JP5794152B2 - デジタルホログラフィにおける像再生方法 - Google Patents
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Description
デジタルホログラフィには、1)現像処理が不要で、撮影現場で再生像が得られる、2)一つのホログラムデータについて任意の再生距離で再生像が得られる、3)ホログラムデータや再生データはデジタルデータであるため容易に伝送、複製できるなどの利点がある。これらの特徴を活かし、デジタルホログラフィ技術を用いて物体(流体、生体細胞を含む)や機械振動等の3次元計測を目指す研究が盛んになされている。
位相シフトホログラフィ法の場合は、フルミラー108にピエゾ素子(PZT)を設けて参照光の光路長を変化させる。これにより参照光の位相をシフトさせて複数位相でのホログラムを順次記録する。尚、物体光は、物体に反射した光の場合と物体を透過した光の場合とがあるが、この例では、物体Mは噴霧された燃料のような粒子群であり、粒子群を透過した光が物体光となっている。
記憶装置114には、各種プログラムが予め記憶されて実行可能となっている。プログラムには、ホログラムデータに対してフレネル変換等の計算処理を施して像を再生する画像処理プログラム115が含まれる。コンピュータ109は、出力されたホログラムデータに対して画像処理プログラム115を実行し、得られた再生像を出力手段112に出力する。記憶装置114には、ホログラムデータ116や、得られた再生像データ117も記憶される。
例えば、特許文献1では、再生像の背景の部分について位相値を基準化し、物体像を表示している部分の位相を相対位相として物体像を再生することで像を鮮明化する技術が開示されている。
また、特許文献2では、再生計算を行う際に窓関数を用いてハレーションやスペックルノイズなどを低減させる技術が開示されている。
尚、本明細書では、「再生画面」という用語は、ホログラムデータに対して計算処理をすることで得られる画像全体を意味する用語として使用される。ホログラムデータは画像素子の出力であり、画像素子の撮像面の有効領域(以下、有効撮像領域という)は通常は方形であるので、ホログラムデータも方形の2次元空間領域における各点のデータである。したがって、ホログラムデータに対して計算処理を施して得られるデータも方形の2次元空間領域のデータであり、出力装置で出力すると図13に示すように全体としては方形の再生画面となる。この方形の再生画面の中に、目的とする物体の再生像が含まれることになる。
図13に示すような画面枠ノイズは、トリミングにより除去できる。即ち、再生画像において中央部分のみを取り出すように領域を設定し、領域外のデータをオミットして出力装置に出力するようにすれば取り除ける。しかしながら、目的とする再生像が大きい場合は、再生像の部分までもオミットしてしまうことになりかねない。つまり、画面枠ノイズをトリミングにより除去する方法では、目的とする再生像は小さいものにしておかなければならない。
このように、デジタルホログラフィでは、像再生時に生じる画面枠ノイズのため、撮像素子の利用効率が低下してしまう問題があり、本来使用できる有効撮像領域の一部が使用できない問題がある。本願発明は、第一にこのような課題を解決するためになされたものであり、画面枠ノイズを除去しつつ撮像素子の利用効率が低下しない像再生方法を提供することを目的としている。
デジタルホログラフィでは、ホログラムは撮像素子から出力される数値データ(ホログラムデータ)であり、これに対して数値計算処理を施して像を再生する。数値計算は、キルヒホッフの回折積分式に従って行われる。つまり、ホログラムデータが実際のホログラム(干渉縞)であると仮定し、そこを通過(又は反射)した光の回折による像をキルヒホッフの回折積分式に従った計算式で求めるものである。この際、ホログラム面(ホログラムが存在すると仮想する面)と、像を再生すると仮想する面との距離(以下、再生距離と呼ぶ)は、計算の際の近似の仕方に影響してくる。再生距離が近い場合にはフレネル近似が適用され、遠い場合にはフラウンホーファー近似が適用される。
したがって、デジタルホログラフィでは、像再生のための計算処理において再生距離を変更すれば、物体の位置を変更することなく奥行き方向(光軸方向)の異なる位置で物体を観察したことになり、奥行き方向において異なる位置の物体の像を得ることができることになる。
本願発明の第二の目的は、このような位相情報での像再生における再生距離変更時の明暗反転の問題を解決することにある。
再生距離を設定する再生距離設定ステップと、
