JP5796742B2 - 非水電解質二次電池用負極の製造方法および該負極を用いた非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極の製造方法および該負極を用いた非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池その他の非水電解質二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。かかる非水電解質二次電池の負極は、電荷担体となる化学種(例えばリチウムイオン二次電池の場合、リチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る負極活物質を主成分とする負極合材層を備える。かかる負極合材層は、例えば負極活物質を結着材(バインダ)や増粘材等の添加材とともに適当な溶媒を添加して分散させ、それによって得られたペースト状またはスラリー状組成物を負極集電体に付与することにより形成され得る。負極活物質としてチタン酸リチウムを用い、所定量の結着材を含む負極合材を用いた電池に関する従来技術として特許文献1が挙げられる。
特開2011−192562号公報
しかし、上述したような非水電解質二次電池は、低温領域での反応抵抗が増大する傾向があるため、低温特性の改善が望まれている。負極合材層に含まれる結着材や増粘材等の添加材の配合量を減らせば、ある程度の低温特性の向上が期待できる。しかし、結着材の減量は合材層と集電体との接着強度の低下を招く虞がある。増粘材の減量は、低せん断領域における組成物の分散性を低下させる虞があり、該組成物のポットライフ性能の低下を招くことが懸念される。また、高せん断領域においてチクソ性と低粘度が維持できない虞があり、負極合材層の形成前において(例えば配管内での)流動性を確保できないことが懸念される。このように、添加材の減量には限度があるため、配合材料の選択や配合割合の調整等によって低温特性を向上させることは困難になりつつある。
そこで、本発明は、上述した従来の問題を解決するために創出されたものであり、その目的は、低温特性が向上した非水電解質二次電池用負極の製造方法を提供することである。また、そのような利点を有する負極を用いた非水電解質二次電池の製造方法を提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明により負極合材層を備える非水電解質二次電池用負極(以下、負極ともいう。)を製造する方法が提供される。この製造方法は、チタン酸リチウムを含む負極活物質を主成分とし、セルロース誘導体を含む負極合材層を形成すること、および前記形成した負極合材層を、温度35℃以上80℃未満および相対湿度30%以上75%以下を満たす条件下で保持すること、を包含する。
かかる構成の負極の製造方法によると、温度35℃以上80℃未満および相対湿度30%以上75%以下を満たす条件下で負極合材層を保持することで、該負極合材層が形成された負極を備える非水電解質二次電池の低温時における反応抵抗の増大が抑制され、低温特性が向上する。また、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いることにより、安全性が向上し、長寿命化が可能となる。したがって、本発明の製造方法によると、低温特性が向上した非水電解質二次電池用負極を提供することができる。なお、本明細書において「低温」とは、典型的には10℃以下をいう。したがって、0℃〜−20℃またはそれ以下のような氷点下の温度領域は、ここでいう低温の典型例である。よって、ここで開示される非水電解質二次電池用負極は、寒冷地で使用される負極として好適である。
ここで開示される負極の製造方法の好適な一態様では、前記負極(例えば負極板)をフープ状態にして、前記保持を少なくとも0.5時間行う。なお、フープ状態とは、特に限定されないが、典型的には負極(例えば負極板)をリール状に巻いた状態をいう。このように、負極を所定の状態にして負極合材層を所定の温度および湿度条件下で少なくとも0.5時間保持することにより、該負極合材層が形成された負極を備える二次電池は、低温特性がより向上する。
ここで開示される負極の製造方法の好適な一態様では、前記保持を、温度40℃以上65℃以下および相対湿度35%以上55%以下の条件下で行う。上記保持において、温度および相対湿度を上記の範囲内とすることで、低温特性がさらに向上する。
ここで開示される負極の製造方法の好適な一態様では、前記形成した負極合材層にプレスを行い、その後前記条件下で保持を行う。このように、プレスを行った後に、所定の温度および湿度条件下で保持することにより、低温特性が好適に向上する。または、プレスを行う前に前記条件下で保持することによっても、同様の効果を得ることができる。
