JP5787560B2 - Ats−p符号処理器 - Google Patents
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Description
ATS−Pでは一台のATS−P符号処理器(EC,質問器)に対して一台または複数台の地上子(中継器,応答器)がケーブルで接続されるが、ATS−PのうちATS−P IV型やATS−P IV(N)型さらには統合型ATS−Pの地上装置では、ATS−P符号処理器と地上子とを繋ぐ情報・電源ケーブルが、複数の地上子で共用されるのでなく、それぞれの地上子が個別に割り当てられた独自のケーブルを占用してATS−P符号処理器と交信するようになっている(例えば非特許文献1参照)。
電文整正手段22は、駅処理装置12から受け取ったポーリング電文Pにチェックコードを付加して電文の体裁を整えてからポーリング電文PをATS−Pユニット24に引き渡すようになっている。チェックコードにはCRC(サイクリック冗長度チェック)コードが用いられている。
送受信回路26は(図6(a)参照)、モデムが高価だった頃の構成を踏襲していて、電文の送受信を担うモデムIC27を一個と、送信側のマルチプレクサ28と、受信側のマルチプレクサ28とを具えている。なお、アンプ等の図示や説明は割愛している。
モデムIC27は、送信部と受信部と共通部とを具えているが、最近はデジタルシグナルプロセッサ(DSP)をプログラミングにてカスタマイズすることで作り上げられているので、送信部と受信部とが完全に独立している部分が少なく、内部電源回路などの回路ばかりか共用のサブプログラムや上位の管理プログラムの不具合が送受信双方に影響するものとなっている。
(ア)モデムは1個で済むが、マルチプレクサ及びその照査回路が必要となり、全体的に複雑な回路構成となる。
(イ)マルチプレクサが故障すると、故障モードによっては全ての地上子との送受信が出来なくなる。
(ウ)1個のモデムが故障すると全ての地上子に対する送受信が不可能となる。
現在、列車走行に合わせて地上子へのポーリング順序を変化させる対策により(列車追跡論理)上記問題に対応しているが、ソフトウェア論理が複雑となる。
しかし、今後、地上子は1重系のまま、送受信回路を2重系にしてシステム稼働率の向上を確保する必要が出てきた。このため、確実かつ迅速に地上子と送受信回路の異常を切り分け、系切替を行う必要性が出てきた。
(オ)送信電文を折り返すとき、同一のモデムで受信するため、照査としての信頼度が低い。例えば送信電文の崩れによって地上子が無応答となったとき、送信回路単独の問題ではなく、モデム全体の問題(クロックや電源の不安定性等)によって受信回路が正確に機能していない可能性がある。このため、本当に送信電文崩れであるかの検知信頼度が低い。
しかし、モデムICが近年は安価かつ小形になったとはいえ、監視のためだけにモデムを追加するのは回路規模増大、コストアップとなり、最良とは言えない。
ATS−P符号処理器30は(図8(a)参照)、制御ユニット21を一部改造した制御ユニット31と、ATS−Pユニット24からマルチプレクサ28を無くした代わりにモデムIC27をモデムIC1(27)とモデムIC2(27)とに複数化するとともに論理部25を一部改造して論理部35にしたATS−Pユニット34とに大別される。
具体的には(図8(b)参照)、送信部が正常で受信部も正常で地上子も正常であれば、ループバック電文Qが正常になるとともにアンサ電文Aも正常になり、逆にループバック電文Qが正常になってアンサ電文Aも正常になる場合は、送信部が正常状態「○」であり受信部も正常状態「○」であり地上子も正常状態「○」であるときがほとんであると考えられるので、そのような判別条件が判定表に規定されている(C1行)。
しかしながら、仕様の具体化とともに動作検証や効果確認などを注意深く進めたところ、上述の当初案(図8(a)参照)では期待した効果が十分には得られないことが判明した。その構成では、一の地上子11に対応する送信部と受信部とが一のモデムIC27に搭載されているうえ、デジタルシグナルプロセッサ化が進んで共通部が増えたため、送信部の故障と受信部の故障とに強い相関があり、一方が故障すると他方も同時に故障状態になることが多く、そのような状況では送信部の故障と受信部の故障と地上子とがそれぞれ故障した場合を想定して場合分けを細分化する判別手法が無力化されるからである。そのため、上述した問題点(3)の(オ)項が未だ十分には解決されていない。
そこで、モデムICの複数化を契機とした故障判別の細分化が有効に機能するよう、回路構成等に更なる工夫を凝らすことが、技術的な課題となる。また、その改造に際しては、回路の複雑化や規模増大を避けて簡便に実現することが望ましい。
