JP5783074B2 - 回転機械の潤滑構造 - Google Patents

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本発明は、回転機械の潤滑構造に関し、特にロータの軸心部に油路を有する軸心冷却方式でハイブリッドトランスアクスル等の車両用動力伝達装置に好適な回転機械の潤滑構造に関する。
ロータの軸心部に冷却油路を有する軸心冷却式の回転機械が広く使用されているが、冷却油路を通る潤滑油を軸受等の潤滑および冷却に供するようにした潤滑構造を備える回転機械が、例えば車両用の動力伝達装置に多用されている。また、内燃機関と電動機(ここにいう電動機は、電動機および発電機でもよいし、発電電動機でもよい)を併用するハイブリッドトランスアクスル等の車両用動力伝達装置においては、多数の回転要素がケース内に高密度に実装されるとともに電動機や発電機等からの伝熱量が多くなるので、断面積の小さい冷却油路でも軸受の潤滑および冷却性能に優れた潤滑構造が要求される。
このような回転機械の潤滑構造としては、例えばロータ軸の軸心方向に延びる油路を軸受部の近傍で下流側になるほど拡径させることで、油路内の潤滑油の流れを潤滑油の遠心力による油路内周壁面への付勢によって促進するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、モータロータが装着された連結部材によって出力軸と入力軸とを連結するとともに、入力軸と連結部材とのスプライン結合部にモータハウジングの上部から供給される油の一部を流入させ、連結部材と出力部材の間の油路を通して出力軸の軸受側に潤滑油を供給できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、軸受を収納する軸受支持ブラケット内に油路を開口させる一方、ラビリンスパッキンを通り軸受側に流入する空気流によってその軸受支持ブラケットを冷却するもの(例えば、特許文献3参照)や、軸受箱内には冷媒室を形成するとともに軸受に支持されたロータ鉄心の軸端部に軸心方向に延びる穴を形成して、冷媒により軸受付近を冷却するもの(例えば、特許文献4参照)が知られている。
特開2006−300101号公報 特開2009−071905号公報 特開2008−061468号公報 特開2007−336646号公報
しかしながら、上述のような従来の回転機械の潤滑構造にあっては、ロータ軸の端部を支持する軸受の内輪(インナーレース)とロータ軸との嵌合状態が、比較的ゆるい嵌合状態であるか、比較的きつい嵌合状態であっても温度変化によって比較的ゆるい嵌合状態になる場合が多かった。そのため、軸受のインナーレースとロータ軸との嵌合部において、インナーレースの内周面とロータ軸の外周面とが互いに接触しつつ微小すべりを繰返して擦り減る、いわゆるフレッチング摩耗等の表面損傷を生じ易いという問題があった。
また、ロータ軸の軸心部に他の回転要素の軸端部が挿入されて冷却油路が狭くなる場合や、軸受サイズの制限から冷却油路断面積が小さくならざるを得ない場合に、冷却油路を通る潤滑油の流量が十分に確保できないために軸受の潤滑および冷却性能が十分に得られないという問題があった。
そこで、本発明は、ロータ軸と軸受の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷を抑えるとともに潤滑油の流量を増加させて軸受の潤滑および冷却性能を高めることのできる回転機械の潤滑構造を提供するものである。
本発明に係る回転機械の潤滑構造は、上記課題を解決するために、(1)軸心部に油路が形成されたロータ軸を有し該ロータ軸の軸線回りに回転するロータと、前記ロータ軸を支持する軸受と、前記ロータ軸の前記軸受側の一端部を前記軸受を介して回転自在に支持する筒状支持部材と、を備えた回転機械に装備され、前記軸受に前記油路を通して潤滑油を給送可能な回転機械の潤滑構造であって、前記ロータ軸は、前記軸受側の一端部に、該一端部の端面上で開くとともに前記油路から前記ロータ軸の外周面側に向かって延びる凹状の切欠き面が形成され、前記切欠き面の底部は、少なくとも前記ロータ軸の外周面上で前記ロータ軸の軸線方向における前記軸受の配置領域内に位置するよう構成され、前記筒状支持部材は、前記油路に接続する内空間から外周面側に延びるよう貫通する貫通穴が形成されていることを特徴とする。
