JP5794357B2 - 移動通信機 - Google Patents

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本発明は、移動通信機に関するものである。
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、この情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
この交通システムは、主に、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である車載通信機(移動通信機)とによって構成される。
また、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機同士が行う路路間通信と、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
特許第2806801号公報
ここで、一般的に、右直・左折捲込等の死角情報の提供に際して、路車間通信は、車車間通信に比べて設置場所・機器能力の制約等の面で優位にあるため、正確な情報提供が可能である。したがって、路車間通信の方を、車車間通信よりも優先すべきである。
路車間通信を優先するには、路側通信機のみが送信を行える路側通信機用の時間帯を割り当てておき、当該時間帯内では車車間通信を禁止することが考えられる。この場合、車車間通信は、路側通信機用の時間帯以外の時間帯で行われることになる。
なお、この場合の車車間通信は、CSMA方式で、各車載通信機がキャリアセンスをして、他車両の車載通信機が通信していないのを確認してから無線信号を送信する方式を採用することが有利である。つまり、路側通信機は移動しないのに対して、車載通信機は不特定多数が移動しながら、路側通信機の通信エリアに進入・退出を繰り返すため、そのような車載通信機同士の通信である車車間通信では、CSMA方式が簡便となる。
一方、路上の交差点直近では多くの車両が集中し、右左折や急ブレーキ等を行う車両もあることから事故の発生率が高くなる。したがって、車車間通信において、交差点直近の車両の車載通信機から送信される情報(車両の位置情報や速度情報等)は緊急度乃至重要度が高い場合が多く、逆に、交差点から離れている車両の車載通信機から送信される情報は、交差点直近の車載通信機から送信される情報に比べて緊急度乃至重要度が低い場合が多いと考えられる。
しかしながら、単純にCSMA方式によって車車間通信を行った場合、通信エリア内のどの車載通信機にも同等の条件で無線信号の送信機会が与えられ、ある車載通信機が無線信号を送信している間は他の車載通信機による無線信号の送信が制限されるため、交差点から離れた車載通信機が無線信号を送信していることによって、交差点直近の車載通信機から緊急度乃至重要度の高い情報を迅速に送信することができないケースが少なからず発生するという問題がある。
本発明は、無線通信を行う移動通信機に対して、情報の緊急度や重要度に鑑みた所定の優先条件を設定し、その優先条件を満たした移動通信機による無線信号の送信を他の移動通信機よりも優先させることによって、道路状況に応じた適切な無線通信を実現する移動通信機を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る移動通信機は、
路側通信機の通信エリアにおいて無線通信を行う移動通信機であって、
所定の優先条件を満たした当該移動通信機による無線信号の送信を許容する優先時間スロット、及び前記通信エリア内の全ての当該移動通信機による無線信号の送信を許容する一般時間スロットが含まれた時間スロット情報を取得する時間スロット情報取得部と、
前記優先条件が満たされているか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記優先条件が満たされていないと判定された場合に、前記一般時間スロットにおいて無線信号の送信を行う送信部と、を備えていることを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る路上通信システムは、時分割多重方式によって割り当てられた時間スロットに基づいて、移動体に搭載された移動通信機と路上に設置された路側通信機とが無線信号の送信を行う路上通信システムであって、前記時間スロットは、移動通信機の無線信号の送信を禁止するとともに路側通信機自身による無線信号の送信を許容する第1の時間スロットと、所定の優先条件を満たす前記移動通信機による無線信号の送信を許容する優先時間スロット、及び通信エリア内の全ての移動通信機による無線信号の送信を許容する一般時間スロットから構成された第2の時間スロットと、を有していることを特徴とする。
本発明の第2の観点に係る路上通信方法は、時分割多重方式によって割り当てられた時間スロットに基づいて移動体に搭載された移動通信機と路上に設置された路側通信機とが無線信号の送信を行う路上通信方法であって、前記時間スロットは、前記移動通信機の無線信号の送信を禁止するとともに、前記路側通信機による無線信号の送信を許容する第1の時間スロットと、所定の優先条件を満たす前記移動通信機による無線信号の送信を許容する優先時間スロット、及び通信エリア内の全ての移動通信機による無線信号の送信を許容する一般時間スロットから構成された第2の時間スロットと、を有している。
本発明の第3の観点に係るコンピュータプログラムは、時分割多重方式によって割り当てられた時間スロットに基づいて、移動体に搭載された移動通信機と路上に設置された路側通信機とに無線信号の送信を行わせるように制御部を機能させるコンピュータプログラムであって、前記時間スロットは、前記移動通信機の無線信号の送信を禁止するとともに、前記路側通信機による無線信号の送信を許容する第1の時間スロットと、所定の優先条件を満たす前記移動通信機による無線信号の送信を許容する優先時間スロット、及び通信エリア内の全ての移動通信機による無線信号の送信を許容する一般時間スロットから構成された第2の時間スロットとを有している。
