JP5791438B2 - 電動ステアリングロック制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動ステアリングをモータなどのアクチュエータの作動によりロック・ロック解除する電動ステアリングロック制御装置に関する。
従来、ドライバが携帯する携帯機と車内機との無線通信でドアの開閉やエンジン始動等が行なえる、いわゆるスマートエントリー(キーフリー)機能を備えた車両は、電動ステアリングを採用している。
この種の電動ステアリングロック制御装置では、エンジンを停止してドライバが降車する際のロック操作、ドライバが乗車してエンジンを始動する際にロック解除操作を行なうと、ステアリングロック用モータがロック操作、ロック解除操作に応じて正逆に回転駆動され、モータの回転がねじ機構部によりロックピンの直線移動に変換されて、その先端部が電動ステアリングのステアリングシャフトの周面に形成された凹部に係脱され、駐車中等にはロックピンが凹部に係合されて電動ステアリングがロックされ、乗車時にはロックピンが凹部と係合解除されて電動ステアリングがロック解除されるようになっている。
さらに、従来の電動ステアリングロック制御装置には、ステアリングロック用モータの保護のために、モータの疑似温度を推定し、推定温度が所定の閾値以上になった場合に、モータの駆動を停止するようにしたものがある(特許文献1の段落0008,0011,0031および図3参照)。
また、ステアリングロック用モータ(アクチュエータ)の作動時間を要素とする関係式から求められる算出値が所定の休止閾値よりも大きい場合に、ステアリングロック用モータ(アクチュエータ)を強制的に休止させてステアリングロック用モータ(アクチュエータ)を保護するようにした電動ステアリングロック制御装置もある(特許文献2の段落0008,0012および図2参照)。
特開2005−162114号公報 特開2004−217002号公報
ところが、駐車の際におけるステアリングの操作角度によっては、ロックピンがステアリングシャフトの凹部に対して斜めに傾斜したまま係合して凹部の開口側端縁にロックピンが引っ掛かった状態(すなわち据え切り状態)になっていることがあり、このような据え切り状態では、ロック解除操作によりステアリングロック用モータが作動してもロックピンが凹部の開口側端縁に噛みこんで凹部から円滑に脱離しない現象が生じる。
このような場合に、特許文献1に記載の電動ステアリングロック制御装置では、ロック解除操作が繰り返されることになり、モータの温度がすぐに閾値にまで上昇してモータが停止し、その後ドライバがロック解除操作を行ってもモータが動作せず、ドライバはロック解除できずに故障が発生したと判断するなど、不測の事態を招くおそれがある。
また、特許文献2に記載の電動ステアリングロック制御装置でも、ドライバがロック解除操作を繰り返すうち、算出値が休止閾値に達してモータが強制休止されるため、ドライバがロック解除操作を行ってもモータが動作せず、モータの故障発生とドライバが判断してしまう。特に、寒冷地など低温環境下で使用する場合にはモータの耐熱許容温度に達していなくても上記算出値が休止閾値に達してしまい、モータが強制休止されてロック解除できない事態が発生することもある。
本発明は、過熱保護機能を備えない耐熱の低い安価なモータなどのアクチュエータを用い、ステアリングの据え切り状態が生じていてもロック解除操作を受け付けない状況をなくし、確実に電動ステアリングのロック動作およびロック解除動作を行えるようにすることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の電動ステアリングロック制御装置は、電動ステアリングのステアリングシャフトに係脱するロックピンの位置を切り替えてステアリングのロック動作およびロック解除動作を行うアクチュエータと、ロック動作およびロック解除動作のための所定操作により前記アクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた電動ステアリングロック制御装置において、前記制御手段は、前記ロック解除動作のための前記所定操作の開始からの時間を計時するタイマと、前記ロック解除動作の繰り返し回数をカウントする動作カウンタとを備え、前記タイマにより計時される時間が予め定められた設定時間を超えず、かつ、前記動作カウンタによりカウントされる前記ロック解除動作の繰り返し回数が予め定められた設定回数を超えない場合には、前記アクチュエータの作動時間を第1の時間に制御し、前記タイマにより計時される時間が前記設定時間を超えず、かつ、前記動作カウンタによりカウントされる前記ロック解除動作の繰り返し回数が前記設定回数を超える場合には、前記アクチュエータの作動時間を前記第1の時間よりも短い第2の時間に切り替え制御し、前記タイマにより計時される時間が前記設定時間を超える場合には、前記動作カウンタをリセットすることを特徴としている(請求項1)。
