JP5784812B1 - 防護衣服材料及びそれを用いた防護衣服 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、サリン等の有毒ガスや有毒な液体が存在する特殊な条件下であっても使用可能な、撥溶剤性に優れた防護衣服材料を提供する。【解決手段】本発明に係る防護衣服材料は、外布、液遮断層及びガス吸着層の積層構造を含む防護衣服材料であって、前記液遮断層には、第1のはっ水はつ油剤として、式(1)で表されるフルオロアルキル基を有するα−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位、及びフルオロアルキル基を有さず、炭素数6以上の炭化水素基を有する非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位を含む含フッ素重合体が固着していることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、有害化学物質の取扱作業者を保護する性能を有する防護衣服材料及びそれを用いた防護衣服に関する。詳細には、サリン等の有毒ガスや有毒な液体の存在下で着用される防護衣服のための材料及びそれを用いた防護衣服に関する。
化学防護衣服は、一般に有毒なガスや液体から人体を保護する目的で着用される特殊な衣服である。化学防護衣服には、有毒なガスや液体が防護衣服内部に侵入しないよう、通常、防護衣服の生地にははっ水はつ油剤による処理が予め施されている。
前記はっ水はつ油処理に用いられるはっ水はつ油剤としては、従来よりフッ素系のはっ水はつ油剤が使用されてきた。フッ素系の処理剤の中でも、特に、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を有するはっ水はつ油剤は、はっ水はつ油性能に優れる上、サリン等の有毒ガス(液体)に対しても、優れた撥溶剤性を発揮するため、化学防護衣服のはっ水はつ油剤として広く使用されてきた。
これら実用的に使用されている含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの側鎖にあるフルオロアルキル基は通常「テロマー」とよばれている。「テロマー」が分解又は代謝により炭素数8の含フッ素カルボン酸であるPFOA(パーフルオロオクタン酸)を生成する可能性が懸念され、また、「テロマー」が、泡消火剤;ケア製品と洗浄製品;カーペット、テキスタイル、紙、皮革に設けられている撥水撥油被覆及び防汚加工被覆を含めた多くの製品に使用されていることも公表されている(EPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003、http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)。
近年、そのPFOAに対する環境への負荷の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表している。このため、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を有するはっ水はつ油剤は、現在使用が制限されており、近年では、PFOAを生じない(又はPFOAを生じたとしても極微量)炭素数6以下のフッ素系のはっ水はつ油剤に関する研究が盛んに行われている。
PFOAフリーのフッ素系はっ水はつ油剤としては、例えば、特許文献1には、炭素数4〜6のポリフルオロアルキル基を有する単量体、炭素数が18以上のアルキル基を有する単量体、塩化ビニル又は塩化ビニリデン、ポリフルオロアルキル基を有さず、親水性基を有する単量体からなる3種類の重合体を含む撥水撥油防汚性組成物が記載されている。
また、特許文献2には(Rf基(メタ)アクリレートモノマー、環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートモノマーを構成成分とする共重合体)が記載されている。
また、特許文献3には、炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有する撥水撥油成分とピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を含む撥水撥油剤組成物が記載されている。
更に、特許文献4(Rf基(メタ)アクリレートモノマー、炭化水素(メタ)アクリレートモノマー及びメルカプト基含有シリコーンを構成成分とする共重合体)、特許文献5(パーフルオロアルキル基を有さず、炭素数が20〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、ハロゲン化オレフィン、及び炭素数1〜6のフルオロアルキル基を有する単量体を含んでなる含フッ素共重合体)等が公知例として挙げられる。
特許文献6は、α−クロロアクリレートと炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体から誘導される繰り返し単位を有する含フッ素重合体を含む処理剤組成物を開示している。
特開2009−215370号公報 特表2012−503028号公報 特開2012−31285号公報 WO2009/122919 WO2009/113589 WO2011/122442
しかし、特許文献1〜6に示されるPFOAフリーのフッ素系はっ水はつ油剤では、化学防護衣服に求められるレベルのはっ水はつ油性能を発揮させることが困難であった。しかも、これらいずれの公報でも、撥溶剤性については検討されていない。更に、これらのフッ素系はっ水はつ油剤では、サリン等の有毒物質に対する耐ガス、耐液浸透性も十分に発揮できなかった。
なお、本願明細書ではこれ以後「PFOAフリーのはっ水はつ油剤」とは、PFOAが検出限界で5ppb以下のはっ水はつ油剤を意味することとする。
この様な状況下、本発明は、サリン等の有毒ガスや有毒な液体が存在する特殊な条件下であっても使用可能な、撥溶剤性に優れた防護衣服材料を提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、複数の繊維層を積層させて形成された防護衣服材料のうち、ガスや液体が防護衣服内部に侵入することを防止する機能を有する繊維層(液遮断層)に、特定の構造を有する含フッ素重合体からなるはっ水はつ油剤による(第1のはっ水はつ油剤)処理を施すことにより、サリン等の有毒ガスや有毒な液体が防護衣服内部へ浸透することを抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明に係る防護衣服材料は、外布、液遮断層及びガス吸着層の積層構造を含む防護衣服材料であって、
前記液遮断層には、第1のはっ水はつ油剤として、下記式(1):
CH2=C(−Cl)−C(=O)−X−Y−Rf …(1)
[式中、Xは−O−又は−NH−であり、Yは直接結合又は二価の有機基であり、Rfは炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]で表されるフルオロアルキル基を有するα−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位、及びフルオロアルキル基を有さず、炭素数6以上の炭化水素基を有する非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位を含む含フッ素重合体が固着していることを特徴とする。
前記外布には、第2のはっ水はつ油剤が固着していることが好ましい。
前記液遮断層は、JIS L 1092 7.2スプレー法により測定されるはっ水度が2級以上であり、AATCC Test Method 118法により測定されるはつ油度が2級以上であることが好ましい。
また、前記含フッ素重合体は、更にフッ素原子を含まない単量体(C)から誘導される繰り返し単位を含むことが好ましい。
加えて、前記単量体(C)は、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンの少なくとも1種であることが好ましい。
なお本発明は前記防護衣服材料を用いることを特徴とする防護衣服も包含する。
本発明によれば、液遮断層に、第1のはっ水はつ油剤処理として、特定の繰り返し単位を含む含フッ素重合体によるはっ水はつ油処理を施すことにより、有毒なガス・液体が防護衣服材料に浸透することを防止できるため、ガス状・液状の化学物質に対する防護性能が、従来のPFOAフリーのはっ水はつ油剤による処理をした場合に比べて、格段に向上する。しかも、本発明によれば、効果的に有毒ガスや液体の防護衣服内部への侵入を抑制できるようになったため、防護衣服材料(すなわち、生地)の通気性を高く、生地を薄くすることが可能となった。これにより、得られる防護衣服材料は、高い通気性を有し且つ軽量なものにできるため、本発明の防護衣服材料を用いれば、快適性に優れた防護衣服を提供することが可能となる。
図1は、本発明に係る防護衣服材料の一例を示す概略断面図である。 図2は、加圧耐液浸透性試験の説明図である。 図3は、耐ガス浸透性試験に用いる試験容器を示す概略図である。 図4は、耐粒子透過性試験の説明図である。 図5は、液遮断層Cのパイル編物の組織図である。
以下、本発明に係る防護衣服材料に関して、実施例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る防護衣服材料4は、外布1、液遮断層2及びガス吸着層3の積層構造を含む。前記液遮断層2は、第1のはっ水はつ油剤として、特定の繰り返し単位を含む含フッ素重合体により処理されている。以下、本発明について詳述する。
<<第1のはっ水はつ油剤>>
液遮断層2を処理する第1のはっ水はつ油剤について説明する。本発明において、液遮断層2を処理する第1のはっ水はつ油剤としては、α−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位、及び非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位を含む含フッ素重合体を用いる。
<(A)α−クロロアクリレート>
(A)成分のα−クロロアクリレートは、下記式(1):
CH2=C(−Cl)−C(=O)−X−Y−Rf …(1)
[式中、Xは−O−又は−NH−であり、Yは直接結合又は二価の有機基であり、Rfは炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]で表されるフルオロアルキル基を有する化合物である。
