JP5783844B2 - 水位計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水位計測装置に関する。
一般に、水位計測装置では、発熱体と熱媒体とを水深方向に設置し、発熱体によって加熱された熱媒体の温度が気相と液相とで異なることを熱電対により検知して水位を検出する。
このような従来の水位計測装置として、特許文献1、非特許文献1に記載されており、図8に示されたように、1本のヒータピン100と、ヒータピン100を覆うシース101と、シース101の内部に充填された絶縁材102と、シース101の内部に設置された差動型熱電対列103とを有するものが知られている。
ヒータピン100の下方が水中に入ると、絶縁材102の温度が水面を境に上下で急激に変化することから、熱電対列103によって測温点の温度を測定し、水面の位置を検出する。ここで、熱電対列103が差動型であることから、差動部を多く設けることによって水位を連続的に検出することができる。
さらに、一対のヒータピン及び熱電対列を有する水位計測装置として特許文献2に記載されており、図9に示されたように、原子炉圧力容器104の上蓋部分から挿入され、被覆管105に収納される熱電対式センサ106が存在する。この熱電対式センサ106は、加圧水型原子炉の定期検査時や異常時における水位計測に用いられる。
熱電対式センサ106には絶縁材が充填され、水深方向に2つの測温部が並び、一方の測温部に発熱体を備えた構造になっている。水面が2つの測温部よりも上にある場合には、2つの測温部の温度が同一になり、水面が下にある場合には異なることから、水面の位置を検出する。
特公昭62−26687号公報 特開平8−220284号公報
「2進コ−ド化熱電対式水位計の開発と炉容器内水位計測への適用試験」(日本原子力学会誌 Vol.35, No.11, pp999〜1014(1993))
ところが、上述した従来の水位計測装置は、測定する水深に応じた長尺な鋼製の剛体棒である。このため、地震や津波等を含む事故発生時には、水位計測装置の損傷により動作可否が懸念されるという課題があった。
本発明は上記事情に鑑み、事故発生時においても損傷することなく高い信頼性が得られる水位計測装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様による水位計測装置は、
液槽の深さ方向に沿って配置される保護管と、
前記保護管の内部に設けられ、電流を供給されて発熱する発熱体と、
前記保護管内において前記発熱体を覆うように充填された熱伝導体と、
前記保護管内の前記熱伝導体の内部に設けられ、与えられた熱に応じて熱起電力を発生し、それぞれの測温部の前記液槽の深さ方向の位置が異なる複数の測温体と、
前記測温体がそれぞれ発生した熱起電力に基づいて前記液槽内の水位を測定する測定手段と、
前記発熱体に電流を供給して発熱させる電流源と、
を備え、
前記保護管が、少なくとも金、銀又は鉛のうち、いずれか一つの材料を含んで形成され可撓性を有することを特徴とする。
本発明の水位計測装置によれば、事故発生時においても損傷が回避され信頼性が向上する。
本発明の実施の形態1による水位計測装置の構成を示す断面図である。 同水位計測装置により得られる測定結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態2による水位計測装置の構成を示す断面図である。 同水位計測装置における浮遊手段を拡大して示す斜視図である。 同水位計測装置により得られる測定結果を示すグラフである。 同水位計測装置により得られる測定結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態3による水位計測装置の構成を示す断面図である。 従来の水位計測装置の構成を示す斜視図である。 従来の他の水位計測装置の構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態による水位計測装置について、図面を参照して説明する。
実施の形態1
(実施の形態1の構成)
本発明の実施の形態1による水位計測装置の構成について、図1を用いて説明する。
本実施の形態1の水位計測装置は、液槽1の深さ方向に沿って配置され、液槽1の深さが深くなるにつれて直径が小さくなる発熱体2と、発熱体2を覆う熱伝導体3と、発熱体2に対して非接触状態で、液槽1の深さ方向に沿って設けられた長さが異なる測温体4a、4b、4c、4dと、発熱体2、熱伝導体3及び測温体4a、4b、4c、4dを保護し、少なくとも金、銀、鉛のいずれかの材料が用いられて形成され液槽1の深さが深くなるにつれて外径が小さくなる保護管5と、保護管5を液槽1に対して所定位置で固定するストッパ21、22と、測温体4a、4b、4c、4dに接続されそれぞれが測定した温度に基づいて液槽1の水位を測定する測定手段6と、発熱体2をジュール熱によって発熱させるため電流を供給する電流源7とを備えている。