また、前記制御手段は、前記アクチュエータを作動させてから次の作動までに、前記アクチュエータを作動状態にしない所定の休止期間を設けるようにしてもよい(請求項2)。
請求項1にかかる発明によれば、制御手段により、所定操作の開始から予め定められた設定時間内にロック解除動作の繰り返し回数が予め定められた設定回数を超えない場合には、アクチュエータの作動時間が第1の時間に制御され、所定操作の開始から設定時間内にロック解除動作の繰り返し回数が設定回数を超える場合には、アクチュエータの作動時間が第1の時間よりも短い第2の時間に切り替え制御される。
したがって、アクチュエータに、正特性サーミスタによる過熱保護機能を備えない耐熱の低い安価なモータを使用しても、ロック解除動作が連続してもアクチュエータ(例えばモータ)の温度を、モータの場合における通電電流および通電時間で定まる温度であって寿命時間を満たす飽和温度以下に抑えることが可能になり、コストの低減を図ることができるとともに、ステアリングの据え切り状態が生じていても、従来のようにロック解除のための操作を受け付けない状況が生じることもなく、確実にステアリングのロック動作およびロック解除動作を行うことが可能になる。また、第1の時間T1の通電によりアクチュエータ(モータ)が作動して、例えば2回目の通電によりうまくロック解除できた後、この通電からの設定時間以内に、ドライバがロック動作を行うとともにドアを開けて降車し、再度乗車してロック解除動作を行うような通常と異なる動作が実行された場合であっても、再度乗車して行うロック解除動作は3回目のロック解除動作(設定時間以内の連続動作)と判断されることになり、タイマによる計時時間が設定時間を超えないで、ロック解除動作の繰り返し回数が設定回数を超えると判断され、その結果アクチュエータ(モータ)の通電時間が第1の時間よりも短い第2の時間に制御されるため、アクチュエータ(モータ)の温度を、通電電流および通電時間で定まる温度であって寿命時間を満たす飽和温度以下に抑えることができる。
請求項2にかかる発明によれば、アクチュエータを作動させてから次の作動までに所定の休止期間が設けられるため、アクチュエータ(例えばモータ)の温度上昇の上昇度合いを抑えることができ、アクチュエータをより確実に保護することが可能になる。
本発明の電動ステアリングロック制御装置の一実施形態のブロック図である。 図1のモータにより動作する電動ステアリングロック機構の説明図である。 動作説明用フローチャートである。 動作説明用のタイミングチャートである。
つぎに、本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照して詳述する。
図1はいわゆるスマートエントリー(キーフリー)機能を備えた車両1に搭載された電動ステアリングロック制御装置のブロック図である。
そして、スマートエントリー機能について説明すると、乗車時、ドライバが携帯機2を携帯して車両1に近づき、ドアスイッチ3を押すことにより、携帯機2とマイクロコンピュータ構成のキーフリー制御部(キーフリーECU)4との間で情報を交換し、登録された正しい携帯機2であれば、キーフリー制御部4の制御によりドアロック機構(図示せず)が車両1のドアを開錠する。
そして、ドライバが携帯機2を携えて車両1に乗車し、ドライバがブレーキペダルを踏みながらプッシュスタートスイッチ5を押すと、キーフリー制御部4からマイクロコンピュータ構成のステアリングロック制御部(ステアリングロックECU)6にロック解除指令が送られ、ステアリングロック制御部6のロック解除制御により電動ステアリングがロック解除される。ここで、ドライバの乗車時にプッシュスタートスイッチ5を押す操作が、本発明における電動ステアリングのロック解除のための所定操作に相当する。
その後、電動ステアリングがロック解除されると、キーフリー制御部4から図示省略したLIN等の車内通信網を介してエンジン制御部等にエンジン始動の許可が送られ、車両1のエンジンが始動される。
