JP5779286B2 - 正極活物質及びそれを用いたリチウムイオン電池 - Google Patents

正極活物質及びそれを用いたリチウムイオン電池 Download PDF

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Description

本発明は正極活物質及びそれを用いたリチウムイオン電池に関し、特には、正極活物質の改良によって放電電位を高め、電池のエネルギー密度の向上を図るものである。
従来、リチウムイオン電池用の正極活物質として、リチウムイオンに対してインターカレーションホストとなり得るLiCoOやLiNiO等の酸化物系正極活物質が用いられている。しかし、これらの酸化物系正極活物質における充放電は、中心金属であるCoやNiの3価/4価のレドックス反応を利用しているため、充電時に化学的にCoやNiが不安定な4価の状態となり、熱安定性に著しく劣るという問題を生じていた。
この問題を解決する正極活物質として、LiCoPOやLiFePO等のオリビン型結晶構造を有するリン酸塩も正極活物質が開発されている。この正極活物質は、CoやNiの3価/4価のレドックス反応の代わりに2価/3価のレドックス反応を用いることによって熱安定性が改善されており、さらには、中心金属の周りに電気陰性度の大きなヘテロ元素のポリアニオンであるリン酸基が配置されているため、放電電位が高くなり、エネルギー密度が上記酸化物系正極活物質よりも高くなる。
そして、さらには、これらLiCoPOやLiFePO等のオリビン型結晶構造を有するリン酸塩のエネルギー密度をさらに向上させるために、リン酸ポリアニオンPOの酸素の一部を酸素より電気陰性度の大きなフッ素で置換し、放電電位をさらに高めたLiCoPOFやLiNiPOF等のオリビンフッ化物系正極活物質が提案されている(特許文献1)。
特開2003−229126号公報 特表2005−522009号公報 特表2006−516172号公報 特表2006−523368号公報 特表2009−158240号公報
しかし、上記特許文献1に記載のLiCoPOFは、放電電位は高いものの、一定の電流で放電した場合途中で正極電位が急速に低下し、充放電電気量が小さいという問題があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、放電電圧が高く、充放電電気量が大きいオリビンフッ化物系正極活物質を提供することを解決すべき課題としている。
本発明者らは、LiCoPOFやLiNiPOFの充放電容量をさらに向上させるため、他の金属元素をドーパントとして添加することについて鋭意研究を行った。その結果、ドーパントとしてMg,Al,Ti,V,Mn,Fe,Cu、Zn、Zr、Nb及びMoの添加が効果的であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用正極活物質は、Li2-xMPOF(ただしMはCo又はNiのいずれかを示す。また、x=2〜0)のMの一部がMと異なるMg,Al,Ti,V,Mn,Fe,Cu、Zn、Zr、Nb及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上によって置換されていることを特徴とする。
ドーパントとしてはMg,Al,Ti,V,Mn,Fe,Cu、Zn、Zr、Nb及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく、その中でもMg,Ti,Mn,Zn及びNbからなる群より選択される1種又は2種以上が好ましい。また、ドーピングする元素の添加量については特に制限はなく、目的とする正極活物質の性質等に応じて適宜決定すればよいが、通常、化学量論比で0.001〜50%、望ましくは0.1〜20%、更に望ましくは1〜10%程度である。
本発明のリチウムイオン電池用正極活物質を用いることにより、充放電容量の大きいリチウムイオン電池用正極とすることができる。
また、本発明のリチウムイオン電池用正極活物質を用いることにより、充放電容量の大きいリチウムイオン電池とすることができる。
実施例のリチウムイオン電池用正極活の作製に用いたLiNiPOFのXRDチャートである。 実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極の定電流放電における放電電気量と正極電位との関係を示すグラフである。 実施例2のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例3のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例4のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例5のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例6のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例7のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例8のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例9のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例10のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例11のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例12のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 実施例13のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極のサイクリックボルタモグラム測定(1)の測定結果を示すグラフである。 