JP5793375B2 - 二段過給システム - Google Patents

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Description

本発明は、二段過給システムに関するものである。
近年、過給システムのダウンサイジングやトルクアップを実現するために、小径の高圧段ターボチャージャを採用した二段過給システムが検討されており、この種の二段過給システムにおいては、図4に示す如く、エンジン1の排気マニホールド2から送出される排気7により高圧段タービン3を作動させ且つ高圧段コンプレッサ4で圧縮した吸気11をエンジン1の吸気マニホールド5へ送給する高圧段ターボチャージャ6と、該高圧段ターボチャージャ6の高圧段タービン3から送出される排気7により低圧段タービン8を作動させ且つ低圧段コンプレッサ9で圧縮した吸気11を前記高圧段コンプレッサ4へ送給する低圧段ターボチャージャ10とが備えられている。
更に、前記低圧段ターボチャージャ10の低圧段コンプレッサ9の吐出側と前記高圧段ターボチャージャ6の高圧段コンプレッサ4の吸入側との間の吸気流路には、インタクーラ12が介装されており、前記高圧段コンプレッサ4の吐出側とエンジン1の吸気マニホールド5との間の吸気流路には、アフタクーラ13が介装されている。
また、エンジン排気流路の高圧段タービン3よりも上流側(具体的には排気マニホールド2)から吸気流路のアフタクーラ13よりも下流側(具体的には吸気マニホールド5)へ至るEGR配管14が設けられ、該EGR配管14には、エンジン排気流路から分流した排気7を冷却するEGRクーラ15と、吸気流路へ還流すべき排気7の流量を調整するEGRバルブ16とが設けられている。
尚、ここに図示している例では、高圧段ターボチャージャ6を可変ノズルターボで構成した場合を例示しており、必要に応じて高速回転域等で高圧段タービン3のノズルベーン開度を絞り込むことにより、排気抵抗を増して排気マニホールド2の圧力を高め得るようにしてある。
而して、斯かる二段過給システムにおいては、エンジン1が稼動状態である時に、排気マニホールド2から送出される排気7が、高圧段タービン3へ流入して高圧段コンプレッサ4を駆動した後、低圧段タービン8へ流入して低圧段コンプレッサ9を駆動し、該低圧段コンプレッサ9に流入して圧縮された吸気11は、インタクーラ12を経て高圧段コンプレッサ4に送給され、該高圧段コンプレッサ4で再び圧縮され、アフタクーラ13を経て吸気マニホールド5へ送給されるので、シリンダへの吸気11の送給量が増加し、1サイクル当たりの燃料噴射量を多くすれば、エンジン1の出力を高めることができる。
また、前記排気7の一部は、排気マニホールド2からEGR配管14へ流入し、EGRクーラ15で冷却され且つEGRバルブ16で流量調整が行われた排気7が、吸気11と一緒に吸気マニホールド5へと送給され、これによりシリンダ内の燃焼温度の低下が図られてNOxの発生が低減される。
尚、前述の如き二段過給システムと関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、下記の特許文献1、2等が既に存在している。
特開2005−147030号公報 特開平5−180089号公報
このように小径の高圧段ターボチャージャ6でダウンサイジングやトルクアップを実現した二段過給システムにおいては、エンジン1の回転数や負荷により二つのターボチャージャの使い方が異なり、夫々の過給圧も異なるため、インタクーラ12とアフタクーラ13の放熱量の大小が逆転する領域が存在するが、これらインタクーラ12及びアフタクーラ13は、車両の搭載スペースにより大きさが限定される上、放熱量が逆転しても夫々の放熱能力を増減することができなかったため、十分に放熱できない領域が生じて該領域でエンジン1の性能を低下させてしまうという問題があった。
本発明は、斯かる実情に鑑みてなしたもので、車両への搭載スペースを大きくすることなくインタクーラ及びアフタクーラの放熱能力を増減してエンジン性能と車両搭載性の両立を図り得るようにすることを目的としている。
本発明は、エンジンから送出される排気によって高圧段タービンを作動させ且つ高圧段コンプレッサで圧縮した吸気をアフタクーラを介し冷却してエンジンへ送給する高圧段ターボチャージャと、該高圧段ターボチャージャの高圧段タービンから送出される排気によって低圧段タービンを作動させ且つ低圧段コンプレッサで圧縮した吸気をインタクーラを介し冷却して前記高圧段コンプレッサへ送給する低圧段ターボチャージャとを備えた二段過給システムであって、前記アフタクーラ及び前記インタクーラに切替クーラを追加装備し、前記低圧段コンプレッサからの吸気を分流して前記切替クーラを経由させてから前記インタクーラからの吸気に合流する流れ、若しくは、前記高圧段コンプレッサからの吸気を分流して前記切替クーラを経由させてから前記アフタクーラからの吸気に合流する流れのうち何れか一方に吸気系路を切り替え得るように構成したことを特徴とするものである。
而して、アフタクーラがインタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時に、高圧段コンプレッサからの吸気を分流して切替クーラに導入すると共に、該切替クーラを経た吸気を前記アフタクーラからの吸気に合流してエンジンへ送給すると、前記切替クーラがアフタクーラとして機能する結果、アフタクーラの放熱能力が大幅に向上されることになる。
