JP5785782B2 - 転がり軸受のなじみ運転装置 - Google Patents

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Description

この発明は、希薄潤滑条件で長寿命を得ることができる転がり軸受のなじみ運転装置に関する。
転がり軸受の寿命は、油膜形成状況が悪くなると低下することが知られている(非特許文献1)。これは、油膜厚さが転動体と軌道輪の表面粗さよりも小さい場合、転動体と軌道輪が直接接触する可能性が高くなるためである。この問題を回避するために、希薄潤滑条件での転動寿命の長寿命化の方法として、転がり軸受のローラーの表面に、微小な凹凸をランダムに形成し、潤滑特性を向上させる技術が公開されている(特許文献1)。また、この技術を、エアコンディショナ、圧延用ローラーのようなアプリケーションに適用する例についても公開されている(特許文献2,3)。
特開平6−42536号公報 特開平4−265480号公報 特開平4−266410号公報
高田浩年, 鈴木進, 前田悦生, 潤滑, 26, 9 (1981) 645-650. イー・イオアニデス(E. Ioannides)、ジー・ベーリング(G. Bergling)、エー・ガベッリ(A. Gabelli)共著、「アクタ ポリテクニカ スカンジナビカ(Acta Polytechnica Scandinavica)」、メカニカル エンジニアリング シリーズ(Mechanical Engineering series) No. 137 (1999)
従来、希薄潤滑条件での転動寿命の長寿命化では、転動面に微小な凹凸をランダムに形成し、結果として潤滑特性を向上させていたが、その長寿命化のメカニズムの詳細については不明な点があった。
この発明の目的は、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明確にし、その条件を満たす転がり軸受を製造することができる転がり軸受のなじみ運転装置を提供することである。
この発明の転がり軸受のなじみ運転装置は、内外輪の軌道面間に複数の転動体を介在させた転がり軸受を使用前になじみ運転させる装置であって、前記転がり軸受を希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させることを特徴とする。
この構成によると、組立てられた転がり軸受を、希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、転動面の表面粗さが改善される。つまり希薄潤滑条件下で転動速度が遅い条件で、内外輪を相対的に回転させるなじみ運転を行うことで、転動面がなじみやすくなる。これにより、突起接触部の面圧が低下し、計算寿命よりも軸受の長寿命化を図ることができる。
希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、各種条件での転動寿命試験を実施した。各種条件での試験結果のうち、計算寿命よりも長寿命であったものと、計算寿命よりも短寿命であったものに着目し、これら長寿命と短寿命の原因について調査した。
先ず、計算寿命と略同等の寿命であった試験結果(水準1)と、計算寿命よりも数倍長寿命であった試験結果(水準8)の転動体の試験後の表面粗さを調査した。ここで、表面粗さのパラメータとしては2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqに着目した。これは、2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqが表面での突起接触の程度と突起接触部での面圧を表す指標とされているためである(非特許文献2)。
水準1と水準8の2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqは、いずれも試験後に低下していた。これら2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqの低下の程度は、Rqで水準1,8間の差はなかったが、Rdqで水準1,8間の差がみられた。水準1よりも転動速度が1/3遅い水準8の2乗平均傾斜Rdqは、水準1よりも低下が顕著であったことから、水準8の長寿命は、転動速度が遅い条件で転動面がなじみやすく、突起接触部の面圧が低下し、長寿命になったことに起因していると考えられる。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均粗さRqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させても良い。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させても良い。
このように転動速度が遅いなじみ運転により、2乗平均粗さRqまたは2乗平均傾斜Rdqを、所望の値以下に小さくすることができる。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記2乗平均傾斜Rdqを1.5°以上5°以下に調整しても良い。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記2乗平均傾斜Rdqを0.6°以上1.5°以下に調整しても良い。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させる。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記残留圧縮応力を600MPa以上にしても良い。なじみ運転直後の転動面は、転動面が塑性変形を伴いながらなじむため、副産物として圧縮残留応力が得られる。この圧縮残留応力を600MPa以上に増加させることで、希薄潤滑下での転動寿命の向上を図ることができる。
