JP5793813B2 - 単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材及び単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法 - Google Patents
単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材及び単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法 Download PDFInfo
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Description
、炭化ケイ素のエピタキシャル成長プロセスの低温化を図れるという利点もある。
うち、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が大きいほどケイ素溶融層への溶出が生じにくくなるのは、(111)結晶面を露出させている結晶の、(111)結晶面よりも安定性が低い面の露出度を低くすることができるため、(111)結晶面を露出させている結晶の溶出を抑制できるためであると考えられる。
めの模式図である。
シード基板12は、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有する。具体的には、図3に示すように、本実施形態では、シード基板12は、黒鉛からなる支持材12bと、多結晶炭化ケイ素膜12cとを有する。黒鉛からなる支持材12bは、炭化ケイ素のエピタキシャル成長プロセスに十分に耐えることのできる高い耐熱性を有している。また、黒鉛からなる支持材12bは、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20と似通った熱膨張率を有する。従って、黒鉛からなる支持材12bを用いることにより、炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20を好適に形成することができる。
は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法や、スパッタリング法などにより形成することができる。特に、本実施形態では、多結晶炭化ケイ素膜12cが多結晶3C−SiCを含むものであるため、CVD法により緻密な多結晶炭化ケイ素膜12cを容易かつ安価に形成することができる。
本実施形態においては、フィード基板11は、シード基板12よりもケイ素溶融層13への溶出が生じにくいものである限りにおいて特に限定されない。このため、フィード基板11としては、例えば、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有し、そ
の表層のX線回折により観察される(111)結晶面のうち、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が80%未満である基板を好適に用いることができる。
に焼結助剤を添加して1600℃以上の高温で焼結させることによっても作製することができる。
かさ密度1.85g/cm3、灰分5ppm以下である高純度等方性黒鉛材料からなる黒鉛材(15mm×15mm×2mm)を基材として用いた。この基材をCVD反応装置内に入れ、CVD法により基材上に厚み30μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル1を作製した。なお、原料ガスとしては、四塩化ケイ素及びプロパンガスを用いた。成膜は、常圧、1200℃で行った。成膜速度は、30μm/hとした。
反応温度を1400℃とし、成膜速度を60μm/hとしたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル2を作製した。
反応温度を1250℃とし、成膜速度10μm/hとし、四塩化ケイ素に代えてCH3SiCl3を用いたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル3を作製した。
四塩化ケイ素及びプロパンガスに代えてジクロロシラン(SiH2Cl2)及びアセチレンを用い、反応温度を1300℃とし、成膜速度10μm/hとしたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル4を作製した。なお、サンプル4では、多結晶炭化ケイ素被膜の厚みは、約1mmであった。
上記作製のサンプル1〜4の表層のX線回折を行った。なお、X線回折は、リガク社製アルティマ(Ulutima)を用いて行った。測定結果を図6に示す。また、サンプル1〜4における、観察された回折ピークと、(111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度を100としたときの各結晶面に対応した回折ピークの相対強度をまとめる。
次に、サンプル1〜4について、図7に示すように、サンプルを回転させながら(111)面の回折ピークが現れる角度を測定した。結果を図8〜図11に示す。なお、図8〜図11に示すグラフにおいて、横軸は、図7に示す配向角度(α)である。縦軸は強度で
ある。
上記実施形態において説明した液相エピタキシャル成長方法により、サンプル1〜4をフィード基板として用い、下記の条件で単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20を作製した。そして、炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の断面を光学顕微鏡を用いて観察することにより、炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の厚みを測定した。測定された厚みを炭化ケイ素エピタキシャル成長を行った時間で除算することにより、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の成長速度を求めた。
シード基板:結晶多形が4Hである炭化ケイ素基板
雰囲気の圧力:10−6〜10−4Pa
雰囲気温度:1900℃
上記作製のサンプル1をフィード基板11として用い、上記作製のサンプル3をシード基板12として用い、上記成長速度評価実験と同様の条件で単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長実験を行った。その後、シード基板12としてのサンプル3の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。サンプル3の表面のSEM写真を図14に示す。図14に示す写真より、(111)結晶面のうち、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が80%以上であり、(111)結晶面に対応した1次回折ピークが、3C−SiCに対応した1次回折ピークのなかで最も大きな回折強度を有する主回折ピークであるサンプル3をシード基板12として用いることにより、六方晶である単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜を得ることができることが分かる。
上記作製のサンプル1をフィード基板として用い、上記作製のサンプル2をシード基板として用い、上記成長速度評価実験と同様の条件で単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長実験を行った。その後、シード基板としてのサンプル2の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。サンプル2の表面のSEM写真を図15に示す。図15に示す写真より、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が80%未満であるサンプル2をシード基板として用いた場合は、ほとんどエピタキシャル成長が進行しないことが分かる。
11…フィード基板
11a…主面
11b…支持材
11c…多結晶炭化ケイ素膜
12…シード基板
12a…主面
12b…支持材
12c…多結晶炭化ケイ素膜
13…ケイ素溶融層
20…単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜
Claims (8)
- 単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法において、ケイ素溶融層を介してフィード材と対向させて用いられるシード材であって、
結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有し、
前記表層のX線回折により、(111)結晶面に対応した回折ピークが観察され、
前記表層のX線回折により観察される前記(111)結晶面のうち、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が80%以上である、単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。 - 前記(111)結晶面に対応した1次回折ピークは、前記結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素に対応した1次回折ピークのなかで最も大きな回折強度を有する主回折ピークである、請求項1に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記表層は、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を主成分として含む、請求項1または2に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記表層は、実質的に、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素からなる、請求項3に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 支持材と、前記支持材の上に形成されており、前記表層を構成している多結晶炭化ケイ素膜とを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記多結晶炭化ケイ素膜の厚みは、30μm〜800μmの範囲内にある、請求項5に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む多結晶炭化ケイ素材により構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材の表層と、炭化ケイ素からなる表層を有するフィード材の表層とをケイ素溶融層を介して対向させた状態で加熱することにより前記シード材の表層上に単結晶炭化ケイ素をエピタキシャル成長させる、単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法。
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