JP5778072B2 - 配線展開装置及び配線展開方法 - Google Patents
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Description
一方、ワイヤハーネスの製作時には、製作者は、布線板等の作業台上に製作用図面を配置し、その上に平面治具を突き刺し、平面治具間に電線を渡らせることが多い(図1参照)。このとき、製作用図面上、ワイヤハーネスの発点、経由点、着点等の位置は、2次元の座標値を使用して表現せざるを得ない。このように3次元から2次元へデータを変換する(「展開する」ともいう)技術として、例えば、特許文献1及び2が存在する。
特許文献2に記載の技術は、上下方向に重なった複数の部品の線分を同一平面に写し、当該平面上で上下方向の重なりを表現する。
そこで、本発明は、複数の電線束が相互に重なることがなく、かつ、末端配線の方向が接続される部品ごとに統一されている状態の電線束の平面図を効率的に作成することを課題とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
さらに、2つの部品が、2つの電線で接続されている場合もある。例えば、部品b及び部品cは、電線L002及び電線L003によって接続されている。この場合、冷却水の温度を示す信号及び流量を示す信号を送る場合のように、部品b及び部品cが異なる種類の制御信号を遣り取りしていること等が想定される。
図3(a)は、3次元空間内の線分PAを示している。発点Pは原点に重なっているので、その座標値は、P(0,0,0)である。節点Aの座標値は、A(4,2,1)である。3次元空間における線分PAを、2次元平面に展開する方法は以下の通りである。
(2)X軸成分、Y軸成分及びZ軸成分のうち、その絶対値が最も大きい成分を特定する。特定される成分は、X軸成分である。
(3)3次元空間における線分PAの長さを取得する。取得される長さは、4.58である。なお、この長さ(t)は、√(42+22+12)の計算結果である。
(4)3次元空間において、原点を中心とし、半径をtとする球を描く。以降、図3(b)を参照する。
(5)当該球と、X軸との交点をA2とする。A2の座標値は、A2(4.58,0,0)である。
2次元平面において、第3の軸をどのように表現するかが問題となる。図4(b)は、その解決方法を示している。第1の軸及び第2の軸と重ならないような角度θ(0度<θ<90度)で第1の軸と交差する軸を、第3の軸とすればよい。
図4(a)には、1つの電線が示されている。当該電線の発点Pの座標値は、P(0,0,0)であり、第1の節点Aの座標値は、A(4,2,1)であり、第2の節点Bの座標値は、B(6,6,2)であり、着点Cの座標値は、C(8,7,6)である。当該電線を、2次元の展開平面(図4(b))上に描くことを考える。
なお、図3及び図4で説明した処理については、図11においても補足説明を行う(詳細後記)。
図5(a)において、ある部品101に対して電線102、103、104及び105が接続されている。電線102、103、104及び105は、発点(●)及び節点(◎)にはさまれた、それぞれ、末端の線分102a、103a、104a及び105aを有する。それぞれの電線102、103、104及び105の末端以外の線分は、3次元空間におけるX軸又はY軸の何れかに平行である。しかしながら、発点の位置が一様ではないことに起因して、端末の線分102a、103a、104a及び105aは、どの座標軸に対しても平行ではない。例えば、線分102a及び103aは、X軸成分及びZ軸成分を有し、線分104a及び105aは、X軸成分、Y軸成分及びZ軸成分を有している。
なお、展開平面においては、複数の電線が同じ位置を通る場合、省略的に1つの電線のみを表記する場合がある。例えば、図5(b)の符号114の箇所には、実際には4つの電線が並列的に通っている。しかしながら、煩雑さを避けるため、1つの電線を代表して表記している(以下、他の図においても同様)。
図6(a)の左側の展開平面図(a1参照)は、1つの電線束を表示している。しかしながら、電線が2箇所で交差している。このような交差があると、製作者の作業効率は低下する。したがって、左側の展開平面図を右側の展開平面図(a2参照)のように修正する必要がある。図6(b)の上側の展開平面図(b1参照)は、2つの電線束を表示している。しかしながら、電線束が1箇所で交差することにより電線束が重なっている。このような重なりがあっても、製作者の作業効率は低下する。したがって、上側の展開平面図を下側の展開平面図(b2参照)のように修正する必要がある。
