以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
図1は、本実施形態のインソールの一例を示す概念斜視図である。
この図のように、本実施形態のインソール(0101)は、踵側(0103)をつま先側(0104)よりも高くしたインソールであって、ヒール部分後端面(0102)の主要面が上から下に向かってつま先方向へ傾斜する略平面または曲面で構成されている。
さらに、インソールのヒール部分(0106)の足に接する側である上部にヒール部分よりも全部または一部の端部で2mmから10mm程度幅広の足受面(0105)を備えている。ただし、この点は、必須の構成ではない。
なお、本発明の「インソール」とは、前述のように、いわゆる中底と中敷のどちらも含む。
本明細書において「中底」とは、完成品となる履物の一部品であり、履物の製作工程で組み付けられ取り外しができないものをいう。
また、本明細書において「中敷」とは、履物の製作工程で履物の一部品として取り付け可能なもの、または完成品の履物に追加部品として後で取り付けられ、取り付け、取り外しが可能なものをいう。
つまり、本発明の「インソール」は「中底」として履物と一体として販売される場合もあれば、「中敷」として、履物に取り付けられた状態で、または履物とは別個に販売される場合もある。
<実施形態1:構成>
<インソール全体の構成>
図2は、本実施形態のインソールの一例を示す図である。(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。ただし、(d)で、インソールのヒール部分の横断面が略逆台形となるように構成されている点は、本実施形態に必須の構成ではない。また、(e)は、後述するヒール部分後端面の形状の他の一例を説明するためのインソールのヒール部分付近の部分側面図であり、(f)はインソールのヒール部分後端面の形状の他の一例を説明するための背面図である。また、(g)は、横断面の幅を説明するための図である。
この図の(a)のように、本実施形態のインソール(0201)は、踵側(0203)をつま先側(0204)よりも高くしている。
インソールの平面形状は、靴の内底面全体を覆うように構成しても良いし、この図のように、足の踵側のみでつま先部分のない形状であっても良い。
<ヒール部分の構成>
「ヒール部分」とは、インソールを靴に入れて使用したときに、足の踵を支えることとなる部分をいう。この図では、インソールは足の踵側のみでつま先部分のない形状であるため、インソール全体がヒール部分となる。また、図1では、0106の斜線で示された部分である。なお、後述する足受面など、インソールのヒール部分の足に接する側である上部に別の層を重ねる場合、この部分は、ヒール部分に含まれない。なお、ヒール部分は複層で構成されている場合がある。
ヒール部分の材質は、適度な硬さを有する材料であれば、ゴム、樹脂など特に限定されない。例えば、EVA樹脂を用いても良い。また、単一の材料である必要はなく、複数の材料を組み合わせることもできる。
ヒール部分の硬度は、例えばヒール部分の大部分をEVA樹脂で構成する場合には、50度から75度程度とすればよい(JIS K7312準拠のデュロメータ、アスカーゴム硬度計C型で測定した場合の数値。以下、本明細書中で硬度を示す場合、同様である)。
ヒール部分の硬度は、75度よりも50度に近い値とし、柔らかくすれば、歩行時のクッション性に優れる。しかし、柔らかくしすぎると(硬度が50度よりも小さい場合)、特にヒール部分に高さがある場合、歩行時に体重をかけた際に、インソールがぐらつくなど歩行安定性が害される結果となる。硬度が大きすぎる場合(硬度が75度よりも大きい場合)には履き心地が極端に悪化する。
ただし、ヒール部分の硬度は、必ずしも50度から75度の範囲に限定されるわけではなく、後述するように、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度が小さい場合には、例えば80度程度の硬い材料で構成することで、インソールのヒール部分に置かれた足の踵部分をしっかりと支えることが可能となるなど、硬度が75度以上であることが好ましい場合もある。さらに、この場合は、前述のように履き心地が極端に悪化するので、インソールのヒール部分の上層を柔らかく(75度よりも50度に近い硬度)したり、柔らかい足受面をインソールのヒール部分の上部に備える構成としたりする構成をあわせて備えることが好ましい。
インソールのヒール部分の硬度は、インソールのヒール部分の大部分をEVA樹脂で構成する場合、好ましくは60度から70度程度である。これは官能試験の結果最もよい成績を収めた範囲である。
なお、インソールのヒール部分の硬度については、後述するように、インソールのヒール部分が相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなっている場合など、場合によっては、上述した硬度の範囲に含まれない部分が生じる。すなわち、例えば、上層部分の硬度を50度より柔らかくして、緩衝機能をもたせるといった具合である。この場合は、上層部分が厚すぎなければ歩行時に体重をかけた際にも、下層部分によって十分に踵を支えることができるので、歩行安定性が害されることがない。あるいは、下層部分の硬度を75度より硬くしても、下層部分よりも上に硬度が75度以下の層が十分に厚く形成されていれば、履き心地が極端に悪化するおそれがない。
<ヒール部分の形状>
インソールのヒール部分の平面形状は、例えば、靴の踵側内側面のカーブ形状に沿う形 とすればよい。具体的な寸法の一例は、次のとおりである。
図2(a)で示された両矢印Aは、本実施形態のインソールのヒール部分の長手方向の長さを示している。一般的なブーツ(ムートンブーツや、ゴム長靴のような通常のものよりサイズがゆったりめのブーツを除く趣旨、以下同じ。)のサイズが22.0cmから22.5cm程度の靴に使用されるべき本実施形態のインソール(Sサイズ)では、Aの長さが112.5mmから117.5mm程度、一般的なブーツのサイズが23.0cmから23.5cm程度の靴に使用されるべき本実施形態のインソール(Mサイズ)では、Aの長さが117.5mmから122.5mm程度、一般的なブーツのサイズが24.0cmから24.5cm程度の靴に使用されるべき本実施形態のインソール(Lサイズ)では、Aの長さが122.5mmから127.5mm程度とすれば良い。この場合は、インソールの踵に向かって傾斜が始まる部分(つま先側0204の部分)が十分に靴の後ろよりに位置するので足の甲と靴の甲革との間の余裕が小さい場合にも、足が圧迫されにくい。
図2(b)で示された両矢印Bは、本実施形態のインソールのヒール部分のつま先側端部の幅を示している。本実施形態の前述したSサイズのインソールでは、Bの幅が54mmから56mm程度、本実施形態の前述したMサイズのインソールでは、Bの幅が56.5mmから58.5mm程度、本実施形態の前述したLサイズのインソールでは、Bの幅が59mmから61mm程度とすれば良い。
また、図2(b)で示されている両矢印Dは、本実施形態のインソールのヒール部分のつま先側端部から両矢印Cで示す距離(75mm程度)だけ離れた位置における本実施形態のインソールのヒール部分の足に接する側の面の幅を示している。本実施形態の前述したSサイズのインソールでは、Dの幅が48mmから50mm程度、本実施形態の前述したMサイズのインソールでは、Dの幅が50mmから52mm程度、本実施形態の前述したLサイズのインソールでは、Dの幅が52mmから54mm程度とすれば良い。
なお、図2(b)における具体的な寸法値は、実際のインソールの足に接する面にかぶせて合致する型である紙型ゲージの数値である。
本実施形態のインソールの幅を上記のように構成する場合には、一般的なブーツに使用した場合に、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の左右内側面との間に隙間が生じるおそれが小さい。
<ヒール部分後端面の形状>
本実施形態のインソールは、ヒール部分後端面の主要面が上から下に向かってつま先方向へ傾斜する略平面または曲面で構成されている。
