JP5795692B2 - 撮像レンズおよびこれを備えた撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像レンズおよびこれを備えた撮像装置に関し、より詳しくは、デジタルカメラ、放送用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ等に好適に使用可能な撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置に関するものである。
従来、絞りの物体側に正の屈折力を有する前群、絞りの像側に正の屈折力を有する後群を配置したレンズ系が知られており、例えば下記特許文献1〜3に記載されたものを挙げることができる。下記特許文献1〜3に記載されたレンズ系の前群は、少なくとも負レンズ2枚を含む負レンズ群と、少なくとも正レンズ1枚を含む正レンズ群とからなるように構成されている。
特許3392964号公報 特開2008−151949号公報 特開2010−39088号公報
ところで、上記分野のカメラに搭載される固体撮像素子の小型化および高画素化が進んでおり、それに伴い、撮像レンズにも小型であること、特にレンズ系の全長が短いことと、諸収差が良好に補正されて高い性能を有することが要求されている。一方、監視用カメラや車載用カメラ等に用いられる撮像レンズには、Fナンバーが小さく、広角であることが求められている。
しかしながら、特許文献1に記載のレンズ系は、球面収差、軸上色収差等が良好に補正されていない。特許文献2に記載のレンズ系は、Fナンバーが3.6と大きい。特許文献3に記載のレンズ系は、全画角が78°程度であり画角が不十分である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、全長が短く、Fナンバーが小さく、広角で、諸収差が良好に補正されて高い光学性能を有する撮像レンズ、およびこの撮像レンズを備えた撮像装置を提供することにある。
本発明の第1の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、絞りと、正の屈折力を有する後群とから実質的に構成され、前群が、物体側から順に、2枚の負レンズからなる前群負レンズ群と、正の屈折力を有する前群正レンズ群とから構成され、前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、後群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、前群正レンズ群の最も物体側の正レンズのd線に対するアッベ数をνpとしたとき、下記条件式(1)を満足することを特徴とするものである。
νp<30 … (1)
本発明の第2の撮像レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、絞りと、正の屈折力を有する後群とから実質的に構成され、前群が、物体側から順に、2枚の負レンズからなる前群負レンズ群と、最も物体側に配置された正レンズを含む3枚のレンズからなり正の屈折力を有する前群正レンズ群とから構成され、後群が、負レンズを含む3枚のレンズからなり、前群正レンズ群の最も物体側の正レンズのd線に対するアッベ数をνpとし、後群が含む負レンズのうちd線に対するアッベ数が最も小さい負レンズのd線に対するアッベ数をνnとしたとき、下記条件式(1)および(2)を満足することを特徴とするものである。
νp<30 … (1)
νn<23 … (2)
本発明の撮像レンズにおいては、上記条件式(1)に代えて、下記条件式(1’)を満足することが好ましく、下記条件式(1’’)を満足することがより好ましい。
νp<25 … (1’)
νp<23 … (1’’)
また、本発明の撮像レンズにおいては、後群が含む負レンズのうち、d線に対するアッベ数が最も小さい負レンズのd線に対するアッベ数をνnとしたとき、下記条件式(2)を満足することが好ましく、下記条件式(2’)を満足することがより好ましい。
νn<23 … (2)
νn<20 … (2’)
また、本発明の撮像レンズにおいては、全系の焦点距離をfとし、前群の焦点距離をfAとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましく、下記条件式(3’)を満足することがより好ましい。
0.3<f/fA<1.2 … (3)
0.4<f/fA<1.0 … (3’)
また、本発明の撮像レンズにおいては、前群の焦点距離をfAとし、後群の焦点距離をfBとしたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましく、下記条件式(4’)を満足することがより好ましい。
0.1<fA/fB<1.2 … (4)
0.2<fA/fB<1.0 … (4’)
また、本発明の撮像レンズにおいては、前群正レンズ群の最も物体側の正レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれRp1、Rp2としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましく、下記条件式(5’)を満足することがより好ましい。
0.1<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.5 … (5)
0.15<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.1 … (5’)
また、本発明の撮像レンズにおいては、前群負レンズ群と前群正レンズ群の光軸上の空気間隔をDnpとし、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましく、下記条件式(6’)を満足することがより好ましい。
0.1<Dnp/f<0.8 … (6)
0.2<Dnp/f<0.6 … (6’)
本発明の第2の撮像レンズにおいては、前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなることが好ましい。
本発明の第2の撮像レンズにおいては、前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、後群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなることが好ましい。
