以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
(A)サンプル測定装置の概要(図1−3)
図1には、本発明に係るサンプル測定装置の好適な実施形態が示されており、図1に示すサンプル測定装置は、本実施形態において、シンチレーションカウンタである。シンチレーションカウンタは、サンプルに含まれる放射性物質を液体シンチレータを用いて測定するものである。もちろん、本発明を他のサンプル測定装置に適用することも可能である。
図1は、サンプル測定装置10の全体構成を示す概略図である。X方向が第1の水平方向であり、Y方向が第2の水平方向であり、Z方向が垂直方向である。サンプル測定装置10は、X方向及びY方向に広がる搬送面を有する搬送テーブル12を有している。搬送テーブル12上において、複数のラック14が搬送される。搬送テーブル12上には、本実施形態において、Y搬送路16、X搬送路20、Y搬送路18及び別のX搬送路が設けられている。搬送機構16Aは、Y搬送路16上において、ラック14をY方向で順方向に搬送するための機構である。搬送機構18Aは、Y搬送路18上において、ラック14をY方向で逆方向に搬送するための機構である。X搬送路20上において、ラック14をX方向で順方向に搬送するための機構については図1には示されていない。同じく、別のX搬送路上において、ラック14をX方向で逆方向に搬送するための機構についても図1には示されていない。
ラック14は長手方向及び短手方向を有する。長手方向は複数の収容部24の並び方向である。短手方向は長手方向に直交する方向である。各収容部24において、サンプル容器22が保持される。サンプル容器22は、例えばバイアル、試験管等である。サンプル容器22は、本体22Aとキャップ22Bとからなる。本体22Aの中には液体サンプル22Cが収容されている。本体22Aの中には、液体サンプル中の放射性物質を測定するための液体シンチレータも収容されている。一般に液体シンチレータは放射線(本実施形態ではβ線)を受けて発光を生じる物質である。
本実施形態においては、後に詳述するように、ラック本体に対して、収容部24ごとにアダプタが装着されている。アダプタの機能として開閉機構26が実現されている。すなわち、ラック14は、複数の収容部24に対応した複数の開閉機構26を有する。個々の開閉機構26は、閉状態と開状態とをとるものであり、閉状態においてサンプル容器22を保持し、開状態においてサンプル容器22の保持を解除してサンプル容器22を開放する。本実施形態においては、測定対象となったサンプル容器22がラック14から下方へ引き抜かれている。
搬送テーブル12におけるX搬送路20上において、対象容器の出し入れを行う場所に案内ブロック30が固定的に設置されている。案内ブロック30は、ラック14の下部に入り込む部材であり、具体的には、ラック14が有する一対の脚部の間に入り込んで、各開閉機構26に対して開き力を与えるための部材である。また、後述する押し付けユニット32と協働して、ラックの位置及び姿勢を適正化するための部材である。案内ブロック30は、その中央に垂直方向に貫通した開口を有しており、その開口は昇降路28の上端部に相当している。昇降路28は、ラック14とサンプル測定室34との間において、測定対象となったサンプル容器が昇降運動するための通路である。本実施形態においては、そのような昇降路28に対して案内ブロック30が高精度に位置決められている。換言すれば、後に説明するように、昇降路28を構成する構造体に対して案内ブロック30が物理的に一体化されている。
本実施形態においては、個々のサンプル容器の出し入れの際に、ラック14の位置及び姿勢を適正化するために、押し付けユニット32が設けられている。押し付けユニット32は、ラック14が有する一対の脚部の内で、一方の脚部の外面に対して押し付け力を及ぼし、これにより、案内ブロック30が有する基準面に対して、一方の脚部の内面を密着させるものである。そのような密着状態の形成により、ラック14の位置及び姿勢が適正化される。
サンプル測定時において、サンプル測定室34内に、測定対象となったサンプル容器36が収容される。サンプル容器36の昇降を行うために昇降機構40が設けられている。昇降機構40によって、昇降路28内においてサンプル容器36を上下方向に運動させることが可能である。
昇降機構40は、本実施形態において、シャフト43、その上端部に設けられたヘッド44、シャフト43を駆動するスライド機構46、等を備えている。後に説明するように、ラック14とヘッド44との間でのサンプル容器の受け渡しに際しては、ヘッド44が案内ブロック30が有する開口内に差し込まれる。そのような状態では、開口の直上に位置決められた収容部24に設けられた開閉機構26が開状態となる。詳しくは、ラック14の搬送過程で、開閉機構26が案内ブロック30に接触し、開閉機構26が案内ブロック30から水平方向の開き力を受けることにより、開閉機構26の開状態が形成される。
サンプル測定室34は、ベース48上に搭載されている。サンプル測定室34内に収容されたサンプル容器36内で発光が生じると、その光が一対の光電子増倍管38によって検出される。一対の光電子増倍管38はいわゆる同時計数処理を実行するために設けられている。本実施形態においては、サンプル測定室34の下部に特別な遮光構造50が設けられている。この遮光構造50によって、シャフト43の表面上を通って外来光がサンプル測定室34内に進入することが阻止されている。遮光構造50は、ヘッド44の下面と、その下面が接するベース48の上面と、に跨がって設けられている。ヘッド44内においても所定の遮光構造が設けられている。これらに関しては後に詳述する。
本実施形態においては、サンプル測定室34が搬送テーブル12の下方に設けられている。よって、サンプル測定室34の周囲に設けられる非常に重い遮蔽部材を搬送テーブル12の下側に配置できるという利点が得られる。また、以下に説明するように、サンプル測定時において、昇降路28上の所定箇所で、外来放射線の遮蔽及び外来光の遮蔽を行う場合に、その箇所にはシャフト43が存在しないので、それらの遮蔽を簡便かつ確実に行うことができる。
具体的に説明すると、昇降路28上にはそれを横切るようにシャッタ機構42が設けられている。本実施形態におけるシャッタ機構42は、上側シャッタ機構及び下側シャッタ機構により構成されており、すなわち二重シャッタ機構が実現されている。上側シャッタ機構は、外来放射線の遮蔽を行うために放射線遮蔽部材をサンプル測定室34の上側に挿入する機構であり、下側シャッタ機構は、上方からの外来光の進入を阻止するために昇降路28を横切るように遮光板を挿入する機構である。
本実施形態に係るサンプル測定装置10においては、X搬送路20上において、X方向に長手方向を合わせた姿勢をもって、ラック14が間欠的にX方向に送られる。その場合において、ラック14の下部に案内ブロック30が入り込み、各収容部24に設けられた開閉機構26が順番に作動する。個々の収容部24の中心線と昇降路28の中心線とが一致した状態でラック14が停止する。その状態において、測定前のサンプル容器がラック14からサンプル測定室34内へ送り込まれる。測定完了後において、測定後のサンプル容器36が元のサンプル容器収容部へ戻される。その後、ラック14の搬送に伴い、サンプル容器を受け取った収容部24において、開閉機構26が開状態から閉状態へ復帰する。このような一連の過程が、収容部24毎に繰り返し実行される。
図2は、図1に示したサンプル測定装置の上面図である。既に説明したように、搬送テーブル12上において、ラック14が水平方向に搬送される。ラック14の搬送路として、本実施形態においては、Y搬送路16、X搬送路20、Y搬送路18及びX搬送路50が設けられている。搬送テーブル12上には、通常、多数のラック14が配置され、各ラック14が各搬送路上において順番に搬送される。