前記一般時間スロットにおいては、前記優先条件を満たす前記移動通信機の送信機会がその他の前記移動通信機よりも向上されていることが好ましい。
本発明の路上通信システム、路上通信方法、及びコンピュータプログラムにおいては、時分割多重方式によって割り当てられる時間スロットが、第1の時間スロットと優先時間スロットを含む第2の時間スロットとを有している。路側通信機が、第1の時間スロットと第2の時間スロットについての時間スロット情報を通信エリア内に送信し、通信エリア内にある移動通信機が時間スロット情報を取得すると、当該移動通信機は、第1の時間スロットにおける無線信号の送信が禁止されるため、路側通信機による無線信号の送信が移動通信機によって干渉されることなく行われる。
第2の時間スロットでは、通信エリア内の移動通信機による無線信号の送信が許容されるが、第2の時間スロットのうち優先時間スロットでは、全ての移動通信機ではなく、所定の優先条件を満たした移動通信機のみに無線信号の送信が許容される。したがって、例えば、移動通信機が交差点直近に位置していることを優先条件とすれば、優先時間スロットにおいては交差点から離れた移動通信機によって送信が制限されることなく交差点直近の移動通信機から緊急度乃至重要度の高い情報を迅速に送信することができ、当該情報を交差点直近における事故等の防止に役立てることができる。
本発明によれば、移動通信機に対して情報伝達の緊急度や重要度に鑑みた所定の優先条件を設定し、その優先条件を満たした移動通信機による無線信号の送信を優先させることによって、道路状況等に応じた適切な無線通信を実現することができる。
本発明の第1の実施形態に係る高度道路交通システムの全体構成を示す概略斜視図である。 高度道路交通システムの一部を示す平面図である。 路側通信装置と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。 路車間通信と車車間通信のスロットを示すタイムチャートである。 優先エリアを拡大して示す平面図である。 通信エリアを通過する車両の進行に応じた車載通信機の通信可否状態を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る高度道路交通システムの路側通信装置と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における優先エリアの判定手法を説明する概略図である。 本発明の第3の実施形態に係る高度道路交通システムの路側通信装置と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。
〔第1の実施形態〕
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、及び、車載通信機(移動通信機)3を搭載した車両5等を含む。
各交通信号機1は、複数の交差点Ci(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄する監視エリアに含まれる各交差点Ciの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
図1〜図3では、図示を簡略化するために、各交差点Ciに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Ciには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
〔無線通信の方式等〕
図2は、上記高度道路交通システムの監視エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式(CSMA/CA)で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3とを備えている。
複数の路側通信機2は、それぞれ路側の交差点ごとに設置されていて、図1及び図2の例では交通信号機1の支柱に取り付けられている。一方、車載通信機3は、道路を走行する各車両5にそれぞれ搭載されている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる所定範囲の通信エリアA1をそれぞれ有し、この通信エリアA1を走行する各車両5の車載通信機3と通信可能である。通信エリアA1は、路側通信機2が電波を送信している領域であり、車載通信機3が当該電波を受信可能な領域である。
なお、路側通信機2が設置されていない郊外の交差点などでは、路側通信機2の通信エリアA1は存在しないことになる。
本実施形態の交通システム(通信システム)では、路側通信機2同士(路路間通信)については無線通信が用いられ、また、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)と車載通信機3同士(車車間通信)についても、無線通信が用いられている。これらの通信には、同一の通信帯域が使用される。
本実施形態の通信システムでは、路側通信機2の送信を車載通信機3の送信よりも優先させるため、路側通信機2が送信するための時間(スロット)が確保されている。この時間内における複数の路側通信機2へのスロット割り当てには、時分割多重(TDMA)方式が用いられる。
路側通信機2が通信するための時間以外の時間は、CSMA方式によって車載通信機3が車車間通信に使用する。すなわち、車載通信機3は、路側通信機2の周囲で、キャリアセンス方式により他の車載通信機3と無線通信を行う。
また、各路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。