本発明の撮像レンズにおいては、前群負レンズ群の最も像側のレンズ、前群正レンズ群の最も像側のレンズ、後群の最も像側のレンズ、のうち少なくとも1つが非球面レンズであることが好ましい。
なお、上記の「〜とから実質的に構成され」の「実質的に」とは、挙げた構成要件以外に、実質的にパワーを有さないレンズ、絞りやカバーガラスやフィルタ等のレンズ以外の光学要素、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、手ぶれ補正機構等の機構部分、等を含んでもよいことを意図するものである。
なお、上記の本発明の撮像レンズにおけるレンズの面形状、屈折力の符号、曲率半径は、非球面が含まれているものについては近軸領域で考えるものとする。また、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負とすることにする。
本発明の撮像装置は、本発明の撮像レンズを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、物体側から順に、負レンズ群、正レンズ群、絞り、正の後群が配列されてなるレンズ系において、各レンズ群の構成を好適に設定し、特に正レンズ群の最も物体側の正レンズのアッベ数について条件式(1)を満足するように構成しているため、全長が短く、Fナンバーが小さく、広角で、諸収差が良好に補正されて高い光学性能を有する撮像レンズ、およびこのような撮像レンズを備えた撮像装置を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる撮像レンズの構成と光路を示す断面図 本発明の実施例1の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例2の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例3の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例4の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例5の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例6の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例7の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例8の撮像レンズの構成を示す断面図 本発明の実施例9の撮像レンズの構成を示す断面図 図11(A)〜図11(D)は本発明の実施例1の撮像レンズの各収差図 図12(A)〜図12(D)は本発明の実施例2の撮像レンズの各収差図 図13(A)〜図13(D)は本発明の実施例3の撮像レンズの各収差図 図14(A)〜図14(D)は本発明の実施例4の撮像レンズの各収差図 図15(A)〜図15(D)は本発明の実施例5の撮像レンズの各収差図 図16(A)〜図16(D)は本発明の実施例6の撮像レンズの各収差図 図17(A)〜図17(D)は本発明の実施例7の撮像レンズの各収差図 図18(A)〜図18(D)は本発明の実施例8の撮像レンズの各収差図 図19(A)〜図19(D)は本発明の実施例9の撮像レンズの各収差図 本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に、本発明の一実施形態にかかる撮像レンズの構成を示す断面図を示す。図1に示す例は、後述の実施例1に対応している。図1においては、左側が物体側、右側が像側である。図1では、軸上光束2、最大画角の軸外光束3も合わせて図示している。
本発明の実施形態にかかる撮像レンズ1は、光軸Zに沿って物体側から順に、全体として正の屈折力を有する前群GAと、開口絞りStと、全体として正の屈折力を有する後群GBとから実質的に構成される固定焦点光学系である。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
撮像レンズが撮像装置に搭載される際には、撮像素子を保護するためのカバーガラスや、撮像装置の仕様に応じたローパスフィルタや赤外線カットフィルタ等の各種フィルタを適宜備えるように撮像装置を構成することが考えられるため、図1ではこれらを想定した平行平板状の光学部材PPを最も像側のレンズ面と像面Simとの間に配置した例を示している。しかし、光学部材PPは本発明の撮像レンズに必須の構成要素ではない。
本実施形態の前群GAは、物体側から順に、2枚以上の負レンズからなる前群負レンズ群GAnと、複数のレンズからなり最も物体側には正レンズが配置されて正の屈折力を有する前群正レンズ群GApとから構成され、後群GBは、少なくとも1枚の負レンズを含むように構成される。
例えば図1に示す例では、前群負レンズ群GAnは、物体側から順に、負のレンズL1、負のレンズL2からなり、前群正レンズ群GApは、物体側から順に、正のレンズL3、負のレンズL4、正のレンズL5からなり、後群GBは、物体側から順に、正のレンズL6、負のレンズL7、正のレンズL8からなり、撮像レンズ1の全系は8枚のレンズで構成されている。
開口絞りStの物体側、像側のレンズ群である、前群GA、後群GBをともに正レンズ群とすることで、レンズ系の全長を短くすることができる。最も物体側に負の屈折力を有するレンズ群を配置し、その後に正の屈折力を有するレンズ群が続く負先行のパワー配列とすることで広角化に有利となる。すなわち、物体側から順に、前群負レンズ群GAn、前群正レンズ群GAp、開口絞りSt、正の屈折力を有する後群GBを配列した構成を採ることで、広画角を保ちつつ、全長を短くすることが可能となる。
また、物体側から順に、負レンズ群、正レンズ群、開口絞り、正レンズ群を配列した構成は、物体側から順に、負レンズ群、開口絞り、正レンズ群を配置したレトロフォーカスタイプの構成に比べて、開口絞りより像側のレンズ群が担うべき球面収差の補正を軽減することができるので、小さなFナンバーの実現が容易となる。
前群負レンズ群GAnが2枚以上の負レンズを含むことで前群負レンズ群GAnの負のパワーを複数のレンズに分担させることができ、広角化の際に発生する収差の抑制が容易となる。また、正の屈折力を有する後群GBが少なくとも1枚の負レンズを含むことで、開口絞りStより像側でのバランスの良い収差補正が容易になり、良好な光学性能を実現することができる。
