JP5786770B2 - 切削インサート - Google Patents
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この切削インサートでは、前記正面逃げ面と、前記側面逃げ面とをカップ型砥石等の研削砥石により研削(研磨)加工して、切れ刃を鋭利に形成している。
とりわけ、近年、自動車、航空機産業を中心に需要が拡大している非鉄材料(例えばアルミニウム、チタン等)の切削加工でその傾向は顕著であり、解決策が求められている。
また、正面逃げ面及び側面逃げ面の研削痕が、ともに被削材との切削抵抗を低減させる向きに延びており、かつ、切粉等がこれら研削痕に案内されるように排出されやすいから、加工面にバリが発生しにくく、良好な仕上げ面を得ることができる。
インサート高さ方向におけるチッピング量は、工具性能に大きく影響し、特に工具寿命と密接な関係があるため、これを抑制することは切削工具にとって極めて重要である。
さらに本発明の発明者は、前述のような溶着に起因する異常欠損の発生メカニズムを検証した結果、切れ刃のうち特に側面切れ刃(側面逃げ面とすくい面との交差稜線をなす切れ刃部分(横切れ刃))において、溶着に起因したチッピングが研削痕に沿って成長し、欠損となる事例があることも確認した。
このように、インサート高さ方向のチッピング量が抑制されるので、切削インサートを長期に亘り切削加工に用いることができ、工具寿命がより延長される。
本発明では、切削インサートの側面逃げ面における研削痕が前記構成の側面研削痕であることにより、従来の切削インサート、つまり、インサート高さ方向とほぼ同一方向の研削痕を側面逃げ面に有する切削インサートと比較し、この側面研削痕が形成された側面逃げ面とすくい面との交差稜線をなす側面切れ刃の稜線が、滑らかになる。具体的に、逃げ面を研削して切れ刃を鋭利に形成したときに、該切れ刃稜線を電子顕微鏡等で観察すると、極少の山部及び谷部が隣接して複数形成されているが、例えば本発明とは異なり、インサート高さ方向に延びる研削痕が形成された側面逃げ面とすくい面との交差稜線である側面切れ刃において隣り合う前記極小の山部と谷部との間隔に対して、本発明の前記側面切れ刃における前記山部と谷部との間隔は広くなる。
このように、生産性を確保しつつも、側面切れ刃の稜線をより滑らかにできるので、前述のように特にチッピング等の生じやすい側面切れ刃への溶着を抑制する効果が顕著に得られるのである。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記インサート本体を前記幅方向から見た側面視で、前記側面逃げ面の研削痕は、曲率半径75〜200mmの曲線状に延びており、該研削痕の全長のうち中点における仮想接線が前記インサート本体の長手方向に対して傾斜する角度は、45°〜70°であることとしてもよい。
具体的に、インサート本体の長手方向に対して側面研削痕が傾斜する角度が、45°未満である場合、側面切れ刃から側面逃げ面に向けて成長しようとする溶着物が、被削材との接触により該側面逃げ面から脱落しやすくなるという効果が得られにくくなるおそれがある。また、インサート本体の長手方向に対して側面研削痕が傾斜する角度が、70°を超える場合、側面切れ刃においてインサート本体の高さ方向に沿うチッピングの長さ(チッピング量)を抑制する効果が得られにくくなるおそれがある。
尚、側面研削痕が、曲率半径75〜200mmの曲線状に延びている場合は、その曲率中心(曲率半径に相当する円の中心)が、前記仮想接線に対して前記長手方向のインサート外側に位置している(つまり側面研削痕が、前記長手方向のインサート内側に向かって凸の曲線になっている)ことが好ましい。
尚、このように切削インサートの取付面を未研削の焼結肌とすることが、前述した効果が得られ好ましいが、該取付面は研削加工されていても構わない。
具体的に、インサート本体の側面において、側面逃げ面のインサート高さ方向の長さが、当該側面逃げ面と側面後退部のインサート高さ方向の長さの和に対して、20%未満である場合には、切込みを大きくした場合等、負荷の高い切削にこの切削インサートを使用した際、側面切れ刃の刃先強度を十分に確保できなくなるおそれがある。また、側面逃げ面のインサート高さ方向の長さが、当該側面逃げ面と側面後退部のインサート高さ方向の長さの和に対して、70%を超える場合には、切削中に発生した切粉が切削インサートに接触しやすくなり、またこの場合、側面逃げ面の領域が大きくなるとともに切削インサートの製造時における研削領域が大きくなって、研削作業が複雑になるおそれがある。また前述の端面溝入れなどにおいて、被削材の溝の側壁と側面逃げ面とが接触する可能性が高くなり、被削材の加工性が低下するおそれや、切削中に切屑や被削材自体の接触によりインサートが破損し、切削を中止せざるを得ない可能性がある。
