JP3023125U - 服飾ベルト用バックル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルトを任意の締め付け位置で挟圧固定する
服飾ベルト用バックルにおいて、締め具の荷重集中によ
るベルト表面の傷付きを防止しながら、ベルトをずれ動
き不能に確実に固定する。 【解決手段】 中空のバックル本体１は、内面のベース
枠８と、外面の化粧枠９を対向接合して形成する。化粧
枠９の内面に、起伏操作される締め具２と、締め具２の
締付力をベルトＢに伝えるばね体３を組む。ばね体３は
板ばねで形成する。ばね体３を締め具２でベース枠８へ
向かって接近操作することにより、その挟持面２５を弾
性変形させて、ベルトＢを面接触状に挟圧し、締め具２
の締付力を分散させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、回動する締め金によってベルトを任意位置で挟圧固定できる服飾 ベルト用バックルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ベルト用バックルには、ベルトを任意位置で固定する方式と、予め設定された 複数の連結位置においてベルトを固定する方式（例えば実公昭５６−３０２４６ 号公報）とがある。前者方式では、基板の一端に締め金を回動自在に軸支してお き、締め金の回動基端に突設した挟持爪と基板とでベルトを挟圧固定する。後者 方式では、バックル内面に突設したピンをベルトに通設した連結穴のいずれかひ とつに掛止してベルトを固定する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

回動する締め金でベルトを固定するバックルは、着衣の厚みの違いや腰回り寸 法の変化に応じて、ベルトの締め付け位置を任意に変更できる点で便利である。 しかし、挟持爪をベルト表面に強圧してベルトのずれ動きを防止するので、ベル ト表面に挟圧傷が付きやすい。 そのため、この種のバックルは、挟圧傷が目立たない布製、あるいは紐を帯状 に組んだベルト等に適用されることが多く、フォーマルな衣服に多用される皮革 製のベルト用としては、実質的に適用が困難であった。ベルトを一定位置でのみ 固定する場合には、布製のベルトであっても、ベルト表面が徐々に凹み変形して 挟持爪による挟持力が漸減し、僅かな外力を受けただけで締め金が解離する不利 もある。

【０００４】 多くの場合、上記の挟持爪の突端面には摩擦力を増加するための線条や爪片が 形成してあり、これが挟圧傷を生じやすい原因のひとつになっている。つまり、 従来のこの種のバックルは、ベルトの固定を確実化すると、ベルト表面が傷付い て早期に装飾性が損なわれ、逆にベルト表面の傷付きを避けようとすると、ベル トがずれ動きやすくなる点に問題がある。

【０００５】 本考案の目的は、締め金によるベルトの挟圧構造を改良することによって、ベ ルトを確実に固定でき、しかもベルト表面の傷付きを防止でき、任意位置でのベ ルト固定が可能な服飾ベルト用バックルを提供するにある。 本考案の目的は、締め金によるベルトの挟圧力を大小に変更でき、バックルと 組み合わせて使用されるベルトの形成素材や厚み寸法の違いに応じて、常に適正 にベルトを挟圧固定できる服飾ベルト用バックルを提供するにある。 本考案の目的は、バックル構成部品を順番に係合連結するだけで、簡単に組み 立てることができ、しかも組み立て完了後に締め金による挟圧力を自由に変更調 整できる服飾ベルト用バックルを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の服飾ベルト用バックルは、左右両側に通口６・６を備えた中空のバッ クル本体１を有し、バックル本体１は内面のベース枠８と外面の化粧枠９を対向 状に接合して形成する。 ベース枠８と化粧枠９との間には、ベース枠８に対向する挟持面２５を備えた 板状のばね体３と、ばね体３をベース枠８に対して接離操作する締め具２とを設 ける。ばね体３は、ベルトＢの通過を許す待機姿勢と、ベース枠８に接近してベ ルトＢの表面を面接触状に挟圧する挟持姿勢とに弾性変形できるよう化粧枠９で 支持する。締め具２は、ばね体３の外面に外接してバックル本体１で軸３０を介 して回動自在に軸支されたカム部２９と、化粧枠９の面壁に設けた開口１４を介 して化粧枠９の外面に露出するレバー部２８とを一体に備えている。レバー部２ ８が化粧枠９の外面に沿って倒伏する締め付け姿勢において、ばね体３の挟持面 ２５がカム部２９でベース枠８へ向かって接近操作されるよう構成する。