X搬送路20における中央位置がサンプル容器の出し入れを行う基準位置となっている。案内ブロック30の中心が基準位置に一致するように案内ブロック30が設けられている。案内ブロック30の近傍には、ラック14への押し付け作用を発揮する押し付けユニット32が設けられている。X搬送路20上においては、ラック14の長手方向がX方向と並行になるように、搬送機構52によってラック14がX方向に搬送される。搬送機構52は爪部材54を有する。後に説明するように、ラック14が有する突出部分に対して、爪部材54の先端を引っ掛けつつ、その爪部材54がX方向に移送される。これにより、ラック14がX方向へ搬送される。爪部材54は、その先端部分がラック14に対して係合した状態においても、各開閉機構の動作を妨げないように構成されている。
反対側のX搬送路50においても、ラック14をX方向に搬送するために搬送機構56が設けられている。搬送機構56は搬送機構52と基本的に同一の構成を有している。X搬送路50上には、案内ブロック30に相当する部材は設けられていないが、押し付けユニット32と同じ構成を有する押し付けユニットが配置されている。
図3には、搬送テーブルの一部が斜視図として示されている。上述したように、Y搬送路16上において、ラック14がY方向に搬送される。その場合には、ラック14の短手方向がY方向を向くようにラック14が並行運動する。X搬送路20においては、ラック14の長手方向がX方向を向くように、ラック14が搬送される。サンプル容器の出し入れの際、ラック14の長手方向をX方向に厳密に一致させるために、上述した押し付けユニット32が案内ブロック30側へラック14が有する一方の脚部を押し付ける。
X搬送路20上における基準位置に案内ブロック30が設けられている。図3において、案内ブロック30が有する開口内に、昇降機構の一部をなすヘッドが入り込んでいる。つまり、図3において、ヘッドは浮上した状態にある。搬送機構52は上述したように爪部材54を有する。
(B)ラック及びアダプタ(図4−17)
次にラック及びアダプタについて詳しく説明する。
図4は、ラック14を斜め上方から見た様子を示す斜視図である。ラック14は長手方向(図4においてX方向)に整列した複数のサンプル容器を保持するものである。ラック14は、ラック本体58と、ラック本体58に着脱自在に取り付けられた複数のアダプタ60と、からなる。ラック14には、複数の収容部24が設けられ、収容部24ごとにアダプタ60が設けられている。アダプタ60は、後に詳述するように、環状枠66と、そこから下方に伸長した一対のアーム70,72と、を有する。アーム70及びアーム72は、それら全体として、上述した開閉機構を構成する。
ラック14は、短手方向に離間した一対の脚部64A,64Bを有する。個々の脚部64A,84Bはそれぞれ長手方向に伸長している。一対の脚部64A,64Bの間は、案内ブロックを通過させるための空洞部を構成している。空洞部の前側及び後側はいずれも開口である。ラック14の前端には突出部分58Aが設けられている。突出部分58Aが有するラック開口に対して爪部材が有する先端が差し込まれる。なお、長手方向の他、短手方向にも複数の収容部が配列されたラックを用いることも可能である。
図5は、ラック14を斜め下方から見た様子を示す斜視図である。上述したように、ラック本体は、一対の脚部64A,64Bを有する。アダプタ60は、環状枠66と、短手方向において離間配置された一対のアーム70,72と、有する。一対のアーム70,72は一対の下端構造体74,76を有し、それらが開閉機構26の主要部分を構成している。
図6には、斜め上方から見たラック本体58が示されている。ラック本体58は、長手方向に整列した複数の収容孔24Aを有している。各収容孔24Aにおいて、その短手方向両側には一方側面構造と他方側面構造とが設けられている。それらは対称の形態を有しているので、一方側面構造を代表させて、その形態を説明する。収容孔24Aの一方側には垂直方向に伸長した側板78が設けられている。隣接する2つの側板78の間に、あるいはそれらに跨がって、肉厚として構成されたリブが存在している。側板78の実質部分は薄肉部分として構成されている。側板78の上部には上側開口82が設けられ、側板78の下部には下部開口84が形成されている。上部開口82及び下部開口84はそれぞれ短手方向に貫通する開口である。図7には、斜め下方から見たラック本体58が示されている。
次に、図8乃至図17を用いて、アダプタの構成及び作用について説明する。
図8には、アダプタ60を斜め上方から見た様子が示されている。アダプタ60は、上述したように、環状枠66と、そこから下方に伸長した一対のアーム70,72と、で構成される。環状枠66は、収容孔に対応してリング状の形態を有しており、リブ等を有する。一対のアーム70,72は、短手方向(図8においてY方向)に離間しており、それらの間にサンプル容器が収容される。アーム70とアーム72は互いに対称の形態を有している。ここでアーム72について着目する。それは、環状枠66に連結された上端部分86と、その下側に設けられた屈曲部としての波状部分88と、その下側に設けられた下端部分90と、を有している。下端部分90は、内側に折れ曲がったフック部分92を有している。2つのアーム70,72のそれぞれのフック部分92に対しては後に説明するアタッチメントが装着され、これにより後に詳述する2つの下端構造体74,76が構成される。波状部分88は蛇腹形態を有している。フック部分92に対して水平方向外側への開き力が与えられると、その力により波状部分88を中心としてアーム70が屈曲する。これと同時にアーム72も同じように変形する。これにより2つのアーム70,72が短手方向に開いた状態となる。波状部分88は弾性部として構成されており、それは弾性復元力を発揮するため、2つのアーム70,72に対して水平方向の開き力が及ばなくなると、上記の弾性復元力により2つのアーム70,72が原形に復帰する。つまり、2つのアーム70,72が閉状態となる。
図9には、アダプタを斜め下方から見た様子が示されている。上記のように、アダプタ60は2つのアーム70,72を有し、それぞれはフック部分92を有している。フック部分92は、本実施形態において、折れ曲がり部分であって台座面を構成するフックベース92Aを有する。フックベース92Aは、上方からみてU字形状を有している。フックベース92Aには、垂直方向に伸長した接触子92Dが設けられている。この接触子92Dは、上方から見て半円筒形状あるいはD字形状を有している。ラックの運動過程で接触子92Dが案内ブロックに形成された斜面に接触すると、これにより水平方向外側への開き力が生じる。フックベース92Aの下方には、コネクタ92Eが設けられ、それは接触子92Dに固定されている。コネクタ92Dは矩形の形態を有し、それを利用してアタッチメントが着脱自在に取り付けられる。アーム70,72の下端部分には、X方向から見てL字形状を有するL状溝92Fが形成されている。
図10は、アダプタの本体に対して取り付けられるアタッチメントの第1斜視図である。図10においては、アタッチメント96を斜め上方から見た様子が示されている。
図10において、アタッチメント96は、図8及び図9に示したフック部分に対して連結される連結構造98を有する。連結構造98は、連結端を構成しており、連結構造98は、具体的には、下板106と上板108とを有する。それらの間はスリット110であり、そのスリット110内に図9に示したコネクタが差し込まれる。図10において、スリット110内には、図示されていない突起が設けられており、コネクタが有する開口内にその突起がはまり込む。これにより、アタッチメント96がアダプタの本体に対して装着される。
連結構造98の上方には、可動片としての座板102が設けられている。座板102は接触端部を構成するものであり、その上面は座面として機能する。すなわち、座板102上にサンプル容器の下面が載せられる。
連結構造98と座板102との間には、C字形状を有するC字状アーム100が設けられている。C字状アーム100は、弾性変形部として機能する。自然状態においては、座板102が傾斜姿勢となる。座板102に対して、サンプル容器を介して、上方から押圧力が及ぶと、その押圧力を吸収するように、C字状アームが弾性変形する。その状態においては座板102は水平姿勢となる。