前記ホログラムデータに対して、前記再生距離設定ステップで設定した再生距離に基づいて所定の像再生計算式に従って計算処理を施し、これによって前記ホログラムによる回折像の一次再生データを取得する一次再生ステップと、
前記再生距離ステップで設定された再生距離に基づいて補正用データを作成する補正用データ作成ステップと、
前記補正用データ作成ステップで作成された前記補正用データを前記一次再生ステップで取得された一次再生データから除去することで前記一次再生データを補正する補正ステップとを有しており、
前記再生距離は、ホログラムデータで表されるホログラムが存在すると仮想する面であるホログラム面と、物体の像を再生する仮想面である再生面との距離であり、
前記ホログラムデータについては、ホログラム面において当該ホログラムデータが分布している領域であるホログラムデータ領域が定義されており、
前記補正用データ作成ステップは、前記ホログラムデータ領域と同一の寸法及び形状の開口に対して再生用の光を照射した際に当該開口を通して得られる光について前記所定の像再生計算式と同一の計算式に従って計算処理を施し、これによって当該開口による回折像のデータを前記補正用データとして得るステップであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記補正用データ作成ステップは、前記開口の外側では値がゼロであり前記開口の内側では一定の値を有する白色開口データに対して前記所定の像再生計算式と同一の計算式に従って計算処理を施し、これによって前記補正用データを得るステップであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記一次再生データ及び前記補正用データは、前記再生面における光波の状態を示す複素振幅分布のデータであり、
前記補正ステップでは、前記一次再生データの複素振幅分布における各振幅と前記補正用データの複素振幅分布における各振幅との比を取り、その比の分布を強度情報での再生像データとするステップであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1、2又は3の構成において、前記一次再生データ及び前記補正用データは、前記再生面における光波の状態を示す複素振幅分布のデータであり、
前記補正ステップでは、前記一次再生データの複素振幅分布における各偏角と前記補正用データの複素振幅分布における各偏角との差分を取り、その差分の分布を位相情報での再生像データとするステップであるという構成を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、白色開口データを用いるので、撮像工程が増える問題がないという効果が得られる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、強度情報での像再生において、一次再生データの複素振幅分布における各振幅と補正用データの複素振幅分布における各振幅との比を取るので、コントラストの良いノイズ除去が行えるという効果が得られる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、位相情報での像再生において、一次再生データの複素振幅分布における各偏角と補正用データの複素振幅分布における各偏角との差分を取るので、再生距離変更時の明暗反転の問題も同時に解決できるという効果が得られる。
図1は、本願発明の第一の実施形態に係る像再生方法の概略を示したブロック図である。実施形態の方法は、撮像面で干渉する物体光と参照光との干渉縞であるホログラムを撮像素子で撮像することで得られたホログラムデータから物体の像を計算により再生するデジタルホログラフィにおける像再生方法である。図1に示すように、本実施形態の像再生方法は、再生距離設定ステップS1と、一次再生ステップS2と、補正用データ作成ステップS3と、補正ステップS4とを有している。
一次再生ステップS2は、ホログラムデータに対して、再生距離設定ステップS1で設定した再生距離に基づいて所定の像再生計算式に従って計算処理を施し、これによってホログラムによる回折像のデータ(一次再生データ)を取得するステップである。
補正用データ作成ステップS3は、再生距離設定ステップS1で設定された再生距離に基づいて補正用データを作成するステップである。
補正ステップS4は、補正用データ作成ステップS3で作成された補正用データにより一次再生データを補正するステップである。