本実施形態の切削インサート1は、金属材料等からなる柱状や棒状の被削材をその軸線回りに回転させて、被削材の外周面に溝入れ(外径溝入れ)などの周面加工を施したり、被削材の軸線方向を向く端面に溝入れなどの端面加工を施す溝入れ用切削インサートである。
尚、前述の「長手方向Lのインサート外側」とは、インサート本体2の長手方向Lに沿って、該インサート本体2の胴体部(中央部)から端部に向かう方向である。また、後述する「長手方向Lのインサート内側」とは、インサート本体2の長手方向Lに沿って、該インサート本体2の端部から胴体部(中央部)に向かう方向である。
尚、図面中に一点鎖線等により符号Oで示されるものは、インサート本体2の高さ方向Hの中央及び幅方向Wの中央を通って長手方向Lに延びるインサート本体2の中心軸である。
図5及び図6に示されるように、インサート本体2は、直方体状をなしており、その下面2aと上面中央部2bとが断面凹V字状に形成されて、図示しないホルダのインサート取付座における断面凸V字状の一対の押圧面(天壁面及び底壁面)に当接し係合可能とされている。尚、インサート本体2の下面2a及び上面中央部2bの形状は、前記断面凹V字状に限られるものではなく、例えば、これら下面2a及び上面中央部2bのいずれか一方又は両方が断面凸V字状に形成されていてもよい。この場合には、インサート取付座の一対の押圧面が、前記した下面2a及び上面中央部2bの形状に対応して、いずれか一方又は両方が断面凹V字状に形成される。
また、インサート本体2の上面の両端部には、上面中央部2bより一段後退してそれぞれ前記すくい面3が形成されているとともに、これらすくい面3の外周端縁には、それぞれコ字状の前記切れ刃5が形成されている。
本実施形態では、側面逃げ面4bの研削痕は、その曲率中心(曲率半径に相当する図示しない円の中心)が、仮想接線VLに対して長手方向Lのインサート外側(図9における左側)に位置しており、これにより側面逃げ面4bの研削痕は、長手方向Lのインサート内側(図9における右側)に向かって凸の曲線になっている。
図1及び図2において、コーナー逃げ面4cは、高さ方向Hに沿うように延びているとともに、下方に向かうに従い漸次その幅が狭くなる細長い円錐面状に形成されている。尚、コーナー逃げ面4cの形状は、本実施形態の円錐面状に限定されるものではなく、例えばその幅が変化しない円筒面状でもよい。
硬質被覆層をPVD法により形成する場合、例えばアークイオンプレーティング法、ホロカソード法、スパッタリング法など、公知の物理的な蒸着法を適宜用いることができる。
また、正面逃げ面4a及び側面逃げ面4bの研削痕が、ともに被削材との切削抵抗を低減させる向きに延びており、かつ、切粉等がこれら研削痕に案内されるように排出されやすいから、加工面にバリが発生しにくく、良好な仕上げ面を得ることができる。
インサート高さ方向Hにおけるチッピング量は、工具性能に大きく影響し、特に工具寿命と密接な関係があるため、これを抑制することは切削工具(切削インサート1)にとって極めて重要である。
さらに本発明の発明者は、前述のような溶着に起因する異常欠損の発生メカニズムを検証した結果、切れ刃5のうち特に側面切れ刃5b(側面逃げ面4bとすくい面3との交差稜線をなす切れ刃5部分(横切れ刃))において、溶着に起因したチッピングが研削痕に沿って成長し、欠損となる事例があることも確認した。
このように、インサート高さ方向Hのチッピング量が抑制されるので、切削インサート1を長期に亘り切削加工に用いることができ、工具寿命がより延長される。
図10(a)における側面逃げ面4bの研削痕と、図11(a)における側面逃げ面4bの研削痕とが互いに同一の研削砥石により形成される場合、側面切れ刃5bから研削痕に沿って同一長さのチッピングが生じた場合には、工具寿命に影響する高さ方向Hに沿うチッピング量は、図11(a)の従来の切削インサートに比べて、図10(a)の本実施形態の切削インサート1(本発明品)の方が短くなる。このように、特に溶着やチッピングが生じやすい側面切れ刃5bのチッピング量が本発明品では抑制されるので、工具寿命を延長することができるのである。
また、一般的に側面逃げ面の逃げ角が大きくなるに従い、切れ刃強度が低下する為、切削時にチッピングや欠損が発生しやすくなる。本発明品では、側面逃げ面4bの逃げ角は、例えば0°〜20°に設定されているが、前述のようにチッピング量が抑制されることにより、工具寿命を延長することができ、とりわけ、側面逃げ面4bの逃げ角が5°以上、つまり5°〜20°とされた場合にその効果が大きい。
