JP5787723B2 - 超伝導コイルの加熱処理装置及び加熱処理方法 - Google Patents

超伝導コイルの加熱処理装置及び加熱処理方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、超伝導コイルの加熱処理装置及び加熱処理方法に関する。
例えば、NbSNやNbAlのような超伝導体は、ある特定の昇温速度で昇温し、特定の温度に一定時間保持する熱処理によって創生される。例えばNbSNは、典型的に25℃/時間の昇温速度、650℃で200時間保持の熱処理条件で創生される。
超伝導体の熱処理において、良い超伝導特性を得るためには超伝導コイルの全領域に渡って温度の均一性を確保することが最も重要である。また、熱処理時、超伝導線材が例えば酸化し、不純物元素を捕捉し、あるいは腐食することは絶対に許されない。従来、大型の超伝導コイルの熱処理では次の2つの方法が採用されてきた。
(1)ガス輻射による加熱
この方法では、大型のガス輻射熱処理炉に超伝導コイル全体を入れて熱処理する。この場合、超伝導コイルは、腐食性燃焼生成ガスから超伝導コイルを隔離するための間接加熱容器の内側に置いて、ガス輻射熱処理炉によって熱処理される。間接加熱容器は、超伝導コイルの全体を囲むように構成され、その内側には熱通過率を改善するためにArのような不活性ガスで満たす空間が設けられている。この熱処理方法において、熱の流れは次の通りである。即ち、間接加熱容器はガス輻射によって加熱され、超伝導コイルは、間接加熱容器からの固体輻射、あるいは不活性ガスを介した熱伝達により加熱される。この熱処理形態では、ガス輻射で間接加熱容器を加熱するものであるから、ガス輻射加熱に必要なガスの厚さを確保するためにはガス輻射熱処理炉と間接加熱容器の間の間隔を十分広くとる必要があり、ガス輻射熱処理炉全体が大型化する(例えば、特許文献1参照)。
(2)固体輻射による加熱
ヒーターを用いた大型の輻射真空熱処理炉に超伝導コイル全体を入れて熱処理する。この場合、温度によって変化する輻射率を超伝導コイル全域に渡って制御する必要があるが、(1)のガス輻射法に比べて燃焼ガスによる腐食の問題はないので、間接加熱容器は必要ない。しかし、ヒーターは、超伝導コイルの加熱と熱処理炉からの熱損失を両方賄うものであるから、大型の超伝導コイルへ適用するためには、膨大なヒーター容量が必要になる(例えば、特許文献2参照)。
これら2種類の加熱方法の特徴は、加熱源に面した超伝導コイルの表面のみが加熱されることである。したがって、このような熱処理方法は、超伝導コイルの少なくとも1面が加熱源に直接面することが可能なコイル巻線形態、例えば巻線形態で言えば、パンケーキ巻きコイルにおいては2層からなるダブルパンケーキ、あるいはソレノイド巻きコイルにおいては2層コイルに限られる。
これらの熱処理方法では、超伝導コイル全体を熱処理炉内に入れて熱処理するため、大型の超伝導コイルを熱処理するためには大規模な熱処理設備が必要であった。一方、バンドル型超伝導導体を巻線して構成される超伝導コイルを熱処理する方法として、環境温度を作るための環境温度構造体の内側に熱遮蔽構造体を設け、熱遮蔽構造体の内側に超伝導コイルを配し、鋼製コンジット内に不活性ガスを流しながら超伝導導体の構成要素である撚り線と鋼製コンジットに直接通電加熱して超伝導体を創生する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この方式は、従来の方式に比べ熱処理設備の軽減化と再利用を図り、設備コストを低減化するものであるが、通電を行うためにはコイルの口出し部に電流導入部として、電流導入端子などの機器を設ける必要があり、この周囲に熱遮蔽構造体を設けることが困難である。そのため、この電流導入部の近傍から外気への熱損失は避けられず、コイル巻線部と同様の温度制御を行うことが困難となり、超伝導コイルの品質を著しく低下させる。これを防ぐためには、コイルの口出し部に温度制御のための機器を取り付けるか、電流導入部とコイルの端部の距離を十分にとることで電流導入部からの熱損失の影響を抑えることが必要となるが、このような構成を採用すると熱処理炉の複雑化や大型化を招く。