α−クロロアクリレート(A)のX基は−O−又は−NH−である。特にX基は−O−が好ましい。
またY基は直接結合又は二価の有機基であるが、Y基は具体的には、(i)炭素数1〜20(例えば、炭素数は1〜10が好ましく、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1又は2である)の直鎖状又は分岐状の脂肪族基(例えば、アルキレン基)、例えば、式−(CH2a−(式中、aは1〜10である。)で表される基、あるいは、(ii)炭素数6〜18の芳香族基又は環状脂肪族基、(iii)式−Ra2(Ra1)N−SO2−又は式−Ra2(Ra1)N−CO−で表される基(式中、Ra1は、炭素数1〜10のアルキル基であり、Ra2は、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基又は分岐状アルキレン基である。)、例えば、式−CH2CH2(Ra3)N−SO2−基(Ra3は炭素数1〜4のアルキル基である。)、あるいは、(iv)式−CH2CH(ORa4)CH2−[Ar−(O)cb−(式中、Ra4は、水素原子、又は、炭素数1〜10のアシル基(例えば、ホルミル又はアセチル等)、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基(例えば、フェニレン基)、bは0又は1、cは0又は1である。)で表される基、あるいは、(v)式−(CH2d−Ar−(O)e−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基(例えば、フェニレン基)、dは0〜10であり、eは0又は1である。)で表される基、(vi)式−(CH2f−SO2−(CH2g−基又は式−(CH2f−S−(CH2g−基(但し、fは1〜10、gは0〜10である)であってよい。なお、芳香族基又は環状脂肪族基は、置換又は非置換であってよい。S基又はSO2基はRf基に直接に結合していてもよい。
Rf基は炭素数1〜20のフルオロアルキル基であり、Rf基は特に、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は1〜12であり、より好ましくは1〜6であり、更に好ましくは4〜6である。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF32、−C(CF33、−(CF24CF3、−(CF22CF(CF32、−CF2C(CF33、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF25CF3、−(CF23CF(CF32等である。
α−クロロアクリレート(A)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない(下記式中、Rfは前記に同じ)。
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH24−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−S−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH22−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−S−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH23−SO2−(CH22−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2CH2N(CH3)SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2CH(OCOCH3)CH2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2−Ph−O−Rf(ここで、Phは1,4−フェニレンである。)
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2CH(OH)CH2−Ph−O−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2−Ph−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−CH2CH(OCOCH3)CH2−Ph−Rf
含フッ素重合体における、前記α−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位の質量比率は、含フッ素単量体100質量%中、5〜95質量%が好ましく、より好ましくは10〜90質量%であり、更に好ましくは20〜70質量%である。
<(B)非フッ素単量体>
非フッ素単量体(B)は、フルオロアルキル基を有さず、炭素数6以上の炭化水素基を有する単量体である。非フッ素単量体(B)は、炭素数9〜33のアクリレートエステル化合物であることが好ましい。より具体的に、非フッ素単量体(B)としては、例えば、下記式(2):
CH2=CR4−C(=O)O−R5 …(2)
[式中、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン原子であり、R5は、炭素数6〜30の炭化水素基である。]で表されるアクリレートエステル化合物が挙げられる。
4において炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基が挙げられ、中でもメチル基又はエチル基が好ましい。
またR4においてハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
5において、「炭化水素基」とは、炭素原子と水素原子からなる置換基の総称である。炭化水素基には、アルキル基等の脂肪族炭化水素基、アリール基等の芳香族炭化水素基、アラルキル基等の芳香族環含有炭化水素基等が包含される。
5において、炭素数6〜30のアルキル基としては、例えば、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、ノニル基、メチルオクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、12以上が好ましく、より好ましくは15以上であり、22以下が好ましく、20以下がより好ましい。また、アルキル基は直鎖状が好ましい。特に好ましくは、直鎖状のオクタデシル基である。
5において、アリール基とは、炭素数6〜16からなる芳香族炭化水素基が好ましい。アリール基は、具体的に例示すると、フェニル基、ナフチル基、ペンタレニル基、インデニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ビフェニレル基等が挙げられる。
5において、アラルキル基としては、炭素数7〜18のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基等が挙げられる。
式(2)で表される非フッ素単量体(B)としては、R4が水素原子であり、R5が炭素数6〜30のアルキル基である化合物が好ましい。より好ましい非フッ素単量体(B)を下記に例示する(順に、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート)。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH211−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH213−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH215−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH217−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH221−CH3
非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位1molに対する、α−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位は、{α−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位}/{非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位}で、0.01/1〜10/1が好ましく、より好ましくは0.1/1〜5/1である。
含フッ素重合体における、前記非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位の質量比率は、含フッ素単量体100質量%中、0.1〜75質量%が好ましく、より好ましくは2〜50質量%であり、更に好ましくは5〜20質量%である。
<(C)他の単量体>
第1のはっ水はつ油剤として用いる含フッ素重合体は、前述した(A)成分のα−クロロアクリレートから誘導される繰り返し単位、及び、(B)成分の非フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有していれば、これら以外の単量体(C)から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
単量体(C)としては、フッ素原子を含まない単量体が好ましい。単量体(C)は、反応性基及び/又は炭素−炭素二重結合を有する官能基等の重合性基を有している。前記反応性基としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。また、炭素−炭素二重結合を有する官能基には、炭素−炭素二重結合を有する置換基(例えば、ビニル基、イソプロペニル基等)、(メタ)アクリロキシ基等が含まれる。
単量体(C)1分子における、反応性基及び/又は炭素−炭素二重結合の数は特に限定されるものではない。単量体(C)は、少なくとも2個以上の反応性基を有する化合物、少なくとも2個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物、又は少なくとも1個以上の反応性基を有し且つ少なくとも1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物等のような、架橋可能な架橋性単量体であってもよく、反応性基を1個有する化合物、又は炭素−炭素二重結合を1個有する化合物等のような非架橋性単量体であってもよい。
