JP3775185B2 - コンクリート部材におけるひび割れ制御構造 - Google Patents

コンクリート部材におけるひび割れ制御構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート部材の温度変化や乾燥収縮によるひび割れを所定の位置に発生させてその表面の美観を保つコンクリート部材におけるひび割れ制御構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にコンクリートの構造物は、セメントの水和熱による温度変化や乾燥収縮によってひび割れが生じ易く、このひび割れを完全に防止することは難しい。
このため、人目に触れるようなコンクリート部材、たとえばコンクリート壁では、このひび割れが壁面の至る所にランダムに発生しその美観を損なわないように、ひび割れを壁面の特定箇所に発生させるべく誘発目地が設けられている。
この誘発目地は、壁厚の1/4以上、望ましくは1/3以上の深さを有する断面欠損部を予め壁面に備えたもので、温度変化や乾燥収縮によって壁内に引張応力が発生した場合には、この目地部にひび割れを誘発させている。
【0003】
殊に、上記コンクリート壁が耐震壁の場合には、上記のような誘発目地を設けることができなかった。即ち、耐震壁が地震等によって建物の架構から剪断力を受けると、その内部には圧縮応力が発生し、この圧縮応力に耐えることによって耐震壁として機能し、建物としての強度を維持する。従って、耐震壁には上記の圧縮応力に耐えるだけの強度を備えることが必須条件であり、この耐震壁に上記のような誘発目地を設けることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外壁部材として用いられ人目に触れる壁は、壁面の至る所にひび割れが発生すると壁面の美観を損なわれる。
特に、そのひび割れから雨水等が入り込み壁内に配筋されている鉄筋を発錆させるとともに、その錆を含んだ水が壁面に筋状にしみ出して著しく美観を損なっていた。また、室内壁面であっても、湿気や結露等による水分がひび割れを伝ってしみ出したり、ひび割れ部に位置する鉄筋に錆が発生し、室内側の壁面が筋状に変色し室内の美観が損なわれるという課題があった。尚、ここではコンクリート壁を例として挙げたが、屋外廊下、ベランダ床部、庇等のコンクリート部材においても同様の課題を有している。
【0005】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、コンクリート部材に発生するひび割れをその特定箇所に発生させるコンクリート部材におけるひび割れ制御構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の請求項1のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造は、コンクリート部材の少なくとも一表面に設けられた化粧目地と、該化粧目地位置に対応させて上記コンクリート部材内に埋設され、パイプ内に無収縮モルタルが充填されて形成された柱状部材とを備え、該柱状部材とコンクリートとの接合強度を低く設定したことを特徴とする。
即ち、上記コンクリート部材の表面に設けた化粧目地に対応させて柱状部材を埋設したので、コンクリート部材内のコンクリート部分には化粧目地と柱状部材とによってその内部の厚さ方向の断面積が小さい箇所が形成される。そして、埋設されている柱状部材はコンクリートとの接合強度を低くしたので、コンクリートに温度変化や乾燥収縮によって引張応力が発生した場合に、柱状部材には当該応力が作用せず、上記断面積の小さい化粧目地部分に応力が集中するため、この部分にひび割れが発生する。よって、コンクリート部材に形成された化粧目地部分にひび割れを誘発させることができる。また、上記柱状部材がパイプとその内部に充填された無収縮モルタルで構成されているので、パイプを、柱状部材を形成するための型枠として用いるとともに、コンクリート部材内にそのパイプごと柱状部材としてそのまま埋設することができるので、柱状部材をコンクリート部材内に容易に備えることができる。さらに、パイプ内に充填するモルタルを無収縮モルタルとしたので、パイプ内に空隙が形成されることなく、十分な強度を有する柱状部材を形成して、コンクリート部材内に埋設することができる。
【0007】