前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる転動速度を2.5m/s以下としても良い。前記転動速度が2.5m/s以下の条件では、転動面は転動速度が遅くなるほどなじみやすく、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなることが分かった。
前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの油膜パラメータΛを0.6以下としても良い。この油膜パラメータΛが0.6以下の条件とは、油膜がほぼ破断されている希薄潤滑条件である。
前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの潤滑剤中に、遊離と粒を混入させるものとしても良い。この場合、なじみ運転による転動中、潤滑剤中に、遊離と粒を混入させてなじみを加速させることで、2乗平均傾斜Rdqを短時間で低下させることができる。
前記なじみ運転装置は、転がり軸受を支持する支持台と、この支持台で支持された転がり軸受をなじみ運転により転動させる主軸とを有するものであっても良い。
の転がり軸受の製造方法は、内外輪の軌道面間に複数の転動体を介在させた転がり軸受を使用前になじみ運転させる方法であって、前記転がり軸受を希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることを特徴とする。
この構成によると、組立てられた転がり軸受を、希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、転動面の表面粗さが改善される。つまり希薄潤滑条件下で転動速度が遅い条件で、内外輪を相対的に回転させるなじみ運転を行うことで、転動面がなじみやすくなる。これにより、突起接触部の面圧が低下し、計算寿命よりも軸受の長寿命化を図ることができる。
前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動さ
せる前よりも低下させても良い。
この発明の転がり軸受のなじみ運転装置は、内外輪の軌道面間に複数の転動体を介在させた転がり軸受を使用前になじみ運転させる装置であって、前記転がり軸受を希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させるため、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明確にし、その条件を満たす転がり軸受を得ることができる
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の断面図である。同転がり軸受のなじみ運転装置の概略図である。 (A)は、スラスト転がり軸受のなじみ運転を実施するなじみ運転装置の概略図、(B)は、ラジアル転がり軸受のなじみ運転を実施するなじみ運転装置の概略図である。 試験結果から得られた10%寿命と、計算寿命との関係を示す図である。 油膜パラメータΛと使用条件係数aの関係を示す図である。 2条平均傾斜を説明するための図である。 (a)は水準1と水準8の2乗平均粗さを示す図、(b)は水準1と水準8の2乗平均傾斜を示す図である。 負荷回数を一定にしたときの転動速度と転動後の2乗平均傾斜の関係を示す図である。 (a)は水準10の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、(b)は水準11の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、(c)は水準12の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図である。 なじみ運転の有無による転動寿命の変化を示す図である。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受のなじみ運転装置を図1ないし図9と共に説明する。以下の説明は転がり軸受の製造方法についての説明をも含む。この実施形態に係るなじみ運転装置によりなじみ運転させた転がり軸受は、例えば、エアコンディショナ、圧延用ローラー等に用いられる。但し、転がり軸受は、エアコンディショナ、圧延用ローラー用途に限定されるものではなく、希薄潤滑条件で使用される種々の装置、機器等に用いられる。
図1(A)に示す転がり軸受は、なじみ運転対象となる軸受であって、圧延用ローラーを回転自在に支持する転がり軸受であり、内外輪1,2および、これら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有する。この例では、二つ割りされた内輪1,1が軸方向に組付けられ、これら各内輪1の軌道面1a,1aと、同軌道面1a,1aに対向する外輪2の一つの軌道面2aとの間に、2列の転動体3であるころが軸方向に沿って配置される自動調心ころ軸受が適用されている。前記外輪2が固定され、内輪1,1の内周面が、圧延用ローラー4のネック部分5の外周面に嵌合されている。外輪2の外周面には、水冷用のジャケットを成す環状凹み部6が設けられている。
図2(A)は、スラスト転がり軸受のなじみ運転を実施するなじみ運転装置の概略図である。同図に示すように、なじみ運転装置は、転がり軸受BRを支持する支持台7と、この支持台7で支持された転がり軸受BRを転動させる主軸8を有する。また、油槽9が設けられており、軸受BRを様々な潤滑剤でなじませることができる。なお、スラスト転がり軸受は後述する転動速度で転動し得る。
図2(B)は、ラジアル転がり軸受のなじみ運転を実施するなじみ運転装置の概略図である。同図に示すように、ラジアル転がり軸受のなじみ運転装置も、転がり軸受BRを支持する支持台7Aと、この支持台7Aで支持された転がり軸受BRを転動させる主軸8を有する。また、油槽9が設けられており、軸受BRを様々な潤滑剤でなじませることができる。さらに、主軸8を回転軸L1からオフセットさせることで、ラジアル軸受全周を均一な荷重を作用させることができ、ラジアル軸受全周をなじませることができる。なお、ラジアル転がり軸受も後述する転動速度で転動し得る。