SB:EC:DMC=50:10:40(容積比)におけるサイクリックボルタモグラム測定(2)の測定結果を示すグラフである。 SB:EC:DMC=10:10:80(容積比)におけるサイクリックボルタモグラム測定(2)の測定結果を示すグラフである。 SB:EC:DMC=10:5:85(容積比)におけるサイクリックボルタモグラム測定(2)の測定結果を示すグラフである。 実施例11のリチウムイオン電池用正極活物質を用いた電極の充放電特性である。
以下、本発明を具体化した実施例について詳細に述べる。
(実施例1)
実施例1では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Co0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4
すなわち、先ず、酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸コバルト(Co(CH3COO)・4H2O)と、ニオブ(V)エトキシド(Nb(OC2H5)5)と、硝酸マグネシウムと、硝酸マンガンと、チタンイソプロポキシド(Ti(i-OC3H7)4)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)のLi源、Co源、Nb源、Mg源、Mn源、Ti源及びPO源が、化学量論比で1:0.97:0.01:0.01:0.005:0.005:1となるように秤量した後、めのう乳鉢を用いてよく混合した。そしてこの混合物を大気中500℃で12時間の仮焼を行なった後、再度粉砕混合し、780℃で48時間の本焼成を行った。こうして得られた焼成物をと化学量論比で等量のフッ化リチウム(LiF)を添加し、白金るつぼに入れた後、石英真空封管中で780℃で72時間の焼成を行い、正極活物質としてのLi2Co0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fを得た。この正極活物質のXRDパターンを図1に示す。
<リチウムイオン電池用正極の作製>
上述のようにして得られたLi2Co0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fと、カーボン(グラッシーカーボン粉砕品)とをめのう乳鉢で混合した後、さらにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を加えて混合し、プレス成形により円盤状のペレットとした。これらの混合割合はLi2Co0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4F:カーボン:PTFE=60:35:5(重量比)とした。このペレットを2枚のPtメッシュに挟み、ホットプレス法(プレス条件:140℃、2分、500kg/cm2)によってホットプレスすることにより、リチウムイオン電池用正極を得た。
<リチウムイオン電池用負極の作製>
リチウム薄板を上記リチウムイオン電池用正極と同形の円盤状に打ち抜いたものをリチウムイオン電池用負極とした。
<リチウムイオン電池の組み立て>
リチウムイオン電池の組み立てには、SUS製コインセル2032型(SUS316L製)を用い、正極、セパレータ及び負極を順に重ね入れ、電解液を浸した後、かしめ機でかしめて密封し、リチウムイオン電池とした。セパレータはイオン透過性で絶縁性の高いポリプロピレン系特殊紙を用いた。また、電解液はセバコニトリル:エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=50::25:25の混合有機溶媒にLiBFを1mol/Lの濃度となるように溶解させた。
(比較例1)
比較例1では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2CoPO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)
)と、酢酸コバルト(Co(CH3COO)・4H2O)、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)のLi源、Co源、PO源が、化学量論比で1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した(ドーパントとしてのNb源、Mg源、Mn源、Ti源は使用しなかった)。その後の処理については実施例1と同様にして正極活物質を作製し、リチウムイオン電池を組み立てた。
−充放電特性の評価−
