JP5779431B2 - 光素子固定材用組成物、その使用方法、及び光素子封止体 - Google Patents
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Description
ところが、上述のように、近年における光素子の高輝度化に伴い、光素子固定材用組成物の硬化物が、より高いエネルギーの光や光素子から発生するより高温の熱に長時間さらされ、劣化してクラックが発生したり、剥離したりするという問題が生じた。
しかしながら、特許文献1〜4に記載されたポリシルセスキオキサン化合物を主成分とする光素子固定材用組成物の硬化物であっても、十分な接着力を保ちつつ、耐熱性及び透明性を得るのは困難な場合があった。
しかしながら、これらの組成物を用いる場合であっても、暴露時間が長期に及ぶと、経時変化に伴う十分な耐光劣化性を満足することができなかったり、接着力が低下したりするという問題があった。
従って、耐熱性、透明性により優れ、高い接着力を有する硬化物が得られる光素子固定材用組成物の開発が切望されている。
式(2):R3Si(OR4)q(X2)3−q(式中、R3は、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表し、qは0〜3の整数を表す。)で表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び
式(3):Si(OR5)r(X3)4−r(式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X3はハロゲン原子を表し、rは0〜4の整数を表す。)で表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物であって、
前記シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とシラン化合物(3)とを、モル比で[シラン化合物(1)+シラン化合物(2)]:[シラン化合物(3)]=100:15〜100:85となる割合で含有するもの
を縮合させて得られるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、
(C)硬化剤、並びに
(D)硬化触媒
を含有する光素子固定材用組成物。
〔3〕さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の光素子固定材用組成物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光素子固定材用組成物を、光素子用封止剤として使用する方法。
〔5〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光素子固定材用組成物を、光素子用接着剤として使用する方法。
〔6〕光素子が、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光素子固定材用組成物の硬化物によって封止されてなる光素子封止体。
本発明の光素子固定材用組成物は、特に、光素子用接着剤、及び光素子用封止剤として好適に使用することができる。
本発明の光素子封止体は、本発明の光素子固定剤用組成物の硬化物によって封止されてなるため、耐熱性に優れる。
1)光素子固定材用組成物
本発明の光素子固定材用組成物は、
(A)式(1):CH(R1)(X0)−D−Si(OR2)p(X1)3−pで表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、
式(2):R3Si(OR4)q(X2)3−qで表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び、式(3):Si(OR5)r(X3)4−rで表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物であって、
前記シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とシラン化合物(3)とを、モル比で[シラン化合物(1)+シラン化合物(2)]:[シラン化合物(3)]=100:15〜100:85となる割合で含有するもの
を縮合させて得られるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、
(C)硬化剤、並びに
(D)硬化触媒
を含有することを特徴とする。
本発明の光素子固定材用組成物は、(A)成分として、特定のシラン化合物共重合体(以下、「シラン化合物共重合体(A)」ということがある。)を含有する。
本発明に用いるシラン化合物共重合体(A)は、式(1):CH(R1)(X0)−D−Si(OR2)p(X1)3−pで表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、式(2):R3Si(OR4)q(X2)3−qで表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び、式(3):Si(OR5)r(X3)4−rで表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られるものである。
シラン化合物(1)は、式(1):CH(R1)(X0)−D−Si(OR2)p(X1)3−pで表される化合物である。シラン化合物(1)を用いることにより、硬化後においても透明性、接着力が良好なシラン化合物共重合体を得ることができる。
R1のC1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
連結基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアルキニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい(アルキレン基、アルケニレン基、又はアルキニレン基)と置換基を有していてもよいアリーレン基との組み合わせ等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルケニレン基のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等のC2〜10のアルキレン基が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキニレン基のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキレン基又はアリーレン基の任意の位置に結合していてよく、同一若しくは相異なって複数個が結合していてもよい。
pは0〜3の整数を表す。
pが2以上のとき、OR2同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−p)が2以上のとき、X1同士は同一であっても相異なっていてもよい。