図7に沿って、配線展開装置1を説明する。配線展開装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、キーボード、マウスなどの入力装置12、ディスプレイなどの出力装置13、主記憶装置14及び補助記憶装置15を有する。これらはバスによって相互に接続されている。補助記憶装置15は、3次元配線モデルデータ31、電線形状情報32、電線束情報33、末端線分展開方向情報34、座標値対応情報35及び2次元配線モデルデータ36を記憶している(詳細後記)。主記憶装置14における、3次元配線情報取得部21、電線端末方向統一部22、電線束モデル生成部23、電線形状生成部24及び電線束レイアウト部25はプログラムである。以降、「○○部は」と主体を記した場合は、中央制御装置11(制御部)が、補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで、各プログラムの機能を実現するものとする(詳細後記)。
図8に沿って、3次元配線モデルデータ31を説明する。3次元配線モデルデータ31においては、背景図面ID欄201に記憶された背景図面IDに関連付けて、背景図面名称欄202には背景図面名称が、電線束ID欄203には電線束IDが、電線ID欄204には電線IDが、経路欄205には経路が、発点欄206には発点の座標値が、発点部品欄207には発点の部品名が、発点コネクタ形状欄208には発点のコネクタのタイプが、着点欄209には着点の座標値が、着点部品欄210には着点の部品名が、着点コネクタ形状欄211には着点のコネクタのタイプが、芯線素材欄212には素材名が、用途欄213には用途が、長さ欄214には長さが、径欄215には径が記憶されている。
背景図面名称欄202の背景図面名称は、背景図面の名称である。
電線束ID欄203の電線束IDは、電線束を一意に特定する識別子である。
電線ID欄204の電線IDは、電線を一意に特定する識別子である。
発点欄206の発点の座標値は、発点の3次元の座標値である。
発点部品欄207の発点の部品名は、発点において電線が接続される部品の名称である。
発点コネクタ形状欄208の発点のコネクタのタイプは、発点において電線と部品とを接続するコネクタのタイプである。
着点部品欄210の着点の部品名は、着点において電線が接続される部品の名称である。
着点コネクタ形状欄211の着点のコネクタのタイプは、着点において電線と部品とを接続するコネクタのタイプである。
芯線素材欄212の素材名は、電線の素材の名称である。
用途欄213の用途は、電線の用途である。例えば、「制御信号」のような電線を通る情報の名称、「直流10ボルト」のような電線を通る電力エネルギーの規格等である。
長さ欄214の長さは、電線の長さ(単位センチメートル)である。
径欄215の径は、電線の直径(単位ミリメートル)である。
図9(a)に沿って、電線形状情報32を説明する。電線形状情報32においては、電線束ID欄221に記憶された電線束IDに関連付けて、電線ID欄222には電線IDが、経路欄223には経路が、発点欄224には発点の部品名及び座標値が、着点欄225には着点の部品名及び座標値が、長さ欄226には長さが、径欄227には径が記憶されている。
詳細は後記するが、3次元配線情報取得部21は、3次元配線モデルデータ31のなかから、電線の展開等に必要なデータ(必要なレコード及び必要な欄)のみを抽出する。つまり、電線形状情報32は、3次元配線モデルデータ31(図8)の一部であるといえる。よって、電線形状情報32の詳細説明は省略する。ただし、図9(a)の発点欄224には、図8の発点欄206及び発点部品欄207の情報がまとめて記憶されている。同様に、図9(a)の着点欄225には、図8の着点欄209及び着点部品欄210の情報がまとめて記憶されている。
図9(b)に沿って、電線束情報33を説明する。電線束情報33においては、電線束ID欄231に記憶された電線束IDに関連付けて、電線ID欄231には電線IDが、本数欄233には電線の本数が記憶されている。
電線束ID欄231の電線束IDは、図8の電線束IDと同じである。
電線ID欄232の電線IDは、図8の電線IDと同じである。但し、ここでは、電線束に含まれるすべての電線を特定する電線IDが記憶されている。
本数欄233の電線の本数は、電線束に含まれる電線の数である。
図10に沿って、末端線分展開方向情報34を説明する。
末端線分展開方向情報34においては、電線束ID欄241に記憶された電線束IDに関連付けて、部品欄242には部品名が、電線ID欄243には電線IDが、個別展開方法欄244には個別展開方向が、統一展開方向1欄245には統一展開方向1が、統一展開方向2欄246には、統一展開方向2が記憶されている。
部品欄242の部品名は、発点又は着点における部品の名称である。
電線ID欄243の電線IDは、図8の電線IDと同じである。なお、末端線分展開方向情報34では、1つの末端の線分は、部品名と電線IDとの組合せによって特定される。
個別展開方法欄244の個別展開方向は、部品に接続される末端の線分の方向である。
当該方向は、同じ部品に接続される他の末端の線分を全く考慮することなく決定される。
統一展開方向2欄246の統一展開方向2もまた、部品に接続される末端の線分の方向である。「群」に含まれるすべての末端の線分についてのX軸成分の2乗値を合計し、合計X成分とする。同様に合計Y成分及び合計Z成分を算出する。当該方向は、これらの合計成分のうち、最も大きい成分に基づき決定される。