このような単量体(C)を具体的に例示すると、例えば、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルアルキルエーテル、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の炭素−炭素二重結合を有する単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド系単量体;が挙げられる。単量体(C)としては、これらの単量体を1種のみで用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体(C)としては、炭素−炭素二重結合を有する単量体が好ましい。より好ましくは、炭素−炭素二重結合を1以上有する不飽和炭化水素(オレフィン)であり、特に前記不飽和炭化水素の水素原子がハロゲンで置換されたハロゲン化オレフィンが好ましい。
ハロゲン化オレフィンの骨格を成す前記不飽和炭化水素としては、炭素数2〜20のアルケンが好ましく、より好ましくは炭素数2〜10のアルケンであり、更に好ましくは炭素数2〜5のアルケンであり、特に好ましくはエチレン、プロピレンである。
ハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。また単量体(C)1分子中ハロゲンで置換されている水素原子は、ハロゲン化オレフィンの骨格を成す不飽和炭化水素の炭素数に依存するものの、例えば、1〜10個が好ましく、より好ましくは1〜5個である。
このようなハロゲン化オレフィンとしては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン(1,1−ジクロロエチレン)、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;等が挙げられる。本発明では、単量体(C)は、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンの少なくとも1種であることが好ましい。
含フッ素重合体における、前記単量体(C)から誘導される繰り返し単位の質量比率は、含フッ素単量体100質量%中、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。下限は特に限定されるものではないが、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、特に好ましくは15質量%以上である。
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、例えば1,000〜1,000,000が好ましく3,000〜500,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。なお、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
<含フッ素重合体の製造方法>
前記含フッ素重合体は、乳化重合法により製造される。該含フッ素重合体を製造する方法は、具体的には、
(1)カチオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤からなる乳化剤の存在下で、水に、α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)を乳化分散させた分散液を調製する工程、及び
(2)その後、調製した分散液に、重合開始剤及び必要に応じて単量体(C)を添加し、重合する工程を含む。
α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)の仕込み量としては、α−クロロアクリレート(A)100質量部に対し、非フッ素単量体(B)は1〜1500質量部が好ましく、より好ましくは4〜800質量部であり、更に好ましくは10〜400質量部である。
工程(1)での分散液の調製に用いるカチオン性界面活性剤(カチオン性乳化剤)は、アンモニウム塩が好ましく用いられる。前記アンモニウム塩は、下記式(3):
(R6p+(R74-p- …(3)
[式中、R6は、炭素数8以上の直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族基であり、R7は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又はポリオキシエチレン基であり、pが1のとき3本のR7は、互いに結合して環を形成していてもよい。Zは、アニオンを形成する基であり、pは1又は2である。]で表される化合物が特に好ましい。
前記R6は、炭素数8以上の直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族基であり、前記脂肪族基は、飽和結合であっても、不飽和結合であってもよい。前記脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。また、R6を構成する炭素原子は、12〜50が好ましく、より好ましくは12〜30であり、更に好ましくは12〜25である。
前記R7は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又はポリオキシエチレン基であり、pが1のとき3本のR7は、互いに結合して環を形成していてもよい。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基が挙げられる。
また、前記ポリオキシエチレン基における、オキシエチレン基(−CH2CH2O−、以後「EO」と称する場合がある)の数は、例えば1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が特に好ましく、50以下が好ましい。
更に、pが1のとき3本のR7は、互いに結合して環を形成していてもよく、このとき、式(3)のN+(R73は、例えば、ピリジニウムが挙げられる。
7としては、特にメチル基、又はエチル基が好ましい。
前記Z基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;CH3COO-等の炭素数1〜4のカルボキシレート;HSO4 -等のスルフェート;H2PO4 -等のホスフェート;等が例示できる。特に、ハロゲン原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。
このようなカチオン性界面活性剤としては、具体的には、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンニウムハライド;ラウリルピリジニウムクロライド;ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムブロミド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジセチルジメチルアンモニウムブロミド、ジセチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンニウムハライド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物であってもよい。カチオン性界面活性剤を2種以上の混合物とするとき、カチオン性界面活性剤としては、少なくとも、pが1であるカチオン性界面活性剤((R6)N+(R73-)と、pが2であるカチオン性界面活性剤((R62+(R72-)の両方を使用することが好ましい。このとき、pが1であるカチオン性界面活性剤と、pが2であるカチオン性界面活性剤のモル比(pが1であるカチオン性界面活性剤/pが2であるカチオン性界面活性剤)は、0.5/1〜20/1が好ましく、より好ましくは1/1〜10/1であり、更に好ましくは1.5/1〜7/1である。
次に、ノニオン性界面活性剤について説明する。ノニオン性界面活性剤(ノニオン性乳化剤)としては、ポリオキシエチレン基を有する化合物を使用する。ノニオン性界面活性剤は、環境への負荷を考慮し(生分解性、環境ホルモン等)、芳香族基を含まない化合物であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアミン、又はポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル等が挙げられる。
特に、ノニオン性界面活性剤は、下記式(4):
8O−(CH2CH2O)r−(R9O)s−R10 …(4)
[式中、R8は炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、R9は炭素数3以上のアルキレン基であり、R10は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、rは2以上の整数、sは0又は1以上である。]で表される化合物が好ましい。
式(4)中、R8は炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、前記アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状又は分岐状であってもよい。
またR9は炭素数3以上のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、例えば3〜10が好ましい。特にR9としては、プロピレン基又はブチレン基が好ましい。
10は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、より好ましくは水素原子である。
rは2以上の整数であり、2〜30が好ましい。
sは0又は1以上であり、0であってもよい。
このようなノニオン性界面活性剤としてより好ましい化合物を下記に例示する(下記式中、r及びsは前記に同じ)。
1021O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1225O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1631O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1633O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1835O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1837O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
