以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のオープンショーケースの主要な構成の概略を示す図である。図1に示す本実施の形態1のオープンショーケース100は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等に設置され、飲料品や食品等の物品を貯蔵陳列する開放型のオープンショーケースである。このオープンショーケース100は、冷却装置として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷凍装置を備えている。
オープンショーケース100は、ショーケース本体101と、このショーケース本体101の下方に設けられた機械室102とを備えている。ショーケース本体101内には、冷却器としての蒸発器6が収容されている。機械室102内には、低段側圧縮機1、高段側圧縮機3、補助放熱器2、高段側放熱器4等が収容されている。これらの機器が接続されることで、後述する冷媒回路が構成され、この冷媒回路の内部に充填された冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが実現される。
ショーケース本体101は、全体として箱状に構成されており、その一面には、外部空間に開放された開放面9が形成されている。本実施の形態1では、開放面9は、ショーケース本体101の前面側に設けられている。ショーケース本体101の内部には、冷却対象となる飲料品や生鮮食品等の物品を収納可能な収容空間10が形成されている。この収容空間10には、物品を陳列するための複数の陳列棚11が、上下方向に配列されて取り付けられている。また、ショーケース本体101には、開放面9の上側の縁に沿って開口する冷気吹出口12と、開放面9の下側の縁に沿って開口する冷気吸込口13とが形成されている。冷気吹出口12は、収容空間10に臨むようにして、下側に向かって開口している。冷気吸込口13は、収容空間10に臨むようにして、上側に向かって開口している。つまり、冷気吹出口12と冷気吸込口13は、開放面9の内側において、互いに向かい合うように形成されている。
ショーケース本体101内には、冷気吸込口13から冷気吹出口12に至る循環通路14が設けられている。収容空間10と循環通路14とは、隔てられている。本実施の形態1では、循環通路14は、収容空間10を囲む下側の壁面、後側の壁面、および上側の壁面に沿うように設けられている。循環通路14の途中には、蒸発器6と、冷却用送風機としての庫内ファン15とが設けられている。庫内ファン15が駆動されると、蒸発器6を通過した冷気が冷気吹出口12から下方に吹き出されて開放面9に沿って降下した後に、冷気吸込口13から吸い込まれる。これにより、ショーケース本体101の開放面9には、冷気のエアカーテンが形成される。
次に、オープンショーケース100の冷媒回路について詳細に説明する。図2は、本実施の形態1のオープンショーケース100の冷媒回路図である。図2に示すように、オープンショーケース100の冷媒回路は、低段側圧縮機1と、補助放熱器2と、高段側圧縮機3と、高段側放熱器4と、減圧装置としての膨張弁5と、冷却器としての蒸発器6とが順次接続されることにより構成されている。低段側圧縮機1は、冷媒を圧縮して吐出する。補助放熱器2は、低段側圧縮機1から吐出された冷媒と、補助放熱器2の周囲の空気とを熱交換させることにより、冷媒を放熱させる。高段側圧縮機3は、補助放熱器2で放熱された冷媒を圧縮して吐出する。高段側放熱器4は、高段側圧縮機3から吐出された冷媒と、高段側放熱器4の周囲の空気とを熱交換させることにより、冷媒を放熱させて凝縮させる。膨張弁5は、高段側放熱器4で放熱された冷媒を減圧する。蒸発器6は、膨張弁5で減圧された冷媒を蒸発させる。以下、補助放熱器2または高段側放熱器4の周囲の空気を「周囲空気」と称する。
本実施の形態1では、高段側放熱器4および補助放熱器2は、一体化された一体型放熱器7として構成されている。なお、一体型放熱器7については、その詳細な構造を後述する。一体型放熱器7の近傍には、放熱用送風機としての放熱器ファン8が設けられている。放熱器ファン8は、一体型放熱器7に周囲空気を通過させ、一体型放熱器7の伝熱管72を通過する冷媒と熱交換させた後、熱交換後の空気を一体型放熱器7外に排気させる。
図1に示すように、本実施の形態1のオープンショーケース100では、補助放熱器2および高段側放熱器4にて熱交換させる周囲空気を放熱器ファン8により吸い込むための周囲空気吸込口16が、エアカーテンが形成される開放面9と同じ側面(前面)における、開放面9の鉛直下方の領域、すなわち冷気吸込口13の鉛直下方の領域に設けられている。このような配置によれば、エアカーテンから漏れた冷気を効率良く周囲空気吸込口16から吸い込むことができ、その吸い込んだ冷気を補助放熱器2および高段側放熱器4での冷媒の放熱に利用することが可能となる。このため、オープンショーケース100の省エネルギー性が向上する。