座板102の右端及び左端には、下方に伸長した一対のストッパ片104A,104Bが設けられている。座板102の上下運動と共に、一対のストッパ片104A,104Bが上下運動を行う。よって、座板102が下方に沈み込むと、ストッパ片104A,104Bも下方へ運動し、それらの下端位置が更に引き下げられることになる。その結果、後に説明するように、下端構造体が水平方向外側へ運動しようとしても、ストッパ片104A,104Bがアダプタ本体に衝突し、下端構造体の開き運動が阻止される。
図11には、アタッチメント96の第2斜視図が示される。すなわち、図11には、斜め下方からみたアタッチメント96が示されている。上述したように、アタッチメント96は、連結構造98、C字状アーム100及び座板102を有する。座板102の右端及び左端には一対のストッパ片104A,104Bが設けられている。アダプタの本体とアタッチメントとを一体的に構成することも可能である。
図12乃至図17を用いてアダプタの作用について説明する。図12はアダプタの動作を説明するための説明図である。アダプタがラック本体に対して取り付けられている。アーム70,72は下端構造体74,76を有している。個々の下端構造体74,76はそれぞれアタッチメント96を備えている。図12においては、変形前の傾斜姿勢にあるアタッチメントが符号96Aで示されており、変形後の水平姿勢にあるアタッチメントが符号96Bで示されている。
収容部内にサンプル容器が落とし込まれている状態では、サンプル容器の下面に対して一対のアタッチメントの座板が当接する。これにより、サンプル容器が下方から支えられる。この場合においては、符号96Aで示すように、各アタッチメントの座板は浮上状態にあり、2つのアームは閉状態にある。
そのような閉状態において、サンプル容器に対して上方から下方に過剰な押圧力111が加わると、その押圧力111により、アタッチメントが符号96Bで示すように変形する。具体的には、それぞれのアタッチメントにおける座板が下方に沈み込んで水平姿勢となる。これと同時に、座板に取り付けられたストッパ片104A,104Bが下方に運動する。一方、上方からの押圧力により、2つのアーム70,72は、両者が離れる方向すなわち開き方向に運動しようとする(符号112参照)。しかしながら、ストッパ片104A,104Bが座板と共に下方に沈み込んでいるため、下端構造体74,76がラック本体に形成された下側開口を通過して外側に出ようとしても、脚部64A,64Bの内面にストッパ104A,104Bが衝突し、そのような開き運動112が阻止される。すなわち、押圧力による開き運動時には、下端構造体74,76が下側開口を通じてラック本体の外側に出ることはなく、サンプル容器の保持が維持される。サンプル容器には放射性物質を含む液体サンプルが収容されているところ、そのようなサンプル容器がラックから脱落してしまうことを確実に阻止できる。
一方、押圧力111が生じていない場合には、つまりサンプル容器の重量による力しかアタッチメントに加わらない。その場合、符号96Aに示すように、それぞれのアタッチメントにおいて、座板は浮上姿勢を維持する。そのような場合にはストッパ片104A,104Bの下端位置が上昇端にあるため、下端構造体74,76に対して水平方向外側への開き力が与えられた場合に、それぞれの下端構造体74,76がラック本体に形成された下側開口を通じてラック本体の外側に出ることが許容される。すなわち、一対のアームにおいて、閉状態から開状態への変形が許容される。
以上のように、本実施形態によれば、案内ブロックから水平方向外側への適正な力が与えられた場合にだけ、下端構造体74,76をしてラック本体の外側に出ることが許容され、一方、垂直方向に異常な力が生じた場合には、ストッパ片104A,104Bの作用により、一対のアームが閉状態から開状態に変化することを防止できる。
図13には、ラックの断面図が示されている。具体的には、ラック本体に対してアダプタが取り付けられた状態が示されている。アーム70,72において、波状部分88の一部分が、R1で示す上側開口内に収容されている。アーム70,72それ全体が、下端構造体74,76を除いて、実質的にラック本体の肉厚D1内に収まっている。すなわち、アーム70,72の変形前の状態では、アーム70,72において、ラック本体からその外側に突出する部分は生じていない。これにより、複数のラックの整列状態において、特定のラックを長手方向へ移動させても、その移動を阻害するような引っ掛かりが生じることはない。
上方からの押圧力が生じていない通常の閉状態において、案内ブロックへの当接により、符号114で示す開き力が下端構造体74,76に与えられると、下端構造体74,76が互いに離れる方向へ運動し、それらは一対の下側開口を通じてラックの外側に突出する。
図13において、R3が下側開口84の垂直方向サイズを示している。R2が下側開口84のメイン領域の垂直方向サイズを示しており、R4が下側開口のサブエリアの垂直方向サイズを示している。閉状態において、開き力114が加わった場合、一対の下側開口を下端構造体74,76が通過する。一方、上方から押圧力が生じた場合、複数のストッパ片が下方に下がり、下端構造体74,76が互いに離れる方向に運動しようとしても、複数のストッパ片が一対の脚部の内面に衝突し、そのような開き運動が阻止される。この動作について図14及び図15を用いて更に説明する。
図14には、ストッパ片が動作していない状態が示されている。すなわち、そのような場合、下端構造体76において、ストッパ片104A,104Bは、浮上した位置にあり、下側開口84におけるメインエリアの下辺レベルと、ストッパ片104A,104Bの下端レベルと、の間に隙間h1が生じている。したがって、下端構造体76は下側開口84を通じて外側に出ることが可能である。
一方、図15には、ストッパ片の動作状態が示されている。すなわち、下端構造体76に対して押圧力114が及ぶと、ストッパ片104A,104Bが下方に下がり、その下端レベルは、下側開口84におけるメインエリアの下辺レベルよりも、更に低くなる。その際のオーバーラップ部分が図15においてΔhで示されている。その状態では、下端構造体76が下側開口84を通じて外側に出ようとしても、ストッパ片104A,104Bが脚部64Bの内側に衝突し、その運動は確実に阻止される。
図16には、ラックに対してサンプル容器22が収容されている状態が示されている。(A)には通常状態が示されており、(B)には押圧力が生じている状態が示されている。符号74A,76Aは、変形前の浮上状態にある下端構造体を示しており、符号74B,76Bは変形後の下降状態にある下端構造体を示している。
図17にはアーム72の開状態が示されている。ラックのX方向の進行に伴い案内ブロックとの当接により、下端構造体に対して水平方向の開き力116が与えられる。これにより、上述したように下端構造体を含め、アーム72の全体が開き運動を行う。開状態にある下端構造体が符号76Cで示されている。この場合、アーム72における波状部分を中心としてアーム72が屈曲変形する。アーム72それ全体のラック側面からの吐出量が符号118で示されている。このような開状態においては、サンプル容器22の下面に対する支え作用が消失するために、サンプル容器22の下方に何らの部材もなければ、符号120で示すように、サンプル容器22が下方へ自然に落下する。本実施形態においては、そのような開状態において、サンプル容器22がヘッド上に載置される。
ラックからヘッドへのサンプル容器を移載する際には、一対の下端構造体が、サンプル容器の直下位置から、水平方向外側の退避位置へ移動する。続いて、サンプル測定後のサンプル容器がサンプル収容部内に戻された後、一対のアームが原形に復帰する。すなわち一対の下端構造体がサンプル容器の下側に入り込む。これにより一対の下端構造体によりサンプル容器22が支えられ、サンプル容器22が保持される。