iso−C1327O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−H
1225O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−C1225
1631O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−C1631
1633O−(CH2CH2O)r−(C36O)s−C1225
ノニオン性界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物であってもよい。ノニオン性界面活性剤を2種以上の混合物とするとき、ノニオン性活性剤としては、少なくとも、rが10以上でありsが0であるノニオン性界面活性剤と、rが10未満でありsが0であるノニオン性界面活性剤の両方を使用することが好ましい。このとき、rが10以上でありsが0であるノニオン性界面活性剤と、rが10未満でありsが0であるノニオン性界面活性剤のモル比(rが10以上でありsが0であるノニオン性界面活性剤/rが10未満でありsが0であるノニオン性界面活性剤)は、0.5/1〜20/1が好ましく、より好ましくは1/1〜10/1であり、更に好ましくは1.5/1〜7/1である。
また、界面活性剤としては、上記以外の界面活性剤、例えば、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を併用してもよい。
工程(1)では、カチオン性界面活性剤若しくはノニオン性界面活性剤のいずれか一方、又はカチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の両方を使用する。工程(1)において、カチオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の両方を使用する場合、カチオン性界面活性剤と、ノニオン性界面活性剤の質量比(カチオン性界面活性剤:ノニオン性界面活性剤)は、50:50〜99.9:0.1が好ましく、より好ましくは55:45〜95:5であり、更に好ましくは55:45〜80:20である。
また、カチオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤の使用量は(両方を用いる場合はその合計量)、α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)の合計100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。
更に、α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)を完全に相溶させるため、これらの単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。
前記水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノール等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記水溶性有機溶剤は、水100質量部に対して、1〜50質量部使用することが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。
また、前記低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート等が挙げられ、α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)の合計100質量部に対して、1〜50質量部程度使用することが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。
工程(1)において、水に、α−クロロアクリレート(A)及び非フッ素単量体(B)を乳化分散させる方法は特に限定されない。容器に、水、α−クロロアクリレート(A)、非フッ素単量体(B)、乳化剤としてカチオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤、必要に応じて相溶化剤を加え、液を攪拌する。このとき、より分散安定性に優れた分散液を調製するために、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化することが好ましい。
工程(2)では、工程(1)で調製した分散液に、重合開始剤を添加して単量体を重合する。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性の重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の油溶性の重合開始剤;等が適宜用いられる。重合開始剤は、含フッ素重合体の原料となる単量体の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部で用いられることが好ましい。
単量体(C)を加えるとき、単量体(C)の添加タイミングは特に限定されず、重合開始剤を加えるときに、併せて単量体(C)も加えるとよい。
また単量体(C)の仕込み量としては、α−クロロアクリレート(A)100質量部に対し、0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは1〜70質量部であり、更に好ましくは3〜50質量部である。
また工程(2)は、副反応の進行を防止するため、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。重合反応は攪拌しながら実施するとよい。
重合反応時の温度は、特に限定されるものではないが、50〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃である。また、重合時間は1〜10時間が好ましく、3〜7時間がより好ましい。
上記方法により製造された含フッ素重合体は、エマルション又はエアゾールの形態であることが好ましい。液遮断層2にはっ水はつ油処理を施す際には、含フッ素重合体の固形分濃度が、1〜10質量%程度(より好ましくは2〜7質量%)になるように、水で希釈して濃度を調整しておくとよい。
液遮断層2にはっ水はつ油処理を施す方法としては、例えば、(1)第1のはっ水はつ油剤として含フッ素重合体を含有する液を、スプレーにより液遮断層2の外布1側の面、又は液遮断層2の外布1側の面とガス吸着層3側の面の両方に噴霧する方法、(2)第1のはっ水はつ油剤として含フッ素重合体を含有する液中に、液遮断層2を浸漬させて含浸させる方法等が挙げられる。中でも、液遮断層2の内部にまで均一にはっ水はつ油処理を施すことができるため、含浸加工が好ましい。具体的には、第1のはっ水はつ油剤(含フッ素重合体)は、例えば、液遮断層2を作製した後、得られた液遮断層2を、1〜10質量%(より望ましくは3〜7質量%)の第1のはっ水はつ油剤の加工浴に浸漬して、ピックアップが90〜100%となるように絞り、80〜120℃で乾燥処理することにより付与できる。分散媒としては、水が好ましく使用できる。
また、第1のはっ水はつ油剤によるはっ水はつ油処理の後、160〜200℃で0.5〜5分間キュアを施すことも可能である。
第1のはっ水はつ油剤により処理された液遮断層2は、JIS L 1092 7.2スプレー法により測定されるはっ水度が2級以上(より望ましくは3級以上、更に望ましくは4級以上)を発揮できる程度に第1のはっ水はつ油剤を含んでいることが望ましい。同様に、液遮断層2は、AATCC Test Method 118法により測定されるはつ油度が2級以上(より望ましくは3級以上、更に望ましくは4級以上、最も望ましくは5級以上)を発揮できる程度に第1のはっ水はつ油剤を含んでいることが望ましい。
本発明には、(1)液遮断層2の表面を被覆するように第1のはっ水はつ油剤が固着する態様、(2)液遮断層2の内部に第1のはっ水はつ油剤が固着する態様、(3)液遮断層2の表面及び液遮断層2の内部の両方に、第1のはっ水はつ油剤が固着する態様のいずれもが包含される。
<<PFOAフリーのはっ水はつ油剤(第2のはっ水はつ油剤)>>
本発明では、液遮断層2が第1のはっ水はつ油剤(含フッ素重合体)により処理されている限り、ガス吸着層3及び後述する内布は、はっ水はつ油処理されていなくてもよい。しかしながら、防護衣服材料としての性能をより高めるには、任意のPFOAフリーはっ水はつ油剤(液遮断層を処理する第1のはっ水はつ油剤と区別する。ここでは「第2のはっ水はつ油剤」と称する)によりはっ水はつ油処理されていることが望ましい。特に、外布1は防護衣服材料4の最外層であるため、第2のはっ水はつ油剤で処理され、第2のはっ水はつ油剤が固着していることが好ましい。
第2のはっ水はつ油剤としては、前述した第1のはっ水はつ油剤を含む各種はっ水はつ油剤が使用できる。具体的にPFOAフリーのはっ水はつ油剤としては、日華化学株式会社製「NKガードS−11」、旭硝子株式会社製「AG−E092」等のPFOAフリーのフッ素系はっ水はつ油剤が挙げられる。
任意のPFOAフリーのはっ水はつ油剤により処理された外布1には、JIS L 1092 7.2(スプレー試験)で測定されるはっ水度が3級以上(より望ましくは4級以上である)を発揮できる程度に、第2のはっ水はつ油剤が固着していることが望ましい。また外布1には、AATCC Test Method 118により測定されるはつ油度が4級以上(より好ましくは5級以上である)を発揮できる程度に、第2のはっ水はつ油剤が固着していることが望ましい。
<<防護衣服材料の基材>>
次に、防護衣服材料4の基材について順に説明する。防護衣服材料4は、外布1、液遮断層2、ガス吸着層3の積層構造を有する。防護衣服材料4は、内布がガス吸着層3に積層される積層構造を有していてもよい。
<外布1>
本発明では、前記1〜3から構成される積層構造の最も外側に外布1を積層する。外布1は、摩擦等の外力から液遮断層2やガス吸着層3を保護する層であり、具体的には織物からなる層をいう。織物は摩擦等の外力により繊維が切れにくいため、外布1として織物を使用することにより、液遮断層2やガス吸着層3を有効に保護することができる。