特開平11−260626号公報 特開昭62−139215号公報 特開2006−318979号公報
ある形状の超伝導コイルを作るためには超伝導導体の巻線は必須である。巻線形態にはソレノイド巻きとパンケーキ巻きがあるが、超伝導コイルはこのような巻線ユニットを複数層積層して構成される。この場合、積層後に巻線ユニット間を電気的に接続する必要がある。巻線ユニット間の電気的接続は、拡散接合やはんだ付け等の手段で実施されるが、この電気的接続部は超伝導コイル一般部に比べてジュール損失や交流損失が大きく、しかも機械的に弱い。更に、接続作業に多大な時間を要する。
このため、大型で大電流の超伝導コイルでは電気的接続個所が少ない巻線形態、即ちパンケーキコイルでは4層からなるクオードパンケーキ巻きや6層からなるヘキサパンケーキ巻き、また、ソレノイド巻きにおいては多層ソレノイド巻きの適用が提案されている。ところが、このような巻線形態であると、外部加熱源に全く面しない導体領域ができるため、少なくとも導体の一面が加熱源に直接面することが必須な従来の外部加熱法による熱処理では超伝導コイルの全領域に渡って均一な加熱を行うことは不可能であった。
また、前記した通電加熱による超伝導体創生のための熱処理方法は、従来の熱処理体系では熱処理できない超伝導コイルにも適用できるものであるが、通電を行うために設置される電流導入部の近傍では熱輻射構造体を設けることが困難であるため、高温側と外気とを隔てる電流導入部の近傍を温度制御することは極めて困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、装置の複雑化や大型化を招くことなく、電流導入部の温度制御を容易に行うことのできる超伝導コイルの加熱処理装置及び加熱処理方法を提供することを目的とする。
超伝導コイルの加熱処理装置の一態様は、超伝導素材金属に付着した潤滑材を除去するための環境温度を作り出す環境温度加熱構造体と、前記環境温度加熱構造体の内部に設けられ、鋼製コンジット内に収納され巻線ユニット間導体接続部で分割された前記超伝導素材金属を収納する熱遮蔽構造体と、前記超伝導素材金属及び前記鋼製コンジットに、前記巻線ユニット間導体接続部から通電を行い、前記超伝導素材金属を前記環境温度以上の超伝導体を創生するのに必要な温度に加熱する電源と、を具備した超伝導コイルの加熱処理装置であって、前記巻線ユニット間導体接続部から通電するための電流導入部が、前記巻線ユニット間導体接続部を覆い、前記鋼製コンジットとの間を気密に閉塞された通電用チャンバーと、前記環境温度加熱構造体の外側から内側へ通電可能とする電流導入端子と、前記通電用チャンバーと前記電流導入端子とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、を具備したことを特徴とする。
超伝導コイルの加熱処理方法の一態様は、超伝導素材金属に付着した潤滑材を除去するための環境温度を作り出す環境温度加熱構造体と、前記環境温度加熱構造体の内部に設けられ、鋼製コンジット内に収納され巻線ユニット間導体接続部で分割された前記超伝導素材金属を収納する熱遮蔽構造体と、前記超伝導素材金属及び前記鋼製コンジットに、前記巻線ユニット間導体接続部から通電を行い、前記超伝導素材金属を前記環境温度以上の超伝導体を創生するのに必要な温度に加熱する電源と、を具備した超伝導コイルの加熱処理装置を用いた超伝導コイルの加熱処理方法であって、前記巻線ユニット間導体接続部を覆い、前記鋼製コンジットとの間を気密に閉塞された通電用チャンバーと、前記環境温度加熱構造体の外側から内側へ通電可能とする電流導入端子と、前記通電用チャンバーと前記電流導入端子とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、を具備した電流導入部によって、前記巻線ユニット間導体接続部から通電することを特徴とする。