また、請求項2のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造は、上記柱状部材の外周面をその周方向に沿って少なくとも2つの領域に分けて、それらいずれかの領域に達するひび割れを他の領域に対して遮蔽する止水部材を柱状部材に備えたことを特徴とする。
即ち、柱状部材の外周面は止水部材によって複数の領域に分けられているので、いずれかの領域に達するひび割れから水が浸入しても、そのひび割れと他の領域とは止水部材で遮蔽されているため、ひび割れが到達した領域以外の領域に水が回り込むことはなく、コンクリート部材の奥部への水の浸入を防止することができる。したがって、譬えコンクリート部材のいくつかの表面からそれぞれ異なる領域に達するひび割れが発生しても、そのひび割れは連通しないので、ある特定の表面のひび割れから浸入した水が、他の表面にしみ出すことを防止できる。
【0011】
また、請求項のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造は、上記化粧目地と上記柱状部材との間に配置される鉄筋に、防錆処理が施されていることを特徴とする。
即ち、コンクリート部材に備えられた化粧目地と柱状部材とによって、ひび割れが誘発される部分に配筋されている鉄筋には防錆処理が施されているので、このひび割れの微小な隙間によって鉄筋が発錆することなく、雨水等の水が入り込み反対側にしみ出したとしても、その水が錆を含まないためコンクリート部材の表面が見苦しく変色することはなく、その表面の美観を損なうことはない。また、鉄筋が錆びないため劣化によって強度が低下することもない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態では、本発明のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造をコンクリート壁に適用した形態を例にとって説明する。図1〜図6は本発明にかかるコンクリート壁の各種実施形態を示し、図1はコンクリート壁の構造の第1実施形態を示す平断面図、図2はコンクリート壁の構造の第2実施形態を示す平断面図、図3はコンクリート壁の構造の第3実施形態を示す平断面図、図4はコンクリート壁の構造の第4実施形態を示す平断面図、図5は図4の正面断面図、図6はコンクリート壁の構造の第5実施形態を示す平断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の第1実施形態のコンクリート壁の構造では、縦筋30aと横筋30bとでなる格子状の鉄筋30がコンクリート壁をなす耐震壁10の内部に壁面に沿って2列に壁厚方向に互いに間隔を隔てて配筋されて耐震壁10が形成されている。その耐震壁10の両面には高さ方向に延びる化粧目地14が設けられている。この化粧目地14は、壁厚の1/10程度の深さを有し、耐震壁10の表裏面に位置を合わせてそれぞれ形成されて対をなし、壁の幅方向に適宜間隔を隔てて設けられている。
【0014】
この対をなす化粧目地14間の壁厚方向の中央には、上記鉄筋30の間に挟まれて柱状部材20が埋設される。このとき、縦筋30aと柱状部材20との位置は一致しないように配置されている。
【0015】
そして上記柱状部材20は壁厚の1/4程度の直径を有し、コンクリートとの界面付着がほとんどない塩化ビニル製パイプ24の内部に無収縮モルタル22が充填されて形成され、耐震壁10を形成するコンクリート12の圧縮強度以上の十分な圧縮強度を備えている。
【0016】
そして、上記柱状部材20と上記化粧目地14との間に配置される横筋30bには、化粧目地14の幅より十分に広い範囲において防錆剤を塗布したりステンレス材を巻き付けるなどの防錆処理18が施されている。
【0017】
さらに、上記化粧目地14には、非加硫ブチルゴム製のシール部材16が充填されている。
即ち、上記耐震壁10は、その表裏面に形成されて対をなす化粧目地14と上記柱状部材20とが、耐震壁10の壁厚方向に並ぶように配置され、化粧目地14と柱状部材20との間にはそれぞれ横筋30bが配置され、この対をなす化粧目地14間のコンクリート12の厚さが薄くなるように形成されている。例えば、耐震壁10の壁厚が200mmの場合、化粧目地14の深さは各々20mm、柱状部材20の直径は50mmとされ、この化粧目地14部分におけるコンクリート12のみの厚さは110mmとなり、化粧目地14以外の部分のコンクリート12の厚さ200mmに対して薄く形成される。