次に、一体型放熱器7の構造について更に詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態1のオープンショーケース100が備える一体型放熱器7の構成の概略を示す図である。図3に示すように、一体型放熱器7は、平板状の複数の伝熱フィン71に伝熱管72を貫通してなるプレートフィンチューブ型熱交換器で構成されている。図3に示す一体型放熱器7では、高段側放熱器4および補助放熱器2は、伝熱フィン71を共有することによって一体化されている。このように、高段側放熱器4および補助放熱器2の伝熱フィン71が一体化されていることにより、熱交換器の構造上、製造が容易となる。ただし、補助放熱器2の伝熱フィン71と、高段側放熱器4の伝熱フィン71とを分割した構成にしても良い。補助放熱器2の伝熱フィン71と、高段側放熱器4の伝熱フィン71とを分割した構成にした場合には、熱絶縁効果が大きくなるため、補助放熱器2および高段側放熱器4の双方がより効率良く放熱可能となる。
図1に示すように、本実施の形態1では、低段側圧縮機1の吐出ガスを冷却する補助放熱器2が、高段側放熱器4に比べて、開放面9に近い位置に配置されている。このような構成により、開放面9に形成されるエアカーテンから漏れた冷気を優先的に補助放熱器2に流入させ、補助放熱器2での放熱に利用することができる。これにより、補助放熱器2の放熱量の増加が可能となる。後述するが、補助放熱器2の放熱量を増加させるほど、高段側圧縮機3の入力が低減できる。このため、上記の構成により、大きな省エネルギー効果を得られる。
また、本実施の形態1の一体型放熱器7では、高温となる低段側圧縮機1の吐出ガスを冷却する補助放熱器2を、一体型放熱器7の上方部分(鉛直上側)に配置し、高段側放熱器4を一体型放熱器7の下方部分(鉛直下側)に配置している。すなわち、補助放熱器2を高段側放熱器4の鉛直上方の領域に配置している。これにより、補助放熱器2の放熱が高段側放熱器4側に干渉することがない。すなわち、補助放熱器2で暖められた空気が高段側放熱器4側に移動することがない。このため、補助放熱器2および高段側放熱器4の双方が効率良く放熱可能となる。
本実施の形態1のオープンショーケース100では、補助放熱器2の放熱量を増加させるほど高段側圧縮機3の入力が低減できる。そのため、補助放熱器2の放熱量の増加させる手段として、補助放熱器2への散水を行うこととしてもよい。散水した水の気化熱により湿球温度までの冷却が可能となり、補助放熱器2の放熱量を増加することができる。散水する水は、蒸発器6に生じるドレン水を利用すれば補給の必要がなく、更にドレンの排水作業が不要になるという利点も得られるため、製品力を向上することができる。
本実施の形態1のオープンショーケース100では、冷媒としてCO2を用いることが好ましい。本実施の形態1のオープンショーケース100は、冷媒回路が開放されることがないため、冷媒漏れ量が小さい。このため、地球温暖化係数の高い従来のHFC系冷媒を用いても問題ない。しかしながら、地球温暖化への影響をより確実に抑制するため、地球温暖化に対する影響が小さいCO2、あるいはHFO系冷媒、HC系冷媒、アンモニア、水などを冷媒に用いることが望ましい。以下では、冷媒としてCO2を用いる場合を中心に説明する。
次に、本実施の形態1のオープンショーケース100の特徴的動作について説明する。低段側圧縮機1で圧縮されて吐出されたCO2冷媒は、一体型放熱器7内の補助放熱器2で冷却された後、高段側圧縮機3に吸入されて更に圧縮される。高段側圧縮機3で圧縮されて吐出されたCO2冷媒は、一体型放熱器7内の高段側放熱器4で放熱、凝縮された後、膨張弁5で減圧されて蒸発器6に流入する。蒸発器6に流入したCO2冷媒は蒸発し、低段側圧縮機1へ還流する。
ここで、本実施の形態1のオープンショーケース100では、低段側圧縮機1と高段側圧縮機3との容量比により、低段側圧縮機1と高段側圧縮機3との間の中間圧力(以下、「低段側高圧」とも呼ぶ)を調節する。なお、本実施の形態1では、圧縮機を駆動させるモータの回転数を制御できる運転容量可変式とするが、低段側圧縮機1と高段側圧縮機3との排除容積比により低段側高圧を調節してもよい。
図4は、エンタルピと冷媒圧力との関係を示す図である。本実施の形態1のオープンショーケース100では、周囲空気の温度およびエアカーテン風速に応じて変化する冷却負荷に対して冷凍能力(蒸発器6の熱交換量)を決定しており、その決定した冷凍能力を出力するように低段側圧縮機1により冷媒流量Grを制御している。このため、ある運転状態から高段側圧縮機3の運転回転数を上げて高段側圧縮機3の容量を増大させると、高段側吸入圧力が低下し、低段側高圧も低下するという関係がある。逆に、高段側圧縮機3の容量を低減すれば低段側高圧が上昇する。
また、図4から明らかなように、高段側圧縮機3の運転回転数を上げて低段側高圧が低下すると、高段側圧縮機3の入力は大きくなる(WH1<WH2)のに対し、低段側圧縮機1の入力は小さくなる(WL1>WL2)。
図5は、横軸を低段側高圧(中間圧力)とし、縦軸を圧縮機入力として、高段側圧縮機3の入力(エンタルピ差)と、低段側圧縮機1の入力(エンタルピ差)と、高段側圧縮機3および低段側圧縮機1の合計入力とを示したグラフである。図5に示すように、高段側圧縮機3の入力と、低段側圧縮機1の入力とが略同じになるときに合計入力が最も小さくなり、COP(Coefficient Of Performance)が最大となることがわかる。なお、本実施の形態1の場合、COPは次式で表される。
COP=冷凍能力/(高段側圧縮機3の入力+低段側圧縮機1の入力) ・・・(1)