したがって、ロータ軸の軸心部に形成された油路からロータ軸の外周面側に向かって延びる凹状の切欠き面の近傍で、潤滑油がロータ軸の回転時における遠心力によって放射外方に付勢され、油路の下流端部における潤滑油の流出が助長されることで、油路内を流れる潤滑油の下流側への流れが十分に助長され、軸受の潤滑および冷却性能が十分に高められる。しかも、切欠き面の底部が少なくともロータ軸の外周面上でロータ軸の軸線方向における軸受の配置領域内に位置しているので、油路の下流端部から流出した潤滑油が、軸受とロータ軸との嵌合面間に浸透し易くなり、ロータ軸と軸受の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷が抑えられることになる。さらに、油路の下流端部から流出した潤滑油の放射外方向への流れによって潤滑油の近傍の空気に貫通穴を通る放射外方向への流れを生じさせて、油路の下流端部の近傍の空気圧を低下させることで、潤滑油の流出を助長することができる。また、軸受近傍に焼付きや摩耗を誘発し易い異物が混入しても、その異物を潤滑油と共に貫通穴を通して内空間から排出させることができ、信頼性を向上させることができる。
本発明の回転機械の潤滑構造においては、(2)前記切欠き面が、前記ロータ軸の前記軸受側の一端部に前記油路から前記ロータ軸の放射外方向に延びる少なくとも1本の油溝を形成していることが望ましい。
これにより、油路の下流端部から流出した潤滑油の流動方向を油溝によって放射外方向に方向付けることができる。なお、油溝の方向は、半径方向に限定されるものではなく、回転方向後方側に傾斜したり、傾斜および湾曲したりしてもよい。
上記(2)の構成を有する回転機械の潤滑構造においては、(3)前記油溝は、前記ロータ軸の軸線方向で一定の深さを有していることが好ましい。油溝の断面積を容易に一定にできるとともに、加工も容易になるからである。ただし、油溝の溝深さは、半径方向位置に応じて変化させることもできる。
本発明の回転機械の潤滑構造においては、(4)前記切欠き面の底部が前記ロータ軸の軸線方向に対し直交しているのがよい。
この場合、ロータ軸の半径方向における切欠き面の全域で、切欠き面の底部が軸線方向における軸受の配置領域内に位置することになり、遠心力による潤滑油の放射外方向への付勢力が増すことで、軸受とロータ軸との嵌合面間に潤滑油が確実に浸透可能となる。
本発明の回転機械の潤滑構造においては、(5)前記一端部の端面が、前記ロータ軸の軸線方向における前記軸受の配置領域より外方に位置していることが好ましい。
これにより、油路の下流端部から流出した潤滑油をロータ軸の軸線方向における軸受の端面側に確実に供給可能となり、軸受の潤滑および冷却性能を高めることができる。
本発明の回転機械の潤滑構造においては、(6)前記筒状支持部材の前記内空間が前記軸線方向の一方側で閉止されるとともに、前記軸線方向の他方側で前記ロータ軸の前記軸受側の一端部および前記軸受によって閉塞されていてもよい。
この場合、油路の下流端部の近傍の空気圧を確実に低下させることができ、油路からの潤滑油の流出をより助長することができる。
本発明によれば、ロータの軸心部の油路からロータ軸の外周面側に向かって延びる凹状の切欠き面の近傍で潤滑油を遠心力によって放射外方に付勢し、油路の下流端部における潤滑油の流出を助長することができる。さらに、切欠き面の底部を少なくともロータ軸の外周面上で軸線方向における軸受配置領域内に位置させ、軸受とロータ軸との嵌合面間への潤滑油の浸透を助長しているので、ロータ軸と軸受の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷を抑えるとともに潤滑油の流量を増加させて軸受の潤滑および冷却性能を高めることのできる回転機械の潤滑構造を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る車両用ハイブリッドトランスアクスルの電動機の冷却構造を示す概略断面図である。 図1のII−II矢視断面図である。 