本発明によれば、装置の複雑化や大型化を招くことなく、電流導入部の温度制御を容易に行うことのできる超伝導コイルの加熱処理装置及び加熱処理方法を提供することができる。
超伝導コイルの加熱処理装置の第1実施形態の要部概略構成を示す図。 超伝導コイルの加熱処理装置の全体概略構成を示す図。 図2のA−A断面概略構成を示す図。 無酸素銅の比抵抗を示すグラフ。 無酸素銅の熱伝導率を示すグラフ。 フレキシブルケーブルからの超伝導コイル側への入熱量を示すグラフ。 第2実施形態の要部概略構成を示す図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、図2、3を参照して、超伝導コイルの加熱処理装置の全体構成について説明する。図2は、超伝導コイルの加熱処理装置の平面概略構成を示しており、図3は、図2をA−A線に沿って切断し、矢印方向に見た断面構成を示している。
図2、3において、10は超伝導コイルを加熱処理する時の加熱容器も兼ねた熱処理構造体で、外側の環境温度加熱構造体11と、内側の熱遮蔽構造体12とを具備している。また、図2では図示を省略しているが、図3に示すように、熱処理構造体10は、環境温度加熱構造体11の外周に巻回され、環境温度加熱構造体11を加熱するためのヒーター13と、更にヒーター13の外側に配置され、環境温度加熱構造体11からの熱損失を低減するための保温材14とを具備している。
熱遮蔽構造体12内には、超伝導コイル15が収容される。この超伝導コイル15は、例えば、4パンケーキ巻きからなるD型形状のバンドル型超伝導コイルであり、NbSnやNbAlなどの超伝導素材金属で製造されている。また、図2において、16は超伝導コイル15の口出し部であり、口出し部16には、図1に示す電流導入部100が配置される。さらに、図3において、17は超伝導コイル15を熱遮蔽構造体12内に支持固定する支持台である。
図3に示すように、環境温度加熱構造体11と熱遮蔽構造体12との間には、第1の空間18が形成されており、熱遮蔽構造体12と超伝導コイル15との間には、第2の空間19が形成されている。これらの第1の空間18及び第2の空間19は、超伝導コイル15の加熱処理中は真空排気される。
図2に示すように、環境温度加熱構造体11と熱遮蔽構造体12とは、超伝導コイル15のD型形状に概略合わせてユニット化されており、更に環境温度加熱構造体11と熱遮蔽構造体12とは超伝導コイル15の導体軸方向にもユニット化されている。
各ユニットは上下に2分割構造であり、超伝導コイル15を収納した後で2分割部はリップ溶接される。通常、大型の超伝導コイルは、分割して製作される。この場合、導体は分割された巻線ユニット間で電気的に接続される。この巻線ユニット間導体接続構造は、熱処理に先立って概略構成されるので、本実施形態ではこの巻線ユニット間導体接続構造を利用して超伝導コイルを通電加熱する。
図1は、第1実施形態に係る超伝導コイルの加熱処理装置の、電流導入部100の近傍の断面構成を示す図である。この電流導入部100は、図2に示した超伝導コイルの加熱処理装置において、超伝導コイル15の口出し部16と電気的に接続されて配設され、熱処理構造体10の外側から電流導入を可能とするものである。
図1に示すように、電流導入部100には、熱処理構造体10の外壁を貫通して電流導入端子21が配設されている。熱処理構造体10の外壁の外側に位置する電流導入端子21には、加熱用電源101が接続される。また、熱処理構造体10の外壁の内側においては、電流導入端子21にフレキシブルケーブル23が接続されている。