また、本発明によると、正極を構築すること、負極を構築すること、および前記正極および前記負極を用いて非水電解質二次電池を構築すること、を包含する非水電解質二次電池の製造方法が提供される。この製造方法では、前記負極として、ここで開示されるいずれかの製造方法によって得られた負極を用いる。このように、所定の温度および湿度条件下で保持した負極合材層を有する負極を備える非水電解質二次電池は、低温時における反応抵抗の増大が抑制され、低温特性が向上する。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極の構成の一部を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式的に示す断面図である。 例1〜例32に係るリチウムイオン二次電池の反応抵抗変化率(%)を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施形態を説明する。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや非水電解質の構成および製法、電池(ケース)の形状等、電池の構築に関する一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
ここで開示される非水電解質二次電池に係る好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。例えば、リチウムイオン以外の金属イオン(例えばナトリウムイオン)を電荷担体とする非水電解質二次電池に本発明を適用することも可能である。また、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等の蓄電池(すなわち化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。さらに、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
図1に示すように、負極10は、負極集電体1と負極集電体1上に形成された負極合材層2とを備える。なお、本実施形態では、負極合材層2は負極集電体1の両表面(両面)に形成されているが、これに限定されず、負極集電体の一表面(片面)に形成してもよい。
負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の金属または該金属を主成分とする合金)からなるものを好ましく使用することができる。負極集電体の形状は、電極体、二次電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。負極集電体の形状は、シート状または箔状であることが好ましい。負極集電体の厚さは特に限定されない。例えば、負極集電体として銅製のシートを用いる場合、凡そ6μm〜30μmの厚さとすることが好ましい。
負極合材層は、負極活物質を主成分としており、セルロース誘導体を含む。また、必要に応じて導電材その他の添加材を含んでもよい。また、負極合材層は、負極活物質としてチタン酸リチウム(LTO)を含む。チタン酸リチウムとは、リチウム(Li)とチタン(Ti)を含む酸化物をいう。典型的にはLiTi(0<x≦4、1≦y≦5、2≦z≦12)で表され得る。かかるチタン酸リチウムは、電荷担体(リチウムイオン)を挿入したときの体積膨張率が小さいため、安全性が高く、また長寿命性にも優れる。好適例としては、LiTi12で表されるスピネル構造を有するチタン酸リチウムが挙げられる。また、ラムズデライト型LiTiOやアナターゼ型Li0.5TiOであってもよい。かかるチタン酸リチウムは、例えば水酸化リチウムと二酸化チタンとをリチウム(Li)とチタン(Ti)のモル比Li/Tiが、0.5〜1(好ましくは0.6〜0.9)となるように混合し、乾燥後、温度600℃〜1200℃(好ましくは700℃〜1000℃)で5時間〜20時間(好ましくは7時間〜14時間)加熱(焼成)することにより作製され得る。
また、チタン酸リチウムは、水素(H)を含んでもよい。水素(H)はリチウム(Li)の一部と置換されるかたちで含まれ得る。さらに、チタン酸リチウムは、式:
LiTi5−b12+c
(式中、Mは、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブテン、タングステン、ビスマス、ナトリウムおよびガリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、aは3〜5、bは0.005〜1.5、cは−1〜1を満たす。)で表されるものであってもよい。Mは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、ホウ素、マグネシウム、ジルコニウム、ニオブおよびタングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。上述のチタン酸リチウムは、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
チタン酸リチウムの平均粒径は特に限定されないが、電荷担体(リチウムイオン)の吸蔵および放出の観点から、凡そ0.5μm〜3μm(例えば0.8μm〜2.5μm、典型的には1μm〜2μm)であることが好ましい。平均粒径としては、レーザー散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布から導き出せるメジアン径(平均粒径D50:50%体積平均粒径)を好ましく採用することができる。