液槽1は、例えばボイラ、原子力発電所における原子炉、発電プラント等における蒸気発生器等に相当する。さらには、液槽1は、事故発生時における各種プラントの液槽、例えば原子炉の使用済み燃料プール、あるいは原子炉の格納容器等にも相当する。
液槽1の内部の溶液は、水、あるいは水を主成分とする液体の全てが含まれ、例えばナトリウム等の各種溶液も含まれる。
液槽1の温度に限定されないが、例えば正常時には室温状態、あるいは室温より低い冷温状態、室温より高い高温状態であり、事故発生時には室温より高温になったり高放射線場になるものも含まれ、さらには酸性、中性あるいはアルカリ性のいずれであってもよい。
発熱体2は、電流が流れるとジュール熱を発生する材料で形成され、例えばニッケルクロム線、鉄クロム線等の電熱線、カンタル線、白金線等を用いて形成されている。発熱体2は、液槽1の深さ方向に沿って直線状に配置されてもよく、あるいは深さ方向に沿って螺旋状に配置されてもよい。また、発熱体2は1本であってもよく、あるいは複数本であってもよい。
発熱体2の発熱量wは、以下の式(1)に示されるように電流iに比例し、発熱体2の断面積sに反比例する。そこで、液面の上昇を確実に検出する場合には、下から上に向かって熱伝導体3の断面積を小さくすることが望ましい。逆に、液面の降下を確実に検出する場合には、上から下に向かって熱伝導体3の断面積を小さくすることが望ましい。
Figure 0005783844
ここで、mは発熱体2の長さ、ρは発熱体2の抵抗率とする。
熱伝導体3は、耐熱性を有し、かつ高温で電気的絶縁性を有する材料として、例えば、マグネシア、アルミナ、チタン酸アルミニウム、シリカ、ジルコニアセラミック等の材料により形成されている。これらの材料は、粉末状にされて保護管5の内部に充填される。この場合、ヘリウム、ネオン、フッ素、窒素等の熱伝達率の高いガスを熱伝導体3と一緒に封入してもよい。
測温体4a、4b、4c、4dは、熱電対又は抵抗測温体である。熱起電力を測定して温度を求める熱電対としては、日本工業規格(JIS)で規定されているB−Type、R−type、S−type、N−type、K−type、E−type、J−type、T−type等を用いることができる。
また、温度と抵抗との関係を予め把握しておき、抵抗値から温度を求める抵抗測温体として、白金、ニッケル、銅等を用いることができる。
測温体4a、4b、4c、4dは、水位の測定点数に対応した数だけ用意され、それぞれの先端部分の測温部の位置が、測定する水位高さに対応して設置される。測温体4a、4b、4c、4dは、熱伝導体3が充填された保護管5の内部で液槽1の深さ方向に沿って配置されるが、保護管5の内部における平面方向の位置や配列順序には限定されない。
保護管5は、柔軟性を有する金属として、少なくとも金、銀、鉛のいずれかの材料が用いられて形成される。これにより、地震等の振動が加わった場合にも、保護管5が破断することなく可撓性を有するため、内部の発熱体2、測温体4a、4b、4c、4dが破断せず温度測定に支障を与えない。尚、保護管5が溶液によって腐食するおそれがある場合には、保護管5の表面に腐食防止用のメッキ等を施すことが望ましい。
気相へ露出した保護管5の表面から溶液が速やかに排除されるように、撥水剤が保護管5の表面に塗布されることが望ましい。例えば、溶液が水である場合、フッ素系やシリコン系の撥水剤を塗布してもよい。さらに、気相へ露出した保護管5の表面から溶液が速やかに排除されるように、液槽1の深さが深くなるにつれて保護管5の外径が小さくなっている。
あるいはこれとは逆に、親水剤を保護管5の表面に塗布し、さらに液槽1の深さが深くなるにつれて保護管5の外径が大きくなることにより、気相へ露出した保護管5の表面に溶液が均一に付着するようにしてもよい。この場合には、後述するように、液槽1の液面が波立って周期的に上下する場合、最高位の水位で付着した溶液が保護管5の表面に付着した状態が維持され、この位置が変化せず安定する。これにより、水位の計測を安定して行うことができる。
保護管5の内部には熱伝導体3が充填され、発熱体2と測温体4a、4b、4c、4dとが液槽1の深さ方向に沿って配置される。この時、発熱体2、熱伝導体3、測温体4a、4b、4c、4d、及び保護管5の密着性を高めて発熱体2の熱を保護管5の外部へ効率的に伝導させるため、保護管5の中心軸方向に向かって加圧してもよい。