これらのシラン化合物(1)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
シラン化合物(2)は、式(2):R3Si(OR4)q(X2)3−qで表される化合物である。
式中、R3は、C1〜20アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。R3のC1〜20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
X2は、前記X1と同様のハロゲン原子を表す。
qは0〜3のいずれかの整数を表す。
qが2以上のとき、OR4同士は同一であっても相異なっていてもよい。また、(3−q)が2以上のとき、X2同士は同一であっても相異なっていてもよい。
メチルクロロジメトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、n−プロピルクロロジメトキシシラン、n−プロピルジクロロメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン、n−プロピルトリクロロシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;
フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、フェニルクロロメトキシエトキシシラン、フェニルクロロジエトキシシラン、フェニルジクロロエトキシシラン等の置換基を有していてもよいフェニルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
フェニルトリクロロシラン、フェニルトリブロモシラン、4−メトキシフェニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、2−エトキシフェニルトリクロロシラン、2−クロロフェニルトリクロロシラン等の置換基を有していてもよいフェニルトリハロゲノシラン化合物;が挙げられる。
これらのシラン化合物(2)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
シラン化合物(3)は、式(3):Si(OR5)r(X3)4−rで表される化合物である。シラン化合物(3)を用いることにより、高い硬度を有する硬化物を得ることができる。
X3は、X1と同様のハロゲン原子を表す。
rは0〜4のいずれかの整数を表す。
rが2以上のとき、OR5は同一であっても相異なっていてもよい。また、(4−r)が2以上のとき、X3は同一であっても相異なっていてもよい。
トリメトキシクロロシラン、トリメトキシブロモシラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシブロモシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリn−プロピルブロモシラン等の式(3)においてrが3であるシラン化合物;
ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジn−プロポキシジクロロシラン、ジイソプロポキシジクロロシラン、ジt−ブトキシジクロロシラン、ジメトキシジブロモシラン、ジエトキシジブロモシラン、ジn−プロポキシジブロモシラン、ジイソプロポキシジブロモシラン、ジt−ブトキシジブロモシラン等の式(3)においてrが2であるシラン化合物;
テトラフルオロシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラアイオドシラン、トリクロロブロモシラン、ジクロロジブロモシラン、クロロトリブロモシラン等の式(3)においてrが0であるシラン化合物;等が挙げられる。
シラン化合物共重合体(A)は、前記シラン化合物(1)の少なくとも一種、シラン化合物(2)の少なくとも一種、及びシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物を縮合させて得られる。
酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、トリフルロロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;等が挙げられる。
また、シラン化合物共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0好ましくは1.1〜2.0の範囲である。
シラン化合物共重合体(A)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の光素子固定材用組成物は、(B)成分としてエポキシ化合物を含有する。
本発明の光素子固定材用組成物は、(B)成分を含有するため、耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式エポキシ化合物としては、分子内に脂環式構造を有し、エポキシ環を2個以上有する化合物が挙げられる。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルキン構造などが挙げられる。
本発明の光素子固定材用組成物は、(C)成分として、硬化剤(以下、「硬化剤(C)」ということがある。)を含む。本発明の光素子固定材用組成物は(C)成分を含有するため、耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
硬化剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式酸無水物は、分子内に、環式構造を有する酸無水物である。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造、シクロアルキン構造などが挙げられる。
脂環式酸無水物としては、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物等が挙げられる。
これらの中でも、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましく、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物が特に好ましい。
本発明の光素子固定材用組成物は、(D)成分として、硬化触媒(以下、「硬化触媒(D)」ということがある。)を含む。本発明の光素子固定材用組成物は、前記(B)、(C)成分に加えて(D)成分を含むため、より耐熱性に優れる光素子固定材を得ることができる。
これらは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式構造に置換するカルボキシル基の数や置換位置は特に限定されない。
他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、希釈剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン類;等が挙げられる。