すなわち、先ず、送信部と受信部とを搭載したモデムICを複数用いて送信部及び受信部を各地上子に一対一で割り付けることでマルチプレクサが省かれている。
そして、これによって、上述した問題点(1)の(ア)〜(ウ)項と問題点(2)と問題点(3)の(エ)項とが解決されている。
これによって、上述した問題点(3)の(オ)項まで解決されている。
図1に示した実施例1は、上述した解決手段1,2(出願当初の請求項1,2)を具現化したものであり、図2に示した実施例2は、その実用的な変形例であり、図3に示した実施例3は、上述した解決手段3(出願当初の請求項3)を具現化したものであり、図4に示した実施例4は、上述した解決手段4(出願当初の請求項4)を具現化したものである。
また、そのような受信部の地上子11への割り当てを入れ替える変更に対応した微修正により、電文判別手段33が電文判別手段43になり、論理部35が論理部45になり、送受信回路36が送受信回路46になっている。
何れにしても、ループバック電文Qは、直ちに論理部45を介して、電文判別手段43に引き渡される。
何れのアンサ電文Aも論理部45を介して電文判別手段43に引き渡される。
また、送信部と受信部が正常で地上子が故障なら、ループバック電文Qが正常でアンサ電文Aが「異常(不正)」か「異常(崩れ)」か「異常(無し)」になるので、送信部と受信部が正常状態「○」で地上子が故障状態「×」と判定される(C2行)。
また、送信部が異常でそもそもポーリング電文Pが送信されないときや、受信部が異常でループバック電文Qもアンサ電文Aも受信できないときには、ループバック電文Qもアンサ電文Aも無しになるので、その場合は、送信部か受信部の何れかが故障状態「×」で地上子が正常状態「○」と判定される(C11行)。
すなわち、例えばモデムIC1(57)の送信部か受信部が故障したが、それが割り当てられた地上子11は正常状態を維持している場合、そのことが電文判別手段43によって検知されると、その故障検知結果に応じて電力供給制御信号PW1,PW3と切替信号R1,R2が論理部65によって変更されて、モデムIC1(57)が動作を停止し、その代わりにモデムIC3(57)が動作を開始するとともに、モデムIC3(57)の送信部1〜4と受信部5〜8がそれぞれ地上子11No.1〜No.4に接続されてポーリング電文Pの送信とアンサ電文Aの受信を行う。
また、双方の制御ユニット71同士が、例えば専用線やバス結合などを利用して、稼動権の排他制御のための交信を行えるようになっている。
さらに、制御ユニット71は、他の制御ユニット71と交信して、複数台の制御ユニット71のうち何れか一台だけが稼動権を取得できて稼動系になり、稼動権を取得できなかった残りのユニット71は待機系になる。
待機系になった制御ユニット71を持つATS−P符号処理器70は、稼動系の動作の妨げにならないよう、駅処理装置12や地上子11との交信を控える。特に地上子11へポーリング電文Pを送信するようなことは行わないようになっている。
この場合、稼動系のATS−P符号処理器70で送受信回路46が故障すると、その制御ユニット71が保持していた稼動権が他の制御ユニット71のうち何れか一台だけに移転され、稼動権を得た制御ユニット71ひいてはATS−P符号処理器70が新たな稼動系になって地上子11との交信処理等を引き継ぐ。そのため、正常な地上子11を停止させることなく、ポーリング電文Pとアンサ電文Aの送受信を継続することができる。
ATS−P符号処理器80は、駅処理装置12の並列化に対応していること以外、上述したATS−P符号処理器70と同様に使用され同様に動作する。
12…駅処理装置(上位装置)、20…ATS−P符号処理器、
21…制御ユニット、22…電文整正手段、23…電文判別手段、
24…ATS−Pユニット、25…論理部、26…送受信回路、
27…モデムIC、28…マルチプレクサ、29…地上子電力供給回路、
30…ATS−P符号処理器、31…制御ユニット、33…電文判別手段、
34…ATS−Pユニット、35…論理部、36…送受信回路、
40…ATS−P符号処理器、41…制御ユニット、43…電文判別手段、
44…ATS−Pユニット、45…論理部、46…送受信回路、
54…ATS−Pユニット、55…論理部、56…送受信回路、57…モデムIC、
64…ATS−Pユニット、65…論理部、66…送受信回路、
70…ATS−P符号処理器、71…制御ユニット、
80…ATS−P符号処理器、81…制御ユニット
Claims (5)