切削インサート1の製造における生産性を考慮すれば、正面逃げ面4aと側面逃げ面4bを研削するカップ型砥石10は、同一であることが好ましい。このように同一砥石にて、側面逃げ面4bを、図11(a)の従来の切削インサートのように研削した場合と比較し、図10(a)の本発明の切削インサート1のように研削した場合、前記構成の側面研削痕であることにより、この側面研削痕が形成された側面逃げ面4bとすくい面3との交差稜線をなす側面切れ刃5bの稜線が、滑らかになる。具体的に、逃げ面4を研削して切れ刃5を鋭利に形成したときに、該切れ刃5稜線を電子顕微鏡等で観察すると、極少の山部及び谷部が隣接して複数形成されているが、インサート高さ方向Hに延びる従来の研削痕が形成された側面逃げ面4bとすくい面3との交差稜線である側面切れ刃5bにおいて隣り合う前記極小の山部と谷部との間隔に対して、本発明の側面切れ刃5bにおける前記山部と谷部との間隔は広くなる。
図10(b)及び図11(b)に示される側面切れ刃5b同士が、互いに同一番手の砥石により研削されて形成されている場合、研削痕と切れ刃5とが垂直に交わる図11(b)の側面切れ刃5bに対して、研削痕と切れ刃5とが傾斜して交わる図10(b)の側面切れ刃5bは、前記極小の山部と谷部との間隔が長くなる。
このように、生産性を確保しつつも、側面切れ刃5bの稜線をより滑らかにできるので、前述のように特にチッピング等の生じやすい側面切れ刃5bへの溶着を抑制する効果が顕著に得られるのである。
具体的に、インサート本体2の長手方向Lに対して側面研削痕が傾斜する角度θが、45°未満である場合、側面切れ刃5bから側面逃げ面4bに向けて成長しようとする溶着物が、被削材との接触により該側面逃げ面4bから脱落しやすくなるという効果が得られにくくなるおそれがある。また、インサート本体2の長手方向Lに対して側面研削痕が傾斜する角度θが、70°を超える場合、側面切れ刃5bにおいてインサート本体2の高さ方向Hに沿うチッピングの長さ(チッピング量)を抑制する効果が得られにくくなるおそれがある。
尚、図9に示されるように、側面逃げ面4bの研削痕が、曲率半径75〜200mmの曲線状に延びている場合は、その曲率中心が仮想接線VLに対して長手方向Lのインサート外側に位置している(つまり側面逃げ面4bの研削痕が、長手方向Lのインサート内側に向かって凸の曲線になっている)ことが好ましい。この場合、側面研削痕が被削材の回転方向Tに沿うように(平行となるように)延びることになり、前述した効果がより顕著となる。またこれとは逆に、曲線状に延びる側面逃げ面4bの研削痕は、その曲率中心が仮想接線VLに対して長手方向Lのインサート内側に位置している(つまり側面逃げ面4bの研削痕が、長手方向Lのインサート外側に向かって凸の曲線になっている)こととしてもよい。
すなわち、前記研削痕の表面粗さがRaで0.04μm未満の場合、切れ刃5から逃げ面4に向けて成長しようとする溶着物が該逃げ面4上の研削痕に案内されるように早期に脱落させられて、溶着が抑制されるという前述した効果が、十分に得られにくくなる可能性がある。また、前記研削痕の表面粗さがRaで0.12μmを超える場合、該研削痕が交差する切れ刃5稜線が滑らかに形成されにくくなり、この切れ刃5により切削される被削材の仕上げ面精度が十分に確保できなくなる可能性があり、またこの場合、大きなチッピングが発生しやすくなるおそれがある。
従って、逃げ面4の研削痕の表面粗さは、前述の範囲内とされていることが好ましい。
尚、このように切削インサート1の取付面を未研削の焼結肌とすることが、前述した効果が得られ好ましいが、該取付面は研削加工されていても構わない。
一方、本実施形態によれば、後退部6が金型成形されるとともに、その形成に研削加工を必要としないので、コスト削減でき、製造が簡便で作業性が向上する。
すなわち、本実施形態では、切削インサート1の製造時において、側面逃げ面4bを研削して側面切れ刃5bを先鋭(鋭利)に形成する際に、インサート本体2の側面全体を研削する必要がない。具体的に、切削インサート1の製造において、側面後退部6bを研削する必要はなく、側面逃げ面4bのみを研削して切れ刃5(側面切れ刃5b)を形成でき、製造が簡便であるとともに生産性がよい。
尚、この効果については、インサート本体2における正面逃げ面4aの高さ方向Hの下方に、該正面逃げ面4aより長手方向Lに後退する正面後退部6aが形成されている構成についても、同様に得られる。