本発明の第1実施形態に係る車両用ハイブリッドトランスアクスルの電動機のロータ軸の軸受近傍を示す要部拡大断面図である。 図3のIV−IV矢視断面図である。 本発明の第2実施形態に係る車両用ハイブリッドトランスアクスルの電動機の冷却構造を示すその要部拡大断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る車両用ハイブリッドトランスアクスルの電動機の冷却構造を示している。なお、このハイブリッドトランスアクスルは、図示しないエンジン(内燃機関)に一体に締結されトランスミッションケースの一部を構成するケースと、そのエンジンの出力軸に連結される入力軸と、左右の駆動車輪軸に連結される図示しない一対の出力軸とを有しており、そのケース内に少なくとも1つの電動機を内蔵するとともに、公知の動力分割機構および減速機構を内蔵するものである。
すなわち、このハイブリッドトランスアクスルは、例えば、動力分割機構および減速機構となる一対の遊星歯車機構を内蔵するとともに、それらのリングギヤを一体化した外筒部分にカウンタドライブギヤを有する公知の伝動機構と、動力分割機構側の入力要素に結合する第1発電電動機と、減速機構側の入力要素に結合する第2発電電動機と、カウンタドライブギヤに噛合するカウンタドリブンギヤと、カウンタドリブンギヤからの動力をディファレンシャルリングギヤに入力しその動力を左右の駆動軸に出力するディファレンシャル機構とを備えている。このようなギヤトレーンの構成自体は、公知のものと同様であるので、ここでは、このトランスアクスルに採用される電動機(回転機械)の潤滑構造について説明する。
図1および図2に示す電動機10は、前述の第1発電電動機または第2発電電動機に相当するもの、例えば主としてモータ作動する第2発電電動機に相当するものであり、ケース11内に収納されている。
この電動機10は、3相コイルが巻回されたステータ12と、リラクタンストルクを利用可能にした内部磁石型のロータ13とを有しており、ステータ12が図外のインバータから交流電力の供給を受けて回転磁界を形成するとき、その回転磁界によってロータ13が回転するようになっている。
ステータ12は、ケース11に図示しない複数の締結ボルトで締結されており、例えばそれぞれ複数の電磁鋼板を積層してなる略円環状のステータコア21(図中では複数の分割コアからなる)にステータコイル22を巻回したものである。
ロータ13は、例えば複数の電磁鋼板が積層されてなるロータ本体31に複数の永久磁石31pを等角度間隔にそれぞれ略V字型に埋設したものであり、ロータ本体31の中心部にロータ軸32を有している。なお、このような電動機の全体構成は、公知のものと同様である。
前述のディファレンシャルリングギヤ、カウンタドリブンギヤおよびカウンタドライブギヤは、ケース11の内底部側から潤滑油をかき上げて図示しないオイルキャッチタンクに貯留させるようになっており、そのキャッチタンクから少なくともステータ12の近傍に潤滑油(潤滑および冷却用のオイル)を供給できるようになっている。
ロータ13のロータ軸32は、軸受41を介してケース11に回転自在に支持されており、その軸心部にロータ13の回転中心軸線方向に延びる油路33を有している。この油路33は、例えば同一径の円形断面の真直穴からなる。軸受41は、例えば内輪41aおよび外輪41bの間に複数の転動要素、例えば鋼球41cを介在させるものである。
油路33には、前述のオイルキャッチタンクから、あるいは、図1に示すようにオイルポンプ51から、潤滑油が供給されるようになっている。ここで、オイルポンプ51は、ケース11を含むトランスミッションケースの最下部に装着された図示しないオイルパン内あるいはトランスミッションケース内のいずれかの室の内底部であるオイル貯留部15から汲み上げた潤滑油を、前述の動力分割機構や減速機構等に供給するとともに、油路33内に供給できるようになっている。このオイルポンプ51は、例えば電動式で、図示しない電子制御ユニットによって制御されるものであるが、機械式のオイルポンプで構成されてもよい。また、潤滑油がオイルポンプ51から油路33内に供給されず、前述のオイルキャッチタンクのみから油路33内に潤滑油が流入するものであってもよい。