負極合材層はまた、負極活物質としてチタン酸リチウム以外の従来公知の各種負極活物質(以下、その他の負極活物質ともいう。)を含んでもよい。そのようなその他の負極活物質は、電荷担体となるリチウムイオンを吸蔵および放出可能なものであれば特に限定されない。例えばグラファイトカーボン(黒鉛)、アモルファスカーボン等の炭素材料が挙げられる。なかでも、天然黒鉛(もしくは人造黒鉛)を主成分とする炭素材料の使用が好ましい。かかる天然黒鉛(もしくは人造黒鉛)は鱗片状の黒鉛を球形化したものであり得る。また、黒鉛の表面にアモルファスカーボンがコートされた炭素質粉末を用いてもよい。その他、ケイ素材料、スズ材料等の単体、合金、化合物、上記材料を併用した複合材料を用いることも可能である。これらその他の負極活物質は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質の総量に占めるチタン酸リチウムの割合は特に限定されないが、チタン酸リチウムの作用を充分に得る観点から、凡そ10質量%以上であることが好ましい。より好適な割合は、50質量%以上(例えば70質量%以上、典型的には90質量%〜100質量%)である。負極活物質が、チタン酸リチウムのみで構成されていることがさらに好ましい。したがって、チタン酸リチウム以外のその他の負極活物質の割合は、負極活物質の総量中において凡そ50質量%以下(例えば30質量%以下、典型的には10質量%〜0質量%)であることが好ましい。
負極合材層に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ70質量%〜98質量%(例えば80質量%〜95質量%、典型的には83.5質量%〜93質量%)であることが好ましい。
負極合材層に含まれるセルロース誘導体は、負極合材層の結着材または増粘材として用いられる成分である。具体的には、セルロース誘導体は、負極合材層と負極集電体との接着強度を確保し、また負極合材層を形成するための組成物(以下、負極合材層形成用組成物ともいう。)を混練(調製)する際の作業性および安定性を向上させ得る。セルロース誘導体としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
負極合材層に占めるセルロース誘導体の割合は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく特に限定されない。セルロース誘導体による作用を確保し、かつ電池特性(例えば低温特性)の低下を防止する観点から、0.6質量%〜3質量%(例えば0.8質量%〜2質量%、典型的には1質量%〜1.5質量%)であることが好ましい。
負極活物質として用いられるチタン酸リチウムは、炭素材料と比べて導電性が低いため、負極合材層は導電材を含むことが好ましい。導電材としては、カーボン粉末や導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、グラファイト粉末や種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックが好適である。導電性粉末材料としては、例えば炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上の混合物として含ませることができる。負極合材層に導電材を含ませる場合、負極合材層に占める導電材の割合は、チタン酸リチウムの配合割合等によって変わり得るため、特に限定されないが、凡そ2質量%〜15質量%(例えば4質量%〜12質量%、典型的には6質量%〜10質量%)とすることが好ましい。
その他の添加材(例えばセルロース誘導体以外の結着材(バインダ)や増粘材)としては、一般的なリチウムイオン二次電池の負極に使用されるものと同様のものを適宜採用することができる。例えば、水系の組成物を用いて負極合材層を形成する場合には、結着材として水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)が例示される。水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、ポリアクリレート(アクリル酸エステル単独重合体または共重合体)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;エチレン酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アラビアゴム等のゴム類;が例示される。SBRとは、スチレンと1,3‐ブタジエンを含む共重合体のことであり、その共重合様式は特に限定されない。また、不飽和カルボン酸や不飽和ニトリル化合物を共重合させた変性SBR(例えばアクリル酸変性SBR樹脂)であってもよい。あるいは、溶剤系の組成物を用いて負極合材層を形成する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等のポリマー材料を用いることができる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、水に溶解または分散するポリマー材料(典型的にはポリアクリレート、SBR)を用いることが好ましい。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材として用いられる他に、負極合材層形成用組成物の増粘材その他の添加材として使用されることもあり得る。
負極合材層にその他の添加材を含ませる場合、負極合材層に占めるその他の添加材の割合は、特に限定されないが、凡そ0.8質量%〜6質量%(例えば凡そ1質量%〜4質量%、典型的には1.5質量%〜3質量%)であることが好ましい。