また、降車時は、ドライバがエンジン駆動中にプッシュスタートスイッチ5を押すと、エンジン制御部によりエンジンが停止(エンジンOFF)された後、ドライバが携帯機2を携えて降車する際にドアを開け、カーテシスイッチがオンになると、キーフリー制御部4からステアリングロック制御部6にロック指令が送られ、ステアリングロック制御部6により電動ステアリングがロックされる。ここで、ドライバの降車時におけるドアを開ける操作(ロック指令のトリガー)が、本発明における電動ステアリングのロックのための所定操作に相当する。なお、上記ロック指令のトリガーとしては、エンジンOFF前にドアを開けていた場合、エンジンOFF後にドアを閉めた場合を採用してもよい。
さらに、ドライバが携帯機2を携えて降車してドアスイッチ3を押した後、キーフリー制御部4の制御によりドアロック機構によりドアがロックされ、駐車時の盗難防止等が図られる。
つぎに、ステアリングロック制御部6による電動ステアリングのロック、ロック解除の制御動作を説明する。
本発明のアクチュエータである電動ステアリングロック用の直流のモータ7への給電および給電停止を行う給電駆動部8には、ロックリレー8aとロック解除リレー8bが設けられ、それぞれ通電により接地端子8ae,8be側から電源端子8ab,8bb側に切り替わる。
より詳細に説明すると、まずロック制御時には、給電駆動部8のロックリレー8aを通電すべく、ステアリングロック制御部6からNPN型のロック用トランジスタ8a1のベースにハイレベルのロック制御信号が出力されて該トランジスタ8a1がオンし、ロックリレー8aのリレーコイル8a2に通電されてロックリレー8aが電源端子8ab側に切り替わる。このとき、ロック解除用トランジスタ8b1のベースはローレベルである。
そして、ロックリレー8aが電源端子8ab側に切り替わると、車載バッテリ9からヒューズ10、ロックリレー8aの電源端子8ab、モータ7、ロック解除リレー8bの接地端子8beの経路をモータ電流が流れてモータ7がロック方向に回転する。
図2は車両1の電動ステアリングロック機構を示し、ステアリング11を軸支するチューブ状のステアリングシャフト11aは、適当な位置に凹部12が形成されてアシスト用のモータ(図示せず)に繋がるとともに、ギアボックス等を介して左右の車輪に繋がり、それらの構成によって電動ステアリングを形成する。
モータ7の回転軸にはねじ機構部13の例えばウォームギア構造の一方の歯車14が軸着され、歯車14に噛合する他方の歯車15の一端面に、内側に雌ねじが形成された筒体状の雌ねじ部16が一体に設けられ、モータ7によって雌ねじ部16が回転するようになっている。
雌ねじ部16の内側には柱状のカム17の基部が挿入され、この基部の雄ねじが雌ねじ部16の雌ねじに螺合し、雌ねじ部16の正逆の回転によりカム17がステアリングシャフト11a側に接近する方向およびステアリングシャフト11aから離間する方向に直線移動する。カム17の先端部にはロックピン18が連接され、カム17のこのような直線移動により、ロックピン18の端面部が凹部12に接離して係脱する。なお、図2の19は電動ステアリングロック機構本体の一部であり、ロックピン18の挿入口等が形成されている。
そして、ロック制御時は、モータ7がロック方向に回転することにより、ロックピン18が凹部12内に入り込み端面部が凹部12に接して嵌入状態となり、ステアリング11が回転できないようにロックされる。
一方、ロック解除制御時は、給電駆動部8のロック解除リレー8bを通電すべく、ステアリングロック制御部6からNPN型のロック解除用トランジスタ8b1のベースにハイレベルのロック解除制御信号が出力されて該トランジスタ8b1がオンし、ロック解除リレー8bのリレーコイル8b2に通電されてロック解除リレー8bが電源端子8bb側に切り替わる。このとき、ロック用トランジスタ8a1のベースはローレベルである。
そして、ロック解除リレー8bが電源端子8bb側に切り替わると、車載バッテリ9からヒューズ10、ロック解除リレー8bの電源端子8bb、モータ7、ロックリレー8aの接地端子8aeの経路をモータ電流が流れてモータ7がロック方向(接近方向)とは逆のロック解除方向(離間方向)に回転する。
モータ7がロック解除方向に回転することにより、ねじ機構部13が正常に動作する通常時は、ロックピン18の端面部がスロット12から離間して引き出され、ステアリング11が回転可能な状態になる。