【0018】
そして、耐震壁10に埋設されている柱状部材20の外周部分をなすパイプとして塩化ビニル製パイプ24を用いる。この塩化ビニル製パイプ24は界面付着がほとんどなくコンクリート12との接合強度が低いので耐震壁10のコンクリート12に温度変化や乾燥収縮によって引張応力が発生した場合には、柱状部材20には当該応力が作用せず、上記断面積の小さい化粧目地14間に応力が集中するため、この部分にひび割れ12aが発生する。
【0019】
一方、耐震壁10に埋設した柱状部材20は耐震壁10に作用する圧縮応力の伝達が可能な圧縮強度を有するので、地震等によって建物の架構から剪断力を受けた場合にも、作用する圧縮応力に十分耐えうるだけの強度を有し、耐震壁10の必要強度を確保することができる。
【0020】
また、上記柱状部材20を塩化ビニル製パイプ24の内部に無収縮モルタル22を充填して形成したので、塩化ビニル製パイプ24を柱状部材20を形成するための型枠として用いるとともに、耐震壁10内にその塩化ビニル製パイプ24ごと柱状部材20としてそのまま埋設することができるので、柱状部材20を埋設した耐震壁10を容易に形成することができる。
【0021】
さらに、塩化ビニル製パイプ24内に充填するモルタルを無収縮モルタル22としたので、モルタルが乾燥しても塩化ビニル製パイプ24内に空隙が形成されることなく、十分な強度を有する柱状部材20を形成して、耐震壁10の圧縮強度を確保することができる。
【0022】
他方、ひび割れ12aを誘発する化粧目地14部分に配筋されている横筋30bには防錆処理18を施したので、このひび割れ12aによって微小な隙間が発生したとしてもこの位置の横筋30bが発錆して劣化することはない。さらに、湿気や結露等の水分がひび割れからしみ出したり、梁との接合部分等から耐震壁10内部にしみ込んだ水が壁面にしみ出したとしても、その水が錆を含まないので壁面が変色して美観を損ねることはない。
【0023】
また、ひび割れ12aを誘発させる化粧目地14部分には、シール部材16が充填されているので、ひび割れ12aが外部に露出することを防止できるとともに、この耐震壁10を外壁として用いた場合には、このひび割れ12aから耐震壁10内に雨水等が入り込むことを防止し、内壁として用いた場合には、湿気や結露等による水分がひび割れを伝ってしみ出すことを防止して壁面の美観を保つことができる。
【0024】
さらに、上記シール部材16を非加硫ブチルゴムとしたので、その特性上、生コンクリートと化学的に反応接着して確実に接合され、コンクリート12が温度変化や乾燥よって収縮しても、その弾性によってコンクリート12に伴って変形し剥がれることなく、発生するひび割れ12aを確実に塞ぎ止水することができる。
【0025】
ここで本実施形態では、柱状部材20の外周をなすパイプとして塩化ビニル製パイプ24を用いる例を示したが、塩化ビニル製パイプ24はそれ自身がコンクリート12との接合強度が低いため、別段の処理を施す手間がかからないという作用効果を奏する最適形態であって、パイプは必ずしも塩化ビニル製パイプ24を用いる必要はない。
【0026】
図2〜5は本発明の他の実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。第2実施形態は、上記第1実施形態において耐震壁10内に埋設させた柱状部材20をモルタル部材21で形成しその表面に絶縁テープ28を貼り付けた形態であり、第3実施形態は柱状部材20をモルタル部材21で形成しその表面に剥離剤26を塗布した形態であり、第4実施形態は柱状部材20をなすモルタル部材21の表面にその高さ方向に沿って互いに間隔を隔てて多段に環状の溝を形成することによってコッターをなす凸部21aを設け、その表面に剥離剤26を塗布した形態である。
【0027】