【０００７】 具体的には、締め具２のカム部２９に、挟持面２５のベース枠８に対する接離 量を調整する調整ねじ３１をねじ込み装着する。レバー部２８が化粧枠９の外面 に起立する開放姿勢において、調整ねじ３１の操作部３２を化粧枠９の外面に露 出させる。

【０００８】 化粧枠９は、開口１４を有する上壁１０と、上壁１０に連続する前後側壁１１ とで断面コ字状に形成する。通口６・６に臨む上壁１０の内面に、ばね体３を支 持する受壁１２・１２を折り曲げ形成し、出口側の通口６に臨む前後側壁１１・ １１の下端に軸受部１３を設ける。 ベース枠８は、上壁１０と対向する底壁１９と、上記の前後側壁１１の内側に 沿う内側壁２０とで断面コ字状に形成する。入口側の通口６に臨む内側壁２０の 上端に、受壁１２で係合支持される連結片２１・２１を前後対向状に折り曲げ形 成し、出口側の通口６に臨む底壁１９の下面に連結筒２２を折り曲げ形成する。 連結片２１を受壁１２に差し込み係合し、軸受部１３および連結筒２２を連結軸 ４で挿通連結して、ベース枠８と化粧枠９とを一体化する。開口１４の前後縁に 軸受壁１７を折り曲げ形成し、カム部２９に固定した軸３０を軸受壁１７で支持 する。

【０００９】

【実施例】

図１ないし図７は本考案に係る服飾ベルト用バックルの実施例を示す。バック ルは、左右両側に通口６・６を有するバックル本体１と、バックル本体１に組み 込まれる締め具２及びばね体３と、バックル本体１の一側端に連結軸４で相対回 動可能に連結したクランプ５とからなり、ベルトＢの一端をクランプ５に固定し 、他端をバックル本体１に挿通して締め具２及びばね３で挟持固定する。

【００１０】 図２において、バックル本体１はそれぞれ断面コ字状にプレス成形した金属板 製のベース枠８と化粧枠９を対向状に接合して中空箱状に形成する。

【００１１】 化粧枠９は、緩やかな突弧面からなる上壁１０と、上壁１０の前後縁に連続し て下向きに折り曲げた一対の前後側壁１１・１１を有し、通口６・６に臨む上壁 １０の側端を下面側へ折り曲げて受壁１２・１２を形成し、出口側の通口６に臨 む前後側壁１１・１１の下端に軸受部１３・１３を突設する。上壁１０の中央に は、締め具２を組み付けるための開口１４を通設し、この開口１４と入口側の通 口６との間に後述するレバー部２８を受け入れる凹部１５を形成し、更にその前 後中央に工具溝１６を凹み形成する。開口１４の前後縁には、軸受壁１７を下向 きに折り曲げて形成し、その板面に下縁側で開口する軸受穴１７ａを設ける。凹 部１５の前後幅は上壁１０の前後幅より小さい。

【００１２】 ベース枠８は、上壁１０に対向する底壁１９と、底壁１９の前後縁から上向き に折り起こされた前後一対の内側壁２０・２０とでコ字状に形成する。入口側の 通口６に臨む内側壁２０・２０の上端に、前記受壁１２に係合する連結片２１・ ２１を前後対向状に折り曲げ、出口側の通口６に臨む底壁１９の側端下面に連結 筒２２を折り曲げ形成する。底壁１９の他側端は下面側へ折り返して、その平面 視における端縁形状を突弧状に形成する。底壁１９の板面には、ベルトＢとの接 触圧を高めるための一対の突起２３を上向きに突設し、更に両突起２３の左右に 前後には長い部分円弧断面形のリブ２４を突設しておく。

