JP5786364B2 - ファンモータ - Google Patents

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Description

本発明は、ファンモータに関する。
従来から、電子機器に搭載されるCPU、液晶パネルや、車両に搭載されるのラジエータ等の各種の発熱部品を送風により冷却する送風用のファンとして、ファンとモータとが一体的に構成されたファンモータが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
下記特許文献1に記載のファンモータは、ケージング11と、ケージング11の内側にケージング11と一体的に形成された軸受けハウジング12と、軸受けハウジング12内で回転可能なシャフト1と、シャフト1に固定されたカップ状の回転子6と、回転子6の外周面に形成された羽根部7とを有する。軸受けハウジング12の外周にはコイル5aを含む固定子5が設けられており、カップ状の回転子6の内周には、固定子5に対向する位置にマグネット6aが設けられている。この固定子5と、マグネット6aとの磁束の作用により回転子6が回転することで、回転子6に設けられた羽根部7が回転し、気流が発生する。
特開2006−074964号公報(段落[0013]、[0014]図1)
一般的にファンモータは、上記特許文献1に記載のファンロータのように、回転子側にマグネットが設けられている。従って、ファンモータを長期間使用した場合、回転子の回転によりマグネットが回転子から剥がれ落ちてしまう場合があり、ファンモータの耐久性が低いといった問題がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、耐久性を向上させることができるファンモータを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るファンモータは、ケースと、ファンロータと、ステータとを具備する。
前記ファンロータは、回転の周方向に沿って第1のピッチで配置された複数のロータ歯を有し、前記ケース内に回転可能に設けられ、回転により前記ケース内の気体を圧送する。
前記ステータは、ステータ歯と、コイルと、永久磁石とを有し、前記ケース内に配置され、前記回転の軸方向で前記ファンロータと対向配置される。
前記ステータ歯は、前記ロータ歯に対向する対向面をそれぞれ含み、前記周方向に沿って前記第1のピッチと異なる第2のピッチで配置される。
前記コイルは、前記各ステータ歯の周囲にそれぞれ巻回されたコイルであって、前記周方向に沿う方向で互いに隣り合う前記コイルに位相の異なる電力が供給される。
前記永久磁石は、前記各ステータ歯の前記対向面上にそれぞれ設けられ、前記周方向に沿って磁極が交互に異なるように配置される。
本発明では、複数のステータ歯にそれぞれ巻回されたコイルに電力が供給されると、ステータ歯にそれぞれ磁束が発生する。回転の周方向に沿う方向で互いに隣り合うコイルには、位相の異なる電力が供給されるので、互いに隣り合うステータ歯には、原則的に異なる強さの磁束が発生し、この磁束は、時間的に変化することになる。
コイルの通電によりステータ歯に発生した磁束は、ステータ歯の対向面上にそれぞれ設けられ、周方向に沿って磁極が交互に異なるように配置された永久磁石に作用し、時間的に変化しながら永久磁石の磁束を強めたり弱めたりする。
これにより、周方向に沿う方向で強弱が時間的に変化する磁束が、ステータ側から発生する。ステータ側から発生した磁束は、ファンロータのロータ歯に作用する。これにより、ステータ歯のピッチ(第1のピッチ)と異なるピッチ(第2のピッチ)で配置されたロータ歯が誘導されてファンロータが回転する。このファンロータの回転により、気流が発生する。
このように、本発明では、ファンロータに永久磁石を配置せずに、ファンモータの動作を実現している。これにより、ファンロータの回転により永久磁石がファンロータから剥がれ落ちてしまうこともなくなり、ファンモータの耐久性を向上させることができる。
また、本発明では、モータの方式としてアキシャルギャップ型のモータ方式が採用されているので、ファンモータの薄型化、小型化の観点からも有利である。
上記ファンモータにおいて、前記ロータ歯は、前記回転により前記気体を圧送するブレードとしての機能を有するロータブレードであってもよい。
本発明では、ロータブレードがロータ歯としての機能と、ブレードとしての機能とを兼用するので、ファンロータにブレードを特別に設ける必要がない。従って、ファンモータをさらに小型化、薄型化することができる。
