JP5795861B2 - 排水筒 - Google Patents
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Description
それらの技術の中で、円筒を地中に設置した状態でその上半分を有孔構造に、下半分を無孔構造に構成した排水筒が知られており、本件出願人もすでに開発を行った。
(1) 有孔部を、設置した状態でその上半分だけに設けたものであるため、有孔部の水抜孔から集水すれば、下半分から周囲に水が漏れ出してしまうことがなく、前周囲に有孔部を形成した排水筒に比較して排水性が極めて良好であることが明らかであった。
(2) しかし、本願発明者は、さらに集水効率のよい排水筒の開発を目指していた。集水効率を上げるためには、有孔部の水抜孔の寸法を広げればよいのであるが、孔の寸法を大きくしたり、孔の数を増やすと排水筒としての強度が低下する。
(3) 排水筒は、先行して削孔した孔の内部に挿入するものであるが、実際には孔壁が崩れている場合もあり、その際には排水筒を土砂の中に叩き込むような作業も要求される。
(4) そのために、孔の面積を拡大したり、増設する構造では、地中へ叩き込むような乱雑な作業に耐えることができない排水筒となり、作業中に有孔部が簡単に破損する構造になってしまい、本末転倒であることが分かった。
(5) 以上は地下水を排水する場合の問題であったが、地表面の水を排水する場合、あるいは構造物の屋根の水を排水する場合にも、強度が要求されるから、同様の問題が考えられる。
(1) 上部の有孔構造の排水筒の管本体の周面に無孔部を、管本体の長手方向に沿って連続して形成したことで、無孔部からの水の抜け出しを防止することができる。そのために抜け出した水が再度地中に浸透してしまうといった現象の発生を阻止でき、排水効果に優れ、土砂崩落、擁壁崩落を効率よく防止することができる。
(2) 無孔底半筒の上から有孔半筒を被せた場合に、有孔半筒の中心軸に平行な端縁が無孔底半筒の内部に落ち込むような半径として構成してある。そのために、有孔半筒の端縁と無孔底半筒の内側面との間に側面溝が生じる。その結果、有孔半筒の通水孔の開口部だけでなく、有孔半筒の両側の端縁に生じる側面溝から水を効率よく導入することができる。
(3) 特にこの側面溝は、点溶接部分を除いて有孔半筒の全長にわたって形成できるから、個別の水抜き孔の数倍の面積を開口することができ、地下水を導入することができ、きわめて大きい集水効率を達成できるものである。
(4) さらにこの側面溝を設けても、有孔半筒の水抜き孔の面積を拡大する場合と異なって、有孔半筒の強度を低下させることがないから、排水筒を地中に叩き込むような乱雑な作業にも耐えることができる。
(5) 殊に、春になって大量の雪が溶け出すような地域においては、本発明の鋼管を使用することで、簡易な手法で大量の地中水を排水できるので土砂崩壊の被害を未然に防止することができ、人命や経済的損失を最小限に食い止めることができる。
(6) 地中に存在する過剰な余剰水を排出することで耐震化、免震作用を高めるものとなる。
(7) 排水筒の1本は長尺に形成し得ないような場合でも、ジョイント管を使用することで、複数本を順次接続して長尺な排水筒を形成することができる。このため、現場の必要長を簡単に確保することが可能である。
(8) 以上の効果は地下水を排水する場合の効果であったが、地表面の水を排水する場合、あるいは構造物の屋根の水を排水する場合にも同様の効果を期待することができる。
本発明の排水筒は、無孔底半筒1と有孔半筒2と、さらに場合によっては無孔蓋半筒4とより構成するものである。
無孔底半筒1は、円筒状の無孔の鋼管を、中心軸に平行な線で切断した「樋」状の半筒である。
この無孔底半筒1が、排水筒の下半分を構成するものであり、無孔であるから下半分から水が漏出してしまうことがない。
有孔半筒2は、有孔の板を断面半円状態に形成した状態の半筒である。
有孔の板とは、例えばエキスパンドメタル、金網、孔を打ち抜いた鋼板、多数の孔を開口した合成樹脂板などである。
これらの孔が、地下水を排水筒に導入する水抜孔22として機能する。
有孔半筒2はそのような有孔板を、断面がほぼ半円である「樋」状に形成したものであり、有孔半筒2の両側には、中心軸と平行方向に形成した端縁21が形成できる。
なお、断面は半円形に限らず、中心を高くした二つ折の山形に形成しても使用することができる。
有孔半筒2の半径と、前記の無孔底半筒1との間には一定の関係がある。
