JP5795693B2 - 晶癖を有する結晶及び該結晶を有効成分として含有する医薬組成物 - Google Patents

晶癖を有する結晶及び該結晶を有効成分として含有する医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、医薬組成物原体として有用なルリコナゾールの晶癖を有する結晶、及び、該結晶を原体とする医薬組成物に関する。
ルリコナゾールは、真菌に対する作用に優れる抗真菌剤であり、現在足白癬、体部白癬に対する医薬として広く使われ、爪白癬に対する作用にも応用されようとしている。ルリコナゾールの製剤には、SE体あるいはZ体等への立体異性化、塗布直後における結晶析出などが解決されるべき問題として知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3,特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)。前記塗布直後の結晶析出問題の裏には、ルリコナゾールの持っている溶解特性の問題が存し、多くの製剤化研究が為されているが、製剤系の長期保存時の結晶析出の問題で製剤の候補から脱落した処方が少なくない。系における結晶析出は有効濃度にかかわる話であるので重要な問題の一つといえる。
又、ルリコナゾールは、抗真菌作用の強さから、白癬菌にとどまらず、肺炎や膣炎への応用も期待される。特に、これらの疾患に対しては、共存する蓋然性の高いトリコモナスに対しても抗原虫効果を、また、クラミジアにも抗する効果を奏するために、他の抗真菌剤に比してその応用の広がりが期待されていると言える。これらの内、膣炎の治療では膣錠又は膣坐剤としての使用が想定されるが、膣錠においては、ルリコナゾールの水性担体への配合性が極めて低いため、この配合性を向上させる手段の開発が大きな課題となる。
他方、ルリコナゾールの結晶については、酢酸エチルとn−ヘキサンの混液から再結晶することによって得られることは知られている(特許文献7を参照)。ルリコナゾールの結晶形への検討もなされている(例えば、特許文献8を参照)。
国際公開第2007/102241号パンフレット 国際公開第2007/102242号パンフレット 国際公開第2007/102243号パンフレット 国際公開第2009/031642号パンフレット 国際公開第2009/031643号パンフレット 国際公開第2009/031644号パンフレット 特開平9−100279号公報 中国特許出願公開第103012385号明細書
更に、本発明者のこれまでの検討において、ルリコナゾールの結晶系は単斜晶であるものの、条件により特異的な成長をする面が多く存在し、(11−1)面を特異的結晶成長面とする晶癖、(021)面を特異的結晶成長面とする晶癖、(011)面を特異的結晶成長面とする晶癖等、種々の晶癖の異なる結晶が存することを見出している。これらの晶癖違いの結晶はそれぞれに物理的特性が異なるため、その適用に合わせて晶癖を選択することにより、同じ成分でありながら、使用勝手の良い医薬組成物を製造できることも見出している。異なる晶癖の発見により、製剤化工程の改善、最終製品の品質向上等、その医薬組成物への応用範囲が広がるので、新たな晶癖の発見が望まれている。
本発明は、このような状況下為されたものであり、ルリコナゾールにおいて新たな晶癖を有する結晶を提供し、医薬品への応用可能性を広げることを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、ルリコナゾールの医薬品への応用可能性を広げるべく、新たな晶癖を有する結晶を求め、鋭意研究努力を重ねた。その結果、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖を有する結晶を見出し、かかる晶癖が、(11−1)面が特異的結晶成長面であるような、他の既知の晶癖に比して、極性成分との親和性が高いこと等を推定するに至り、発明を完成させるに至った。即ち、本発明の要旨は以下に示すとおりである。
<1>ルリコナゾールの結晶であって、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖を有する結晶。
Figure 0005795693
<2>CuKαを線源とする粉末X線回折測定の2θ=5〜35°の範囲に検出される回折ピークにおいて、(001)面、(100)面、(10−1)面、(011)面、(110)面、(11−1)面、(10−2)面、(11−2)面、(020)面、(021)面、(20−2)面、(121)面、(013)面、(11−3)面、(221)面に相当する回折ピークのピーク強度をそれぞれI(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)、I(221)としたときに、
I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)におけるI(020)が、ピーク強度が
高い順から1位又は2位であり、且つ、