また、熱処理構造体10内に収容された超伝導コイル15の口出し部16を覆うように、通電用チャンバー24が配設されている。通電用チャンバー24は、口出し部16部分の鋼製コンジットの溶接部16aに直接密封溶接され、これらの間は気密に閉塞されている。また、通電用チャンバー24には、フレキシブルケーブル23側の壁部を貫通する貫通電極22が配設されている。さらに、通電用チャンバー24内に位置する口出し部16の外側には、電極31が配設されており、この電極31と貫通電極22とは、通電ケーブル29によって電気的に接続されている。
また、通電用チャンバー24には、熱処理構造体10の外部から通電用チャンバー24内にガスを送り込むためのガス導入管27が取り付けられ、このガス導入管27には、電流導入部100との絶縁を行うための絶縁継手25と、ガスを所望の温度まで加熱するためのヒーター26が配設されている。
一方、通電用チャンバー24内の口出し部16には、鋼製コンジットと内部の導体の熱膨張率の差によって導体が鋼製コンジット内部を移動しないように、端部拘束ジグ28が取り付けられている。さらに、口出し部16には、ガス導入管27から通電用チャンバー24内に導入されたガスを鋼製コンジットの内部に導入するためのガス導入口30が配設されている。ガス導入管27及びガス導入口30は、鋼製コンジット内に潤滑油飛ばしのための加熱されたガスを送りこむ際に使用する。
上記構成の電流導入部100では、電流導入端子21、フレキシブルケーブル23、貫通電極22、通電ケーブル29、電極31を介して、加熱用電源101からの電気を、口出し部16から超伝導コイル15に供給し、超伝導コイル15(超伝導素材金属及び鋼製コンジット)に通電して加熱する。
電流導入端子21と通電用チャンバー24との間に設けられたフレキシブルケーブル23は、上記のような超伝導コイル15への通電、加熱の際に、超伝導コイル15が昇温し、熱膨張することで超伝導コイル15の端部が移動することに追従するためのものである。しかし、フレキシブルケーブル23自身も通電により発熱するので、超伝導コイル15側への熱侵入が発生する。
この熱侵入の量Qは、通電する定格電流値とフレキシブルケーブル23の断面積、長さ材質によって決定され、これらのディメンジョンを最適化することで、超伝導コイル15が一定温度に達した際、それ以上に超伝導コイル15側への熱侵入が生じないようにすることができる。最適なディメンジョンは以下のようにして求めることができる。
ある導体に定格電流Iが流れる定常状態において、導体の温度Tは次のように求められる。まず、断面積がSの導体に伝わる熱量Qは、フーリエの基本則より次の式のように表わせる。
Q=−λS(dT/dx) (1)
但し、λ=λ(T):熱伝導率
ここで導体のある微小要素Δxを考えるとx+Δxの位置で伝熱した熱量ΔQは(1)式より次式で表される。
ΔQ=(d/dx)[−λS(dT/dx)]Δx (2)
さらに、抵抗内で発生する熱量Qは定格電流Iより、
=ρ(Δx/S)I (3)
但し、ρ=ρ(T):抵抗率
であり、ここでは定常状態を考えるため、熱のつりあいより、
ΔQ=Q (4)
よって導体の温度Tは次のような1次元方程式で与えられることになる。
(d/dx)[λ(dT/dx)]+(ρI/S)=0 (5)
ディメンジョン(IL/S)を求めるために、(5)式の両辺にλ(dT/dx)を乗じて積分すると、
Figure 0005787723
Th :高温端温度
Tc :低温端温度
が得られる。積分定数Cは、低温端での境界条件、
T=Tc; Qc=λS(dT/dx)T=Tc (8)
より、次の値となる。
C=(Qc/I) (9)
すなわち(7)式は、
Figure 0005787723
となり、これに1/2乗して積分すると次式が得られる。
Figure 0005787723
ここで、(dT/dx)≧0であるから、(10)式より、
Figure 0005787723
このように熱侵入量の最小値が得られ、最適ディメンジョンは(10)式より、
Figure 0005787723
となる。