以上説明したように、本発明によれば、耐久性を向上させることができるファンモータを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るファンモータを示す断面図である。 ファンモータを示す斜視図であり、ファンモータの一部が破断された状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係るファンロータをステータ側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るファンロータをステータ側から見た正面図である。 本発明の一実施形態に係るファンロータの背面図である。 本発明の一実施形態に係るファンロータの側面図である。 本発明の一実施形態に係るファンロータの側方断面図である。 本発明の一実施形態に係るステータをファンロータ側から見た斜視図であり、ステータの一部が分解された様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係るステータをファンロータ側から見た正面図である。 ファンモータの動作原理を説明するための図であり、ファンロータ及びステータをリニアに展開した様子を示す図である。 ファンモータの動作原理を説明するための図であり、U相、V相、W相のコイルに流れる電流の変化を示す図である。 他の実施形態に係るファンロータをステータ側から見た斜視図である。 他の実施形態に係るファンロータをステータ側から見た正面図である。 他の実施形態に係るファンロータの側面図である。 さらに別の実施形態に係るファンロータを示す斜視図である。 さらに別の実施形態に係るファンロータを示す側面図である。 さらに別の実施形態に係るファンモータを示す側方断面図である。 さらに別の実施形態に係るファンロータをステータ側から見た斜視図である。 さらに別の実施形態に係るファンロータを背面側からみた斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
[ファンモータの全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るファンモータを示す断面図である。図2は、ファンモータを示す斜視図であり、ファンモータの一部が破断された状態を示す図である。
これらの図に示すように、ファンモータ100は、ファンケース31と、ステータケース32と有するケース3を備える。また、ファンモータ100は、ファンケース31内に軸31Dを中心軸として回転可能に設けられ、回転によりファンケース31内の気体を圧送するファンロータ1を備える。また、ファンモータ100は、ステータケース32内において、ファンロータ1の回転の軸方向でファンロータ1と対向配置され、ファンロータ1を回転させる磁界を発生するステータ2を備える。
本明細書中の説明では、ファンロータ1の回転の軸の向く方向(z軸方向)を軸方向、回転の周囲の方向を周方向、回転の半径方向を径方向として説明する。
また、本明細書中の説明では、ファンロータ1がステータ2と対向する側をファンロータ1の正面側、反対側をファンロータ1の背面側として説明する。また、ステータ2がファンロータ1と対向する側をステータ2の正面側、反対側をステータ2の背面側として説明する。
[ケースの構成]
ファンケース31は、全体として円筒形状であり、ファンケース31内にファンロータ1を回転可能に収納することができる程度の大きさとされる。
ファンケース31は、円筒状の筒部31Aと、ファンロータ1の正面側に配置された円板状の第1の側壁部31Bと、ファンロータ背面側に配置された円板状の第2の側壁部31Cとを含む。
ファンケース31には、気体をファンケース31に流入させる流入管4と、気体をファンケース31内から流出させる流出管5とが設けられる。
流入管4は、一端部がファンケース31の第1の側壁部31Bの中央と繋がっており、ファンケース31から軸方向に向けて延びるように設けられている。この流入管4は、ステータケース32の中央を連通するように設けられる。
一方、流出管5は、一端部がファンケース31の筒部31Aと繋がっており、ファンケース31から径方向(遠心方向)に延びるように設けられる。
ファンケース31の内部には、軸31Dが設けられている。軸31Dは、円柱形状を有しており、ファンケース31の第2の側壁部31Cの中央から、z軸方向でファンケース31内部へ向けて延びるように設けられる。軸31Dの外周面と、リング状に形成されたファンロータ1(図3参照)の内周面との間には、ボールベアリング等の軸受9が介在される。