後端面の一部が上から下に向かってつま先方向へ傾斜する略平面または曲面で構成されている場合も「ヒール部分後端面の主要面が上から下に向かってつま先方向へ傾斜する略平面または曲面で構成されている。」形態に含む趣旨とする。
「ヒール部分後端面」(0202)とは、インソールのヒール部分側面の踵側の端付近をいう。インソールのヒール部分後端面は、図2の(c)(d)(f)において、斜線で示した部分、場合によりこの斜線で示した部分を含む部分である。
「上から下に向かってつま先方向へ傾斜する」について説明する。インソールを靴に入れて使用したとき、足に接する側の面を上、靴底側の面を下と表現して説明する。この図の(a)において、インソールのヒール部分後端面の上から下へ向かう矢印(0205)を示すと、この矢印は、垂直ではなく、つま先方向へ向かって傾斜している。
「略平面」とは、平面形状だけでなく、全体に少し丸みを帯びた場合や、角を丸く成形した場合を含む趣旨である。また、この図の(f)のように、平滑面である場合だけでなく、一以上の溝(0207)が形成されているような場合も含まれる。なお、この図では溝のうち一本のみを符号で示している。
この溝は、本実施形態のインソールを中底として履物の製作工程で組み付ける場合に接着剤だまりとして利用できる。また、溝を設けることでインソールを軽量化できるという効果も得られる。
例えば、インソールのヒール部分後端面の上から下に向かってつま先方向へ傾斜する角度が、部分的に異なる場合がある。具体例を挙げると、この図の(e)のように、インソールのヒール部分の上側では、傾斜角を小さくし、下側に向かうにつれて徐々に傾斜角を大きくするといった場合である。
この具体例では、インソールのヒール部分後端面の上部周縁付近(0206)は、傾斜角が小さい方が大きい場合に比べて相対的に薄く形成されるので、弾性が増し、インソールを靴に入れたときに、インソールのヒール部分後端面の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうのでインソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
また、インソールのヒール部分後端面を略平面形状で構成する場合には、様々な靴に対して利用することができる。その理由を以下に説明する。
インソールは、様々な靴に対して用いられることが想定されるが、靴により、靴内側面の丸みのつけ方は異なる。
仮に、靴内底面とインソールの靴底側の面とを同一の形状とし、かつインソールのヒール部分後端面と靴の踵側内側面との間に隙間が生じないように、靴を横から見たときの靴の踵の丸みと同型にインソールのヒール部分後端面を形作れば、インソールの靴に対する汎用性(多くの種類、デザインの靴に対してインソールが適切に利用できる性質)が損なわれる。
この点は、インソールがつま先部分のある形状の場合も、インソールが足の踵側のみでつま先部分のない形状である場合も、同様である。
また、特にインソールがつま先部分のある形状のものに関しては、インソールを靴に入れる場合に、前述した図5のように、インソールを斜めにして、靴の中に差し込み、靴の内底面の中程(この図ではブロック矢印A)とインソールとが接した部分を中心に、インソールの後端面が円弧を描くように、靴に入れることになるので、インソールの後端面付近の一部が靴の踵にあたることで挿入の容易さが失われる。
また、これに比べてインソールが靴内に入りやすくなるよう、靴を横から見たときの靴の踵の丸みの部分よりも小さめにインソールのヒール部分後端面を形成すると、インソールのヒール部分の足に接する側である上部(ヒール部分の上端付近)と、靴の踵側内側面との間に隙間ができてしまうことになる。
また、インソールの靴底側の面の形状を靴内底面と相似形で、全体に小さくするとすれば、さまざまな靴の踵側の形状に対応するために、最も小さい靴内底面を想定して、それに合わせた大きさにする必要がある。しかしながら、インソールの靴底側の面は、インソールに載せられる足を支える役割を有するので、その面積が小さくなりすぎると、インソールがぐらついたり、撓んだりして、しっかりと足を支えることができず、歩行安定性を害する。
この点、図2のようにインソールのヒール部分後端面を略平面に構成する場合には、靴内底面の踵後ろ部分のカーブ形状(上から見てU字に見える部分)や、靴を横から見たときの靴の踵の丸みの部分のカーブ形状にかかわらず使用することが可能である上、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれが小さく、しかも、インソールの靴内底面に接する側の横幅を比較的広くすることができるので、しっかりと足を支えることができる。
また、「曲面」には、平面視で曲線を描く曲面の場合、側面視で曲線を描く曲面の場合の双方がある。すなわち、平面視で曲線を描く曲面の場合には、靴内底面の踵後ろ部分のカーブ形状(上から見てU字に見える部分)に近い曲線で構成される場合と、その逆で、つま先側にえぐれたカーブ形状で構成される場合がある。また、側面視で曲線を描く曲面の場合には、靴を横から見たときの靴の踵の丸みの部分のカーブ形状に近い曲線で構成される場合と、その逆で、つま先側にえぐれたカーブ形状で構成される場合がある。
さらに、「曲面」には、平滑面である場合だけでなく、一以上の溝が形成されているような場合も含まれる。
平面視が曲線となる曲面のうち、インソールのヒール部分後端面の靴内底面上に接する曲線は、靴内底面の踵の丸みと曲率半径が同じかまたは大きい円弧とし、左右方向の靴内底面に接する部分の幅の大部分が靴の内底面と略同じ幅となるようにすれば、インソールの靴底側の面の面積を、さまざまな靴の踵側の形状のうち最も小さい靴内底面を想定して、それに合わせた大きさにした場合と比べ、広くとることができる。したがって、インソールに載せられる足をしっかりと支えることができ、歩行安定性が良い。
<ヒール部分後端面の傾斜角度>
本実施形態のインソールのヒール部分後端面の主要面が上から下に向かってつま先方向へ傾斜する角度について述べる。この角度は、インソールの靴底側の面と平行な面を0度とし、垂直な面を90度とした場合の角度である。本明細書においてはこの角度を「傾斜角度」と称する。すなわち、図2(a)において、αで示された角度である。本明細書において、「ヒール部分後端面の傾斜角度」という場合も同じ意味である。なお、前述のように、インソールのヒール部分の上側において、傾斜角を小さくし、下側に向かうにつれて徐々に傾斜角を大きくする場合など、部分的に角度が異なる場合もあり得る。つまりこれはインソールのヒール部分後端面が直線のみならず曲線で構成される場合も含む趣旨であり、曲線で構成される場合には上から下に向かって曲率半径が徐々に大きくなるような構成も含まれる。
ヒール部分後端面の傾斜角度(α)は、インソールのヒール部分後端面の主要面において30度から70度の範囲とすればよい。「主要面」とはインソールのヒール部分後端面の形状を形作る主な部分である。例えば、図2(c)では、主要面は、斜線で示した0202の部分であり、ヒール部分後端面全体が主要面となる場合もある。ただし、インソールのヒール部分後端面の形状はさまざまであり得るので、実際に手で触ることのできる実体がある面を主要面とする場合もあるし、実体のない面を主要面とする場合もある。後者の場合には、仮想線という概念を用いて主要面をとらえる。すなわち、主要面は、複数の仮想線によってとらえられる面であると考える。
図8は、ヒール部分後端面の主要面を説明するための図である。図8(a2)〜(f)には、踵方向とつま先方向とを結ぶ線に沿ってインソールのヒール部分の略中央付近を切断した場合の縦断面図が示されている。つまり、図8(a2)は、インソールを上から見た図8(a1)のA−A断面図である。なお、これらの図ではインソールは、足の踵側のみでつま先部分のない形状であるが、前述のように、インソールの平面形状は、靴の内底面全体を覆うように構成されている場合もある。また、以下の説明は、略平面または曲面で構成されている場合のいずれである場合にも共通する。
なお、図8(a2)〜(f)各図は、インソール(a1)のA−A断面を表しているが、A−A断面がこのような形状を有していなくてもインソールを側面から観察した場合に、同様な形であれば主要面の捉え方は同様とする。