次に、負極の製造方法について説明する。かかる製造方法では、まず、負極合材層形成用組成物を調製する。上述したチタン酸リチウムを含む負極活物質とセルロース誘導体、必要に応じて導電材、結着材とを適当な溶媒中で混ぜ合わせ(混合)、ペースト状またはスラリー状の負極合材層形成用組成物(以下、ペースト状組成物ともいう。)を調製する。かかる混合操作は、例えば、適当な混練機を用いて行うことができる。調製にあたっては、配合材料(負極活物質、セルロース誘導体等)を少量の溶媒(例えば水)で固練りし、その後、得られた混練物を適量の溶媒で希釈してもよい。なお、負極合材層形成用組成物の各配合材料(負極活物質、セルロース誘導体、導電材、結着材等の添加材)の固形分換算の割合は、上述の負極合材層における割合と同じとすることができる。
上記ペースト状組成物を調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒、非水系溶媒およびこれらの混合溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す概念である。混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の1種または2種以上が挙げられる。例えば、水系溶媒の凡そ80質量%以上(好ましくは90質量%以上、典型的には95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。実質的に水からなる水系溶媒が特に好ましい。また、非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。なかでも、負極合材層形成用組成物として、水系溶媒を用いた水系負極合材層形成用組成物を用いることが好ましい。負極合材層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分の割合)は、特に限定されないが、乾燥効率の向上、均一塗付、取扱い性を考慮して、凡そ40質量%以上(例えば45質量%〜80質量%、典型的には50質量%〜60質量%)とすることが好ましい。
次いで、得られた負極合材層形成用組成物を用いて負極合材層を形成する。具体的には、負極合材層形成用組成物を負極集電体上に付与(典型的には塗付)し、必要であれば乾燥およびプレスを行うことによって負極合材層を形成することが好ましい。負極合材層形成用組成物を塗付する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えばコンマコーターやダイコーター、グラビアコーター等の適当な塗付装置を使用することにより、負極集電体の表面に負極合材層形成用組成物を塗付することができる。
負極合材層形成用組成物を塗付した後、塗付物を乾燥することが好ましい。これによって、負極合材層形成用組成物中の溶媒が除去される。かかる乾燥工程は、以下第1乾燥工程ともいう。乾燥方法としては、例えば自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線および電子線による乾燥が挙げられる。これらを単独でまたは組み合わせて用いることにより、負極合材層形成用組成物を良好に乾燥し得る。好適例としては、負極合材層形成用組成物が塗付された負極集電体を乾燥炉内を通過させることが挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、例えば80℃以上200℃以下(典型的には100℃〜150℃)とすることが好ましい。乾燥時間は、例えば凡そ5秒〜120秒(典型的には凡そ15秒〜60秒)とすることが好ましい。
また、負極合材層に対し、厚さ方向にプレスを行うことが好ましい。これによって、目的とする厚さの負極を得ることができる。上記プレス方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等を適宜採用することができる。厚さを調整するにあたっては、膜厚測定器で該厚さを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回プレスしてもよい。後述する所定の温度および湿度条件下での保持は、プレス前またはプレス後に行うことができるが、低温特性向上の効果を充分に得る観点から、プレス後に行うことが好ましい。
プレス後の負極(負極シート)の厚さ(典型的には、負極集電体およびその両面に形成された負極合材層の合計厚さ)は、特に限定されないが、例えば凡そ40μm〜300μm(典型的には60μm〜200μm)であることが好ましい。負極合材層が負極集電体の片面に形成される場合は、例えば凡そ20μm〜150μm(典型的には30μm〜100μm)であることが好ましい。負極集電体上への負極合材層の単位面積当たりの目付量(負極合材層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は、特に限定されないが、充分なLiイオン導電経路(導電パス)を確保する観点から、負極集電体の両面の合計で5mg/cm以上(例えば10mg/cm以上、典型的には15mg/cm以上)であり、50mg/cm以下(例えば40mg/cm以下、典型的には35mg/cm以下)とすることが好ましい。
