JP5789235B2 - 美白用皮膚外用剤及びその製造方法 - Google Patents
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また、上記目的を達成するため、本発明に係る美白用皮膚外用剤の製造方法の特徴は、皮膚外用剤全量に対して、アルニカの花から抽出したアルニカ花のエキス成分0.0020〜0.0025質量%と、アスコルビン酸2−グルコシド1.0〜2.0質量%とを含有させ、前記アルニカ花のエキス成分及び前記アスコルビン酸2−グルコシドによるメラニン産生抑制を阻害しないようにグリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩を含有させないことにある。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
本発明に係る美白用皮膚外用剤は、アルニカの花から抽出したアルニカ花抽出物と、アスコルビン酸2−グルコシドとを少なくとも含有する。
本発明において使用されるアスコルビン酸2−グルコシドとしては、アスコルビン酸2−グルコシド生産能を有する公知の菌株を培養して得られるアスコルビン酸2−グルコシドを主成分とする醗酵液、該醗酵液の濃縮液、及び該醗酵液からアスコルビン酸2−グルコシドを抽出して結晶化したもの等が使用される。
本発明において使用されるアルニカ(Arnica、学名:Arnica montana)のアルニカ花抽出物は、アルニカの花弁から水、脂肪族アルコール、1,3−ブチレングリコール、またはこれらの混合物によって抽出して得られたもの等が使用される。汎用性や保存効力の観点から40〜50質量%の1,3−ブチレングリコール水溶液で抽出したものが望ましい。
本発明の美白用皮膚外用剤は、上記メラニン産生抑制剤以外に通常化粧料で用いられる各種任意成分を含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、ワセリンやスクワランなどの炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール類、水溶性高分子、エタノール、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、各種ビタミン、薬効成分、香料類、着色剤、粉体類等が挙げられる。更に、既にメラニン産生抑制作用が知られている物質も組み合わせて使用することができる。
本発明の美白用皮膚外用剤は、剤型について限定されるものではなく、例えば、皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等が含まれる。美白用皮膚外用剤の例としては、例えば、クリーム、乳液、化粧水、パック剤など、従来周知の皮膚外用剤に用いるものであればよい。
本発明のメラニン産生抑制剤(実施例No.1〜3)、および比較例(No.1〜3)について、マウス由来B16メラノーマ細胞を用いてメラニン産生抑制作用を確認した。即ち、増殖期にあるマウス由来B16メラノーマ細胞をトリプシン処理した後、10%FBSおよび0.5mMテオフィリン含有DMEM培地に0.5×105個/mLになるように加え、マウス由来B16メラノーマ細胞のテオフィリン含有DMEM懸濁液を作成した。この懸濁液を12ウェルプレートに1mLずつ分注し、37℃、5%炭酸ガスインキュベーターに入れて24時間培養した。その後、サンプルを添加したDMEM培地をそれぞれのサンプル一濃度につき3ウェルずつに添加した。サンプルを添加しない3ウェルをコントロールとした。これらのウェルを37℃、5%炭酸ガスインキュベーターに入れて3日間培養した。培養終了後、各ウェルについて培地を除去し燐酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液0.3mLを添加後60℃で1時間加熱溶解し、細胞溶解液とした。この細胞溶解液0.1mLの405nmの吸光度を測定することによりメラニン産生量を求めた。
細胞毒性は、MTT法で生成するホルマザン量を測定することにより求めた。即ち、0015のマウス由来B16メラノーマ細胞のテオフィリン含有DMEM懸濁液0.1mLを96ウェルプレートに分注し、37℃、5%炭酸ガスインキュベーターに入れて24時間培養した。その後、サンプルを添加したDMEM培地をそれぞれのサンプル一濃度につき3ウェルずつに添加した。サンプルを添加しない3ウェルをコントロールとした。これらのウェルを37℃、5%炭酸ガスインキュベーターに入れて3日間培養した。培養終了後、各ウェルについて培地を除去し燐酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、0.5mg/mL MTT含有培値を0.1mL添加し37℃、5%炭酸ガスインキュベーターにおいて、4時間培養後、生成したホルマザンを0.04H HCl−イソプロパノールで溶解させて、570nm−620nmの吸光度を測定することにより細胞毒性値を求めた。