測定手段6は、測温体4a、4b、4c、4dと接続され、それぞれの熱起電力を測定し、予め把握している関係を用いて熱起電力から測温体4a、4b、4c、4dにおける温度をそれぞれ算出する。
電流源7は発熱体2と接続され、ジュール熱によって発熱体2を発熱させるため電流を供給する。尚、測定手段6や電流源7の設置場所は制限されず、液槽1の近傍、あるいは遠隔のいずれであってもよい。
(実施の形態1の作用)
上述のような構成を備えた本実施の形態1による水位計測装置の作用について、説明する。
電流源7から電流を発熱体2に供給して加熱し、発熱体2の発熱によって保護管5の内部の熱伝導体3を加熱する。この時、熱伝導体3の気相にある部分は、空気により断熱状態にあるため発熱体2の発熱により高温(T)となる。他方、熱伝導体3の液相にある部分は、発熱体2の熱が液相中へ放熱されることによって低温(T)となる。
液槽1の液面が、図1に示されるように例えば測温体4bと測温体4cとの間にある場合、測温体4a、4bは気相、測温体4c、4dが液相となる。この場合には、測定手段6において図2に示されるように、測温体4a、4bでは高温(T)、測温体4c、4dでは低温(T)という測定結果が得られる。このような測定結果から、温度の変化領域、ここでは測温体4bと4cとの間を探し出すことによって液面の位置を検知することができる。
ここで、発熱体2、測温体4a、4b、4c、4dは可撓性を有し、上述したように柔軟性を有する金属から成る保護管5も可撓性を有し、また保護管5の内部の熱伝導体3が粉末状であることから保護管5全体として可撓性を有する。
このため、長尺な鋼製の剛体棒の水位計測装置とは異なり、長尺であっても地震や津波等の事故発生時において損傷する事態を回避することができる。
また、液槽1の水位が低下した時には、液相から気相になった保護管5の表面に付着する溶液が撥水剤によって速やかに流れ落ちる。このため、電流源7の電流を増加させて保護管5の表面に付着した溶液を排除する必要性が排除される。
同様に、液槽1の水位が低下した時、液相から気相になった保護管5の表面に付着する溶液は、液槽1の深さが深くなる方向に向かって保護管5の外径が小さくなっていることにより速やかに流れ落ちる。このため、電流源7の電流を増加させて保護管5の表面に付着した溶液を排除する必要性が排除される。
さらに同様の作用として、液槽1の水位が低下した時、液相から気相になった保護管5の表面に付着する溶液は、液槽1の深さが深くなる方向に向かって発熱体2の断面の直径が小さくなっていることから、水位が低下するに従って発熱体2の発熱量が多くなって速やかに流れ落ちる。従って、電流源7の電流を増加させて保護管5の表面に付着した溶液を排除する必要性が排除される。
逆に、保護管5の表面に親水剤が塗布されている場合、さらに液槽1の深さが深くなるにつれて保護管5の外径が大きくなる場合には、液槽1の液面が波立って周期的に上下する場合であっても、最高位の水位で溶液に浸った保護管5の表面部分が安定して殆ど変化しない。従って、水位の変動に影響されることなく測定結果を安定して得ることができる。
(実施の形態1の効果)
以上説明したように、本実施の形態1の水位計測装置によれば、構成要素となる発熱体、測温体、保護管に可撓性があり、また充填される熱伝導体が粉末であるため全体として可撓性を有する。このため、水位計測装置が長尺である場合であっても、地震や津波等の事故発生時において損傷することがなく、高い信頼性を得ることができる。
また、保護管の表面に撥水剤を塗布することにより、水位低下が起きた時には、液相から気相になった保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。これにより、液相から気相になった保護管の表面に付着していた溶液を排除するために電流源の電流を増加させる必要性がなく、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を確保することができる。
さらに、液槽の深さが深くなる方向に向かって保護管の外径が小さくなることにより、水位低下が起きた時には、液相から気相になった保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。このため、液相から気相になった保護管の表面に付着していた溶液を排除するために電流源の電流を増加させる必要性がなく、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