例えば、インソールのヒール部分の上部に図8(a2)のように踵側に薄板状の突出部(0803)を備えるインソールの場合、ヒール部分後端面の主要面は、突出部の上部後端の各点(0806)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0805)とを結ぶ仮想線0802aがなす面である。なお、「各点」のうち、図8(a2)では、1点のみを図示している(以下、図8(b)〜(f)においても同様である。)ただし、この突出部が柔らかく、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、突出部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、突出部を除いた0802bの部分となる。突出部が柔らかい場合には、突出部が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、突出部が靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、この突出部は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。また、突出部が完全に撓まないで、途中まで撓んだ場合には、この途中の部分から仮想線を考える。
インソールのヒール部分の断面が、図8(b)のようにつま先方向にえぐれた曲線により構成されているインソールの場合について説明する。ヒール部分後端面の主要面は、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0806)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0805)とを結ぶ仮想線0802がなす面である。ただし、インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかく、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の上部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この変形部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の上部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の上部の変形部分は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。
また、インソールのヒール部分(0801)下部に図8(c)のように踵側に張り出す張出部(0804)を備えるインソールの場合、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0806)と、張出部の後端と靴内底面とが接する各点(0805)とを結ぶ仮想線0802がなす面である。インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、張出部が、靴の踵側内側面と接触しない程度に構成されていれば、本実施形態のインソールの効果を奏することができるためである。また、インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかく、インソールのヒール部分後端面の上部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この変形部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の上部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の上部の変形部分は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。
なお、この種の張出部(0804)を備えるインソールは、ヒール部分の実際の後端面(ヒール部分の仮想線を用いた主要面ではない)の傾斜角度が比較的小さくとも、硬い材質で構成する構造などを採用することにより靴内底面に接する張出部の上部空間に出ている踵から直接力を受ける部分(0808)が支えられればインソールが踵側へ倒れたり、又は倒れることでインソールのヒール部分後端面が地面側に接地してしまったりするおそれは小さい。
また、張出部を備えるインソールでは、インソールのヒール部分に載せられた足の踵を十分に支えることができるように、例えば、インソールのヒール部分に硬い金属板や硬い樹脂板(0807)を配置して、踵から直接荷重を受ける部分(0808)と張出部(0804)とでできる楔形空間がつぶれるごとく変形するのを妨げるようにすると良い。
ただし、張出部を除く部分が主要面を形成する場合もあり得る。すなわち、この張出部が、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、張出部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、張出部を除いた部分が主要面となる。つまり、張出部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、この張出部は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。また、張出部が完全に撓まないで、途中まで撓んだ場合には、この途中の部分から仮想線を考える。
さらに、張出部の形状は、平板状に限られない。例えば、図8(d)のようにインソールのヒール部分後端面が、実際には、くの字型に折れ曲がっている場合であってもよい。
この場合にも、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0806)と、この張出部の後端と靴内底面とが接する各点(0805)とを結ぶ仮想線0802がなす面である。ただし、インソールのヒール部分後端面の上部や、張出部が柔らかく、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の上部や、張出部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の上部や張出部の各変形部分は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。
あるいは、図8(e)のように、インソールのヒール部分後端面が略直線と、曲線とから構成されている場合、インソールのヒール部分後端面の主要面は次の2通りの意味に解釈されうる。2通りの主要面が定義できるインソールである場合にはこの2つの主要面が本件発明の角度の条件を満たさなければならない。
まず、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0806)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0805a)とを結ぶ仮想線0802aがなす面である。このように主要面をとらえたとき、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が小さくなりすぎる(30度より小さくなる)と、インソールのヒール部分に載せられた足の踵を十分に支えることができなくなる。
さらに、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の形状を形作る主な部分をなす略直線である仮想線(0802b)がなす面である。なぜならば、図8(e)のような略直線と曲線とから構成されている場合には、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれがあり、その観点から形状の工夫が必要だからである。