また、図1に示すように、補正用データ作成ステップS3は、ホログラムデータの代わりに、後述する白色開口データに対して像再生計算処理を施して補正用データを得るステップである。白色開口データは、予め設定されたホログラムデータ領域に応じたデータとして用意される。
尚、図1に示すように、補正ステップS4を行った結果、強度情報での再生像データと位相情報での再生像データとが出力される。これらのデータにより、ディスプレイのような出力装置において各々再生像が得られる。強度情報での再生像データと位相情報での再生像データをさらに処理し、物体の3次元画像を得る場合もある。
撮像素子から出力されるホログラムデータ1は、各素子における光強度の信号(光強度分布)である。したがって、図2(1)に示すように、ホログラムデータ1は、g(x、y)と定義できる。但し、前述したように、ホログラムデータ1は、物体光と参照光とによってできた干渉縞(図2(1)中に一部拡大して符号2で示す)であり、この干渉縞2のパターンがg(x,y)である。図2(1)に示すように、計算を簡単にするため、再生面はホログラム面とz軸を共通にしたXY平面とされる。ホログラム面と再生面との距離Rは、前述した再生距離である。
再生面での複素振幅分布は、キルヒホッフの回折積分の式に従い、式1のように表せる。
式1において、λは再生光の波長、kは波数である。式1に対し、式2に示すフレネル近似を適用して代入すると、式3が得られる。
式3において、積分をフーリエ変換であるとみなして変形すると、式4が得られる。
式4においてFのカッコ内はフーリエ変換であることを示す。xやyは、撮像面の各ピクセルからの出力値であり、離散フーリエ変換をすることでG(X,Y)が得られる。
このように、デジタルホログラフィにおける像再生は、物体光と参照光との干渉によって形成される干渉縞を撮像素子によってホログラムデータとして記録し、ホログラムデータが実際のホログラム(干渉縞)であると仮定してそこに別の光(再生光)を入射させた場合にホログラムの干渉縞を通して得られる回折状態を計算により求めるものである。
つまり、図2(1)に示すように、像再生のための計算では、ホログラムデータ1で表現される干渉縞2を通過した光の回折像を求めているのみならず、「縁」を通る光の回折像をも必然的に求めてしまうのである。ここでの「縁」というのは、ホログラムデータ1が有限な領域のデータであることによるものである。つまり、ホログラムデータg(x,y)は、−x0≦x≦x0におけるデータであり、−y0≦y≦y0におけるデータだからである。このように、画面枠ノイズは、回折積分の式によって像を求めるデジタルホログラフィの像再生において本質的なものであり、避けられないものであるとも言える。以下、説明の都合上、この−x0≦x≦x0、−y0≦y≦y0の領域をホログラムデータ領域と呼ぶ。
尚、ホログラムデータ領域は、ホログラム面においてホログラムデータ1が分布している領域であるから、撮像素子の有効撮像領域と通常は一致している。但し、有効撮像領域よりも少し狭い領域を意図的に使用する場合もあり、その場合には両者は一致しない。
図2(2)に示すように、ホログラムデータ領域と同一の寸法形状を有する開口3を観念する。例えば、板状の部材にホログラムデータ領域と同一の寸法形状を有する孔を開けたマスクのようなものを考えれば良い。この開口3に対し、像再生の際と全く同様に再生光を照射したと仮定し、全く同様の計算式により回折像を求める。この場合、単なる開口を通した光であるから、得られる回折像はナイフエッジ効果による回折像、即ち縁を通る光の回折によって生じた像のみとなる。このようにして得た回折像は、ホログラフィの再生像における画面枠ノイズそのものであり、この回折像の分のデータをホログラフィの再生像のデータから取り除いておけば、画面枠ノイズの存在しない再生像が得られることになる。
実施形態の方法は、白色開口データに対してホログラムデータの場合と全く同様の計算処理を施して補正用データを作成し、これによって画面枠ノイズを除去する補正を行うものである。ノイズ除去に関しては、比を取るやり方や差分を取るやり方など、幾つかの方法があるが、本実施形態では、強度情報による像再生と位相情報による像再生のそれぞれについて最適化したやり方を採用している。以下、この点を具体的に説明する。
また、白色開口データに対して全く同様の計算処理を施して得た補正用データの複素振幅分布が、以下の式6で表されるものとする。
このように、本実施形態では、白色開口データに対して同様の計算処理を施して得た補正用の複素振幅分布によって一次再生データが補正されるので、画面枠ノイズが除去された再生像が出力される。この際、再生像のトリミングのような処理は不要であるので、画像素子の利用効率が低下してしまう問題はない。