さらには、液槽の深さが深くなる方向に向かって発熱体の直径が小さくなり抵抗が増加していることにより、水位低下が起きた時に、水位の低下に応じて発熱体の発熱量が多くなって速やかに流れ落ちる。この結果、液相から気相になった保護管の表面に付着していた溶液を排除するために電流源の電流を増加させる必要性がなく、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
また、保護管の表面に親水剤を塗布した場合、さらに液槽1の深さが深くなるにつれて保護管5の外径が大きくなる場合には、液槽の液面が波立って周期的に上下する場合であっても、溶液の最高位において浸った保護管の表面部分に水分が安定して保持され殆ど変化しない。このため、地震や津波等を含む事故時においても安定した水位の計側が可能であり、高い信頼性を得ることができる。
実施の形態2
(実施の形態2の構成)
本発明の実施の形態2による水位計測装置について、図3を用いて説明する。尚、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態2は、液槽1の深さ方向に配置された複数の発熱体2a、2b、2c、2dと、発熱体2a、2b、2c、2dを覆う熱伝導体3と、発熱体2a、2b、2c、2dとそれぞれ同一の高さに取り付けられた同数の測温体4a、4b、4c、4dと、熱伝導体3及び測温体4a、4b、4c、4dを保護する保護管5と、保護管5を液槽1に対して所定位置で固定するストッパ21、22と、測温体4a、4b、4c、4dの温度から液槽1の水位を測定する測定手段6と、発熱体2a、2b、2c、2dをジュール熱によって発熱させる電流源7と、電流源7の電流値を制御する電流制御手段8と、保護管5が貫通した状態で液面に浮かび、電流源7と接続され発熱する発熱体2を備えた浮遊手段9と、液槽1に一端が接続され、他端が建屋外部へ引き出される引き出し配管10と、引き出し配管10に取り付けられ電流源7に接続されて電力を供給する通電線11とを備えている。
電流制御手段8は電流源7に接続され、電流源7が発生する電流値を変えるように制御し、あるいは電流源7を間欠動作させるための制御を行う。電流制御手段8が電流源7を間欠動作させる場合は、電流源7から発熱体2a、2b、2c、2dへ間欠的に電流が供給されることにより消費電力が低減される。
浮遊手段9の詳細な構成を図4に拡大して示す。浮遊手段9は、液槽1の深さ方向に沿って円筒状の穴が形成された円環状の形状を有し、液槽1の溶液より比重の軽い材料で形成されるか、又は浮遊手段9全体として溶液の比重より軽くなるように形成される。これにより、浮遊手段9は溶液の液面に浮遊する。
浮遊手段9の円筒状の穴に保護管5が貫通し、保護管5と浮遊手段9とは相互に拘束することなく、浮遊手段9が保護管5に対して相対的に上下方向に自由に動くことができる。また、浮遊手段9の内部には発熱体が含まれている。発熱体の形状は限定されないが、例えば図4に示された発熱体3のように円柱の軸方向に沿って螺旋状に配置されていてもよい。あるいは、発熱体3は例えば周方向に螺旋状、円状、直線状等に配置されていてもよい。
引き出し配管10は、液槽1に既設で備えられている剛性が高い配管、あるいは後に配設された剛性が高い配管である。後に配設する場合は、液槽1の排水機能を併せ持たせたり、差圧を利用した水位計測機能を持たせてもよい。水位計測を行う際には、引き出し配管10の出口に圧力計を備え、水位と溶液の密度の積に圧力が比例することに基づいて水位を求めることができる。尚、液槽1に内圧がかかる場合には、その内圧を測定して測定値との差分をとることによって水位を求めることができる。ここで、圧力計として例えばエアパージ式によるものを用いてもよい。また、引き出し配管10を用いることなく、液槽1の底部に圧力計を設けてもよい。
通電線11は、測定手段6、電流源7、電流制御手段8へ通電させるために設けられる。この通電線11は、剛性の高い引き出し配管10に取り付けることにより耐震性を持たせることができる。尚、上実施の形態1と同様に、測定手段6、電流源7、電流制御手段8の設置位置は限定されず、液槽1の近傍、あるいは遠隔に設置してもよい。
(実施の形態2の作用)
本実施の形態2の水位計測装置によれば、以下のような作用が得られる。
上記実施の形態1と同様に、保護管5が可撓性を有するため、地震や津波等の事故発生時において損傷する事態を回避することができる。液槽1の水位が低下すると保護管5の表面に付着する溶液が撥水剤により速やかに流れ落ちる。また、液槽1の深さが深くなる方向に向かって保護管5の外径が小さくなっていることにより、保護管5の表面に付着する溶液が速やかに流れ落ちる。さらに、液槽1の深さが深くなる方向に向かって発熱体2の断面の直径が小さくなっていることから、水位の低下に従い発熱体2の発熱量が多くなって速やかに流れ落ちるので、電流源7の電流を増加させて保護管5の表面に付着した溶液を排除する必要性が排除される。