なお、以上の説明は、交差点が多く、路側通信機2が多数設置されている都心部を前提としたものである。都心部では、車車間通信のほか、路車間通信及び路路間通信が行われるとともに、車両5の数が多いため、限られた通信帯域は、逼迫する状況となり、本実施形態の通信システムがより有用となる。
一方、信号が設置されている交差点が少なく、路側通信機2も設置数が少ないか又は設定されていない郊外においては、路側通信機2の通信エリアA1がなく、主に車車間通信だけが行われる。郊外では、路車間通信及び路路間通信は、ほとんど行われず、車両5の数も少ないため、通信帯域は、都心部に比べて余裕がある。もっとも、通信帯域に比較的余裕がある地域であっても、本実施形態の通信システムを導入することを妨げるものではない。
〔路側通信機の構成〕
図3は、路側通信機2及び車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20に接続された無線送受信部(無線通信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線送受信部(有線通信部)22と、これらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
無線通信部21は、無線通信のために通常用いられる構成とすることができ、発振器、変調器、復調器、アンプ等を備えている。
記憶部24は、制御部23が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
路側通信機2の制御部23は、時分割多重方式によって路車間及び路路間の無線通信を無線通信部22に行わせるものである。このため、制御部23は、上記コンピュータプログラムの実行によって達成される機能部として、路側通信機2自身が無線送信する第1時間スロットT1(図4参照)と、車載通信機3の無線送信を許容する第2時間スロットT2とを、一定の周期ごとに時分割で割り当てる割当部23aを備えている。
なお、第1時間スロットT1と第2時間スロットT2の割り当ては、周期的に決まっている必要はない。また、第1時間スロットT1と第2時間スロットT2の割り当ては、路側通信機2又は路側通信機2を制御する装置(中央管制装置等)が、主体的に決定した割り当てであってもよい。したがって、割当部は、路側通信機2以外の他の装置、例えば中央装置4が備えていてもよい。
図4は、前記第1時間スロットT1及び前記第2時間スロットT2示すタイムチャートである。第1時間スロットT1は、原則として、路側通信機2だけが無線信号を送信する権限を持つ期間であり、車載通信機3による無線信号の送信(車車間通信)は禁止される。この第1時間スロットT1では、主に路車間通信が行われるが、路路間通信を行っても良い。
なお、個々の第1時間スロットT1は、一の路側通信機2のみが使用してもよいし、複数の路側通信機2が時分割により共用してもよい。また、第1時間スロットT1にあたる路側用のスロットは、一周期の中に一つに限らず複数あってもよい。
第2時間スロットT2は、第1時間スロットT1以外の時間をいい、この時間帯では、複数の車載通信機3がCSMA/CA方式によって送信機会を獲得して、車車間通信、車路間通信を行う。また、第2時間スロットT2は、優先時間スロットT21と一般時間スロットT22とから構成されている。優先時間スロットT21は、後述するように所定の優先条件を満たす車両5の車載通信機3だけが無線信号の送信を許容される期間であり、一般時間スロットT22は、全ての車両5の車載通信機3が無線信号の送信を許容される期間である。
なお、第2時間スロットT2においては、路側通信機2がCSMA/CA方式によって通信(路車間通信など)を行っても良い。さらに、路側通信機2は、IEEE802.11eにおけるHCCAのように、CSMA/CA方式を前提とするシステムにおいて送信期間を確保する機能を有していても良い。
前記割当部23aは、第1時間スロットT1における車車間通信を禁止し、第2時間スロットT2において車車間通信を許容するため、車載通信機3に対して、路側通信機2用及び車載通信機3用に割り当てられた時間帯を示す時間スロット情報を無線送受信部21に供給する。この時間スロット情報は、無線送受信部21によって車載通信装置3へ送信(ブロードキャスト送信)される。
路側通信機2の制御部23は、さらに、信号情報取得部23b、渋滞情報取得部23c、及び周辺情報生成部23dを有している。
信号情報取得部23bは、当該路側通信機2に対応する交通信号機1の現状及び将来の表示(灯色)に関する信号情報を、有線送受信部22を介して交通信号機1又は中央装置4から取得する。具体的に、信号情報は、現状表示されている灯色の情報及びその灯色の現時を基準としたときの継続予定秒数や、現状以降表示される他の各灯色の継続予定秒数であり、灯色が赤〜青〜黄と変わるのを1サイクルとしたときの数サイクル分についての各灯色の継続予定秒数について含んでいる。
渋滞情報取得部23cは、中央装置4から与えられる渋滞情報等の交通情報を、有線送受信部22を介して取得する。また、渋滞情報取得部23cは、当該路側通信機2に対応する交通信号機1が設置された車線の上流側に位置する車両感知器によって感知される当該車線に車両5が存在するか否かに関する情報を、有線送受信部22を介して中央装置4から取得する。渋滞情報取得部23cは、これら交通情報及び車両感知器からの情報に基づいて、交通信号機1の上流側の渋滞情報を生成する。
周辺情報生成部23dは、信号情報取得部23b及び渋滞情報取得部23cがそれぞれ取得する信号情報及び渋滞情報から、自己の通信エリアA1に位置する各車両5の周辺状況を示す周辺情報を生成する。すなわち、信号情報取得部23b、及び渋滞情報取得部23cは、車両5の周辺状況としての渋滞情報及び信号情報を把握する把握手段を構成するとともに、周辺情報生成部23dは、把握した周辺状況を示す周辺情報を生成する周辺情報生成手段を構成している。