以上のことから、本実施の形態1のオープンショーケース100では、低段側圧縮機1の圧縮比と高段側圧縮機3の圧縮比とが略同等になるときに、高段側圧縮機3および低段側圧縮機1の合計入力が最小になり、二段サイクル全体の運転効率が最適になる。そこで、本実施の形態1のオープンショーケース100では、高段側圧縮機3の圧縮比と低段側圧縮機1の圧縮比とが略同等になるような低段側高圧(以下、「最適中間圧」と称する)を目標として、高段側圧縮機3の容量制御を行うこととしている。これにより、二段サイクルによるオープンショーケース100のCOPが最大になる効果が得られる。なお、本実施の形態1では、高段側圧縮機3の容量制御を行う場合を説明するが、本発明はこれに限らず、低段側圧縮機1の圧縮比と高段側圧縮機3の圧縮比とが略同等となるように、低段側圧縮機1の容量と高段側圧縮機3の容量との容量比を調節すればよい。
ここで、高段側放熱器4にて冷媒と熱交換する周囲空気の温度により、高段側高圧が変化する。周囲空気温度が上昇すれば高段側高圧が上昇し、最適中間圧も上昇する。一方、周囲空気温度が低下すれば同様に最適中間圧が低下する。このように、周囲空気温度に伴って最適中間圧が変化する。
上述したとおり、本実施の形態1では、高段側圧縮機3の圧縮比と低段側圧縮機1の圧縮比とが略同等になるような最適中間圧を目標として高段側圧縮機3の容量制御を行う。このため、最適中間圧における冷媒の飽和温度は、周囲空気温度よりも低くなる。具体的には、例えば、収容空間10内の温度(以下、「庫内温度」と称する)を7℃とした場合、周囲空気温度が27℃のとき、最適中間圧における冷媒の飽和温度が約16℃になる。上述したように、最適中間圧は周囲空気温度に伴って変化するため、周囲空気温度よりも低い温度領域内に最適中間圧の飽和温度が位置することになる。
しかしながら、本実施の形態1では、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気を、周囲空気吸込口16から吸い込み、補助放熱器2の放熱に利用可能である。エアカーテンから漏れる冷気の温度は、庫内温度(例えば7℃)に等しいとみなせる。このため、最適中間圧における冷媒の飽和温度が例えば16℃の場合であっても、エアカーテンから漏れた冷気を補助放熱器2の放熱に利用することにより、補助放熱器2において冷媒を凝縮することが可能となる。これにより、補助放熱器2の放熱量を大幅に増加することができ、高い省エネルギー効果が得られる。
特に、本実施の形態1の冷媒であるCO2は、比熱比が大きく、圧縮機の吐出温度が高くなるため、補助放熱器2による放熱は有効であり、省エネルギー効果が大きい。さらに、CO2冷媒を用いた場合には、高段側圧縮機3の吐出温度が過上昇する可能性があるが、本実施の形態1では、補助放熱器2の放熱により、吐出温度を低下させることが可能であるため、高い信頼性を得ることができる。
<低段側凝縮温度が補助放熱器2の周囲空気温度よりも低い場合と高い場合の補助放熱器2の放熱量の違いについて>
次に、補助放熱器2の放熱量について考察する。最適中間圧を目標として高段側圧縮機3の容量制御を行う場合において、エアカーテンから漏れた冷気を補助放熱器2による放熱に利用できない場合には、最適中間圧における冷媒の飽和温度(すなわち、低段側凝縮温度)は、補助放熱器2の周囲空気温度よりも低くなる。補助放熱器2は周囲に熱を放熱する放熱器であるため、低段側圧縮機1から吐出された冷媒は、補助放熱器2で周囲空気と熱交換しても、最大でも周囲空気温度までしか温度が下がらない。また、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも低い場合と高い場合とでは、同じ吐出温度の冷媒を補助放熱器2で同じ周囲空気温度まで下げるにあたっても、その放熱量は異なったものとなる。
図6は、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも低い場合と高い場合とにおける放熱量を説明するモリエル線図である。図6(1)は、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも高い場合の放熱エンタルピ差を示し、図6(2)は、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも低い場合の放熱エンタルピ差を示している。
まず、図6(1)を参照して、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも高い場合について説明する。ここでは、低段側圧縮機1の吐出冷媒の温度(a点の温度)が例えば80℃〜90℃であり、周囲空気温度が20℃であり、低段側凝縮温度が25℃の場合を例に説明する。補助放熱器2は、周囲空気に熱を放熱する放熱器であるため、80℃〜90℃の冷媒(点a)が、補助放熱器2での周囲空気との熱交換により、まず、ガス状態のまま低段側凝縮温度である25℃(点b)まで冷却される。続いて、この冷媒は、25℃を保ちながら凝縮して液状態となる(c点)。周囲空気温度は20℃であるため、冷媒は更に放熱可能であり、液状態で20℃(点d)まで冷却される。このように、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも高い場合には、冷媒が凝縮するため、相変化を伴う冷却を行うことができ、相変化を伴わない冷却を行う場合に比べて放熱量を大きくすることができる。
次に、図6(2)を参照して、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも低い場合について説明する。ここでは、低段側圧縮機1の吐出冷媒の温度(a点の温度)が例えば80℃〜90℃であり、周囲空気温度が20℃であり、低段側凝縮温度が10℃の場合を例に説明する。この場合には、80℃〜90℃の冷媒(点a)は、補助放熱器2での周囲空気との熱交換により、最大でも周囲空気温度の20℃までしか温度が下がらない。つまり、80℃〜90℃の冷媒(点a)は、補助放熱器2でガス状態のまま20℃(点b)となる。このように、低段側凝縮温度が周囲空気温度より低い場合には、補助放熱器2では相変化を伴う冷却を行えず、相変化を伴わないガス冷却を行うことになる。すなわち、補助放熱器2はガス冷却域で使用されることになる。