I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)、及びI(221)の総和に対するI(020)が20%
以上である、<1>に記載の結晶。
<3>前記結晶は、単斜晶である、<1>又は<2>に記載の結晶。
<4>前記結晶は、水を含んでいてもよいアルコールから再結晶されたものである、<1>〜<3>の何れかに記載の結晶。
<5>特異的結晶成長面に硫黄原子を配してなる、晶癖を有するルリコナゾールの結晶。
<6><1>〜<5>の何れかに記載の結晶を含む、医薬用原体。
<7><1>〜<5>の何れかに記載の結晶又は<6>に記載の医薬用原体を製剤成分とともに含有してなる、医薬組成物。
<8>前記医薬組成物は、固体を直接患部に投与すべきものである、<7>に記載の医薬組成物。
<9>前記医薬組成物は、膣錠である、<7>又は<8>に記載の医薬組成物。
<10>製剤成分として、糖類を含有する、<7>〜<9>の何れかに記載の医薬組成物。
<11>前記糖類は、乳糖である、<10>に記載の医薬組成物。
<12><1>〜<5>の何れかに記載の結晶又は<6>に記載の医薬用原体を、極性溶媒に溶解する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
<13><12>に記載の製造方法により製造された、医薬組成物。
本発明によれば、ルリコナゾールにおいて新たな晶癖を有する結晶を提供し、医薬品への応用可能性を広げることができる。
図1は、本発明及び比較例の結晶の粉末X線回折測定の結果を示す図である。
(1)本発明のルリコナゾールの結晶
本発明のルリコナゾールの結晶は、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖を有することを特徴とする。この様な晶癖を有する結晶は、ルリコナゾールをメタノールなどの低級アルコールに加熱下溶解せしめ(溶解温度60〜70℃)、貧溶媒を加えたのち、急激な攪拌を加えながら冷却し、結晶を析出せしめ、結晶を濾別し、30〜40℃の低温で送風乾燥することにより、調製することが出来る。結晶析出に際しては種結晶を添加することもできる。壁面の擦過等の溶液への衝撃の付加も結晶化には好適である。ここで、加える貧溶媒の量は、低級アルコールに対して、10〜60%の容量であることが好ましい。貧溶媒の量が多くても、少なくても(020)面が特異的結晶成長面とならない場合が存するからである。又、低級アルコールとしては、炭素数1〜4のアルコール、すなわち、メタノール、エタノール、1−プロパノール(プロピルアルコール)、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール(n−ブチルアルコール)、2−ブタノール(sec-ブチルアルコール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2-メチル−2−プロパノール(tert-ブチルアルコール)が好ましく、メタノールのほか、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどが好適に例示でき、適宜、これらを混合したり、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテルを添加して、溶解度を調節することも出来る。
再結晶としては、含水アルコールで再結晶してもよいし、貧溶媒を用いてもよい。貧溶媒を用いるとは、すなわち、ルリコナゾールのアルコール溶液に、析出に十分な量の水を加えることを意味する。
再結晶化は、通常の再結晶化手法に従って行うことができる。
ルリコナゾールの結晶においては、結晶の製造工程、例えば、再結晶溶媒と再結晶方法の違いにより、種々の特性の異なる結晶が得られることを本発明者らは把握している。また、前記特許文献8のような結晶形に関して記載した文献も存在する。この原因を探るために本発明者らは、再結晶溶媒と再結晶方法とを変えて再結晶を行い、CuKαを線源とする粉末X線回折測定を行った。これらの内で、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖を有する、結晶の粉末X線回折パターンを図に示すが、特徴的なピークの2θの値は、21.7°付近であることを認めた。これまでの発明者等による、ルリコナゾール結晶の検討においては、この位置にピークが存在することは認めているが、このピークが特異的に大きく現れることはなく、新規の晶癖と判断した。
ここで、結晶の特異的成長面とは、他の面に比して成長しやすい面を意味し、粉末X線回折測定を行った場合、測定回折角範囲内において他の回折ピークのピーク強度の総和に
比較して有意にピーク強度が大きいピークに帰属する面である。結晶の特異的成長面は、例えば、結晶の粉末X線回折測定における特異的に回折ピークのピーク強度が高いピークとして検出することができる。
ここで、2θの値が21.7°付近とは、例えば21.7°±0.7°、好ましくは21.7°±0.5°の範囲である。
