JP5793940B2 - 現像装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
通常、このような現像装置における現像ローラは、回転駆動される円筒状の現像スリーブと、この現像スリーブ内に内挿され、回転しないように装置筺体に固定された円柱状のマグネットローラとからなる。
しかしながら、現像ローラの外径を小さくすると、磁気ブラシが現像スリーブ上をスリップするなどして、現像位置に到るまでに現像スリーブ上から現像剤が剥離する現象が生じことが判明した。
現像スリーブ500は、感光体ドラムに対向する位置において、装置ハウジング504に設けられた開口部から外部に露出するようになっており、図7は当該開口部から現像スリーブ500の表面を見たときの斜視図である。
このような剥離現象が発生すると、感光体ドラム上に形成された静電潜像の現像不良を来たし、画質を低下させる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、現像ローラの外径を小さくした場合であっても、画質の低下を抑制可能な現像装置および当該現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
なお、本発明は、上記現像装置を備えた画像形成装置としてもよい。
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置を備える画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の構成を説明するための概略図である。
<画像プロセス部>
画像プロセス部3は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部3Y,3M,3C,3K、光学部10、中間転写ベルト11などを備えている。
光学部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、感光体ドラム31Y〜31Kを露光走査させる。
一方、給紙部4は、記録シートSを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えており、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から記録シートSを二次転写位置に給送し、二次転写ローラ45の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シートS上に二次転写される。
<現像器の構成>
上記現像器33Y〜33Kは、供給するトナーの色が異なる以外は、いずれも同様の構成であるため、以下、現像器33Yを例に挙げて説明し、その他の現像器については説明を省略する。
現像器33Yは、トナーとキャリアを含む2成分現像剤を使用したものであって、現像槽となるハウジング134Y内に、攪拌部材133Y、供給部材132Y、現像ローラ131Y、規制部材241Yを配してなる。
供給部材132Yは、現像ローラ131Yの下方に位置するスクリューであり、回転しつつ現像ローラ131Yに現像剤(不図示)を供給する。
現像ローラ131Yは、感光体ドラム31Yにトナーを運ぶローラであって、円筒形の現像スリーブ240Yと、現像スリーブ240Yの内部にローラ軸方向に沿って挿通されるマグネットローラ230Yを備えている。
マグネットローラ230Yは、複数のマグネットピースが円柱状の軸芯220Yに設けられてものである。
なお、軸芯220Yは、回転しないようにローラ軸方向の両端部がハウジング134Yに固定されている。
より具体的には、従来のマグネットローラの外径が、28[mm]であったのに対し、本実施の形態に係るマグネットローラ230Yでは、外径が14[mm]に設定されている。
なお、従来のマグネットローラを外套する現像スリーブは、外径が30[mm]、内径が29[mm]となっている。
本実施の形態に係る現像装置では、上記所定の間隔は、例えば0.5〔mm〕に設定されている。
以下、トナーが感光体ドラム31Yに搬送される原理について説明する。
現像スリーブ240Yは、表面に微小な凹凸が設けられているため、現像スリーブ240Yが矢印C方向に回転するのに伴い、現像剤(トナー+磁性キャリア)はマグネットローラ230Yに担持されながら回転方向上流側に搬送される。
(3)さらに、回転方向下流側へ現像剤が搬送されると、規制極233Y上に到達する。
当該規制極233Yの鉛直方向上流には規制部材241Yが設けられており、搬送されてきた現像剤の量が適切に調整される。
(4)続いて、規制部材241Yを通過した現像剤は、現像極234Yに移動する。