ここで、図6(2)の点aから点bまでの放熱は、ガス状態での放熱であるため、同じ周囲空気温度20℃まで温度を下げるにしても、凝縮させて20℃まで下げる図6(1)の場合に比べて、補助放熱器2での放熱量を大きくすることができない。したがって、低段側凝縮温度が周囲空気温度よりも低い場合は、補助放熱器2に送風する放熱器ファン8の風量を増量したり、補助放熱器2として伝熱面積の大きな放熱器を採用したとしても、補助放熱器2の放熱量を増やすことはできず、最大でも、吐出冷媒がガス状態のまま周囲空気温度に低下するまでに放熱する放熱量となる。
以上の内容を整理すると、本実施の形態1では、エアカーテンから漏れた冷気を周囲空気吸込口16から吸い込み、補助放熱器2での放熱に利用できる。エアカーテンから漏れる冷気の温度は、最適中間圧における冷媒の飽和温度(低段側凝縮温度)より低い。このため、本実施の形態1では、補助放熱器2の周囲空気温度が低段側凝縮温度よりも低くなるので、補助放熱器2において冷媒を凝縮することが可能である。よって、補助放熱器2の放熱量を大幅に増加して、高い省エネルギー効果を得られる。なお、ここでいう補助放熱器2における冷媒の凝縮は、局部的かつ一時的な凝縮である。後述するように、補助放熱器2の冷媒流出口においては、冷媒は、飽和ガス状態になる。
<補助放熱器2の放熱量とCOPとの関係>
図7は、補助放熱器2の放熱量とCOPとの関係を説明する図である。図7においては、二段サイクルのモリエル線図を示している。図7(1)は、補助放熱器2での放熱量をQsub1にした場合を示し、図7(2)は、補助放熱器2での放熱量をQsub2(Qsub1<Qsub2)にした場合を示す。図7に示すように、冷凍能力が一定とすると、θh1<θh2となるため、補助放熱器2での放熱量をQsub2にした方が、Qsub1とした場合に比べて、高段側圧縮機3の入力(エンタルピ差)を少なくすることができる(WH1>WH2)。すなわち、高段側圧縮機3の吸入温度が低ければ同じ昇圧量でも圧縮機動力は少なくなる。このように、補助放熱器2の放熱量が小さい場合(Qsub1)に比べて、補助放熱器2の放熱量が大きい場合(Qsub2)の方が、高段側圧縮機3の入力を小さくすることができる。
本実施の形態1のオープンショーケース100では、COPは前述した式(1)で表されるため、高段側圧縮機3の入力を小さくすることにより、COPを大きくすることができる。
以上の内容を整理すると、高段側圧縮機3の圧縮比と低段側圧縮機1の圧縮比とを略同じとする運転制御によりCOPを最大とすることができ、また、補助放熱器2の放熱量を多くするほど、COPの値を大きくすることができることになる。
一方、高段側圧縮機3の液圧縮を回避するためには、補助放熱器2の冷媒流出口において冷媒が凝縮していないことが望ましい。よって、補助放熱器2の冷媒流出口において、冷媒がちょうど飽和ガスになるような放熱量にすれば、高段側圧縮機3の液圧縮を確実に回避できる範囲内で、最大限のCOPを得られる。補助放熱器2の冷媒流出口において冷媒がちょうど飽和ガス状態となるような補助放熱器2の放熱量を、以下、「所要放熱量」と称する。この所要放熱量を達成するには、例えば、放熱器ファン8の風量を制御したり、補助放熱器2自体の構造的な設計を行ったりすることになる。このように、補助放熱器2の放熱量を所要放熱量に等しくすることにより、高段側圧縮機3の液圧縮を回避しつつ、最大限のCOPを得ることができる。
ここで、高段側圧縮機3と低段側圧縮機1とにおける圧縮比を制御し、低段側凝縮温度が周囲空気温度より低くなるようにすれば、補助放熱器2における冷媒の冷却(放熱)では相変化が伴わないので、高段側圧縮機3の液圧縮を必ず回避することはできる。しかしながら、このような制御は、高段側圧縮機3と低段側圧縮機1とにおける圧縮比を略同じとする最適中間圧を目標とするものではないため、最大限のCOPは得られないこととなる。
ところで、所要放熱量は周囲空気温度によって異なる。周囲空気温度が、想定される下限温度になる条件を以下では「低周囲温度条件」と称する。本実施の形態1のオープンショーケース100では、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気が周囲空気吸込口16から吸い込まれる場合に、周囲空気温度が最も低くなると考えられる。このため、本実施の形態1では、周囲空気の下限温度は、開放面9のエアカーテンから漏れる冷気の温度である。開放面9のエアカーテンから漏れる冷気の温度は、庫内温度に等しいとみなせる。そこで、本実施の形態1では、周囲空気温度が、冷蔵用庫内温度である7℃になる条件を低周囲温度条件とする。
また、周囲空気温度が、想定される上限温度になる条件を以下では「高周囲温度条件」と称する。本実施の形態1では、JIS規格に基づく冷房の定格条件の外気温度35℃に準じて、周囲空気温度が35℃になる条件を高周囲温度条件とする。