電動機10は、このように、軸心部に油路33が形成されたロータ軸32を有し、そのロータ軸32の軸線回りに回転するロータ13と、ロータ軸32を支持する軸受41と、を備えた回転機械となっている。そして、電動機10のロータ軸32を支持する軸受41には、オイルポンプ51(あるいはオイルキャッチタンク)から油路33を通して潤滑油が給送されるようになっている。
図3および図4に示すように、ロータ軸32の軸受41側の一端部32aには、複数、例えば4つの溝状の切欠き34が等角度間隔(この場合、90度間隔)で放射状に形成されている。
各切欠き34の内壁面34a(凹状の切欠き面)は、ロータ軸32の一端部32aの端面32b上で外側(図1、3中の右側)に向かって開く凹状をなすとともに、油路33からロータ軸32の外周面32c側に向かって放射外方向に延びている。
この切欠き34の内奥面となる内壁面34aの底部34bは、少なくともロータ軸32の外周面32c上でロータ軸32の軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置しており、切欠き34はその深さ方向(ロータ軸32の軸方向)の一部で軸受41の配置領域Lxと重複している。
また、複数の切欠き34の内壁面34aは、ロータ軸32の軸受41側の一端部32aに油路33の下流端部33aからロータ軸32の放射外方向に延びる複数本(少なくとも1本)の油溝を形成しており、これら油溝としての切欠き34は、ロータ軸32の軸線方向の一定の溝深さDg、ロータ軸32の半径方向の溝長さLg、および、ロータ軸32の外周面32cの接線方向の溝幅Wgを有している。
さらに、切欠き34の内壁面34aの底部34bは、ロータ軸32の軸線方向に対し直交しており、切欠き34は、その長さ方向の全域でロータ軸32の軸線方向における配置領域Lx内に位置している。
また、ロータ軸32の一端部32aの端面32bは、ロータ軸32の軸線方向における軸受41の配置領域Lxより外方(図3中で右側)に位置しており、油溝としての切欠き34の溝深さDgの範囲内に、軸受41の外側の一端面41eが位置している。
なお、油溝としての切欠き34の溝深さDgおよび溝幅Wgは、図3中ではそれぞれ一定の深さおよび幅となっているが、いずれも、ロータ軸32の半径方向の位置に応じて変化する深さまたは幅となってもよい。
また、切欠き34の内壁面34aの底部34bは、ロータ軸32の軸線方向に対し直交する方向から外れてもよい。また、油溝としての切欠き34の方向は、必ずしも半径方向に限定されるものではなく、回転方向後方側に傾斜したり、傾斜および湾曲したりしてもよい。
さらに、切欠き34は、その長さ方向の全域でロータ軸32の軸線方向における配置領域Lx内に位置している必要はなく、ロータ軸32の外周面32cおよびその近傍域においてのみ配置領域Lx内に位置してもよい。
一方、ケース11には、ロータ軸32の軸受41側の一端部32aを軸受41を介して回転自在に支持する円筒状の筒状支持部材16が設けられている。
この筒状支持部材16には、油路33に接続するその内空間16aからその外周面16b側に延びるよう貫通する貫通穴16hが形成されている。
ここで、筒状支持部材16の内空間16aは、その軸線方向の一方側でケース11によって閉止されるとともに、軸線方向の他方側でロータ軸32の軸受41側の一端部32aおよび軸受41によって閉塞されている。筒状支持部材16は、ケース11に回転自在に支持された他の回転要素の回転軸の端部によって構成されてもよい。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態の電動機10を内蔵するハイブリッドトランスアクスルにおいては、エンジンと電動機10のうち少なくとも1つが原動機として作動することで、車両駆動力が発生し、あるいは第1、第2の発電電動機のうち一方となる電動機10の発電機として作動し、図外のバッテリに蓄電する。
例えば、発進時および軽負荷時には、必要な動力が規定値(充電状態により変化する)以下であれば、第2発電電動機である電動機10が走行駆動モータとして作動する電気自動車走行モードとなるように、ハイブリッドトランスアクスルの統括制御用のECUとエンジンECUとの協調制御が実行される。また、必要動力が規定値を超えると、エンジンによる駆動に移行するが、エンジン駆動による低速高負荷時には、第1発電電動機が発電機として作動するとともに、第2発電電動機がアシスト(動力補助)用のモータとして作動する。