2θの値で21.7°付近のピークが特異的に大きいとは、「(001)面、(100)面、(10−1)面、(011)面、(110)面、(11−1)面、(10−2)面、(11−2)面、(020)面、(021)面、(20−2)面、(121)面、(013)面、(11−3)面、(221)面に相当する回折ピークのピーク強度をそれぞれI(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)、I(221)としたときに、
I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)におけるI(020)が、ピーク強度が
高い順から1位又は2位であり、且つ、I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)の総和に対するI(020)が1/5以上」であることを意味する。言い換えれば、「I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)におけるI(020)が、ピーク強度が高い順から1位又は2位であり、且つ、I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)の総
和に対するI(020)が20%以上である」であることを意味する。後記実施例における結晶の効果を参照しての数字である。
この様な晶癖を有する結晶の調製に使用されるルリコナゾールは、その純度が90%以上、より好ましくは95%以上であれば、その晶系にかかわらず、用いることが出来る。かかるルリコナゾールは、例えば、特開昭60−218387号に記載されている方法に従って合成することができる。即ち、1−シアノメチルイミダゾールと2硫化炭素とを反応させ、(III)の化合物を得、これと脱離基を有する一般式(II)の化合物と反応させることにより、かかる一般式(1)に表される化合物を得ることができる。この一般式(1)に表される化合物の内、R=X=Clに相当するものがルリコナゾールである。かかる脱離基Y及びY’としては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はハロゲン原子等が好適に例示できる。R及びXは、水素原子又はハロゲン原子を表す。
Figure 0005795693
(2)本発明の医薬用原体
本発明の医薬用原体は、ルリコナゾールの結晶以外に、医薬用原体として許容される範囲内の物質、不純物、類縁体を含有することができるが、実質的にルリコナゾールの結晶からなる形態が特に好ましい。
本発明の結晶である、(020)面に晶癖を有する結晶は、アルコールなどの極性溶媒に対する溶解性に優れると推定される。そのメカニズムとしては、結晶の溶媒との接触面に塩素原子などの極性溶媒と親和性の高い分子が配されているためであると考えられる。また、後記に示す如く、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖の結晶においては、硫黄原子がこの面に配置されており、この硫黄原子が活性点となる反応に対しては、固体状態でも反応に寄与する可能性がある。その意味で他の晶癖とは生理作用も異なる場合が存すると考えられる。このような反応としては、例えば、チオールの付加反応などが想定され、システインが重要な反応性分子となっているトリコモナスなどにおいては、それに対する効果は晶癖によって異なる可能性があるものと本発明者は考えている。また、このような特異的な表面性質は他の製剤成分とも相互作用を及ぼし、糖類、とりわけ乳糖と相互作用を持ち、錠剤に加工した場合に高い硬度の錠剤が得られる。このような性質は、発泡錠が想定される膣錠においては、酸性成分と塩基性成分の隔離能に優れた、安定性の高い膣錠を提供することを意味する。製剤成分の糖としては、乳糖以外に、ブドウ糖、ショ糖などが好適に例示できる。これらは二種以上を組み合わせて用いることもできる。
製剤におけるルリコナゾールの含有量、処理条件等にもよるが、例えばルリコナゾールの含有量が製剤全量に対して0.1〜30質量%である製剤を調整する際の溶解工程において、ルリコナゾールの(020)面を特異成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の極性溶媒への溶解工程に要する時間は、溶解条件等により異なるが、おおよそ(11−1)面を特異的な成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の溶解工程に要する時間の70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり得る。
製剤におけるルリコナゾールの含有量、処理条件等にもよるが、例えばルリコナゾールの含有量が製剤全量に対して0.1〜30質量%である製剤において、ルリコナゾールの(020)面を特異成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の病原体の抑制効果(抑制率)は、どのように抑制効果を測定するか等により差異が生じるが、おおよそ(11−1)面を特異的な成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の病原体の抑制効果の1.