具体的に、正面後退部6aが形成されていることによって、被削材の溝の底壁と、インサート本体2の正面(正面下部)との接触を防止できる。また、正面切れ刃5aの逃げ角を小さく設定することができ、刃先強度を確保できる。また、切削インサート1の製造時に正面切れ刃5aを先鋭に形成する際、インサート本体2の下面2aが研削により削られるようなことが防止される。つまり、インサート本体2の下面2aは正面後退部6aに連なっているものの、該正面後退部6aが研削されないため、下面2aも研削されることはない。
具体的に、インサート本体2の側面において、側面逃げ面4bの高さ方向Hの長さh1が、当該側面逃げ面4bと側面後退部6bの高さ方向Hの長さの和(h1+h2)に対して、20%未満である場合には、切込みを大きくした場合等、負荷の高い切削にこの切削インサート1を使用した際、側面切れ刃5bの刃先強度を十分に確保できなくなるおそれがある。また、側面逃げ面4bの高さ方向Hの長さh1が、当該側面逃げ面4bと側面後退部6bの高さ方向Hの長さの和(h1+h2)に対して、70%を超える場合には、切削中に発生した切粉が切削インサート1に接触しやすくなり、またこの場合、側面逃げ面4bの領域が大きくなるとともに切削インサート1の製造時における研削領域が大きくなって、研削作業が複雑になるおそれがある。また前述の端面溝入れなどにおいて、被削材の溝の側壁と側面逃げ面4bとが接触する可能性が高くなり、被削材の加工性が低下するおそれや、切削中に切屑や被削材自体の接触によりインサートが破損し、切削を中止せざるを得ない可能性がある。
まず、正面逃げ面4a及び側面逃げ面4bに形成される各研削痕の傾斜角度と、切削後の切れ刃5状態及び被削材の仕上げ面精度との関係について、確認試験を行った。
本切削インサートは溝幅3mm用で、切削インサート素材の両端切れ刃5部における幅は、研削後の切削インサート1の切れ刃5部の幅3mmに対し研削用削り代を追加した寸法で製作した。尚、切削インサート素材の長手方向Lにおいても、幅方向Wと同様に研削用削り代を追加した寸法で成形した。
その後、これらの切削インサート素材に対して、砥石番手#400のカップ型砥石10(外径200mm)を用い切れ刃5部の研削加工を行った。
また、いずれの切削インサートも、逃げ面4研削後に砥粒を含有したナイロンブラシを使用し、切れ刃5には半径0.04mmの丸ホーニングを施してある。
すなわち、切削試験の条件を、被削材:JIS−S45Cの丸棒の外周面に、切削速度:120m/min、送り速度:0.1mm/rev、溝深さ:6.0mmにて、湿式切削(外径溝入れ)を行い、実加工時間5分後の切れ刃5の状態及び被削材の仕上げ面精度を評価した。
下記表2に、この切削試験の結果を示す。
また、側面逃げ面4bの研削痕角度は実施例3と同じだが、正面逃げ面4aの研削痕角度が高さ方向Hに平行ではない比較例2は、正面切れ刃5aに大きな溶着を生じており、被削材の仕上げ面精度も実施例1〜5に比べて劣る結果となった。これは、実施例1〜5に比べ正面切れ刃5aにおける溶着抑制効果が少ない為と推測される。
次に、側面逃げ面4b及び側面後退部6bの高さ方向Hに沿う長さの和(h1+h2)に対する、側面逃げ面4bの高さ方向Hに沿う長さh1の割合(比率)つまりh1/(h1+h2)、及び、工具本体のインサート取付座へのインサート本体2の取付面である下面2aの状態と、切削後の切れ刃5状態との関係について、確認試験を行った。
尚、素材形状を変えることにより、図8に示される側面逃げ面4bと側面後退部6bの高さ方向Hの長さ比率(h1:h2)を変化させ、下記表3に示すサンプルを製作した。具体的には、本発明品である実施例6〜11、及び、本発明品でない比較例3を製作した。また、実施例11と比較例3については、工具本体との取付面である下面2aを研削加工して形成した。
いずれの切削インサートも、逃げ面4研削後にブラシを用い、切れ刃5に半径0.03mmの丸ホーニングを施してある。
すなわち、切削試験の条件を、被削材:JIS−SCM440の丸棒の外周面に、切削速度:160m/min、送り速度:0.12mm/rev、溝深さ:4.0mmにて、湿式切削(外径溝入れ)を行い、実加工時間3分後の切れ刃5の状態を評価した。また、切削中に異常欠損が生じた場合は、その時点で切削を中止しそれまでの切削時間を評価した。
下記表4に、この切削試験の結果を示す。
一方、工具本体への取付面が研削加工され、更に、側面逃げ面4bの研削痕角度が90°である比較例3においては、切削中に発生した溶着が成長したことに起因する切れ刃の欠損の為、短時間(1分13秒)で切削終了となった。