制御部23は、周辺情報生成部23dが生成した周辺情報を、無線送受信部21を介して、自己の通信エリアA1に位置する各車両5にブロードキャスト送信する。このとき、前述の時間スロット情報を、前記交通情報と合わせてブロードキャスト送信してもよい。
路側通信機2の制御部23は、さらに指令通知部23bを有している。この指令通知部23bは、後述する所定の優先条件を満たした車載通信機3による無線信号の送信機会が向上するように、車載通信機3に通信条件の調整を行わせるための指令を通知する。この通知を取得した車載通信機3は、調整部32dにおいて通信条件の調整を行う。
〔車載通信機の構成〕
車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された送受信部(無線通信部)31と、この送受信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
送受信部31は、無線通信のために通常用いられる構成とすることができ、無線信号の送信機(送信部)及び受信機(受信部)としての機能を発揮するため、発振器、変調器、復調器、アンプ等を備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためにキャリアセンス方式(CSMA/CA方式)による無線通信を送受信部31に行わせるキャリアセンス制御部32aとしての機能を有する。キャリアセンス制御部32aは、所定の搬送波周波数の無線信号が、無線信号伝搬路中に存在するかを検出し、当該無線信号が存在しなければバックオフ時間経過後に送信機会を獲得し、送信が行われるように送受信部31を制御する。
なお、所定の搬送波周波数の無線信号が、無線信号伝搬路中に存在するか否かの判定に際しては、送受信部31によって受信される受信レベルが、所定の閾値(キャリアセンスレベル)以上であれば、所定の搬送波周波数の無線信号が存在すると判定し、前記閾値(キャリアセンスレベル)未満になれば、所定の搬送波周波数の無線信号が存在しないと判定する。
車載通信機3の制御部32は、車両5の現時の位置情報や速度情報等を送受信部31から外部に無線送信させている。このため、上記位置情報や速度情報等を受信した他の車両5や路側通信機2において、例えば、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。なお、現時の位置情報は、例えば、車両5に搭載されたGPS43から取得することができ、速度情報は、車両5の車速センサ41から取得することができる。
制御部32は、その機能部として、路側通信機2又は他の車載通信機3から送信された時間スロット情報を取得する処理を行う時間スロット情報取得部32bを備えている。時間スロット情報取得部32bが時間スロット情報を取得すると、その時間スロット情報は、記憶部33に保存される。
また、制御部32は、路側通信機2又は他の車載通信機3等から取得した時間スロット情報を、他の車載通信機3に対して転送(無線送信)する処理を行う機能をも有している。このように、時間スロット情報を他の車載通信機3に対して転送することで、時間スロット情報を路側通信機2から直接取得することができない位置(例えば、路側通信機2の通信エリアA1外縁近傍や、当該通信エリアA1内の細街路など)にある車載通信機3であっても、時間スロット情報を取得することが可能となる。
制御部32は、時間スロット情報を取得した状態においては、当該時間スロット情報に含まれる第1時間スロットT1における無線信号の送信を禁止する。つまり、第1時間スロットT1においては、無線信号が伝搬路中に存在しなくても、送信機会が得られないように車載通信機3による無線信号の送信が制限される。この結果、路側通信機2用に割り当てられた第1時間スロットT1においては、車車間通信が発生せず、路車間通信への与干渉が防止される。
ただし、車載通信機3が時間スロット情報を取得していない状態(取得した時間スロット情報が無効にされた場合を含む)では、路側通信機2のために送信が禁止されることはなく、車載通信機3が送信機会を獲得可能な時間帯は全ての時間帯となる。したがって、路側通信機2が存在しない郊外などでは送信が禁止される時間帯がなく、効率的に車車間通信が行える。
なお、時間スロット情報は、必ずしも路側通信機2や車載通信機3から取得する必要はなく、例えば、通信エリアA1に進入する前等に通信エリアA1近傍に設置された光ビーコン40等によって取得してもよい。
車載通信機3の制御部32は、記憶部33に記憶させた上記コンピュータプログラムが実行する機能部として、前記のほか判定部32c、調整部32d、距離情報取得部32e、及び車速情報取得部32fを備えている。
判定部32cは、車載通信機3が所定の優先条件を満たすか否かを判定するものである。この所定の優先条件とは、路側通信機2から送信された時間スロット情報に含まれる第2の時間スロットT2のうち、優先時間スロットT21において無線信号の送信の権利を取得するための条件である。この権利を車載通信機3が取得できなければ、当該車載通信機3は優先時間スロットT21において無線信号の送信をすることができない。そして、本実施形態では、車両5が、通信エリアA1内の交差点の直近に設定された優先エリア(交差点直近エリア)A2(図2参照)に位置していることが優先条件とされている。この優先エリアA2は、例えば、図5に示すように、交差点からL2で示す距離だけ離れた境界線で囲まれる範囲に設定することができる。距離L2は、道路の幅(車線数)や交通量等に応じて適宜設定することができ、例えば30m〜70mに設定することができる。また、距離L2は、時間帯や曜日等に応じて可変としてもよい。