次に、1質量%アスコルビン酸2−グルコシドとファルコレックス アルニカの併用によるメラニン産生抑制試験の結果を図3及び表1に示す。ファルコレックス アルニカが0.05質量%以上(エキス成分で0.0005質量%)で単独よりメラニン産生抑制効果が強くなり、0.2質量%では25.6%、0.25質量%では18.7%となり、さらに高い相乗効果があらわれた。実施例1において、特に、0.2質量%以上で、8割程度が抑制された。なお、以下の表1〜6において、単独とは、メラニン産生抑制剤としてファルコレックス アルニカ単独を指す。また、上段の数値は、アルニカの抽出物の配合率を示す。下段の数値は、コントロールでのメラニン産生量を100とした場合のそれに対する割合(%)を示す。
また、2質量%アスコルビン酸2−グルコシドとファルコレックス アルニカの併用によるメラニン産生抑制試験の結果を図4及び表2に示す。ファルコレックス アルニカが0.05質量%(エキス成分で0.0005質量%)以上で単独よりメラニン産生抑制効果が強くなり、0.2質量%では15.0%、0.25質量%では13.3%となり、さらに高い相乗効果があらわれた。実施例2において、特に、0.2質量%以上で、9割程度が抑制された。
ここで、比較例1として、メラニン産生抑制剤としてアスコルビン酸ナトリウム塩(AA−PS)の細胞毒性試験の結果を図5(a)、メラニン産生抑制試験の結果を図5(b)に示す。図5(a)に示すように、アスコルビン酸ナトリウム塩では、0.4質量%以上から細胞毒性が見られた。そのため、メラニン産生抑制試験は0.3質量%で実施した。同図(b)に示すように、メラニン産生抑制の効果は見られなかった。
次に、比較例2として、メラニン産生抑制剤としてアスコルビン酸リン酸マグネシウム塩(AA−PM)の細胞毒性試験の結果を図7(a)、メラニン産生抑制試験の結果を図7(b)に示す。図7(a)に示すように、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩では、5質量%以上から細胞毒性が見られた。同図(b)に示すように、メラニン産生抑制の効果は、0.5質量%以上から見られた。そのため、メラニン産生抑制試験は3質量%で実施した。
比較例3として、メラニン産生抑制剤としてグリチルリチン酸ジカリウム(GK)の細胞毒性試験の結果を図9(a)、メラニン産生抑制試験の結果を図9(b)に示す。図9(a)に示すように、グリチルリチン酸ジカリウムでは、0.02質量%以上から若干の細胞毒性が見られた。同図(b)に示すように、メラニン産生抑制の効果は濃度に関係なく1,2割程度の抑制が見られた。そのため、メラニン産生抑制試験は、平均的な抑制効果の見られた0.01質量%で実施した。
さらに、発明者らは、抗炎症剤として、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩を皮膚外用剤に含有した場合のメラニン産生抑制試験結果を図11及び表6に示す。これらは、抗炎症剤としてグリチルリチン酸ジカリウム(GK)0.01質量%を上記実施例2のものにさらに添加した場合を示す。同図及び表から明からなように、グリチルリチン酸ジカリウム(GK)0.01質量%をさらに含有させる(三併用)ことで、メラニン産生量が増加することが判明した。すなわち、グリチルリチン酸ジカリウム(GK)が、アスコルビン酸2−グルコシドとファルコレックス アルニカとの併用(二併用)による相乗効果を阻害することが明らかとなった。
(1)美白用クリーム (質量%)
a)ミツロウ 2.0
b)ステアリルアルコール 5.0
c)ステアリン酸 8.0
d)スクワラン 10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレート 3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1.0
g)1,3−ブチレングリコール 5.0
h)水酸化カリウム 0.3
i)防腐剤・酸化防止剤 適量
j)精製水 残部
k)アルニカ花エキス抽出物 0.25(エキス成分0.0025) ※1
l)アスコルビン酸2−グルコシド 2.0 ※2
m)水酸化カリウム 0.3
n)キレート剤 適量
o)精製水 3.0
※1:一丸ファルコス製
※2:林原製