紫外線吸収剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)100重量部に対して、通常0〜10重量部である。
光安定剤としては、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
光安定剤の使用量は、シラン化合物共重合体(A)100重量部に対して、通常0〜10重量部である。
希釈剤としては、例えば、グリセリンジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、アルキレンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド等が挙げられる。
これらの希釈剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
よって、本発明の光素子固定材用組成物は、後述するように、光素子用接着剤、光素子用封止剤として好適に用いることができる。
また、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は、100℃という高温に置かれた場合であっても、高い接着力を有する。本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の100℃における接着力は、通常50N/2mm□以上、好ましくは55N/2mm□以上である。
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物の100℃における接着力は、25℃における接着力の50%以上であることが好ましい。
また、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物が長期にわたって耐熱性に優れることは、例えば、高温下に長時間置かれた場合であっても、透明性が大きく低下しないことから確認することができる。
本発明の光素子固定材用組成物の硬化物は、150℃の加熱下に300時間置かれた後の波長450nmでの光透過率が、加熱前の光透過率(初期透過率)に比して、85%以上のものであることが好ましい。
本発明の第2は、本発明の光素子固定材用組成物を、光素子用接着剤又は光素子用封止剤として使用する方法である。
光素子としては、LED、LD等の発光素子、受光素子、複合光素子、光集積回路等が挙げられる。
本発明の光素子固定材用組成物は、光素子用接着剤として好適に使用することができる。
光素子を接着するための主な基板材料としては、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラス等のガラス類;セラミックス;鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン及びこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等の金属類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂;等が挙げられる。
本発明の光素子固定材用組成物は、光素子封止体の封止剤として好適に用いることができる。
本発明の光素子固定材用組成物を光素子用封止剤として使用する方法としては、例えば、該組成物を所望の形状に成形して、光素子を内包した成形体を得た後、そのものを加熱硬化させることにより光素子封止体を製造する方法等が挙げられる。
本発明の光素子固定材用組成物を所望の形状に成形する方法としては、特に限定されるものではなく、通常のトランスファー成形法や、注型法等の公知のモールド法を採用できる。
本発明の光素子封止体は、光素子が、本発明の光素子固定材用組成物の硬化物によって封止されてなるものである。
本発明の光素子封止体は、例えば、本発明の、光素子固定材用組成物を光素子用封止材として使用する方法により製造することができる。
製造例で得たシラン化合物共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置及び条件にて測定した。
カラム:TSKgelGMHXL→TSKgelGMHXL→TSKgel2000HXL
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
製造例で得たシラン化合物共重合体のIRスペクトルは、以下の装置を使用して測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計(Spectrum100、パーキンエルマー社製)
500mlのナス型フラスコに、シラン化合物(1)として3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン(アヅマックス社製)(以下、「AcTMS」と記載する。)14.22g(64mmol)、シラン化合物(2)としてフェニルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「PhTMS」と記載する。)19.04g(96mmol)、シラン化合物(3)としてテトラエトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「TEOS」と記載する。)13.33g(64mmol)、並びに、溶媒としてトルエン224ml及び蒸留水112mlを仕込んだ後、全容を攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.40g(4.08mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、6.67g(32mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A2)を19.8g得た。
シラン化合物共重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は3000、分子量分布(Mw/Mn)は1.50であった。
Si−Ph:699cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、20.00g(96mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A3)を22.9g得た。
シラン化合物共重合体(A3)の重量平均分子量(Mw)は3200、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。
Si−Ph:699cm−1,742cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1737cm−1
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSの使用量を、26.66g(128mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A4)を24.5g得た。