距離情報取得部32eは、路上に設置された光ビーコン40から送信される交差点までの距離L1に関する距離情報を取得する。また、車速情報取得部32fは、車速センサ41から自身の車両5の走行速度を取得する。また、記憶部33には、交差点から優先エリアA2までの距離L2を示す情報が予め記録されている。判定部32cは、例えば光ビーコン40通過時での優先エリアA2までの距離を算出すると共に、当該時点以降に車速センサ41により取得された走行速度を逐次積分して当該時点以降の走行距離を算出する。そして、当該時点での優先エリアA2までの距離と、算出された走行距離とを比較し、その結果によって車載通信機3が優先エリアA2に位置しているか否かを判定する。すなわち、光ビーコン40通過時等の特定時点以降の移動速度を車速センサ41で常に観測しておけば、当該特定時点以降の走行距離が優先エリアA2までの距離を越えたら優先エリアA2内に進入したことになり、車載通信機3が優先エリアA2に位置していると判定することができる。
なお、交差点から優先エリアA2の外縁までの距離L2は、必ずしも予め記憶部33に記憶させておく必要はなく、路側通信機2等の外部から取得するようにしてもよい。また、車載通信機3から交差点までの距離L1はGPS43等から取得してもよい。GPS43から得た現在の位置が優先エリアA2内か否かによっても、車載通信機3が優先エリアA2に位置しているか否かを判定することができる。
都市部において、道路の交差点には多くの車両5が集中しており、直進する車両5だけでなく右左折等をする車両5も存在する。したがって、交差点では車両5同士が接触事故を起こす可能性が高い。そのため、交差点直近の優先エリアA2に位置している車両5の車載通信機3から送信される位置情報や車速情報等は、接触事故等を未然に防止する上で非常に重要度の高い情報であり、かつ緊急度の高い情報となる。
その一方で、CSMA方式による通信では、ある車載通信機3が無線信号を送信している間は他の車載通信機3による無線信号の送信が制限されるため、優先エリアA2外の車載通信機3と優先エリアA2内の車載通信機3とに対して同等の条件で無線信号の送信が許容されると、優先エリアA2内の車載通信機3が緊急度乃至重要度の高い情報を迅速に送信することができず、情報伝達に遅れが生じる場合がある。
この点において、本実施形態では、車載通信機3による無線信号の送信が許容される第2の時間スロットT2が、優先時間スロットT21と一般時間スロットT22とに分割され、優先時間スロットT21においては優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信のみが許容され、優先エリアA2外の車載通信機3による無線信号の送信は禁止されている。そのため、当該優先時間スロットT21においては、優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信が、優先エリアA2外の車載通信機3による送信に制限されることはなく、優先エリアA2内の車載通信機3から緊急度乃至重要度の高い情報を迅速に送信することが可能となっている。
また、優先エリアA2内の車載通信機3は、優先時間スロットT21だけでなく一般時間スロットT22においても無線信号の送信が許容されるため、優先エリアA2外の車載通信機3と比較して、より長い時間帯で無線信号を送信することが可能となっている。
図6は、通信エリアA1を通過する車両5の進行に応じた車載通信機3の通信可否状態を説明するためのフローチャートである。まず、車両5が路車間の通信エリアA1に進入するまでは、車載通信機3は、路側通信機2に制限されることなくCSMA方式により無線信号の送信を行うことができる。そして、車両5が路車間の通信エリアA1に進入すると(S1)、車載通信機3は路側通信機2から時間スロット情報を受信する(S2)。時間スロット情報を受信した車載通信機3は、第1時間スロットT1と、第2時間スロットT2の優先時間スロットT21とにおける無線信号の送信が禁止され、一般時間スロットT22における無線信号の送信が許容される。
車両5が交差点直近の優先エリアA2に進入すると(S3)、第1時間スロットT1における無線信号の送信は禁止されるが、第2時間スロットT2における無線信号の送信は許容される。つまり、優先エリアA2内の車載通信機3は、路側通信機2が無線信号の送信を行う時間以外の全ての時間において無線信号の送信機会を獲得することができる。
さらに、車両5が進行し、優先エリアA2から退出すると、再び、第1時間スロットT1と、第2時間スロットT2の優先時間スロットT21とにおける無線信号の送信が禁止され、一般時間スロットT22における無線信号の送信が許容される。そして、車両5が通信エリアA1から退出すると、再び路側通信機2の通信に制限されることなく、CSMA方式による無線信号の送信が許容される。
調整部32dは、優先エリアA2に位置している車載通信機3による送信機会が向上するように通信条件を調整するものである。
第2時間スロットT2のうち一般時間スロットT22においては、車載通信機3が優先エリアA2に位置しているか否かにかかわらず無線信号の送信が許容される。そのため、優先エリアA2外の車載通信機3による無線信号の送信によって、優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信が制限され、当該車載通信機3から緊急度等の高い情報を迅速に送信できない場合がある。そこで、本実施形態では、一般時間スロットにおいても優先エリアA2に位置している車載通信機3による無線信号の送信を優先的に行わせるべく調整部32dにおいて調整を行っている。
本実施形態の調整部32dは、通信条件としてCSMA方式における送信待ち時間を調整するものとされている。
送信待ち時間とは、車載通信機3が無線信号の送信を決定し、キャリアセンシングを開始してから実際に送信を開始するまでに必要な、他の無線機からの無線信号を受信しない状態(アイドル状態)が継続して維持される時間である。
キャリアセンス方式(CSMA/CA方式)による無線通信では、車載通信機3が無線信号の送信を決定した後、キャリアセンスを行い、他の無線機からの無線信号を受信しないアイドル状態が所定の時間(送信待ち時間)継続して維持されると、無線信号の送信を開始する。送信待ち時間の間に他の無線機からの無線信号を受信すると、無線信号の送信を一旦諦め、再度同じ動作を繰り返す。