外布1を構成する素材は、特に限定されるものではなく、綿、麻、毛、絹等の天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラ、レヨセル等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;ナイロン6、ナイロン66、アラミド繊維等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート等のポリエステル繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維、モダクリル繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等のポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン繊維等の合成繊維;ポリフェニレンスルフィド繊維;ポリベンザゾール繊維(PBZ)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)繊維、ポリイミド繊維等の複素環高分子繊維;ポリカーボネート繊維;ポリスルホン繊維;ポリエチレンオキサイド繊維、ポリプロピレンオキサイド繊維等のポリエーテル系繊維;等が例示できる。これらの繊維は複数を混紡・混綿して使用してもよい。
外布1は、着用者のムレを防止するために、綿、麻、毛、絹等の天然繊維から構成されていることが望ましく、より好ましくは綿である。また、外布1に適度な強度を付与するため、ナイロン6、ナイロン66、アラミド繊維等のポリアミド繊維を混紡・混繊して使用してもよい。天然繊維と他の繊維を混紡・混繊する場合、天然繊維の混率は50%以上100%未満が好ましい(より好ましくは、80%以上100%未満)。天然繊維の混合比を高めることで、着用者がより快適に作業を進めることができるようになる。
外布1の目付は、80〜300g/m2が好ましく、より好ましくは90〜250g/m2であり、更に好ましくは100〜220g/m2である。外布1の目付が80g/m2を下回ると、外布1を構成する繊維量が十分ではなく、摩擦等の外力により外布1を構成する繊維が切れたときに、外布1までも裂ける虞があるため好ましくない。また、外布1の目付が300g/m2を上回ると、防護衣服材料4から形成される防護衣服が重くなるため、着用者の負担となる虞があるため好ましくない。
また、外布1の通気度は、5〜80cm3/cm2・sが好ましく、より好ましくは8〜35cm3/cm2・sであり、更に好ましくは12〜25cm3/cm2・sである。外布1の通気度が、5cm3/cm2・sを下回ると、防護衣服の通気性が悪くなるため、着用者が不快に感じてしまう。また、外布1の通気度が80cm3/cm2・sを上回ると、有害な化学物質が防護衣服内に侵入する虞があるため好ましくない。
外布1の厚さは、0.1〜0.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.45mmであり、更に好ましくは0.2〜0.4mmである。外布1の厚さが0.1mmを下回ると、外布1の厚さが十分でないため、液遮断層2やガス吸着層3の保護機能が充分に発揮されない虞がある。また、外布1の厚さが0.5mmを上回ると、防護衣服がごわつき、防護衣服の着用者の作業の妨げとなる虞があるため好ましくない。
織物の織組織は特に限定されるものではなく、例えば、平織り、綾織り、朱子織り等が挙げられ、好ましくは綾織りである。また、織物の製造に用いる織機も特に限定されるものではなく、ウォータージェットルーム織機、エアージェット織機、レピア織機等の各種織機を適宜使用するとよい。織物の密度は特に限定されないが、例えば、経糸密度は120〜160本/インチ程度が好ましく、緯糸密度は95〜130本/インチが好ましい。
外布1には、各種後加工を施すことが可能である。後加工としては、例えば、毛焼加工、糊抜加工、精練加工、漂白加工、シルケット加工、染色・ソーピング処理、はっ水処理、はつ油処理、防火加工等が挙げられる。本発明においては、これらの後加工を複数実施することも可能である。
本発明の防護衣服には、着用者の安全性を確保する観点から、防火加工が施されていることが特に好ましい。外布1を天然繊維から形成する場合には、特に繊維が燃焼しやすいため、難燃剤による防火加工を施すことが望まれる。前記難燃剤としては、例えば、N−メチロールジメチルホスホノプロピオン酸アミド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩等が挙げられる。防火加工は、難燃剤を分散させた液に外布1を浸漬し、ピックアップ50〜70%となるように絞り、その後乾燥・熱処理することにより仕上げるとよい。なお、外布1の耐液・耐ガス浸透性を高めるため、防火加工は、外布1のはっ水はつ油処理の前に行うことが望ましい。
<液遮断層2>
液遮断層2とは、有害なミストや粉塵を捕捉する比較的緻密な層であり、繊維を含むシート状の基材(以下、「繊維状基材」と称する)である。第1のはっ水はつ油剤による加工を施すことにより、液遮断層2には有害な化学物質に対する耐液体浸透性を付与している。
液遮断層2を構成する繊維は、特に限定されるものではなく、外布1の欄で詳述した各種繊維を使用でき、これらの繊維を複数混紡・混綿して使用してもよい。
液遮断層2の基材の形態は、特に限定されるものではなく、織物、編物、組物、レース、網、不織布等や、これらの積層体が好ましく使用できる。中でも、液遮断層2としては、織物、編物、不織布等が好適に使用できる。
液遮断層2として織物を採用する場合、織物の織組織は特に限定されるものではなく、例えば、平織り、綾織り、朱子織り等が挙げられる。また、織物の製造に用いる織機も特に限定されるものではなく、ウォータージェットルーム織機、エアージェット織機、レピア織機等の各種織機を適宜使用するとよい。
液遮断層2として編物を採用する場合、編物の編組織は特に限定されるものではなく、織組織としては、例えば、緯編(平編、リブ編、両面編、パール編)、経編(トリコット編、ラッセル)等が挙げられる。
また、織物や編物には、加圧下での液滴の浸透を効果的に防止できる「カットパイル織編物」も含まれる。「カットパイル織編物」とは、片面又は両面にパイルを形成した織編物について、形成されたパイルの一部又は全部をカットした織編物である。例えば、特開平8−308945号公報に示されているカットパイル編物も本発明には好ましく使用できる。
具体的に、カットパイル織編物のパイル糸としては、熱可塑性合成繊維のモノフィラメントを用いることが有用である。また、モノフィラメントの繊度は、50〜350dtexであることが好ましく、より好ましくは60〜300dtexであり、更に好ましくは70〜250dtexである。パイル糸の繊度が50dtex未満であると、加圧によりパイル糸が倒れ、付着した液滴が繊維の間隙に浸透し、布帛の裏面に透過するおそれがある。一方、350dtexを超えると、織編物が剛くなり、衣服用材料としては着用性に劣るものとなる。
更に好ましい条件としては、カットパイル織編物のカットパイル先端に熱溶融による球状物を形成した構造とすることが有効である。パイル糸の先端が熱溶融固化し球状物が形成されていると、加圧によってパイル糸が倒れても隣接するパイル糸の先端同士が接して沈み込むことがなく、織編物の表面又は繊維間隙に液滴を保持でき、裏面への透過を防ぐことができる。
またカットパイル織編物の厚みは、無加重・無加圧のとき(7gf/cm2)は、2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下であり、圧力を加えたとき(1kgf/cm2)は、0.5mm以上であることが好ましい。無加重・無加圧のとき(7gf/cm2)に、厚さが2.0mmを超えると、着用状態での活動快適性が悪くなる虞がある。また、加圧時(1kgf/cm2)に、厚さが0.5mmを下回ると、液滴が加圧により容易に裏面に透過する虞がある。
上記カットパイル織編物を構成する繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ナイロン6、ナイロン66、アラミド繊維等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維;ポリ塩化ビニル繊維;ビニロン繊維;等、熱可塑性樹脂を原料とする各種合成繊維が使用できる。
なおカットパイル織編物を液遮断層2として使用する場合には、カットパイル織編物のパイル層が外布1に、パイル層の反対面がガス吸着層3に向くように積層する。
また液遮断層2には各種不織布も使用できる。不織布としては、湿式不織布、乾式不織布、スパンボンド式不織布、フラッシュ紡糸式不織布、エレクトロスピニング式不織布、メルトブローン不織布、トウ開繊式不織布等の各種不織布が使用できる。繊維の結合方法も特に限定されるものではなく、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法(水流絡合法)、ニードルパンチ法、ステッチボンド法等の各種結合方法が採用できる。本発明では、繊維径が細く、繊維間が緻密であることから、エレクトロスピニング式不織布又はメルトブローン不織布が好ましい。
エレクトロスピニング式不織布の場合、不織布を構成する繊維はポリアミド繊維又はポリウレタン繊維であることが好ましく、不織布の平均繊維径は50〜1000nmが好ましく(より好ましくは50〜500nmであり、更に好ましくは100〜300nm)、目付は0.1〜2g/m2が好ましい。
メルトブローン不織布の場合、不織布を構成する繊維はポリエステル繊維(特に、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維)又はポリアミド繊維等であることが好ましく、不織布の平均繊維径は500〜2000nmが好ましく(より好ましくは500〜1500nmであり、更に好ましくは750〜1100nm)、目付は10〜40g/m2が好ましい。
液遮断層2として、前述した各種材料を適宜積層して使用することも可能である。特に、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸式不織布、エレクトロスピニング式不織布は繊維径が細く、不織布に圧力がかかると繊維が破壊される虞があるため、これらの不織布のいずれかの面(表面若しくは裏面)、又は両面(即ち、表面及び裏面)に、補強用の基材を積層するとよい。
液遮断層2を3以上の繊維状基材から構成される積層構造を有する材料とする場合には、平均繊維径の最も小さな繊維状基材(以下、「緻密層」と称する)の積層位置が重要となる。前記緻密層は、液遮断層2を構成する補強用の基材に挟まれるように積層されることが望ましい。緻密層が、補強用の基材に挟まれることにより、補強用の基材がクッションのように働き、加圧による緻密層の破損を抑えることができる。