さらに本実施の形態2によれば、通電線11から電流源7へ通電して発熱体2a、2b、2c、2dを加熱することにより、発熱体2a、2b、2c、2dによって保護管5の内部の熱伝導体3が加熱される。通電線11は、剛性が高い引き出し配管10に取り付けられることで、地震や津波等の事故発生時において損傷する可能性が低い。
液槽1の液面が図3に示されるように、測温体4bと測温体4cの間にある場合、上記実施の形態1と同様に測定手段6において図2に示される測定結果が得られる。
ここで液面位置は、高温(T)から低温(T)への変化領域にあり、変化領域を識別できるのであれば、高温(T)が必要以上に高い温度である必要はない。そこで、高温(T)の値を測定しながら電流制御手段8の制御により電流源7からの出力電流値を下げて、高温(T)と低温(T)との間の変化領域が識別できる程度に発熱体2a、2b、2c、2dの発熱を抑えて高温(T)を設定する。これにより、高温(T)を測定に必要な程度の高さの温度に設定することができるので、電流源7の消費電力を抑えることが可能である。
また、電流制御手段8によって電流源7を複数回に渡って間欠的に動作させて消費電力を抑える場合には、測定手段6により測温体4a、4b、4c、4dにおいて、例えば図5に示される測定結果がそれぞれ複数回得られる。即ち、電流源7に一旦通電して電流を発熱体2a、2b、2c、2dを加熱した後、通電を停止して加熱を停止する。気相にある測温体4a、4bは、時間的遅れを伴って急な勾配で温度が上昇して短い時間が経過した時点tpで最高温度(P)に到達した後、緩やかに低下していく。これに対し液相にある測温体4c、4dは、溶液に熱を奪われて緩やかに上昇してより長い時間が経過した時点tsにおいて最高温度(P)に到達した後、急な勾配で低下していく。
このように、気相と液相とで熱伝導度が異なり最高温度及び最高温度に到達する時間が異なることから、測温体4a、4b、4c、4dにおける温度測定結果により、気相か液相であるかを判別し水位を検知することができる。このような図5に示された測定結果を、必要に応じて電流源7を複数回に渡って間欠的に動作させて得ることで、常時通電する場合より消費電力を低減することができる。
浮遊手段9は、図3に示されるように例えば測温体4bと測温体4cとの間に位置して液面に浮かぶ一方で、保護管5から離脱することはない。測定手段6により、図6に示されるような測定結果が得られる。測温体4b、4cは、浮遊手段9が有する発熱体2の発熱によって高温(T)になる。一方、測温体4aは、浮遊手段9から離れた位置で気相の温度である低温(TL1)を示し、測温体4dは浮遊手段9から離れた位置で液相の温度である低温(TL2)を示す。この測定結果において、高温(T)になる測温体4b、4cを探し出すことによって浮遊手段9の位置を特定することができ、浮遊手段9が液面に浮くことから水位を検知することができる。特に、気相と液相との間で温度差が小さい場合には、浮遊手段9が自ら発熱することで浮遊手段9の位置の特定が容易であり水位検出において有効である。また、保護管5内の発熱体2a、2b、2c、2dへの通電を停止して浮遊手段9内の発熱体2へのみ通電して水位を検出することで、消費電力を低減することができる。
(実施の形態2の効果)
本発明の実施の形態2による水位計測装置により得られる効果について、説明する。
上記実施の形態1と同様に、発熱体、熱伝導体、測温体、保護管が可撓性を有するため、長尺の場合であっても事故発生時において損傷が防止され高い信頼性を得ることができる。保護管の表面に撥水剤が塗布されたため、水位低下時に保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。さらに、液槽の深さが深くなる方向に向かって保護管の外径が小さくなることにより、水位低下時に保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。さらに液槽の深さが深くなる方向に向かって発熱体の直径が小さくなり抵抗が増加していることにより、水位低下時に発熱体の発熱量が多くなり速やかに流れ落ちる。このため、保護管の表面に付着していた溶液を排除するため電流源の電流を増加させる必要性がなく電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
さらに本実施の形態2によれば、剛性が高い引き出し配管に通電線が取り付けられることにより、通電線が損傷や断線する可能性を低くすることができる。この結果、地震や津波等の事故時において水位計測装置が損傷する可能性が低く、高い信頼性を得ることができる。