つまり、この形状のインソールのヒール部分後端面の傾斜角度が大きくなりすぎる(70度より大きくなる)と、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と靴の踵側内側面との間に隙間が生じてしまい、これを防止するためにこの面を主要面ととらえて形状に限定を施す必要性がある。なお、インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかく、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の上部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この変形部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の上部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の上部の変形部分は主要面を構成する仮想線を考える際に考慮しない。
あるいは、図8(f)のように、インソールのヒール部分後端面が踵側方向に膨らむ曲線で構成されている場合もある。この場合、インソールのヒール部分後端面の主要面は次の2通りの意味に解釈される。2通りの主要面が定義できるインソールである場合にはこの2つの主要面が本件発明の角度の条件を満たさなければならない。
まず、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0806)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0805)とを結ぶ仮想線0802aがなす面である。このように主要面をとらえたとき、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が小さくなりすぎる(30度より小さくなる)と、インソールのヒール部分に載せられた足の踵を十分に支えることができなくなる。
さらに、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の実際の曲面0802cである。インソールのヒール部分後端面が踵側方向に膨らむ曲線で構成されている場合には、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれがあり、その観点から形状の工夫が必要だからである。つまり、この形状のインソールのヒール部分後端面の傾斜角度が大きくなりすぎる(70度より大きくなる)と、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と靴の踵側内側面との間に隙間が生じてしまい、これを防止するためにこの面を主要面ととらえて形状に限定を施す必要性がある。ただし、インソールのヒール部分後端面の一部(例えば踵側内側面と接する部分付近)が柔らかく、インソールのヒール部分後端面の一部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この変形部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の一部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の一部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の変形部分は主要面を構成する踵側方向に膨らむ曲線を考える際に考慮しない。なお、この場合、インソールのヒール部分後端面の主要面の傾斜角度αは、インソールのヒール部分後端面の主要面を構成する曲線の部分部分のなす角度の平均値である。
また、図9は、インソールのヒール部分後端面の主要面を説明するための他の図である。(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は側面図、(d)は断面図、(e)は背面図(踵側から見た様子)を示している。この図に示されたインソール(0901)は、図9(b)のように下から見た場合にヒール部分後端面がつま先側にえぐれたカーブ形状(0903で示されたカーブ)で構成されている。一方、図9(a)のように上から見た場合には、靴の踵側内側面との間で隙間を生じないような形状(靴内底面の踵側のカーブと同様のカーブ形状)となっている。なお、つま先側にえぐれたカーブ形状の左右方向両端(点線で囲まれた0904の部分付近)をヒール部分左右方向両端部と呼んで説明する。
図9を用いて、下から見た場合にヒール部分後端面がつま先側にえぐれたカーブ形状で構成されているインソールにおけるヒール部分後端面の主要面について説明する。この場合、インソールのヒール部分後端面の主要面は、インソールを靴の中に入れ、インソールのヒール部分後端面を靴の踵側内側面に寄せ、足を軽くのせた状態で観察したときに、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0906)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0905)とを結ぶ実線(あるいは仮想線)のうち、側面視で最も踵側に位置する実線0902a(あるいは仮想線)により構成される面である。
つまり、図9(b)や(e)において斜線で示した0902の部分となる。このように主要面をとらえる理由は次のとおりである。
下から見た場合にヒール部分後端面がつま先側にえぐれたカーブ形状で構成されているインソールについて、踵方向とつま先方向とを結ぶ線に沿ってインソールのヒール部分の略中央付近を切断した場合の縦断面を観察する。
図9(d)は図9(a)のインソールのA−A断面図である。この図のように、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0906)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0905)とを結ぶ実線0902b(あるいは仮想線)の傾斜角度(β)は30度よりも小さい場合があり得る。
しかしながら、インソールのヒール部分左右方向両端部(点線で囲まれた0904の部分付近)が踵側に突き出しているために、インソールのヒール部分に載せられた足の踵は、インソールのヒール部分左右方向両端部と靴内底面とで十分に支えられる。すなわち、実線0902b(あるいは仮想線)の傾斜角度(β)がたとえ30度より小さくとも、歩行安定性に影響を与えることがない。
また、インソールのヒール部分後端面の上部の各点(0906)と、インソールのヒール部分後端面と靴内底面とが接する各点(0905)とを結ぶ実線(あるいは仮想線)のうち、側面視で最も踵側に位置する実線0902a(あるいは仮想線)により構成される面の傾斜角度(α)がインソールのポジションニングに影響を与える。
以上の点から、インソールのヒール部分後端面の主要面は、側面視で最も踵側に位置する実線0902a(あるいは仮想線)がなす面となる。なお、インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかく、インソールのヒール部分後端面の上部が靴の踵側内側面にならう形に変形する場合には、この変形部分を除いた部分が主要面となる。インソールのヒール部分後端面の上部が柔らかい場合には、この部分が靴の踵側内側面にならうことで、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。また、インソールのヒール部分後端面の上部が、靴内におけるインソールのポジションニングに影響を与えない程度の柔らかさである場合には、このインソールのヒール部分後端面の上部の変形部分は主要面を構成する実線(あるいは仮想線)を考える際に考慮しない。
インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)は、好ましくは、55度から70度の範囲である。特に好ましくは、60度から66度の範囲である。ただし、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)は、靴のヒール高さ角度(θ)との相関関係等により好ましい値に幅が生じる。この点について、以下に説明する。
図7は、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)と靴のヒール高さ角度(θ)との相関関係を説明するための図である。