液遮断層2を構成する繊維状基材は、少なくとも1つの繊維状基材が、前述したエレクトロスピニング式不織布又はメルトブローン不織布であることが好ましい。また、補強用の基材としては、適度な剛性を有する繊維状基材であれば、形態を問わず使用できる。中でも入手が容易であり、且つ、高い剛性を有することから、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル製の不織布が好ましく使用できる。なお、補強用基材の目付は、10〜80g/m2が好ましく、30〜80g/m2がより好ましい。
液遮断層2を積層構造体とする場合には、前述した各層が積層されていれば、その製造方法は特に限定されるものではない。例えば、(1)各層を接着することなく重ねる方法、(2)接着剤を介して緻密層と補強用基材を積層する方法、(3)緻密層を、補強用基材の上に又は補強用基材の上に接着剤層を形成し、形成された接着剤層の上に形成しながら、補強用基材と緻密層を積層する方法、(4)緻密層と補強用基材を超音波等による溶着させる方法等が挙げられる。
上記方法で使用する接着剤としては、ウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系、エポキシ系、塩ビ系、オレフィン系等の接着剤が使用できる。積層による透湿性の低下を抑制するためには、透湿性の接着剤であるウレタン系、ビニルアルコール系、エステル系の接着剤が好適である。
使用する接着剤のメルトインデックスとしては、好ましくは10〜100g/10minであり、より好適には20〜80g/10minである。メルトインデックスを前記範囲内に調整することにより、緻密層の表面を接着剤が被覆する面積が小さくなり、各層を積層することによる液遮断層2の通気度の低下を抑制することができるため好ましい。
また本発明では、接着剤として、熱可塑性樹脂から形成される不織布を使用することも有用である。熱可塑性不織布を使用することにより、接着層を均一の厚さにすることができる。これにより、粒子状やドープ状の接着剤を塗布する場合に比べ、接着剤の斑が少なくなるため、通気性や吸着性能に劣る箇所が生じにくくなる。
また(2)に示す方法においては、エレクトロスピニング法等により直接緻密層を形成し、積層することができる。
なお、液遮断層2を構成する繊維状基材を全て積層した後、各層の接着を強固にするために、液遮断層2を加熱ローラにより加熱・圧着処理するとよい。
液遮断層2の目付は、30〜250g/m2が好ましく、より好ましくは40〜200g/m2であり、更に好ましくは50〜170g/m2である。液遮断層2の目付が下限値を下回ると、液遮断層2を構成する繊維量が十分ではなく、摩擦等の外力により外布1を構成する繊維が切れたときに、液遮断層2までも裂ける虞があるため好ましくない。また、液遮断層2の目付が上限値を上回ると、防護衣服材料4から形成される防護衣服が重くなるため、着用者の負担となる虞があるため好ましくない。
また、液遮断層2の通気度は、5〜300cm3/cm2・sが好ましく、より好ましくは7〜250cm3/cm2・sであり、更に好ましくは10〜200cm3/cm2・sである。液遮断層2の通気度が、下限値を下回ると、防護衣服の通気性が悪くなるため、着用者が不快に感じてしまう。また、液遮断層2の通気度が上限値を上回ると、粒径の比較的大きなダスト等が防護衣服内に侵入する虞があるため好ましくない。
液遮断層2の厚さは、0.5〜3.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.7〜2.0mmであり、更に好ましくは0.9mm〜1.5mmである。液遮断層2の厚さが下限値を下回ると、液遮断層2の厚さが十分でないため、液遮断層2やガス吸着層3の保護機能が充分に発揮されない虞がある。また、液遮断層2の厚さが上限値を上回ると、防護衣服がごわつき、防護衣服の着用者の作業の妨げとなる虞があるため好ましくない。
本発明の液遮断層2には、着用者の安全性を確保する観点から、防火加工を施してもよい。防火加工は、液遮断層2においても、外布1の欄で詳述した方法を採用できる。
<ガス吸着層3>
ガス吸着層3は、ガス状有機化学物質を吸着し得る層であり、前記外布1や液遮断層2では捕捉できない有毒ガス等の侵入を防止するために設けられている。
前記ガス状有機化学物質は、分子量50以上という比較的大きな分子量を有するため、活性炭等のガス吸着物質に固定され得る。前記ガス吸着物質としては、活性炭、カーボンブラック等の炭化水素系吸着材;シリカゲル、ゼオライト系吸着材、炭化ケイ素、活性アルミナ等の無機系吸着材;等の各種吸着材が好適である。ガス吸着物質は、ガス状有機化学物質(被吸着物質)の特性に応じ、適宜選定することができる。中でも、活性炭の使用が好適である。活性炭は様々な種類のガス状有機化学物質を吸着でき、吸着後も活性炭の性質が変化することが少ないため好ましい。中でも、繊維状活性炭は、吸着速度や、吸着容量が大きく、少量の使用で効果的にガスの透過を防止できる。加えて、繊維状活性炭は軽く、防護衣服に仕立てたときに、着用者の作業を妨げないため好適である。
前記活性炭の吸着性能は、トルエン吸着性能で25g/m2以上が好ましく、より好適には30g/m2以上である。トルエン吸着性能が25g/m2を下回ると、充分なガス吸着能を発揮させるために必要となる活性炭の量が増大するため、防護衣服が重くなり好ましくない。上限は特に限定されないが、例えば、100g/m2以下が好ましい。
活性炭の平均細孔直径は、10〜300nmが好ましい。平均細孔直径が300nmを超えると、吸着したガス状有機化学物質が脱離しやすくなるため、好ましくない。
活性炭の細孔容積は、0.2cc/g以上が好ましく、より好適には0.3cc/g以上である。細孔容積が0.2cc/gを下回ると充分なガス吸着能を発揮させるために必要となる活性炭の量が増大するため、防護衣服が重くなり好ましくない。上限は特に限定されないが、例えば、1.0cc/g以下が好ましい。
活性炭のBET比表面積としては、700〜3000m2/gが好ましく、少ない量の活性炭で充分な透過抑制能を発揮させるためには、1000〜2500m2/gがより好ましい。BET比表面積が700m2/gを下回ると、充分なガス吸着能を発揮させるために必要となる活性炭の量が増大するため、防護衣服が重くなり好ましくない。また、BET比表面積が3000m2/gを超えると、一度吸着したガス状有機化学物質が脱離したり、脆くなる虞があるため好ましくない。
活性炭の目付(絶乾質量)としては35g/m2〜250g/m2が好ましく、さらに好ましくは70g/m2〜200g/m2である。35g/m2を下回ると吸着できる容量が小さくなり使用時間が制限される。一方、250g/m2を超えると防護衣服として重くなり熱ストレスの原因となる。
活性炭の使用量を減らしながら、効果的に透過抑制能を発揮させるには、繊維状の活性炭を使用することが有効である。
繊維状活性炭は、積層しやすくするために、シート状に加工することが望ましい。繊維状活性炭をシート化する方法としては、シート基材にバインダーを介してガス吸着物質(活性炭)を固着する方法;ガス吸着物質(活性炭)を、パルプとバインダーを含む分散液に分散させてスラリーを調製し、湿式抄紙機を用いてシート状に抄造する方法;炭素を含む繊維を用いて布帛を作製し、必要に応じて布帛を耐炎化処理し、その後繊維を炭化・賦活することによりシート状の繊維状活性炭を製造する方法;等が好適である。
炭素を含む繊維を用いて布帛を作製し、必要に応じて布帛を耐炎化処理し、その後繊維を炭化・賦活することによりシート状の繊維状活性炭を製造する方法とは、例えば、原料繊維を用いて、製織、製編、カーディング及びラッピング工程等を経て織物、編物、不織布等の各種布帛を形成した後、必要に応じて当該布帛に耐炎化剤を含有させ、その後、450℃以下の温度で耐炎化処理を施し、次いで、500℃以上1000℃以下の温度で繊維を炭化・賦活させる方法によって製造することができる。使用される原料繊維としては、例えば、綿、麻等の天然セルロース繊維;レーヨン繊維、ポリノジック繊維等の再生セルロース繊維;ポリビニルアルコール系繊維、アクリル系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、リグニン繊維、フェノール系繊維、石油ピッチ繊維等の合成繊維が例示できる。中でも、繊維状活性炭の物性(強度等)や吸着性能に優れることから、再生セルロース繊維、アクリル系繊維、フェノール系繊維の使用が好ましい。なお、原料繊維の繊維長は限定されず、短繊維、長繊維のいずれも使用できる。
シート化された繊維状活性炭の形態は、特に限定されないが、織物状、編物状、不織布状、フェルト状、紙状、フィルム状が例示できる。中でも、防護衣服作製時において、積層やはっ水・はつ油処理が容易であること、及び、防護衣服着用時において、作業員の運動作業性、身体へのフィット性、防護衣服の柔軟性が良好なことから、シート化された繊維状活性炭の形態は、織物状、編物状、不織布状が好ましい。
シート化された繊維状活性炭の厚さは、例えば、0.1〜3mmが好ましく、より好適には0.5〜2mmであり、さらに好適には0.7〜1.5mmである。繊維状活性炭の厚さが0.1mmを下回ると、ガス状有機化学物質の吸着量が低下する虞があるため好ましくない。また、繊維状活性炭の厚さが3mmを上回ると、防護衣服着用時における作業員の運動作業性、身体へのフィット性等を良好に仕上げることができないため好ましくない。
また、シート化された繊維状活性炭の通気度は、50〜550cm3/cm2・sが好ましく、より好ましくは100〜500cm3/cm2・sであり、更に好ましくは150〜400cm3/cm2・sである。シート化された繊維状活性炭の通気度が50cm3/cm2・sを下回ると、得られる防護衣服材料4の通気度が低下し、防護衣服材料4の通気度を所定範囲に制御することが困難となる。また、防護衣服材料4の通気度が550cm3/cm2・sを上回ると、ガス状有機化学物質の捕集量が低下する虞があるため好ましくない。
<内布>
本発明では、防護衣服材料4の最も内側に内布を積層することも可能である。当該内布は、防護衣服着用者のべたつき感等の不快感を低減するために設けられる層である。また、内布を積層することで防護衣服材料4の強度が増すため、外力に対して強くなるため好ましい。