即ち、第2,3実施形態は、上記第1実施形態の塩化ビニル製パイプ24に替えて絶縁テープ28あるいは剥離剤26を用いた形態であり、第4実施形態は第3実施形態のモルタル部材21の表面に凸部21aを設けた形態である。従って、いずれの実施形態の耐震壁10においても、上記第1実施形態と同様に耐震壁10の化粧目地14位置にひび割れ12aを誘発させる作用、耐震壁10としての圧縮強度を確保する作用、誘発する化粧目地14位置に配置された横筋30bを発錆させない作用、発生させたひび割れ12aを確実にシールする作用とそれらに伴う効果が得られることは勿論であるが、上記作用効果に加えて、第2実施形態においては、柱状部材20を予めモルタル部材21で形成し、その表面に絶縁テープ28を貼り付けるので、型枠内にモルタルを注入してモルタル部材21を成形する時に発生しがちなモルタルの回り込み不良による空隙がないことを耐震壁10内に埋設する前に確認できて、柱状部材20の強度を確保することができるとともに、その表面に絶縁テープ28を貼り付けるだけで、容易に且つ確実にコンクリートと柱状部材20との接合強度が低い柱状部材20を形成することができる。
【0028】
また、第3実施形態においては、柱状部材20がモルタル部材21の表面に剥離剤26を塗布する構成なので、剥離剤26を溜めた容器にこのモルタル部材21を浸した後に乾燥させるような極めて容易な方法によってコンクリート12と柱状部材20との接合強度が低い柱状部材20を形成することができる。さらに、モルタル部材21の表面に凹凸が形成されてしまった場合であっても、その上から剥離剤26を塗布するので、剥離剤26が凹凸部にも入り込むため、剥離しにくい部分が形成されることなく確実にコンクリート12と柱状部材20とを分離することができる。
【0029】
そして、第4実施形態においては、第3実施形態の作用効果に加えて、耐震壁10のコンクリートが、柱状部材20に形成された節状の凸部21aに入り込んでいるので、高さ方向の応力に対しても対抗することができる。即ち、地震等によって建物の架構から剪断力を受けた場合に作用する高さ方向の圧縮応力にも滑ることなく対抗するので、さらに大きな剪断力にも耐えうる強度を有する耐震壁10を形成することができる。
【0030】
なお、この柱状部材20としては、表面に周方向に沿って形成された凸部を有し、防錆処理18が施されるとともに剥離剤26が塗布された異形鉄筋太型棒鋼や、表面に剥離剤26を塗布したシース管に無収縮モルタル22を充填したものでもよく、同様の作用効果を奏する。
【0031】
以上の実施形態において、化粧目地14を耐震壁10の両面に設けた実施形態を示したが、化粧目地14は一方の壁面のみに設けられている形態でも構わない。
【0032】
図6は、本発明の第5の実施形態を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。第5実施形態の耐震壁構造は、耐震壁10に埋設される柱状部材20として、塩化ビニル製パイプ24内に無収縮モルタル22を充填し、この外周部の全長に亘って非加硫ブチルゴムでなり止水部材をなすシール部材16を設けた実施形態である。このシール部材16は、塩化ビニル製パイプ24の周面を半分に区画する位置、即ち壁面と平行をなす直径方向の2箇所に配置する。このとき、化粧目地14には必ずしもシール部材16を充填しなくてもよい。
【0033】
即ち、本実施形態は、上記第1実施形態の塩化ビニル製パイプ24の外周部をその周方向に沿って2つの領域24a,24bに分けて、一方の領域24aに達するひび割れ12aを他方の領域24bに対して遮蔽するシール部材16を備えた形態である。
【0034】
したがって、本実施形態の耐震壁10においては、上記ひび割れ12aを耐震壁10の化粧目地14位置に誘発させる作用、耐震壁10としての圧縮強度を確保する作用、誘発する化粧目地14部分の横筋30bに発錆させない作用とそれらに伴う効果が得られることは勿論であるが、上記作用効果に加えて、塩化ビニル製パイプ24の外周面はシール部材16によって2つの領域24a、24bに分けられているので、一方の領域24aに達したひび割れ12aから水が浸入しても、そのひび割れ12aと他方の領域24bとはシール部材16で遮蔽されているため、他方の領域24bに水が回り込むことはなく、耐震壁10の奥部への水の浸入を防止することができる。したがって、譬え両壁面からそれぞれ異なる領域24a,24bに達するひび割れ12aがそれぞれ発生しても、それらのひび割れ12aは連通しないので、一方壁面のひび割れ12aから浸入した水が、他方の壁面にしみ出すことを防止できる。
【0035】