一般にヒールの高い靴では、靴内底面と地面とは平行に構成されているわけではなく、靴内底面と地面との距離が大きくなりはじめる部分が、靴のなかばよりつま先側部分にある。多くの場合、この部分は、靴を製作するために利用した靴型(0701)のトレッド・ポイント(接地点:靴型を地面に置いた場合の靴型の底面の前部分と地面(0702)との接触点)近傍である。
靴のヒール高さ角度(θ)は、靴型の接地点(0703)と、靴内底面の後端点(0704)とを結んだ直線と地面とのなす角度である。この角度は、実際の靴の内底面が地面となす角度と必ずしも一致しないが、靴のデザインの多様性にかんがみてこの値を靴内底面が地面となす角度の代表値として本明細書では利用することとする。
靴の内底面は、靴に応じて異なる湾曲形状を有しており、靴のヒール高さ角度は、実際の靴内底面の部分部分の角度と必ずしも一致するわけではない。しかし、靴のヒール高さ角度(θ)は、表1のように、靴のヒールが高ければ大きくなり、靴のヒールが低ければ小さくなる。このような代表値を用いたとしてもこれから説明する内容の正確性を損なうものではない。
インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が小さいと、相対的に、インソールのヒール部分の下側が靴と接する部分(図7(b)において0705の矢印で示した部分)は、相対的につま先側に位置することとなるが、インソールのヒール部分の下側が靴と接していない部分に強い荷重がかかると、インソールのヒール部分後端面が歪んで、足が沈みこむように感じられ、歩行安定性を害することになる。そこで、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)と靴のヒール高さ角度(θ)との和が概ね75度から91度程度となるようにすれば、インソールの上に載せられた足の踵が、インソールのヒール部分
と靴内底面とで十分に支えられ、歩行安定性を害することがない。
表1は、αとθとの和が75度から91度程度となるようにした場合のインソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)を示している。
表1に示すように、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が、30度から76度の範囲であれば、インソールの上に載せられた足の踵が、インソールのヒール部分と靴内底面とで十分に支えられ、歩行安定性を害することがない。なお、この数値は、インソールのヒール部分後端面の下端が靴の踵側内側面に接触するおそれについては考慮していない。
また、以下では、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)について、官能試験の結果に基づいて述べる。以下に示すように、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)は、靴のヒールの安定性、靴のヒールの高さにも影響を受ける。
表2は、本実施形態のインソールについて試し履きをした結果を、靴のタイプ別に示した表である。
このように、ヒールの高さが30mmでヒールの細い靴や、ヒールが太くてもヒールの高さが60mmの靴であれば、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が30度であっても、インソールの上に載せられた足の踵が、インソールのヒール部分で十分に支えられて、歩行安定性を害するおそれは小さく、本実施形態のインソールの作用効果を発揮できる。
これは、靴のヒール自体が細く安定性が比較的乏しい場合には、前重心になりやすく、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が小さくとも、インソールのヒール部分の下側が靴と接していない部分に強い荷重がかかるおそれが減少するためである。さらに、靴のヒール自体が高い場合には、同様に、前重心になりやすく、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が小さくとも、インソールのヒール部分の下側が靴と接していない部分に強い荷重がかかるおそれが減少するためである。このため、靴のヒールの高さが60mm以上の場合には、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)が30度であっても、歩行安定性を害するおそれが小さく、本実施形態の作用効果を発揮できる。
さらに、インソールのヒール部分後端面の傾斜角度(α)は、70度より大きいと、インソールのヒール部分後端面の下端が靴の踵側内側面に接触するおそれが大きくなるので、70度以下とするのが好ましい。
以上の点を総合すると、本実施形態のインソールは、ヒール部分後端面の傾斜角度(α)が、インソールのヒール部分後端面の主要面において30度から70度の範囲とすればよい。
好ましくは、55度から70度の範囲である。55度より小さいと、靴のヒールの高さが概ね50mm未満の靴について、靴のヒールの形状等によっては、歩行安定性を害する場合があり、汎用性が乏しくなるからである。
特に好ましくは、60度から66度の範囲である。これは、靴のヒールの高さが概ね50mmから60mm程度以下の靴について、歩行安定性に優れ、また靴を横から見たときの靴の踵の丸み部分のカーブ形状がきつい場合にも、インソールのヒール部分後端面の下端が靴の踵側内側面につかえて、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じる恐れが小さくなると考えられるので、汎用性が認められるからである。
<ヒール部分後端面の高さ>
図2(a)において、両矢印Fで示された、インソールのヒール部分後端面の高さは、20mmから50mm程度、好ましくは20mmから40mmとすれば、足を長く見せたいとの要求を満たし、上記のインソールのヒール部分後端面の傾斜角度であれば、インソールの上に載せられた足の踵がインソールのヒール部分で十分に支えられなくなるおそれがない。20mmより低ければ、日本人のたとえば女性の平均身長が156センチで4センチほど高くすれば満足度がたかく得られるという統計結果に鑑みて、満足度が低くなりすぎる。一方50mmよりも高くなれば歩行の安定性を損なうおそれが高まり危険である。
<インソール足受面の構成>
図3A及び図3Bは、本実施形態のインソールのうち、さらに足受面を備えるものの一例を示す図である。図3Aにおいて、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。ただし、(d)で、インソールのヒール部分の横断面が略逆台形となるように構成されている点、及び足受面が後述する緩衝材と最表面層とを有し、緩衝材の前端縁近傍がテーパー形状である点などは、本実施形態に必須の構成ではない。図3B(e)から(h)は、テーパー形状の一例について説明するための側面図である。また、図3B(h)は、足受面の構成の他の一例を説明するための側面図である。
この図のように、本実施形態のインソールは、さらに、インソール(0301)のヒール部分(0309)の足に接する側である上部に足受面(0310)を備えていてもよい。
「足受面」は、足裏の少なくとも一部と接することで、足裏にかかる荷重を受ける面である。足受面の形状、材質は、特に限定されない。
(足受面の形状の一例)
足受面は、例えば、インソールのヒール部分よりも、「全部または一部」の端部で2mmから10mm程度幅広に構成されていても良い。つまり幅広となる差分は、この図3Aの(d)においてdで表されたそれぞれの長さである。ただし、この構成は必須の構成ではない。一部の端部が幅広に構成されているとは、例えば、インソールの左右と踵側の端部のみが2mmから10mm程度幅広に構成されている場合などが含まれる。
インソールのヒール部分の足に接する側である上部にインソールのヒール部分よりも「一部」の端部で2mmから10mm程度幅広の足受面を備えている場合について説明する。なお、この場合、インソールのヒール部分の他の端部ではインソールのヒール部分より2mm未満幅広な構成と、インソールのヒール部分より10mmを超えて幅広な構成の両者が想定できる。