以上のようにして得られた実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池について、定電流における充放電特性を測定した。すなわち、実施例1及び比較例1のリチウムイオン電池について、0.01Cの放電速度で放電し、放電電気量と正極電位との関係を求めた。その結果、図2に示すように、実施例1では放電電気量が123mAh/gまで正極電位の大きな低下は認められなかったのに対し、比較例1では放電電気量が82mAh/g付近から正極電位の低下が顕著となった。この結果から、実施例1のリチウムイオン電池は比較例1のリチウムイオン電池と比較して、ドーピングしたNb、Mn、Mg及びTi元素の影響により放電電気量が1.5倍程度まで顕著な電圧低下を起こさず、エネルギー密度が高くなることが分かった。
(実施例2)
実施例2では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4
すなわち、先ず、酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、ニオブ(V)エトキシド(Nb(OC2H5)5)と、硝酸マグネシウムと、硝酸マンガンと、チタンイソプロポキシド(Ti(i-OC3H7)4)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)のLi源、Ni源、Nb源、Mg源、Mn源、Ti源、PO源が、化学量論比で1:0.97:0.01:0.01:0.005:0.005:1となるように秤量した後、めのう乳鉢を用いてよく混合する。そしてこの混合物を大気中500℃で12時間の仮焼を行なった後、再度粉砕混合し、780℃で48時間の本焼成を行った。こうして得られた焼成物をと化学量論比で等量のフッ化リチウム(LiF)を添加し、白金るつぼに入れた後、石英真空封管中で710℃で72時間の焼成を行い、正極活物質としてのLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fを得た。
<リチウムイオン電池用正極の作製>
上述のようにして得られたLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fをめのう乳鉢に入れ、その上にAu板(厚さ0.5mm)を載せ、さらにその上にLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fをふりかけた後、乳棒で強く押し付けてLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4FとAu板とを圧着させることにより、リチウムイオン電池用正極を得た。
(実施例3)
実施例3では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.99Zn0.01PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、炭酸亜鉛(ZnCO3)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)のLi源、Ni源、Zn源、PO4源が、化学量論比で1:0.99:0.01:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例4)
実施例4では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.99Mg0.01PO4
すなわち、酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、硝酸マグネシウムと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)のLi源、Ni源、Mg源、PO源が、化学量論比で1:0.99:0.01:1となるように調製した。その他については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例5〜8)
実施例5〜8では、Li2NiPO4Fに対してNb、Ti、Mn及びMgを以下の割合でドーピングした正極活物質を調製した。
実施例5 Li2Ni0.95Nb0.03Ti0.01Mn0.005Mg0.005PO4
実施例6 Li2Ni0..95Nb0.01Ti0.03Mn0.005Mg0.005PO4
実施例7 Li2Ni0.955Nb0.01Ti0.01Mn0.02Mg0.005PO4
実施例8 Li2Ni0.955Nb0.01Ti0.01Mn0.005Mg0.02PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、ニオブ(V)エトキシド(Nb(OC2H5)5)と、チタンイソプロポキシド(Ti(i-OC3H7)4)と、硝酸マンガンと、硝酸マグネシウムと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Nb源、Ti源、Mn源、Mg源及びPO源が、上記化学量論比となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例9)