前群負レンズ群GAnは2枚の負レンズからなるように構成してもよく、このようにした場合は、前群負レンズ群GAnとして必要最小限のレンズ枚数で全長の長さを抑えつつ、広角化の際に発生する収差を抑制することができる。
例えば、図1に示す例の前群負レンズ群GAnは像側に凹面を向けた負メニスカス形状のレンズL1、L2からなる2枚構成とされている。なお、後述の実施例に示すように、レンズL1を両凹レンズに置換した構成も可能である。前群負レンズ群GAnを、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズとからなるように構成した場合には、広角化に有利となる。
なお、前群正レンズ群GApは、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなる3枚構成とすることが好ましい。前群正レンズ群GApを、このようないわゆるトリプレットで構成することで、前群正レンズ群GApとして必要最小限のレンズ枚数で全長の長さを抑えつつ、諸収差を良好に補正することができ、小さなFナンバーの光学系を構成することが容易となる。
例えば、図1に示す例の前群正レンズ群GApは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカス形状のレンズL3、両凹形状のレンズL4、両凸形状のレンズL5からなる3枚構成とされている。なお、後述の実施例に示すように、レンズL3を両凸レンズに置換した構成や、レンズL4を像側に凹面を向けた負メニスカスレンズに置換した構成も可能である。
前群負レンズ群GAnの最も像側の負レンズの像側の面を凹面とし、かつ前群正レンズ群GApの最も物体側の正レンズの物体側の面を凹面あるいは曲率半径の絶対値の大きな凸面とした場合には、光軸上で前群負レンズ群GAnと前群正レンズ群GApの間に比較的広い空気間隔を形成することができ、倍率の色収差の良好な補正に有利となる。
後群GBは例えば図1に示す例のように、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなる3枚構成とすることができる。このように、後群GBの最も物体側のレンズ、すなわち開口絞りStの像側直後のレンズを正レンズとすることで、開口絞りStを通って広がる傾向にある光束に収束作用を施すことができ、小型化に有利となる。また、全系の最も像側に正レンズを配置することで、軸外光束の主光線が像面Simに入射するときの像面Simに対する角度を垂直に近づけることができ、撮像レンズ1をCCD等の撮像素子と組み合わせて使用する際の良好な画像の取得に貢献できる。
後群GBを上記3枚構成とする場合は、後群GBの最も物体側の正レンズの像側の面は凸面とし、後群GBの負レンズは像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとすることが好ましく、このような形状にすることで、広角のレンズ系において諸収差の発生を抑制することに有利となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、非球面レンズを含むように構成してもよく、そのようにした場合は、広角化、小さなFナンバー、良好な収差補正に有利となる。特に、前群負レンズ群GAnの最も像側のレンズ、前群正レンズ群GApの最も像側のレンズ、後群GBの最も像側のレンズのいずれか1つ、あるいはこれら3つのレンズのうち任意の組合せを非球面レンズとすればより効果的である。
本実施形態の撮像レンズは、前群正レンズ群GApの最も物体側の正レンズのd線に対するアッベ数をνpとしたとき、下記条件式(1)を満足するように構成されている。
νp<30… (1)
条件式(1)は、物体側からレンズ系に入射した光束が複数の負レンズを透過した後、最初に入射する正レンズについて、そのアッベ数の好適な範囲を規定するものである。条件式(1)の上限を満たさないと、広角化に伴い発生量が増加しやすい倍率の色収差がアンダー傾向となり、良好な光学性能を有する広角の撮像レンズを実現することが困難になる。条件式(1)を満足することで、倍率の色収差を良好に補正することが可能となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、後群GBが含む負レンズのうち、d線に対するアッベ数が最も小さい負レンズのd線に対するアッベ数をνnとしたとき、下記条件式(2)を満足することが好ましい。
νn<23 … (2)
条件式(2)は、正の屈折力を有する後群GBの中で最もアッベ数が小さな負レンズのアッベ数の好適な範囲を規定するものである。条件式(2)の上限を満たさないと、軸上色収差と倍率の色収差を良好に補正することが困難になる。条件式(2)を満足することで、軸上色収差と倍率の色収差を良好に補正することが容易となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、全系の焦点距離をfとし、前群GAの焦点距離をfAとしたとき、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
0.3<f/fA<1.2 … (3)
条件式(3)は、全系に対する前群GAの屈折力の配分に関するものである。条件式(3)の下限を満たさないと、レンズ系の全長が長くなる。条件式(3)の上限を満たさないと、画角を広くすることが困難になる。条件式(3)を満足することで、レンズ系の全長を抑えつつ広角に構成することが容易となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、前群GAの焦点距離をfAとし、後群GBの焦点距離をfBとしたとき、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
0.1<fA/fB<1.2 … (4)
条件式(4)は、前群GAの屈折力と後群GBの屈折力の比に関するものである。条件式(4)の下限を満たさないと、画角を広くすることが困難になる。条件式(4)の上限を満たさないと、全長が長くなるか球面収差が悪化する。条件式(4)を満足することで、前群GAの屈折力と後群GBの屈折力のバランスをとり、球面収差を抑制し全長を抑えつつ広角に構成することが容易となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、前群正レンズ群GApの最も物体側の正レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれRp1、Rp2としたとき、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