【００１３】 ばね体３は、平面視が四角形の板ばねからなり、その殆どが下向きに突出する 突弧面からなる挟持面２５で占め、挟持面２５の左右端に掛止部２６を立ち上げ 形成する。左右の掛止部２６を化粧枠９の受壁１２に差し込み係合することによ り、ばね体３を化粧枠９で支持できる。ばね体３の前後幅はベース枠８の連結片 ２１の前後対向間隔より僅かに大きく設定する。その理由は後述する。 ばね体３は、ばね鋼板やステンレス鋼板等の金属材を素材にして形成でき、必 要があればポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール等の強靱なプラスチ ック材で形成してもよい。

【００１４】 締め具２は、化粧枠９の外面に沿って突弧状に湾曲するレバー部２８と、レバ ー部２８の側端下面に突設したカム部２９とを一体に形成したダイキャスト成形 品からなり、カム部２９の前後端面に軸３０を固定し、カム部２９の下面側の前 後中央に調整ねじ３１をねじ込み装着する。調整ねじ３１はねじ軸からなり、そ の下端面を突曲面で形成し、端面中央に六角レンチＴが差し込み係合される操作 穴（操作部）３２を設ける。

【００１５】 図２に想像線で示すように、化粧枠９の下面側からレバー部２８を開口１４を 介して枠上面側へ差し込み、図４に示すように前後一対の軸３０のそれぞれを軸 受壁１７に設けた軸受穴１７ａに係合することにより、締め具２を化粧枠９と一 体化できる。この組み立て状態において、締め具２はレバー部２８が凹部１５に 収まる図１の締め付け姿勢と、レバー部２８が軸３０を中心にして上壁１０上へ 起立する開放姿勢（図６の状態）との間で揺動でき、締め付け姿勢においては、 図３に示すようにレバー部２８の先端が上壁１０の側端縁から僅かに突出する。 この突出部分に指先を掛けて、レバー部２８の起立操作を容易に行うことができ る。調整ねじ３１のねじ込み量によっては、ねじ突端が凹部１５側の開口縁と接 当干渉することがある。これを避けるために、工具溝１６の開口縁に逃げ溝１６ ａを設けている。

【００１６】 上記のように締め具２を化粧枠９に組み付けた後、ばね体３を逆へ字状に弾性 変形させながら、その左右の掛止部２６を受壁１２にそれぞれ差し込み係合する 。これにより、挟持面２５がカム部２９の周面あるいは調整ねじ３１に接当して 、締め具２の組み付け状態を維持する。レバー部２８を起立した状態では、挟持 面２５がカム部２９の周面に接当して、挟持面２５とベース枠８の底壁１９との 間にベルトＢの自由な通過を許す隙間を形成し、ばね体３の全体が待機姿勢にな っている。

【００１７】 レバー部２８を倒伏して締め付け姿勢にすると、挟持面２５は調整ねじ３１で 押し下げ操作され、ベース枠８の底壁１９に接近するよう弾性変形して挟持姿勢 に切り換わる。この状態では、図１および図４に示すように挟持面２５がベルト Ｂの表面に面接触状に接当して、底壁１９と協同してベルトＢのずれ動きを阻止 する。突起２３およびリブ２４もベルトＢのずれ動きを阻止するのに役立つ。 また、調整ねじ３１の中心軸は、軸３０の中心を通る垂直面よりも出口側の通 口６側に位置して傾斜しているので、ベルトＢにバックル本体１から抜け出る向 きに大きな外力が作用する場合にも、締め具２は締め付け姿勢を維持し続けるこ とができる。