図3及び図4に結果を示した実験の条件について説明すると、白色開口データとしては、実際の撮像素子の有効撮像領域を想定し、6.6mmの幅とした。また、再生光は波長632.8nmの平面波とし、第一の条件では再生距離は200mmとした。第二の条件では、再生距離を300nmだけ増加させ、他の条件は同じとした。300nmは、ほぼ1/2波長に相当する。
図3及び図4に示すように、各再生結果では、値が波打つように変化している。この波打ちは、再生面の中央において小さく、周辺部において大きくなっている。容易に理解されるように、この波打ちはフレネル回折による像そのものである。そして、周辺部の大きな波打ちが、上記問題とされる画面枠ノイズを示す部分である。尚、波打ちは中央に行くに従って振幅が小さくなっており、周期も短くなっている。中央部の周期の短い画面枠ノイズは、通常は、像を再生する出力装置(例えばディスプレイなど)の解像度よりも周期が短いことが多く、振幅が小さいこともあってノイズとして問題になることは少ない。
一方、図4に示すように、位相情報での再生結果では、第一の条件の場合も第二の条件の場合も、波形としては殆ど同じであるが、位相の値がオフセットされたように変化(シフト)してしまっている。即ち、第一の条件の場合は、(3/2)π程度の位相で値が振れているのに対し、第二の条件では、π/2を少し下回る程度の位相で値が振れている。このシフトが、上述した明暗の反転を示すものである。位相情報による像再生では、このような位相(偏角)の大きさを明暗に対応させて表示する。例えば、2πを一番明るくし、0を一番暗くするものとしてイメージ化すると、図4に示す例では、再生距離Rを300nm増加させただけでイメージは明から暗に急激に変化することになる。
実際の像再生では、図3及び図4に示すような波形に物体の像による波形が重畳されたものになるが、上記のように、再生距離を変更しながら像を再生すると、明暗が急激に変化する。背景が明暗を繰り返すので、像の観察がしづらい。
図5において、(1)は一次再生データによる再生結果を示し、(2)は補正用データによる再生結果を示し、(3)は補正後のデータによる再生結果を示す。補正用データによる再生結果は、白色開口データに対して同様の計算処理をして得た複素振幅分布から強度情報を取り出した結果である。また、補正後のデータとは、前述したように|A/Ac|2として取り出した強度情報のデータである。尚、中央の振幅の大きな波形部分は、再生像の部分のデータを表しているが、模式的なものであり、実際の再生像のデータを示すものではない。
図6に示すように、位相情報による像再生においても、一次再生データでは周辺部において見られた画面枠ノイズは、補正後のデータでは消失している。画面枠ノイズと全く同じ波形を有する補正用データで差分を取っているためである。尚、図6(1)に示すように、補正用データは、一次再生データに対して位相差を持ったものとなっているが、これも元データである白色開口データの値(前述したconstの値)によるものである。どの程度に値を設定しても、画面枠ノイズの部分については一次再生データと補正用データとは各座標点において同じ位相差を持つので、差分を取れば画面枠ノイズは消えてしまう。
しかし、比を取ってしまうと、画面枠ノイズは除去できても、明暗反転の問題は解決できない。というのは、再生距離を変更した場合、一次再生データと補正用データとの位相差は変化せずに保存されるが、その比の大きさについては、やはり周期的に変化してしまい、明暗反転が繰り返し現れてしまうからである。
このように、位相情報での像再生において、一次再生データと補正用データとの差分を取ることで、画面枠ノイズの除去に加え、再生距離を変更した場合の明暗反転の問題までも解決でき、一石二鳥的な効果がある。
尚、強度情報での像再生については、比を取らずに差分を取ることでも画面枠ノイズの除去は可能であるが、比を取った方がコントラストの良いノイズ除去ができる。
図7及び図8は、実施形態の方法の効果を確認した再生像の写真を示した図である。このうち、図7は、強度情報での像再生における補正を示し、図8は位相情報での像再生における補正を示す。図13と同じものであるが、補正の効果をわかり易くするため、図7及び図8には、補正前の再生像が示されている。
図7(1)は、図13(1)と同様の図で、補正前の強度情報での再生像を示す図である。図7の(2)は、図7(1)に示す再生像について補正する際に用いた補正用データによる強度情報での再生像の図である。図7(3)は、図7(2)に示す補正用データを用いて補正した強度情報での再生像を示す図である。