実施例9では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.99Ti0.01PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、チタンイソプロポキシド(Ti(i-OC3H7)4)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Nb源、Ti源及びPO源が、化学量論比で2:0.99:0.01:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例10)
実施例10では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.99Nb0.01PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、ニオブ(V)エトキシド(Nb(OC2H5)5)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Nb源、Ti源、Mn源、Mg源及びPO源が、化学量論比で1:0.99:0.01:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例11)
実施例11では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Ni0.98Co0.02PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、酢酸コバルト水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Co源、及びPO源が、化学量論比で1:0.98:0.02:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例12)
実施例12では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Co0.75Ni0.24Mg0.01PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸コバルト水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、硝酸マグネシウムと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Co源、Mg源及びPO源が、化学量論比で1:0.98:0.02:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
(実施例13)
実施例13では次の化学組成からなる正極活物質を調製した。
Li2Co0.50Ni0.49Mg0.01PO4
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸コバルト水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)と、酢酸ニッケル水和物(Ni(CH3COO)2・4H2O)と、硝酸マグネシウムと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Co源、Mg源及びPO源が、化学量論比で1:0.98:0.02:1となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
−評 価−
<サイクリックボルタモグラム測定(1)>
サイクリックボルタモグラム測定(1)では、上記のようにして調製した実施例2〜13のリチウムイオン電池用正極について、以下の条件によりサイクリックボルタモグラム測定を行った。
電解液はセバコニトリル:エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=50:25:25の混合有機溶媒にLiBFを1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを用いた。ガラスセル中の電解液に実施例のリチウムイオン電池用正極を浸漬し、対極及び参照極として各々Li金属を用い、電位の掃引速度は100mV/秒(ただし、実施例7〜13では10mV/秒)とし、参照電極に対して3.0〜6.0V(ただし、実施例5〜13では3.0〜5.5V)の範囲で電位掃引を行った。
その結果、実施例2のLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fを正極活物質として用いたリチウムイオン電池用正極では、図3に示すように、Li/Li+参照電極に対して5V付近にLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fの酸化還元に基づく明確な酸化還元ピークが観察された。なお、5Vの位置に現れる小さな酸化電流ピークは最初の掃引においてのみ現われ、2回目以降はほぼ消失した。この酸化電流ピークはAu電極についても同様の位置に酸化電流ピークが現れることから、Auに起因するピークと考えられる。
また、実施例3のLi2Ni0.99Zn0.01PO4Fを正極活物質として用いたリチウムイオン電池用正極、及び実施例4のLi2Ni0.99Mg0.01PO4Fを正極活物質として用いたリチウムイオン電池用正極においても、図4及び図5に示すように、実施例2の場合と同様、5V付近に正極活物質の酸化還元に基づく明確な酸化還元ピークが観察された。
