JP5794070B2 - フィルム検査システム、フィルム検査方法 - Google Patents
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Description
すなわち、明光位状態でフィルムを撮像した画像上で、正常部に対する暗領域として現れる箇所は、フィルムに欠陥が生じることにより、フィルムの配向特性が設計値と異なっている箇所である。
フィルムに生じた欠陥は、さらに、消光位から少しずれた状態でフィルムを撮像した画像上でも、その種類により、正常部に対する明領域、あるいは暗領域として現れる。欠陥が暗領域としても現れるのは、フィルムを完全に消光位の状態として撮像を行わないためである。
これら双方の撮像装置でフィルムを撮像した画像を比較参照することで、一方の撮像装置で撮像した画像のみからは判別できない欠陥の種類も、正確に判別できるようになる。
さらに、明光位状態でフィルムを撮像した画像の輝度(画素値)を基準として欠陥を判別できる。例えば、欠陥として、光学補償フィルムの液晶層にピンホールが生じている場合や泡が混入している場合等と、光学補償フィルムの液晶層に窪みが生じている場合等では、画像上の輝度が異なり、光学補償フィルムの液晶層にピンホールが生じている場合や泡が混入している場合、より低輝度となる。従って、上記の第1の閾値より低い第2の閾値を用いてこれらを判別できる。
フィルムを消光位から少しずれた状態で撮像した画像上で暗領域や明領域として現れる箇所は、欠陥の種類によって、フィルムの配向特性が設計値と異なっている箇所であるので、これにより欠陥の種類の判別を好適に行える。
例えば、明光位状態でフィルムを撮像した画像から、前記の第2の閾値を用いた判定により光学補償フィルムの液晶層にピンホールが生じている、あるいは泡が混入している等とされる場合、消光位から少しずれた状態でフィルムを撮像した画像における暗領域や明領域を参照することにより、ピンホールが生じている場合、泡が混入している場合等を判別できる。
これにより、例えば、明光位状態でフィルムを撮像した画像から、前記の第2の閾値を用いた判定により、光学補償フィルムに窪み等が生じているとされる場合、前記と同様、消光位から少しずれた状態でフィルムを撮像した画像を参照することにより、光学補償フィルムの液晶層に窪み(のみ)が生じている場合、透明で内部歪みを有する接着材のかす等の異物が混入しその周囲に窪みが生じている場合等を判別できる。
さらに、前記画像処理装置は、前記判別ステップにおいて、前記第1の暗領域として抽出される欠陥候補について、前記第2の閾値よりも低輝度の領域があると判定されない場合、前記第2の画像データにおいて、該欠陥候補に対応する、第5の閾値よりも高輝度の輝点があり、かつ前記輝点の位置が該欠陥候補の位置から所定の範囲内にあるか否かを判定することが望ましい。
照明5a、5bは、それぞれ偏光板51a(第1の偏光板)、51b(第3の偏光板)を介して光学補償フィルム10を照明し、ラインセンサ3a、3bは、それぞれ偏光板31a(第2の偏光板)、31b(第4の偏光板)を介して光学補償フィルム10を撮像する。
また、ラインセンサ3b、照明5b、偏光板31b、51b、および光学補償フィルム10のラインセンサ3bによる撮像範囲は、暗箱8bの内部にあり、消光位検査部1bを構成する。
これら明光位検査部1a、消光位検査部1bについては後述する。
光学補償フィルム10は、搬送ローラ等の不図示の搬送手段により、図中矢印に示す搬送方向に搬送されつつ、ラインセンサ3a、3bによる撮像が行われる。
光学補償フィルム10を図中矢印に示す方向に搬送しつつ、ラインセンサ3a、3bで撮像範囲11a、11bの撮像をそれぞれ行うことにより、明光位検査部1a、消光位検査部1bの双方で光学補償フィルム10全体が撮像される。
図3は、光学補償フィルム10の搬送方向(フィルム搬送方向)を横軸とするとともに、これと直交する光学補償フィルム10の幅方向(フィルム幅方向)を縦軸としたグラフ上で、偏光板31a、31b、51a、51bの偏光方向および光学補償フィルム10の配向方向(フィルム配向方向)を示したものである。
ラインセンサ3aの受光量は多く、光学補償フィルム10を撮像した画像データ20a(第1の画像データ)の輝度(画素値)は全体的に高くなり明るくなる。
ラインセンサ3bの受光量は少なくなるので、光学補償フィルム10を撮像した画像データ20b(第2の画像データ)の輝度は全体的に低くなり暗くなる。
ラインセンサ3a、3bは、それぞれの受光量等に応じて感度やレンズ絞り等が適切なものを用いる。