なお、モータ7の給電駆動部8に何らかの異常が発生すれば、電動ステアリングがロックされた状態でのエンジン始動を禁止するため、図1の電源監視部20により電源電圧と、モータ7のロックリレー8a側、ロック解除リレー8b側の電圧とが監視される。また、例えばホールセンサで形成された図1のロックセンサ22a、ロック解除センサ22bにより、ロックピン18の凹部12への係脱それぞれが検出される。
ところで、モータ7には連続通電による過熱保護対策が取られることが一般的であり、従来は例えば正特性サーミスタをモータに近接配置し、モータ温度の上昇に伴うサーミスタの温度上昇による抵抗値増加を利用してモータへの通電を遮断し、モータを過熱から保護する機能を備えることが行われているが、サーミスタを設けることによりモータのコスト上昇を招くという不都合がある。このような不都合を解消すべく、本発明では、正特性サーミスタなど過熱保護機能を備えない耐熱の低い安価なモータを利用して電動ステアリングのロック動作およびロック解除動作を行えるようにしたものであり、そのために以下のような構成よりモータ7の通電制御を行う。
図1に示すキーフリー制御部4に、2.4秒タイマを構成するカウンタを含む第1タイマと、9秒タイマを構成するカウンタによる第2タイマと、ロック解除動作の繰り返し回数Cをカウントする動作カウンタとを設ける。上記第1タイマと第2タイマは、モータ7へ通電を開始(所定操作の開始)したときに計時を開始し、次回モータ7へ通電を開始するときに計時を終了することを繰り返し行う。上記動作カウンタは後述の設定時間Tsの経過時に繰り返し回数Cがカウントアップまたはリセットされる。
そして、プッシュスタートスイッチ5を押して(所定操作の開始、すなわちモータ7への通電開始)から、上記第2タイマの計時時間Tが、予め定められた設定時間Tsである9秒以内であって、その9秒以内に動作カウンタによりカウントされるロック解除動作の繰り返し回数Cが、予め定められた例えば2回の設定回数Cmaxを超えない場合には、ロック解除動作のためのモータ7の作動時間を決定するステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間が第1の時間T1である1.0秒に制御される。このとき、モータ7が想定使用温度において寿命に達する温度にまで上昇しない最適時間、すなわち飽和温度に達することがない最適時間を実験的に導出したところ9秒であることが判明し、これを第2タイマによる設定時間Tsとしたものである。なお、一般に飽和温度が高いとモータ寿命が短くなるため、飽和温度を低く設定して使用するのが望ましいとされており、本発明でも可能な限り低い飽和温度での制御を行う。
一方、プッシュスタートスイッチ5を押して(所定の操作開始)から、上記第2タイマによる計時時間Tが、予め定められた設定時間Tsである9秒以内であって、動作カウンタによりカウントされるロック解除動作の繰り返し回数Cが、設定回数Cmaxである“2”を超える場合には、3回目およびそれ以降のロック解除動作のためのモータ7の作動時間を決定するステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間が、第1の時間T1よりも短い第2の時間T2(<T1)である0.5秒に制御される。このようなステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間の切り替え制御機能が、本発明における制御手段に相当する。
さらに、ロック解除動作の繰り返し時間Δtは、プッシュスタートスイッチ3を押してから上記したLIN等の車内通信網のマイクロコンピュータのウェイクアップ時間(<0.1秒)を考慮した時間(=0.1秒)と、キーフリー制御部4の上記第1カウンタによる2.4秒とを加算した2.5秒に設定され、キーフリー制御部4の第1タイマによる繰り返し時間Δt(=2.5秒)が計時され、1回のロック解除動作を行ってから次のロック解除動作までの間にモータ7を作動状態にしない所定の休止期間が設けられている。そのため、この休止期間が経過しない限り、ドライバによりロック解除操作としてプッシュスタートスイッチ5が押されても、プッシュスタートスイッチ5の操作は受け付けられず無効となり、休止期間を経過すればプッシュスタートスイッチ5の操作は有効に受け付けられる。
具体的には、モータ7への通電時間が第1の時間(=1.0秒)に制御される間の休止期間は1.5秒となり、モータ7への通電時間が第2の時間(=0.5秒)に制御される間の休止期間は2.0秒となる。