また、実施例5〜13の正極活物質を用いたリチウムイオン電池用正極においても、図6〜14に示すように、Li/Li+参照電極に対して5.3V付近に酸化還元に基づく明確な酸化還元ピークが観察された。以上の結果から、実施例5〜13の正極活物質は、実施例1〜4と同様、5.3Vの前後で円滑な酸化還元反応を示し、過電圧もそれほど大きくは無く、優れた充放電特性を示すことが示された。
以上の結果から、Li2NiPO4FのNiの一部がMg,Ti,Mn,Co及びNbからなる群より選択される1種又は2種以上によって置換されている正極活物質は、円滑な充放電が可能であって、放電時の電位も高いことから、従来にない高電圧電池になることが分かった。
<サイクリックボルタモグラム測定(2)>
サイクリックボルタモグラム測定(2)では、実施例2のLi2Ni0.97Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fを正極活物質として用いたリチウムイオン電池用正極について、セバコニトリル(SB)とエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を次に示す3種類の割合で測定した。その他の測定条件についてはサイクリックボルタモグラム測定(1)と同様であり、説明を省略する。
混合割合(容積比)
SB:EC:DMC=50:10:40
SB:EC:DMC=10:10:80
SB:EC:DMC=10:5:85
サイクリックボルタモグラム測定(2)の結果を図15〜17に示す。図15〜17及び図3から、セバコニトリル:エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)の混合割合(容積比)を50:10:40、50:10:40、10:5:85及び50:25:25と変化させても、サイクリックボルタモグラムはそれほど変化せず、ほぼ同じ電位で酸化還元電流が観測された。以上の結果、少なくともこれらの混合割合の範囲内で、Li2Ni0.98Nb0.01Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4Fは、円滑な充放電が可能であって、放電時の電位も高いことから、従来にない高電圧電池になることが分かった。
−充放電特性の評価−
実施例11の正極活物質を用いたリチウムイオン電池について、定電流における放電特性を測定した。すなわち、実施例11のリチウムイオン電池用正極について、39μAの定電流で参照電極に対して5.5Vとなるまで充電し、19.5μAの定電流で参照電極に対して3Vとなるまで放電させた。その結果、その結果、図18に示すように、放電電位が4.8〜5.3Vでプラトーを有する高電圧正極であることが確認できた。平均の放電電位は約5Vになると推定される。
(実施例14〜23)
実施例14〜23では、Li2CoPO4Fに対してNb、Ti、Mn及びMgを以下の割合でドーピングした正極活物質を調製した。
すなわち、正極活物質の原料として酢酸リチウム水和物(LiCH3COO・2H2O)と、酢酸コバルト水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)と、ニオブ(V)エトキシド(Nb(OC2H5)5)と、チタンイソプロポキシド(Ti(i-OC3H7)4)と、硝酸マンガンと、硝酸マグネシウムと、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)とからなるLi源、Ni源、Nb源、Ti源、Mn源、Mg源及びPO源が、下記化学量論比となるように秤量し、めのう乳鉢を用いてよく混合した。その後の処理については実施例2と同様にして、正極活物質を作製し、リチウムイオン電池用正極を作製した。
実施例14 Li2Co0.99Mg0.01PO4
実施例15 Li2Co0.98Mg0.02PO4
実施例16 Li2Co0.99Zn0.01PO4
実施例17 Li2Co0.99Ti0.01PO4
実施例18 Li2Co0.99Mn0.01PO4
実施例19 Li2Co0.98Mn0.02PO4
実施例20 Li2Co0.96Nb0.02Mg0.01Mn0.005Ti0.005PO4
実施例21 Li2Co0.96Nb0.01Mg0.02Mn0.005Ti0.005PO4
実施例22 Li2Co0.955Nb0.01Mg0.01Mn0.01Ti0.005PO4
実施例23 Li2Co0.955Nb0.01Mg0.01Mn0.01Ti0.005PO4
−充放電特性の評価−
以上のようにして得られた実施例14〜23のリチウムイオン電池について、0.01Cの放電速度で放電し、放電電気量と正極電位との関係を求めた。実施例14〜23についての結果を、比較例1及び実施例1の結果とともに表1に示す。
Figure 0005779286
表1に示すように、実施例14〜23では放電電気量が100mAh/gを超えているのに対し、比較例1では放電電気量が82mAh/gと小さく、正極電位の低下が顕著となった。この結果から、実施例14〜23のリチウムイオン電池は比較例1のリチウムイオン電池と比較して、ドーピングしたNb、Mn、Mg及びTi元素の影響により放電電気量が増大し、エネルギー密度が高くなることが分かった。
本発明のリチウムイオン電池用正極活物質は、リチウムイオン電池に適用される。ここに、リチウムイオン電池は電解液、正極、負極、セパレータ及びケースを備えてなる。
(電解液)