また、インタクーラがアフタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時には、低圧段コンプレッサからの吸気を分流して切替クーラに導入すると共に、該切替クーラを経た吸気を前記インタクーラからの吸気に合流して高圧段コンプレッサへ送給すると、前記切替クーラがインタクーラとして機能する結果、インタクーラの放熱能力が大幅に向上されることになる。
また、本発明をより具体的に実施するに際しては、切替クーラの入側の吸気流路を二股状に分岐して一方をインタクーラの入側の吸気流路に対し該吸気流路への逆流を阻止し得るよう第一の逆止弁を介して接続し且つ他方をアフタクーラの入側の吸気流路に対し第一の開閉弁を介して接続すると共に、切替クーラの出側の吸気流路を二股状に分岐して一方をインタクーラの出側の吸気流路に対し第二の開閉弁を介して接続し且つ他方をアフタクーラの出側の吸気流路に対し切替クーラへの逆流を阻止し得るよう第二の逆止弁を介して接続することが好ましい。
このようにすれば、アフタクーラがインタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時に、第一の開閉弁を開け且つ第二の開閉弁を閉じると、アフタクーラの入側の吸気流路から吸気が分流されて切替クーラに導入されると共に、該切替クーラを経た吸気が前記アフタクーラからの吸気に合流してエンジンへ送給されることになり、高圧段コンプレッサからの吸気が分流して切替クーラを経由した後に前記アフタクーラからの吸気に合流してエンジンへ送給される流れが形成される。
この際、高圧段コンプレッサの出側圧力は低圧段コンプレッサの出側圧力よりも高くなっているが、第一の逆止弁によりインタクーラの入側の吸気流路へ向けた吸気の逆流が阻止されるので、アフタクーラの入側の吸気流路から分流した吸気は全て切替クーラに導入されることになる。
また、インタクーラがアフタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時には、第一の開閉弁を閉じ且つ第二の開閉弁を開けると、インタクーラの入側の吸気流路から吸気が分流されて切替クーラに導入されると共に、該切替クーラを経た吸気が前記インタクーラからの吸気に合流して高圧段コンプレッサへ送給されることになり、低圧段コンプレッサからの吸気が分流して切替クーラを経由した後に前記インタクーラからの吸気に合流して高圧段コンプレッサへ送給される流れが形成される。
この際、アフタクーラの出側圧力は切替クーラの出側圧力よりも高くなっているが、第二の逆止弁により切替クーラへ向けた吸気の逆流が阻止されるので、アフタクーラを経た吸気が切替クーラへ逆流することなく全てエンジンへ導入されることになる。
本発明の二段過給システムによれば、切替クーラを吸気流路の切り替えによりアフタクーラとしてもインタクーラとしても利用することができ、アフタクーラがインタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時に、切替クーラをアフタクーラとして機能させてアフタクーラの放熱能力を大幅に向上することができると共に、インタクーラがアフタクーラより放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時には、切替クーラをインタクーラとして機能させてインタクーラの放熱能力を大幅に向上することができるので、車両への搭載スペースを大きくすることなくインタクーラ及びアフタクーラの放熱能力を増減してエンジン性能と車両搭載性の両立を図ることができるという優れた効果を奏し得る。
本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。 アフタクーラがインタクーラより放熱量が大きい条件を示すグラフである。 インタクーラがアフタクーラより放熱量が大きい条件を示すグラフである。 従来の二段過給システムの一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
図1に示す如く、本形態例においては、先に図4で説明した従来例と略同様に構成した二段過給システムに関し、アフタクーラ13及びインタクーラ12に切替クーラ17が追加装備されており、しかも、これら三つの吸気冷却器が従来のアフタクーラ及びインタクーラの搭載スペース内に収まるように夫々の大きさが調整されている。
更に、前記低圧段コンプレッサ9からの吸気11を分流して前記切替クーラ17を経由させてから前記インタクーラ12からの吸気11に合流する流れ、若しくは、前記高圧段コンプレッサ4からの吸気11を分流して前記切替クーラ17を経由させてから前記アフタクーラ13からの吸気11に合流する流れのうち何れか一方に吸気系路を切り替え得るように構成されている。
即ち、前記切替クーラ17の入側の吸気流路18は二股状に分岐されており、その一方がインタクーラ12の入側の吸気流路19に対し該吸気流路19への逆流を阻止し得るよう逆止弁20を介して接続されていると共に、前記切替クーラ17の入側の二股状に分岐された吸気流路18の他方がアフタクーラ13の入側の吸気流路21に対し開閉弁22を介して接続されている。
また、前記切替クーラ17の出側の吸気流路23も二股状に分岐されており、その一方がインタクーラ12の出側の吸気流路24に対し開閉弁25を介して接続されていると共に、前記切替クーラ17の出側の二股状に分岐された吸気流路23の他方がアフタクーラ13の出側の吸気流路26に対し切替クーラ17への逆流を阻止し得るよう逆止弁27を介して接続されている。