次に、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、表1に示す各種条件での転動寿命試験を実施した。
転動寿命試験で用いた試験片は、呼び番号「51105」のスラスト玉軸受である。
表1の試験片の欄のRqは二乗平均粗さであり、Rq=0.15−0.22μmとは各水準の二乗平均粗さの範囲を意味する。同表1の転動体の欄のRqは二乗平均粗さであり、Rq=0.07−0.15は各水準の二乗平均粗さの範囲を意味する。表1の右欄の「n」は各水準の試験片個数を表す。
潤滑油粘度は、工業用潤滑油類としてISO粘度分類のVGが適用され、40℃における潤滑油の粘度が示されている。この粘度の単位は、mm/sである。
表1の「Λ」は、Grubinの式に基づく油膜パラメータであり、油膜厚さと接触二面の合成粗さの比で定義される。ここで、油膜パラメータΛと、後述の式(1)で用いられる使用条件係数aとの間には、図4に示すような関係がある。
Figure 0005785782
図3は、試験結果から得られた10%寿命と、計算寿命との関係を示す図である。
前記計算寿命は、以下の転がり軸受の寿命計算式(1)から求めることができる。
Figure 0005785782

試験結果から得られる10%寿命は、ほとんどの水準で計算寿命と概ね一致していたが、一部の水準では計算寿命からの乖離が見られた。計算寿命からの乖離が見られた水準としては、計算寿命よりも長寿命であった水準8と、計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12があった。希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、長寿命と短寿命の原因を明確にする必要がある。以下では、これら長寿命と短寿命の原因調査について説明する。
先ず、計算寿命と略同等の寿命であった試験結果(水準1)と、計算寿命よりも2.6倍長寿命であった試験結果(水準8)の転動体の試験後の表面粗さを調査した。ここで、表面粗さのパラメータとしては2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqに着目した。これは、2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqが表面での突起接触の程度と突起接触部での面圧を表す指標とされているためである。
前記2乗平均傾斜Rdqとは、図5に示すように、表面粗さ計で測定される測定曲線(断面曲線)を、一定間隔ΔXで区切り、各区間内における測定曲線の始点と終点とを結ぶ線分の角度arctan(ΔYi/ΔX)の二乗値{arctan(ΔYi/ΔX)}の平均を求める。その平均値の平方根を2乗平均傾斜Rdqと言う。
図6(a)は水準1と水準8の2乗平均粗さを示す図であり、図6(b)は水準1と水準8の2乗平均傾斜を示す図である。水準1と水準8の2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqは、いずれも試験後に低下していた。これら2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqの低下の程度は、Rqで水準1,8間の差はなかったが、Rdqで水準1,8間の差がみられた。水準1よりも転動速度が1/3遅い水準8の2乗平均傾斜Rdqは、水準1よりも低下が顕著であったことから、水準8の長寿命は、転動速度が遅い条件で転動面(転動体の表面および内外輪の軌道面)がなじみやすく、突起接触部の面圧が低下し、長寿命になったことに起因していると考えられる。
次に、転動速度が小さくなる程、2乗平均傾斜Rdqが低下し易くなるという現象を検証する目的で、負荷回数一定の条件における転動速度と、転動後の2乗平均傾斜Rdqとの関係を調査した。その調査結果を図7に示す。負荷回数一定の条件では、転動面の2乗平均傾斜Rdqは、転動速度が小さい程低下し易くなることが分かった。さらに追加調査を行った結果、転動速度が2.5m/s以下では、転動速度が遅くなる程2乗平均傾斜Rdqが低下し易いことが分かった。これより、転動部品である転動体、軌道輪の表面は、転動速度が2.5m/s以下の条件では、転動面は転動速度が遅くなる程なじみ易く、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなることが分かった。なお、ここでの希薄潤滑条件は、油膜がほぼ破断されている油膜パラメータΛが0.6以下の条件である。
次に、計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12の軌道輪の外観を調査した。図8(a)は水準10の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、図8(b)は水準11の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、図8(c)は水準12の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図である。計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12では、転動面における破損形態が、いずれもピーリング(微小なはく離の集合体)であった。追加調査を行った結果、2乗平均傾斜Rdqが5°よりも大きくなるとピーリングが発生し易いことが分かった。これより、ピーリングによる短寿命を防止するには、2乗平均傾斜Rdqを5°以下にする必要があることが分かった。
