JP5793040B2 - フィルタ装置 - Google Patents
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Description
「フィルタが濾過した流体へ虫が侵入するのを防ぐためのフィルタ装置であって、ウェブと平均開口径が1mm未満の織物又は編物から構成されているフィルタを備え、前記織物又は編物が前記ウェブの外周を被覆していると共に、前記フィルタにおける濾過上流側の主面にのみ前記ウェブが露出している、ことを特徴とするフィルタ装置。」
である。
「前記フィルタは、その外周で、断面が「コ字型」あるいは「L字型」の額縁状の固定部 材で備えられてなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。」
である。
2.ウェブ(11)の露出部分を通過した虫は、ウェブ(11)の空隙中に捕捉される。3.ウェブ(11)の空隙中に捕捉された虫は、ウェブ(11)の空隙間を移動して、ウェブ(11)の側面や濾過下流側(B)の主面から逃げ出る。
4.ウェブ(11)の外周が、平均開口径が1mm未満の織物又は編物(12)によって被覆されているため、ウェブ(11)の側面や濾過下流側(B)に面する主面から逃げ出た虫は、平均開口径が1mm未満の織物又は編物(12)によって捕捉される。
ウェブ(11)を構成する繊維成分は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂などの公知の有機ポリマー、金属アルコキシド(ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素、スズ、亜鉛などのメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなど)が重合した無機ポリマーなどの公知の無機系化合物が重合してなるポリマー、あるいは、金属、ガラスなどを用いることができる。
また、これら例示以外のポリマーも使用可能であり、例示以外のポリマーも含め、2種以上のポリマーからなる繊維成分を用いることもできる。
そして、本発明でいう「平均繊維径」とは、無作為に選んだ50本の繊維における各繊維径の合計値を繊維本数(50本)で割った平均値をいう。
また、ウェブ(11)における両主面の最短距離の長さである、ウェブ(11)の厚さは特に限定されるべきものではなく、求める通気抵抗あるいは通液抵抗の値に合わせて、適宜調整することができるが、ウェブ(11)における厚さは9mm〜29mmであるのが好ましく、12mm〜26mmであるのがより好ましく、17mm〜23mmであるのが最も好ましい。
なお、本発明では、目付とは主面の面積1m2あたりにおける質量をいい、厚さとは高精度デジタル測定機(ライトマチック(VL−50A) (株)ミツトヨ)により計測した、2.0kPa加重時の5点の厚さの算術平均値をいう。
なお、ウェブ(11)を波状に屈曲した際の、波の高さや波同士の間隔など形状は適宜、調整するのが好ましい。
枠の形状は適宜選択することができ、例えば、ウェブ(11)の側面のみを保持可能な断面形状が「I字型」の枠、ウェブ(11)における一方の主面の周縁部分と側面を保持可能な断面形状が「L字型」の枠、ウェブ(11)における両主面の周縁部分と側面を保持可能な断面形状が「コ字型」の枠などを採用することができる。
なお、枠を構成する素材は、ステンレスやアルミやメッキした鉄などの金属製、木製、樹脂製などであることができる。また、枠の重量や厚さなどは適宜調整する。
ウェブ(11)と枠の接合態様は、枠の一部にウェブ(11)を嵌め込み固定する方法などウェブ(11)と枠を分別可能な態様で接合しても、ウェブ(11)と枠をバインダにより接着するあるいは熱融着によって溶融一体化するなど、ウェブ(11)と枠を分別不可能な態様で接合していてもよく、適宜選択して調製することができる。
本発明に使用するフィルタ(10)が備える織物又は編物(12)は1mm未満の平均開口径を備えており、虫が織物又は編物(12)を通過するのを防ぐことができるという効果を奏する。
この理由は、完全に判明していないが、織布や編物(12)は繊維同士が一定のパターンによって絡み合い、ウェブ(11)よりも繊維の配列がより均一で、かつ繊維同士の間隔や空隙の大きさが変化し難い。そのため、虫が織物又は編物(12)を構成している繊維を移動させ、繊維同士の間隔や空隙の大きさを拡大して織物又は編物(12)を通過しようとするのを防ぐことができるためであると考えられる。
なお、織物又は編物(12)が備える開口の形状は、虫を捕捉できるように適宜、選択するのが好ましい。
また、織物又は編物(12)の厚さは、特に限定されるべきものではなく、求める通気抵抗あるいは通液抵抗の値に合わせて、適宜調整することができるが、0.1mm〜1.0mmであるのが好ましく、0.2mm〜0.4mmであるのがより好ましい。
ウェブ(11)と織物又は編物(12)を分別可能となるように被覆すると、物又は編物(12)に捕捉され、ウェブ(11)と織物又は編物(12)の間に存在している虫を、フィルタ(10)から容易に除去することができる。更に、分別した織物又は編物(12)とウェブ(11)を洗浄することで、織物又は編物(12)やウェブ(11)に捕集された塵埃を除去して、フィルタ(10)の濾過性能の回復を容易に行うことができる。
そのため、ウェブ(11)と織物又は編物(12)が分別可能となるように、ウェブ(11)に織物又は編物(12)を被覆するのが好ましい。
織物又は編物(12)の縁部分に紐状体を設けることで、織物又は編物(12)でウェブ(11)の外周を被覆した後、紐状体をしばることで、あるいは、紐状体の備える伸張回復能力によって、ウェブ(11)の露出部分を囲む織物又は編物(12)の縁部分をすぼめてウェブ(11)の露出部分を小さくすることで、織物又は編物(12)が意図せずウェブ(11)の外周から外れることを防ぐことができる。