電線「L002」の末端の線分の成分のうち、最も絶対値が大きい成分はY軸成分である。したがって、電線「L002」の個別展開方向は、「Y軸」となる。同様に、電線「L003」の末端の線分の成分のうち、最も絶対値が大きい成分はX軸成分である。したがって、電線「L003」の個別展開方向は、「X軸」となる(欄244参照)。
図11に沿って、座標値対応情報35を説明する。当該説明は、図3及び図4において説明した内容を総括的に補足することにもなっている。座標値対応情報35においては、電線ID欄251に記憶された電線IDに関連付けて、座標値欄252には3次元座標値が、展開用座標値欄253には展開用3次元座標値が、展開平面での処理欄254には展開平面での処理内容が、展開平面でのローカル座標値欄255には2次元ローカル座標値が、展開平面でのグローバル座標値欄256には2次元グローバル座標値が記憶されている。
座標値欄252の3次元座標値は、3次元空間内(図4(a))における電線の節点等の座標値である。
展開用座標値欄253の展開用3次元座標値は、3次元座標値を、図3(b)の方法で変換した節点等の座標値である。展開用3次元座標値は、3つの成分を有する3次元データである。しかしながら、3つの成分のうち2つは「0」である。例えば、1行目の「(4.58,0,0)」は、(0,0,0)を起点とし、(4,2,1)を終点とする線分が、展開平面においては、長さが「4.58」であるX軸方向の線分に展開されることを示している。同様に、2行目の「(0,4.58,0)」は、(4,2,1)を起点とし、(6,6,2)を終点とする線分は、展開平面においては、長さが「4.58」であるY軸方向の線分に展開されることを示している。3行目についても同様である。
例えば、1行目の展開平面での処理内容は、「XY平面上を右へ距離4.58だけ進む」である。この説明は、図4(b)の線分P2A2に対応している。因みに、展開平面である「XY平面」は、「XZ平面」又は「YZ平面」に置換されてもよい。ただし、例えば、展開平面である「XY平面」に替えて展開平面を「YZ平面」(Y軸が右方向、Z軸が上方向、X軸が右上方向)とした場合は、「XY平面上を右へ距離4.58だけ進む」は、「YZ平面上を右上へ距離4.58だけ進む」に替わる。
展開平面でのグローバル座標値欄256の2次元グローバル座標値は、展開平面上に任意の点を原点とする座標系を設けた場合の、当該線分の終点の2次元座標値である。ここでは、原点は、最初の線分の起点としている。したがって、n行目の2次元グローバル座標値の成分のそれぞれは、1〜n行目までの2次元ローカル座標値の成分のそれぞれを累計した値となっている。
以上の説明で明らかなように、ある電線を展開することは、座標値欄252の3次元座標値(4,2,1)、(6,6,2)、(8,7,6)、・・・を、展開平面でのグローバル座標値(4.58,0)、(4.58+0,0+4.58)、(4.58+0+4.58×cosθ,0+4.58+4.58×sinθ)、・・・に変換することに他ならない。
図12に沿って、本実施形態の処理手順を説明する。処理手順を開始する前提として、3次元配線モデルデータ31(図8)が補助記憶装置15にすでに記憶されているものとする。
ステップS301において、3次元配線情報取得部21は、3次元配線モデルデータ31を取得する。
3次元配線情報取得部21は、第2に、電線形状情報32(図9(a))の新たなレコードを、3次元配線モデルデータ31のレコードの数だけ作成する。
3次元配線情報取得部21は、第3に、新たなレコードの電線束欄221、電線ID欄222、経路欄223、発点欄224、着点欄225、長さ欄226及び径欄227に、ステップS302の「第1」において取得した、それぞれ、電線束ID、電線ID、経路、発点の座標値及び発点の部品名、着点の座標値及び着点の部品名、長さ並びに径を記憶する。
3次元配線情報取得部21は、第4に、電線束IDの昇順かつ電線IDの昇順に、電線形状情報32のレコードを並び変える。
3次元配線情報取得部21は、第2に、新たなレコードの電線束欄231に、電線束ID欄203に記憶されている(重複分を除いた)電線束IDを転記する。
3次元配線情報取得部21は、第3に、新たなレコードのそれぞれの電線束IDを検索キーとして3次元配線モデルデータ31を検索し、該当したレコードの電線IDを取得する。そして、新たなレコードの電線ID欄232に、取得した電線IDを、検索キーとした電線束IDに関連付けて記憶する。
3次元配線情報取得部21は、第4に、ステップS303の「第3」において記憶した電線IDの数を、本数欄233に記憶する。
3次元配線情報取得部21は、第5に、電線束IDの昇順に、電線束情報33のレコードを並び変える。
電線末端方向統一部22は、第2に、末端線分展開方法情報34(図10)の新たなレコードを、ステップS304の「第1」において取得した電線IDの数の2倍(発点分及び着点分)だけ作成する。