電解液はLi塩(電解質)と有機溶媒とを含んでいる。
Li塩には、Liイオン電池用の一般的なLi塩を用いることができる。例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiBF(四フッ化ホウ酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiBETI(リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)又はこれらの2種以上を用いることができる。
本発明の正極活物質は酸化還元電位が高いため、LiPF、及び/又はLiBFを使用することが好ましい。また、LiTFSIやLiTFSやLiBETIを用いる場合、LiPF又はLiBFを添加することが好ましい。
有機溶媒も通常のリチウムイオン電池に用いられる一般的なものである環状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル及び鎖状炭酸エステルを単独で、あるいは組み合わせたものでは、充電時に有機溶媒が高電位において変質するため、好ましくない。このため、ニトリル化合物を有機溶媒として用いることが好ましい。ここで、ニトリル化合物としては、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を挙げることができる。
鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリルNC(CHCN、グルタロニトリルNC(CHCN、アジポニトリルNC(CHCN、セバコニトリルNC(CHCN、ドデカンジニトリルNC(CH10CNなどのような直鎖状のジニトリル化合物の他、2−メチルグルタロニトリルNCCH(CH)CHCHCN等のように分枝を有していても良い。これらの鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物は、炭素数は特に限定されないが20以下であることが好ましい。更に好ましくは7〜12である。
鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物としては、オキシジプロピオニトリルNCCHCH−O−CHCHCNや、3−メトキシプロピオニトリルCH−O−CHCHCN等が挙げられる。これらの鎖式エーテルニトリル化合物は、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
シアノ酢酸エステルとしてはシアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸プロピル、シアノ酢酸ブチル等が挙げられる。これらのシアノ酢酸エステルは、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
これらニトリル化合物は電解液において電位窓を特に正方向に広げる作用を奏する。
電位窓を広げる作用の観点からジニトリル化合物が好ましい。中でも、セバコニトリルの採用が更に好ましい。
ただし、ニトリル化合物は粘度が高いので、上述の鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及び/又は環状カルボン酸エステルと併用することが好ましい。更に好ましくはニトリル化合物と鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルとを併用する。鎖状炭酸エステルとしてはジメチルカーボネートを採用することができ、環状炭酸エステルとしてはエチレンカーボネートを採用することができる。
この場合、有機溶媒全体に占めるニトリル化合物の配合割合は1〜90容量%とすることが好ましい。更に好ましくは5〜70容量%であり、更に更に好ましくは、10〜50容量%である。
Li塩の濃度は0.1mol/L以上、望ましくは1mol/L以上であって、飽和状態よりも低い濃度とする。例えば、Li塩の濃度が0.1mol/L未満であると、Liイオンによるイオン伝導が極端に小さくなり、電解液の電気抵抗が極端に高くなるので好ましくない。他方、飽和状態を超えると、温度等の環境変化によって溶解しているLi塩が析出するので好ましくない。
(正極)
正極は正極活物質と集電体とを備える。
(正極活物質)
正極活物質とは「負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウムが挿入/離脱され、それに伴って酸化/還元が行われる物質」をいう。
本発明において、正極活物質としてはLi2-xMPOF(ただしMはCo又はNiのいずれかを示す。また、0≦x≦2)のMの一部がMと異なるMg, Al, Ti, V, Mn, Fe, Cu、Zn、Zr, Nb及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上によって置換されているものを用いる。
MがNiのとき、正極活物質はそれ自身の及び/又はその表面皮膜の導電性が小さいので、これを集電体へ単に担持させてなるものではリチウムイオン電池の正極として機能しない場合がある。かかる正極活物質は金等の導電薄膜へハンマー等で物理的に打ち込み、電池の正極を形成することができる。物理的な打ち込みの方法として、正極活物質粉体をサンドブラストのように固体のまま直接金属板に吹き付けるエアロゾルデポジションもしくはエアロガスデポジション等を採用することもできる。