上述の方法により負極合材層を形成した後(典型的には第1乾燥工程の後)、負極合材層を、温度35℃以上80℃未満および相対湿度25%以上75%以下を満たす条件下で保持する。かかる所定の温度および湿度条件での保持を行うことによって、負極合材層が形成された負極を備えるリチウムイオン二次電池の低温時における反応抵抗の増大が抑制され、低温特性が向上する。その作用機序は明らかではないが、保持環境中の水分が負極合材層に供給され、負極合材層を構成する材料(典型的にはセルロース誘導体)に作用し、負極合材層中におけるセルロース誘導体の形態に変化(例えば軟化することによる変化)をもたらし、これが、該負極合材層の比表面積を大きくする作用があり、これにより、低温特性が向上すると考えられ得る。上記保持温度は、好ましくは35℃以上75℃以下(例えば40℃以上70℃以下、典型的には40℃以上65℃以下)である。上記温度範囲内における相対湿度は、好ましくは30%以上75%以下、より好ましくは35%以上65%以下(例えば45%以上60%以下、典型的には45%以上55%以下)である。上記温度が80℃を超えるような高温の場合、負極集電体(典型的には銅箔)が酸化する虞があるため、好ましくない。また、温度35℃未満では、保持環境中の水分が負極合材層(典型的にはセルロース誘導体)に作用しにくくなり、低温特性の向上効果が得られないと考えられ得る。上記保持を行う際の負極の状態は、特に限定されないが、負極(典型的には負極シート)をリール状に巻き取った状態で行うことが可能である。また、巻き取った負極を巻きほぐしながら上記保持を行った後、再度リール状に巻き取った状態にすることも可能である。巻きほぐしながら上記保持を行った方が、保持時間を短縮することができる。
また、上記保持は、上記温度および湿度の条件に加えて、式:
(T+273)×RH×10−2≦235
(Tは温度(℃)であり、RHは相対湿度(%)である。)を満たす条件下で行うことが好ましい。(T+273)×RH×10−2は、より好ましくは210以下(典型的には170以下)である。かかる条件下で負極合材層を保持することで、低温特性が好適に向上する。上記式における(T+273)×RH×10−2の下限値は特に限定されないが、低温特性向上の観点から、好ましくは70以上であり、より好ましくは90以上(典型的には100以上)である。
上記保持は、少なくとも0.5時間行うことが好ましい。上記保持時間は、0.5時間以上(例えば1時間以上、典型的には1.5時間以上)とすることが好ましい。一定時間以上、所定の温度および湿度条件下で保持することで、上記保持による作用が充分に得られる。また、上記保持時間は、24時間以下(例えば8時間以下、典型的には5時間以下)とすることが好ましい。上記保持が長時間に及ぶと負極集電体(例えば銅箔)が酸化する虞がある。
上記保持を行った後の負極合材層の水分含量は、特に限定されないが、質量基準で300ppm以上(例えば400ppm以上、典型的には500ppm以上)となり、また、凡そ1000ppm以下(例えば900ppm以下、典型的には800ppm以下)となり得る。上記保持を行うことで負極合材層の水分含量が上記の範囲内となり、これによって、低温特性が向上すると推察される。
上記保持はプレスの前に行うこともできるが、低温特性向上の効果をより充分に得る観点から、プレス後に行うことが好ましい。その理由として、次のようなことが推察される。負極合材層はプレスにより負極活物質が変形(典型的に負極活物質の一部が割れて比表面積が増大)する。このように負極活物質が変形したところに所定温度の下、所定量の水分を供給することで、負極合材層中におけるセルロース誘導体の形態が変化(例えば軟化することにより変化)し、プレス前の保持よりも負極合材層の比表面積が増大し、これによって、低温特性が向上していると推察される。
上記保持が完了した後、必要に応じて負極合材層を乾燥させることが好ましい。かかる乾燥工程を、以下第2乾燥工程ともいう。第2乾燥工程の条件(方法、温度等)は、特に限定されない。例えば、上述した第1乾燥工程と同様の条件を好適に採用することができる。かかる乾燥によって、乾燥後の負極合材層の水分含量は、質量基準で200ppm以下(例えば100ppm以下、典型的には50ppm以下)となり得る。なお、第2乾燥工程は、正極(例えば正極シート)と負極(例えば負極シート)とを積層して電極体(例えば捲回電極体)を作製した後に行ってもよい。このようにして、負極は製造され得る。
なお、負極合材層中の残留水分と非水電解質(典型的には非水電解液)中の支持塩とが反応すると、不純物(例えばフッ化水素(HF))が生成する。かかる不純物の生成を防止するため、負極の製造を含めた電池の製造は、低湿度条件下で行われるのが好適である。したがって、上記保持以外の工程のうち、少なくとも乾燥工程(好適には乾燥およびプレス、さらに好適には塗付、乾燥およびプレス、言い換えると負極合材層の形成)は、常温(温度25℃)で相対湿度(RH)が30%未満(例えば20%以下、典型的には1%〜10%)で行われることが好ましい。なお、上記RHは、常温におけるRHに限定されない。例えば、上記工程のうち、塗付およびプレスの少なくとも一方(典型的には両方)は、温度35℃未満(例えば15℃〜30℃、典型的には20〜28℃)で行われ得る。