年間を通じて高段側圧縮機3の液圧縮を回避しつつ、最大限のCOPを得るには、低周囲温度条件における所要放熱量と、高周囲温度条件における所要放熱量とを把握しておく必要がある。本実施の形態1のオープンショーケース100では、補助放熱器2の所要放熱量と、高段側放熱器4の放熱量との間には、周囲空気温度に応じた所定の放熱量比が存在する。ここで、本実施の形態1では補助放熱器2と高段側放熱器4とが一体型放熱器7で構成されているため、上記所定の放熱量比は、一体型放熱器7全体の放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合に置き換えられる。したがって、低周囲温度条件における一体型放熱器7全体の放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合と、高周囲温度条件における一体型放熱器7全体の放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合との、何れか小さい方の割合に基づいて補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することにより、年間を通じて高段側圧縮機3の液圧縮を回避しつつ、最大限のCOPを得ることが可能となる。
後述するように、一体型放熱器7の全放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合は、高周囲温度条件に比べて、低周囲温度条件の方が小さくなる。また、一体型放熱器7の全放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合は、周囲空気温度の変化に対して、増減の傾向が変化しない単調変化となる。このため、低周囲温度条件における一体型放熱器7全体の放熱量に対する補助放熱器2の所要放熱量の割合に基づいて補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することにより、年間を通じて高段側圧縮機3の液圧縮を回避しつつ、最大限のCOPが得られる。このため、高い省エネルギー性と、高い信頼性とを両立することが可能となる。
以下、本実施の形態1のオープンショーケース100の低周囲温度条件(周囲空気温度が7℃)および高周囲温度条件(周囲空気温度が35℃)のときの補助放熱器2の放熱量の割合の説明に先立って、一体型放熱器7全体の放熱量について説明する。
<一体型放熱器7の放熱量>
図8は、本発明の実施の形態1のオープンショーケース100の一体型放熱器7の放熱量を説明するモリエル線図である。一体型放熱器7の放熱量QALLは、次の(2)式に示すように、高段側放熱器4の放熱量Qchと、補助放熱器2の放熱量Qsubとを合計した量となる。
QALL=Qsub+Qch ・・・(2)
<一体型放熱器7における補助放熱器2の放熱量の割合>
補助放熱器2の放熱量Qsubを所要放熱量とすると、この所要放熱量Qsubと一体型放熱器7全体の放熱量QALLとの間には、周囲空気温度および冷媒の物性に応じて理論的に定まる関係がある。この関係について以下に説明する。以下の説明では、一体型放熱器7全体の放熱量QALL、すなわち、補助放熱器2の所要放熱量Qsubと高段側放熱器4の放熱量Qchとの合計放熱量に対する、補助放熱器2の所要放熱量Qsubの理論上の値を「理論放熱量割合」と称する。また、低周囲温度条件における理論放熱量割合を「低温時理論放熱量割合」と称し、高周囲温度条件における理論放熱量割合を「高温時理論放熱量割合」と称する。
図9は、本発明の実施の形態1のオープンショーケース100の一体型放熱器7における補助放熱器2の理論放熱量割合を説明するモリエル線図である。図9(1)は、周囲空気温度が35℃の場合を示し、図9(2)は、周囲空気温度が7℃の場合を示す。
図9(1)に示すように、周囲空気温度が35℃(高周囲温度条件)の場合には、高段側放熱器4の放熱量A1と、補助放熱器2の所要放熱量B1との比が67:33になることが冷媒の物性(本実施の形態1ではCO2冷媒の物性)に基づき、理論的に定まる。したがって、本実施の形態1では、高温時理論放熱量割合は、0.33、すなわち33%になる。
また、図9(2)に示すように、周囲空気温度が7℃(低周囲温度条件)の場合には、高段側放熱器4の放熱量A2と、補助放熱器2の所要放熱量B2との比が83:17になることが冷媒の物性(本実施の形態1ではCO2冷媒の物性)に基づき、理論的に定まる。したがって、本実施の形態1では、低温時理論放熱量割合は、0.17、すなわち17%になる。
以上のことから、本実施の形態1のオープンショーケース100をCOPが最大となる制御で運転し、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生しない範囲で補助放熱器2の放熱量を最大として高いCOPを得るためには、一体型放熱器7の全放熱量に対する補助放熱器2の放熱量の割合を、周囲空気温度が35℃の場合は33%とし、周囲空気温度が7℃の場合は17%とすれば良い。