図7(2)に示すように、補正用データによる強度情報での再生像は、画面枠ノイズのみが映し出されたものとなっている。このデータで補正した再生像は、図7(3)に示すように、画面枠ノイズが除去された状態で映し出されている。
図8(2)に示すように、補正用データによる位相情報での再生像も、画面枠ノイズのみが映し出されたものとなっており、このデータで補正した再生像は、図8(3)に示すように、画面枠ノイズが除去された状態で映し出されている。
このように、実施形態の方法によれば、強度情報での再生においても位相情報での再生においても画面枠ノイズが除去された状態で再生像を得ることができる。
上記実施形態の方法は、実際には、コンピュータプログラム(以下、再生プログラムという)によって実行される。図9は、実施形態の方法を実行する再生プログラムの概略を示したフローチャートである。
前述したように、実施形態の方法は、白色開口データによって補正用データを作り、これによって一次再生データを補正する方法である。補正用データは、再生像を得る際と同じ条件で作るものであるから、計算式が変わったり、再生距離が変わったりした場合には、補正用データを作り直す必要がある。また、白色開口データは、ホログラムデータ領域と同一の寸法形状を有する開口に対して再生光を照射した際に得られると想定される光強度データであるから、ホログラムデータ領域が変更された場合、補正用データを作り直す必要がある。例えば撮像素子を変更したために有効撮像領域が変更になった場合、補正用データの作り直しを行う。通常は、再生のための計算式が変更されたり、撮像素子が変更されたりすることはないから、再生距離が変更されたかどうかだけのチェックをすることになる。
再生距離が変更されていると判断すると、再生プログラムは、図9に示すように補正用データの作成と更新を行う。補正用データは、前述したように、ホログラムの像再生と同じ計算処理を白色開口データに対して行うことで作成される。この際、計算式は変わらないが、再生距離は変更されているので、その変更された再生距離を当てはめて計算を行う。この際に得られる補正用データは、式6で表される複素振幅分布のデータである。
尚、再生距離が変更されていない場合には、この処理はスキップされる。前回の再生で使用した補正用データはメモリ等に記憶されており、それを読み出して使用することになる。
次に、再生プログラムは、一次再生データの補正と像表示用のデータの取り出しとを行う。即ち、一次再生データから強度情報を取り出した上で補正用データの強度情報で補正し、それを補正済みの強度情報での再生像データとしてメモリに記憶する。また、一次再生データから位相情報を取り出した上で補正用データの位相情報で補正し、それを補正済みの位相情報での再生像データとしてメモリに記憶する。強度情報の処理と位相情報の処理とは、順序が逆であっても良い。
また、再生距離が変更されていない場合、補正用データから取り出される強度情報での再生像データや位相情報での再生像データは、前回の再生と同じものとなるので、それら補正用の再生像データをメモリ等に記憶しておき、読み出して利用するようにしても良い。このようにすると、補正用データを処理して補正用の再生像データを得るステップは省略できるので、好適である。
再生装置は、ホログラムデータに対して計算処理を施すことで物体の像を再生する装置である。再生装置は、再生のみを行う装置として構成されることもあり得るが、通常は、デジタルホログラフィ装置の一部として構成される。図10に示す装置もそのような構成となっている。
別の構成として、再生距離を変更する専用の操作部(ハードウェア)を用意する構成も考えられる。操作部としては、例えば操作つまみやスライダが考えられる。操作部では、操作量に応じた信号が出力され、再生距離の数値データに変換されて再生プログラムに渡される。
第一の実施形態では、数値的に予め設定される白色開口データを用いて一次再生データの補正を行ったが、この第二の実施形態では、実際に撮像素子に光を入射させて得たデータで一次再生データを補正するようにしている。この際、撮像素子に至る光学系に存在する要因の影響で発生するノイズ(以下、バックグラウンドノイズという)も除去できるよう工夫している。
白色開口データは、前述したように撮像素子の有効撮像領域と同一の寸法形状を有する開口を通して光照射したと想定した際に当該開口から出射される光強度分布のデータである。この際、ホログラムデータを得る際に用いる光源及び光学系と同じものを使用して実際に撮像素子に光を入射させて補正用のデータを得るようにすれば、画面枠ノイズに加え、バックグラウンドノイズも除去できるメリットがある。図11に示す実施形態は、このような方法となっている。