前者の場合、すなわち、インソールのヒール部分の他の端部ではインソールのヒール部分より2mm未満幅広な構成について述べる。たとえば、インソールのヒール部分の端部の一部であるインソールの左右と踵側で2mmから10mm程度幅広の足受面を備えている場合で、かつ、つま先側にインソールの足受面がない場合である。この場合、インソールは、図3A及びBで示したインソールと異なり、靴の踵側後ろ半分に入れて使用するようなハーフサイズのインソールである。このような形状のハーフサイズのインソールでは、インソールのヒール部分の足に接する側である上部に備えられた足受面と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるおそれを小さくできるとともに、つま先側に足受面がないために、足受面がない部分では足受面があるものに比較して相対的にインソールが薄く構成される。したがって、足の甲に対応する部分に足受面がない場合には、足の甲と靴の甲革との間の余裕が小さい場合にも、足が圧迫されにくい。
インソールのヒール部分の足に接する側である上部にインソールのヒール部分よりも「全部」の端部で2mmから10mm程度幅広の足受面を備えている場合について説明する。この場合も、インソールは、靴の踵側後ろ半分に入れて使用するようなハーフサイズのインソールである。
このような形状のハーフサイズのインソールでは、同様にインソールのヒール部分の足に接する側である上部に備えられた足受面と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるおそれを小さくできる。また、インソールのヒール部分のつま先側端部では、2mmから10mm程度しか足受面が存在しないので、靴のつま先側の大部分にはインソール(足受面)が配置されず、したがって靴の甲革によって足が圧迫されにくいとの効果を得られる。
なお、この場合には靴のつま先側のインソールが配置されない部分と、インソールが配置される部分との段差が場合によって足に不快感をもたらすおそれがあるが、これを回避するために、足受面を後述する緩衝材等の柔らかい材料で構成することが考えられる。
このように構成すると、インソールのヒール部分と靴内底面との段差を足に強く感じさせることがなく履き心地を良く構成できる。
あるいは、足受面がインソールのヒール部分のつま先側の端部よりも、10mm程度以上幅広(つまり足先に向かって長く)に構成されていても良い。例えば、靴の内底面の平面形状と略同型であっても良い。この場合、インソールは、図3A及びBのように靴内底面全体を覆うようなフルサイズのインソールである。靴の内底面の平面形状と略同型とすれば、インソールのヒール部分からつま先まで足受面を継ぎ目なく構成することができるので、足裏が継ぎ目に当たることがなく、履き心地が良い。また、靴の内部でインソールが前方にずれるおそれを軽減できる。
なお、図3A及び図3Bには、インソールのヒール部分後端面(0302)、インソールのつま先側(0304)踵側(0303)も、参考のために示されている。
(足受面の硬度)
インソールの足受面の硬度は、インソールのヒール部分の硬度と同じか、あるいは、これより柔らかく構成すれば良い。柔らかく構成することにより、歩行時の衝撃を和らげることができて履き心地が向上する。
また、インソールを靴に入れて使用する場合に、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の足受面の端部が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
ただし、インソールの足受面を柔らかい素材で構成した場合には、厚みを厚くしすぎると、インソール全体を柔らかい素材で形成した場合と同様に、歩行時に体重をかけた際に、ぐらつくなど安定性が害される結果となって好ましくない。
(足受面の材質の一例)
インソールの足受面の材質は、スポンジ素材、ゲル素材、ゴム素材など特に限定されない。例えば、ウレタンスポンジを用いることができる。
本実施形態に必須の構成ではないが、足受面は、歩行時の衝撃を和らげるための緩衝機能を有する柔らかい素材で構成することとしても良い。この緩衝材で構成された足受面の形状は足裏の全面を覆うこととしても良いが、足裏の一部を覆うこととしても良い。足裏の一部を覆う形状の一例として、例えば、本願出願人による特願2010−101800のように、靴に入れた足の第1基節骨の骨底から第5基節骨の骨底まで各基節骨の骨底を結ぶ線と、第1基節骨の中間から第5基節骨の中間まで各基節骨の中間を結ぶ線とに挟まれた領域に対応する領域に前端縁を位置するように足受面(緩衝材)を構成してもよい。
その他緩衝材の形状や、さらに、足裏に直接接することとなる最表面層を設ける点など、特願2010−101800の記載を援用する。
足受面が緩衝材と最表面層とから構成されたインソールについて、図3Aを用いて具体的な形状の一例を示すと、足受面は、緩衝機能を有する緩衝材(0305)と、足裏に直接接することとなる最表面層(0306)により構成され、緩衝材の前端縁近傍(0307)は、その厚みが連続的に(場合によりなだらかに、場合より急峻に)薄くなるテーパー状であり、緩衝材の厚さが薄くなり始めるテーパー開始領域は、少なくとも靴に入れた足の第1中足骨頭から第5中足骨頭まで、各中足骨頭をわたる領域よりもつま先側に対応する領域とし、さらに、最表面層は、履き心地を良くするために、天然皮革、人工皮革、合成皮革或いは布材、不織布からなる層とするといった具合である。
足受面を構成する緩衝材の前端縁近傍の形状について付言すると、「テーパー状」には、図3Aの(a)のように、足に接する側の面から連続的に薄くなるテーパー状の場合だけでなく、図3B(e)のように、(a)とは逆に地面側の面から連続的に薄くなるテーパー状の両者が含まれる。なお、(e)図の状態が常に保たれている必要はなく、この図の(f)のように、歩行などによりこのインソールに上から下へ矢印方向に力が加わると、足受面を構成する緩衝材の前端縁近傍の点線で囲んだテーパー状の部分が下の部材に接する場合もある。
また、図3B(e)や(f)のように、足受面のつま先側が最表面層のみからなる場合、この最表面層は薄い方が、足のつま先が窮屈にならないので好ましい。しかし、薄く柔らかい素材の場合には、歩行など靴の中で足が動くことにより、インソールが、折れたり、めくれたり、しわがよったりして、履き心地が悪くなるおそれがある。そこで、厚みを薄く(0.5mm程度)保ちながらも、折れたり、めくれたり、しわがよったりしない程度にしっかりしていることが好ましい。これを実現する手段としては、最表面層自体をある程度硬い材料で形成する(場合により靴内底面の全面に対応して、場合により靴内底面のつま先より部分、たとえば、緩衝材の前端縁近傍よりもつま先側部分に対応して)こともできる。なお最表面層は複数層で形成されていることを除外しない。たとえば二つの膜の重ね合わせや、一つの膜に対して保護層をコーティングするようなケースでは最表面層が複数層で構成されることとなる。図3B(g)のように、最表面層(0306)にある程度硬い材料で形成された薄い部材(0308)を貼りあわせても良い。
あるいは、足受面を構成する緩衝材の厚みを、足先方向に向かって徐々に薄くするといった構成としても良い。例えば、ウレタンフォームなどの合成樹脂発泡体では、圧縮率が高いほど硬くなるので、最表面層に薄い部材を重ねて配置するのと同等の効果を厚みのコントロールで得ることができる。具体的には、例えば、図3B(h)のように、緩衝材の厚みが徐々に薄くなるといった具合である。
<その他の構成>
(ヒール部分が複層で構成されている場合)
さらに、必須の構成ではないが、インソールのヒール部分は少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなっていても良い。
インソールのヒール部分の材質として、異なる材料を使用することにより、硬さを変えても良いし、あるいは、同質の材料であっても、圧縮率の異なる部材を使用することで、硬さを変えることもできる。なお、上層と下層の中間に、上層より硬く下層より柔らかい一以上の中間層を有していても良く、また、上層から下層にかけて徐々に硬度が硬くなるような構成であっても良い。
このように、インソールのヒール部分が少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなる場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