以下の説明では、一体型放熱器7の全放熱量(すなわち、補助放熱器2の放熱量と高段側放熱器4の放熱量との合計放熱量)に対する補助放熱器2の放熱量の割合の現実の値を「現実放熱量割合」と称する。現実放熱量割合が、そのときの周囲空気温度に応じて定まる理論放熱量割合よりも大きいと、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生する可能性がある。そして、一般に、低温時理論放熱量割合は、上記のように、高温時理論放熱量割合よりも小さくなる。そこで、本実施の形態1では、オープンショーケース100が年間を通して使用されることに鑑みて、現実放熱量割合が低温時理論放熱量割合以下(本実施の形態1では17%以下)になるように、補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することが望ましい。このように構成することにより、年間を通して、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することを確実に防止することができるので、高段側圧縮機3の液圧縮を確実に回避することができる。特に、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気が周囲空気吸込口16から吸い込まれたような場合であっても、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することを確実に防止し、高段側圧縮機3の液圧縮を確実に回避することができる。このため、開放面9のエアカーテンの風速を増大させた際に、エアカーテン自身が開放面9の外側の空気を巻き込むことによってエアカーテンから冷気が漏れる事態が生じたとしても、高い信頼性を確保することができる。また、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気を、補助放熱器2での放熱に積極的に利用することが可能となるので、省エネルギー性を高めることができる。
ここで、低温時理論放熱量割合の値を記号Pで表す。本実施の形態1では、現実放熱量割合が0.8P以上になるように補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することが好ましく、現実放熱量割合が0.9P以上になるように補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することがより好ましい。このようにすることにより、COPを十分に高くすることができる。
一体型放熱器7の全放熱量に対する補助放熱器2の放熱量の割合は、周囲空気温度の変化に対して、増減の傾向は変化せず、単調増加または単調減少となる。したがって、低温時理論放熱量割合に基づいて補助放熱器2および高段側放熱器4を構成すれば、年間を通じて、補助放熱器2の冷媒流出口での液冷媒の発生が抑制されるように、理論放熱量割合に対して現実放熱量割合を十分に抑制することができる。このため、年間を通して、高段側圧縮機3の液圧縮を回避することができ、高い信頼性が得られる。
本実施の形態1のオープンショーケース100において、現実放熱量割合を上記のような割合にするための具体的な構成としては、任意の構成を採用することができる。例えば、図1に示すように、補助放熱器2と高段側放熱器4とで共通の放熱器ファン8を備えた構成とする場合において、現実放熱量割合を17%以下にする場合には、補助放熱器2の伝熱面積を、一体型放熱器7の全伝熱面積の17%以下にすれば良い。
ここで、上述した周囲空気温度の想定上限温度(35℃)および想定下限温度(7℃)は一例であり、オープンショーケース100が配置される環境に応じて適宜設定することができる。本実施の形態1では、前述したように、庫内温度に応じた温度である7℃を、周囲空気温度の想定下限温度にしている。このように、周囲空気温度の想定下限温度を、庫内温度(すなわち、収容空間10内の温度)に応じた温度にすることにより、次のような効果が得られる。すなわち、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気が周囲空気吸込口16から吸い込まれて補助放熱器2の周囲に流れる場合においても、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することをより確実に防止することができるので、高段側圧縮機3の液圧縮をより確実に回避することができる。このため、開放面9のエアカーテンの風速を増大させた際に、エアカーテン自身が開放面9の外側の空気を巻き込むことによってエアカーテンから冷気が漏れる事態が生じたとしても、極めて高い信頼性を確保することができる。また、開放面9のエアカーテンから漏れた冷気を、補助放熱器2での放熱に積極的に利用することが可能となるので、省エネルギー性を高めることができる。
本実施の形態1のオープンショーケース100で用いるCO2冷媒は超臨界冷媒となる。そのため、高段側放熱器4のエンタルピ差が小さく、また、比熱比が大きいため吐出温度が高く、補助放熱器2のエンタルピ差が大きい。よって、一体型放熱器7の全放熱量に対する補助放熱器2の放熱量の割合は、凝縮潜熱を利用する冷媒に比べて、大きいものとなる。次に、本発明において、凝縮潜熱を利用する冷媒を用いる場合について説明する。
図10は、高温時理論放熱量割合および低温時理論放熱量割合の値を冷媒毎に示す図である。図10では、CO2冷媒を用いた場合と、凝縮潜熱を利用する代表的な冷媒(プロパン、イソブタン、アンモニア、HFO1234yf、HFO1234ze、R134a、R410A、R32)を用いた場合とにおける高温時理論放熱量割合および低温時理論放熱量割合の値をそれぞれグラフで示している。なお、高周囲温度条件は周囲空気温度を35℃とし、低周囲温度条件は周囲空気温度を7℃としている。
凝縮潜熱を利用する冷媒を用いた場合には、CO2冷媒とは対照に、高段側放熱器4のエンタルピ差が大きく、補助放熱器2のエンタルピ差が小さくなる。よってCO2冷媒を用いた場合に比べて、理論放熱量割合は小さいものとなる。図10に示した凝縮潜熱を利用する冷媒の理論放熱量割合の値の中で、最小値はイソブタンを用いた場合の低温時理論放熱量割合である7.7%であり、最大値はR410AまたはR32を用いた場合の高温時理論放熱量割合である16.9%である。