送信待ち時間は、DIFS時間(Distributed Coordination Function Interframe Space)と、バックオフ時間とを加算した時間とされる。バックオフ時間は、0からCW値( Contention Window size )までの間で乱数を発生させ、その乱数に所定の時間(例えば単位スロット時間)を掛け合わせることで設定される時間であり、キャリアセンシングを行うごとに設定される。本実施形態の調整部32dは、CW値を調整することによってバックオフ時間を調整し、これによって送信待ち時間を調整する。バックオフ時間は、CW値が大きいほど長くなり、CW値が小さいほど短くなる。
バックオフ時間が短くなると、送信のための待ち時間が短くなるので、送信機会が多くなる。したがって、優先エリアA2内に位置している車載通信機3のバックオフ時間を調整部32dによって短くすると、当該車載通信機3の送信機会を多くすることができる。そのため、一般時間スロットにおいては全ての車載通信機3の送信が許容されるが、その中でも優先エリアA2内の車載通信機3の送信機会が多くなるため、優先エリアA2外の車載通信機3によって送信が制限されることが少なくなる。
逆に、調整部32dは、優先エリアA2外の車載通信機3におけるCW値を大きくし、バックオフ時間を長くすることによって、優先エリアA2外の車載通信機3による無線信号の送信機会を少なくし、相対的に優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信機会を多くしても良い。
なお、調整部32dは、一般時間スロットT22だけでなく優先時間スロットT21においても優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信機会を多くするように調整を行ってもよい。
また、調整部32dは、送信待ち時間の調整に限らず、車載通信機3のキャリアセンスレベルを調整するものであってもよい。車載通信機3のキャリアセンスレベルを下げると、キャリアセンス感度が上昇し、当該車載通信機3は、比較的低いレベルの無線信号であっても、その存在を高い確率で検出することができる。したがって、キャリアセンス感度が高い車載通信機3は、キャリアセンス感度が低い場合に比べて、送信機会を獲得する確率が低くなる。逆に、車載通信機3のキャリアセンスレベルを上げると、キャリアセンス感度が低下し、車載通信機3は、比較的高いレベルの無線信号であっても、その存在を検出する確率が低くなる。したがって、優先エリアA2内の車載通信機3のキャリアセンスレベルを上げることによって無線信号の送信機会を多くすることができ、逆に、優先エリアA2外の車載通信機3におけるキャリアセンスレベルを下げることによって無線信号の送信機会を少なくし、相対的に優先エリアA2内の車載通信機3による無線信号の送信機会を多くすることができる。
また、調整部32dは、送信待ち時間の調整やキャリアセンスレベルの調整に限らず、車載通信機3の送信電力を調整するものであってもよい。優先エリアA2内の車載通信機3の送信電力が大きくなるように調整すると、その無線信号の送信可能範囲が拡大するので、当該無線信号は、優先エリアA2外の他の車載通信機3のキャリアセンスによって検出される確率が高くなる。したがって、優先エリアA2外の車載通信機3における送信機会が少なくなり、相対的に優先エリアA2内の車載通信機3の送信機会が多くなる。また、優先エリアA2外の車載通信機3の送信電力が小さくなるように調整すると、その無線信号の送信可能範囲が縮小するので、当該無線信号は、優先エリアA2内の他の車載通信機3のキャリアセンスによって検出される確率が低くなる。したがって、優先エリアA2内の車載通信機3の送信機会を多くすることができる。
以上説明した本実施形態において、優先エリアA2内の車載通信機3は、優先エリアA2外の車載通信機3に比べて無線信号を送信することができる時間帯が長くとられているため、優先エリアA2外の車載通信機3による無線信号の送信によって、優先エリアA2内の車載通信機3の無線信号の送信が制限されることが少なくなる。したがって、当該車載通信機3から緊急度乃至重要度の高い情報を迅速に送信することができ、当該情報を交通事故の防止に役立てることができる。
〔第2の実施形態〕
図7は、第2の実施形態に係る路側通信機2及び車載通信機3の内部構成を示すブロック図であり、図8は、優先エリアA2の判定手法を説明する概略図である。この実施形態は、車両5の車載通信機3が優先エリアA2内に位置していることを判定する手法が第1の実施形態とは異なっている。
具体的には、図7に示すように、路側通信機2の制御部23は、コンピュータプログラムの実行によって達成される機能部として優先エリア情報通知部23fを備えている。この優先エリア情報通知部23fは、通信エリアA1内の優先エリアA2を示す優先エリア情報を無線送受信部21を介して送信するものであり、優先エリアA2内の車載通信機3のみが優先エリア情報を受信することが可能なように構成されている。
つまり、優先エリア情報通知部23fは、優先エリアA2を送信範囲として優先エリア情報を送信し、実質的に優先エリアA2内の車載通信機3しか優先エリア情報を取得できないように構成されている。優先エリアA2は通信エリアA1よりも小さいことから、路側通信機2は、通常の路車間通信及び路路間通信を行う場合の無線信号の送信電力よりも、小さい送信電力で優先エリア情報を送信する。
一方、車載通信機3の制御部32は、その機能部として優先エリア情報を取得するための優先エリア情報取得部32gを備えている。図8に示すように、車載通信機3は、通信エリアA1外及び優先エリア(交差点直近エリア)A2外に位置している状態(符号3C,3Bで示す)では、優先エリア情報通知部23fによる優先エリア情報の送信範囲外にあり、優先エリア情報を受信することができない。優先エリア情報が受信されていない状態では、車載通信機3の判定部32cは、当該車載通信機3が優先エリアA2内には位置していないと判定する。