内布を構成する素材は、特に限定されるものではなく、外布1の欄で述べた各素材を使用することができる。中でも、耐熱性に優れることから、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維の使用が望ましい。
内布としては、織物、編物、不織布、多孔フィルム等が好適に使用でき、通気性や柔軟性の面から、織物、編物の使用が望ましい。
また、内布として編物を使用する場合、編物の編組織は特に限定されるものではなく、例えば、緯編(平編、リブ編、両面編、パール編)、経編(トリコット編、ラッセル)等が挙げられる。本発明では特に、肌触りが良いことから、経編、特にトリコット編の使用が望ましい。
内布の厚さは、例えば、0.05〜0.5mmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4mmである。内布の厚さが0.05mmを下回ると、内布の厚さが十分でないため、内布が破れやすくなるといった不具合が生じる虞がある。また、内布の厚さが0.5mmを上回ると、防護衣服内が蒸れやすくなり、着用者が不快に感じる場合があるため好ましくない。
内布の通気度は、例えば、10〜1000cm3/cm2・sが好ましく、より好ましくは30〜900cm3/cm2・sであり、更に好ましくは50〜800cm3/cm2・sである。内布の通気度が前記範囲内であれば、防護衣服材料4の通気度を所望の範囲に調整しやすくなる。
各層の積層順は、防護衣服の外側から見て、外布1−液遮断層2−ガス吸着層3−内布の順が好ましい。液遮断層2とガス吸着層3を、外布1と内布にて挟み込むことにより、液遮断層2とガス吸着層3を効果的に保護することができる。
<<防護衣服材料の製造方法>>
防護衣服材料4の製造方法は、各層が順に積層されている限り、特に限定されるものではない。例えば、外布1は洗濯できるよう、液遮断層2やガス吸着層3とは着脱可能な状態で積層されていることが好ましい。
液遮断層2とガス吸着層3は、着用者の動作に応じてこれらの層が移動しないように、予め固定されていることが好ましい。液遮断層2とガス吸着層3を固定する方法としては、以下の方法が挙げられる。
第1の方法としては、例えば、ガス吸着層3を、シート状;顆粒状、粉末状等の粒子状;ドープ状の接着剤を用いて液遮断層2と固定する方法が挙げられる。また、第2の方法としては、液遮断層2とガス吸着層3を縫製し、フラシやキルティングの形状を作ることも可能である。
なお、内布を積層する場合にも、内布は、予め液遮断層2とガス吸着層3に固定されていることが望ましい。内布とガス吸着層3の積層には、前記第1の方法及び第2の方法の何れも適用できる。
更に、液遮断層2及びガス吸着層3の積層体に(内布を積層する場合は、内布も含む積層体)は、各層を積層した後、PFOAフリーのはっ水はつ油剤処理を施すことも可能である。PFOAフリーのはっ水はつ油剤としては、前述した各種化合物を使用するとよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)平均単繊維直径:走査型電子顕微鏡写真を適当な倍率でとり、繊維側面を100本以上測定して、その平均値から求めた。
(2)質量:JIS L 1096.8.4による。
(3)厚さ:JIS L 1096.8.4による。
(4)通気性:JIS L 1096.8.27.1 A法(フラジール形法)による。
(5)比表面積:窒素の吸着等温線を求め、これを基にしてBET法により算出した。
(6)ガス平衡吸着量:JIS K 1477による。
(7)はっ水度:JIS L 1092 7.2(スプレー試験)による。
(8)はつ油度:AATCC Test Method 118による。
(9)加圧耐液浸透性試験:この試験の説明図を図2に示す。スライドガラス6上に濾紙7を置き、濾紙の上に、ガス吸着層3、液遮断層2、外布1をこの順に配置し、赤色染料を溶解したメトキシブチルアセテート、ジメチルホルムアミド及びトルエンからなる試験液20μLを外布へ1滴滴下し、その試験液上におもり5(1kg/cm2)を置いて加圧し、24時間経過後の濾紙の呈色の度合いにより液の浸透性を判定した。
「○」呈色無し、「△」やや呈色、「×」呈色有り。
(10)耐ガス浸透性試験:この試験の説明図を図3に示す。内容積150ccの2つのガラスセル(上方セル8aと下方セル8b)で外布1、液遮断層2、ガス吸着層3をこの順で挟み込んだ試験品(防護衣服材料4)の周囲をパラフィンシーリング9により密閉する。この試験容器の上方セル8aから試験液10であるメトキシブチルアセテート30μLを外布の上に滴下する。これを25±2℃に設定した恒温ボックスに入れ、下方セル8b側のガス濃度を所定時間毎(1、3、5、7、12、24時間経過後)にサンプリング口11より採取し、ガスクロマトグラフィを用いて試験品を透過したガス濃度を測定する。
「○」浸透濃度5ppm以下、「×」浸透濃度5ppm超。
(11)耐粒子透過性試験:この試験の説明図を図4に示す。外布、液遮断層、ガス吸着層をダクト12内に設置し、空気濾過速度が5cm/secになるように大気を通気させ、防護衣服材料上流(外布側)、下流(ガス吸着層側)の0.3〜0.5μm粒子の個数濃度を粒子計測器(パーティクルカウンタ)17にて計測し、次式にて捕集効率を算出した。
0.3μm粒子捕集効率(%)={1−(下流側濃度/上流側濃度)}×100
評価は、以下の通りである。
「○」30%以上、「△」10%以上30%未満、「×」10%未満。
(12)耐液体浸透性試験:メトキシブチルアセテート、ジメチルホルムアミド及びトルエンからなる試験液20μLを液遮断層へ滴下し(スパンレース不織布表面)、該試験液滴下15分後における、液滴の液保持性(弾き方)を判定した。以下の項目に基づいて評価した。
「○」試験液が弾かれるとき、「△」試験液がやや浸透するとき、「×」試験液が液遮断層内部に浸透するとき。
(13)着用性:着用モニター試験としては、外布、液遮断層、ガス吸着層及び内布からなる防護衣服材料で上衣、下衣、フードが連結したつなぎ形状の防護衣服を作製した後、環境温湿度20℃65%RHの人工気候室で、送風機により体幹前部に3m/secとなるように送風を行いながら、30分間トレッドミル上を5km/hrで駆け足し、30分間での鼓膜温上昇、最大心拍数及び主観申告により温熱快適感から着用性を判定した。
なお、被験者数は10名とした。
「○」着用性に優れる、「△」着用性にやや欠ける、「×」着用性に劣る。
(14)総合判定:防護衣服材料の総合評価を以下の項目に基づいて行った。
「○」優れる、「△」普通、「×」劣る。
<第1のはっ水はつ油剤の作製>
第1のはっ水はつ油剤である含フッ素重合体の製造方法について以下に示す。
製造例1
500ml反応フラスコにCF3CF2−(CF2CF2n−CH2CH2OCOC(Cl)=CH2(n=2.0) 14.9g、ステアリルアクリレート43.46g、純水110g、トリプロピレングリコール18.62g、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム3.08g、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム0.87g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO数=20) 2.1g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(EO数=3) 0.65gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。反応フラスコ内を窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.62g、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.31g(以下、V−50と記す)及び水9gの溶液を添加し、60℃で5時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。得られた重合体の水性分散液を含フッ素重合体濃度が36%固形分となるように水で希釈し、第1のはっ水はつ油剤を得た。
製造例2
500mLオートクレーブにCF3CF2−(CF2CF2n−CH2CH2OCOC(Cl)=CH2(n=2.0) 45g、ステアリルアクリレート11g、純水150g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル24g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル7.5g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル2.0gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。フラスコ内を窒素置換後、塩化ビニル(VCM)20gを圧入充填し、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.4gを添加し、60℃で5時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。重合体の組成は、仕込みモノマーの組成にほぼ一致した。得られた重合体の水性分散液を含フッ素重合体濃度が30%固形分となるように水で希釈し、第1のはっ水はつ油剤を得た。
<外布の作製>
外布を以下の方法で作製した。
ナイロン66フィラメント糸と綿を5/95の混率で電気開繊方式により40番手の混紡糸を作製した。次いで常法により、エアージェット織機を用いて製織し、経糸密度140本/インチ、緯糸密度108本/インチの2/1綾織物を作製した。常法によりこれに毛焼、糊抜、精錬、漂白、シルケット、染色、ソーピング処理を行い、外布用織物を作製した。
更に防火加工として、N−メチロールジメチルホスホノプロピオン酸アミドを主成分とするピロバテックス(登録商標)CP(ハンツマン アドバンスト マテリアルズ社製)を40質量%、塩化アンモニウムを0.5質量%含む水溶液に得られた織物を浸漬し、ピックアップが65%となるように絞り、乾燥・熱処理を行った。
その後、得られた外布を、水を分散媒として5質量%に調整した製造例1で得た第1のはっ水はつ油剤を含有する加工浴に浸漬し、ピックアップが50%となるように絞り、乾燥後、180℃で熱処理を施した。
得られた綾織物は、厚さ0.23mm、目付175g/m2、通気性は水位計1.27cmの圧力差で18cm3/cm2・s、はっ水度4級、はつ油度5級であった。
<液遮断層の作製>
液遮断層A〜Cを以下の方法で作製した。
液遮断層A1〜A2