以上のことから、本実施の形態1では、CO2冷媒に代えて、プロパン、イソブタン、アンモニア、HFO1234yf、HFO1234ze、R134a、R410A、R32のうちの少なくとも一つを冷媒として用いる場合には、現実放熱量割合が8%以下になるように、補助放熱器2および高段側放熱器4を構成することが望ましい。このように構成することにより、現実放熱量割合が、年間を通して、理論放熱量割合以下または理論放熱量割合にほぼ等しくなる。そのため、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することを確実に防止することができるので、高段側圧縮機3の液圧縮を確実に回避することができる。
以上説明したように、本実施の形態1によれば、年間を通じて、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することを確実に抑制し、高段側圧縮機3の液圧縮を回避することができる。このため、高い信頼性を得ることができる。また、圧縮機の発停等が抑えられ、安定した駆動を行うことができるので省エネルギー効果を得ることが可能となる。ここで、本実施の形態1では、高段側放熱器4と補助放熱器2との構成を、放熱量割合に基づいて設定するようにしたが、例えば高段側放熱器4と補助放熱器2とにおける冷媒の放熱量について、比等の関係に基づいて構成を定めるようにしてもよい。
また、地球温暖化に対する影響が小さい自然冷媒として、運転効率の低いCO2冷媒を用いたオープンショーケース100に関して、年間を通した周囲空気温度の変化、負荷変動、冷媒の特性、高段側圧縮機3と低段側圧縮機1との消費電力比率などを考慮しつつ、放熱量割合を選定するようにしたので、高段側圧縮機3の液圧縮を回避しつつ、オープンショーケース100全体の運転効率が向上する。このため、年間を通した省エネルギー効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、補助放熱器2と高段側放熱器4とを一体とした一体型放熱器7で構成することで、コンパクトなオープンショーケース100を得ることができる。さらに、補助放熱器2の放熱量を、一体型放熱器7の全放熱量に対して17%以下にするにあたり、一体型放熱器7において、補助放熱器2と高段側放熱器4とで伝熱面積を分けるように構成することにより、無駄なく一体型放熱器7を使用することができる。このため、信頼性が高く、かつ年間を通して大きな省エネルギー効果を発揮する、コンパクトなオープンショーケース100を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、現実放熱量割合が低温時理論放熱量割合以下になるように補助放熱器2および高段側放熱器4を構成しているが、このような関係が必ずしも厳密に成立していなくても良い。例えば、現実放熱量割合が低温時理論放熱量割合よりやや大きい値になるように補助放熱器2および高段側放熱器4を構成しても良い。そのような場合であっても、年間を通じて、高段側圧縮機3の液圧縮が問題とならない程度に、補助放熱器2の冷媒流出口で液冷媒が発生することを抑制することができ、高い信頼性が得られる。
次に、放熱量に対する所要な熱処理能力について説明する。本実施の形態1の一体型放熱器7において、補助放熱器2の放熱量を大きくすれば省エネルギー効果が得られるが、全放熱量に対して高段側放熱器4で所要な熱処理能力を保持させる必要がある。高段側放熱器4が十分な熱処理能力を有していない場合は、高段側高圧が高いため、補助放熱器2の割合を減らして高段側放熱器4に割り当てた方が、省エネルギー効果が大きくなる。また、高段側高圧が過上昇する場合は、信頼性を確保するため補助放熱器2を高段側放熱器4に割り当てざるを得ない。
そこで、一体型放熱器7のうち、所要な熱処理能力となる割合だけ高段側放熱器4が占め、残り全てを補助放熱器2に割り当てれば、二段サイクルにおける補助放熱器2の効果を最大限に生かすことができる。
図11は、放熱量に対する十分な熱処理能力を説明する図である。図11に示すように、一般的に、放熱量は、冷却器の熱交換量(冷凍能力)と、圧縮機入力との和に等しい。例えば、COP=2の単段サイクルのショーケースの場合、圧縮機入力が「1」に対して冷凍能力が「2」となるため、放熱量は「3」となる。よって、一般的に、放熱器の熱処理能力は冷却器の1.5倍程度で設計される。
また、一般的に、冷却器において、冷媒温度(蒸発温度)と被冷却媒体(庫内空気)との温度差を所望の温度(例えば10℃)とするため、放熱器の冷媒温度(凝縮温度)と周囲空気温度との温度差がその所望の温度(例えば10℃)となれば所要な熱処理能力を有する。このようなことから、本実施の形態1のような二段サイクルのオープンショーケース100の場合には、高段側放熱器4を流れる冷媒の温度(凝縮温度)と周囲空気温度との温度差が、蒸発器6を流れる冷媒の温度(蒸発温度)と庫内空気温度(被冷却媒体の温度)との温度差以下(例えば10℃以下)になるようにすれば、補助放熱器2の効果を含めて、確実に単段サイクルより高いCOPが得られる。
なお、熱処理能力とは、熱交換器の伝熱面積と熱通過率との積で表され、熱通過率は、主に、冷媒側の熱伝達率と空気側の熱伝達率とで決まる。一般に、低温機器用の冷却器は、着霜耐力向上の観点から、伝熱管やフィンのピッチが大きく、放熱器より熱通過率が小さいため、冷却器の伝熱面積は放熱器と比較して大きい。
実施の形態2.