このとき、ウェブ(11)の側面や濾過下流側(B)に面する主面から逃げ出た虫が、フィルタ(10)と固定部材(21)との間に存在する隙間に到達することがないように、フィルタ(10)と固定部材(21)との間に織物又は編物(12)が介在した状態となるように、固定部材(21)でフィルタ(10)を固定する。
あるいは、フィルタ(10)と固定部材(21)をバインダにより接着する、あるいは熱融着によって溶融一体化するなど、フィルタ(10)を固定部材(21)と分別不可能な態様で固定していてもよく、適宜選択して調製することができる。
なお、本実施例において、特定の寸法、形状、配置関係、数値的条件など、本発明の理解を容易とする程度に特定条件を例示して説明するが、本発明はこれら例示形態にのみ限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内で変形又は変更を行うことができる。
(1)ウェブの調製方法
ポリエステル繊維A(繊度:17デシテックス、繊維長:51mm)42.5重量%、ポリエステル繊維B(繊度:22デシテックス、繊維長:76mm)5重量%、ポリエステル繊維C(繊度:33デシテックス、繊維長:76mm)20重量%、および、モダアクリル繊維(繊度:17デシテックス、繊維長:64mm)32.5重量%を均一に混綿し、カーディングすることで得た繊維ウェブを、クロスレイヤーにより繊維の配向方向を交差させ積層して、目付が230g/m2のクロス繊維ウェブを得た。
次に、スチレンブタジエンゴム、塩化ビニリデン、塩化ビニル・アクリル酸エステル共重合体を混合してなるエマルジョンに、三酸化アンチモン系化合物の難燃剤を混ぜ合わせた接着剤を用意した。
クロス繊維ウェブに接着剤を付与した後、乾燥機にて乾燥させ、固形分で350g/m2の接着剤によって繊維同士を接着させた、目付が580g/m2、厚さが2cmの不織布を得た。このようにして調製した不織布を縦59.5cm、横59.5cmとなるように切り取りウェブを調製した。
ポリエステル系繊維の織物(平均開口径:400μm、目付:70g/m2、厚さ:0.3cm)を縦67.5cm、横67.5cmに切り取り、切り取った織物を、1つの面の中央部に開口を有する直方体状に折り曲げ、織物同士が重なっている部分を縫い合わせることで、ウェブの露出部分を囲むことのできる、一部に開口を備える箱状に立体加工された織物(以降、箱状の織物と称する、たて:60.1cm、よこ:60.1cm、高さ:2.6cm)を調製した。なお、箱状の織物における開口の形状は、一辺55.5cmの正方形形状であった。
箱状の織物の内部にウェブを単に収納することで、箱状の織物とウェブを分別可能な状態で、一方の主面にのみウェブが露出しているフィルタを調製した。なお、フィルタの外形は縦60.1cm、横60.1cm、高さ2.6cmであり、フィルタにおけるウェブの露出部分の大きさは一辺55.5cmの正方形形状であった。
断面が「コ字型」の額縁状の固定部材を用意すると共に、フィルタの全周縁部分を固定部材の凹部に挿入し、単に挟持することで、フィルタを固定部材に分別可能な状態で固定して、フィルタエレメントを調製した。
濾過対象となる外気の取込口が屋外に露出しており、濾過した外気を放出する吐出口が屋内に露出している、内部に送風ファンを備えたフィルタ装置を用意した。そして、ウェブの露出している部分が屋外に面するようにして、フィルタエレメントをフィルタ装置に設けた。
フィルタ装置の送風ファンを稼動し、風速が2.5m/sとなるように調整することで、屋外の大気をフィルタエレメントに通過させて濾過して、濾過した外気を屋内に放出した。
なお、屋外の大気(外気)中にはクロバネキノコバエ科、ショウジョウバエ科、チョウバエ類などの蝿や、イガ類の蛾が存在しており、屋内空間にはこれらの虫が存在していないことを確認した。
4ヶ月の間、送風ファンを可動し続けた後、フィルタ装置 から固定部材に収められたフィルタを取り外し、ウェブの空隙中に捕捉されていた虫の数(C1)、ウェブと織物の間に存在していた虫の数(C2)、測定を行っている4ヶ月の間に屋内で認められた虫の数(換言すればフィルタ装置を通過した虫の数、C3)を各々数えて、測定の結果を表1にまとめた。
測定の結果、実施例1のフィルタに捕捉された虫の数は53匹であったのに対して、測定中にフィルタ装置を通過した虫の数は0匹であった。
そのため、本発明に係るフィルタは、虫が濾過した流体へ侵入することを防ぐことができる、という効果を奏することが判明した。
そのため、本発明に使用するフィルタは、ウェブの側面や濾過下流側から逃げ出した虫を、平均開口径が1mm未満の織物又は編物によって捕捉できる、という効果を奏することが判明した。
11・・・ウェブ
12・・・織物又は編物
A・・・濾過上流側
B・・・濾過下流側
20・・・フィルタ装置
21・・・固定部材
22・・・フレーム
23・・・ファン
Claims (2)
- フィルタが濾過した流体へ虫が侵入するのを防ぐためのフィルタ装置であって、ウェブと平均開口径が1mm未満の織物又は編物から構成されているフィルタを備え、前記織物又は編物が前記ウェブの外周を被覆していると共に、前記フィルタにおける濾過上流側の主面にのみ前記ウェブが露出している、ことを特徴とするフィルタ装置。
- 前記フィルタは、その外周で、断面が「コ字型」あるいは「L字型」の額縁状の固定部材 で備えられてなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
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