また、測温体それぞれの温度の測定結果において、気相中にある時の高温と液相中にある時の低温とが識別できる程度に発熱体へ通電する電流を低く設定することにより電流源の消費電力を抑えることができる。この結果、水位計測装置の消費電力を抑えることができ、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
さらに、発熱体へ間欠的に電流を通電し、温度値又はその温度に到達する時間の相違から測温体の各点が気相中、液相中のいずれであるかを判定して水位を検知することにより、電流源における消費電力を抑えることができる。このようにして水位計測装置全体の消費電力を抑えることができ、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
さらには、保護管内の発熱体への通電を停止して液面に浮かぶ浮遊手段内の発熱体へのみ通電し、高温になる測温体を特定して液面を検知することによって電流源の消費電力を抑えることができる。この結果、水位計測装置全体の消費電力が抑えられ、電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることが可能である。
実施の形態3
(実施の形態3の構成)
本発明の実施の形態3による水位計測装置について、図7を用いて説明する。尚、上記実施の形態1、2と同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本実施の形態3による水位計測装置は、液槽1の深さ方向に沿って配置された発熱体2と、発熱体2を覆う熱伝導体3と、熱伝導体3に対して液槽1の深さ方向に沿って取り付けられた測温体4a、4b、4c、4dと、熱伝導体3及び測温体4a、4b、4c、4dを保護する保護管5と、測温体4a、4b、4c、4dの温度から液槽1の内部の水位を測定する測定手段6と、液槽1の溶液の熱を伝達する伝熱部材23と、熱発電素子を備え、伝熱部材23が伝達した液槽1内の溶液と気相との温度差を利用したゼーベック効果による起電力により電力を発生する無給電電力発生手段12aと、無給電電力発生手段12aから電力を供給されて動作し、測温体4a、4b、4c、4dの測定値を、赤外線や可視光を含む光通信、電波、音波等により無線伝送する無給電伝送手段12a、12bと、無給電電力発生手段12aから電流を供給されて動作し、発熱体2をジュール熱によって発熱させる電流源7とを備えている。尚、無給電電力発生手段12aは熱発電素子には限定されず、太陽電池や振動発電素子等、各種のハーベスタ素子を用いることができる。
(実施の形態3の作用)
本実施の形態3の水位計測装置が奏する作用について説明する。
上記実施の形態1と同様に、保護管5が可撓性を有するため、地震や津波等の事故発生時において損傷する事態を回避することができる。液槽1の水位が低下すると保護管5の表面に付着する溶液が撥水剤により速やかに流れ落ちる。また、液槽1の深さが深くなる方向に向かって保護管5の外径が小さくなっていることにより、保護管5の表面に付着する溶液が速やかに流れ落ちる。さらに、液槽1の深さが深くなる方向に向かって発熱体2の断面の直径が小さくなっていることから、水位の低下に従い発熱体2の発熱量が多くなって速やかに流れ落ちるので、電流源7の電流を増加させて保護管5の表面に付着した溶液を排除する必要性が排除される。
さらに本実施の形態3によれば、無給電電力発生手段12aにより熱起電力が発生し、電流源7が動作して発熱体2を発熱させ、この発熱によって熱伝導体3を加熱する。この時、電流源7を外部から通電線を引き込むことなく動作させることができる。このため、地震や津波等の事故発生時において外部からの通電線が破損して電源不足に陥る事態を回避することができる。
そして、液槽1の液面が図7に示されるように測温体4bと測温体4cの間にある場合、無給電電力手段12aによる熱起電力によって電流源7が動作し発熱体2が発熱することにより、上記実施の形態2と同様の作用が生じて、図2に示されるような測定結果を得ることができる。
高温(T)から低温(T)への変化領域が液面位置に対応する。高温(T)と低温(T)との差が明確でない時は、無給電電力発生手段12aにおける素子の寸法や個数を変更して熱起電力を増加させ、発熱体2の発熱量を増加させ高温(T)の温度を上げて差を明確にすることができる。
測温体4a、4b、4c、4dの測定値は、無給電伝送手段12bによって無線伝送される。遠隔地に設置された受信装置により測定値を受信し、高温(T)と低温(T)との間の変化領域を識別することにより、液槽1における液面位置を検知することができる。