次に、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、Ni、Sのうちから選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、ホウ素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物である硬質被覆層が、正面逃げ面4aの研削痕上及び側面逃げ面4bの研削痕上に形成されたインサート本体2における、切削後の切れ刃5状態及び被削材の仕上げ面精度について、確認試験を行った。
すなわち、切削試験の条件を、被削材:JIS−S55Cの丸棒の外周面に、切削速度:200m/min、送り速度:0.12mm/rev、溝深さ:6.0mmにて、湿式切削(外径溝入れ)を行い、実加工時間10分後の切れ刃5の状態及び被削材の仕上げ面精度を評価した。
下記表6に、この切削試験の結果を示す。
一方、側面逃げ面4bの研削痕角度が90°(高さ方向Hに平行)である比較例4は、研削痕上に硬質被覆層を蒸着形成した場合でも、切れ刃5に溶着を生じ、被削材の仕上げ面も白濁した面となり、実施例12〜14に劣る結果となった。
これらの結果より、インサート本体2表面に各種被覆処理をしても、本発明による効果が確認できた。
2 インサート本体
2a 下面(取付面)
3 すくい面
4 逃げ面
4a 正面逃げ面
4b 側面逃げ面
5 切れ刃
6b 側面後退部
H インサート本体の高さ方向
h1 側面逃げ面の高さ方向に沿う長さ
h2 側面後退部の高さ方向に沿う長さ
L インサート本体の長手方向
VL 仮想接線
W インサート本体の幅方向
θ 側面研削痕がインサート本体の長手方向に対して傾斜する角度
Claims (6)
- 軸状をなすインサート本体と、
前記インサート本体の長手方向の端部に配置され、前記長手方向に直交する高さ方向の上方を向くすくい面と、
前記インサート本体の長手方向の端部に配置されて前記すくい面に交差し、前記長手方向のインサート外側を向く正面逃げ面と、前記長手方向及び前記高さ方向に直交する幅方向を向く一対の側面逃げ面とを有する逃げ面と、
前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線をなす切れ刃と、を備え、
前記正面逃げ面には、前記高さ方向に延びる研削痕が形成され、
前記側面逃げ面には、前記高さ方向の下方に向かうに従い漸次前記長手方向のインサート外側に向かって延びる研削痕が形成されていることを特徴とする切削インサート。 - 請求項1に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体を前記幅方向から見た側面視で、
前記側面逃げ面の研削痕は、直線状に延びており、該研削痕が前記インサート本体の長手方向に対して傾斜する角度は、45°〜70°であることを特徴とする切削インサート。 - 請求項1に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体を前記幅方向から見た側面視で、
前記側面逃げ面の研削痕は、曲率半径75〜200mmの曲線状に延びており、該研削痕の全長のうち中点における仮想接線が前記インサート本体の長手方向に対して傾斜する角度は、45°〜70°であることを特徴とする切削インサート。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
少なくとも前記インサート本体の高さ方向の下方を向く工具本体への取付面が、焼結肌であることを特徴とする切削インサート。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体における前記側面逃げ面の前記高さ方向の下方には、該側面逃げ面より前記幅方向に後退する側面後退部が形成され、
前記側面逃げ面及び前記側面後退部の前記高さ方向に沿う長さの和に対する、前記側面逃げ面の前記高さ方向に沿う長さの割合が、20〜70%であることを特徴とする切削インサート。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
前記インサート本体は、超硬合金からなり、
前記インサート本体には、周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素、Al、Si、Y、Mn、Ni、Sのうちから選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、ホウ素のうちから選ばれる少なくとも1種の元素とからなる化合物である硬質被覆層が、前記研削痕の上に少なくとも1層以上形成されていることを特徴とする切削インサート。
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