JP5783111B2 - フォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
[A]同一又は異なる重合体中に、下記式(1)で表される構造単位(I)と、下記式
2)で表される構造単位(II)とを有し、さらにラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する重合体成分(以下、「[A]重合体成分」ともいう)、並びに
[B]酸発生体
を含有するフォトレジスト組成物である。
式(2)中、R6は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R7及びR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。R9は、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基である。但し、この脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、水酸基又はシアノ基で置換されていてもよい。)
当該フォトレジスト組成物は、上記基(a)が構造単位(I)以外の構造単位(III)に含まれていることで、[A]重合体成分の極性がより適度になり、その結果、LWR性能等が向上する。
当該フォトレジスト組成物は、上記基(a)が構造単位(I)に含まれる場合にも、[A]重合体成分の極性がより適度になり、その結果、LWR性能等が向上する。
当該フォトレジスト組成物は、上記基(a)を上記特定基とすることで、[A]重合体成分の極性がさらに適度になり、その結果、LWR性能等がさらに向上する。
[A]重合体成分における上記各構造単位の含有割合を上記特定範囲とすることで、[A]重合体成分は、剛直性及び極性をバランスよく有することができる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等をさらに向上させることができる。
(1)当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜を露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有する。
当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体成分及び[B]酸発生体を含有する。また、当該フォトレジスト組成物は、好適成分として、[C]酸拡散制御体、[D]添加剤、[E]溶媒を含有してもよく、また、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
[A]重合体成分は、同一又は異なる重合体中に、下記式(1)で表される構造単位(I)と、下記式(2)で表される構造単位(II)とを有し、さらにラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する重合体成分である。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体成分を含有することで、LWR性能、MEEF性能、DOF性能等のリソグラフィー性能に優れる。当該フォトレジスト組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば、以下のように推察することができる。すなわち、[A]重合体成分は、構造単位(I)が重合体鎖と炭素原子を共有するラクトン環を有することによりその剛直性が高まり、加えて、構造単位(II)により重合体鎖の周辺に脂環式炭化水素基の嵩高い基が配置され、かつ基(a)により、適度な極性が与えられる。これらの相乗効果により、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜中において、[B]酸発生体から生じる酸の拡散長が適度に短くなると考えられる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
ラクトン基としては、ブチロラクトン基、ノルボルナンラクトン基が好ましく、無置換ノルボルナンラクトン基、シアノ置換ノルボルナンラクトン基、無置換ブチロラクトン基がより好ましい。
環状カーボネート基としては、エチレンカーボネート基が好ましく、無置換エチレンカーボネート基がより好ましい。
スルトン基としては、ノルボルナンスルトン基が好ましく、無置換ノルボルナンスルトン基がより好ましい。
[A]重合体成分は、基(a)として上記基を有することで、[A]重合体成分の極性がさらに適度になり、その結果、LWR性能等がさらに向上する。
構造単位(I)は、上記式(1)で表される構造単位である。[A]重合体成分は、重合体鎖と炭素原子を共有する特定のラクトン構造を含む構造単位(I)を有するので、重合体鎖の剛直性が高まる。その結果、この構造単位(I)、構造単位(II)及び基(a)の相乗効果により、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
構造単位(II)は、上記式(2)で表される構造単位である。[A]重合体成分は、1価の脂環式炭化水素基を含むこの構造単位(II)を有することで、重合体鎖周辺において嵩高い基が配置されると考えられる。その結果、この構造単位(II)、構造単位(I)及び基(a)との相乗効果により、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等が向上する。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基等が挙げられ
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル紀伊、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
また、上記R9で表されるシアノ基で置換された1価の炭化水素基としては、例えば、シアノシクロペンチル基、シアノシクロヘキシル基、シアノプロピルノルボルニル基、シアノプロピルアダマンチル基等が挙げられる。
構造単位(III)は、ラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する構造単位である。[A]重合体成分は、基(a)が構造単位(I)以外の構造単位(III)に含まれていることで、その極性がより適度になる。その結果、当該フォトレジスト組成物のLWR性能等がより向上する。
[A]重合体成分は、その他の構造単位としては、例えば、親水性官能基を含む構造単位(但し、構造単位(I)、構造単位(II)又は構造単位(III)に該当するものを除く)(以下、「構造単位(IV)」ともいう)等をさらに有していてもよい。[A]重合体成分が構造単位(IV)をさらに有することで、当該フォトレジスト組成物のリソグラフィー性能をより向上させることができる。
[A]重合体成分は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
[B]酸発生体は、露光光の照射により酸を発生する物質である。当該フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の態様(以下、この態様を「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これらの両方の態様でもよい。
当該フォトレジスト組成物に含有されてもよい任意成分としては、[C]酸拡散制御体、[D]添加剤、[E]溶媒、及びその他の任意成分を挙げることができる。以下、各成分について詳述する。
当該フォトレジスト組成物は、[C]酸拡散制御体をさらに含有することが好ましい。この[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制するものである。このような[C]酸拡散制御体を配合することにより、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。当該フォトレジスト組成物における[C]酸拡散制御体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」という)でも重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
これらの中で、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジンが好ましい。
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;
トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン等のアルカノールアミン類;
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
これらの中で、スルホニウム塩化合物が好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウムサリチレート、4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム5,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエタン−1−イルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−スルホネートが好ましい。