また、負極合材層は、複数の層(典型的には2層)を備えるものであってもよい。かかる場合、上述のチタン酸リチウムを含む負極合材層を少なくとも一層含む。好適例としてはチタン酸リチウムを含む第1層と、例えば炭素材料を主成分とする第2層とが積層された2層構造を有する負極合材層が挙げられる。かかる負極合材層は、負極集電体上に第1層、第2層の順で積層されていてもよく、負極集電体上に第2層、第1層の順で積層されていてもよい。第2層に用いられる負極活物質としては、上述したその他の負極活物質(例えば黒鉛等の炭素材料)の各種が挙げられる。第2層は、10質量%未満のチタン酸リチウムを含んでいてもよい。また、第2層に含まれ得る添加材としては、上記チタン酸リチウムを含む負極合材層に用いられる各種添加材を用いることができる。かかる複数の層を備える負極合材層は、上述の方法で各層を形成した後、複数の層からなる負極合材層に対して、上述した所定の温度および湿度条件下での保持を行うことによって製造してもよい。あるいは、チタン酸リチウムを含む負極合材層(例えば第1層)のみに対して、所定の温度および湿度条件下での保持を行い、それ以外の負極合材層(例えば第2層)は、上記保持を行わずに従来公知の方法で作製してもよい。
次に、上記の方法により製造された負極(負極シート)を用いて構築される、リチウムイオン二次電池について説明する。図2に示すように、リチウムイオン二次電池100は、金属製(樹脂製またはラミネートフィルム製も好適である。)のケース21を備える。このケース(外容器)21は、上端が開口した扁平な直方体状のケース本体22と、その開口部分を塞ぐ蓋体23とを備える。ケース21の上面(すなわち蓋体23)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する正極端子25および捲回電極体80の負極と電気的に接続する負極端子27が設けられている。ケース21の内部には、扁平形状の捲回電極体80が収容されている。この捲回電極体80は、例えば長尺シート状の正極(正極シート)50および長尺シート状の負極(負極シート)10を長尺シート状セパレータ(セパレータシート)60とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製されるものである。また、ケース21には図示しない非水電解質(典型的には非水電解液)が配置(注液)されている。
正極シート50は、長尺シート状の正極集電体の両面に正極活物質を主成分とする正極合材層が形成された構成を有する。負極シート10は、長尺シート状の負極集電体の両面に負極活物質を主成分とする負極合材層が形成された構成を有する。正極シート50の幅方向の一端には、いずれの面にも上記正極合材層が形成されていない正極合材層非形成部分51が設けられており、負極シート10の幅方向の一端には、いずれの面にも上記負極合材層が形成されていない負極合材層非形成部分11が設けられている。そして、上記積層の際に、正極シート50の正極合材層非形成部分51と負極シート10の負極合材層非形成部分11とがセパレータシート60の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート50と負極シート10とを幅方向にややずらして重ね合わせることで、捲回電極体80の幅方向において、正負極シート50,10の電極合材層非形成部分51,11が、それぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート50の正極合材層形成部分と負極シート10の負極合材層形成部分とセパレータシート60とが密に捲回された部分)82から外方にはみ出た構成が得られる。かかる正極側はみ出し部分(正極合材層非形成部分)51および負極側はみ出し部分(負極合材層非形成部分)11には、正極リード端子26および負極リード端子28がそれぞれ付設されており、上述の正極端子25および負極端子27とそれぞれ電気的に接続される。
かかる捲回電極体80を構成する各構成要素は、上述の負極を除いて従来のリチウムイオン二次電池の電極体の各構成要素と同様でよく、特に制限はない。例えば、正極シート50は、長尺状の正極集電体と正極集電体上に形成された正極合材層とを備える。正極集電体にはアルミニウム箔その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。
正極合材層の主成分となる正極活物質は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例としては、リチウムおよび少なくとも1種の遷移金属元素(好ましくはニッケル、コバルトおよびマンガンのうちの少なくとも1種)を含む複合酸化物が挙げられる。上記複合酸化物としては、例えば、上記遷移金属元素を1種含むいわゆる一元系リチウム含有複合酸化物、上記遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、遷移金属元素としてニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む三元系リチウム遷移金属酸化物、固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、遷移金属元素としてニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む三元系リチウム遷移金属酸化物が好ましい。また、正極活物質として、一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVからなる群から選択される元素である。)で表記されるポリアニオン型化合物も好ましく用いられる。上記一般式においてAがPおよび/またはSiであるものは、上記ポリアニオン型化合物の好適例である。正極合材層には、上記正極活物質の他に、さらに導電材や結着材等を含有させることが好ましい。導電材や結着材は、上述の負極合材層に含まれ得る導電材、結着材と同様のものを好適に用いることができる。正極合材層中における正極活物質の含有量は、固形分全量を100質量%としたときに凡そ50質量%を超えること(典型的には凡そ70質量%〜95質量%の範囲内)が好ましい。なお、正極シート50および負極シート10のいずれかの表面には、耐熱性、絶縁性を有する多孔性保護膜が設けられていてもよい。