すなわち、無孔底半筒1の半径は、有孔半筒2の半径よりも大きく形成しておく。
すると、上向きの無孔底半筒1に、下向きの有孔半筒2を被せた場合に、有孔半筒2の中心軸に平行な有孔半筒2の端縁が、無孔底半筒1の内部に落ち込むことになる。
有孔半筒2の中心軸と平行の端縁21が、無孔底半筒1の内部に落ち込むことによって、有孔半筒2の端縁21と、無孔底半筒1の内面との間に多少の隙間ができる。 この隙間を側面溝3として構成する。
この側面溝3は、有孔半筒2の端縁21と無孔底半筒1の接触する全延長に構成することができるので、そこからの水の導入が容易となる。
有孔半筒2を無孔底半筒1の内部に落とし込んだのちに、数か所の溶接部12で溶接して両者を一体化する。
無孔底半筒1の全長にわたって有孔半筒2を落とし込み、その中心軸と平行方向の端縁21によって全長のわたる側面溝3を構成することができる。
しかし強度の確保が必要な場合には、無孔蓋半筒4を使用する。
この無孔蓋半筒4は、円筒状の無孔の鋼管を、中心軸に平行な線で切断した状態の半筒であり、無孔底半筒1の長さよりも短いものを使用する。
この無孔蓋半筒4の凹部を下向きにして、凹部を上向きにした無孔底半筒1に被せた場合には、無孔蓋半筒4の中心軸に平行な端縁41と、無孔底半筒1の中心軸に平行な端縁11の位置は一致して、完全な円筒を形成することができる。
この無孔蓋半筒4を、無孔底半筒1の全長にわたって被せてしまっては、単なる円筒を形成するだけであるから、あくまで補強のために一部に被せるだけであり、基本は広い範囲にわたって有孔半筒2を位置させることである。
次に本発明の排水筒の実際の使用状態について説明する。
事前に斜面に対して削孔を行い、その孔内へ本願発明の排水筒を挿入し、その尾端だけを斜面の外部に露出させる。
本願発明の排水筒は動力を利用して水抜きを行うものではないから、設置に際しては排水筒が孔外に向けて徐々に低くなる状態で設置して地下水の自然流下を行わせる。
排水筒の挿入に際して、削孔後に壁面の土砂の多少の崩落があっても、本願発明の排水筒は水抜孔22が過剰に開口しておらず、その分を側面溝3で補充する構造であるから、叩き込むような乱雑な作業を行っても有孔半筒2が破損するようなことがなく、水抜孔22の存在が弱点にならない。
排水筒の挿入に際しては、有孔半筒2が削孔の上側に、無孔底半筒1が削孔の下側に位置する姿勢で行う。
地下水は2種類の開口部から導入する。
一つは、排水筒の上半分に位置する有孔半筒2に多数を開口した水抜孔22からである。
他の一つは、有孔半筒2の中心軸と平行な端縁21と、無孔底半筒1の内面との間に形成した側面溝3である。
特に側面溝3は、無孔底半筒1の中心軸と平行な端縁21のほぼ全長に沿って形成することができるから、きわめて効率よく大量の地下水を導入することができる。
排水筒に導入した水は、排水筒の下半分が無孔底半筒1であることから、途中で地下層へ漏出してしまうことがなく、全部の量を効率よく排水筒の尾端部から外部へ排出することができる。
以上は本願発明の排水筒を地下水の排水に使用した場合の機能の説明であった。
同様の機能は、本発明の排水筒を地表面に設置して地表面の水を排水する場合、あるいは構造物の屋根に樋として設置してその水を排水する場合にも同様の機能を果たすことができる。
その場合に、地表面の塵埃や、屋根に蓄積した落ち葉が排水筒の無孔底半筒1の内部に入りにくいから、排水機能を低下させ難いということができる。
2:有孔半筒
3:側面溝
4:無孔蓋半筒
Claims (1)
- 少なくとも無孔底半筒と有孔半筒と無孔蓋半筒とを溶接して構成し、
無孔底半筒と無孔蓋半筒は円筒状の無孔の鋼管を、中心軸に平行な線で切断した状態の半筒であり、
有孔半筒は、有孔の板を断面半円状態に形成した状態の半筒であり、
無孔底半筒の半径は、有孔半筒の半径よりも大きく形成し、
上向きの無孔底半筒に、下向きの有孔半筒を被せた場合に、
有孔半筒の中心軸に平行な端縁が、無孔底半筒の内部に落ち込む程度の半径であり、
下向きの有孔半筒の端縁が、上向きの無孔底半筒の内部に落ち込むことで、両者間の隙間を側面溝として形成し、
上向きの無孔底半筒に、下向きの無孔蓋半筒を被せた場合に、
上向きの無孔底半筒の中心軸に平行な端縁と、下向きの無孔蓋半筒の中心軸に平行な端縁が一致する半径であるように構成した、
排水筒。
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