本実施の形態3によれば、測温体4a、4b、4c、4dの測定値を、通電線を外部から引き込むことなく遠隔地に無線伝送することができる。このため、地震や津波等の事故発生時においても通電線が損傷して電源不足に陥る事態を回避することができる。
(実施の形態3の効果)
本実施の形態3による水位計測装置によれば、以下のような効果が得られる。
上記実施の形態1と同様に、発熱体、熱伝導体、測温体、保護管が可撓性を有するため、長尺であっても事故発生時に損傷が防止され高い信頼性を得ることができる。保護管の表面に撥水剤が塗布されたため、水位低下時に保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。さらに、液槽の深さが深くなる方向に向かって保護管の外径が小さくなることにより、水位低下時に保護管の表面に付着していた溶液が速やかに流れ落ちる。さらに液槽の深さが深くなる方向に向かって発熱体の直径が小さくなり抵抗が増加していることにより、水位低下時に発熱体の発熱量が多くなり速やかに流れ落ちる。このため、保護管の表面に付着していた溶液を排除するため電流源の電流を増加させる必要性がなく電源不足時においても動作可能であり高い信頼性を得ることができる。
さらに本実施の形態3によれば、通電線を外部から引き込むことなく電流源や無給電伝送手段を通電して動作させ、測温体の測定値を無線伝送することにより、遠隔地において高温と低温の間の変化領域を識別して液槽の液面位置を検知することができる。このため、地震や津波等の事故発生時において通電線が破損して電源不足に陥る事態が回避され、信頼性を向上させることができる。
本発明の実施の形態1〜3について説明したが、これらの実施の形態は例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 液槽
2 発熱体
3 熱伝導体
4a、4b、4c、4d 測温体
5 保護管
6 測定手段
7 電流源
8 電流制御手段
9 浮遊手段
10 引き出し配管
11 通電線
12a 無給電電力発生手段
12b 無給電伝送手段
21、22 ストッパ
23 伝熱部材

Claims (7)

  1. 液槽の深さ方向に沿って配置される保護管と、
    前記保護管の内部に設けられ、電流を供給されて発熱する発熱体と、
    前記保護管内において前記発熱体を覆うように充填された熱伝導体と、
    前記保護管内の前記熱伝導体の内部に設けられ、与えられた熱に応じて熱起電力を発生し、それぞれの測温部の前記液槽の深さ方向の位置が異なる複数の測温体と、
    前記測温体がそれぞれ発生した熱起電力に基づいて前記液槽内の水位を測定する測定手段と、
    前記発熱体に電流を供給して発熱させる電流源と、
    を備え、
    前記保護管が、少なくとも金、銀又は鉛のうち、いずれか一つの材料を含んで形成され可撓性を有することを特徴とする水位計測装置。
  2. 前記保護管の表面に、撥水剤が塗布されたことを特徴とする請求項1に記載の水位計測装置。
  3. 前記液槽の深さ方向において、深さが深くなるにつれて前記保護管の外径が小さくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の水位計測装置。
  4. 前記液槽の深さ方向において、深さが深くなるにつれて前記発熱体の直径が小さくなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水位計測装置。
  5. 前記発熱体の発熱量を制御するため、前記電流源が前記発熱体に供給する電流を制御する電流制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水位計測装置。
  6. 環状の形状を有し、前記保護管が貫通した状態で前記液槽内の液面に浮遊し、前記電流源から電流を供給されて発熱する前記発熱体を有する浮遊手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水位計測装置。
  7. 前記液槽内の溶液の熱を伝導する伝熱部材と、前記伝熱部材が伝導した熱を与えられ熱起電力により発電し、前記電流源に電力を供給する無給電電力発生手段と、前記無給電電力発生手段が発生した電力を与えられて、前記測定手段が測定した結果を無線で伝送する無給電無線伝送手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水位計測装置。
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