(インソールの固定手段)
さらに、例えば、靴の踵側後ろ半分に入れて使用するようなヒール部分のみ、又はヒール部分にのみ足受面を備えたようなハーフサイズのインソール(インソールのヒール部分よりも若干(10mm程度)幅広の足受面を備える場合を除外する趣旨ではない。)に関しては、インソールが靴の中でずれないように、固定するための両面テープを、インソールの靴底側の面に配置しても良い。具体的には、長方形の両面テープがインソールの靴底側の面の踵寄りに配置されるといった具合である。足を支えるために強く力のかかる踵寄りに両面テープを配置することで、両面テープによる固定を確実に行うことができる。
なお、インソールが最表面層等の部材を備えており上から見た場合に靴の内底面全体が覆われている場合には、両面テープを用いなくとも、インソールが靴の中でずれるおそれが小さい。ただし、補助的に、インソールの靴底側の面に両面テープを配置して、固定を確実に行うこととしてもよい。
<実施形態1:効果>
本実施形態のインソールは、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれが小さく、また、インソールを後から靴に入れる場合にも装着が容易である。以下に説明する。なお、「インソールのヒール部分の足に接する側である上部」は、場合により、インソールのヒール部分の上端面付近を指す場合もあるし、インソールのヒール部分の足に接する側である上部に足受面を備える場合には、足受面を指す場合もある。足受面を備える場合には、インソールのヒール部分の上端付近と靴の踵側内側面との間に隙間があっても、足受面により、靴を上から見た場合に隙間が生じず、本発明の効果を発揮することができる場合があるからである。
ここで、再び図5を参照する。前述のとおり、(a)はヒール部分後端面が垂直に形成されているインソールを、(b)は本実施形態のインソールを示している。
この図の(a)ように、ヒール部分後端面が垂直に形成されているインソールにおいては、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができてしまうことになり、また、インソールを後から靴に入れる場合に、装着が難しい。この点については、発明が解決しようとする課題において既に説明したところと同様であるので、この記載を援用する。
これに対し、この図の(b)のように、本実施形態のインソール(0504)では、インソールのヒール部分後端面の下端が靴の踵側内側面に接触することがないので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるおそれが小さい。
また、インソールを後から靴に入れる場合には、インソールを斜めにして、靴の中に差し込み、靴の内底面の中程(この図ではブロック矢印A)とインソールとが接した部分を中心に、インソールの後端面が円弧を描くように、靴に入れられることになる。この図では、インソールを靴に入れる途中の様子を、点線で示している。この際、踵側が高いインソールでは、インソールを靴に入れる際に、インソールの後端面付近が、靴の踵側内側面と接触することとなる。具体的には、この図のブロック矢印Bの部分が、インソールの斜線の部分と接触することになる。
しかしながら、本実施形態のインソールにおいては、この図のように接触面が小さく、相対的に薄いため、その弾性により、インソールを靴に入れるのが容易で、また、インソール全体が靴の中でつま先側にずれてしまうこともない。この結果、インソールを靴底の中で適切な位置に入れることができ、また、インソールの足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができてしまうおそれも小さい。
また、靴自体のヒールが高く、したがって、靴の内底面と地面との間の角度が比較的大きい場合にも、インソールのヒール部分後端面の下端が、靴の踵側内側面につかえてしまい、インソールの足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるおそれが小さい。
さらに、インソールのヒール部分の足に接する側である上部にインソールのヒール部分よりも全部または一部の端部で2mmから10mm程度幅広の足受面を備えている場合には、次のような効果を有する。すなわち、靴の踵側内側面の幅が比較的広い場合には、インソールのヒール部分の足に接する側である上部に備えられた足受面と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるのを防ぐことができ、逆に、比較的狭い場合には、この幅広に構成された部分が撓むことにより、さまざまな靴に入れて使用することが可能になる。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
本実施形態のインソールは、実施形態1を基本としつつ、さらに、インソールのヒール部分は、足に接する側である上部に向けて横断面が略逆台形となるように構成されていることを特徴とする。
<実施形態2:構成>
本実施形態のインソール全体の構成、インソールのヒール部分の構成(本実施形態で述べるヒール部分横断面の形状に関するものを除く)、インソールの足受面の構成、その他の構成については、実施形態1で述べたところと同様であるので説明を省略する。
<ヒール部分横断面の構成>
図4は、本実施形態のインソールの一例を示す図である。(a)は平面図、(b)は背面図、(c)はA−A断面図、(d)は緩衝材を有する場合のA−A断面図を示している。
ヒール部分横断面とは、本実施形態のインソールを靴に入れたときに踵側とつま先側とを結ぶ長手方向に対して、直交する平面によって切った断面を指す。
この図の(c)のように、本実施形態のインソール(0401)は、横断面が略逆台形となるように構成されている。なお、図(b)には、インソールのヒール部分後端面(0402)も示されている。
「略逆台形」とは、台形の各辺がかならずしも直線で形成されていない場合を含む趣旨である。例えば、台形の上底に当たるインソールのヒール部分の足に接する側の面が、足裏の凹凸に応じた凸凹を有する場合、その横断面となる台形の上底は曲線で形成される場合もある。
また、台形の下底に当たるインソールの靴底側の面が、靴内底面の凹凸に応じた凸凹を有する場合、その横断面となる台形の下端は曲線で形成される場合もある。また、インソールのヒール部分の側面が、上から下に向かって、部分的に角度が異なったり、曲線を描いたりする場合があり、この場合は、横断面となる台形の平行でない二辺は途中で折れ曲がっていたり曲線を描いていたりする場合がある。
例えば、図4(c)のように、下側に向かうにつれて、傾斜角が徐々に大きくなるなどといった具合に、側面が内側にえぐれる形状となる場合も、略逆台形に含まれる。この場合は、インソールのヒール部分の上部周縁付近(0403)が相対的に薄く形成されるので、弾性が増し、インソールを靴に入れたときに、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうのでインソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
なお、具体的な寸法を一例として示す。
図2(c)で示されている両矢印Eは、本実施形態のインソールのヒール部分のつま先側端部から両矢印Cで示した距離(75mm程度)だけ離れた位置における本実施形態のインソールのヒール部分の靴底側の面の幅を示している。本実施形態のインソールが、実施形態1で述べたような寸法である場合、本実施形態の前述したSサイズのインソールでは、Eの幅が45mmから47mm程度、本実施形態の前述したMサイズのインソールでは、Eの幅が47mmから49mm程度、本実施形態の前述したLサイズのインソールでは、Eの幅が49mmから51mm程度とすれば良い。
なお、図2(c)における具体的な寸法値は、実際のインソールの靴底側の面にかぶせて合致する型である紙型ゲージの数値である。
この場合は、図2(g)のように、靴底側の面の幅(両矢印Eの幅)と足に接する側の面の幅(両矢印Dの幅)との間の差(図のg1とg2の長さの和)が1mmから5mm程度生じることとなる。この場合一般的なブーツに使用した場合に、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間が生じるおそれが小さく、かつ、靴内側面の形状に比較的沿った形状となるので、インソールの左右方向に対する安定性が増す。