- 鉄道の線路に沿って配設されていて何れも正常なポーリング電文には正常なアンサ電文を返信するがフレームの崩れていない軽度な異常のポーリング電文にはその受信電文をそのままアンサ電文として返信しフレームの崩れた中度の異常なポーリング電文にはアンサ電文を返信しない複数の地上子それぞれに個別の半二重通信回線でケーブル接続される手段と、前記半二重通信回線を介して前記地上子に電力を供給する地上子電力供給回路と、前記半二重通信回線を介してポーリング電文を前記地上子へ送信する送信部およびアンサ電文を受信する受信部を具備したモデムICと、前記送信部にて送信するポーリング電文の体裁を整える電文整正手段および前記受信部にて受信したアンサ電文が正常か異常かに応じて前記地上子が正常か故障かを判定する電文判別手段を具備した制御ユニットとを備えていて、前記電文判別手段の判定結果に基づき前記地上子の故障時には該当する前記半二重通信回線での電力供給を断つATS−P符号処理器において、前記送信部と前記受信部との組が前記半二重通信回線の回線数以上設けられて前記半二重通信回線に対し個別に割り当てられており、前記モデムICが複数個設けられており、同じ組に属する前記送信部と前記受信部が前記の複数個のモデムICのうち別のモデムICに搭載されており、前記の複数個のモデムICは夫々が別の組に属する前記送信部と前記受信部を搭載しており、前記電文判別手段が、ポーリング電文を折り返し受信したループバック電文が正常か異常かに応じて前記地上子の故障判定に加えて前記送信部と前記受信部が正常か故障かまで判定するようになっていることを特徴とするATS−P符号処理器。
- 前記電文判別手段が、前記アンサ電文と前記ループバック電文とのうち何れか一方または双方について受信電文が正常か異常かの場合分けを行う際に、異常のときにはその異常がフレームの崩れていない軽度な異常なのかフレームの崩れた中度の異常なのか電文の受信すらない重度な異常なのかという細分化を行うようになっていることを特徴とする請求項1記載のATS−P符号処理器。
- 予備でない本来の前記モデムICに加えて、前記半二重通信回線を介してポーリング電文を前記地上子へ送信する送信部およびアンサ電文を受信する受信部を具備している予備のモデムICが設けられており、この予備のモデムICの送信部および受信部と本来の前記モデムICの送信部および受信部とが前記半二重通信回線のうち何れか同じ回線に接続されるようになっており、本来の前記モデムICと前記の予備のモデムICとを択一的に動作させることにより、本来の前記モデムICの送信部と受信部とが正常な間は前記の予備のモデムICにはポーリング電文を前記半二重通信回線に送出させず、本来の前記モデムICの送信部と受信部とのうち何れか一つ又は複数が故障したが地上子は正常であると前記電文判別手段が判定したときには、その故障部を搭載した本来の前記モデムICに代えて前記の予備のモデムICの送信部または受信部を該当する前記半二重通信回線に割り当てるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたATS−P符号処理器。
- 予備でない本来の前記モデムICに加えて、前記半二重通信回線を介してポーリング電文を前記地上子へ送信する送信部およびアンサ電文を受信する受信部を具備している予備のモデムICが設けられており、この予備のモデムICの送信部および受信部と本来の前記モデムICの送信部および受信部とが前記半二重通信回線のうち何れか同じ回線に接続しうるようになっており、本来の前記モデムICと前記の予備のモデムICとを択一的に動作させるとともに前記の予備のモデムICと前記半二重通信回線との接続状態を切り替えることにより、本来の前記モデムICの送信部と受信部とが正常な間は前記の予備のモデムICにはポーリング電文を前記半二重通信回線に送出させず、本来の前記モデムICの送信部と受信部とのうち何れか一つ又は複数が故障したが地上子は正常であると前記電文判別手段が判定したときには、その故障部を搭載した本来の前記モデムICに代えて前記の予備のモデムICの送信部または受信部を該当する前記半二重通信回線に割り当てるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたATS−P符号処理器。
- 請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載されたATS−P符号処理器を複数具備していて、そのうち稼動権を取得した一つには稼動系として前記地上子へポーリング電文を送信させるが他のものは待機系としてそこからは前記地上子にポーリング電文が送信されないようにするとともに、前記稼動系の送信部および受信部の何れか一方または双方に故障が生じたときには前記稼動系が前記地上子との交信動作を停止するとともに前記稼動権を前記待機系の何れかに交信にて移転することにより該待機系を新たな稼動系として稼動させるようになっていることを特徴とするATS−P符号処理器。
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