ステータケース32は、ファンケース31と同様に円筒形状であり、ステータケース32内にステータ2を収納することができる程度の大きさとされる。
ステータケース32は、筒部32Aと、ステータ2の正面側に配置された円板状の第1の側壁部32Bと、ステータ背面側に配置された円板状の第2の側壁部32Cとを含む。
ステータケースの第1の側壁部32B及び第2の側壁部32Cの中央には、それぞれ流入管4を連通させるための開口が設けられる。
[ファンロータの構成]
図3は、ファンロータ1をステータ2側から見た斜視図である。図4は、ファンロータ1をステータ2側から見た正面図であり、図5は、ファンロータ1の背面図である。図6は、ファンロータ1の側面図であり、図7は、ファンロータ1の側方断面図である。
これらの図に示すように、ファンロータ1は、リング状の形状を有している。このファンロータ1は、ファンロータ本体11と、ファンロータ本体11からステータ2側に向けて突出するように設けられた複数のロータブレード12とを有する。
ロータブレード12は、ロータ歯としての機能と、ブレードとしての機能とを兼用する。すなわち、ロータブレード12は、ステータ2側から発生する磁界により周方向へ誘導されてファンロータ1に回転力を与えるロータ歯としての機能と、回転により圧力差を発生させ、ファンケース31内の気体を圧送するブレードとしての機能とを兼用する。
ロータブレード12は、回転の周方向に沿って45度ピッチ(第1のピッチ)で、8個配置される(図4参照)。8個のロータブレード12は、ファンロータ1の中心から放射状に形成されている。
ロータブレード12は、ファンロータ1の正面側に形成された8個の羽根溝13によってファンロータ1の正面側に形成される。
羽根溝13は、深さが周方向及び径方向で一定ではなく、深さが周方向及び径方向で変化して形成されている。羽根溝13についてさらに詳しく説明すると、羽根溝13は、周方向での深さが、ファンロータ1の回転方向とは反対方向へ向けて徐々に深くなるように湾曲して形成される。また、羽根溝13は、ファンロータ1の内周側から外周側にかけて徐々に深さが深くなるように傾斜して形成される(図7参照)。
このように形成された羽根溝13による気体の流路の面積は、ファンロータ1の内周側から外周側にかけて徐々に大きくなる。これにより、ファンロータ1回転時に、ディフューザ効果により、ファンロータ1の内周側の圧力を、ファンロータ1の外周側の圧力よりも効果的に高くすることができる。
ファンロータ1は、鉄、ケイ素鋼などの強磁性体により構成されており、強磁性体の薄板が径方向で積層された積層体構造とされる。ファンロータ1が、強磁性体の薄板が径方向で積層された積層体構造とされることで、ステータ2側から発生する磁界の変化による渦電流の発生を抑制することができる。これにより、エネルギーの損失を低減することができる。
次に、ファンロータ1の製造方法について簡単に説明する。
まず、強磁性体(鉄、ケイ素鋼等)の薄板が径方向で積層されて構成されたリング状の積層構造体(巻鉄心)が用意される。そして、このリング状の積層構造体の一方の面に、複数の羽根溝13が形成される。羽根溝13は、周方向では、深さが徐々に深くなるように湾曲して形成され、かつ、径方向では、内周側から外周側にむけて深さが徐々に深くなるように傾斜して形成される。この羽根溝13の形成により、ロータブレード12が形成される。このように、本実施形態に係るロータブレード12は、リング状の積層構造体に羽根溝13を形成することで、製造可能であるので、容易に製造することができる。
[ステータの構成]
図8は、ステータ2をファンロータ1側から見た斜視図であり、ステータ2の一部が分解された様子を示す図である。図9は、ステータ2をファンロータ1側から見た正面図である。
これらの図に示すように、ステータ2は、ステータ本体211と、ステータ本体211からファンロータ1側に突出するように設けられた複数のステータ歯212とを有するリング状のステータコア21を有する。また、ステータ2は、ステータ歯212の周囲にそれぞれ巻回されたコイル22と、ステータ歯212の正面にそれぞれ設けられた永久磁石23とを有する。
ステータコア21のステータ歯212は、周方向に沿って、ロータブレード12のピッチとは異なるピッチ(第2のピッチ)で、複数個設けられる。本実施形態では、ステータ歯は、60度ピッチで、6個設けられている(図9参照)。ステータ歯212は、ステータ2の内周側から外周側にかけて徐々に周方向での幅が広くなるように形成されている。