次に、図12を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図12は、本実施の形態2のオープンショーケースの冷媒回路図である。図12に示すように、本実施の形態2のオープンショーケースは、冷媒回路における補助放熱器2と高段側圧縮機3との間の経路に、気液分離器としてのアキュムレータ17を備えている。本実施の形態2によれば、補助放熱器2の冷媒流出口において液冷媒が万一生じた場合であっても、アキュムレータ17により冷媒の気液分離を行い、液冷媒を分離して貯留することが可能となる。このため、高段側圧縮機3には、ガス冷媒のみを吸入させることができるため、高段側圧縮機3の液圧縮をより確実に回避可能となる。
実施の形態3.
次に、図13を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図13は、本実施の形態3のオープンショーケースの冷媒回路図である。図13に示すように、本実施の形態3のオープンショーケースは、冷媒回路における補助放熱器2と高段側圧縮機3との間の経路に、気液分離器としてのアキュムレータ17を備えている。アキュムレータ17には、気液分離により貯留した液冷媒の取出口が設けられている。液冷媒配管19の一端はアキュムレータ17の液冷媒取出口に接続され、液冷媒配管19の他端は蒸発器6の上流側に接続されている。液冷媒配管19の途中には、液冷媒配管19を通過する液冷媒の量を調節する流量調節弁18(流量調節装置)が設けられている。
本実施の形態3によれば、補助放熱器2の冷媒流出口において液冷媒が万一生じた場合であっても、アキュムレータ17により冷媒の気液分離を行い、液冷媒を分離して貯留することが可能となる。このため、高段側圧縮機3には、ガス冷媒のみを吸入させることができるため、高段側圧縮機3の液圧縮をより確実に回避可能となる。また、アキュムレータ17内に溜まった液冷媒を、液冷媒配管19を通して、流量調節弁18により流量調節および減圧等を行った上で、蒸発器6の上流側へ流し、高段側放熱器4および膨張弁5を通過した冷媒と合流させることができる。このような構成により、アキュムレータ17内の中間圧冷媒を、圧縮、凝縮等の過程を経ずに、蒸発器6に直接導くことができるため、高段側圧縮機3の入力を低減することができ、省エネルギー効果も得ることができる。
実施の形態4.
次に、図14を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図14は、本発明の実施の形態4のオープンショーケースの主要な構成の概略を示す図である。図14に示すように、本実施の形態2のオープンショーケース200は、放熱用送風機として、補助放熱器2に送風する補助放熱器ファン81と、高段側放熱器4に送風する高段側放熱器ファン82とを備えている。これにより、補助放熱器2への送風量と、高段側放熱器4への送風量とを個別に調整することができる。さらに、本実施の形態2のオープンショーケース200は、周囲空気吸込口16から取り込まれる周囲空気の温度を検出する周囲空気温度センサ83(周囲空気温度検出手段)と、制御部50(制御手段)とを備えている。
実施の形態1で説明したように、理論放熱量割合は、周囲空気温度に応じて、変化する。制御部50には、周囲空気温度と理論放熱量割合との関係が、マップまたは数式として予め記憶されている。制御部50は、その記憶された関係に、周囲空気温度センサ83により検出された周囲空気温度を当てはめることにより、現在の周囲空気温度に応じた、現在の理論放熱量割合を算出する。そして、制御部50は、そのようにして求めた理論放熱量割合に基づいて、補助放熱器ファン81および高段側放熱器ファン82を駆動することにより、補助放熱器2への送風量と、高段側放熱器4への送風量とを制御する。例えば、制御部50は、補助放熱器2の実際の放熱量と高段側放熱器4の実際の放熱量との合計放熱量に対する補助放熱器2の実際の放熱量の割合(すなわち、現実放熱量割合)が、理論放熱量割合に一致あるいは近くなるように、補助放熱器2への送風量と、高段側放熱器4への送風量とを制御する。例えば、実施の形態1と同様にCO2冷媒を用いる場合においては、制御部50は、周囲空気温度が7℃の場合には、現実放熱量割合が、低温時理論放熱量割合である17%に一致あるいは近くなるように、補助放熱器2への送風量と、高段側放熱器4への送風量とを制御する。そして、制御部50は、周囲空気温度が35℃の場合には、現実放熱量割合が、高温時理論放熱量割合である35%に一致あるいは近くなるように、補助放熱器2への送風量と、高段側放熱器4への送風量とを制御する。
本実施の形態3によれば、周囲空気温度の変化にかかわらず、年間を通して、現実放熱量割合が理論放熱量割合に一致あるいは近くなるように制御することができる。このため、年間を通して、補助放熱器2の冷媒流出口に液冷媒が発生しない範囲において補助放熱器2の放熱量を最大化することができる。よって、年間を通して、高段側圧縮機3の液圧縮を確実に回避しつつ、COPをさらに高くすることができる。