そのうえ、シール部材16を取り付けた柱状部材20を耐震壁10に埋設させるだけでシール構造を容易に形成することができる。即ち、耐震壁10の構築時において、コンクリートの硬化を待ってその後に、化粧目地14にシール部材16を充填する手間がかからず施工性が良い。また、このシール部材16は、埋設されているので紫外線によって劣化することなく長期間に亘って止水効果を得ることができる。
【0036】
さらに、シール部材16を非加硫ブチルゴムとしたので、その特性上、生コンクリートと化学的に反応接着して確実に接合され、コンクリート12にひび割れ12aが発生しても、ゴムの弾性によってコンクリート12に伴ってシール部材16が変形して剥がれることがなく、発生するひび割れ12aを確実に塞ぎ止水することができる。従って、反対側壁面に水がしみ出すことを防止して壁面の美観を保つことができる。
【0037】
また、非加硫ブチルゴム等の止水部材は非常に高価であるが、シール部材16を柱状部材20の直径方向の2箇所に、その柱状部材20に沿わせその全長に亘って設けたので、従来行われているような止水部材を外周面の全面に巻き付ける形態より、使用する止水部材の量が極めて少なく安価に止水性の良い耐震壁を施工することができる。
【0038】
本実施形態では、シール部材16を設ける位置を壁面と平行をなし柱状部材29の直径方向の2箇所に配置する例を示したが、シール部材16は、これに限らず塩化ビニル製パイプ24の外周部をその周方向に沿って少なくとも2つの領域に分けて、それらいずれかの領域に達するひび割れ12aを他の領域に対して遮蔽するように備えられていれば構わない。
【0040】
また、上記実施形態において柱状部材20の断面形状を円形状とした形態を示したが、これに限らず、楕円形状や多角形状でも構わず、さらにその材質もモルタルに限らず合成樹脂や鋼製材でも、圧縮に対して相当の強度を有するものであれば構わない。
【0041】
上記実施形態においては、コンクリート壁を耐震壁としたが、これに限るものではない。
【0042】
図8,9は上記第5実施形態のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造をベランダ床部に適用した第1応用例を示し、図10,11は庇部分に適用した第2応用例を示し、上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0043】
第1応用例のベランダ床部32の構造は、外周部にシール部材16が設けられた塩化ビニル製パイプ24内に無収縮モルタル22が充填された柱状部材20がベランダ床部32に埋設されている。この柱状部材20は、床部32内に上下2段に配筋された鉄筋30間にベランダの張り出し方向に向けられるとともに、建物34の桁行き方向に適宜間隔を隔てて複数設けられている。
【0044】
第2応用例の庇36の構造は、上記ベランダ床部32の構造と同様の柱状部材20が、庇36の鉄筋30間にその張り出し方向に向けられるとともに、建物34の桁行き方向に適宜間隔を隔てて複数設けられている。この本応用例に限っては化粧目地14を設けない場合もある。
【0045】
そして、これらの応用例においてシール部材16は、床面32aまたは庇36と平行をなし塩化ビニル製パイプ24の周面に直径方向の2箇所に配置されている。このとき、化粧目地14には必ずしもシール部材16を充填しなくてもよい。
【0046】
したがって、上記応用例のベランダ床部32または庇36においては、第5実施形態同様にひび割れ12aをベランダ床部32または庇36の化粧目地14位置に誘発させる作用、ベランダ床部32または庇36としての圧縮強度を確保する作用、誘発する化粧目地14部分の横筋30bに発錆させない作用とそれらに伴う効果が得られることは勿論である。
【0047】
特にその構造上、外壁等と比べて雨水等が捌けにくい床面32aや庇上面36aの水をそれらの内部に浸入させたり、その下面にまでしみ出すことを防止してエフロレッセンスの発生を防止できる。
【0048】
また上記応用例では、シール部材16を設ける位置を床面32aまたは庇36と平行をなし柱状部材20の直径方向の2箇所に配置する例を示したが、これに限るものではない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造では、コンクリート部材内のコンクリート部分に温度変化や乾燥収縮によって引張応力が発生した場合に、柱状部材には当該応力が作用しないので、化粧目地と柱状部材とでコンクリートの厚さ方向の断面積が小さく形成された化粧目地位置にひび割れを誘発させることができる。