ステータコア21は、ファンロータ1と同様に、鉄、ケイ素鋼などの強磁性体によって構成されており、強磁性体の薄板が、径方向で積層された積層体構造とされる。ステータコア21が、このような積層構造とされることで、磁束の変化による渦電流の発生を抑制することができ、エネルギーの損失を低減することができる。
ステータコア21は、強磁性体(鉄、ケイ素鋼等)の薄板が径方向で積層されて構成されたリング状の積層構造体(巻鉄心)の一方の面に、複数の溝を形成することで製造することができる。ステータコア21も、ファンロータ1と同様に、容易に製造することができる。
ステータ歯212に巻回されたコイル22には、周方向に沿って順番にU相、V相、W相の3相の交流電力が供給される。すなわち、周方向で互いに隣り合うコイル22には、異なる位相の交流電力が供給される。
永久磁石23は、磁極がファンロータ1側を向くように、かつ、周方向に沿って磁極が交互に異なるように配置される。1つのステータ歯212に対しては、N極がファンロータ1側を向くN極の永久磁石23NとS極がファンロータ1側を向くS極の永久磁石23Sとが配置される。すなわち、永久磁石23は、1つのステータ歯212に対して、それぞれ2つずつ設けられる。なお、以降の説明では、1つのステータ歯に対して設けられた永久磁石23N、23Sを一対の永久磁石23N、23Sと呼ぶ場合がある。
一対の永久磁石23N、23Sは、ステータ歯212と同様に、内周側から外周側に向けて周方向での幅が広くなるように形成されている。一対の永久磁石23N、23Sは、ステータ歯212の正面212aと同等の面積とされており、ステータ歯の正面212aの全面を覆うように設けられる。
永久磁石23は、個々に分離されており、この個々に分離された永久磁石23が接着剤などにより、ステータ歯212の正面212aに接着される。
[動作説明]
次に、ファンモータ100の動作について説明する。
まず、ファンモータ100の動作原理について説明する。
図10及び図11は、ファンモータ100の動作原理を説明するための図である。
図10(A)〜(C)には、ファンロータ1及びステータ2をリニアに展開した様子が示されており、それぞれ、U相、V相、W相のコイル22に流れる電流が最大である場合の磁束の流れが示されている。
図11には、U相、V相、W相のコイル22に流れる電流の変化が示されている。
なお、図10及び図11の説明では、便宜的に、U相、V相、W相の交流電力が供給されるコイルをそれぞれ、U相、V相、W相のコイル22U、22V、22Wと呼ぶ。
また、U相、V相、W相のコイルが巻回されたステータ歯をU相、V相、W相のステータ歯212U、212V、212Wと呼ぶ。
同様に、U相、V相、W相のステータ歯212U、212V、212Wに設けられた永久磁石をU相N極、U相S極、V相N極、V相S極、W相N極、W相S極の永久磁石23UN、23US、23VN、23VS、23WN、23WSと呼ぶ。
なお、図10では、ロータブレード12を区別するために、便宜的に左から順番に4つずつ、12A〜12Dの符号が付されている。
まず、図10(A)を参照して、U相のコイル22Uに流れる電流が最大である瞬間での、ステータ歯212とロータブレード12との位置関係ついて説明する。
この場合、U相のコイル22Uに流れる電流が最大であり、V相、W相のコイル22V、22Wには、U相のコイル22Uに流れる電流の半分の電流が、U相のコイル22Uに流れる電流と逆向きに流れる(図11(A)参照)。これにより、U相のステータ歯212Uに下向きに、V相のステータ歯212Vに上向きに、W相のステータ歯212Wに上向きに、それぞれ磁束が発生する。この場合、U相のステータ歯212Uに生じる磁束が最大となり、V相のステータ歯212V、W相のステータ歯212Wには、U相のステータ歯212Uに発生する磁束の半分の磁束がそれぞれ発生する。
U相に着目すると、U相のコイル22UによりU相のステータ歯212Uにより発生した磁束は、U相N極の永久磁石23UNの磁束を強め、U相S極の永久磁石23USの磁束を弱める。V相に着目すると、V相のコイル22VによりV相のステータ歯212Vにより発生した磁束は、V相N極の永久磁石23VNの磁束を弱め、V相S極の永久磁石23VSの磁束を強める。W相に着目すると、W相のコイル22WによりW相のステータ歯212Wにより発生した磁束は、W相N極の永久磁石23WNの磁束を弱め、W相S極の永久磁石23WSの磁束を強める。
これにより、磁束の流れは、図10(A)に示すような流れとなる。この磁束の流れをU相を起点として説明すると、U相のコイル22UによりU相のステータ歯212Uに発生した磁束は、U相N極の永久磁石23UNの磁束を強め、このU相N極の永久磁石23UNを介してロータブレード12Aへ流れ込む。ファンロータ1側に流れ込んだ磁束は、分岐し、分岐した一方の磁束は、ロータブレード12Cを介してV相S極の永久磁石23VSへ流れ込む。分岐した他方の磁束は、ロータブレード12Dを介してW相S極の永久磁石23WSへ流れ込む。