あるいは、例えば、インソールのヒール部分の足に接する側である上部周縁付近の全部または一部が庇状に構成されていてもよい。庇の幅は、例えば2mmから10mm程度である。すなわち、インソールのヒール部分の略逆台形の形状は、例えば足受面を備えるインソールと同様の横断面形状となる場合を含み得る。
<その他の構成>
(足受面)
本実施形態に必須の構成ではないが、例えば、図4(d)のように歩行時の衝撃を和らげるための緩衝材(0405)や、最表面層(0406)からなる足受面を本実施形態のインソールのヒール部分の足に接する側である上部にさらに備えることとしても良い。足受面については、実施形態1で述べたところと同様であるので説明を省略する。
(ヒール部分の略逆台形の曲線形状)
さらに、インソールのヒール部分の略逆台形の形状は、上から下に向かって曲率半径が大きくなるような曲線形状であっても良い。
この場合は、側面が内側にえぐれる形状となるが、インソールのヒール部分の上部周縁付近はカーブがきつく、相対的に薄く形成されるので、弾性が増し、インソールを靴に入れたときに、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうのでインソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
(ヒール部分が複層で構成されている場合)
さらに必須の構成ではないが、インソールのヒール部分は少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなっていても良い。インソールのヒール部分の材質として、異なる材料を使用することにより、硬さを変えても良いし、あるいは、同質の材料であっても、圧縮率の異なる部材を使用することで、硬さを変えることもできる。なお、上層と下層の中間に、上層より硬く下層より柔らかい一以上の中間層を有していても良く、また、上層から下層にかけて徐々に硬度が硬くなるような構成であっても良い。
このように、インソールのヒール部分が少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなる場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
<実施形態2:効果>
本実施形態のインソールにより、インソールを靴に入れたときに、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、さらに軽減できる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
本実施形態のインソールは、ヒール部分の足に接する側である上部にインソールのヒール部分よりも幅広の足受面を備えている点に特徴を有する。
<実施形態3:構成>
本実施形態のインソールは、踵側をつま先側よりも高くしたインソールである。「ヒール部分」の構成については、ヒール部分後端面について述べた部分を除き、実施形態1で述べたところと同様であるので説明を省略する。
本実施形態のインソールは、「足受面」を備える。「足受面」の構成については、実施形態1で述べたところと同様であるので説明を省略する。
(ヒール部分が複層で構成されている場合)
さらに、必須の構成ではないが、インソールのヒール部分は少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなっていても良い。インソールのヒール部分の材質として、異なる材料を使用することにより、硬さを変えても良いし、あるいは、同質の材料であっても、圧縮率の異なる部材を使用することで、硬さを変えることもできる。なお、上層と下層の中間に、上層より硬く下層より柔らかい一以上の中間層を有していても良く、また、上層から下層にかけて徐々に硬度が硬くなるような構成であっても良い。
このように、インソールのヒール部分が少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなる場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
<実施形態3:効果>
本実施形態のインソールにより、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
<<実施形態4>>
<実施形態4:概要>
本実施形態のインソールは、ヒール部分が、足に接する側である上部に向けて横断面が略逆台形となるように構成されている点に特徴を有する。
さらに、前記ヒール部分の略逆台形の形状は、上から下に向かって曲率半径が大きくなるような曲線形状である点に特徴を有する。
さらに、前記ヒール部分は少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなっている点に特徴を有する。
<実施形態4:構成>
(ヒール部分横断面の形状)
本実施形態のインソールは、踵側をつま先側よりも高くしたインソールである。インソールのヒール部分後端面の主要面が上から下に向かってつま先方向へ30度から70度の範囲で傾斜する略平面または曲面で構成されている点および、インソールのヒール部分の足に接する側である上部にインソールのヒール部分よりも全部または一部の端部で2mmから10mm程度幅広の足受面を備えている点の二点を除き、実施形態1で述べたところと実施形態2及び3で述べたところと同様であるので説明を省略する。
(ヒール部分の略逆台形の曲線形状)
図6は、本実施形態のインソールの一例を示す図の一例である(a)が側面図、(b)が踵側から見た背面図である。
必須の構成ではないが、この図の(b)のように、インソールのヒール部分の略逆台形の形状は、上から下に向かって曲率半径が大きくなるような曲線形状であっても良い。この場合は、側面が内側にえぐれる形状となるが、インソールのヒール部分の上部周縁付近(0604)はカーブがきつく、相対的に薄く形成されるので、弾性が増し、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならう。このため、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、さらに軽減できる。
(ヒール部分が複層で構成されている場合)
さらに、必須の構成ではないが、インソールのヒール部分(0601)は少なくとも相対的に柔らかい上層(0602)と、相対的に硬い下層(0603)とからなっていても良い。インソールのヒール部分の材質として、異なる材料を使用することにより、硬さを変えても良いし、あるいは、同質の材料であっても、圧縮率の異なる部材を使用することで、硬さを変えることもできる。なお、上層と下層の中間に、上層より硬く下層より柔らかい一以上の中間層を有していても良く、また、上層から下層にかけて徐々に硬度が硬くなるような構成であっても良い。
このように、インソールのヒール部分が少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなる場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
<実施形態4:効果>
本実施形態のインソールにより、インソールのヒール部分の上部周縁付近が相対的に薄く形成されるので、弾性が増し、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、軽減できる。
さらに、インソールのヒール部分の略逆台形の形状は、上から下に向かって曲率半径が大きくなるような曲線形状とする場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、さらに軽減できる。
さらに、インソールのヒール部分が少なくとも相対的に柔らかい上層と、相対的に硬い下層とからなる場合には、靴の踵側内側面の幅が広狭さまざまであっても、インソールのヒール部分の上部周縁付近が靴の踵側内側面にならうので、インソールのヒール部分の足に接する側である上部と、靴の踵側内側面との間に隙間ができるおそれを、さらに軽減できる。