a)〜f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)〜j)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜f)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。40℃でk)〜o)を加えて、更に30℃まで攪拌しながら冷却する。
(2)美白乳液 (質量%)
a)ミツロウ 0.5
b)ワセリン 2.0
c)スクワラン 8.0
d)ソルビタンセスキオレエート 0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.2
f)1,3-ブチレングリコール 7.0
g)カルボキシビニルポリマー 0.2
h)水酸化カリウム 0.1
i)精製水 残部
j)防腐剤・酸化防止剤 適量
k)エタノール 7.000
l)アルニカ花エキス抽出物 0.25(エキス成分0.0025) ※1
m)アスコルビン酸2−グルコシド 2.0 ※2
n)水酸化カリウム 0.3
o)キレート剤 適量
p)精製水 3.0
※1:一丸ファルコス製
※2:林原製
a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜j)までを加熱溶解し、80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。40℃でk)〜p)を添加し、30℃まで冷却する。
(3)美白化粧水 (質量%)
a)グリセリン 5.0
b)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O.) 1.0
c)エタノール 6.0
d)香料 適量
e)防腐剤・酸化防止剤 適量
f)精製水 残部
g)アルニカ花エキス抽出物 0.25(エキス成分0.0025) ※1
h)アスコルビン酸2−グルコシド 2.0 ※2
i)水酸化カリウム 0.3
j)キレート剤 適量
k)精製水 3.0
※1:一丸ファルコス製
※2:林原製
a)〜k)までを混合し、均一に溶解する。
(4)美白パック剤 (質量%)
a)酢酸ビニル樹脂エマルジョン 15.0
b)ポリビニルアルコール 10.0
c)オリーブ油 3.0
d)グリセリン 5.0
e)酸化チタン 8.0
f)カオリン 7.0
g)エタノール 8.0
h)香料 適量
i)防腐剤・酸化防止剤 適量
j)精製水 残部
k)アルニカ花エキス抽出物 0.25(エキス成分0.0025) ※1
l)アスコルビン酸2−グルコシド 2.0 ※2
m)水酸化カリウム 0.3
n)キレート剤 適量
o)精製水 3.0
※1:一丸ファルコス製
※2:林原製
a)〜o)までを混合し、よく撹拌、分散させ均一にする。
塗布によるヒトでの効果確認試験被験者として、20〜50歳の女性17名に1日2回(朝、夜)連続1ヵ月間、本発明品と比較品のそれぞれを使用させ、塗布部位の状態を試験前後で比較し、改善効果を調べた。本試験には、上述の(1)美白用クリーム(実施品)と比較品として同美白用クリームからk)〜o)を除いた化粧料を作成し、その塗布による効果について調べた。実施品と比較品の化粧料を毎日塗布しながら肌のしみ・くすみの状態を塗布開始前及び塗布後1ヶ月のアンケートにより効果の確認を行った。結果は表7に示す。使用期間中に皮膚の異常を訴えた人はいなかった。
著効:塗布開始前と比較して肌のしみ・くすみが著しく改善した。
有効:塗布開始前と比較して肌のしみ・くすみが改善した。
やや有効:塗布開始前と比較して肌のしみ・くすみが少し改善した。
無効:塗布開始前と比較して変化が無かった。
Claims (2)
- 皮膚外用剤全量に対して、アルニカの花から抽出したアルニカ花のエキス成分0.0020〜0.0025質量%と、アスコルビン酸2−グルコシド1.0〜2.0質量%とを含有し、
前記アルニカ花のエキス成分及び前記アスコルビン酸2−グルコシドによるメラニン産生抑制を阻害しないようにグリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩を含有しない美白用皮膚外用剤。 - 皮膚外用剤全量に対して、アルニカの花から抽出したアルニカ花のエキス成分0.0020〜0.0025質量%と、アスコルビン酸2−グルコシド1.0〜2.0質量%とを含有させ、
前記アルニカ花のエキス成分及び前記アスコルビン酸2−グルコシドによるメラニン産生抑制を阻害しないようにグリチルリチン酸、グリチルレチン酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩を含有させない美白用皮膚外用剤の製造方法。
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