JP5786429B2 - コンクリート部材の製造方法、及び、棒状部材 - Google Patents

コンクリート部材の製造方法、及び、棒状部材 Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート部材の乾燥収縮等によるひび割れを所定の位置に発生させるコンクリート部材の製造方法、及び、コンクリート部材の製造方法に用いる棒状部材に関する。
コンクリート部材は、乾燥収縮等によりひび割れが生じ易く、ひび割れがコンクリート部材表面の至る所にランダムに発生すると美観が損なわれるため、所定の位置、例えば化粧目地に対応させて内部に断面欠損部分を予め設け、化粧目地部にひび割れを誘発させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。断面欠損部分は、例えばコンクリート部材内部に、縁切りされた柱状部材を埋設させることにより設けられている。
特開2001―140363号公報
上記のような柱状部材が埋設されたコンクリート部材にひび割れが発生すると、ひび割れた部分と、縁切りされている柱状部材の周面とに水が浸入する。浸入した水は、自由に移動できるので、外部に漏出することがある。このとき、内部の水にて濡れた部位のセメント成分が水に溶け出し、セメント成分を含む水が外部に漏れ出すと、表面に白色のエフロレッセンスが発生し、美観が損なわれるという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ひび割れ内に浸入した水が外部に漏出し難いコンクリート部材の製造方法、及び、コンクリート部材の製造方法に用いる棒状部材を提供することにある。
主たる本発明は、芯材と、前記芯材の外側に設けられ吸水性を有する吸水材とを備えた棒状部材を、型枠内に配置する配置工程と、
前記棒状部材が配置された前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を有し、
前記棒状部材は、前記吸水材の外側に設けられ外部から浸入する水を遮断する遮水材を備えることを特徴とするコンクリート部材の製造方法である。
他の主たる本発明は、 コンクリートを打設する前に型枠内に配置される棒状部材であって、
芯材と、前記芯材の外面に設けられた吸水材と、
前記吸水材の外側に設けられ外部からの水の浸入を遮断する遮水材を備えたことを特徴とする棒状部材である。
また、他の主たる本発明は、 芯材と、前記芯材の外側に設けられ吸水性を有する吸水材とを備えた断面円形の棒状部材を、型枠内の中心部に配置する配置工程と、
前記棒状部材が配置された前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を有し、
前記吸水材の外側に遮水材が設けられておらず、
前記吸水材は、水を吸収して膨張する部材であり、
前記吸水材は、ノニオン型の吸水性ポリマーであり、
前記コンクリートの打設工程において、前記吸水性ポリマーは、打設中のコンクリートの水分を吸って吸水性能が低下し、所定時間経過後に、乾燥することにより吸水能力が回復することを特徴とするコンクリート部材の製造方法である。
また、他の主たる本発明は、コンクリートを打設する前に型枠内の中心部に配置される断面円形の棒状部材であって、
芯材と、前記芯材の外面に設けられた吸水材とを備え、
前記吸水材の外側に遮水材が設けられておらず、
前記吸水材は、水を吸収して膨張する部材であり、
前記吸水材は、ノニオン型の吸水性ポリマーであり、
前記コンクリートの打設工程において、前記吸水性ポリマーは、打設中のコンクリートの水分を吸って吸水性能が低下し、所定時間経過後に、乾燥することにより吸水能力が回復することを特徴とする棒状部材である。
本発明によれば、ひび割れ内に浸入した水が外部に漏出し難いコンクリート部材の製造方法、及び、コンクリート部材の製造方法に用いる棒状部材を提供することが可能である。
第1実施形態のコンクリート部材の製造方法にて製造されるコンクリート壁10の断面図である。 第1実施形態に係る棒状部材20の構成及び製造方法の説明図である。 第1実施形態のコンクリート部材の製造方法の斜視説明図である。 コンクリート壁10に生じたひび割れ10aの止水構造の説明図である。 第2実施形態のコンクリート部材の製造方法で製造されるコンクリート壁10の断面図である。 コンクリート壁10に生じたひび割れ10aの止水構造の説明図である。 第2実施形態のコンクリート部材の製造方法の説明図である。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
===第1実施形態===