また、この位置は、マグネットローラ230Yと感光体ドラム31Yとの対向する位置であり、マグネットローラ230Yに印加された現像バイアスと、感光体ドラム31Yと表面電位との関係により、磁気ブラシのトナーが感光体ドラム31Y側に誘引され、当該感光体ドラム31Y上の静電潜像が現像される。
さらに、この現像剤は、現像スリーブ240Yの搬送力によって回転方向下流側のキャッチ極231Yに移動しようとするが、剥離極235YはS極であり、キャッチ極231YもS極であるため、この2極間には反発力が働き、現像剤はキャッチ極231Yに移動することができず、下方のハウジング134Yへと落下する。
しかしながら、コンパクト化のため従来よりもマグネットローラ230Yの外径を小さく設定した本実施の形態における現像器33Yでは、現像位置において、現像剤が現像スリーブ上から剥離する現象(以下では、デベロッパー(現像剤)が剥げるという意味で、「デベ剥げ」と略す。)が生じ易いことが判明した。
このようなデベ剥げが生じると、感光体ドラム31Y上に形成された静電潜像の現像不良が生じて、画像の濃度が低下し、もしくは、デベ剥げが発生するときに飛散するトナーにより、本来白地である部分に画像が形成される、いわゆる地肌かぶりなどの問題が生じ、その結果、画質を低下させる。
本実施の形態における現像器33Yは、マグネットローラ230Yが後述の磁束条件1を満足するように構成されている。
以下、上記磁束条件1の導出方法について詳細に説明する。
そして、デベ剥げが発生するマグネットローラと発生しないマグネットローラの磁気特性を、磁気特性測定装置(中部電機製)を用いて調査した。
当該現像スリーブは、上記実施の形態における現像スリーブ240Yと同一のものである。
この状態で、マグネットローラの中心部の軸に固定されたマグネットピースを回転させることにより、マグネットローラの全周における磁気特性を測定することができる。
図3(a)は、デベ剥げが発生している現像スリーブにおいて、上記法線方向成分Brが、周方向においてどのように変化しているのかを示すグラフである。
複数のピークが存在するが、これらは各マグネットピースの位置と対応している。
つまり、ピーク点P1は、キャッチ極の位置に対応し、ピーク点P2は、搬送極の位置に対応し、ピーク点P3は、規制極の位置に対応し、ピーク点P4は、現像極の位置に対応し、ピーク点P5は、剥離極の位置に対応している。
ここでは、角度θの基準位置、即ち、0[°]となる位置を、規制極と現像極との間においてBrの値が0となる位置と一致させて表示している。
同図の縦軸は、上記接線方向成分Bθの値を示す。
ここで、+の側は、現像剤をマグネットローラの回転方向下流側に移動させようとする磁束の密度の大きさを示し、−の側は、現像剤を回転方向上流側に移動させようとする磁束の密度の大きさを示す。
発明者は、実際にデベ剥げが発生している規制極から現像極にかけての領域に着目した。
すると、デベ剥げの発生が特に顕著であったのは、法線方向磁東密度(Br)が0[mT]となる位置の近傍であって、上記角度θの値が5[°]となる付近であることが判明した。
より具体的には、図4(a)は、上記3本のマグネットローラにおける、Brとθとの関係を示し、図4(b)は、上記3本のマグネットローラにおける、Bθとθとの関係を示している。
また、図4(b)をみると、デベ剥げが発生している他のマグネットローラよりも、デベ剥げが未発生のマグネットローラの方が、角度θの値が10[°]から30[°]の間で生じるBθのピーク点が、角度θの値が0[°]により近い位置で生じ、角度θの値が5[°]周辺において、他のものよりも比較的変化が大きいことがわかる。
図5は、その試験結果を示すグラフである。
同グラフ中の横軸は、角度θが5[°]の周辺における∂Br/∂θの値、つまり、Brをθで偏微分した値を示す。
ここで、凡例の○は、デベ剥げが未発生であることを示し、△は軽微なデベ剥げが発生したことを示し、×はデベ剥げが発生したことを示す。
この結果から、デベ剥げを防止するには、以下の磁束条件を満足することが必要であることが判明した。
(磁束条件1)
2.5≦∂Br/∂θ≦5.0
かつ、
−3.5≦∂Bθ/∂θ≦−0.5
以上の条件は、軽微なデベ剥げの発生を許容した条件であるため、さらに、デベ剥げの発生を抑制するためには、以下の条件を満足することが好ましい。
(磁束条件2)
3.0≦∂Br/∂θ≦5.0
かつ
−3.0≦∂Bθ/∂θ≦−1.0
これにより、デベ剥げの発生を防止できることができ、安定した画質を得ることができる。
なお、当該マグネットローラを外套する現像スリーブは、外径が12[mm]、内径が11[mm]となっている。
このグラフの見方は、図5と同様であるため、同グラフについての説明は省略する。