【００１８】 ばね体３は化粧枠９に組み付けた状態において、受壁１２に沿って前後遊動で き、このことを利用してベース枠８を化粧枠９に係合連結する。 詳しくは図７に示すように、ばね体３を前後いずれか一側へずらし、これによ りばね体３の前後側縁と前後側壁１１との間に生じる隙間に、ベース枠８の一方 の連結片２１を差し込む。次にばね体３を逆方向へずらして、前記連結片２１に ばね体３の側縁を掛止するとともに、逆サイドに形成される隙間に他方の連結片 ２１を差し込んで、ベース枠８の前後の内側面２０・２０を前後側壁１１の内面 に沿わせる。この状態で、ベース枠８の全体を入口側の通口６へ向かってスライ ド操作し、図５に示すように連結片２１を受壁２１に係合連結する。つまり、ば ね体３を組み付け案内部材に利用してベース枠８を化粧枠９に組み付ける。その ために、ばね体３の前後幅を連結片２１の対向間隔より大きくしている。

【００１９】 最後に連結筒２２と軸受部１３の穴中心を一致させ、両者１３・２２の間にク ランプ５の連結腕５ａを位置させて、こられ三者５ａ・１３・２２に連結軸４を 挿通し、軸端をかしめ固定する。以上の組み付け形態によれば、バックル構成部 品を順に係合連結し、最後に連結軸４を挿通してかしめ固定するだけで、バック ルを簡単に組み立てることができる。

【００２０】 クランプ５は、下向きに開口する断面コ字状のベース体５ｂと、ベース体５ｂ で起伏自在に支持したクランプ腕５ｃとを有し、ベース体５ｂに差し込んだベル トＢの端部に、クランプ腕５ｃの基端側の爪片５ｄを喰い込ませてベルトＢを抜 き外し不能に固定する。

【００２１】 ベルトＢの形成素材やその厚み寸法の違いに応じて、挟持面２５とベース枠８ の対向間隔を調整する必要がある。この場合には、締め具２を図６に示すように 開放姿勢に起立操作して調整ねじ３１の操作穴３２を凹部１５に露出させる。こ の状態で六角レンチＴを工具溝１６沿いに操作穴３２に差し込んで回動操作する ことにより、調整ねじ３１のカム部２９周面からの突出量を変更し、締め付け姿 勢時の挟持面２５とベース枠８の対向間隔を自由に調整できる。

【００２２】 上記のバックルにおいて、使用するベルトＢが常に同一品である場合には、調 整ねじ３１は省略できる。この場合には、図８に示すように、締め付け姿勢にお いてばね体３を変形操作する突部３４をカム部２９に突設する。

【００２３】 締め具２は、レバー部２８の先端を出口側の通口６に臨ませて設けることがで きる。さらに図９に示すように、レバー部２８の先端が化粧枠９の前後縁のいず れか一方に臨む状態で設けることができる。必要があれば、複数個の締め具２を 化粧枠９に設けることができる。

【００２４】 調整ねじ３１は複数個を一組にしてカム部２９にねじ込み装着することができ る。操作頭部（操作部）を有するビスや、六角ボルト等で調整ねじ３１を形成す ることができる。軸受壁１７はベース枠８の側に設けることができる。場合によ っては、軸３０を前後側壁１１で軸支することができる。

【００２５】

【考案の効果】

この考案の服飾ベルト用バックルでは、締め具２を起伏操作して板状のばね体 ３をベース枠８に対して接離し、その挟持面２５とベース枠８とで、ベルトＢを 挟圧固定した。このように、弾性変形するばね体３を介してベルトＢを挟圧する ことにより、締め具２の荷重を挟持面２５で分散させることができるうえ、挟持 面２５をベルトＢに面接触状に接当させることができる。従って、ベルトＢのず れ動きを確実に阻止しながら、ベルト表面の傷付きを防止でき、皮革製のベルト のように傷付きやすいベルトＢにも支障なく適用することができる。