0.1<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.5 … (5)
条件式(5)は、全系の最も物体側の正レンズの面形状に関するものである。条件式(5)の下限を満たさないと、球面収差がオーバー傾向になるか軸上の色収差がオーバー傾向になる。条件式(5)の上限を満たさないと、球面収差がオーバー傾向になる、または倍率の色収差がオーバー傾向になり補正が困難となる。条件式(5)を満足することで、球面収差と色収差を良好に補正することが容易となり、Fナンバーの小さい光学系の実現が容易となる。
また、本実施形態の撮像レンズ1は、前群負レンズ群GAnと前群正レンズ群GApの光軸上の空気間隔をDnpとし、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
0.1<Dnp/f<0.8 … (6)
条件式(6)の下限を満たさないと、倍率の色収差がアンダー傾向になり補正が困難となる。条件式(6)の上限を満たさないと、広角に構成することが困難になる、またはレンズ系の全長が長くなる。条件式(6)を満足することで、レンズ系の全長を抑えつつ広角に構成し倍率の色収差を良好に補正することが容易となる。
上記事情から、条件式(1)に代わり下記条件式(1’)または(1’’)、条件式(2)〜(6)それぞれに代わり、下記条件式(2’)〜(6’)それぞれを満足することがより好ましい。
νp<25 … (1’)
νp<23 … (1’’)
νn<20 … (2’)
0.4<f/fA<1.0 … (3’)
0.2<fA/fB<1.0 … (4’)
0.15<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.1 … (5’)
0.2<Dnp/f<0.6 … (6’)
上述した好ましい構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。
次に、本発明の撮像レンズの数値実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1の撮像レンズの構成を示す断面図を図2に示す。図2では、左側が物体側、右側が像側であり、最も像側のレンズと像面Simとの間にカバーガラスや各種フィルタ等を想定した平行平板状の光学部材PPを配置した例を示している。
実施例1の撮像レンズの群構成としては、物体側から順に、正の屈折力を有する前群GAと、開口絞りStと、正の屈折力を有する後群GBとからなり、前群GAは、物体側から順に、負の屈折力を有する前群負レンズ群GAnと、正の屈折力を有する前群正レンズ群GApとからなる構成を採っている。
実施例1の撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズの概略構成としては、前群負レンズ群GAnは、物体側から順に、負のレンズL1、負のレンズL2からなり、前群正レンズ群GApは、物体側から順に、正のレンズL3、負のレンズL4、正のレンズL5からなり、後群GBは、物体側から順に、正のレンズL6、負のレンズL7、正のレンズL8からなり、全てのレンズが接合されていない単レンズであり、非球面レンズはレンズL5のみとなる構成を採っている。
実施例1の撮像レンズの詳細構成を示す数値データとして、表1に基本レンズデータ、表2に非球面係数を示す。表1の枠外最上段に示すfは全系の焦点距離、Bfは空気換算距離でのバックフォーカス、FNo.はFナンバーであり、2ωは全画角である。
表1のSiの欄は最も物体側の構成要素の物体側の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄はi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示す。Diの欄の最下欄は、表1に示す最も像側の面と像面Simとの面間隔である。なお、曲率半径の符号は、物体側に凸面を向けた面形状の場合を正とし、像側に凸面を向けた面形状の場合を負としている。
表1のNdjの欄は最も物体側の構成要素を1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.56nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄はj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示す。なお、基本レンズデータには、開口絞りStと光学部材PPも含めて示しており、開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号と(St)という語句を記載している。
表1の基本レンズデータでは、非球面は面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表2に、これら非球面の非球面係数を示す。表2に記載の数値の「E−n」(n:整数)は「×10−n」を意味する。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数KA、Am(m=4、6、8、10)の値である。ただし、式(A)におけるΣはmの項に関する和を意味する。
Zd=C・h/{1+(1−KA・C・h1/2}+ΣAm・h … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率
KA、Am:非球面係数(m=4、6、8、10)
以下に示す各表では、角度の単位には度を用い、長さの単位にはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることも可能である。また、以下に示す各表では所定の桁でまるめた数値を記載している。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