当該フォトレジスト組成物は、[D]添加剤を配合することができる。当該フォトレジスト組成物が含有してもよい[D]添加剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの中で、γ−ブチロラクトンが好ましい。
当該フォトレジスト組成物は、通常、[E]溶媒を含有する。[E]溶媒としては、少なくとも[A]重合体成分、[B]酸発生体及びその他の成分を溶解可能な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
アニソール、ジフェニルエーテル等の芳香環含有エーテル系溶媒等が挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒等が挙げられる。
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
当該フォトレジスト組成物は、その他の任意成分として、フッ素原子含有重合体、脂環式骨格化合物、界面活性剤、増感剤等を含有してもよい。
フッ素原子含有重合体は、フッ素原子を含む重合体である。当該フォトレジスト組成物は、フッ素原子含有重合体を含有することで、形成されるレジスト膜の疎水性が向上し、液浸露光を行った場合においても物質溶出抑制に優れ、またレジスト膜と液浸液との後退接触角を十分に高くでき、高速でスキャン露光した場合に水滴が残らない等の効果を奏する。従って、当該フォトレジスト組成物の液浸露光用としての有用性が高まる。
脂環式骨格化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善する作用を示す成分である。脂環式骨格化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
界面活性剤は塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。また、市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子製)等が挙げられる。
増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを[B]酸発生体に伝達しそれにより酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該フォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を有する。増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。
当該フォトレジスト組成物は、例えば、[A]重合体成分、[B]酸発生体、必要に応じて[C]酸拡散制御体等の任意成分及び[E]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該フォトレジスト組成物は、上記混合後、例えば、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することが好ましい。当該フォトレジスト組成物の全固形分濃度としては、1質量%〜30質量%が好ましく、1.5質量%〜25質量%がより好ましい。
本発明のレジストパターンの形成方法について以下に説明する。
(1)当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、
(2)上記レジスト膜を露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう)
を有する。
本工程では、上述した当該フォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する。基板としては、シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等が挙げられる。フォトレジスト組成物の塗布方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等を用いることができる。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、20nm〜500nmがより好ましく、30nm〜300nmがさらに好ましい。フォトレジスト組成物の塗布後に、塗膜中の溶媒を揮発させるため、ソフトベーク(SB)を行うことが好ましい。SB温度としては、70℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃が好ましい。SB時間としては、5秒〜600秒が好ましく、10秒〜300秒がより好ましい。
本工程では、工程(1)で形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、所定のパターンを有するマスク、及び必要に応じて水等の液浸媒体を介して行われる。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、EUV(極端紫外線、波長13.5nm)等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等から適宜選択することができる。これらの中で、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)が好ましい。この露光後に、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、[A]重合体成分等の酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEB温度としては、フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、通常50℃〜180℃であり、60℃〜150℃が好ましく、65℃〜130℃がより好ましく、70℃〜110℃がさらに好ましい。
本工程では、工程(2)で露光されたレジスト膜を現像する。その結果、レジストパターンが形成される。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
重合体のMw及びMnは、東ソー製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、流量が1.0mL/分、溶出溶媒がテトラヒドロフラン、カラム温度が40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
重合体の13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して行った。重合体における各単量体に由来する構造単位の含有割合は、得られた重合体の13C−NMRスペクトルにおける各構造単位に対応するピークの面積比から、重合体における平均値として求めることができる。
[A]重合体成分の合成に用いた単量体を下記に示す。
化合物(M−1)25.5g(50モル%)、化合物(Ss−1)8.2g(20モル%)及び化合物(L−1)16.3g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、AIBN 3.6gをさらに溶解させて単量体溶液を調製した。50gの2−ブタノンを入れた500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応溶液を水冷して30℃以下に冷却した。1,000gのメタノール中に冷却した重合反応溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を200gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体成分(A−1)を得た(40g、収率80%)。得られた重合体成分(A−1)のMwは5,000であり、Mw/Mnは1.4であった。また、13C−NMR分析の結果、(M−1)由来の構造単位:(Ss−1)由来の構造単位:(L−1)由来の構造単位の各含有割合は、48:21:31(モル%)であった。
表1に示す種類及び使用量の各単量体化合物を用いた以外は、合成例1と同様に操作して重合体成分(A−2)〜(A−9)及び(a−1)〜(a−8)を得た。得られた各重合体のMw、Mw/Mn、収率(%)及び各重合体における各単量体に由来する構造単位の含有割合を表1に合わせて示す。
フォトレジスト組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]酸拡散制御剤、[D]添加剤及び[E]溶媒について以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート(下記式(B−1)で表される化合物)
B−2:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(下記式(B−2)で表される化合物)
B−3:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート(下記式(B−3)で表される化合物)
B−4:1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート(下記式(B−4)で表される化合物)