同グラフに示すように、外径が10[mm]のマグネットローラおいても、上記磁束条件1を満足する範囲では、デベ剥げが未発生であるか、もしくは、軽微なデベ剥げのみが発生していることがわかる。
このように、マグネットローラの外径を10[mm]においても、磁束条件1および2を満足する構成とすることにより、デベ剥げの発生を抑制することができる。
以上のことから、マグネットローラの外径が、少なくとも10[mm]以上、14[mm]以下の範囲においては、上記磁束条件1または2を満足することにより、デベ剥げの発生を抑制することができるものと考えられる。
即ち、現像極は、磁気ブラシを形成するために、他極よりBrが大きくなるように構成されており、∂Br/∂θの値の大きさは、磁気ブラシの成長スピードに影響を与えているものと考えられる。
つまり、∂Br/∂θの値が大きい場合、磁気ブラシの成長スピードが速く、また、∂Br/∂θの値が小さい場合、磁気ブラシの成長スピードが遅いことが予想される。
一方、∂Br/∂θの値が小さすぎる場合、磁気ブラシは、現像極の中央部分に到達するまでに、高さが低い状態が長く続くことになる。
このような状態の現像剤の塊が回転方向にいくつも点在すると、それぞれの裾野同士が互いに接触して、互いに繋がろうとすることが予想される。
また、縦軸に示された∂Bθ/∂θの値が、小さすぎる場合、現像剤を周方向に移動させようとする磁束密度の増加度合いが少ないので、現像剤が規制極付近に留まり易くなり、デベ剥げが発生すると考えられる。
なお、このようなデベ剥げの発生は、画質向上のために現像極の高磁力化を図った場合においても発生することが確認されており、このような場合にも、マグネットローラ230Yを後述の磁束条件1を満足するように構成することで、デベ剥げの発生を抑制することができることが確認された。
<変形例>
本発明は、上述のような実施の形態に限られるものではなく、次のような変形例も実施することができる。
(2)また、上記実施の形態では、感光体ドラム31Yと現像スリーブ240Yとが、互いに対向する部分において、カウンター方向に回転している構成となっているが、これに限られず、同方向に回転させてもよい。
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着部
10 光学部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
3Y,3M,3C,3K 作像部
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
34 一次転写ローラ
35 クリーナ
41 給紙カセット
42 ローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
50 ハウジング
52 供給部材
60 制御部
71 排出ローラ対
72 排出トレイ
131 現像ローラ
132 供給部材
133 攪拌部材
134 ハウジング
220 軸芯
230 マグネットローラ
231 キャッチ極
232 搬送極
233 規制極
234 現像極
235 剥離極
240 現像スリーブ
241 規制部材
Claims (2)
- 周面に複数の磁極を有する固定マグネット体を外套し、一方向に回転されることにより、前記マグネット体と協働して、所定の受取位置で磁性粒子を含んだ現像剤を受け取り、磁気ブラシを形成して搬送する円筒状のスリーブを備えた現像装置において、
前記固定マグネット体は、円筒状であって、その外径は、10[mm]以上、14[mm]以下であり、
前記複数の磁極は、
前記磁気ブラシを形成する現像極と、
前記現像極の前記搬送方向の上流側において隣接し、当該現像極とは逆極性の規制極とを含み、
前記スリーブ表面における磁束密度であって、その法線方向における成分をBrとし、当該スリーブをその回転軸延長上から眺めたときの接線方向における成分をBθとし、
さらに、前記回転軸延長上からスリーブを眺めたとき、表面に存する2点間の相対的位置を、これらの各点と当該スリーブの回転軸中心とを結んで成る角度θで示すとき、
前記スリーブ表面の規制極と現像極との間に存する部分における、Brの値が0[mT]となる位置を起点として、前記搬送方向下流側において、前記角度θの値が5[°]となる位置において、
2.5≦∂Br/∂θ≦5.5
かつ
−3.5≦∂Bθ/∂θ≦−0.5
の条件を満足することを特徴とする現像装置。 - 請求項1に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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