CPUは、記憶部12、ROM、記憶媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス18を介して接続された各装置を駆動制御し、画像処理装置7が行う後述する処理を実現する。ROMは不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAMは揮発性メモリであり、記憶部12、ROM、記憶媒体等からロードしたプログラム、データ等を一時的に保持するとともに、制御部11が各処理を行う為に使用するワークエリアを備える。
これらの各プログラムコードは、制御部11により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて各種の手段として実行される。
通信制御部14は、通信制御装置、通信ポート等を有し、他の装置との通信を媒介する通信インタフェースであり、ネットワークを介して他の装置との通信制御を行う。ネットワークは、有線、無線を問わない。
表示部16は、CRTモニタ、液晶パネル等のディスプレイ装置、およびディスプレイ装置と連携して、表示機能を実現するための論理回路等を有する。
バス18は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
図7に示すように、画像処理装置7は、画像データ取得部71、欠陥候補抽出部73、欠陥種類判別部75、結果出力部77等を有し、記憶部12に画像データ20(20a、20b)を記憶する。
従って、該照明光は偏光方向0°の偏光板31aを透過せず、ピンホール105が形成された部分は、画像データ20a上で、周囲の正常部に対し低輝度となる。
ただし、泡106が形成された液晶層103を透過した照明光が、偏光方向0°の偏光板31aを透過する量は、周囲の正常部を透過した照明光に比べ小さく、泡106が形成された部分は、画像データ20a上で、正常部に対しピンホール105の場合と同程度に低輝度となる。
消光位検査部1bの場合、泡106が形成された液晶層103を透過した照明光が、偏光方向(135+θ)°の偏光板31bを透過する量は、周囲の正常部を透過した照明光に比べ大きくなる。従って、泡106が形成された部分は、画像データ20b上で、正常部に対し高輝度となる。
この円偏光からのずれ分、偏光方向0°の偏光板31aを透過しラインセンサ3aに入射する照明光の光量は減少する。上記の円偏光からのずれは、窪み107の中心に向かい膜厚が小さくなるほど大きくなるので、窪み107の部分は、画像データ20a上で、周囲の正常部に対し、中心に向かうにつれ輝度が低下する。ただし、本実施形態では、画像データ20a上の窪み107の部分は、最も暗い箇所であってもピンホール32や泡33の箇所よりも高輝度である。
この楕円偏光へのずれ量が小さくなった分(偏光方向(45+θ)°の直線偏光に近づいた分)、偏光方向(135+θ)°の偏光板31bを透過しラインセンサ3bに入射する照明光の光量は減少する。楕円偏光へのずれは、窪み107の中心に向かい膜厚が小さくなるほど小さくなるので、窪み107の部分は、画像データ20b上で、周囲の正常部に対し、中心に向かうにつれ輝度が低下する。ただし、図5等で説明したように、消光位検査部1bでは膜厚の変化による受光量の変化は緩やかであり、周囲の正常部との輝度差は比較的小さい。また、前記と同様、画像データ20b上の窪み107の部分は、最も暗い箇所であってもピンホール32の箇所よりも高輝度である。
図14(a)は、閾値TH1により検出された、ピンホール32の暗領域21、泡33の暗領域21、シミ34の暗領域21、異物35の暗領域21を示したものである。閾値TH1は、画像データ20a上でピンホール32、泡33、シミ34、異物35の欠陥候補を暗領域21として抽出できるように適当な値を定め、記憶部12に記憶させておく。
図14(b)の左図は、閾値TH2により検出された、泡33の明領域22、異物35の明領域22を示したものである。また、図14(b)の右図は、閾値TH3により検出されたピンホール32の暗領域23を示したものである。閾値TH2は、画像データ20b上で泡33等の欠陥候補を明領域22として抽出できるように、また閾値TH3は画像データ20b上でピンホール32の欠陥候補を暗領域23として抽出できるように、適当な値を定め記憶部12に記憶させておく。
閾値THpは、画像データ20a上でピンホール32、泡33の欠陥候補と、それ以外の欠陥候補(シミ34等)の箇所の輝度を判別できるように予め適当な値を定めておき、記憶部12に記憶しておく。
例えば、画像処理装置7の制御部11は、画像データ20aで暗領域21として抽出された欠陥候補について、これと重心座標が一致するとみなせる所定の範囲を重心座標とする画像データ20b上の明領域22や暗領域23の欠陥候補があるかを、欠陥候補情報40b、40cを照合して判定する。上記の所定の範囲はあらかじめ記憶部12に記憶しておく。