正負極シート間に使用されるセパレータ(セパレータシート)の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5μm〜40μm程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。セパレータシートは複層構造(例えば3層構造)を有するものであってもよい。なお、電解液に代えて固体電解質またはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要になること(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
非水電解質は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質(典型的には非水電解液)と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の1種または2種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)の1種または2種以上を用いることができる。なお、支持塩の濃度は、従来のリチウムイオン二次電池で使用される非水電解液と同様でよく特に限定されず、例えば上記支持塩を0.1mol/L〜5mol/L程度の濃度で含有させた電解液を好適に使用することができる。
図2を参照し、リチウムイオン二次電池100は、例えば次のような方法で製造される。まず、上述したような手法により正極シート50を構築(製造)する。また上述の方法によって負極シート10を構築(製造)する。そして、これら正極シート50および負極シート10を用いてリチウムイオン二次電池100を構築する。具体的には、上述のようにして正極シート50と負極シート10とセパレータシート60とから構成される捲回電極体80を作製する。この捲回電極体80を、ケース本体22の上端開口部分から該ケース本体22内に収容するとともに適当な支持塩を含む非水電解液をケース本体22内に供給(注液)する。上記電解液を注液した後、上記開口部分を蓋体23で溶接等することにより封止することで、リチウムイオン二次電池100を構築する。ケース21の封止プロセスや電解液の供給(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1〜例32>
[正極シートの作製]
正極活物質としてニッケルマンガンコバルト酸リチウム(Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O)粉末と、導電材としてアセチレンブラック(AB)と、結着材としてカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が87:10:3となるようにイオン交換水中で混合して、ペースト状の正極合材層形成用組成物を調製した。この組成物を、長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体;厚さ15μm)の両面に合計塗付量が17mg/cm(固形分基準)となるように塗付して乾燥させた後、プレスを行い、シート状の正極(正極シート)を作製した。
[負極シートの作製]
水酸化リチウムとアナターゼ型二酸化チタンとを、リチウム(Li)とチタン(Ti)のモル比が4:5となるように水中で混合し、スラリー状混合物を得た。このスラリー状混合物を脱水乾燥した後、温度850℃で10時間焼成した。その後、粉砕および分級を行うことにより、平均粒径1.5μmのチタン酸リチウム(LiTi12)を得た。平均粒径は、レーザー散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布から導き出せるメジアン径(平均粒径D50:50%体積平均粒径)を採用した。
上記チタン酸リチウム(LTO)と、導電材としてアセチレンブラック(AB)、結着材として変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)と、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比がLTO:AB:変性SBR:CMC=87:10:2:1となるように秤量し、これらの材料をイオン交換水と混合して、ペースト状の負極合材層形成用組成物を調製した。この組成物を、長尺状銅箔から構成される負極集電体(厚さ10μm)の両面に合計塗付量が22mg/cm(固形分基準)となるように塗付した。塗付後、120℃で20秒間乾燥し、得られた塗付物にプレスを行い、負極集電体上に負極合材層を形成した。この負極集電体とその上に形成された負極合材層とからなる負極合材層形成物を複数用意し、これらの負極合材層形成物(保持前の負極シート)をリール状に巻いたものを、表1に示す温度(25℃、35℃、45℃、60℃)および湿度(相対湿度:4%、20%、30%、40%、45%、50%、60%、70%、80%)条件下で2時間保持した。このようにして、例1〜例32に係るシート状の負極(負極シート)を作製した。なお、上記塗付、乾燥およびプレスにおける相対湿度は4%であり、上記塗付およびプレスにおける温度は25℃であった。