図1は、第1実施形態のコンクリート部材の製造方法で製造されるコンクリート壁10の断面図である。つまり、この第1実施形態では、コンクリート部材の一例としてコンクリート壁10が製造される。
コンクリート壁10は、縦筋30aと横筋30bとでなる格子状の鉄筋30がコンクリート壁10の内部に壁面に沿って2列に壁厚方向に互いに間隔を隔てて配筋されて形成されている。コンクリート壁10の一方の面には高さ方向に延びる目地部としての化粧目地14が設けられている。
また、コンクリート壁10の化粧目地14が形成されている部分には、壁厚方向のほぼ中央に、鉄筋30の間に挟まれて棒状部材20が埋設される。このとき、縦筋30aと棒状部材20との、壁幅方向における位置は一致しないように配置されている。
棒状部材20は壁厚の半分より大きな直径を有し、パイプ材としての塩化ビニル製パイプ24の内部にセメント組成物としての無収縮モルタル22が充填されて形成された芯材21と、芯材21の外周に設けられた保護シート26とを有している。棒状部材20は、少なくともコンクリート壁10を形成するコンクリート12の圧縮強度以上の十分な圧縮強度を備えている。
保護シート26は、吸水性を有し吸水して膨張する性質(つまり膨潤性のこと)の吸水材としての吸水性ポリマー27と、水の透過を防止する遮水材としての遮水シート28と、親水性を有する親水材としての親水シート29とを有している。ここで、この吸水性ポリマー27の態様としては、例えば多数の粒であって、これらの粒が不織布等のシートに包まれたものや、あるいは、塗膜であったりするが、以下の説明では、単に吸水性ポリマー27とする。
保護シート26は、内側から、吸水性ポリマー27、遮水シート28、親水シート29の順に積層されてシート状をなしている。そして、吸水性ポリマー27側が、芯材21が有する塩化ビニル製パイプ24と接触するように巻き付けられて、塩化ビニル製パイプ24の外周面が保護シート26にて覆われるように形成されている。芯材21に保護シート26が巻き付けられると、吸水性ポリマー27が塩化ビニル製パイプ24の全周を覆うように構成されている。また、遮水シート28は、吸水性ポリマー27側の面が撥水性を有している。
図2は、棒状部材20の構成及び製造方法の斜視説明図である。
この第1実施形態のコンクリート壁10の製造方法では、コンクリート壁10の施工の前に、まず、図2に示すように、塩化ビニル製パイプ24の内部に無収縮モルタル22を充填するとともに、塩化ビニル製パイプ24の外周に保護シート26を巻き付けた棒状部材20を予め製造しておく。棒状部材20の製造は、予め工場等にて製造して現場に搬入してもよいし、現場で製造してもよい。
図3は、本第1実施形態に係るコンクリート部材の製造方法の説明図である。
このコンクリート壁10の製造方法では、図3の上段図に示すように、まず、コンクリート壁10の形状に合わせて型枠32を片側のみ組み立てる。このとき、化粧目地14を設ける位置に化粧目地14を形成するための目地用型材33を配置しておく。次に、縦筋30aと横筋30bとで格子状に形成された鉄筋30を一列配置する。そして、棒状部材20を化粧目地14が形成される位置に、即ち、目地用型材33と、壁厚方向に並ぶように鉄筋30に添えて配置する。さらに、格子状の鉄筋30を壁厚方向に互いに間隔を隔てて2列目を配置し、型枠32のもう片側を組み立てる(配置工程)。鉄筋30の縦筋30aは、目地用型材33及び棒状部材20と壁幅方向に位置を違えて配置する。このとき、横筋30bの、目地用型材33及び棒状部材20の近傍に位置する部位には、形成される化粧目地14の幅より十分に広い範囲において防錆剤を塗布したりステンレス材を巻き付けるなどの防錆処理18を施しておく。
次に、図3の下段図に示すように、棒状部材20及び鉄筋30が配置された型枠32内に、コンクリート12を打設する(打設工程)。コンクリート12が打設された後、所定の養生期間経過後に型枠32及び目地用型材33が取り外されてコンクリート壁10が完成する。
図4は、コンクリート壁10に生じたひび割れ10aの止水構造の説明図である。
図4の上段図に示すように、コンクリート壁10は、養生時の乾燥収縮によりひび割れ10aが発生する。このとき、コンクリート壁10内に埋設した棒状部材20が断面欠損部となるため、ひび割れ10aは化粧目地14に選択的に発生する。また、このとき、コンクリート壁10を形成するコンクリート12は、棒状部材20の外周部に設けられた親水シート29により保護シート26と一体をなしている。このため、コンクリート壁10の化粧目地14にひび割れ10aが発生すると、コンクリート12のひび割れ10aの発生に伴って、ひび割れた部位と一体となった部位が引っ張られて親水シート28と一体をなしている遮水シート28に裂け目が生じ、吸水性ポリマー27がひび割れ10aの部分に現れる。このとき、遮水シート28の吸水性ポリマー27側は撥水性を有しているので、コンクリート12側の遮水シート28と吸水性ポリマー27とは確実に縁切りされており、遮水シート28が引っ張られても吸水性ポリマー27は移動しない。