図11(A)〜図11(D)にそれぞれ、物体距離が無限遠のときの実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。各収差図には、d線(波長587.56nm)を基準波長とした収差を示すが、球面収差図には、C線(波長656.27nm)、F線(波長486.13nm)についての収差も示し、倍率色収差図ではC線、F線についての収差を示している。非点収差図ではサジタル方向、タンジェンシャル方向それぞれに関する収差を実線、破線で示しており、線種の説明にそれぞれ(S)、(T)という記号を記入している。
上記の実施例1の説明で述べた図示方法、各データの記号、意味、記載方法等は、特に断りがない限り以下の実施例のものについても同様であるため、以下では重複説明を省略する。
[実施例2]
実施例2の撮像レンズの構成を示す断面図を図3に示す。実施例2の撮像レンズの群構成、概略構成は、上で述べた実施例1のものと同様である。表3、表4にそれぞれ実施例2の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図12(A)〜図12(D)に実施例2の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例3]
実施例3の撮像レンズの構成を示す断面図を図4に示す。実施例3の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL2のみである点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表5、表6にそれぞれ実施例3の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図13(A)〜図13(D)に実施例3の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例4]
実施例4の撮像レンズの構成を示す断面図を図5に示す。実施例4の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL2のみである点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表7、表8にそれぞれ実施例4の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図14(A)〜図14(D)に実施例4の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例5]
実施例5の撮像レンズの構成を示す断面図を図6に示す。実施例5の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL2、L5である点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表9、表10にそれぞれ実施例5の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図15(A)〜図15(D)に実施例5の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例6]
実施例6の撮像レンズの構成を示す断面図を図7に示す。実施例6の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL5、L8である点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表11、表12にそれぞれ実施例6の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図16(A)〜図16(D)に実施例6の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例7]
実施例7の撮像レンズの構成を示す断面図を図8に示す。実施例7の撮像レンズの群構成、概略構成は、上で述べた実施例1のものと同様である。表13、表14にそれぞれ実施例7の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図17(A)〜図17(D)に実施例7の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例8]
実施例8の撮像レンズの構成を示す断面図を図9に示す。実施例8の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL2、L5である点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表15、表16にそれぞれ実施例8の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図18(A)〜図18(D)に実施例8の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
[実施例9]
実施例9の撮像レンズの構成を示す断面図を図10に示す。実施例9の撮像レンズの群構成、概略構成は、非球面レンズがレンズL2、L8である点、レンズL4とレンズL5が接合されている点以外は、上で述べた実施例1のものと同様である。表17、表18にそれぞれ実施例9の撮像レンズの基本レンズデータ、非球面係数を示す。図19(A)〜図19(D)に実施例9の撮像レンズの各収差図を示す。
Figure 0005795692
Figure 0005795692
表19に上記実施例1〜9の撮像レンズの条件式(1)〜(6)の対応値を示す。表19に示す値はd線を基準とするものである。
Figure 0005795692
以上のデータからわかるように、実施例1〜9の撮像レンズは、8枚のレンズからなり全長が短く小型に構成され、全画角が約100°〜150°の範囲にあり広角に構成され、Fナンバーが2.5以下と小さく、諸収差が良好に補正されて高い光学性能を有する。
本実施形態に係る撮像レンズは、デジタルカメラ、放送用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ等の撮像装置、および各種カメラの交換レンズに好適に使用可能である。次に、図20を参照しながら、本発明の実施形態にかかる撮像装置について説明する。図20に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態にかかる撮像レンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。