また、上記したように、ロックピン18がステアリングシャフト11aの凹部12に対して斜めに傾斜したまま係合して凹部12の開口側端縁にロックピン18が引っ掛かったいわゆる据え切り状態では、ロック解除動作によりモータ7に通電してもロックピン18が凹部12から脱離しないことがあり、このような場合に、ドライバに対して1回のロック解除動作で正常にロック解除できないことを報知するために、通常は緑色に点灯されるプッシュスタートスイッチ5を緑色で点滅させるように、図示省略のマイクロコンピュータ構成の照明制御部によりプッシュスタートスイッチ5の照明制御が行われる。
次に、上記した通電時間の切り替えの制御手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。
ドライバが車両1のドアを解錠して乗車し、プッシュスタートスイッチ5を押すと(所定の操作開始)、図3に示すように、キーフリー制御部4の上記第2タイマによる計時時間Tが予め定められた設定時間Ts(=9秒)を超えていないかどうかの判定がなされる(ステップS1)。
そして、計時時間Tが予め定められた設定時間Ts(=9秒)を超えておらず、ステップS1の判定結果がYESであれば、キーフリー制御部4の上記動作カウンタによりカウントされるロック解除動作の繰り返し回数Cに“1”が加算(カウントアップ)され(ステップS2)、計時時間Tが予め定められた設定時間Ts(=9秒)を超えてステップS2の判定結果がNOであれば、上記動作カウンタによりカウントされるロック解除動作の繰り返し回数Cが“0”にリセットされる(ステップS3)。
続いて、上記したステップS2,S3の処理を経るとステップS4に移行し、上記動作カウンタによりカウントされるロック解除動作の繰り返し回数Cが、予め定められた設定回数Cmax(=2)を超えていないかどうかの判定がなされ(ステップS4)、ロック解除動作の繰り返し回数Cが設定回数Cmaxを超えずにステップS4の判定結果がYESであれば、ロック解除動作のためのモータ7の作動時間を決定するステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間が、第1の時間T1である1.0秒に制御される(ステップS5)。
一方、ロック解除動作の繰り返し回数Cが設定回数Cmaxを超えてステップS4の判定結果がNOであれば、ロック解除動作のためのモータ7の作動時間を決定するステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間が第2の時間T2である0.5秒に制御され(ステップS6)、その後上記したステップS5の処理を経た後、動作を終了する。なお、図3の一連の処理は、上記したキーフリー制御部4の第1タイマによる繰り返し時間Δt(=2.5秒)ごとに実行される。
そして、図3に示す制御の結果、モータ7への通電時間の制御タイミングは図4に示すようになり、同図(a)のように、上記第1タイマによるロック解除動作の繰り返し時間Δt(=2.5秒)ごとにプッシュスタートスイッチ5の操作が有効に受け付けられると、最初のロック解除操作の開始から設定時間Ts(=9秒)を超えるまでに、同図(c)に示すように上記動作カウンタによるロック解除動作の繰り返し回数Cが設定回数Cmax(=2)を超えない場合には、同図(b)に示すように、ステアリングロック制御部6によるモータ7への通電時間が、第1の時間T1(=1.0秒)に制御される一方、設定時間Tsである9秒を超えるまでに、同図(c)に示すように動作カウンタによるロック解除動作の繰り返し回数Cが設定回数Cmax(=2)を超える場合には、3回目およびそれ以降のモータ7への通電時間が、第1の時間T1よりも短い第2の時間(=0.5秒)に制御されることになる。
したがって、上記した実施形態によれば、電動ステアリングロック用のモータ7として、正特性サーミスタによる過熱保護機能を備えない耐熱の低い安価なものを使用しても、ロック解除動作が連続してもモータ7の温度を、通電電流および通電時間で定まる飽和温度であって寿命時間を満たす温度以下に抑えることが可能になり、コストの低減を図ることができるとともに、据え切り状態が生じていても、従来のようにロック解除のための操作を受け付けない状況が生じることもなく、確実にステアリング11のロック動作およびロック解除動作を行うことができる。