ひび割れ10aが発生すると、図4の中段図に示すように、雨などによる水が浸入する。浸入した水は、ひび割れ10aに沿ってコンクリート壁10の内部に入り込み吸水性ポリマー27に達すると、吸水性ポリマー27に吸収される。このとき、吸水性ポリマー27は膨張してひび割れ10aにて形成された空隙に膨出する。
さらに吸水性ポリマー27に吸収された水は、吸水性ポリマー27によりほとんど維持されるが、吸水性ポリマー27の外表面の僅かな水とひび割れ10a近傍に残った水は、乾燥等により外部に移動する。このとき、移動する水は、ひび割れ10a内にてセメントと反応し、濃度の低いコンクリートとなってひび割れ10a内に付着する。そして、膨出した吸水性ポリマー27とひび割れ10aに付着した濃度の低いコンクリート等のセメント組成物10bとによりひび割れ10aが塞がれる(図4の下段図を参照)。
ところで、かかる第1実施形態のコンクリート壁10の製造方法によれば、棒状部材20が有する芯材21の外側には吸水性ポリマー27と遮水シート28とが設けられ、遮水シート28が吸水性ポリマー27より棒状部材20の外周に設けられているので、棒状部材20が配置された型枠32内にコンクリート12が打設されると、打設したコンクリート12と、芯材21とが縁切りされたコンクリート壁10が形成される。このため、コンクリート壁10の棒状部材20が埋設された部位は、打設されたコンクリート12の厚さ方向における断面積が小さく応力が集中するので、棒状部材20が埋設された部位の表面となる化粧目地14にひび割れ10aが発生する。よって、コンクリート壁10の乾燥収縮等により発生するひび割れを、棒状部材20が配置された位置となる化粧目地14に発生させることが可能なコンクリート壁10を容易に製造することが可能である。
また、コンクリート壁10にひび割れ10aが発生する際には、打設されたコンクリート12が接触して接合された遮水シート28がコンクリート12に引っ張られ、コンクリート12とともに裂け目が発生し、吸水性ポリマー27が現れる。吸水性ポリマー27が現れたひび割れ10aの部分に外部から浸入した雨水等の水は吸水性ポリマー27にて吸水されて保持される。このため、ひび割れ10aから浸入した水が移動しにくくなり、再び外部には漏出しにくくなる。よって、コンクリート壁10の表面にエフロレッセンスが発生し難いコンクリート壁10を容易に製造することが可能である。また、ひび割れ10a内に浸入して吸水性ポリマー27に至らなかった僅かな水分は、ひび割れ10a内にてセメント成分と反応し濃度の低いセメント組成物10bとなりひび割れ10aの表面に付着するので、生成されたセメント組成物10bにてひび割れ10aを修復することが可能なコンクリート壁10を容易に製造することが可能である。
特に、遮水シート28は、遮水シート28の外側にて硬化したコンクリート12のひび割れ10aに伴って、遮水シート28にて水の浸入が遮断された遮水状態が損なわれるので、コンクリート12にひび割れ10aが発生した際には、ひび割れ10aから浸入した水が吸水性ポリマー27に到達可能な状態とすることが可能である。
また、吸水性ポリマー27は水分を吸収して膨張するので、ひび割れ10a等が生じ当該ひび割れ10aから浸入した水を吸水性ポリマー27が吸収することにより吸水性ポリマー27がひび割れ10aの空隙に膨出し、膨出した吸水性ポリマー27によりひび割れ10aを塞ぐことが可能である。
また、遮水シート28の吸水性ポリマー27側の面は撥水性を有しているので、打設したコンクリート12の水分が吸水性ポリマー27側に浸入することをより確実に防止するとともに、コンクリート12と芯材21とをより確実に縁切りすることが可能である。また、遮水シート28の外側には親水性を有する親水シート29が一体に設けられているので、打設したコンクリート12と、親水シート29と一体に設けられた遮水シート28とを一体化することが可能である。このため、コンクリート12にひび割れ10aが発生した際には、一体となった遮水シート28に、より確実に裂け目を発生させることが可能になり、結果、ひび割れ10a発生後には浸入した水が吸水性ポリマー27に、より到達しやすいコンクリート壁10を製造することが可能となる。