V相のステータ歯212Vに流れ込んだ磁束は、V相のコイル22Vにより強められ、W相のステータ歯212Wに流れ込んだ磁束は、W相のコイル22Wにより強められる。これらの磁束は、合流し、合流した磁束は、U相のステータ歯212Uに流れ込む。そして、U相のステータ歯212Uに流れ込んだ磁束は、U相のコイル22Uにより強められて、U相N極の永久磁石23UNを介して、再びロータブレード12Aへ流れ込む。
U相N極の永久磁石23UNからロータブレード12Aに流れ込む磁束は、ロータブレード12Aの中心に垂直に流れ込むので、この磁束による力は、ファンロータ1の回転方向でバランスされている。ロータブレード12CからV相S極の永久磁石23VSに流れ込む磁束による力と、ロータブレード12DからW相S極の永久磁石23WSに流れ込む磁束による力とは、ファンロータ1の回転方向に逆向きで、かつ同様の大きさであるので、これらの力は相殺される。
すなわち、U相に流れる電流が最大である瞬間においては、ステータ歯212と、ロータブレード12の位置関係は、図10(A)に示す位置関係でバランスされている。
この状態から、時間が経過し、U相、V相、W相のコイル22U、22V、22Wに流れる電流が変化することにより、U相、V相、W相のステータ歯212U、212V、212Wに発生する磁束が変化する。これに伴い、磁束が強められる永久磁石23と、磁束が弱められる永久磁石23が変化し、ステータ2側から発生する磁束も変化することになる。この磁束の変化に伴って、ステータ歯212と異なるピッチで配置されたロータブレード12が誘導されて、ファンロータ1が回転される。
図10(B)を参照して、U相に流れる電流が最大である瞬間から時間が経過し、V相に流れる電流が最大となった場合について説明する。
この場合、V相のコイル22Vに流れる電流が最大であり、U相、W相のコイル22U、22Wには、V相のコイル22Vに流れる電流の半分の電流が、V相のコイル22Vと逆向きに流れる(図11(B)参照)。これにより、V相のステータ歯212Vに下向きに磁束が発生し、U相のステータ歯212U及びW相のステータ歯212Wに上向きに、V相のステータ歯212Vに発生する磁束の半分の磁束が発生する。
図10(B)に示す磁束の流れをV相を起点として説明する。V相のコイル22VによりV相のステータ歯212Vに発生した磁束は、V相N極の永久磁石23VNの磁束を強め、V相N極の永久磁石23VNを介してロータブレード12Bへ流れ込む。ファンロータ1側に流れ込んだ磁束は、分岐し、分岐した一方の磁束は、ロータブレード12Aを介してU相S極の永久磁石23USへ流れ込む。分岐した他方の磁束は、ロータブレード12Dを介してW相S極の永久磁石23WSへ流れ込む。
U相のステータ歯212Uに流れ込んだ磁束及びW相のステータ歯212Wに流れ込んだ磁束は、U相のコイル22U及びW相のコイル22Wにより強められる。これらの磁束は、合流して、V相のステータ歯212Vに流れ込み、V相のコイル22Vにより強められ、V相N極の永久磁石23VNを介して、再びロータブレード12Bへ流れ込む。
V相N極の永久磁石23VNからロータブレード12Bに流れ込む磁束による力は、ファンロータ1の回転方向でバランスされている。ロータブレード12AからU相S極の永久磁石23USに流れ込む磁束による力と、ロータブレード12DからW相S極の永久磁石23WSに流れ込む磁束による力とは、ファンロータ1の回転方向に逆向きで、かつ同様の大きさであるので、これらの力は相殺される。つまり、V相に流れる電流が最大である場合、ステータ歯212と、ロータブレード12の位置関係は、図10(B)に示す位置関係でバランスされている。
この状態から時間が経過し、U相、V相、W相のコイル22U、22V、22Wに流れる電流が変化することにより、ステータ2側から発生する磁束が変化することによって、ロータブレードが誘導されてファンロータ1が回転される。
図10(C)を参照して、V相に流れる電流が最大である瞬間から時間が経過し、W相に流れる電流が最大となった場合について説明する。
この場合、W相のコイル22Wに流れる電流が最大であり、U相、V相のコイル22U、22Vには、W相のコイル22Wに流れる電流の半分の電流が、W相のコイル22Wと逆向きに流れる(図11(C)参照)。これにより、W相のステータ歯212Wに下向きに磁束が発生し、U相のステータ歯212U及びV相のステータ歯212Vに上向きに、W相のステータ歯212Wに発生する磁束の半分の磁束が発生する。