また、反射モードでは、物体Mや撮像素子6の位置等が透過モードの場合と若干異なる。反射モードの場合、統合用のハーフミラー106の出射側に物体Mが置かれる。物体Mからの反射光は、ハーフミラー106に反射し、ハーフミラー106を透過する参照光と一緒になって撮像素子6に入射する光学系とされる。補正用データを得る際には、物体Mの代わりにミラー9を光軸に対して垂直に配置する。ミラー9は、平坦性が高く反射率がほぼ100%の高性能のものが用いられる。ミラー9に反射した光は、同様にハーフミラー106によって統合されて撮像素子6に入射し、干渉縞が撮像される。
但し、第一の実施形態と比べると、補正用データの作成のために別途撮像工程が必要になってしまうという欠点はある。つまり、第一の実施形態の方法は、別途撮像工程が必要になることはないという点で、第二の実施形態に比べるとメリットがあると言える。尚、撮像素子に光照射した際に出力されるデータは、撮像素子の撮像面という開口からの光のデータと言えるものであり、ホログラムデータ領域は、撮像素子の有効撮像領域と等価であるとすることができるので、第二の実施形態の構成も、ホログラムデータ領域と同一の寸法形状の開口からの光により補正用データを得るものである。
2 干渉縞
3 開口
4 光源
5 物体光用導光系
6 撮像素子
7 参照光用導光系
8 コンピュータ
81 再生距離変更手段
R 再生距離
M 物体
Claims (4)
- 参照光と光照射された物体からの光である物体光との干渉縞であるホログラムを撮像素子で撮像することで得られたホログラムデータから物体の像を計算により再生するデジタルホログラフィにおける像再生方法であって、
再生距離を設定する再生距離設定ステップと、
前記ホログラムデータに対して、前記再生距離設定ステップで設定した再生距離に基づいて所定の像再生計算式に従って計算処理を施し、これによって前記ホログラムによる回折像の一次再生データを取得する一次再生ステップと、
前記再生距離ステップで設定された再生距離に基づいて補正用データを作成する補正用データ作成ステップと、
前記補正用データ作成ステップで作成された前記補正用データを前記一次再生ステップで取得された一次再生データから除去することで前記一次再生データを補正する補正ステップとを有しており、
前記再生距離は、ホログラムデータで表されるホログラムが存在すると仮想する面であるホログラム面と、物体の像を再生する仮想面である再生面との距離であり、
前記ホログラムデータについては、ホログラム面において当該ホログラムデータが分布している領域であるホログラムデータ領域が定義されており、
前記補正用データ作成ステップは、前記ホログラムデータ領域と同一の寸法及び形状の開口に対して再生用の光を照射した際に当該開口を通して得られる光について前記所定の像再生計算式と同一の計算式に従って計算処理を施し、これによって当該開口による回折像のデータを前記補正用データとして得るステップであることを特徴とするデジタルホログラフィにおける像再生方法。 - 前記補正用データ作成ステップは、前記開口の外側では値がゼロであり前記開口の内側では一定の値を有する白色開口データに対して前記所定の像再生計算式と同一の計算式に従って計算処理を施し、これによって前記補正用データを得るステップであることを特徴とする請求項1記載のデジタルホログラフィにおける像再生方法。
- 前記一次再生データ及び前記補正用データは、前記再生面における光波の状態を示す複素振幅分布のデータであり、
前記補正ステップでは、前記一次再生データの複素振幅分布における各振幅と前記補正用データの複素振幅分布における各振幅との比を取り、その比の分布を強度情報での再生像データとするステップであることを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルホログラフィにおける像再生方法。 - 前記一次再生データ及び前記補正用データは、前記再生面における光波の状態を示す複素振幅分布のデータであり、
前記補正ステップでは、前記一次再生データの複素振幅分布における各偏角と前記補正用データの複素振幅分布における各偏角との差分を取り、その差分の分布を位相情報での再生像データとするステップであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のデジタルホログラフィにおける像再生方法。
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