また、この第1実施形態の芯材21は、芯材21の外面に設けられた吸水性ポリマー27と、吸水性ポリマー27の外側に設けられ外部からの水の浸入を遮断する遮水シート28と、を備えているので、少なくともコンクリート12を打設したときには吸水性ポリマー27がコンクリート12の水分を吸収しない状態にて棒状部材20をコンクリート12に埋設することが可能である。また、コンクリート12に埋設した後には、遮水シート28がひび割れたり裂けたりすることにより吸水性ポリマー27を露出させることが可能である。さらに、遮水シート28の外側に、遮水シート28と一体をなす親水シート29を備えたので、親水シート29を介してコンクリート12と十分に接合された遮水シート28をコンクリート12のひび割れ10aに伴って破れるように構成することが可能である。
また、棒状部材20の芯材21を、塩化ビニル製パイプ24の内部、即ち中空部に無収縮モルタル22を充填して形成したので、塩化ビニル製パイプ24を型枠として中空部に無収縮モルタル22を打設することにより容易にかつ高い強度を備えた棒状部材20を提供することが可能である。
また、製造されたコンクリート壁10には化粧目地14に対応する位置に棒状部材20が埋設されるので、乾燥収縮等により発生するひび割れ10aを化粧目地14に発生させることが可能である。
また、芯材21に吸水性ポリマー27と遮水シート28と親水シート29とが積層された保護シート26を巻き付けるだけで、コンクリート壁10に埋設する棒状部材20を容易に製造することが可能であり、もって、コンクリート壁10もさらに容易に製造することが可能である。
===第2実施形態===
図5は、第2実施形態のコンクリート部材の製造方法で製造されるコンクリート壁10の断面図である。
前述の第1実施形態では、棒状部材20に係る塩化ビニル製パイプ24の外周を保護シート26で覆い、これにより、同外周には三層構造の被覆層として、吸水性ポリマー層27Lと、遮水層28Lと、親水層29Lとが順次内側から外側にかけて形成されていたが(図1)、この点につき、図5の第2実施形態では、パイプ24の外周には単層の被覆層として吸水性ポリマー層27Lだけが形成されており、遮水層28Lや親水層29Lは、吸水性ポリマー層27Lの外側に隣り合って設けられていない点で主に相違する。つまり、この第2実施形態の棒状部材20aにあっては、その外周面に、吸水材としての吸水性ポリマー27が略全面に亘って露出している。そして、このような棒状部材20aによれば、遮水層28Lや親水層29Lを省略できるので、棒状部材20aの製造手順の簡素化や部品点数の削減を図れて、結果、棒状部材20aを廉価に製造可能となる。
なお、これ以外の構成については、概ね第1実施形態と同様であり、以下では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明については省略する。
図5に示すように、本第2実施形態に係る棒状部材20aも、コンクリート壁10の内部に埋設されている。そして、棒状部材20aの外周面には、上述のように吸水性ポリマー27が露出しており、よって、当該吸水性ポリマー27は、コンクリート壁10のコンクリート12に直接接触している。
この棒状部材20aの外周面をなす吸水性ポリマー27の付設は、棒状部材20aの芯材21の外周部をなす塩化ビニル製パイプ24の外周面に、例えば加熱溶解状態の吸水性ポリマー27を塗工してなされる。但し何等これに限るものではなく、例えば、片面に吸水性ポリマー27が塗工された不織布やフィルム等のシート、若しくは多数の粒状の吸収性ポリマー27が内包された不織布等のシートを、塩化ビニル製パイプ24の外周面に巻き付けることで行っても良い。
ところで、かかる構成のコンクリート壁10にあっても、第1実施形態の場合と同様に、ひび割れ10aに侵入した水の漏出防止作用を奏する。図6は、その説明図である。
先ず、図6の上段図に示すように、コンクリート壁10にひび割れ10aが発生し、ひび割れ10aが棒状部材20aに到達すると、当該ひび割れ10aは、棒状部材20aの外周面の吸水性ポリマー27と連通する。よって、図6の中段図に示すように、雨水等の水が、ひび割れ10aを介してコンクリート壁10の内部に侵入した場合であっても、当該侵入水は、吸水性ポリマー27に吸水されて保持される。そして、これにより、ひび割れ10aからの浸入水は、再び外部には漏出し難くなり、その結果、エフロレッセンスが有効に防止される。また、吸水した吸水性ポリマー27が膨張してひび割れ10aを塞いで止水する点も、第1実施形態と同様であり、更には、侵入水のうちで吸水性ポリマー27に至らなかった僅かな水分が、ひび割れ10a内のセメント成分と反応してセメント組成体10を生成してひび割れ10aを塞ぐ点も、第1実施形態と同様である(図6の下段図を参照)。
このようなコンクリート壁10も、第1実施形態と概ね同様の製造方法で製造される。図7はその説明図である。