このようなハイブリッドトランスアクスルの運転状態において、電動機10のロータ13が回転するときには、オイルポンプ51から吐出される潤滑油が油路33内に供給され、ロータ13が軸心冷却されるとともに、油路33の下流端部33aから流出した潤滑油によって軸受41が潤滑および冷却される。
この状態においては、ロータ軸32の軸心部に形成された油路33からロータ軸32の外周面32c側に向かって延びる切欠き34の内壁面34aの近傍で、潤滑油がロータ軸32の回転時における遠心力によって放射外方に付勢されることになる。そして、これにより、油路33の下流端部33aにおける潤滑油の流出が助長され、油路33内を流れる潤滑油の下流側への流れが十分に助長され、潤滑油の流出流量が確保されることで、軸受41の潤滑および冷却性能が十分に高められることになる。
しかも、切欠き34の内壁面34aの底部34bが少なくともロータ軸32の外周面32c上でロータ軸32の軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置していることから、油路33の下流端部33aから流出した潤滑油が、軸受41の内輪41aとロータ軸32の外周面32cとの間(嵌合面間)の微小隙間に浸透し易くなる。その結果、ロータ軸32と軸受41の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷が抑えられることになる。
また、本実施形態では、切欠き34の内壁面34aが、ロータ軸32の軸受41側の一端部32aに油路33からロータ軸32の放射外方向に延びる少なくとも1本の油溝を形成しているので、油路33の下流端部から流出した潤滑油の流動方向をその油溝によって放射外方向に確実に方向付けることができる。
また、油溝としての各切欠き34は、ロータ軸32の軸線方向で一定の深さを有しているので、各油溝の断面積を容易に一定にできるとともに、溝加工も容易になる。
さらに、切欠き34の内壁面34aの底部34bがロータ軸32の軸線方向に対し直交しているので、ロータ軸32の半径方向における切欠き34の内壁面34aの全域で、切欠き34の底部34bが軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置することになり、遠心力による潤滑油の放射外方向への付勢力が十分に大きくなる。したがって、軸受41とロータ軸32との嵌合面間に潤滑油が確実に浸透し得ることとなる。
しかも、本実施形態では、ロータ軸32の一端部32aの端面32bが、ロータ軸32の軸線方向における軸受41の配置領域Lxより外方に位置しているので、油路33の下流端部33aから流出した潤滑油をロータ軸32の軸線方向における軸受41の一端面41e側に確実に供給可能となる。したがって、軸受41の潤滑および冷却性能を確実に高めることができる。
加えて、本実施形態では、ロータ軸32の一端部32aを軸受41を介して回転自在に支持する筒状支持部材16に、油路33に接続する内空間16aから外周面16b側に延びるよう貫通する貫通穴16hが形成されている。したがって、油路33の下流端部33aから流出した潤滑油の放射外方向への流れによって、潤滑油の近傍の空気に貫通穴16hを通る放射外方向への流れを生じさせることができる。その結果、油路33の下流端部の近傍の空気圧を低下させることで、潤滑油の流出を助長することができる。そればかりか、軸受41近傍に焼付きや摩耗を誘発し易い異物が混入しても、その異物を潤滑油と共に貫通穴16hを通して内空間16aから排出させることができ、軸受41の信頼性および電動機10の信頼性を向上させることができる。
また、筒状支持部材16の内空間16aはロータ軸32の軸線方向の一方側で閉止されるとともに、その軸線方向の他方側で軸受41側のロータ軸32の一端部32aおよび軸受41によって閉塞されているので、油路33の下流端部33aの近傍の空気圧を確実に低下させることができ、油路33からの潤滑油の流出をより助長することができる。