すなわち、図14(a)、図14(b)に示すように、画像データ20aで暗領域21として抽出される(かつ閾値THpより低輝度の箇所を有する)泡33の欠陥候補は、画像データ20b上で明領域22としてのみ抽出されるためである。
すなわち、図14(a)、図14(b)に示すように、画像データ20aで暗領域21として抽出される(かつ閾値THpより低輝度の箇所を有する)ピンホール32の欠陥候補は、画像データ20b上で暗領域23としてのみ抽出されるためである。
図14(a)、図14(b)の例にはないが、前記の異物108と同様の異物がピンホール32の内部に存在する場合、異物については、図11で説明した例と同様、消光位検査部1bの画像データ20b上で明領域22として現れるとともに、ピンホール32については、図8で説明した例と同様、消光位検査部1bの画像データ20b上で暗領域23として現れるためである。
図14(a)、図14(b)に示すように、窪み部分を周囲に有する異物35は、周囲の窪み部分が画像データ20a上の暗領域21として抽出されるとともに、画像データ20bにおいて該暗領域21の重心に対応する位置に、異物35が明領域22として現れるためである。
図14(a)、図14(b)に示すように、シミ34の欠陥の場合、液晶層103の窪み部分が画像データ20a上の暗領域21として抽出され、かつ画像データ20bにおいて該暗領域21の重心に対応する位置に、異物35の場合のような明領域22が存在しないためである。
すなわち、明光位状態で光学補償フィルム10を撮像した画像データ20a上で、正常部に対する暗領域21として現れる箇所は、光学補償フィルム10に欠陥が生じることにより、光学補償フィルム10の配向特性が設計値と異なっている箇所である。
光学補償フィルム10に生じた欠陥は、さらに、消光位から少しずれた状態で光学補償フィルム10を撮像した画像データ20b上でも、その種類により、正常部に対する明領域22、あるいは暗領域23として現れる。欠陥が暗領域23としても現れるのは、フィルムを完全に消光位の状態として撮像を行わないためである。
これら双方の画像データ20a、20bを比較参照して、一方の画像データのみからは判別できない欠陥の種類も、正確に判別できるようになる。
さらに、この画像データ20aにより、輝度を基準として欠陥を判別できる。例えば、欠陥として、光学補償フィルム10の液晶層103にピンホール105が生じている場合や泡106が混入している場合等と、光学補償フィルム10の液晶層103に窪み107が生じている場合等では、画像上の輝度が異なり、光学補償フィルム10の液晶層103にピンホール105が生じている場合や泡106が混入している場合、より低輝度となる。従って、閾値TH1より低い前記の閾値THpを用いてこれらを判別できる。
本実施形態では、明光位検査部1aの画像データ20aから、前記の閾値THpを用いた判定により、光学補償フィルム10の液晶層103にピンホール105が生じている、あるいは泡106が混入している等とされる場合、消光位検査部1bの画像データ20bにおける明領域22や暗領域23を参照することにより、ピンホール105が生じている場合、泡106が混入している場合等を判別できる。
一方、明光位検査部1aの画像データ20bから、前記の閾値THpを用いた判定により、光学補償フィルム10に窪み107等が生じているとされる場合にも、消光位検査部1bの画像データ20bを参照することにより、光学補償フィルム10の液晶層103に窪み107(のみ)が生じている場合、異物108が混入しその周囲に窪み109が生じている場合等を判別できる。
本実施形態のフィルム検査システム1は、前記のように明光位状態で光学補償フィルム10を撮像した画像データ20aと、消光位から少しずれた状態で光学補償フィルム10を撮像した画像データ20bを比較参照することにより、このような、一方の画像データのみでは欠陥の種類を判別困難なものについても、その種類を精度よく判別可能としたものである。
このような場合、前記のS202の判定ではYESとなるが、その後、画像データ20aで暗領域21として抽出された欠陥候補について、暗領域21の元画像中に閾値THpより高輝度かつ閾値TH1より低輝度の領域(即ち、図11の液晶層103の窪み109部分の輝度に対応する領域)が存在するか(所定の面積を有するか)を判定し、該領域が存在する場合に、照明光を透過しない、あるいは内部に歪を有しない異物が混入した欠陥であると判定することができる。
例えば、本実施形態は光学補償フィルムの検査を行う例を示したが、光学異方性を有するフィルム状の対象物であれば、同様の検査を行うことも可能である。
1a………明光位検査部
1b………消光位検査部
3a、3b………ラインセンサ
5a、5b………照明
7………画像処理装置
10………光学補償フィルム
20、20a、20b………画像データ
31a、31b、51a、51b………偏光板