そして、車載通信機3が優先エリアA2に進入すると(符号3Aで示す)、路側通信機2から送信される優先エリア情報が車載通信機3によって受信され、優先エリア情報取得部32gによって優先エリア情報が取得される。判定部32cは優先エリア情報取得部32gによって優先エリア情報が取得されると、車載通信機3が優先エリアA2に進入したと判定する。
本実施形態においては、路側通信機2の優先エリア情報通知部23fによって通知される優先エリア情報を車載通信機3が取得したことが優先エリアA2内に位置していることの判定基準とされているので、第1の実施形態のように車載通信機3自身の位置から優先エリアA2までの距離を取得したりする必要がないので、制御部32の処理負担を軽減することができる。
〔第3の実施形態〕
図9は、第3の実施形態に係る路側通信機2及び車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。上述の第1,第2の実施形態では、優先的に無線信号の送信を行わせるための優先条件が、車載通信機3が交差点直近の優先エリアA2内に位置していることとされていたが、本実施形態では、優先エリアA2の内外に関わらず、車載通信機3を搭載した車両5が現在所定の挙動を行っていること、及び、将来所定の挙動を行うと予測されることが優先条件とされている。したがって、本実施形態の車載通信機3の制御部32は、その機能部として現在の挙動を検出する挙動検出部32hと、将来の挙動を予測する挙動予測部32iとを備えている。
挙動検出部32hは、自己が搭載されている車両5の現状の挙動を検出し、その結果である現状の挙動情報を判定部32cに出力する。挙動検出部32hは、車両5の現状の挙動として、当該車両5の車速(加減速を含む)、位置、進行方向を検出する。これらの現状の挙動は、車両5の車速センサ41や、車両5に搭載されたGPS43、ジャイロセンサ44といった各種センサを用いて検出することができる。
挙動予測部32iは、自己が搭載されている車両5の将来の挙動を予測し、その結果である将来の挙動情報を判定部32cに出力する。挙動予測部32iは、路側通信機2が送信する上述の周辺情報、及び車両5の今後の進行方向に関する方向情報に基づいて、車両5の将来の挙動を予測する。上記方向情報は、現状車両5の右又は左ウインカが点滅しているか否かを示す情報であり、例えば、車両5のウインカリレー45等から取得することができる。なお、挙動予測部32iは、上記周辺情報等に加えて、車両5が有する当該車両5周囲に車両5が存在するか否かを検知する車両センサ42の検知結果に関する情報や、検出部32cによる現状の挙動情報も加えて、将来の挙動を予測することもできる。
判定部32cは、挙動検出部32h又は挙動予測部32iによって車両5が急ブレーキ、急加速、ジレンマゾーンへの進入、停止状態からの走行、右左折、車線変更、高速走行等の挙動を行ったことが検出された場合、又はこれらの挙動を行うと予測された場合に、優先条件を満たしたものと判定する。以下、これらの各挙動について説明する。
交差点付近や交差点から離れた道路上において、急ブレーキをかけた車両5が存在すると、その後方を走行している車両5が追突してしまう可能性が高くなる。そのため、急ブレーキをかけた車両5に搭載された車載通信機3の判定部32cは、自身の車両5が優先条件を満たしていると判定し、送受信部31によって優先的に位置情報や車速情報等を送信させる。これによって、周辺の車両5(特に、後方の車両)に対して急ブレーキをかけた車両5が周囲に存在することを迅速に伝え、車両同士の接触等を未然に防止することが可能となる。
また、将来、急ブレーキをかけると予測された車両5が存在する場合も同様に、その後方の車両5が追突してしまう可能性が生じるため、急ブレーキをかけると予測された車両5に搭載された車載通信機3の判定部32cは、自身の車両5が優先条件を満たしていると判定し、送受信部31によって優先的に位置情報や車速情報等を送信させることによって、周辺の車両5(特に、後方の車両)に対して急ブレーキをかけた車両5が周囲に存在することを迅速に伝えるようになっている。
将来、急ブレーキをかけると予測される車両5としては、例えば、現在急ブレーキをかけている車両5の後方に位置している車両5、すなわち急ブレーキをかけた前方の車両5から位置情報や速度情報等を受信した後方の車両5や、渋滞している場所に向かって走行している車両5等を挙げることができる。後者の場合、路側通信機3から送信された周辺情報に含まれる渋滞情報により、挙動予測部32iが前方の渋滞を認識して急ブレーキの発生を予測することができる。
また、急ブレーキをかけると予測される車両5としては、交差点付近のジレンマゾーンに進入している車両5、又は、将来ジレンマゾーンに進入すると予測される車両5も挙げることができる。ジレンマゾーンとは、例えば図5に符号Zで示すように、車両5が交差点に進入する手前において、前方の信号機が青色から黄色に変わることによって、通常の減速度で安全に停止線で停止することができず、かつ信号機が赤色になる前に交差点を通過しきれなくなるような時間的空間的領域をいい、ドライバーが車両5を停止させるかどうかを悩むと考えられる領域である。したがって、車両5がジレンマゾーンZに入ると、運転者は、自身の判断で急ブレーキをかける可能性がある。そのため、車両5がジレンマゾーンZに進入している場合、及び将来ジレンマゾーンZに進入すると予測される場合には、判定部32cは当該車両5が優先条件を満たしていると判断し、送受信部31によって優先的に位置情報、速度情報等の送信を行わせる。