また、パイプを柱状部材を形成するための型枠として用い、そのパイプごとそのまま壁内に埋設できるので、柱状部材を容易に壁内に備えることができる。さらに、パイプ内には無収縮モルタルを充填したので、柱状部材内に空隙が形成されることなく、十分な強度を有する柱状部材をコンクリート部材内に埋設することができる。
【0050】
また、請求項2のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造では、柱状部材の外周面は止水部材によって複数の領域に分けられ、上記いずれかの領域に達するひび割れと他の領域とは止水部材で遮蔽されているので、壁の奥部への水の浸入を防止することができる。したがって、譬えコンクリート部材のいずれかの表面からそれぞれ異なる領域に達するひび割れが発生しても、特定の表面のひび割れから浸入した水が、他の表面にしみ出すことを防止できる。
【0054】
また、請求項のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造では、ひび割れが誘発される部分に配筋されている鉄筋には防錆処理が施されているので、このひび割れ部分の鉄筋が発錆しないため劣化せず、その強度を確保することができるとともに、たとえ、ひび割れに雨水等の水が入り込み反対側にしみ出したとしても、その水が錆を含まないのでコンクリート部材表面の美観を損なうことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるコンクリート壁構造の第1実施形態を示す平断面図である。
【図2】本発明にかかるコンクリート壁構造の第2実施形態を示す平断面図である。
【図3】本発明にかかるコンクリート壁構造の第3実施形態を示す平断面図である。
【図4】本発明にかかるコンクリート壁構造の第4実施形態を示す平断面図である。
【図5】図4の正面断面図である。
【図6】本発明にかかるコンクリート壁構造の第5実施形態を示す平断面図である。
【図7】図6の変形例を示す平断面図である。
【図8】本発明のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造をベランダ床部に適用した例を示す側断面図である。
【図9】図8のA−A断面図である。
【図10】本発明のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造を庇に適用した例を示す側断面図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【符号の説明】
10 耐震壁(コンクリート部材)
12 コンクリート
12a ひび割れ
14 化粧目地
16 シール部材(止水部材)
18 防錆処理
20 柱状部材
21 モルタル部材
21a 突部
22 無収縮モルタル
24 塩化ビニル製パイプ(パイプ)
24a,24b 領域
26 剥離剤
28 絶縁テープ
30 鉄筋
30a 縦筋
30b 横筋

Claims (3)

  1. コンクリート部材の少なくとも一表面に設けられた化粧目地と、該化粧目地位置に対応させて上記コンクリート部材内に埋設され、パイプ内に無収縮モルタルが充填されて形成された柱状部材とを備え、
    該柱状部材とコンクリートとの接合強度を低く設定したことを特徴とするコンクリート部材におけるひび割れ制御構造。
  2. 上記柱状部材の外周面をその周方向に沿って少なくとも2つの領域に分けて、いずれかの領域に達するひび割れを他の領域に対して遮蔽する止水部材を柱状部材に備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造。
  3. 上記化粧目地と上記柱状部材との間に配置される鉄筋には、防錆処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート部材におけるひび割れ制御構造。
JP2000240404A 1999-09-02 2000-08-08 コンクリート部材におけるひび割れ制御構造 Expired - Lifetime JP3775185B2 (ja)

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