[リチウムイオン二次電池の構築]
作製した正極シートと負極シートとを2枚の長尺状ポリオレフィン系セパレータ(ここでは厚さが25μmの多孔質ポリエチレンシートを用いた。)とともに積層し、その積層シートを長尺方向に捲回して捲回電極体を作製した。この捲回電極体を円筒型のケースに収容し、凡そ100Paの条件で真空乾燥を行った。その後、電解液をケース内に注入し、封口することによって、例1〜例32に係る18650型のリチウムイオン二次電池(理論容量223mAh、4.1V充電〜3V放電)を構築した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との3:3:4(体積比)混合溶媒に支持塩として約1mol/LのLiPFを溶解させたものを用いた。
[反応抵抗測定]
上記のように作製した各リチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度条件下において適当なコンディショニング処理(0.2Cの充電レートで4.1Vまで定電流定電圧で充電する操作と、0.2Cの放電レートで3.0Vまで定電流定電圧放電させる操作を3回繰り返す初期充放電処理)を行った後、SOC(State of Charge)40%の充電状態に調整した。そして、各リチウムイオン二次電池に対して−30℃の温度条件下において周波数10mHz〜1MHzにて交流インピーダンス法により反応抵抗を測定した。負極合材層のプレス後に所定の温度および湿度条件下で保持を行わなかった他は例1と同様にして構築したリチウムイオン二次電池の反応抵抗を100(基準)として、各例に係るリチウムイオン二次電池の反応抵抗を反応抵抗変化率として相対値で表した。反応抵抗変化率の値が小さいほど反応抵抗が小さく、値が大きいほど反応抵抗が大きい。その結果を表1および図3に示す。
Figure 0005796742
表1および図3に示されるように、負極合材層を保持する条件として、温度35℃以上80℃未満および相対湿度30%以上75%以下を満たす例10〜例15,例18〜例23,例26〜例31に係るリチウムイオン二次電池は、−30℃における反応抵抗が、上記温度および湿度条件の範囲外の保持を行った例1〜例9,例16,17,例24,例25,例32に係るリチウムイオン二次電池と比べて低減したことがわかる。特に、上記保持を、温度40℃以上65℃以下および相対湿度35%以上55%以下の条件下で行った例19〜例21,例27〜例29に係るリチウムイオン二次電池は、−30℃における反応抵抗がさらに低減したことがわかる。このように、負極合材層を所定の温度および湿度条件下で保持することにより、該負極合材層が形成された負極を備えるリチウムイオン二次電池の低温特性が向上したことがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 負極集電体
2 負極合材層
10 負極(負極シート)
11 負極側はみ出し部分(負極合材層非形成部分)
21 ケース
22 ケース本体
23 蓋体
25 正極端子
26 正極リード端子
27 負極端子
28 負極リード端子
50 正極(正極シート)
51 正極側はみ出し部分(正極合材層非形成部分)
60 セパレータ(シート)
80 捲回電極体
82 捲回コア部分
100 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 負極集電体および負極合材層を備える非水電解質二次電池用負極を製造する方法であって、
    チタン酸リチウムを含む負極活物質を主成分とし、セルロース誘導体としてカルボキシメチルセルロースを含む負極合材層を形成すること、ここで該負極合材層は、負極合材層形成用組成物を前記負極集電体に塗布し、さらに乾燥およびプレスを行うことによって形成する;および
    前記形成した負極合材層を、温度35℃〜60℃および相対湿度30%〜70%を満たす条件下で保持すること
    を包含する、非水電解質二次電池用負極の製造方法。
  2. 前記負極(典型的には負極板)をフープ状態にして、前記保持を少なくとも0.5時間行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記保持を、温度40℃以上60℃以下および相対湿度35%以上55%以下の条件下で行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 正極を構築すること、
    負極を構築すること、および
    前記正極および前記負極を用いて非水電解質二次電池を構築すること、
    を包含し、
    前記負極として、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法によって得られた負極を用いる、非水電解質二次電池の製造方法。
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