また、モータ7への通電周期であるロック解除動作の繰り返し時間Δtを2.5秒に設定し、モータ7を作動させてから次の作動までに所定の休止期間を設けたため、モータ7の温度上昇の上昇度合いを抑えることができ、モータ7をより確実に保護することができる。
さらに、例えば上記した第1の時間T1の通電によりモータ7が作動して2回目の通電によりうまくロック解除できた後、この通電からの設定時間Ts(=9秒)以内に、ドライバがロック動作を行うとともにドアを開けて降車し、再度乗車してロック解除動作を行うような通常と異なる動作が実行された場合であっても、上記した実施形態によると、再度乗車して行うロック解除動作は3回目のロック解除動作(9秒以内の連続動作)と判断されることになり、第2タイマによる計時時間Tが設定時間Tsである9秒を超えないで、ロック解除動作の繰り返し回数Cが設定回数Cmaxである“2”を超えると判断され、その結果モータ7の通電時間が第1の時間T1よりも短い第2の時間T2(=0.5秒)に制御される。そのため、モータ7の温度を、通電電流および通電時間で定まる温度であって寿命時間を満たす飽和温度以下に抑えることができる。
また、通常は緑色に点灯されるプッシュスタートスイッチ5を緑色で点滅させて報知するように、プッシュスタートスイッチ5の照明制御を行うため、ドライバに対して1回のロック解除動作で正常にロック解除できないステアリングの据え切り状態が生じていることを、プッシュスタートスイッチ5の点滅により知ることができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、設定時間Tsを9秒として説明したが、特に9秒に限られるものではなく、モータ7の使用温度に応じてモータ7が寿命に達する飽和温度にまで上昇しない最適時間を求め、求めた時間に設定すればよい。
また、電動ステアリングロック制御装置の電動ステアリングロック機構の構造やブロック構成は前記実施形態のものに限るものではない。
さらに、本発明は、スマートエントリー(キーフリー)機能を備えていない車両の電動ステアリングロック制御装置にも、同様に適用することができる。
また、上記した実施形態では、1回のロック解除動作を行ってから次のロック解除動作までの間にモータ7を作動状態にしない所定の休止期間を設けるために、ロック解除動作の繰り返し時間Δtを2.5秒として説明したが、2.5秒に限るものではない。さらに、このような休止期間を必ず設ける必要もない。
そして、本発明は、種々の車両のモータその他のアクチュエータを備えた電動ステアリングロック制御に適用することができる。
1 車両
5 プッシュスタートスイッチ
6 ステアリングロック制御部
7 モータ
18 ロックピン

Claims (2)

  1. 電動ステアリングのステアリングシャフトに係脱するロックピンの位置を切り替えてステアリングのロック動作およびロック解除動作を行うアクチュエータと、ロック動作およびロック解除動作のための所定操作により前記アクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた電動ステアリングロック制御装置において、
    前記制御手段は、
    前記ロック解除動作のための前記所定操作の開始からの時間を計時するタイマと、
    前記ロック解除動作の繰り返し回数をカウントする動作カウンタとを備え、
    前記タイマにより計時される時間が予め定められた設定時間を超えず、かつ、前記動作カウンタによりカウントされる前記ロック解除動作の繰り返し回数が予め定められた設定回数を超えない場合には、前記アクチュエータの作動時間を第1の時間に制御し、
    前記タイマにより計時される時間が前記設定時間を超えず、かつ、前記動作カウンタによりカウントされる前記ロック解除動作の繰り返し回数が前記設定回数を超える場合には、前記アクチュエータの作動時間を前記第1の時間よりも短い第2の時間に切り替え制御し、
    前記タイマにより計時される時間が前記設定時間を超える場合には、前記動作カウンタをリセットする
    ことを特徴とする電動ステアリングロック制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動ステアリングロック制御装置において、
    前記制御手段は、前記アクチュエータを作動させてから次の作動までに、前記アクチュエータを作動状態にしない所定の休止期間を設けることを特徴とする電動ステアリングロック制御装置。
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