最後に、転動速度が遅くなると2乗平均傾斜Rdqが小さくなり易い性質を利用して、希薄潤滑条件での転動寿命の更なる長寿命化の可能性について検討した。図9は、なじみ運転の有無による転動寿命の変化を示す図である。なじみ運転させた水準の転動寿命は、なじみ運転しなかった水準に比べて平均値で150倍以上であり、前述の寿命計算式(1)の使用条件係数を考慮しない計算寿命よりも長寿命を示した。すなわち、なじみ運転させた軸受の寿命は、良好な潤滑条件での寿命と同等以上になることを見出した。なじみ運転直後の転動体の2乗平均傾斜Rdqは0.6〜1.5°であったことから、希薄潤滑条件において、良好な潤滑条件での寿命以上の寿命を達成するには、2乗平均傾斜Rdqを1.5°以下にすることが望ましい。
転がり軸受について、なじみ運転を行う前2乗平均傾斜Rdqが5°よりも大であったものが、なじみ運転後、油膜パラメータΛが0.6以下の条件でRdqが5°以下とするものとしても良い。
2乗平均傾斜Rdqを低下させるためには、転がり軸受を長時間低速運転して、十分に転動表面をなじませる必要がある。短時間で且つ低速運転で2乗平均傾斜Rdqを低下させるためには、転がり軸受の転動中潤滑油中に遊離と粒を混入させてなじみを加速させることができる。なお、2物体が直接接触するといわれている油膜パラメータΛの条件は0.6以下であるので、なじみ運転は油膜パラメータΛが0.6以下の条件で実施される必要がある。
一方、なじみ運転直後の転動面は、転動面が塑性変形を伴いながらなじむため、副産物として圧縮残留応力が得られる。なじみ前後の軌道輪の残留圧縮応力を測定した結果、なじみ前の残留圧縮応力300MPaから、なじみ後の残留圧縮応力600MPaに増加していた。この軌道輪の残留圧縮応力を600MPaに増加させることで、希薄潤滑下での転動寿命の向上を図ることができる。
以上説明したように、組立てられた転がり軸受を、希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、転動面の表面粗さが改善される。つまり希薄潤滑条件下で転動速度が2.5m/s以下の遅い条件で、内外輪1,2を相対的に回転させるなじみ運転を行うことで、転動面がなじみやすくなる。これにより、突起接触部の面圧が低下し、計算寿命よりも軸受の長寿命化を図ることができる。
また転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、内外輪1,2の軌道面1a,2aまたは転動体3の表面の2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させた場合、突起接触部の面圧が低下していると判断することができる。転がり軸受を、なじみ運転装置によりなじみ運転させた後取り外して、対象となる装置、機器に組み付けて使用することができる。
転がり軸受の例として、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト針状ころ軸受を示したが、これらの転がり軸受に限定されるものではない。例えば、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、4点接触玉軸受、クロスローラ軸受等種々の転がり軸受に適用可能である。転がり軸受のなじみ運転装置は、図2(A),(B)の例に限定されるものではない。
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
7…支持手段
8…駆動手段

Claims (10)

  1. 内外輪の軌道面間に複数の転動体を介在させた転がり軸受を使用前になじみ運転させる装置であって、
    前記転がり軸受を希薄潤滑条件下でなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させることを特徴とする転がり軸受のなじみ運転装置。
  2. 請求項1において、前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均粗さRqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させる転がり軸受のなじみ運転装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させる転がり軸受のなじみ運転装置。
  4. 請求項3において、前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記2乗平均傾斜Rdqを1.5°以上5°以下に調整する転がり軸受のなじみ運転装置。
  5. 請求項4において、前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記2乗平均傾斜Rdqを0.6°以上1.5°以下に調整する転がり軸受のなじみ運転装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記転がり軸受を、なじみ運転により転動させることで、前記残留圧縮応力を600MPa以上にする転がり軸受のなじみ運転装置。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる転動速度を2.5m/s以下とした転がり軸受のなじみ運転装置。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの油膜パラメータΛを0.6以下とした転がり軸受のなじみ運転装置。
  9. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの潤滑剤中に、遊離と粒を混入させる転がり軸受のなじみ運転装置。
  10. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、前記なじみ運転装置は、転がり軸受を支持する支持台と、この支持台で支持された転がり軸受をなじみ運転により転動させる主軸とを有する転がり軸受のなじみ運転装置。
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