(正極用集電体)
正極用集電体とは正極活物質を担持する導電性の基板である。
正極の集電体の成形材料は、充電時において安定であることが要求される。特に、酸化還元電位の高いオリビン型結晶構造を有するリン酸塩系及びオリビンフッ化物系の正極活物質を用いるときには、耐食性に優れた素材を使用することが好ましい。
例えば、電解質としてLiPF、LiBFを使用する場合、SUS304、SUS316、SUS316L、Ni、Al、Ti等を用いることができるが、使用する正極活物質の動作電位を考慮し、適宜選択することが好ましい。例えば、電解質としてLiPFを用いる場合は、Li/Li+電極に対して6Vでも使用することができるが、電解質としてLiBFを用いる場合、SUS304はLi/Li+電極に対し5.8V以下で充放電可能な場合のみ用いることができる。また、電解質としてLiTFSIを使用する場合、正極集電体表面に耐食性皮膜を形成させるべく、LiPFを共存させることが好ましい。LiBETI及びLiTFSもLiTFSIの場合と同様である。
また、Al等の導電金属材料へ導電性DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を周知の方法で被覆したものを集電体として用いることもできる。電解質がLiBFやLiPFなど、容易にフッ化物皮膜を形成するようなリチウム塩の場合は、アルミニウム上へ厚いフッ化皮膜が形成し、耐食性は向上するものの、電子伝導性が低下し、ひいてはオーミック過電圧増加に伴う、高出力化が阻害されることとなる。Al等の導電金属材料へ導電性DLCを被覆すれば、フッ化物皮膜は導電性DLCの欠陥部分の極わずかな面積でのみ発生するだけである。このため、高電圧化しても電子伝導性の低下は無視できる程度となり、懸念されている高電圧化による出力低下は防ぐことが可能となる。
ここで、導電性ダイヤモンドライクカーボンとは、ダイヤモンド結合(炭素同士のSP混成軌道結合)とグラファイト結合(炭素同士のSP混成軌道結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造をとるカーボンのうち、導電性が1000Ωcm以下のものをいう。ただし、アモルファス構造以外に、部分的にグラファイト構造からなる結晶構造(すなわちSP混成軌道結合からなる六方晶系結晶構造)からなる相を有し、これにより導電性が発揮されるものも含まれる。グラファイトとダイヤモンドの中間の性質を有するダイヤモンドライクカーボンは、成膜時にダイヤモンドライクカーボンを構成する炭素原子のSP混成軌道結合とSP混成軌道結合の比率を調整することで、導電性を調節することができる。
勿論、上記耐食性導電性金属材料を導電性DLCで被覆してもよい。
集電体の形状及び構造は、正極活物質や電池の構造に応じて、任意に設計可能である。
(正極の前処理)
リチウムイオン電池用正極は、リチウムイオン電池に組み込む前に、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩が溶解した前処理用電解液中に正電極を浸漬する浸漬処理工程を行い、さらに電極に正電圧を付与する正電圧処理工程を行なう。こうして前処理された電極は、ニトリル化合物を全く含まない電解液や、ニトリル化合物の添加量の少ない電解液を用いたリチウムイオン電池に用いても、電位窓が広く、高い電位においても電解液を分解し難くなる(特願2009−180007号参照)。このような広い電位窓の電極となる理由は、電極上に窒素を成分として含む耐食性の皮膜が形成されるためであると推測される。
(負極)
負極は負極活物質と集電体とを備える。
(負極活物質)
負極活物質とは「正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウムが挿入/離脱され、それに伴って酸化/還元が行われる物質」をいう。
負極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン等の種々の炭素材料やチタン酸リチウム(LiTi12)、HTi1225、HTi13、Feなどが挙げられる。また、これらを適宜混合した複合体も挙げることができる。さらには、Si微粒子やSi薄膜、これらのSiがSi−Ni、Si−Cu、Si−Nb、Si−Zn、Si−Sn等のSi系合金となった微粒子や薄膜が挙げられる。さらには、SiO酸化物、Si−SiO複合体、Si−SiO−カーボンなどの複合体等を挙げることができる。
(負極用集電体)
負極用の集電体は汎用的な導電性金属材料、Cu、Al、Ni、Ti、SUS304、SUS316等で形成することができる。
但し、電解液にニトリル化合物を用いたとき(他の有機溶剤との併用を含む)には、電解液中のLi塩に応じて適宜選択する必要がある。すなわち、電解質としてLiPF、LiBFを使用する場合、SUS304、316、316L、Ni、Al、Tiの使用が可能となる。ただし、使用する負極活物質の動作電位に応じて、適宜選択する必要がある。負極活物質としてカーボン系やSi系を使用する場合において、電解質としてLiBFを使用した場合は、Cu以外のAl、Ni、Ti、SUS304、SUS316等からなる集電体を使用することができる。負極活物質としてチタン酸リチウムやFe系の化合物を用いた場合は、Cuを含む上記材料の全てが適用可能である。一方、電解質としてLiPF使用時はAl、Ni及びTiが好ましく、SUS316、SUS316L及びCuは好ましくない。また、電解質としてLiTFSIや、LiBETI、やLiTFSを使用する場合、Ni、Ti、Al、Cu、SUS304、316及び316Lの何れも使用することができる。