図10(C)に示す磁束の流れをW相を起点として説明する。W相のコイル22WによりW相のステータ歯212Wに発生した磁束は、W相N極の永久磁石23WNの磁束を強め、W相N極の永久磁石23WNを介してロータブレード12Cへ流れ込む。ファンロータ1側に流れ込んだ磁束は、分岐し、分岐した一方の磁束は、ロータブレード12Aを介してU相S極の永久磁石23USへ流れ込む。分岐した他方の磁束は、ロータブレード12Bを介してV相S極の永久磁石23VSへ流れ込む。
U相のステータ歯212Uに流れ込んだ磁束及びV相のステータ歯212Vに流れ込んだ磁束は、U相のコイル22U及びV相のコイル22Vにより強められる。これらの磁束は、合流して、W相のステータ歯212Wに流れ込む。
W相N極の永久磁石23WNからロータブレード12Cに流れ込む磁束による力は、ファンロータ1の回転方向でバランスされている。ロータブレード12AからU相S極の永久磁石23USに流れ込む磁束による力と、ロータブレード12BからV相S極の永久磁石23VSに流れ込む磁束による力とは、ファンロータ1の回転方向に逆向きで、かつ同様の大きさであるので、これらの力は相殺される。従って、W相に流れる電流が最大である場合、ステータ歯212と、ロータブレード12の位置関係は、図10(C)に示す位置関係でバランスされている。
この状態から時間が経過し、U相、V相、W相のコイル22U、22V、22Wに流れる電流が変化することにより、ステータ2側から発生する磁束が変化することによって、ロータブレード12が誘導されてファンロータ1が回転される。
そして、再び、U相に流れる電流が最大となる。このようなサイクルによって、ファンロータ1は、軸を中心軸として回転する。
本実施形態に係るファンモータでは、以上説明したような動作原理により、ファンロータが回転されるので、ファンロータに永久磁石を配置せずとも動作可能とされる。
次に、ファンモータの動作について具体的に説明する。
コイルへ電力が供給されると、ステータ2側から磁界が発生し、ロータブレード12が周方向に誘導されてファンロータ1が軸31Dを中心軸として回転する。ファンロータ1が回転されると、回転するロータブレード12(羽根溝13)によりファンロータ1内周側の圧力が外周側の圧力よりも高くなる。羽根溝13による気体の流路の面積は、ファンロータ1の内周側から外周側にかけて徐々に大きくなるので、ディフューザ効果により、効果的に圧力差を発生させることができる。
ファンロータ1の回転による圧力差により、流入管4内の気体がファンケース31内に流入する。ファンケース31内に流入した気体は、ファンロータ1の内周側から、回転するロータブレード12の間(羽根溝13内)に入り、回転するロータブレード12により径方向に(遠心方向)に圧送される。径方向に圧送された気体は、ファンロータ1の外周側から流れ出し、ファンロータ1の外周面と、ファンケース31の筒部31Aの内周面との間を流れ、その後、ファンケース31から流出管5へ流出する。
以上説明したように、本実施形態では、ファンロータ1に永久磁石23を配置せずにファンモータ100の動作を実現している。これにより、ファンロータ1の回転により永久磁石23がファンロータ1から剥がれ落ちてしまうこともなくなり、ファンロータ1の耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態では、モータの方式としてアキシャルギャップ型のモータ方式が採用されているので、ファンモータ100の薄型化、小型化の観点からも有利である。
また、本実施形態では、ファンロータ1のロータブレード12が、ステータ2側からの磁界によりファンロータ1に回転力を与えるロータ歯としての機能と、回転により気体を圧送するブレードとしての機能とを兼用するので、ファンモータ100をさらに、薄型化、小型化することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、ファンロータの形状が上述の第1実施形態と異なっている。従って、その点を中心に説明する。なお、第2実施形態以降の説明では、上述の第1実施形態と同様の構成及び機能を有する部材については、同一符号を付し、説明を簡略化または省略する。
図12は、第2実施形態に係るファンロータをステータ側から見た斜視図である。図13は、ファンロータをステータ側から見た正面図であり、図14は、ファンロータの側面図である。