図20に示す撮像装置10は、撮像レンズ1と、撮像レンズ1の像側に配置されたフィルタ4と、撮像レンズによって結像される被写体の像を撮像する撮像素子5と、信号処理部6とを備える。なお、図20では撮像レンズ1を概念的に示している。
撮像素子5は、撮像レンズ1により形成される被写体の像を撮像して電気信号に変換するものであり、その撮像面は撮像レンズ1の像面に一致するように配置される。撮像素子5としては例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子5からの出力信号は信号処理部6により演算処理される。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。

Claims (17)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、絞りと、正の屈折力を有する後群とから実質的に構成され、
    前記前群が、物体側から順に、2枚の負レンズからなる前群負レンズ群と、正の屈折力を有する前群正レンズ群とから構成され、
    前記前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、
    前記後群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、
    前記前群正レンズ群の最も物体側の前記正レンズのd線に対するアッベ数をνpとしたとき、下記条件式(1)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    νp<30 … (1)
  2. 物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、絞りと、正の屈折力を有する後群とから実質的に構成され、
    前記前群が、物体側から順に、2枚の負レンズからなる前群負レンズ群と、最も物体側に配置された正レンズを含む3枚のレンズからなり正の屈折力を有する前群正レンズ群とから構成され、
    前記後群が、負レンズを含む3枚のレンズからなり
    前記前群正レンズ群の最も物体側の前記正レンズのd線に対するアッベ数をνpとし、前記後群が含む負レンズのうちd線に対するアッベ数が最も小さい負レンズのd線に対するアッベ数をνnとしたとき、下記条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    νp<30 … (1)
    νn<23 … (2)
  3. 全系の焦点距離をfとし、前記前群の焦点距離をfAとしたとき、下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
    0.3<f/fA<1.2 … (3)
  4. 前記前群の焦点距離をfAとし、前記後群の焦点距離をfBとしたとき、下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    0.1<fA/fB<1.2 … (4)
  5. 前記前群正レンズ群の最も物体側の前記正レンズの物体側、像側の面の曲率半径をそれぞれRp1、Rp2としたとき、下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    0.1<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.5 … (5)
  6. 前記前群負レンズ群と前記前群正レンズ群の光軸上の空気間隔をDnpとし、全系の焦点距離をfとしたとき、下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の撮像レンズ。
    0.1<Dnp/f<0.8 … (6)
  7. 前記前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなることを特徴とする請求項から6のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  8. 記前群正レンズ群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなり、
    前記後群が、物体側から順に、正レンズと、負レンズと、正レンズとからなることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載の撮像レンズ。
  9. 前記前群負レンズ群の最も像側のレンズ、前記前群正レンズ群の最も像側のレンズ、前記後群の最も像側のレンズ、のうち少なくとも1つが非球面レンズであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の撮像レンズ。
  10. 下記条件式(1’)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
    νp<25 … (1’)
  11. 下記条件式(1’’)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
    νp<23 … (1’’)
  12. 下記条件式(2’)を満足することを特徴とする請求項2記載の撮像レンズ。
    νn<20 … (2’)
  13. 下記条件式(3’)を満足することを特徴とする請求項3記載の撮像レンズ。
    0.4<f/fA<1.0 … (3’)
  14. 下記条件式(4’)を満足することを特徴とする請求項4記載の撮像レンズ。
    0.2<fA/fB<1.0 … (4’)
  15. 下記条件式(5’)を満足することを特徴とする請求項5記載の撮像レンズ。
    0.15<(Rp1−Rp2)/(Rp1+Rp2)<4.1 … (5’)
  16. 下記条件式(6’)を満足することを特徴とする請求項6記載の撮像レンズ。
    0.2<Dnp/f<0.6 … (6’)
  17. 請求項1から16のいずれか1項記載の撮像レンズを備えたことを特徴とする撮像装置。
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