2倍以上、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり得る。
製剤におけるルリコナゾールの含有量、処理条件等にもよるが、例えばルリコナゾールの含有量が製剤全量に対して0.1〜30質量%である製剤において、ルリコナゾールの(020)面を特異成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の硬度は、打錠条件等により数値は変動するが、おおよそ(11−1)面を特異的な成長面とする晶癖を有する結晶を用いた場合の硬度の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上であり得る。
<粉末X線回折パターンにおける21.7°付近のピーク>
本発明の結晶は、粉末X線回折パターンにおける2θの値で21.7°付近のピークにより特徴付けられる。その単結晶X線回折データより、粉末X線回折パターンにおける2θの値で21.7°のピークを理論的に計算したところ、(020)面を表す。この面においては、2つの硫黄原子が配されている。これに対して、従来、知られている結晶である、n−ヘキサン・酢酸エチルから再結晶される結晶においては、(11−1)面を特異的な成長面とする晶癖を有する結晶であることを発明者は確認しており、この面においてはフェニル基が配されている。この面は、粉末X線回折測定における2θの値で16°付近のピークに示される面である。
(3)本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、前記本発明の結晶又は本発明の医薬用原体を含有することを特徴とする。かかる結晶は極性溶媒への溶解性に優れると推定される。
本発明の医薬組成物の製造方法は、本発明の結晶又は本発明の医薬用原体を含有すること以外は、従来のルリコナゾールを含有する医薬組成物の製造方法と同様に製造することができる。本発明の結晶又は本発明の医薬用原体は、極性溶媒への溶解性に優れ、アルコール等の極性溶媒への溶解性に優れると推定されるため、極性溶媒への溶解工程をその製造工程に含む製剤は好ましい。
本発明の医薬組成物の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、外用剤、坐剤、経皮吸収剤等による非経口投与のいずれでもよい。
その剤型も限定されず、液状、固形状、乳液状、ペースト状、ゲル状、パウダー状(粉
末状)、顆粒状、ペレット状、スティック状等の各種剤型が挙げられる。
外用製剤として用いる場合、例えばクリーム剤、液剤、ローション剤、乳剤、チンキ剤、軟膏剤、水性ゲル剤、油性ゲル剤、エアゾール剤、パウダー剤、シャンプー、石鹸、爪塗布用エナメル剤、膣用錠剤(膣錠)、膣用坐剤などの外用製剤等とすることができる。
ルリコナゾールの好ましい含有量は、製剤全量に対して0.1〜50質量%であり、0.5〜15質量%がより好ましい。
本発明の製剤には、(020)面を特異的結晶成長面とする晶癖を有するルリコナゾール結晶以外に、溶剤、着色剤、抗酸化剤、キレート剤、乳化・分散剤、可溶化剤、崩壊剤、賦形剤、結合剤、被覆剤、矯味矯臭剤等を適宜加えて、常法に従って処理することにより製造できる。特に好ましい成分としては、前述のとおり、ブドウ糖、ショ糖、乳糖などの糖類が好ましく例示でき、これらの成分の好ましい含有量は、製剤全量に対して、10〜90質量%であり、30〜60質量%がより好ましい。
本発明の医薬組成物は、ルリコナゾールの特性を利用し、真菌による疾病の治療又は悪化の予防に用いることが好ましい。真菌による疾病としては、水虫のような足部白癬症、カンジダ、デンプウのような体部白癬症、爪白癬のようなハードケラチン部分の白癬症が例示でき、その効果が顕著なことから、爪白癬のようなハードケラチン部分の処置に用いることが特に好ましい。本発明の医薬組成物の効果は爪に特に好適に発現されるが、通常
の皮膚真菌症にも及ぶので、本発明の構成を充足する皮膚真菌症に対する医薬組成物も本発明の技術的範囲に属する。この様な皮膚真菌症としては、足白癬症や足白癬症の内、かかとなどに現れる角質増殖型の白癬症などが例示できる。上記皮膚真菌症においては、通常の薬剤が効果を奏しにくい角質増殖型の白癬症への適用が本発明の効果が著しく現れるので好ましい。