先ず、図7の上段図に示すように、型枠32、目地用型材33、縦筋30a、横筋30b、棒状部材20aをそれぞれ所定の設計位置に配置する(配置工程)。次に、図7の下段図に示すように、型枠32内に、コンクリート12を打設する(打設工程)。そして、コンクリート12の硬化後に、型枠32や目地用型材33等を取り外し、以上をもってコンクリート壁10が完成する。
但し、この第2実施形態にあっては、棒状部材20aの外周面に吸水性ポリマー27が露出しているので、吸水性ポリマー27の種類によっては、図7の下段図のコンクリート12の打設工程において、吸水性ポリマー27が、打設中のコンクリート12の水分を吸ったり、同コンクリート12と反応等して劣化し、その結果として、吸水性ポリマー27の吸水性能が低下する虞がある。例えば、吸水性ポリマー27として、ポリアクリル酸ナトリウム系の吸水性ポリマー27を用いた場合には、同ポリマー27中のイオン化したカルボキシル基と、打設中のコンクリート12のカルシウムイオンとが不可逆反応を起こし、その結果として、吸水性ポリマー27が劣化して吸水性能を落としてしまう虞がある。
そのため、この第2実施形態の場合には、望ましくは、吸水性ポリマー27として、ポリエーテル系などのノニオン型(非イオン型)の吸水性ポリマーを用いると良い。そして、このノニオン型の吸水性ポリマーを用いれば、同ポリマーがイオン化しないので、カルシウムイオンとの反応による劣化が回避され、また、コンクリート12の打設後に所定時間が経過すれば、吸水性ポリマー27が乾燥等して、その吸水能力が回復する(つまり、吸水性に関して可逆性を有する)。よって、コンクリート壁10のひび割れ10aの発生後にひび割れ10aから侵入する水を、当該吸水性ポリマー27は速やかに吸水保持し得て、つまり、ひび割れ10aに侵入した水の漏出防止作用を何等問題なく発揮することができる。
但し、コンクリート12に対する反応性が低く且つ乾燥等により吸水性能が回復するような特性の吸水性ポリマーであれば、何等上述のノニオン型に限るものではなく、これ以外の吸水性ポリマー27を適用しても良い。また、更に言えば、仮にノニオン型以外の吸水性ポリマー27を第2実施形態で使用したとしても、その吸水性能が多少低下するだけの話であって、つまり、ひび割れ10aの発生後の吸水性ポリマー27の吸水性能が皆無になる訳ではない。よって、この第2実施形態に係る棒状部材27に対して、ノニオン型以外の吸水性ポリマーも適用可能である。つまり、ポリアクリル酸ナトリウム系等の吸水性ポリマーも適用可能である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
前述の第1実施形態では、吸水材たる吸水性ポリマー27の一態様として、吸水性ポリマーをシート状に一体化したものを例示し、また、遮水材の一態様として遮水シート28を例示したが、何等これに限るものではない。例えば、芯材21の外周面の吸水性ポリマー27の形成を、加熱溶解状態の吸水性ポリマーの塗布により行っても良い。また、その外側の遮水シート28に代えて、例えばエポキシ系接着剤のような樹脂系接着剤を塗布して塗膜を形成することにより、遮水材を設けても良い。
前述の実施形態では、棒状部材20の芯材21を、塩化ビニル製パイプ24の中空部に無収縮モルタル22を打設(充填)して形成したが、コンクリート壁10として十分な強度が得られれば、何等これに限らない。例えば、芯材21は、防錆処理がなされた金属製のパイプ材のみであっても良いし、またはセメント組成物のみであっても良い。更には、パイプ材たる塩化ビニル製パイプ24の中空部にコンクリートを充填することによって芯材21を形成しても良いし、あるいは、芯材21を、パイプ材24無しのコンクリート組成物のみとして構成しても良い。
前述の実施形態では、型枠32内に鉄筋30を配筋した例について説明したが、鉄筋30は必ずしも配筋しなくてもよい。また、上記実施形態においては、コンクリート壁10の一方の面のみに化粧目地14を形成した例について説明したが、コンクリート壁10の両面に化粧目地14を設けてもよい。
前述の実施形態では、コンクリート壁10の施工の前に、棒状部材20(20a)を予め製造しておく例について説明したが、コンクリート壁10の施工時に棒状部材20(20a)を製造してもよい。
10 コンクリート壁(コンクリート部材)、10a ひび割れ、
10b セメント組成物、12 コンクリート、
14 化粧目地(目地部)、18 防錆処理、
20 棒状部材、20a 棒状部材、
21 芯材、
22 無収縮モルタル(セメント組成物)、24 塩化ビニル製パイプ(パイプ材)、
26 保護シート、
27 吸水性ポリマー(吸水材)、27L 吸水性ポリマー層(吸水材)、
28 遮水シート(遮水材)、28L 遮水層(遮水材)、
29 親水シート(親水材)、29L 親水層(親水材)、
30 鉄筋、30a 縦筋、30b 横筋、