シラン化合物共重合体(A4)の重量平均分子量(Mw)は3500、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。
Si−Ph:700cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
製造例1において、シラン化合物(1)としてのAcTMSを使用せず、シラン化合物(2)としてのPhTMSの使用量を31.73g(160mmol)とした以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A5)を20.8g得た。
シラン化合物共重合体(A5)の重量平均分子量(Mw)は2800、分子量分布(Mw/Mn)は1.38であった。
Si−Ph:697cm−1,740cm−1,Si−O:1133cm−1
製造例1において、シラン化合物(1)としてのAcTMSの使用量を35.55g(160mmol)とし、シラン化合物(2)としてのPhTMSを使用しない以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A6)を24.1g得た。
シラン化合物共重合体(A6)の重量平均分子量(Mw)は2700、分子量分布(Mw/Mn)は1.43であった。
Si−O:1105cm−1,−CO:1739cm−1
製造例1において、シラン化合物(3)としてのTEOSを使用しない以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A7)を18.8g得た。
シラン化合物共重合体(A7)の重量平均分子量(Mw)は2600、分子量分布(Mw/Mn)は1.71であった。
Si−Ph:699cm−1,741cm−1,Si−O:1132cm−1,−CO:1738cm−1
製造例1において、シラン化合物(2)としてのPhTMSの使用量を15.87g(80mmol)とし、シラン化合物(3)としてのTEOSを使用せず、さらに、シラン化合物(1)のAcTMS14.22g(64mmol)の代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(下記第1表中、「GlyTMS」と記載する。)を18.89g(80mmol)用いた以外は、製造例1と同様にして、シラン化合物共重合体(A8)を19.0g得た。
シラン化合物共重合体(A8)の重量平均分子量(Mw)は2800、分子量分布(Mw/Mn)は1.82であった。
Si−Ph:700cm−1,742cm−1,Si−O:1132cm−1,エポキシ基:1254cm−1
500mlのナス型フラスコに、シラン化合物(1)として2−シアノエチルトリメトキシシラン(アズマックス社製)(以下、「CNTMS」と記載する。)3.75g(21.4mmol)、シラン化合物(2)としてPhTMS 9.9g(50mmol)、シラン化合物(3)としてTEOS 5.94g(28.5mmol)、並びに、溶媒としてアセトン120ml、及び、蒸留水30mlを仕込んだ後、全容を攪拌しながら、触媒としてリン酸(関東化学社製)0.15g(1.5mmol)を加え、室温でさらに16時間攪拌を継続した。
シラン化合物重合体(A9)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.62であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,−CN:2259cm−1
製造例9において、CNTMSの使用量を、4.4g(25mmol)とし、PhTMSの使用量を、11.6g(58.3mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A10)15.2gを得た。
シラン化合物重合体(A10)の重量平均分子量(Mw)は1,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.45であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,−CN:2259cm−1
製造例9において、CNTMSの使用量を1.9g(10.7mmol)とし、PhTMSの使用量を12.0g(60.7mmol)とし、TEOSの使用量を6.0g(28.6mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A11)14.9gを得た。
シラン化合物重合体(A11)の重量平均分子量(Mw)は2,000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.39であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,−CN:2259cm−1
製造例9において、CNTMSの使用量を2.2g(12.5mmol)とし、PhTMSの使用量を14.0g(70.8mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A12)14.9gを得た。
シラン化合物重合体(A12)の重量平均分子量(Mw)は1,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.57であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,−CN:2259cm−1
製造例9において、シラン化合物(1)としてのCNTMSの代わりに、クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業社製)(以下、「ClTMS」と記載する。)4.25g(21.4mmol)を使用し、PhTMSの使用量を9.9g(50mmol)とし、TEOSの使用量を5.94g(28.5mmol)とした以外は、製造例9と同様にして、シラン化合物重合体(A13)15.0gを得た。
シラン化合物重合体(A13)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.98であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,C−Cl:1445cm−1
製造例13において、ClTMSの使用量を4.96g(25mmol)とし、PhTMSの使用量を11.6g(58.3mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A14)14.6gを得た。
シラン化合物重合体(A14)の重量平均分子量(Mw)は2,200、分子量分布(Mw/Mn)は、1.46であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,C−Cl:1445cm−1
