噛んで固定するための歯(歯列)が設けられた挟持部の構成を採用すれば良い。
この発明のバックルに特徴的な構成は、バックルにベルトを通して固定する際にベルトを固定するものが弾接板である点と、ベルトの厚みの違いを吸収するために弾接板を押圧具によってベルト方向に押圧するのであるがこの際に押圧具が弾接板を押圧する力を調節するための調節機構を設けている点とにある。ベルトの面に対しては弾接板が接するためベルトに傷を付けるような心配がない。また調節機構が押圧具を介して弾接板のベルトの面に加える圧力の調節を担うため、どのような厚さのベルトに対してもほぼ一定の圧力を加えることが出来る。
次に、前記弾接板前記ベルトを前記バックル本体部から引き出す時に前記ベルトを傷付けないようにするための、前記ベルトから離れる方向のカーブを有するものとしても良い。弾接板が調節機構の圧力から解放されると、ベルトを引き出すことが出来るようになるが、この際に弾接板の先端部でベルトの面を擦るようなことが起こらない。
次に、前記調節機構は、前記調節機構は、前記押圧具を出したりいたりするための螺子と当該螺子に螺合する出し引き調節つまみとから構成されているものとすることが出来る。例えば押圧具に接するカムを設けてこのカムの姿勢を調節固定自在としたり、スペーサを重ねたり抜いたりすることが行えるようにして、前記押圧具の出したりいたりを可能にするなど、この調節機構は任意に構成することが出来るものであるが、出し引き調節つまみであれば、指先でこれを回すだけの簡単な操作で押圧具の出し引き調節が行えるので便利である。なお出し引き調節の出す方向は弾接板を押す方向のことであり、引く方向は弾接板を押す方向とは逆の方向のことである。
次に、前記バックル本体部の前記ベルトの一端部を固定し得るものが固定具であって、該固定具は、ベルトの一端部を噛んで固定するための歯が設けられた挟持部を備えると共に、挟持部の両側にベルトの厚みの違いを吸収するためのスリットが形成されているものとすることが出来る。この歯を有する挟持部では、両側のスリットによって区切られ独立した部位が形成されてここがバネ性を獲得するようになるため、この部位でベルトの厚さの違いを吸収することが出来るのである。
なお上述したこの発明のバックルは、ベルトと組合わせてベルトの一端部を固定することによりこの発明のバックル付きのベルトとなるため、これもまたこの発明の権利範囲内のものである。バックル本体部の前記ベルトの一端部を固定し得るものが固定具である場合、固定具はバックルと一体であっても、バックルとは接続部を介して接続された別体のものであっても良い。後者の一例として特開2005−218698号の図1の、ベルト巻き付け部21とベルト固定金具41とによる構成が参考になる。
この発明によれば、ベルトの面に対して弾接板を当接させると共に、この際の力の加減を弾接板の背後に設けた調節機構によってベルトの厚さに適合させることが出来るように構成しているので、バックルにベルトを通して固定する際に、ベルトの厚みの違いを吸収しつつベルトをしっかりと固定するもベルトに傷を付けるような心配がない、と言う効果を奏して所期の目的を達成している。
実施例1を斜視した状態を表す説明図である。 断面視した状態で表す使用状態の説明図である。 調節機構30の厚さ調節つまみ32の説明図である。 実施例2の弾接板21の説明図である。 実施例3の挟持部5の説明図である。
図1乃至図3でこの実施例のバックルを表す。バックル本体部1の両端部に設けられた側板10,10の間に後述するベルトの他端部60が通される空間を有する。ベルトの他端部60を迎え入れる側の側板10,10の間には軸11が取り付けられており、この軸11に弾接板2がその軸孔20を以て回動自在に且つ上記空間内に収まるように設けられている。この弾接板2の先端部に近い側板10の部位には支持部3が軸12を以て回動自在に取り付けられている。この支持部3と言うものは後述する調節機構30と固定具4とを一体に支持するための部材である。
上記支持部3の調節機構30は、図2および図3で示すように、上記弾接板2に押圧具31が対向した時に、この押圧具31を弾接板2方向に出したり調節機構30方向に引いたりするための機構である。すなわち押圧具31で弾接板2を押すことによって間接的にベルトの他端部60を押すためのものであり、これによりベルトの厚みの違いに対応することが出来る。押圧具31には螺子33が回動自在に設けられており、且つこの螺子33に厚さ調節つまみ32が調節機構30の内部で螺合しており、調節機構30の外に露出させた厚さ調節つまみ32を指先で回動調節することで、押圧具31を出したり引いたりする調節が出来るように構成されている。
また図2および図3で示すように、上記支持部3の両端部に設けられた側板35,35の間には、挟持部4が軸34により回動自在に設けられている。この挟持部4にはベルトに喰い込む歯40が形成されている。従って支持部3の側板35,35の間にベルトの一端部6を挿入して挟持部4を内方へ回転させると、上記歯40がベルトの一端部6に喰い込んでベルトのこの部位をしっかりと固定することが出来る。