以上のように、本実施形態によれば、各収容部において、適切なタイミングで、開閉機構を閉状態から開状態に移行させることが可能である。また、適正な開き力ではなく、垂直方向の異常な押圧力が生じた場合においては、上述した複数のストッパ片の作用により、不必要な開運動が確実に阻止される。これによりサンプル容器の脱落を未然に防止できる。更に、各アームには弾性変形部が設けられ、そこで発揮される弾性復元力により各アームを原形に戻すことが可能である。よって、開状態から閉状態への移行を各アーム自身の作用により行わせることが可能である。本実施形態によれば、一対のアームの開動作のために、専用の駆動源及び専用の制御部は不要である。また、一対の閉動作のために、専用の駆動源及び専用の制御部は不要である。ラック搬送力の一部を利用して、ラック搬送に同期して、一対のアームを開閉動作させることが可能である。
(C)案内ブロック(図18−23)
図18には、搬送テーブルの一部が拡大上面図として示されている。すなわち、図18には、案内ブロック30及び押し付けユニット32が示されている。
案内ブロック30は、トップフレーム122上に固定的に配置されている。トップフレーム122は、昇降路を含む構造体の天板に相当するものである。案内ブロック30は、下層124、上層126、前側サポート板130及び後側サポート板132を有する。但し、それらは一体化されている。下層124及び上層126は、それぞれ水平方向に広がる平板状の形態を有している。前側サポート板130及び後側サポート板132は上方に起立した形態を有している。案内ブロック30の中央には開口128が形成されている。開口128は円形あるいは楕円形の形状を有する。開口128は昇降路の上端部を構成するものであり、図18においては、開口128内にヘッド44が差し込まれている。下層124のY方向の幅W1は、ラックが有する一対の脚部の間の隙間とほぼ同一である。厳密には幅W1の方がその隙間よりも僅かに小さい。下層124の前端部分(図18において左端部分)及び後端部分(図18において右端部分)には、それぞれ一対の斜面134が形成されている。すなわち、下層124は、両方向に先細の形態を有する。下層124が有する前面及び後面のY方向の幅がW2であり、W1>W2である。このように前端部分に一対の斜面134が構成されているので、一対の脚部間に案内ブロック30が入り込む過程において、ラック側にY方向の位置ずれが生じていても、その位置ずれを解消することが可能である。ちなみに、下層124の後端部分にも一対の斜面が形成されている。これにより、ラックを戻し搬送する必要が生じた場合においても、案内ブロック30をラックの後側からその下部に円滑に差し込むことが可能である。
上層126は下層124の上に積層されている部分であり、上層126における前側部分には、比較的長い距離をもって一対の斜面136が形成されている。上層126における前端面のY方向の幅がW3である。ここにおいて、W1>W2>W3である。一対の斜面136は、上層126におけるY方向の幅をX方向に沿ってW3からW1へ連続的に変化させるものである。
一対の斜面136に対して一対の開閉機構が有する一対の接触子が当接し、その当接状態を維持しながらラックが前進運動すると、一対の斜面136の働きにより、一対の接触子に対して水平方向外側への開き力が与えられる。これにより、アダプタが閉状態から開状態に変化する。本実施形態においては、上層126において、その後側部分にも一対の斜面が形成されている。その後側の一対の斜面により、開状態から閉状態への復帰を緩やかに行わせることができ、開閉機構の急激な変化を防止できる。
なお、本実施形態においては、上層126に形成された前側の一対の斜面136と後側の一対の斜面とが対称な形態を有しているが、それらを非対称に構成することも可能である。
案内ブロック30は、X方向の上流側から下流側にかけて、前側形態、中間形態及び後側形態に大別される。ここで、上層126について着目すると、上層126の前側形態が開閉機構を閉状態から開状態にする機能を発揮する。上層126の中間形態は開状態を維持する機能を発揮する。上層126の後側形態は開閉機構を開状態から閉状態に復帰させる機能を発揮する。案内ブロック30は、それ全体として、Y方向における中心位置を通過し且つX方向に平行な中心線を基準として対称の形態を有している。ラックが有する一対の脚部の間に案内ブロック30が入り込んだ状態において、ラックのセンタリング(Y方向の位置決め)が行われる。これにより、開口128の中心位置と、測定対象となったサンプル容器あるいはそれを収容するサンプル収容部の中心位置と、をY方向において容易に一致させることが可能である。
本実施形態においては、案内ブロック30は、上述したようにサンプル測定室及び昇降機構を含む構造体のトップフレーム122上に固定されている。搬送テーブルに対して、案内ブロック30は、水平方向に一定の自由度をもって配置されている。逆に言えば、案内ブロック30が適正に位置決められるならば、搬送テーブルそれ自体についての厳密な位置決めが不要となる。例えば、搬送テーブルにおいて加工誤差や組立誤差等が生じていたとしても、その誤差が許容範囲内であれば、ラックと昇降機構との間でのサンプル容器の受け渡しに当たって、そのような誤差が問題となることはない。
案内ブロックの前側に形成された一対の斜面136の作用により、開閉機構が閉状態から開状態に変化する過程において、開閉機構によるサンプル容器の下支え作用が消失することになる。ヘッド44に対してサンプル容器の底面が十分に載った状態が形成される前に、上記下支え作用の消失が生じると、サンプル容器の脱落や姿勢変化が生じるおそれがある。そこで、本実施形態の案内ブロック30においては、前側サポート板130が設けられている。前側サポート板130は、上層126の上面から上方に突出した形態を有する。それは、開閉機構によるサンプル容器の下支え作用が消失した状態において、一時的に及び補助的に、サンプル容器を下支えする機能を発揮する。前側サポート板の前端部及び後端部は肩下がりのテーパ面を構成しており、サンプル容器の角部分が前側サポート板に引っ掛かることが防止されている。このように、開口128の前側に補助的な支えを用意しておくことにより、サンプル容器の脱落や姿勢変化を防止することが可能であり、サンプル容器をラックからヘッド上面へ円滑に移すことが可能である。
本実施形態においては、開口128の後側に後側サポート板132が設けられている。後側サポート板132は、前側サポート板130と同様の形態を有している。この後側サポート板132により、収容部内に測定後のサンプル容器が戻された後、開閉機構が開状態から閉状態に戻るまでの間においてに、ヘッド44の上面による下支え作用が部分的に消失したような場合において、後側サポート板132の上面により、サンプル容器を一時的に及び補助的に支えて、サンプル容器の脱落や姿勢変化を防止することが可能である。
以上のように、本実施形態に係る案内ブロック30によれば、各開閉機構に対して、ラック搬送力の一部を利用して水平方向外側への開き力が与えることが可能である。したがって、そのような開き力を生じさせる専用の駆動源や駆動機構を設ける必要がないので、装置構成を簡略化できるという利点が得られる。また、各開閉機構の動作タイミングを基準位置に対して自然に合わせることが可能であり、制御部による開閉制御を行う必要がないという利点も得られる。さらに、案内ブロック30が基準位置それ自体を基準として設置されているため、案内ブロック30をラックの一対の脚部に差し込むだけで、ラックのセンタリングを行うことが可能である。すなわち、案内ブロック30のラックの下部に差し込むだけで、基準位置に対してサンプル容器あるいはそれを有する収容部を適正に位置決めることが可能である。
図18には、案内ブロック30の他に、押し付けユニット32も示されているので、ここで、押し付けユニット32の構成について説明しておく。なお、押し付けユニット32の構成及び動作については、後に図24乃至図26を用いてあらためて説明する。
図18において、押し付けユニット32は、ラックの外側かラックに対して押し付け力を与えて、ラックの位置及び姿勢を適正化するためのユニットである。押し付けユニット32は、本実施形態において、ラックに接触して押し付け力を与える一対のローラー138,140を有している。ローラー138の回転中心は、X方向において、基準位置143から上流側すなわち前側に一定距離144だけ離れた地点に設定されている。ローラー140の回転中心は、X方向において、基準位置143から一定距離144だけ離れた地点に設定されている。