B−5:トリフェニルスルホニウム3−(4,7,7−トリメチル−2−オキサ−3−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2−プロパン−1−スルホネート(下記式(B−5)で表される化合物)
B−6:トリフェニルスルホニウム5−(2−ノルボルナンラクトニルオキシカルボニルシクロヘキサン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロペンタン−1−スルホネート(下記式(B−6)で表される化合物)
C−1:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(下記式(C−1)で表される化合物)
C−2:N−t−アミロキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン(下記式(C−2)で表される化合物)
C−3:トリフェニルスルホニウムサリチレート(下記式(C−3)で表される化合物)
C−4:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート(下記式(C−4)で表される化合物)
C−5:2−フェニルベンズイミダゾール(下記式(C−5)で表される化合物)
C−6:4−シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム5,6−ビス(2,2,2−トリフルオロエタン−1−イルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−スルホネート(下記式(C−6)で表される化合物)
D−1:γ−ブチロラクトン
E−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
E−2:シクロヘキサノン
[A]重合体成分としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)10質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−3)1質量部及び(C−4)3質量部、[D]添加剤としての(D−1)30質量部、並びに[E]溶媒としての(E−1)1,750質量部及び(E−2)750質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、フォトレジスト組成物(J−1)を調製した。
表2に示す種類及び量の各成分を使用した以外は実施例1と同様に操作して、フォトレジスト組成物(J−2)〜(J−9)及び(CJ−1)〜(CJ−8)を調製した。
上記実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を、下層反射防止膜(ARC66、日産化学製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、塗布/現像装置(ACT12、東京エレクトロン製)を用いて塗布した。次いで、下記表3に示すSB温度で60秒間SBを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。形成したレジスト膜上に、国際公開第2008/047678号公報の実施例1に記載の上層膜形成用組成物をスピンコートし、90℃で60秒間ベークして膜厚30nmの塗膜(上層膜)を設けたレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NSR S610C、NIKON製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、42nmライン84nmピッチのラインアンドスペース(LS)パターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、表3に示すPEB温度で60秒間PEBを行った。その後、露光されたレジスト膜を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
上記形成したレジストパターンについて下記方法に従い測定を行うことにより、各実施例及び比較例のフォトレジスト組成物を評価した。評価結果を表3に示す。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(CG4100、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。
上記レジストパターンの形成において、42nmライン84nmピッチのLSパターン形成用のマスクパターンを介する露光により、線幅42nmのラインを形成する露光量を最適露光量(Eop)とし、この最適露光量を感度(mJ/cm2)とした。感度は、40mJ/cm2以下である場合は「良好」と、40mJ/cm2を超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopにて形成された線幅42nmのラインを、パターン上部から観察し、任意の10点において線幅を測定した。線幅の測定値の分布度を3シグマ値として算出し、この値をフォトレジスト組成物のLWR(nm)性能とした。LWR性能は、2.7nm以下の場合は「良好」と、2.7nmを超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopにて、40nmライン84nmピッチ、41nmライン84nmピッチ、42nmライン84nmピッチ、43nmライン84nmピッチ、44nmライン84nmピッチの各LSパターン形成用のマスクパターンをそれぞれ介してLSパターンを形成した。マスクのラインサイズ(nm)を横軸に、各マスクパターンを用いて形成されたレジストパターンにおけるライン幅(nm)を縦軸にプロットしたときの直線の傾きを算出し、この傾きの値をMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が1に近いほど、マスク再現性が良好であることを示す。MEEF性能は、3.5以下の場合は「良好」と、3.5を超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopにて、42nmライン84nmピッチのLSパターン用マスクで解像されるパターン寸法が、マスクの設計寸法の±10%以内となる場合のフォーカスの振れ幅をDOF(nm)性能とした。DOF性能は、240nm以上の場合は「良好」と、240nm未満の場合は「不良」と評価できる。
Claims (8)
- [A]同一又は異なる重合体中に、下記式(1)で表される構造単位(I)と、下記式(2)で表される構造単位(II)とを有し、さらにラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(a)を有する重合体成分、並びに
[B]酸発生体
を含有するフォトレジスト組成物。
式(2)中、R6は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R7及びR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。R9は、炭素数3〜30の1価の脂環式炭化水素基である。但し、この脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、水酸基又はシアノ基で置換されていてもよい。) - 上記式(1)におけるR 4 及びR 5 が互いに結合してそれらが結合している炭素原子と共に酸素原子を含む基で置換された脂環式構造又は酸素原子を含む複素環構造を形成している請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
- 上記基(a)が、上記構造単位(I)以外の構造単位(III)に含まれている請求項1又は請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
- 上記基(a)が、上記構造単位(I)に含まれている請求項1又は請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
- 上記ラクトン基がノルボルナンラクトン基又はブチロラクトン基であり、上記環状カーボネート基がエチレンカーボネート基であり、上記スルトン基がノルボルナンスルトン基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
- [A]重合体成分における構造単位(I)の含有割合が5モル%以上60モル%以下であり、かつ構造単位(I)及び構造単位(II)の含有割合の合計が20モル%以上85モル%以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
- (1)請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物を用い、レジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜を露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有するレジストパターン形成方法。
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