実施例1のバックルは、上述したようにベルトの一端部6を支持部3の挟持部4によって固定することでバックル付きのベルトとなる。これを用いて例えばズボンのウエストを締めるには、図2で示すようにウエストに回したベルトの他端部60をバックル本体部1に通して引くようにすれば良い。この際の力で支持部3は図2の状態を取り、押圧具31が弾接板2を押して、この弾接板2とバックル本体部1の裏面との間でベルトを締め付けて固定することが出来る。なおこの際にベルトの厚さに合わせるべく前記厚さ調節つまみ32を用いて押圧具31の出し具合を調節しておくのである。このようにして実施例1のバックルでは、ベルトの厚みの違いを吸収しつつベルトをしっかりと固定することが出来る。しかもベルトは弾接板2によって押さえられており、従来のバックルのようにベルトを傷付けてしまうような心配が極めて少ないものとなっている。
図4でこの実施例のバックルに用いる弾接板21を表す。弾接板21の一側には上記軸11に回動自在に取り付けるための軸孔22が設けられている。この実施例の弾接板21が上述した実施例1の弾接板2と異なる点は、弾接板21の他側にこの実施例2の特徴であるところの湾曲部23が形成されている点にある。
実施例1の弾接板2であってもベルトを緩める際には押圧具31から開放されてベルトから浮いた状態になるが、実施例2の湾曲部23はベルト方向に凸形状のカーブを呈し、その先端部24はベルトから離れる方向に向いているため、ベルトをバックル本体部から引き出す際に先端部24でベルトを傷付ける心配がより少ないものとなっている。なお弾接板21の側面形状の違いによって押圧具が弾接板21を押した時にベルトに掛かる力を変化させることが出来るから、この側面形状を工夫することは好ましいことである。
図5でこの実施例のバックルに用いる固定具を表す。上述した実施例1の挟持部4には連続した一列の歯40が形成されている。これに対してこの実施例3では、ベルトの一端部6を噛んで固定するための歯列が設けられた挟持部5の両側に前記歯列に至るスリット52,52を形成して、歯列をスリット52,52間の歯51とスリット52,52の両外側の歯50,50とに分割して成るものとしている点に特徴を有する。
上記歯51の部分は、両外側の歯50,50から独立した部位となり、歯50,50がある種支点となってバネ性を獲得しており、これによりベルトの厚さの違いを良く吸収することが出来るのである。そもそもこの発明はバックルにベルトの他端部を通して固定する際に、ベルトの厚みの違いを吸収しつつ、ベルトの他端部をしっかりと固定することが出来るようにすると言うことが目的の一つであった。そこで実施例3ではベルトの一端部を噛んで固定する挟持部5に付いても、ベルトの厚さの違いを吸収し得るように構成したのである。しかしながらこの構成はこの発明では必須要件ではない。あるいはこの挟持部5は独立した発明であると見ることが可能である。
この発明は衣類用のベルトに係るバックルのみならず、靴やバッグや梱包用ベルトなどの幅広い分野に適用することが可能であり、これ等もまたこの発明の権利範囲内のものである。
1‥‥バックル本体部 10‥側板 11‥軸 12‥軸
2‥‥弾接板 20‥軸孔 21‥弾接板 22‥軸孔
23‥湾曲部 24‥先端部
3‥‥支持部 30‥調節機構 31‥押圧具 32‥厚さ調節つまみ
33‥螺子 34‥軸 35‥側板
4‥‥挟持部 40‥歯
5‥‥挟持部 50‥歯 51‥歯 52‥スリット
6‥‥ベルト一端部 60‥ベルト他端部

Claims (4)

  1. ベルトの一端部を固定するための固定具を備えると共に、前記ベルトの他端部を通した時に前記ベルトに弾接する弾接板と、該弾接板を前記ベルト方向に押圧する押圧具と、該押圧具に設けた前記ベルトの厚みの違いを吸収すべく前記弾接板を押圧する力を調節するための調節機構と、を備え、前記固定具は、ベルトの一端部を噛んで固定するための歯列が設けられた挟持部を備え、該挟持部はベルトの厚みの違いを吸収すべく前記挟持部の両側のスリットによって間の歯と両外側の歯とに分割されていることを特徴とする、ベルトのバックル。
  2. 前記弾接板は、前記ベルトを前記バックル本体部から引き出す時に前記ベルトを傷付けないようにするための、前記ベルトから離れる方向のカーブを有するものである、請求項1に記載のベルトのバックル。
  3. 前記調節機構は、前記押圧具を出したり引いたりするための螺子と当該螺子に螺合する出し引き調節つまみとから構成されている、請求項1に記載のベルトのバックル。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1のバックルを備えているベルト。
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