後に説明するように、ローラー138は、一方の可動板の端部に回転自在に取り付けられており、ローラー140は、他方の可動板の端部に取り付けられている。それらの可動板の共通回転軸が符号142で示されている。Y方向において、共通回転軸142の回転中心に対して各ローラー138,140の回転中心が案内ブロック30から遠く設定されている。すなわち、それらの回転中心に対してマイナスオフセットが与えられている。
押し付けユニット32と協働して、ラックの位置及び姿勢を適正化するために、案内ブロック30に基準面が形成されている。具体的には、基準面124A,126Aが形成されている。基準面124Aは下層124における一方側面であり、基準面126Aは上層126における一方側面である。それらの基準面124A,126Aは、本実施形態において、X方向に平行な面であり、それぞれ垂直面である。2つの基準面124A,126Aのうちで、基準面124Aの方がX方向に大きく広がっている。ラックが有する一対の脚部間に案内ブロックが入り込むと、一対の脚部の内で一方の脚部(押し付けユニット32側の脚部)の外面に対して、一対のローラー138,140が押し付けられる。これにより、一方の脚部の内面が基準面124A,126Aに対して密着する。基準面は、X方向に平行な垂直面であり、一対の脚部の内面は長手方向に平行な垂直面であるので、基準面に内面が密着した状態では、X方向とラックの長手方向とが平行になる。同時に、ラックがY方向において所定位置に位置決められる。この結果、ラックの位置及び姿勢が適正化される。
ローラー138,140の初期状態においては、本実施形態において、基準面124Aとの間に一定の隙間ΔWが生じている。そのような隙間ΔWは必要に応じて設けられる。本実施形態においては、そのような隙間ΔWとローラー138のマイナスオフセットとにより、一方の脚部の先端部分を受け入れる角度θ1が増大されている。あるいは、それを受け入れる際の抵抗が低減されている。斜面134の作用と、このような開き角度θ1と、により、ラックがY方向において位置ずれを生じていたとしても、基準面124Aとローラー138との間に一方の脚部を円滑に差し込むことが可能である。
上記のように、一対の脚部の間に案内ブロック30が差し込まれた状態においては、ローラー138,140から一方の脚部の外面に対して押圧力が与えられる。これにより一方の脚部の内面が基準面124A,126Aに密着する。よって、簡易な機構により、ラックの位置(特にY方向の位置)及び姿勢を適正化することが可能である。本実施形態においては、押し付け部材としてローラー138,140が設けられているので、ラックが前方に送り出される場合においても、摺動抵抗を小さくすることが可能である。
本実施形態においては、押し付けユニット32が、適正な位置及び向きに配置された案内ブロック30に対して、ラックを押し付けるので、搬送テーブルにおいて加工誤差や組立誤差があったとしても、ラックを基準位置に対して正しく位置決めることが可能である。また、本実施形態においては、X方向において、基準位置から前後等間隔をもってローラー138,140が設けられているので、ラックに対して基準位置の両側において均等に力を及ぼすことが可能である。仮に、ラックに反りがあったとしても、本実施形態においては案内ブロック30が存在しているX方向の範囲内において押さえ付けが行われているため、その反りにかかわらず、基準位置に対して、測定対象となったサンプル容器を適正に位置決めることが可能である。
図19乃至図23を用いて、引き続いて、案内ブロックの作用について説明する。
図19には、案内ブロック30の断面図が示されている。案内ブロック30は、上述したように、下層124,上層126,前側サポート板130及び後側サポート板132を有する。図19においては、各部材が別体として示されているが、本実施形態において、それらは一体化されている。前側サポート板130は、上面130Bと、その前後に設けられた斜面130A,130Cと、を有する。後側サポート板132も、前側サポート板130と同様の形態を有している。
案内ブロック30の中央部には上下に貫通する開口128が形成されている。図19においては、開口128内にヘッド44が挿入されている。ヘッド44は、その上面としての載置面44Aを有し、載置面44A上にサンプル容器22が載せられる。図19に示されるように、開閉機構における閉状態から開状態への移行途中において、前側サポート板130における上面130Bにより、サンプル容器22が補助的に支えられる。その結果、サンプル容器22を載置面44A上に円滑に移載することが可能である。移載時においては、ヘッド44の載置面44Aのレベルと、上面130Aのレベルと、を実質的に揃えるのが望ましい。ただし、一方が他方よりも若干上であってもよくて、また若干下であってもよい。
図20には、ラック14がX搬送路に投入された状態が示されている。ラック14は、上述したように突出部58Aを有し、その突出部58Aには、搬送機構52が有する爪部材54の一部が差し込まれる。X搬送路の中央には案内ブロック30が設けられており、その近傍には押し付けユニット32が設けられている。
図21には、X搬送路上においてラック14が進行した状態が示されている。より詳しくは、図21には、先頭のサンプル容器が案内ブロック30の開口に対して位置決められた状態が示されている。その状態では、押し付けユニット32が機能し、ラック14の位置及び姿勢が適正化される。
図22は、図21に示した内容の一部を拡大図として示すものである。ラック14は複数の収容部を有し、各収容部にはそれぞれアダプタ60が装着されている。アダプタ60は開閉機構26を有する。図22においては、1つの開閉機構26だけが開状態となっている。そのような開状態を形成するために、案内ブロック30が機能する。案内ブロック30は、上述したように、下層124、上層126等を有する。案内ブロック30がラック14における一対の脚部間に差し込まれる。図22においては、他方側の脚部64Bのみが示されている。下層124の後側には一対の斜面134が形成されており、上層126の後側には一対の斜面136が形成されている。下層124及び上層126の前側部分にも、それぞれ一対の斜面が形成されている。図22に示す状態においては、押し付けユニット34により、ラックに対してY方向の押し付け力が及んでおり、これによってラック14の位置及び姿勢が適正化かつ安定化されている。
図23は、図22に示した部分のYZ断面図である。図23においては、案内ブロック30の断面が含まれている。上述したように、ラック14における、各収容部には、アダプタ60が設けられ、その内部にはサンプル容器22が収容されている。図23に示す状態では、開閉機構26が開状態となっており、すなわち下端構造体74,76がラック本体から水平方向両側へ突出している。そのような作用は、下端構造体74,76が有する一対の接触子が案内ブロック30における一対の斜面に当接することにより生じる。
図23において、ラック14に対しては押し付けユニット32から押圧力が与えられており、ラック14の位置及び姿勢が安定化されている。案内ブロック30の下側には、昇降路28が形成されている。既に説明したように、昇降機構は、シャフト43及びヘッド44を有する。それらは昇降路28の内部を上下方向に運動する。
図23に示されているように、案内ブロック30の下方には、昇降路28を横切るようにシャッタ機構42が設けられている。シャッタ機構42について、ここで簡単に説明しておく。なお、シャッタ機構については後に図34−36を用いてあたためて説明する。
シャッタ機構42は、上側シャッタ機構42Aと下側シャッタ機構42Bとにより構成されている。上側シャッタ機構42Aは、上方からの外来放射線を遮蔽するための機構であり、下側シャッタ機構は昇降路28を介して進入して来る外来光を遮蔽するための機構である。