このように、本実施形態においては、ロータ13の軸心部の油路33からロータ軸32の外周面32c側に向かって延びる溝状の切欠き34の内壁面34aの近傍で潤滑油を遠心力によって放射外方に付勢し、油路33の下流端部33aにおける潤滑油の流出を助長する。さらに、切欠き34の内壁面34aの底部34bを少なくともロータ軸32の外周面32c上で軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置させ、軸受41とロータ軸32との嵌合面間への潤滑油の浸透を助長する。したがって、ロータ軸32と軸受41の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷を抑えるとともに、潤滑油の流量を増加させて軸受41の潤滑および冷却性能を高めることのできる回転機械の潤滑構造を提供することができる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る車両用ハイブリッドトランスアクスルの電動機の冷却構造を示している。なお、本実施形態は、ロータ軸心部の構成が上述の第1実施形態とは相違するものの、他の構成については上述の第1実施形態と類似するものである。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と同一または類似する構成については図1〜図4に示した対応する構成と同一の符号を用い、第1実施形態との相違点についてのみ詳述する。
図5に示すように、ロータ軸32の内部には、エンジンからの動力をロータ13の他端側に配置されたギヤポンプなどの機械式のオイルポンプ51に入力させることができる中空のポンプ駆動軸61が設けられている。また、ロータ軸32の他端部およびその近傍のポンプ駆動軸61の端部とオイルポンプ51の入力軸との間には、ロータ軸32およびポンプ駆動軸61のうち高速回転する方(一方が停止した場合は回転中の回転軸)を択一的に選択する機能を有する公知のポンプ入力選択機構(例えば、特開平10−89446号公報参照)が介装されている。
ポンプ駆動軸61には、軸方向の複数個所に半径方向に貫通する複数の油孔61aが形成されており、ロータ軸32の内方に、ポンプ駆動軸61によって内外に区画された内側の第1の油路66および外側の第2の油路67が形成されている。
そして、オイルポンプ51からロータ軸32の内方の第1の油路66および外側の第2の油路67のうち少なくとも一方に潤滑油が吐出され、第1の油路66および外側の第2の油路67に潤滑油が充満するようになっている。
また、第1実施形態と同様に、ロータ軸32の軸受41側の一端部32aには、複数、例えば4つの溝状の切欠き34が等角度間隔で放射状に形成されている。
各切欠き34の内壁面34a(凹状の切欠き面)は、ロータ軸32の一端部32aの端面32b上で外側に向かって開く凹状をなすとともに、油路33からロータ軸32の外周面32c側に向かって放射外方向に延びている。
この切欠き34の内奥面となる内壁面34aの底部34bは、少なくともロータ軸32の外周面32c上でロータ軸32の軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置しており、切欠き34はその深さ方向(ロータ軸32の軸方向)の一部で軸受41の配置領域Lxと重複している。また、切欠き34の内壁面34aの底部34bは、ロータ軸32の軸線方向に対し直交しており、切欠き34は、その長さ方向の全域でロータ軸32の軸線方向における配置領域Lx内に位置している。
本実施形態においても、ロータ13の軸心部の第2の油路67からロータ軸32の外周面32c側に向かって延びる溝状の切欠き34の内壁面34aの近傍で潤滑油を遠心力によって放射外方に付勢し、油路33の下流端部33aにおける潤滑油の流出を助長することになる。
また、切欠き34の内壁面34aの底部34bを少なくともロータ軸32の外周面32c上で軸線方向における軸受41の配置領域Lx内に位置させ、軸受41とロータ軸32との嵌合面間への潤滑油の浸透を助長することができる。