71………画像データ取得部
73………欠陥候補抽出部
75………欠陥種類判別部
77………結果出力部
Claims (6)
- 光学異方性を有するフィルムの欠陥を検査するフィルム検査システムであって、
第1の偏光板を介して照明光が照射された前記フィルムを、第2の偏光板を介して撮像する第1の撮像装置と、
第3の偏光板を介して照明光が照射された前記フィルムを、第4の偏光板を介して撮像する第2の撮像装置と、
前記第1の撮像装置で撮像した前記フィルムの第1の画像データと、前記第2の撮像装置で撮像した前記フィルムの第2の画像データを用いて、前記フィルムの欠陥候補の検出を行うとともに、前記欠陥候補の種類を判別する画像処理装置と、を具備し、
前記画像処理装置は、
前記第1の画像データから、第1の閾値よりも低輝度の第1の暗領域を欠陥候補として抽出する欠陥候補抽出部と、
前記第1の暗領域について、前記第1の閾値より低い第2の閾値よりも低輝度の領域があるか否かを判定する欠陥候補判別部と、を有し、
前記第1の偏光板と、前記第2の偏光板の偏光方向は略直交し、
前記第3の偏光板と、前記第4の偏光板の偏光方向は略直交し、
前記第2の偏光板の偏光方向と、光学異方性を有する前記フィルムの配向方向とが、略45°の角度をなし、
前記第4の偏光板の偏光方向と、光学異方性を有する前記フィルムの配向方向とのなす角度を、90°から所定角度ずらしたことを特徴とするフィルム検査システム。 - 前記欠陥候補判別部は、
前記第1の暗領域として抽出される欠陥候補について、前記第2の閾値よりも低輝度の領域があると判定される場合、
前記第2の画像データにおいて、該欠陥候補に対応する、第3の閾値よりも高輝度の明領域があるか否か、および、該欠陥候補に対応する、前記第3の閾値より低い第4の閾値よりも低輝度の第2の暗領域があるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のフィルム検査システム。 - 前記欠陥候補判別部は、
前記第1の暗領域として抽出される欠陥候補について、前記第2の閾値よりも低輝度の領域があると判定されない場合、
前記第2の画像データにおいて、該欠陥候補に対応する、第5の閾値よりも高輝度の輝点があり、かつ前記輝点の位置が該欠陥候補の位置から所定の範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2記載のフィルム検査システム。 - 光学異方性を有するフィルムの欠陥を検査するフィルム検査方法であって、
第1の撮像装置により、第1の偏光板を介して照明光が照射された前記フィルムを、第2の偏光板を介して撮像するステップと、
第2の撮像装置により、第3の偏光板を介して照明光が照射された前記フィルムを、第4の偏光板を介して撮像する撮像ステップと、
画像処理装置により、前記第1の撮像装置で撮像した前記フィルムの第1の画像データと、前記第2の撮像装置で撮像した前記フィルムの第2の画像データを用いて、前記フィルムの欠陥候補の検出を行うとともに前記欠陥候補の種類を判別する判別ステップと、を具備し、
前記画像処理装置は、前記判別ステップにおいて、
前記第1の画像データから、第1の閾値よりも低輝度の第1の暗領域を欠陥候補として抽出し、
前記第1の暗領域について、前記第1の閾値より低い第2の閾値よりも低輝度の領域があるか否かを判定し、
前記第1の偏光板と、前記第2の偏光板の偏光方向は略直交し、
前記第3の偏光板と、前記第4の偏光板の偏光方向は略直交し、
前記第2の偏光板の偏光方向と、前記光学異方性を有するフィルムの配向方向とが、略45°の角度をなし、
前記第4の偏光板の偏光方向と、前記光学異方性を有するフィルムの配向方向とのなす角度を、90°から所定角度ずらしたことを特徴とするフィルム検査方法。 - 前記画像処理装置は、前記判別ステップにおいて、
前記第1の暗領域として抽出される欠陥候補について、前記第2の閾値よりも低輝度の領域があると判定される場合、
前記第2の画像データにおいて、該欠陥候補に対応する、第3の閾値よりも高輝度の明領域があるか否か、および、該欠陥候補に対応する、前記第3の閾値より低い第4の閾値よりも低輝度の第2の暗領域があるか否かを判定することを特徴とする請求項4記載のフィルム検査方法。 - 前記画像処理装置は、前記判別ステップにおいて、
前記第1の暗領域として抽出される欠陥候補について、前記第2の閾値よりも低輝度の領域があると判定されない場合、
前記第2の画像データにおいて、該欠陥候補に対応する、第5の閾値よりも高輝度の輝点があり、かつ前記輝点の位置が該欠陥候補の位置から所定の範囲内にあるか否かを判定することを特徴とする請求項4または請求項5記載のフィルム検査方法。
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