なお、ジレンマゾーンZに進入した車両5が、信号が赤になるまでに交差点を通過しきろうとして急加速を行った場合、例えば対向車線で右折しようとする車両5に衝突してしまう可能性が高くなる。したがって、判定部32cは、急加速する車両5又は急加速すると予測される車両5についても優先条件を満たすと判定し、送受信部31によって優先的に位置情報、速度情報等を送信させることによって、当該車両5の存在を周囲の車両5に知らしめ、車両同士の接触等を未然に防止することが可能となる。
なお、ジレンマゾーンZへの進入、及び進入するとの予測は、路側通信機2から送信された周辺情報に含まれる信号情報(現在又は将来の信号の灯色やその灯色の継続予定秒数、灯色のサイクル等)と自己の位置及び速度とから検出することが可能である。
交差点等において停止している車両5が走行を開始する場合、その周囲の車両5、例えば、交差する車線の信号が赤になってもなお交差点を通過しようとしている車両5に接触等する可能性があるため、この場合にも、走行を開始しようとする車両5に搭載された車載通信機3の送信部31によって優先的に位置情報等を送信させることによって、当該車両5の存在を周囲の車両5に知らしめ、車両同士の接触等を未然に防止することが可能となる。
右左折を行っている車両5や車線変更を行っている車両5が存在する場合、その対向車線で直進する車両5や交差する車線に位置している車両5、並走している車両5等に接触する可能性があるため、かかる場合にも、当該車両5の車載通信機3によって優先的に位置情報等を送信させることによって、車両同士の接触等を未然に防止することができる。右左折や車線変更を行うと予測される場合も同様である。
また、現在、高速で走行している車両5は、周辺状況の変化に対して対応が遅れがちになり、事故を誘発する可能性が高くなる。したがって、かかる車両に搭載された車載通信機3の判定部32cは、自身の車両5が優先条件を満たしていると判定し、送信部31によって優先的に位置情報等を送信させることによって、事故を未然に防止することができる。
なお、第3の実施形態において、現在又は将来の挙動についていくつか列挙しているが、これらの全てを優先条件としても良いし、一部を優先条件としても良い。いずれを優先条件とするかは、道路の状況(路幅、車線数、交通量、見通しの良し悪し等)に応じて決定することができる。また、上記以外の他の挙動を優先条件としても良い。
本発明に関して、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施形態では、車載通信機3(車両5に搭載する車両用の移動通信機)として説明したが、本発明の移動通信機は、車両以外に搭載させてもよい。移動通信機として例えば携帯端末を用いてもよい。また、上述の実施形態のように自車や他車の挙動によって優先条件を満たしているか否かを車載通信機が判定する代わりに、又はそれに加えて、自車が緊急車両であるか否かなど予め与えられた自動車属性情報に基づいて優先条件を満たしているか否かを判定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では車載通信機3が優先エリアA2内に位置していることを判定する手法を複数説明したが、これに限られるものではない。例えば路側通信機2からの信号の受信レベルが所定の閾値以上か否かによって、車載通信機3が優先エリアA2内に位置しているか否かを判定するようにしてもよい。さらに、これらの複数の手法を組み合わせることによって、車載通信機3が優先エリアA2内に位置しているか否かを判定するようにしてもよい。
1 交通信号機
2 路側通信機
3 車載通信機
5 車両
21 無線送受信部
23 制御部
23a 割当部
23e 指令通知部
31 送受信部
32c 判定部
32d 調整部
T1 第1時間スロット
T2 第2時間スロット
T21 優先時間スロット
T22 一般時間スロット

Claims (9)

  1. 路側通信機の通信エリアにおいて無線通信を行う移動通信機であって、
    所定の優先条件を満たした当該移動通信機による無線信号の送信を許容する優先時間スロット、及び前記通信エリア内の全ての当該移動通信機による無線信号の送信を許容する一般時間スロットが含まれた時間スロット情報を取得する時間スロット情報取得部と、
    前記優先条件が満たされているか否かを判定する判定部と、
    前記判定部によって前記優先条件が満たされていないと判定された場合に、前記一般時間スロットにおいて無線信号の送信を行う送信部と、を備えていることを特徴とする移動通信機。
  2. 前記判定部は、前記通信エリア内に設定された所定の優先エリア内に移動通信機が位置しているか否かによって、前記優先条件が満たされているか否かを判定する請求項1に記載の移動通信機。
  3. 前記判定部は、現在の移動通信機自身の位置を検出し、その結果から当該移動通信機が優先エリア内に位置しているか否かを判定するように構成されている請求項2に記載の移動通信機。
  4. 前記判定部は、前記優先エリアを示し、かつ当該優先エリアを送信範囲として路側通信機から送信される優先エリア情報を取得したか否かによって、当該移動通信機が前記優先エリア内に位置しているか否かを判定するように構成されている請求項2又は3に記載の移動通信機。
  5. 当該移動通信機を搭載した移動体の現在又は将来の所定の挙動が前記優先条件とされている請求項1に記載の移動通信機。
  6. 前記所定の挙動が、移動体の速度に関する挙動とされている請求項5に記載の移動通信機。
  7. 前記所定の挙動が、移動体の移動方向の変化に関する挙動とされている請求項5に記載の移動通信機。
  8. 前記優先条件を満たした移動通信機の無線信号の送信機会が向上するように、通信条件の調整を行う調整部をさらに備えている請求項1〜7のいずれか1つに記載の移動通信機。
  9. 前記調整部によって行われる前記通信条件の調整が、前記送信部による無線信号の送信待ち時間の調整とされている請求項8に記載の移動通信機。
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