【００２６】 カム部２９に調整ねじ３１を設けたバックルによれば、調整ねじ３１を締緩操 作することで、締め具２によるベルトＢの挟圧力を自由に変更できるので、ベル トＢの形成素材や厚み寸法の違い、あるいは表面の硬さの違い等に応じて、ばね 体３の変形量を調整し、常に適正な状態でベルトＢを挟圧固定できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】バックル本体の縦断正面図である。

【図２】バックル構成部品を分離した状態の断面図であ
る。

【図３】バックル本体の平面図である。

【図４】図３におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図５】図３におけるＣ−Ｃ線断面図である。

【図６】締め具を開放した状態の縦断正面図である。

【図７】ベース枠の組み付け法を示す一部破断底面図で
ある。

【図８】締め具の別実施例を示す正面図である。

【図９】締め具の配置形態を変更した別実施例を示す平
面図である。

【符号の説明】

１ バックル本体 ２ 締め具 ３ ばね体 ４ 連結軸 ８ ベース枠 ９ 化粧枠 １４ 開口 ２１ 連結片 ２５ 挟持面 ２８ レバー部 ２９ カム部 ３１ 調整ねじ Ｂ ベルト

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右両側に通口６・６を有する中空のバ
   ックル本体１が、内面のベース枠８と外面の化粧枠９を
   対向状に接合して形成されており、 ベース枠８と化粧枠９との間に、ベース枠８に対向する
   挟持面２５を備えた板状のばね体３と、ばね体３をベー
   ス枠８に対して接離操作する締め具２とが設けられてお
   り、 ばね体３は、ベルトＢの通過を許す待機姿勢と、ベース
   枠８に接近してベルトＢの表面を面接触状に挟圧する挟
   持姿勢とに弾性変形できるよう化粧枠９で支持されてお
   り、 締め具２は、ばね体３の外面に外接してバックル本体１
   で軸３０を介して回動自在に軸支されたカム部２９と、
   化粧枠９の面壁に設けた開口１４を介して化粧枠９の外
   面に露出するレバー部２８とを一体に備えており、 レバー部２８が化粧枠９の外面に沿って倒伏する締め付
   け姿勢において、ばね体３の挟持面２５がカム部２９で
   ベース枠８へ向かって接近操作されるよう構成してある
   服飾ベルト用バックル。
2. 【請求項２】 締め具２のカム部２９に、挟持面２５の
   ベース枠８に対する接離量を調整する調整ねじ３１がね
   じ込み装着されており、 レバー部２８が化粧枠９の外面に起立する開放姿勢にお
   いて、調整ねじ３１の操作部３２が化粧枠９の外面に露
   出している請求項１記載の服飾ベルト用バックル。
3. 【請求項３】 化粧枠９が、開口１４を有する上壁１０
   と、上壁１０に連続する前後側壁１１とで断面コ字状に
   形成され、通口６・６に臨む上壁１０の内面に、ばね体
   ３を支持する受壁１２・１２が折り曲げ形成され、出口
   側の通口６に臨む前後側壁１１・１１の下端に、軸受部
   １３が設けられており、 ベース枠８は、上壁１０に対向する底壁１９と、上記の
   前後側壁１１の内側に沿う内側壁２０とで断面コ字状に
   形成され、入口側の通口６に臨む内側壁２０の上端に、
   受壁１２で係合支持される連結片２１・２１が前後対向
   状に折り曲げ形成され、出口側の通口６に臨む底壁１９
   の下面に連結筒２２が折り曲げ形成されており、 連結片２１を受壁１２に差し込み係合し、軸受部１３お
   よび連結筒２２を連結軸４で挿通連結して、ベース枠８
   と化粧枠９とが一体化されており、 開口１４の前後縁に軸受壁１７が折り曲げ形成されてい
   て、カム部２９に固定した軸３０が軸受壁１７で支持さ
   れている請求項１又は２記載の服飾ベルト用バックル。