(正極用電子伝導部材)
正極活物質には導電性の小さいものがある。従って、正極活物質と集電体との間に導電性の電子伝導部材を介在させて、両者の間に十分な電子伝導パスを確保することが好ましい。
ここで電子伝導部材は正極活物質と集電体との間に電子伝導パスを形成できればその形態は特に限定されるものではなく、例えばアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト粉、ダイヤモンドライクカーボン、グラッシーカーボン等の導電性粉体(導電助剤)を用いることができる。ダイヤモンドライクカーボン及びグラッシーカーボンは、カーボンブラックやグラファイトよりもはるかに広い電位窓を有しており、高電位を付与した場合の耐食性に優れているため、好適に用いることができる。また、これらの導電助剤に金属微粒子が担持されていることも好ましい。金属微粒子としては、例えばPt、Au、Ni等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、これらの合金であっても良い。
電子伝導材料として、正極活物質を被覆する導電性皮膜(DLC膜等)、正極活物質を埋入させた導電性薄膜(金の薄膜等)を用いることができる。
特に、LiNiPOF系の正極活物質は、それ自身の及び/又はその表面皮膜の導電性が小さいので、これを集電体へ単に担持させてなるものではリチウムイオン電池の正極として機能しない場合がある。LiNiPOF系の正極活物質の性能評価のために、これを金等の導電板などへハンマー等で物理的に打ち込み、電池の正極を形成することができる。
ここにLiNiPOF系正極活物質とはLiNiPOF及びこれへ適宜ドーパントをドープしたものを指す。
(負極用電子伝導部材)
正極用電子伝導部材と同様な物を用いることができる。
(セパレータ)
セパレータは電解液中へ浸漬され、正極と負極とを分離し両者の短絡を防ぐとともに、Liイオンの通過を許容する。
かかるセパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質フィルムが挙げられる。
(ケース)
ケースは電解液に対する耐食性を有する材質で形成される。その形状は、電池の目的用途に応じて任意に設計できる。
電解質としてLiPF、LiBFを使用する場合には、SUS304、316、316L、Ni、Al、Tiからなるケースを用いることができる。但し使用する正極、負極活物質の動作電位により適宜選択しなければならない場合もある。
ケースが集電体を兼ねる場合や集電体に電気的に結合される場合は、各電極の集電体形成材料と同一若しくは同種の材料で形成される。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

Claims (6)

  1. 充電電位が5V(vs Li/Li+)以上のリチウムイオン電池であって、
    正極活物質として、Li2-xMPOF(ただしMはCoを示す。また、x=2〜0)のMの一部がMと異なるMg,Al,Ti,Mn,Zn,V,Fe,Ni,Cu,Nb,Zr及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上の金属によって置換されているものを用い、前記Mと異なる金属の添加量は化学量論比で1〜10%である、リチウムイオン電池。
  2. 前記Mと異なる金属としてMg,Al,Ti,Mn,Zn,V,Fe,Ni,Cu,Nb,Zr及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上の金属が採用されたとき、その金属の添加量は化学量論比で1〜4%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池
  3. 前記Mと異なる金属はMg,Ti,Mn,Zn及びNbからなる群より選択される1種又は2種以上の金属である、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン電池。
  4. Li2-xMPOF(ただしMはCoを示す。また、x=2〜0)のMの一部がMと異なるMg,Al,Ti,Mn,Zn,V,Fe,Ni,Cu,Nb,Zr及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上の金属によって置換されているものを用い、前記Mと異なる金属の添加量は化学量論比で1〜10%である、正極活物質。
  5. 前記Mと異なる金属としてTi,Mn,Zn,V,Fe,Ni,Cu,Nb,Zr及びMoからなる群より選択される1種又は2種以上の金属が採用されたとき、その金属の添加量は化学量論比で1〜4%である、請求項4に記載の正極活物質
  6. 前記Mと異なる金属はMg,Ti,Mn,Zn及びNbからなる群より選択される1種又は2種以上の金属である、請求項4又は請求項5に記載の正極活物質。
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