具体的には、上側シャッタ機構42Aは鉛ブロック148を有し、その鉛ブロック148が昇降路28を横切ってサンプル測定室の上側を覆うことにより、昇降路28を通じてサンプル測定室へ向かう外来放射線(特に宇宙線等)が遮蔽されている。サンプル測定室における昇降路28以外の部分は基本的に遮蔽部材により覆われている。但し、宇宙線の遮蔽を目的とする場合、サンプル測定室の下側への遮蔽部材の配置を省略することも考えられる。
上側シャッタ機構42Aは、筒ガイド146を有し、その筒ガイド146は、鉛ブロック148が退避位置にある場合において、昇降路28に位置決められ、その状態でヘッド44及びサンプル容器22に対するガイド作用を発揮する。鉛ブロック148が前進した状態においては、筒ガイド146が昇降路28から退避した位置に移動する。筒ガイド146は、スリーブのような中空部材であり、後に説明するように、調芯機能を有している。
下側シャッタ機構42Bは、遮光板150とスリット構造体230とを有する。遮光板150が前進すると、スリット構造体230が有するスリット内に遮光板150の一部が差し込まれ、これにより昇降路28を横切るように遮光板150が配設される。その状態においては、上方からの外来光は遮光板150によって遮断されることになる。
以上のように、案内ブロックによれば、ラックをX方向へ搬送するための駆動力の一部を利用して開閉機構を開動作させることが可能である。したがって、そのような開動作のために専用の駆動源を設ける必要がないという利点が得られる。また、一対の脚部間に案内ブロックが差し込まれると、Y方向においてラックの位置を適正化することができ、すなわちセンタリングを自然に行うことが可能である。また、本実施形態の案内ブロックは、開状態と閉状態との間における中途半端な状態において、サンプル容器の下側を補助的に下支えする部材を有しているので、開閉機構の動作途中において、サンプル容器の姿勢等が乱れることを防止できる。さらに、本実施形態に係る案内ブロック30は、押し付けユニットと共に機能する基準面を有しており、それらの協働によって、ラックの位置及び姿勢を簡便に適正化できる。
(D)押し付けユニット(図24−27)
図24は、押し付けユニット32の動作状態が斜視図として示されている。ラック14がX方向に搬送される場合において、ラック14の進行方向左手側において押し付けユニット32がその機能を発揮する。押し付けユニット32は、既に説明したように、一対のローラ138,140を有する。それらに対して弾性付勢力を与えるために、第1可動プレート154と第2可動プレート156とが設けられている。
図25は、押し付けユニットの第1斜視図である。第1可動プレート154は、上側プレートであり、第2可動プレート156は下側プレートである。それらのプレート154,156は、共通回転軸142を中心として回転運動を行う。第1可動プレート154はクランク状の形態を有しており、第2可動プレート156もクランク状の形態を有している。
第1可動プレート154は、前側屈曲部分154a、中間部分154b及び後側屈曲部分154cを有する。前側屈曲部分154aの端部にローラー138が回転自在に取り付けられている。第2可動プレート156は、前側屈曲部分156a、中間部分156b及び後側屈曲部分156cを有する。前側屈曲部分156aの端部にローラー140が回転自在に設けられている。ピン160は、第1可動プレート154が上方から見て反時計回り方向に必要以上に回転しないようにするための規制部材である。同様に、ピン158は第2可動プレート156が上方から見て時計回り方向に必要以上に回転しないようにするための規制部材である。
図26には、押し付けユニットの第2斜視図が示されている。上述したように、第1可動プレート154は後側屈曲部分154cを有し、その端部には運動軸164が設けられている。第2可動プレート156は後側屈曲部分156cを有し、その端部には運動軸166が設けられている。運動軸164と運動軸166との間には、自然状態よりも伸長した状態でスプリング162が設けられている。すなわち、スプリング162において常時、弾性復元力が生じており、それが第1可動プレート154及び第2可動プレート156を介して一対のローラー138,140に伝達されている。これによりラックへの押し付け力が生じる。ただし、上述したように、一対の規制ピンによって、それぞれのプレート154,156の初期状態における回転角度が規制されている。これにより図18に示したギャップΔWが設定されている。
図27は、押し付けユニットの作用を示す図である。共通回転軸142の中心に対して各ローラー138,140の回転中心に対してマイナスオフセット168が設定されており、すなわち、回転軸142の中心に対して各ローラー138,140の回転中心がY方向において案内ブロックから遠い方にシフトしている。第1可動プレート154と第2可動プレート156との間にスプリング162が配置されており、それぞれのローラー138,140が案内ブロックから遠ざかる方向に運動すると、スプリング162がより引き伸ばされて、その反力として、より強い弾性付勢力が生成される。それにより、ローラー138,140をラック側に押し付ける押し付け力172が生成される。
本実施形態においては、2つの可動プレートの間にスプリング162を配置したので、脚部がローラー138と基準面との間だけに入り込んだ状態においては、弱い押し付け力F1を生じさせることができ、2つのローラー138,140と基準面との間に脚部が入り込んだ場合においては、2つのローラー138,140の両者合わせて、強い押し付け力F2を生じさせることが可能である。すなわち、進入の状況に応じて段階的な力を発揮させることが可能である。脚部がローラー138と基準面との間に入り込んでいない初期状態ではそれらの間にギャップΔWが形成されているので、それが形成されていない場合に比べて、脚部の進入時に脚部に及ぶ力(反力、衝撃力)を小さくすることができる。
以上のような押し付けユニットによれば、図18を用いて説明したように、案内ブロックが有する基準面に対して一方の脚部の内面が密着するように、一方の脚部の外面に対して押し付け力を与えることが可能である。また、その場合において、マイナスオフセット168が生じるように各ローラー138,140が設けらているため、図18に示したように一方の脚部を受け入れる開き角度を比較的大きくできるという利点が得られる。換言すれば、第1可動プレートの回動運動を円滑に行わせることが可能である。さらに、本実施形態においては2つの可動プレートの間にスプリングを配置したので、挟み込みの状態に応じて段階的に押し付け力を増大させることができる。
(E)搬送面下側の構造(図28−33)
次に、搬送面下側の構造について説明する。図28には、ラック14がX搬送路に投入された状態が示されている。その状態において、ヘッド44は、案内ブロック30の開口内に差し込まれており、すなわち、ヘッド44は最上位置にある。開口の直下には、サンプル測定室34が設けられており、その両側には測定ユニットを構成する一対の光電子増倍管174,176が設けられている。サンプル測定室34及び一対の光電子増倍管174,176の全体を包み込むように、遮蔽体178が設けられている。その遮蔽体178は鉛等により構成され、外部から飛来する放射線が遮蔽されている。ただし、昇降路における遮蔽は、後に説明するシャッタ機構により実行される。
図29には、先頭のサンプル容器36がヘッド44上に移載された状態が示されている。その状態においては、上述した開閉機構が案内ブロックの作用により開状態となる。
図30には、サンプル測定状態が示されている。測定対象となったサンプル容器36は、昇降機構40の作用により、サンプル測定室34内に配置されており、すなわち一対の光電子増倍管174,176の間にそれらに対して非接触の状態でサンプル容器36が配置されている。サンプル測定状態では、昇降路28を横切るようにシャッタ機構が動作する。図30においては、鉛ブロック148が昇降路28を横切るように挿入されている。これと共に、後に説明する遮光板が昇降路28を横切るように挿入される。