これらの図に示すように、ファンロータ6は、ファンロータ本体61と、ファンロータ本体61からステータ2側に突出するように設けられた複数のロータブレード62とを有する。このロータブレード62は、渦巻き状に形成されている。ロータブレード62は、第1実施形態と同様に、45°ピッチで8個設けられている(図13参照)。
ロータブレード62は、鉄等の強磁性体の薄板が径方向で積層された積層構造体の一方の面に複数の羽根溝63が形成されることで形成される。羽根溝63は、渦巻き状に形成されており、周方向での深さが、ファンロータ6の回転方向とは反対方向へ向けて徐々に深くなるように湾曲して形成される。また、羽根溝63は、ファンロータ1の内周側から外周側にかけて徐々に深さが深くなるように傾斜して形成される。
第2実施形態に係るファンロータ6では、ロータブレード62(羽根溝63)が渦巻き状に形成されているので、ファンモータ100の送風性能を向上させることができる。
なお、第2実施形態に係るファンロータ6のロータブレード62の形状は、第1実施形態とは異なっているが、ロータブレード62の形状の変更は、積層構造体に形成される羽根溝63の形状を変更すれば可能であるので、容易に変更可能である。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、上述の各実施形態と、ファンロータの形状が異なっている。従ってその点を中心に説明する。
図15は、第3実施形態に係るファンロータを示す斜視図であり、図16は、ファンロータを示す側面図である。
図15に示すように、ファンロータ7は、ファンロータ本体71と、ファンロータ本体71からステータ2側に突出するように、渦巻き状に形成された複数(8個)のロータブレード72とを有する。ロータブレード72の形状(羽根溝73の形状)は、上述の第2実施形態と同様の形状である。
また、ファンロータ7は、ファンロータ7の正面側でファンロータ7の正面を覆うように設けられたシュラウド部75を有する。シュラウド部75は、リング状の薄板形状を有している。
シュラウド部75は、ファンロータ本体71及びロータブレード72と同様に、強磁性体の薄板が径方向に積層された積層体構造とされる。これにより、ステータ2側から発生する磁界の変化による渦電流の発生を抑制することができ、エネルギー損失を低減することができる。
第3実施形態に係るファンロータ7では、シュラウド部75が設けられているので、ファンモータ100の送風性能をさらに向上させることができる。
第3実施形態の説明では、ロータブレード72(羽根溝73)の形状が第2実施形態と同様の場合について説明したが、ロータブレード72(羽根溝73)の形状は、第1実施形態と同様の形状であってももちろん構わない。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
上述の各実施形態では、ファンロータのロータブレードがロータ歯としての機能と、ブレードとしての機能とを兼用する場合について説明した。一方、第4実施形態では、ファンロータにロータ歯と、ブレードとが別々に設けられている点で、上述の各実施形態と異なっている。従ってその点を中心に説明する。
図17は、第4実施形態に係るファンモータを示す側方断面図である。図18は、ファンロータをステータ側から見た斜視図である。図19は、ファンロータを背面側からみた斜視図である。
図17に示すように、ファンモータ200は、ファンケース33と、ステータケース32とを有するケース3と、ファンロータ8と、ステータ2とを備える。
ステータケース32及びステータ2は、上記各実施形態と同様の構成である。
ファンケース33は、円筒状の筒部33Aと、ファンロータ1の正面側に配置された円板状の第1の側壁部33Bと、ファンロータ1の背面側に配置された円板状の第2の側壁部33Cとを有する。ファンケース33の第1の側壁部33Bには、軸33Dが設けられる。軸33Dは、第1の側壁部33Bの中央から、ファンケース33内部に向けてz軸方向に延びるように設けられる。
軸33Dには、軸方向に向けて軸33Dを連通する連通口33D−1が設けられている。この連通口33D−1は、流入管4の内部と繋がっており、流入管4とともにファンケース33内への気体の流入路を構成する。
軸33Dの外周面と、リング状に形成されたファンロータ8の内周面との間には、ボールベアリング等の軸受91が介在される。
図18及び図19に示すように、ファンロータ8は、リング状のファンロータ本体81と、ファンロータ本体81からステータ2側に突出するように設けられた複数のロータ歯82と、ロータ歯82が突出する方向とは反対側に突出するように設けられた複数のブレード83とを有する。また、ファンロータ8は、ロータ歯82とロータ歯82との間に形成された溝を埋める部材84を有する。