而して、低速時等におけるアフタクーラ13がインタクーラ12より放熱量が大きい条件(図2参照)でエンジンが運転されている時に、開閉弁22を開け且つ開閉弁25を閉じると、アフタクーラ13の入側の吸気流路から吸気11が分流されて切替クーラ17に導入されると共に、該切替クーラ17を経た吸気11が前記アフタクーラ13からの吸気11に合流してエンジンへ送給されることになり、高圧段コンプレッサ4からの吸気11が分流して切替クーラ17を経由した後に前記アフタクーラ13からの吸気11に合流してエンジンへ送給される流れが形成され、前記切替クーラ17がアフタクーラ13として機能する結果、アフタクーラ13の放熱能力が大幅に向上されることになる。
この際、高圧段コンプレッサ4の出側圧力は低圧段コンプレッサ9の出側圧力よりも高くなっているが、逆止弁20によりインタクーラ12の入側の吸気流路19へ向けた吸気11の逆流が阻止されるので、アフタクーラ13の入側の吸気流路21から分流した吸気11は全て切替クーラ17に導入されることになる。
また、インタクーラ12がアフタクーラ13より放熱量が大きい条件(図3参照)でエンジンが運転されている時には、開閉弁22を閉じ且つ開閉弁25を開けると、インタクーラ12の入側の吸気流路から吸気11が分流されて切替クーラ17に導入されると共に、該切替クーラ17を経た吸気11が前記インタクーラ12からの吸気11に合流して高圧段コンプレッサ4へ送給されることになり、低圧段コンプレッサ9からの吸気11が分流して切替クーラ17を経由した後に前記インタクーラ12からの吸気11に合流して高圧段コンプレッサ4へ送給される流れが形成され、前記切替クーラ17がインタクーラ12として機能する結果、インタクーラ12の放熱能力が大幅に向上されることになる。
この際、アフタクーラ13の出側圧力は切替クーラ17の出側圧力よりも高くなっているが、逆止弁27により切替クーラ17へ向けた吸気11の逆流が阻止されるので、アフタクーラ13を経た吸気11が切替クーラ17へ逆流することなく全てエンジン1へ導入されることになる。
従って、上記形態例によれば、切替クーラ17を吸気流路の切り替えによりアフタクーラ13としてもインタクーラ12としても利用することができ、アフタクーラ13がインタクーラ12より放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時に、切替クーラ17をアフタクーラ13として機能させてアフタクーラ13の放熱能力を大幅に向上することができると共に、インタクーラ12がアフタクーラ13より放熱量が大きい条件でエンジンが運転されている時には、切替クーラ17をインタクーラ12として機能させてインタクーラ12の放熱能力を大幅に向上することができるので、車両への搭載スペースを大きくすることなくインタクーラ12及びアフタクーラ13の放熱能力を増減してエンジン性能と車両搭載性の両立を図ることができる。
尚、本発明の二段過給システムは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 エンジン
3 高圧段タービン
4 高圧段コンプレッサ
5 吸気マニホールド
6 高圧段ターボチャージャ
7 排気
8 低圧段タービン
9 低圧段コンプレッサ
10 低圧段ターボチャージャ
11 吸気
12 インタクーラ
13 アフタクーラ
17 切替クーラ
18 吸気流路
19 吸気流路
20 逆止弁(第一の逆止弁)
21 吸気流路
22 開閉弁(第一の開閉弁)
23 吸気流路
24 吸気流路
25 開閉弁(第二の開閉弁)
26 吸気流路
27 逆止弁(第二の逆止弁)

Claims (2)

  1. エンジンから送出される排気によって高圧段タービンを作動させ且つ高圧段コンプレッサで圧縮した吸気をアフタクーラを介し冷却してエンジンへ送給する高圧段ターボチャージャと、該高圧段ターボチャージャの高圧段タービンから送出される排気によって低圧段タービンを作動させ且つ低圧段コンプレッサで圧縮した吸気をインタクーラを介し冷却して前記高圧段コンプレッサへ送給する低圧段ターボチャージャとを備えた二段過給システムであって、前記アフタクーラ及び前記インタクーラに切替クーラを追加装備し、前記低圧段コンプレッサからの吸気を分流して前記切替クーラを経由させてから前記インタクーラからの吸気に合流する流れ、若しくは、前記高圧段コンプレッサからの吸気を分流して前記切替クーラを経由させてから前記アフタクーラからの吸気に合流する流れのうち何れか一方に吸気系路を切り替え得るように構成したことを特徴とする二段過給システム。
  2. 切替クーラの入側の吸気流路を二股状に分岐して一方をインタクーラの入側の吸気流路に対し該吸気流路への逆流を阻止し得るよう第一の逆止弁を介して接続し且つ他方をアフタクーラの入側の吸気流路に対し第一の開閉弁を介して接続すると共に、切替クーラの出側の吸気流路を二股状に分岐して一方をインタクーラの出側の吸気流路に対し第二の開閉弁を介して接続し且つ他方をアフタクーラの出側の吸気流路に対し切替クーラへの逆流を阻止し得るよう第二の逆止弁を介して接続したことを特徴とする請求項1に記載の二段過給システム。
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