32 型枠、33 目地用型材

Claims (17)

  1. 芯材と、前記芯材の外側に設けられ吸水性を有する吸水材とを備えた棒状部材を、型枠内に配置する配置工程と、
    前記棒状部材が配置された前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を有し、
    前記棒状部材は、前記吸水材の外側に設けられ外部から浸入する水を遮断する遮水材を備えることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記遮水材は、当該遮水材の外側にて硬化した前記コンクリートのひび割れに伴って、前記遮水材にて水の浸入が遮断された遮水状態が損なわれることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記遮水材の内側の面は撥水性を有し、前記遮水材の外側に親水性を有する親水材が一体に設けられていることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記吸水材と、前記遮水材とは、積層されてシート状をなしていることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記遮水材は、前記吸水材の外側に塗布された樹脂系接着剤の塗膜であることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記吸水材は、水を吸収して膨張する部材であることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記棒状部材は、前記コンクリート部材に形成される目地部に対応する位置に配置されることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  8. コンクリートを打設する前に型枠内に配置される棒状部材であって、
    芯材と、前記芯材の外面に設けられた吸水材と、
    前記吸水材の外側に設けられ外部からの水の浸入を遮断する遮水材を備えたことを特徴とする棒状部材。
  9. 請求項8に記載の棒状部材であって、
    前記芯材は、棒状に形成されたコンクリート組成物であることを特徴とする棒状部材。
  10. 請求項8に記載の棒状部材であって、
    前記芯材は、パイプ材であることを特徴とする棒状部材。
  11. 請求項10に記載の棒状部材であって、
    前記パイプ材の中空部にセメント組成物が充填されていることを特徴とする棒状部材。
  12. 芯材と、前記芯材の外側に設けられ吸水性を有する吸水材とを備えた断面円形の棒状部材を、型枠内の中心部に配置する配置工程と、
    前記棒状部材が配置された前記型枠内にコンクリートを打設する打設工程と、を有し、
    前記吸水材の外側に遮水材が設けられておらず、
    前記吸水材は、水を吸収して膨張する部材であり、
    前記吸水材は、ノニオン型の吸水性ポリマーであり、
    前記コンクリートの打設工程において、前記吸水性ポリマーは、打設中のコンクリートの水分を吸って吸水性能が低下し、所定時間経過後に、乾燥することにより吸水能力が回復することを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  13. 請求項12に記載のコンクリート部材の製造方法であって、
    前記棒状部材は、前記コンクリート部材に形成される目地部に対応する位置に配置されることを特徴とするコンクリート部材の製造方法。
  14. コンクリートを打設する前に型枠内の中心部に配置される断面円形の棒状部材であって、
    芯材と、前記芯材の外面に設けられた吸水材とを備え、
    前記吸水材の外側に遮水材が設けられておらず、
    前記吸水材は、水を吸収して膨張する部材であり、
    前記吸水材は、ノニオン型の吸水性ポリマーであり、
    前記コンクリートの打設工程において、前記吸水性ポリマーは、打設中のコンクリートの水分を吸って吸水性能が低下し、所定時間経過後に、乾燥することにより吸水能力が回復することを特徴とする棒状部材。
  15. 請求項14に記載の棒状部材であって、
    前記芯材は、棒状に形成されたコンクリート組成物であることを特徴とする棒状部材。
  16. 請求項14に記載の棒状部材であって、
    前記芯材は、パイプ材であることを特徴とする棒状部材。
  17. 請求項16に記載の棒状部材であって、
    前記パイプ材の中空部にセメント組成物が充填されていることを特徴とする棒状部材。
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