ロータ歯82及びブレード83は、それぞれ45度ピッチで、8個づつ設けられる。
ブレード83(羽根溝85)の形状は、第1実施形態におけるロータブレード12(羽根溝13)の形状と同様である(図3等参照)。
第4実施形態に係るファンモータ200の動作について簡単に説明する。
ステータ2側から磁界が発生すると、ロータ歯82が周方向に誘導されてファンロータ8が軸33Dを中心軸として回転する。ファンロータ8が回転されると、回転するブレード83の圧力差により、流入管4内の気体が軸33Dの連通口33D−1を通って、ファンケース33内に流入する。ファンケース33内に流入した気体は、回転するブレード83により径方向に(遠心方向)に圧送され、流出管5から流出する。
第4実施形態の説明では、ブレード83の形状が第1実施形態のロータブレード12と同様の形状である場合について説明した。しかし、これに限られず、ブレード83の形状は、第2実施形態のロータブレード62と同様の形状であってもよいし、第3実施形態のように、シュラウド部75が設けられていても構わない。
第4実施形態では、ロータ歯82及びブレード83の数が、それぞれ8個づつであるとして説明した。しかし、ロータ歯82及びブレードの数は、これに限定されない。ロータ歯82の数と、ブレード83の数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
<各種変形例>
上述の各実施形態の説明では、ロータブレード12(あるいは、ロータブレード62、72、ロータ歯82、以下同様)の数が8個であり、ステータ歯212の数が6個である場合について説明した。しかし、ロータブレード12及びステータ歯212の数は、これに限られない。典型的には、ロータブレード12の数とステータ歯212の数とが異なっていれば(ロータブレード12のピッチとステータ歯212のピッチとが異なっていれば)、ファンロータ1(あるいは、ファンロータ6、7、8)を回転させることは可能である。
上述の各実施形態の説明では、永久磁石23は、ステータ歯212ごとに、周方向に沿ってN極S極、N極S極、N極S極・・・の順番で配列される場合について説明した(図9等参照)。しかし、これに限られず、永久磁石23は、ステータ歯212ごとに、周方向に沿ってN極S極、S極N極、N極S極、・・の順番で配列されていてもよい。なお、この場合においても、1つのステータ歯212に対しては、永久磁石23は、磁極が周方向で交互に異なるように配置されている。
上述の各実施形態の説明では、1つのステータ歯212に対して、2つの永久磁石23N、23Sが配置されるとして説明した。しかし、これに限られず、1つのステータ歯212に対して、1つの永久磁石23が配置されていてもよい。あるいは、1つのステータ歯212に対して、3つ以上の永久磁石23が配置されていてもよい。なお、これらの場合にも、永久磁石23は、回転軸の周方向に沿って磁極が交互に異なるように配置される。
上述の各実施形態では、遠心式のファンモータについて説明したが、ロータブレードの形状等を変更することで、軸流式のファンモータを構成することも可能である。
1、6、7、8…ファンロータ
3…ケース
12、62、72…ロータブレード
22…コイル
23…永久磁石
31、33…ファンケース
32…ステータケース
82…ロータ歯
83…ブレード
100、200…ファンモータ
212…ステータ歯

Claims (2)

  1. ケースと、
    回転の周方向に沿って第1のピッチで配置された複数のロータ歯を有し、前記ケース内に回転可能に設けられ、回転により前記ケース内の気体を圧送するファンロータと、
    前記ロータ歯に対向する対向面をそれぞれ含み、前記周方向に沿って前記第1のピッチと異なる第2のピッチで配置された複数のステータ歯と、前記各ステータ歯の周囲にそれぞれ巻回されたコイルであって、前記周方向に沿う方向で互いに隣り合う前記コイルに位相の異なる電力が供給されるコイルと、前記各ステータ歯の前記対向面上にそれぞれ複数設けられた磁極を含み、前記周方向に沿って前記磁極が交互に異なるように配置された永久磁石とを有し、前記ケース内に配置され、前記回転の軸方向で前記ファンロータと対向配置されるステータと
    を具備するファンモータ。
  2. 請求項1に記載のファンモータであって、
    前記ロータ歯は、前記回転により前記気体を圧送するブレードとしての機能を有するロータブレードである
    ファンモータ。
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