例えば、フレキシブルケーブル23の材料を無酸素銅(OFCu)、温度条件は、超伝導コイル15側温度を650℃、低温側を20℃として最適化を行う。縦軸を比抵抗、横軸を温度とした図4のグラフに各温度におけるOFCuの比抵抗を示す。また、縦軸を熱伝導率、横軸を温度とした図5のグラフに各温度におけるOFCuの熱伝導率を示す。図4,5のグラフから、OFCuの比抵抗ρ、熱伝導率λは、表1,2に示すようになる。
Figure 0005787723
Figure 0005787723
なお、
ρ=A+AT+A
=(1.6×10−8)+(7.3×10−11)T+(−2.5×10−14)T
λ=C+CT+C+C
=(3.9×10)+(−8.9×10−2)T+(7.2×10−5)T+(−2.0×10−8)T
である。
以上、求めた式によりフレキシブルケーブル23の最適ディメンジョンを求めると、
(IL/S)opt=3.13×10(A/m)
となる。このディメンジョンを用いて、電流値1000Aの時のフレキシブルケーブル23からの超伝導15コイル側への入熱量を計算した値を、縦軸を熱量、横軸を温度とした図6のグラフに示す。図6のグラフに示されるように、温度が650℃のとき、超伝導コイル15側への入熱が略ゼロになっていることがわかる。これにより、フレキシブルケーブル23の発熱によって、超伝導コイル15側の温度を650℃に維持することが可能になる。したがって、電流導入部付近の超伝導コイル15の温度を、熱電対などを取り付けて制御する必要がない。
以上のように、バンドル型超伝導導体を巻線して構成される超伝導コイル15の通電加熱の熱処理において、熱処理炉の熱処理構造体10を貫通する電流導入端子21と、超伝導コイル15に取付けられた電極31との間に設けられたフレキシブルケーブル23を、任意温度で超伝導コイル15側に入熱を発生させないように最適化することによって、環境温度構造体11と熱遮蔽構造体12を設けることのできなかった電流導入部100の近傍に、温度制御するためのヒーターや制御器などの構造を巻線部とは別に設けること無く、所定温度で熱処理することができる。これによって、高品質かつ高性能な超伝導コイルおよび超伝導マグネットを低コストで提供することができる。
また、熱処理の際には、鋼製コンジット内に、潤滑油飛ばしのための加熱されたガスを送りこむ。本第1実施形態では、超伝導コイル15の口出し部16に、鋼製コンジットに直接密封溶接され、鋼製コンジットとの間を気密に閉塞された通電用チャンバー24を設けており、この通電用チャンバー24内に加熱されたガスを充填すれば、通電用チャンバー24内の口出し部16の鋼製コンジットに設けたガス導入口30からガスを導体内に導入することができる。すなわち、口出し部16の鋼製コンジットに孔(ガス導入口30)を設けるだけで、ガスを導入するための特別なジョイントなどを追加する煩雑な作業を必要としない。
次に、第2実施形態について図7を参照して説明する。図7に示されるように、第2実施形態の電流導入部200では、フレキシブルケーブル23と通電用チャンバー24との間に、温度制御機構としての加熱ヒーター32が配設されている。なお、他の部分については、図1に示した第1実施形態と同様に構成されているので、同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
このように構成された第2実施形態では、加熱ヒーター32に通電して温度制御することにより、超伝導コイル15を焼成する任意の温度に電流導入部200の温度を制御することができる。これによって、電流導入部200からの熱流出を補填することができ、超伝導コイル15全体の温度を均一に保持することができるので、高品質かつ高性能な超伝導コイルおよび超伝導マグネットを低コストで提供することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10……熱処理構造体、11……環境温度加熱構造体、12……熱遮蔽構造体、13……ヒーター、14……保温材、15……超伝導コイル、16……口出し部、17……支持台、18……第1の空間,19……第2の空間、21……電流導入端子、22……貫通電極、23……フレキシブルケーブル、24……通電用チャンバー、25……絶縁継手、26……ガス加熱用ヒーター、27……ガス導入管、28……端部拘束ジグ、29……通電ケーブル,30……ガス導入口、31……電極、32……加熱ヒーター、100,200……電流導入部、101……加熱用電源。