図31には、サンプル測定装置のYZ断面が示されている。図31は非測定状態を示すものである。同図においてはヘッド44が上昇端の位置にある。昇降機構40は、垂直板182を有し、その垂直板182にはレール184が取付られている。レール184に対してスライドブロック186が上下方向に運動可能に設けられている。スライドブロック186にはシャフト43の下端が取付けられている。シャフト43上端にはヘッド44が取付けられている。モータ188の駆動力がスライドブロック186に伝達され、それが上下方向に駆動される。それに伴いシャフト43及びヘッド44が上下方向に運動する。垂直板182はベースフレーム181及びベースプレートに連結されている。
ベースフレーム181上には後に説明するケースが固定されている。ベースプレート180上には、サンプル測定室34及びケースを包み込むように、遮蔽体178が設けられている。この遮蔽体178は上述したように鉛等によって構成される。
シャッタ機構42は上側シャッタ機構42Aと下側シャッタ機構42Bとからなる。上側シャッタ機構42Aは、外来放射線を遮蔽する鉛ブロック148と筒ガイド146とを有する。下側シャッタ機構42Bは後に詳述する遮光板を有する。
図32にはサンプル測定装置のYZ断面が拡大図として示されている。図32においてはサンプル測定状態が示されている。サンプル測定室34内にはサンプル容器36が配置されている。上述したように、シャッタ機構42は、上側シャッタ機構42Aと下側シャッタ機構42Bとからなる。上側シャッタ機構42Aは鉛ブロック148と筒ガイド146とを有する。図32においては、鉛ブロック148が昇降路を横切るように配置されている。これと共に、昇降路を横切るように遮光板150が挿入されている。そのような状態で、上方からの外来放射線が遮蔽され、同時に、上方からの外来光が遮蔽される。これにより、高精度のサンプル測定を実現することが可能となる。
図33には、サンプル測定室の下部が拡大図として示されている。図33は、サンプル測定状態を示すものである。ベースフレーム181の上面が基準レベル206を構成している。すなわち、サンプル容器36の上下方向の運動制御にあたっては、基準レベル206がZ方向の原点位置となる。
ベースフレーム181上には、サンプル容器36を包み込む形態を有するケース190が配置されている。ケース190の外側には遮蔽体178が設けられている。ベースフレーム181の中央部には開口が形成され、その開口をシャフト43が挿通している。シャフト43の上端にはヘッド44の本体が取付けられている。具体的には、ヘッド44の本体内には井戸192が形成され、その井戸192内にシャフト43の上端部43Aが挿入されている。上端部43Aにはリング状のストッパ194が設けられ、ストッパ194と井戸192の底面192Aとの間にスプリング196が配置されている。
井戸192を覆うように天板194が設けられている。天板194は、本実施形態において、積層体として構成されており、それは少なくとも下側の弾性シート及び上側の金属反射層を含むものである。もちろん、塗装によって光学的な反射を生じさせるようにしてもよい。下側の弾性体シートは遮光シートとして機能するものである。例えば、既に説明した図18に示されるように、2つのネジ部材を利用して、天板194がヘッド44の本体に取付けられる。これにより良好な遮光状態が形成される。
シャフト43の上端部43Aにスプリング196が設けられているので、シャフト43を若干多めに下方に引き下げたとしても、その超過分はスプリング196により吸収される。従って、ヘッド44の下面がベースフレーム181の上面すなわち基準面にしっかりと密着するまでヘッド44を引き下げることが容易となる。また、そのような密着状態では以下に説明するように良好な遮光状態を形成することが可能である。ちなみに、シャフト43におけるヘッド44の下方にはストッパ206が固定配置されており、スプリング196が圧縮状態から伸長状態に変化した場合においても、その変化量がストッパ206により規制される。すなわち、ストッパ206がヘッド44の下面に当接するまでスプリング196の伸長が許容される。
次に、遮光構造(内側遮光構造)について説明する。遮光構造は、ベースフレーム181の上面とヘッド44の下面とにまたがって構築されている構造である。
ベースフレーム181の上面には、シャフト43が通過する開口を取り囲むように、第1リング溝198が形成されている。これに対応して、ヘッド44の下面には、第1リング突起202が形成されている。ヘッド44が最下位置すなわち規定位置に位置決められた状態では、第1リング突起202が第1リング溝198内に進入し、両者が嵌合した状態が形成される。その場合、図示されていない制御部により、シャフト43が、ヘッドの最下位置を超えて若干下方に引き下げられる。これにより、スプリング196による弾性作用が発揮される。すなわち、スプリング196により、ヘッド44を下方に押しつける力が生成される。その結果、第1リング溝198と第1リング突起202との間で良好な密着状態が形成される。すなわち、良好な遮光状態を形成できる。すなわち、シャフト43の外面及びベースフレーム181の上面に沿って、サンプル測定室の内部へ進入しようとする外来光を確実に阻止することが可能となる。また、第1リング溝198と第1リング突起202との嵌合により、ヘッド44についての水平方向の位置決め作用を得ることができ、これによれば、サンプル容器36をサンプル測定室内において適正に位置決めることが可能である。
本実施形態においては、上述した内側遮光構造の外側に外側遮光構造が構築されている。具体的には、ベースフレーム181の上面には第1リング溝198を取り囲むように第2リング溝200が形成されている。一方、ケース190が有する脚部の下面には、第1リング突起202を取り囲むように第2リング突起204が形成されている。第2リング突起204は、組立状態で第2リング溝200内に進入し、両者が嵌合状態となる。これにより、ベースフレーム181の周囲からベースフレーム181の上面に沿ってサンプル測定室の内部へ進入しようとする外来光を確実に阻止することが可能である。
シャフト43の外面に沿ってヘッド44内に進入する外来光は、ヘッド44の内部において阻止される。すなわち、天板194が遮光シートを有し、それがヘッド44の本体に対して密着固定されているので、それによりヘッド44内において外来光が閉じ込められる。すなわち、天板194とヘッド44の本体との間の隙間を通じての外来光の進入が阻止される。ヘッド44内で十分な遮光を行うため、望ましくは、遮光シートとして黒色の弾性体からなるシートが利用される。ちなみに、ヘッド44の本体は、例えば硬質の樹脂等により形成される。ベースフレーム181は金属等により構成される。ケース190は金属により構成される。
(F)遮光ユニット(図34−36)
図34には、シャッタ機構42の第1斜視図が示されている。すなわち、図34においては、斜め上方から見たシャッタ機構42が示されている。
シャッタ機構42は、既に説明したように、上側シャッタ機構42Aと下側シャッタ機構42Bとを有する。それらは、固定構造体に対して取付けられている。具体的には、互いに平行に固定ブロック208,210が設けられており、それらの間にはシャフト212及びガイド部材214が配置されている。シャフト212上にはスライド可能にブロックが取付られており、そのブロックは可動体220の一部を構成している。ガイド部材214はガイドレールを構成するものであり、そのガイド部材上において可動体220が有するローラ224が回転運動する。
固定ブロック208と固定ブロック210とにまたがって、水平方向に広がったブロックベース218が設けられている。ブロックベース218は、図13に示したトップフレーム122に相当する部材である。すなわち、ブロックベース218上に案内ブロック30が固定されている。モータ226は、スライド機構182における単一の駆動源を構成し、モータ226により送りネジ216が駆動される。送りネジ216は本実施形態において台形ネジで構成されている。図示されていないブロックが台形ネジ216に連結されており、送りネジ216の回転により、そのブロックを備える可動体220が水平方向に運動する。上側シャッタ機構42Aは、可動体220が有する可動フレームに取付けられており、これと同様に、下側シャッタ機構42Bも可動フレーム222に取付けられている。