製造例13において、ClTMSの使用量を2.12g(10.7mmol)とし、PhTMSの使用量を12.0g(60.7mmol)とし、TEOSの使用量を6.0g(28.6mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A15)15.3gを得た。
シラン化合物重合体(A15)の重量平均分子量(Mw)は2,100、分子量分布(Mw/Mn)は、1.35であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,C−Cl:1445cm−1
製造例13において、ClTMSの使用量を2.48g(12.5mmol)とし、PhTMSの使用量を14.0g(70.8mmol)とし、TEOSの使用量を3.5g(16.7mmol)とした以外は、製造例13と同様にして、シラン化合物重合体(A16)15.4gを得た。
シラン化合物重合体(A16)の重量平均分子量(Mw)は1,900、分子量分布(Mw/Mn)は、1.86であった。
Si−Ph:698cm−1,740cm−1,Si−O:1132cm−1,C−Cl:1445cm−1
製造例1で得たシラン化合物共重合体(A1)10gに、エポキシ化合物(B)として3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(シグマアルドリッチ社製)0.15g、硬化剤(C)として、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成社製)0.135g、及び、硬化触媒(D)として、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−酸無水物(三菱瓦斯化学社製)0.015gを加え、全容を十分に混合、脱泡(120℃、真空)し、光素子固定材用組成物(1)を得た。
シラン化合物共重合体(A)の種類、並びに、シラン化合物共重合体(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び硬化触媒(D)の使用割合を、下記第1表に示すものとし、実施例1と同様にして、光素子固定材用組成物(2)〜(23)を得た。
なお、実施例5においては、酸化防止剤として、リン系酸化防止剤(IRGAFOS168(チバ・ジャパン社製)0.003gを添加した。
シラン化合物共重合体(A)の種類、並びに、シラン化合物共重合体(A)、エポキシ化合物(B)、硬化剤(C)、及び硬化触媒(D)の使用割合を、下記第1表に示すものとし、実施例1と同様にして、光素子固定材用組成物(1r)〜(9r)を得た。
2mm角のシリコンチップのミラー面に、光素子固定材用組成物のそれぞれを厚さが約2μmになるよう塗布し、塗布面を被着体(銀メッキ銅板)の上に載せ圧着した。その後、180℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、予め所定温度(25℃、100℃)に加熱したボンドテスター(シリーズ4000、デイジ社製)の測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から50μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方法(せん断方向)に応力をかけ、25℃及び100℃における、試験片と被着体との接着力を測定した(N/2mm□)。測定結果を下記第2表に示す。
光素子固定材用組成物のそれぞれを、長さ25mm、幅20mm、厚さ1mmとなるように鋳型に流し込み、140℃で6時間加熱して硬化させ、試験片をそれぞれ作製した。得られた試験片につき、分光光度計(MPC−3100、島津製作所社製)にて、波長450nmの初期透過率(%)を測定した。測定結果を下記第2表に示す。
初期透過率を測定した各試験片を150℃のオーブンに300時間投入し、再度、波長450nmの透過率(%)を測定した。測定結果を下記第2表に示す。参考値として、オーブンに100時間投入後の透過率の測定結果も、下記第2表に併せて示す。
シラン化合物(3)を用いなかった比較例5の光素子固定剤用組成物5rは、接着性、初期透明性、耐熱性(透明性)のいずれも劣っていた。
シラン化合物(1)を使用しない比較例6の6r、シラン化合物(2)をしない比較例7の7rも接着性に劣っていた。
Claims (5)
- (A)式(1):CH(R1)(X0)−D−Si(OR2)p(X1)3−p〔式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X0は、ハロゲン原子、シアノ基又は式:OGで表される基(式中、Gは水酸基の保護基を表す。)を表し、Dは単結合又は連結基を表す。R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X1はハロゲン原子を表し、pは0〜3の整数を表す。〕で表されるシラン化合物(1)の少なくとも一種、
式(2):R3Si(OR4)q(X2)3−q(式中、R3は、炭素数1〜20のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X2はハロゲン原子を表し、qは0〜3の整数を表す。)で表されるシラン化合物(2)の少なくとも一種、及び
式(3):Si(OR5)r(X3)4−r(式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X3はハロゲン原子を表し、rは0〜4の整数を表す。)で表されるシラン化合物(3)の少なくとも一種を含むシラン化合物の混合物であって、
前記シラン化合物(1)とシラン化合物(2)とシラン化合物(3)とを、モル比で[シラン化合物(1)+シラン化合物(2)]:[シラン化合物(3)]=100:17〜100:85となる割合で含有するもの
を縮合させて得られるシラン化合物共重合体、
(B)エポキシ化合物、
(C)3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、及び、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物から選ばれる硬化剤
(D)カルボキシル基を有する脂環式酸無水物
を含有し、
前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分の含有割合が、(A)と〔(B)+(C)+(D)〕との質量比で、(A):〔(B)+(C)+(D)〕=100:2〜100:55であることを特徴とする光素子固定材用組成物。 - さらに、酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の光素子固定材用組成物。
- 請求項1又は2に記載の光素子固定材用組成物を、光素子用封止剤として使用する方法。
- 請求項1又は2に記載の光素子固定材用組成物を、光素子用接着剤として使用する方法。
- 光素子が、請求項1又は2に記載の光素子固定材用組成物の硬化物によって封止されてなる光素子封止体。
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