Claims (6)

  1. 超伝導素材金属に付着した潤滑材を除去するための環境温度を作り出す環境温度加熱構造体と、
    前記環境温度加熱構造体の内部に設けられ、鋼製コンジット内に収納され巻線ユニット間導体接続部で分割された前記超伝導素材金属を収納する熱遮蔽構造体と、
    前記超伝導素材金属及び前記鋼製コンジットに、前記巻線ユニット間導体接続部から通電を行い、前記超伝導素材金属を前記環境温度以上の超伝導体を創生するのに必要な温度に加熱する電源と、
    を具備した超伝導コイルの加熱処理装置であって、
    前記巻線ユニット間導体接続部から通電するための電流導入部が、
    前記巻線ユニット間導体接続部を覆い、前記鋼製コンジットとの間を気密に閉塞された通電用チャンバーと、
    前記環境温度加熱構造体の外側から内側へ通電可能とする電流導入端子と、
    前記通電用チャンバーと前記電流導入端子とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、
    を具備したことを特徴とする超伝導コイルの加熱処理装置。
  2. 請求項1記載の超伝導コイルの加熱処理装置であって、
    前記フレキシブルケーブルが、前記超伝導素材金属を前記環境温度以上の超伝導体を創生するのに必要な温度で加熱する際に、当該フレキシブルケーブルから前記超伝導素材金属側への入熱が無い発熱量とされていることを特徴とする超伝導コイルの加熱処理装置。
  3. 請求項1又は2記載の超伝導コイルの加熱処理装置であって、
    前記通電用チャンバー内にガスを導入するためのガス導入管と、前記鋼製コンジットに配設され、当該鋼製コンジット内に前記ガスを導入するためのガス導入孔とを具備したことを特徴とする超伝導コイルの加熱処理装置。
  4. 請求項3記載の超伝導コイルの加熱処理装置であって、
    前記ガス導入管に、内部を流通するガスを加熱するための加熱機構が配設されていることを特徴とする超伝導コイルの加熱処理装置。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の超伝導コイルの加熱処理装置であって、
    前記通電用チャンバーに、温度制御機構を配設したことを特徴とする超伝導コイルの加熱処理装置。
  6. 超伝導素材金属に付着した潤滑材を除去するための環境温度を作り出す環境温度加熱構造体と、
    前記環境温度加熱構造体の内部に設けられ、鋼製コンジット内に収納され巻線ユニット間導体接続部で分割された前記超伝導素材金属を収納する熱遮蔽構造体と、
    前記超伝導素材金属及び前記鋼製コンジットに、前記巻線ユニット間導体接続部から通電を行い、前記超伝導素材金属を前記環境温度以上の超伝導体を創生するのに必要な温度に加熱する電源と、
    を具備した超伝導コイルの加熱処理装置を用いた超伝導コイルの加熱処理方法であって、
    前記巻線ユニット間導体接続部を覆い、前記鋼製コンジットとの間を気密に閉塞された通電用チャンバーと、
    前記環境温度加熱構造体の外側から内側へ通電可能とする電流導入端子と、
    前記通電用チャンバーと前記電流導入端子とを電気的に接続するフレキシブルケーブルと、
    を具備した電流導入部によって、前記巻線ユニット間導体接続部から通電することを特徴とする超伝導コイルの加熱処理方法。
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