また、カンジダ等の真菌、トリコモナス等の原虫、クラミジア等の細胞内寄生体による膣炎、肺炎用への適用、外陰唇への経皮投与、膣内投与、経口投与、注射による投与なども好適に例示でき、これらのカンジダ、トリコモナス、クラミジア等に対する投与では外陰唇への投与が特に好適に例示できる。これらの内、本発明の医薬用原体が固体状態においても反応性を有していることから、例えば、発泡性の膣錠等のような固体として患部に投与される製剤に応用することが好ましい。
その使用態様は、患者の体重、年令、性別、症状等を考慮して適宜選択できるが、通常成人の場合、ルリコナゾールを1日当たり0.01〜5g投与するのが好ましい。また、真菌による疾病に通常使用されているルリコナゾールの使用量を参考にすることができる。クラミジア、トリコモナスなどの場合もこれに準ずる。
例えば外用剤であれば、一日に一回又は数回、疾病の箇所に適量を塗布することが例示でき、かかる処置は連日行われることが好ましい。また、内服剤であれば500mg〜2000mgを1日1回乃至数回投与することが好ましい。膣錠であれば、ルリコナゾールの量が500〜1500mgになるように調整し、1日乃至は数日に1回膣内に投与することが好ましい。ルリコナゾールの膣投与においては、トリコモナスのような原虫とカンジダのような真菌を同時に処置できるので好ましい。特に複合感染の場合には1剤で処置できるので好適である。又、トリコモナスの単純感染による膣炎の場合には、治療と共に、カンジダなどの真菌感染を予防的に防ぐことが出来るので好ましい。
本発明の医薬組成物を、症状鎮静後1〜2週間投与することにより、この様な再発や再感染を防ぐことができる。この様な形態で本発明の医薬組成物は予防効果を奏する。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加える。
<実施例1>
10gのルリコナゾールに150mLのメタノールを加え、60℃で加温し、攪拌下溶解させた。これに70℃に加温した水50mLを加え、攪拌混合したのち、5℃の冷却水で攪拌しながら、結晶を析出させ、濾取し、40℃で48時間送風乾燥し、6.4gの結晶を得た。このものを粉末X線回折測定したところ(RAD−A;Rigaku製、条件:X線源:CuKα、測定温度:室温、管電圧:40kV、管電流:20mA、2θ:5
〜35°、ステップ角:0.05°)、下記のようなピーク特性結果が判明した。また、粉末X線回折測定の結果を図1に示す。このものは本発明のルリコナゾール結晶であることがわかる。尚、面の同定は、単結晶X線構造解析(装置機種名:RU−H2R、製造会社名:リガク、条件:X線源:CuKα、測定温度:26℃、管電圧:50kV、管電流:180mA、2θmax:150.0°構造解析法:直接法(SHELX86))のデ
ータと照らし合わせて行った。単結晶X線構造解析の諸データは次に示す。
なお、ピーク強度比は、(001)面、(100)面、(10−1)面、(011)面、(110)面、(11−1)面、(10−2)面、(11−2)面、(020)面、(021)面、(20−2)面、(121)面、(013)面、(11−3)面、(221)面に相当する回折ピークのピーク強度の総和に対する比率である。以下についても同様である。
結晶系:単斜晶
空間群:P21
格子定数
a=9.0171(9)Å
b=8.167(1)Å
c=10.878(1)Å
β=95.917(9)°
R因子
R=0.046
Rw=0.047
Figure 0005795693
<実施例2>
再結晶の溶媒をメタノール100mL、水100mLに変え、実施例1と同様に操作して、7.1gの結晶を得た。このものの粉末X線回折測定における主なピークは次の表2に示す。また、粉末X線回折測定の結果を図1に示す。
Figure 0005795693
<比較例1>
10gのルリコナゾールに200mLの酢酸エチル・n−ヘキサン混液(5:1)を加え、60℃で加温し、攪拌下溶解させた。5℃の冷却水で攪拌しながら、結晶を析出させ、濾取し、40℃で48時間送風乾燥し、5gの結晶を得た。このものを粉末X線回折測定したところ(XRD‐DSCII;Rigaku製、条件:X線源:CuKα、測定温度:室温、管電圧:40kV、管電流:40mA、2θ:5〜35°、ステップ角:0.