図35には、シャッタ機構42の第2斜視図が示されている。すなわち、図35においては、斜め下から見たシャッタ機構42が示されている。可動体220は上側シャッタ機構42A及び下側シャッタ機構42Bを含む。下側シャッタ機構42Bは、遮光板150を有している。遮光板150は、例えば薄い金属板により構成され、そのような金属板を構成する材料として、亜鉛、銅等を挙げることができる。遮光機能と共に、制動放射線を遮蔽する機能をもった金属により、遮光板150を構成するのが望ましい。そのような制動放射線は、鉛ブロックに対して外来放射線が阻止された場合に二次的に生じる放射線である。
遮光板150は、水平部分を成す本体150Aと、それに連なる屈曲部分150Bとを有し、その屈曲部分150Bは垂直部分を構成している。更に屈曲部分150Bは取付部分150Cに連絡しており、取付部分150Cが上述した可動フレームに固定されている。遮光板150の本体150Aにおける基端側には弾性体ブロック228が設けられている。具体的には、弾性体ブロック228は、水平方向に貫通形成されたスリット228Aを有し、そのスリット228A内に本体150Aの一部分、特に基端の一部分が差し込まれている。スリット228Aと本体150Aは互いに固定されておらず、相対的な水平移動が許容されている。弾性体ブロック228を可動フレームに固定してもよいし、それを本体150Aに取り付けるだけでもよい。弾性体ブロック228は例えばゴム部材等で構成されるものである。なお、図35においては、遮光板150における本体150Aを受け入れるスリット構造体(固定構造物)については図示省略されている。
図36にはシャッタ機構42の断面図が示されている。上述したように、上側シャッタ機構42Aは水平方向に並んだ鉛ブロックと筒ガイド146とを有する。鉛ブロックが退避位置にある場合に、筒ガイド146が昇降路上に位置決められ、これによりサンプル容器に対するセンタリング作用(調芯作用)等が発揮される。
具体的には、筒ガイド146の内面において、上端部分がペーパー面146Aとなっており、下端部分もテーパー面146Bとなっている。それらの斜面により上方から下方へサンプル容器が移動する場合において、また下方から上方にサンプル容器が移動する場合において、それに水平方向の位置ずれが生じていたとしても、斜面の作用によりサンプル容器を水平方向の適切な位置に位置決めることが可能である。もちろん、ヘッドに対する調芯機能が発揮されてもよい。
次に、下側シャッタ機構42Bについて説明する。図36にはスリット構造体230が示されている。スリット構造体230は下側シャッタ機構42Bの一部を構成するものであり、それは固定構造体である。スリット構造体230は、大別して、上側プレート232及び下側プレート234を有し、両者の間にスリットが形成されている。スリットの周囲は、遮光板150を受け入れる入口を除き、いずれも封止されており、すなわち外部からスリット内への光の進入が阻止されている。
遮光板150は、図36において退避位置にあり、その場合においては遮光板150の先端部のみがスリット構造体230内に進入している。但し、遮光板150は昇降路から完全に外れた位置にある。
遮光板150の基端側には弾性体ブロック228が取り付けられている。弾性体ブロック228は水平のスリット228aを有し、そこを遮光板150が貫通している。シャッタ機構42がシャッタ動作を行うと、上側シャッタ機構42A中の可動部及び下側シャッタ機構42B中の可動部が退避位置から前方位置へ移動する。これにより昇降路上において上側に鉛ブロックが差し込まれ、その下側に遮光板150が差し込まれる。そのような二重のシャッタ状態により、外来放射線が遮蔽され、同時に外来光が遮蔽される。ちなみに、スリット構造体230は上述したケース190の上端に固定されている。
下側シャッタ機構42B中の可動部が前進位置まで到達すると、弾性体ブロック228に形成された窪みとしての凹部228B内にスリット構造体230の端部が差し込まれることになり、その端部の端面が凹部228Bの奥面に強く突き当たることになる。すなわち、両者が強く密着することになる。これにより、スリット構造体230が有するスリット入口を経由して外来光がスリット内部に侵入することが確実に阻止される。遮光板150の取付端側には垂直部分等の一定の弛み部分が存在しており、遮光板150が前進端に突き上がった場合において、その反作用を遮光板150の基端側で吸収することが可能である。
本実施形態に係るシャッタ機構によれば、単一の駆動源及び単一のスライド機構により放射線の遮蔽と光の遮蔽を同時に行うことが可能であるので、機構を簡略化できると共に制御も簡略化することが可能である。また遮光板が制動放射線を遮蔽あるいは減弱する作用を持った部材で構成されているので、鉛ブロックにおいて制動放射線が発生したとしても、それがサンプル測定室へ到達することを効果的に軽減できるという利点が得られる。
更に、遮光板の根本側に弾性ブロックが設けられ、遮光板が進入するスリット構造体と弾性体ブロックが密着することにより、スリット構造体内部への外来光の侵入が阻止されるので、昇降路を通じて上方から来る外来光に加えて、周囲から進入する外来光についても、効果的な遮光を行えるという利点が得られる。本実施形態においては、搬送テーブルの下側にサンプル測定室を設けたので、すなわち、シャッタ機構が動作する際には昇降路内にシャフトが存在しないので、シャッタ機構の構成を簡略化できるという利点も得られる。
(G)アダプタの変形例(図37−40)
次に、図37乃至図40を用いてアダプタの変形例について説明する。
図37には、第2実施形態に係るアダプタ236を示す第1斜視図が示されている。アダプタ236は、環状枠238と、それに連結された一対のアーム240,242と、を有している。アーム240とアーム242は、互いに対称の形態を有している。そこでアーム242を代表させ、それについて説明する。アーム242は、上側部分242Aと、波状部分242Bと、下側部分242Cと、を有している。下側部分242Cには、下端構造体246が構成されている。同様にアーム240は下端構造体244を有している。
下端構造体244と下端構造体246は対称の構造を有している。下端構造体244は、水平方向に突出したリブ248と、それに固定された支え板250と、を有している。支え板250の上端部250aは、内側に傾斜した傾斜部を構成している。支え板250の中間位置に対して、アーム本体から伸びる補強板252が連結している。
図38にはアダプタ236の第2斜視図が示されている。上述したように、それぞれのアームには下端構造体244,246が形成されている。
図39を用いて下端構造体244,246の作用について説明する。案内ブロックへの当接により、水平方向外側に開き力258が加えられると、それぞれの下端構造体244,246は水平方向外側に運動する。これが符号260で示されている。一方、2つのアーム240,242が閉状態にある場合において、上方からサンプル容器を介して過剰な押圧力254が与えられると、支え板の上端部分が符号256で示すように内側に倒れ込むように変形する。そのような変形により上側からの押圧力254の全部又は主要部分が吸収される。すなわち、下端構造244,246が有する変形部分に押圧力が集中することになるので、上述した2つのアーム240,242の開き運動は生じない。
図12等を用いて説明した第1実施形態においては変形部分に連結されたストッパが利用されていたが、この実施形態においては、内側に倒れ込み運動する変形部分を利用して上方からの押圧力による誤作動が防止されている。いずれの実施形態においても変形が効果的に利用されている。
図40にはラックの断面図が示されている。ラック本体262には上記のアダプタ236が装着されている。符号240A,242Aは各アームが開いた状態を示しており、符号240B,242Bは各アームが閉じた状態を示している。上述したように、そのような閉状態において、上方から押圧力が加わったとしても、一部分の弾性変形によりその押圧力を吸収して、一対のアームの開運動が効果的に防止される。このような第2実施形態に係るアダプタを利用する場合においても、図18等に示した案内ブロックが用いられる。