したがって、ロータ軸32と軸受41の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷を抑えるとともに、潤滑油の流量を増加させて軸受41の潤滑および冷却性能を高めることのできる回転機械の潤滑構造を提供することができる。
なお、上述の各実施形態では、電動機10のロータ軸32の軸受41を潤滑および冷却する潤滑構造としたが、本発明は、電動機以外の回転機械の回転軸を支持する軸受の潤滑および冷却に適用できることはいうまでない。もっとも、本発明は、ハイブリッドトランスアクスル等のように発熱部に近接して回転要素が高密度に実装される回転機械中の軸受の潤滑および冷却に効果的である。
以上説明したように、本発明は、ロータの軸心部の油路からロータ軸の外周面側に向かって延びる凹状の切欠き面の近傍で潤滑油を遠心力によって放射外方に付勢し、油路の下流端部における潤滑油の流出を助長するとともに、切欠き面の底部を少なくともロータ軸の外周面上で軸線方向における軸受配置領域内に位置させ、軸受とロータ軸との嵌合面間への潤滑油の浸透を助長する。したがって、ロータ軸と軸受の嵌合部におけるフレッチング摩耗等の表面損傷を抑えるとともに潤滑油の流量を増加させて軸受の潤滑および冷却性能を高めることのできる回転機械の潤滑構造を提供することができる。このような本発明は、ロータの軸心部に油路を有する軸心冷却方式で、ハイブリッドトランスアクスル等の車両用動力伝達装置に好適な回転機械の潤滑構造全般に有用である。
10 電動機(回転機械)
11 ケース
12 ステータ
13 ロータ
15 オイル貯留部
16 筒状支持部材
16a 内空間
16b 外周面
16h 貫通穴
21 ステータコア
22 ステータコイル
31 ロータ本体
32 ロータ軸
32a 一端部
32b 端面
32c 外周面
33 油路
33a 下流端部
34 切欠き
34a 内壁面(凹状の切欠き面)
34b 底部(凹状の切欠き面の底部)
41 軸受
41a 内輪
41b 外輪
41c 鋼球(転動要素)
41e 一端面
51 オイルポンプ
61 ポンプ駆動軸
61a 油孔
66 第1の油路
67 第2の油路(油路)

Claims (6)

  1. 軸心部に油路が形成されたロータ軸を有し該ロータ軸の軸線回りに回転するロータと、前記ロータ軸を支持する軸受と、前記ロータ軸の前記軸受側の一端部を前記軸受を介して回転自在に支持する筒状支持部材と、を備えた回転機械に装備され、前記軸受に前記油路を通して潤滑油を給送可能な回転機械の潤滑構造であって、
    前記ロータ軸は、前記軸受側の一端部に、該一端部の端面上で開くとともに前記油路から前記ロータ軸の外周面側に向かって延びる凹状の切欠き面が形成され、
    前記切欠き面の底部は、少なくとも前記ロータ軸の外周面上で前記ロータ軸の軸線方向における前記軸受の配置領域内に位置するよう構成され、
    前記筒状支持部材は、前記油路に接続する内空間から外周面側に延びるよう貫通する貫通穴が形成されていることを特徴とする回転機械の潤滑構造。
  2. 前記切欠き面が、前記ロータ軸の前記軸受側の一端部に前記油路から前記ロータ軸の放射外方向に延びる少なくとも1本の油溝を形成していることを特徴とする請求項1に記載の回転機械の潤滑構造。
  3. 前記油溝は、前記ロータ軸の軸線方向で一定の深さを有していることを特徴とする請求項2に記載の回転機械の潤滑構造。
  4. 前記切欠き面の底部が前記ロータ軸の軸線方向に対し直交していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の回転機械の潤滑構造。
  5. 前記一端部の端面が、前記ロータ軸の軸線方向における前記軸受の配置領域より外方に位置していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1の請求項に記載の回転機械の潤滑構造。
  6. 前記筒状支持部材は、前記内空間が前記軸線方向の一方側で閉止されるとともに、前記軸線方向の他方側で前記ロータ軸の前記軸受側の一端部および前記軸受によって閉塞されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の回転機械の潤滑構造。
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