05°)、下記のようなピーク特性結果が判明した。また、粉末X線回折測定の結果を図1に示す。このものは(11−1)面を特異的結晶成長面としており、本発明のルリコナゾール結晶ではないことがわかる。尚、面の同定は、実施例1と同様に行った。
Figure 0005795693
<実施例3>
Trichomonas Vaginalis(トリコモナス・ヴァージナリス;臨床分離株)を用いて、ルリコナゾールの直接効果を調べた。即ち、「トリコモナス培地F」(富士製薬製)にn−ヘキサンと酢酸エチルから再結晶した比較例1のルリコナゾール5.08mgを入れたものと、実施例2の結晶5.08mgを入れたものと、水5μLを入れたもの(対照)を用意し、これに3.93×105個/mLのトリコモナス・ヴァージ
ナリスの培養液200mLを加え、37℃で4日間培養し、血球計数板上でトリコモナスの個数を計数した。結果を表3に示す。これら3つのサンプル間には、危険率1%以下で有意差が認められた。これより、本発明の結晶は固体反応性に優れることがわかる。
Figure 0005795693
<実施例4>
下記表5に示す処方に従って、錠剤を作製し、硬度を計測した。硬度計はPTB311(Pharma Test GmbH製)を用いた。打錠条件は、9mmφの臼と杵を用いて打錠圧1ton/cm2で行った。比較例はn−ヘキサン・酢酸エチルで再結晶して
得られた結晶(比較例1)を用いて、同様に作業して行った。6個の平均を表6に示す。これより、本発明の結晶は硬度が高く、酸性成分と塩基性成分とを厳格に隔離できることがわかる。
Figure 0005795693
Figure 0005795693
<実施例5>
各結晶を20mgとり、これにエタノールを2ml加え、30℃で2時間静置して保存し、溶状を目視で確認した。結果を表7に示す。これより、本発明の結晶は極性溶媒に溶解しやすいことがわかる。
Figure 0005795693
本発明は医薬品に応用できる。

Claims (2)

  1. 水を含んでもよいメタノールを再結晶溶媒とし、ルリコナゾールを該再結晶溶媒に溶解し、得られた溶液を攪拌しながら再結晶させる工程を含む、ルリコナゾールの結晶の製造方法
    Figure 0005795693
  2. 前記結晶は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定の2θ=5〜35°の範囲に検出される回折ピークにおいて、(001)面、(100)面、(10−1)面、(011)面、(110)面、(11−1)面、(10−2)面、(11−2)面、(020)面、(021)面、(20−2)面、(121)面、(013)面、(11−3)面、(221)面に相当する回折ピークのピーク強度をそれぞれI(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)、I(221)としたときに、
    I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)及びI(221)におけるI(020)が、ピーク強度が高い順から1位又は2位であり、且つ、
    I(001)、I(100)、I(10-1)、I(011)、I(110)、I(11-1)、I(10-2)、I(11-2)、I(020)、I(021)、I(20-2)、I(121)、I(013)、I(11-3)、及びI(221)の総和に対するI(020)が20%以上である、請求項1に記載の結晶の製造方法
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