JP5783805B2 - 疲労特性および靱性に優れた鋼 - Google Patents
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Cは、必要な強度および焼入れ硬さを確保するために必要な元素である。しかし、0.22%未満では焼入れ後の表面硬さが確保できず、疲労寿命が低下する。一方、0.60%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇するため被削性や冷間加工性等の加工性の劣化は避けられない。そこで、Cは0.22〜0.60% とし、望ましくは0.32〜0.55%とする。
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であり、鋼に必要な焼入性を付与し強度を高めるために添加する。さらに、Siは焼戻し軟化抵抗を向上させる、すなわち金属接触時の温度上昇による硬さ低下を抑制するため疲労特性の向上に有効な元素でもあるが、0.10%未満ではその効果は確保できない。一方、0.50%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇して加工性が劣化する。そこで、Siは0.10〜0.50%とし、望ましくは0.15〜0.35%とする。
Mnは、鋼の脱酸に有効な元素である。さらに、鋼の焼入性を向上させるために非常に有効な元素であり、焼入性向上により不完全焼入れ組織のない完全なマルテンサイト組織を得ることは疲労特性および靱性を向上させる効果がある。鋼に必要な焼入性を付与し、強度を高めるために、0.30%以上を添加する。しかし、1.20%を超えると靭性が低下するとともに素材の硬さが上昇して加工性が劣化する。そこで、Mnは0.30〜1.20%し、望ましくは0.50〜1.00%とする。
Pは、不可避不純物として粒界に偏析し、0.030%を超えると靭性、疲労特性を低下させる。そこで、Pは0.030%以下とする。
Sは、MnSの介在物を形成して被削性を改善する効果があるので0.005%以上添加する。しかし、0.060%を超えると冷間加工性、靭性を低下させる。そこで、Sは0.005〜0.060%とする。望ましくは、0.010〜0.035%とする。
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であり、さらにNと結合しAlNを生成するため、結晶粒粗大化の抑制に有効である。しかし、Alは多すぎると非金属介在物を生成して疲労強度が低下する。そこで、Alは0.03〜0.30%とし、望ましくは0.05%〜0.10%とするとしていた。しかしながら、表1の発明鋼のNo.E、No.HおよびNo.Iを削除したことに伴い、補正後の表1のAlの範囲に基づき、Alは0.088〜0.213%とする。
固溶Al、すなわち[Al%−(27/14)×N%]は焼入性が向上し、焼入れ時の不完全焼入れ組織を抑制する効果があるので0.020%以上とする。望ましくは0.035%以上で、より望ましくは0.050%とするとしていた。しかしながら、表1の発明鋼のNo.E、No.HおよびNo.Iを削除したことに伴い、補正後の表1の発明鋼のAlの最小値であるNo.FのAlの含有量の0.088%と同じく補正後の表1の発明鋼のNの最大値であるNo.Bの0.0099%を固溶Alの式[Al%−(27/14)×N%]に当て嵌めて得られた値である0.069%以上とする。
Nは、Alと結合してAlNを生成するため結晶粒粗大化の抑制に有効である。しかし、Nは多すぎると、固溶Al%を確保するためにAlを増量させる必要があるため、Nは0.0150%以下とし、望ましくは0.0100%以下とするとしていた。しかしながら、表1の発明鋼のNo.E、No.HおよびNo.Iを削除したことに伴い、補正後の表1のNの範囲に基づき、Nは0.0099%以下とする。
Oは、0.0020%を超えて含有すると、疲労寿命を低下させる酸化物系介在物を生成する。そこで、疲労寿命を低下させる酸化物系介在物の生成を抑制するために、Oは0.0020%以下とし、望ましくは0.0015%以下とする。
固溶Al=Al%−(27/14)×N%
から求めた値である。
また、表1の網掛け部は本発明の請求項から外れることを示している。
上記で作製した直径32mmの棒鋼を、ジョミニ一端焼入試験片に加工し、焼ならし温度870℃、焼入れ温度845℃から水冷の条件で焼入性を評価した。
上記で作製した直径20mmの棒鋼を、865℃で60分の焼ならし処理を施した後、回転曲げ疲労試験片に粗加工し、845℃で20分の水焼入れ、150℃で90分の焼戻し処理を施し、図1の通り、仕上げ加工を行って回転曲げ疲労試験片1とした。疲労強度については、回転曲げ疲労試験の1×107サイクル到達時の強度を採用した。
さらに上記で作製した直径20mmの棒鋼を、865℃で60分の焼ならし処理を施した後、シャルピー衝撃試験片に粗加工し、845℃で水焼入れ、150℃で90分の焼戻し処理を施し、図2の通り、仕上げ加工を行ってシャルピー衝撃試験片2とした。
2 シャルピー衝撃試験片
Claims (1)
- 質量%で、C:0.22〜0.60%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.30〜1.20%、P:0.030%以下、S:0.005〜0.060%、Al:0.088〜0.213%、N:0.0099%以下、O:0.0020%以下を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、これらのAlの含有量とNの含有量から求められる固溶Alの含有量が、これらのAl%からN%の27/14を減じた値において、0.069%以上を満足することを特徴とする疲労特性および靭性に優れた鋼。
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