下層としてPET製スパンレース不織布(ユウホウ株式会社製、目付40g/m2)を使用し、該PET製スパンレース不織布の片面に、ポリエステル系不織布状熱可塑性接着剤(呉羽テック株式会社製「ダイナック(登録商標)LNS0015」、目付15g/m2)を重ね合わせた。該ポリエステル系不織布状熱可塑性接着剤側の表面へ、エレクトロスピニング方式により、平均単繊維直径200nm、目付0.5g/m2となるように、ポリウレタン製ナノファイバー不織布を作製した。その後、該ポリウレタン製ナノファイバー不織布側に、前記ポリエステル系不織布状熱可塑性接着剤(呉羽テック株式会社製「ダイナック(登録商標)LNS0015」)を重ね、その上に前記PET製スパンレース不織布(ユウホウ株式会社製、目付40g/m2)を積層し、加熱ローラで圧着して、液遮断層用の積層構造体を作製した。
次いでこの積層構造体を、5質量%の製造例1〜2で得た第1のはっ水はつ油剤を含有する水分散液(加工浴)に浸漬して、ピックアップが100%となるように絞り、100℃で2分間乾燥処理した。その後、180℃で1分間キュアを施し、製造例1の第1のはっ水はつ油剤で処理された液遮断層A1と、製造例2の第1のはっ水はつ油剤で処理された液遮断層A2を作製した。
液遮断層A1、A2の特性を評価したところ、A1、A2共にはっ水度は4級、はつ油度は5級、耐液体浸透性試験の判定は「〇」であった。また液遮断層A1、A2は、厚さ1.1mm、目付96g/m2、通気性は水位計1.27cmの圧力差で13cm3/cm2・sであった。
液遮断層B
ポリウレタン製ナノファイバー不織布を、ポリアミド製メルトブローン不織布(平均単繊維直径0.9μm、目付15g/m2、厚み0.1mm)に代えたこと以外は、液遮断層A1と同様の方法により、製造例1の第1のはっ水はつ油剤で処理された液遮断層Bを作製した。
液遮断層Bの特性を評価したところ、はっ水度は4級、はつ油度は5級、耐液体浸透性試験の判定は「〇」であった。また液遮断層Bは、厚さ1.3mm、目付129g/m2、通気性は水位計1.27cmの圧力差で15cm3/cm2・sであった。
液遮断層C(編物)
22ゲージ6枚筬ダブルラッセル機により、地糸としてナイロンフィラメント糸(84dtex、24フィラメント)を、パイル糸としてナイロンフィラメント(176dtex、モノフィラメント)を夫々供給し、図5の組織及び糸配列で経編地を編成した後、定法により精練し、酸性染料で染色した。次に、該編地を半裁しカットパイルとした後、パイル先端部を熱溶融し球状物を形成させた。その後、この液遮断層を5質量%の製造例1で得た第1のはっ水はつ油剤を含有する水分散液(加工浴)に浸漬して、ピックアップが40%となるように絞り、100℃で2分間乾燥処理した。次いで、180℃で1分間キュアを施し、液遮断層Cを作製した。
液遮断層Cの特性を評価したところ、球状物面におけるはっ水度は4級、はつ油度は5級、耐液体浸透性試験の判定は「〇」であった。また液遮断層Cは、厚さ1.94mm、目付145g/m2、通気性は水位計1.27cmの圧力差で278cm3/cm2・sであった。
<ガス吸着層の作製>
ガス吸着層として、編物の形態の繊維状活性炭を以下の方法で作製した。単糸繊度2.2dtex、20番手のノボラック系フェノール樹脂繊維紡績糸からなる目付220g/m2の丸編物を410℃の不活性雰囲気中で30分間加熱し、次に水蒸気を12容量%含有する雰囲気中で890℃の温度で2時間賦活した。得られたガス吸着層は、絶乾質量が100g/m2、BET比表面積が1500m2/g、厚さが1.00mm、通気性が水位計1.27cmの圧力差で200cm3/cm2・s、トルエン吸着性能(トルエンガス平衡吸着量)が50g/m2であった。
実施例1〜5
外布、液遮断層、ガス吸着層を重ね合わせた防護衣服材料を用いて、加圧耐液浸透性試験、耐粒子濾過性試験及び耐ガス浸透性試験を実施した。結果を表1に示す。なお、実施例3では、カットパイル編地のパイル層が外布に、パイル層の反対面がガス吸着層に向くように積層した。また実施例5では、はっ水はつ油処理が行われていない外布を積層した。
参考例1
液遮断層を処理するはっ水はつ油剤として、旭硝子株式会社製「AG−7105」のフッ素系はっ水はつ油剤を使用した以外は実施例1と同様の方法で防護衣服材料を作製し、加圧耐液浸透性試験及び耐ガス浸透性試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例1〜2
液遮断層を処理するはっ水はつ油剤を、下記のはっ水はつ油剤(いずれもPFOAフリー)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で防護衣服材料を作製し、加圧耐液浸透性試験及び耐ガス浸透性試験を実施した。結果を表2に示す。
比較例1:日華化学株式会社製「NKガードS−11」(フッ素系はっ水剤)
比較例2:旭硝子株式会社製「AG−E092」(フッ素系はっ水剤)
比較例3〜4
液遮断層を処理するはっ水はつ油剤を、下記のはっ水はつ油剤(いずれもPFOAフリー)に変更した以外は、実施例2と同様の方法で防護衣服材料を作製し、加圧耐液浸透性試験及び耐ガス浸透性試験を実施した。結果を表2に示す。
比較例3:日華化学株式会社製「NKガードS−11」(フッ素系はっ水剤)
比較例4:旭硝子株式会社製「AG−E092」(フッ素系はっ水剤)
比較例5〜6
液遮断層を処理するはっ水はつ油剤を、下記のはっ水はつ油剤(いずれもPFOAフリー)に変更した以外は、実施例3と同様の方法で防護衣服材料を作製し、加圧耐液浸透性試験及び耐ガス浸透性試験を実施した。結果を表2に示す。
比較例5:日華化学株式会社製「NKガードS−11」(フッ素系はっ水剤)
比較例6:旭硝子株式会社製「AG−E092」(フッ素系はっ水剤)
上記のように、実施例1〜5の防護衣服材料は、加圧耐液浸透性、耐粒子濾過性、耐ガス浸透性、耐液体浸透性に優れているのに対し、比較例1〜6の防護衣服材料は、加圧耐液浸透性、耐粒子濾過性、耐液体浸透性が低い結果となった。また、比較例1〜6の防護衣服材料は、いずれかの評価項目で実施例に劣るものであった。
本発明に係る防護衣服材料は、液状及びガス状の化学物質に対して優れた耐浸透性を発揮し、特にこの効果は防護衣服材料を加圧した際に顕著に発揮される。更に、本発明に係る防護衣服材料は、適度な通気性を有し、軽量であるため、快適性に優れた防護衣服材料を提供することができ、本発明の属する業界に対して、大いに貢献するものである。
1 外布
2 液遮断層
3 ガス吸着層
4 防護衣服材料
5 おもり
6 スライドガラス
7 濾紙
8a 上方セル(150cc)
8b 下方セル(150cc)
9 パラフィンシーリング
10 試験液
11 サンプリング口
12 ダクト
13 流量計
14 バルブ
15 ブロワー
16 サンプリング管
17 粒子計測器

Claims (11)

  1. 外布、液遮断層及びガス吸着層の積層構造を含む防護衣服材料であって、
    前記液遮断層には、第1のはっ水はつ油剤として、下記式(1):
    CH2=C(−Cl)−C(=O)−X−Y−Rf …(1)
    [式中、Xは−O−又は−NH−であり、Yは直接結合又は二価の有機基であり、Rfは炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]で表されるフルオロアルキル基を有するα−クロロアクリレート(A)から誘導される繰り返し単位、及びフルオロアルキル基を有さず、炭素数6以上の炭化水素基を有する非フッ素単量体(B)から誘導される繰り返し単位を含む含フッ素重合体が固着していることを特徴とする防護衣服材料。
  2. 前記外布に第2のはっ水はつ油剤が固着した請求項1に記載の防護衣服材料。
  3. 前記液遮断層は、JIS L 1092 7.2スプレー法により測定されるはっ水度が2級以上であり、AATCC Test Method 118法により測定されるはつ油度が2級以上である請求項1又は2に記載の防護衣服材料。
  4. 前記含フッ素重合体が、更にフッ素原子を含まない単量体(C)から誘導される繰り返し単位を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の防護衣服材料。
  5. 前記単量体(C)は、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンの少なくとも1種である請求項4に記載の防護衣服材料。
  6. 前記外布に前記第1のはっ水はつ油剤が固着しており、
    前記外布は、JIS L 1092 7.2スプレー法により測定されるはっ水度が3級以上であり、AATCC Test Method 118法により測定されるはつ油度が4級以上である請求項2〜5のいずれか1項に記載の防護衣服材料。
  7. 前記第1のはっ水はつ油剤がカチオン性界面活性剤を2種以上含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の防護衣服材料。
  8. 前記カチオン性界面活性剤が、下記式(3):
    (R 6 p + (R 7 4-p - …(3)
    [式中、R 6 は、炭素数8以上の直鎖状及び/又は分岐状の脂肪族基であり、R 7 は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又はポリオキシエチレン基であり、pが1のとき3本のR 7 は、互いに結合して環を形成していてもよい。Zは、アニオンを形成する基であり、pは1又は2である。]で表されるアンモニウム塩であり、
    少なくとも、前記式(3)においてpが1であるカチオン性界面活性剤と、前記式(3)においてpが2であるカチオン性界面活性剤を含む請求項7に記載の防護衣服材料。
  9. 前記pが1であるカチオン性界面活性剤と、前記pが2であるカチオン性界面活性剤のモル比が0.5/1〜20/1である請求項8に記載の防護衣服材料。
  10. 前記液遮断層は、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸式不織布またはエレクトロスピニング式不織布のいずれかの面に補強用の基材が積層されてなる積層体か、或いは、カットパイル織編物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の防護衣服材料。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の防護衣服材料を用いることを特徴とする防護衣服。
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