電線末端方向統一部22は、第3に、新たなレコードを2ずつ組にして、それらの電線束ID欄241及び電線ID欄243に、それぞれ、ステップS304の「第1」において取得したレコードの電線束ID及び電線IDを記憶する。
電線末端方向統一部22は、第4に、ステップS304の「第1」において取得した電線IDを検索キーとして、電線形状情報32を検索し、該当したレコードの、発点の部品名及び着点の部品名を取得する。そして、2つずつ組にした新たなレコードのうち一方の部品欄242に発点の部品名を記憶し、他方の部品欄242に着点の部品名を記憶する。
電線末端方向統一部22は、第5に、新たなレコードを部品ごとに並び変える。この段階において、新たなレコードは、「その電線束に含まれる電線の数×2」だけ作成されていることになる。
電線末端方向統一部22は、ステップS304及びS305の処理を、未処理の電線束情報33(図9(b))のレコードがなくなるまで繰り返す。
電線束モデル生成部23は、第2に、ステップS306の「第1」において取得したすべてのレコードの経路を辿り、共通セクションを抽出する。共通セクションとは、ある電線束に含まれるすべての電線が通過する、空間内の1又は複数の線分の集合であり、起点の3次元座標値、中間の節点の3次元座標値及び終点の3次元座標値によって特定される。
電線束モデル生成部23は、第3に、ステップS306の「第1」において取得したすべてのレコードの経路に、ステップS306の「第2」において抽出された共通セクションの起点の3次元座標値及び終点の3次元座標値の2つが含まれているか否かを判断し、1つでも含まれていない場合は、その含まれていない起点(及び/又は終点)の3次元座標値を追加して記憶する。
電線束モデル生成部23は、ステップS306の処理を、未処理の電線束IDがなくなるまで繰り返す。
電線束モデル生成部23は、第2に、共通セクションのうち、電線束の重心に最も近い線分(スタート線分)を展開平面上に展開する。電線形状情報32(図9(a))に記憶されている、経路、発点の座標値及び着点の座標値を使用することによって、電線束モデル生成部23は、電線束ごとにその重心の3次元座標値を求めることができる。径に基づいて、電線ごとにウエイトを付けて重心の3次元座標値を求めてもよい。いま、電線「L001」(図9(a)の1行目のレコード)の線分のうち、共通セクションに属し、かつ、電線束の重心に最も近い線分が、節点(4,2,2)及び節点(4,2,4)を両端に有する線分であったとする。
電線束モデル生成部23は、第3に、スタート線分を展開平面上に展開する。すなわち、前記した方法で、(4,2,2)及び(4,2,4)を、それぞれの展開用3次元座標値に変換する。
なお、電線束モデル生成部23は、ステップS307の「第3」及び「第4」の処理を、電線ごとに繰り返す。複数の電線は共通セクションに含まれる節点を共有しているので、繰り返し処理において、既に他の電線について変換済みである節点の座標値は、図3に示した方法によらず、単純に既存の展開用3次元座標値に置き換えることによって展開したこととしてもよい。
電線束モデル生成部23は、ステップS308の処理を、すべての電線について繰り返し、すべての電線についての処理が終了した後、未処理の次の電線束について、同様の処理を繰り返す。
ステップS308が終了した段階で、電線形状情報32(図9(a))のすべてのレコードについて、経路欄223、発点欄224及び着点欄225の座標値は、展開用3次元座標値に変換されていることになる。
以降において、電線束レイアウト部25は、2次元配線モデルデータにおいて、部品の配置に合わせて電線形状を作成することになる。
電線束レイアウト部25は、第2に、任意の電線についてのレコードの経路、発点の座標値及び着点の座標を取得する。そして、電線束の重心に近い線分から発点に向かって、順に線分を展開平面上に描画する。このとき、処理中の線分が描画済みの少なくとも1つの線分と交差する場合は、交差しなくなるまで、処理中の線分を移動させる。このとき移動の具体的方法には、例えば以下の2つがある。
展開平面がXY平面である場合は、処理中の線分の節点を移動させる方向は、X軸方法又はY軸方向の何れかとする。電線束レイアウト部25は、予め移動方向の優先順位と、異動方向ごとの閾値(移動距離の限度)を補助記憶装置15に記憶しておき、まずX軸の正の方向に節点を移動する。そして、交差が解消した時点で処理を終了する。閾値の距離だけ節点を移動しても交差が解消しない場合は、X軸の負の方向に移動する。閾値の距離だけ節点を移動しても交差が解消しない場合は、Y軸の正の方向に節点を移動する。閾値の距離だけ節点を移動しても交差が解消しない場合は、Y軸方向の負の方向に移動する。
図14(a)は、移動方法1を説明する図である。上の図においては、(1)→(2)→・・・の順で線分が描画され、(6)の線分に至った時点で(3)の線分との交差が生じている。電線束レイアウト部25は、下の図のように、半径が(5)の線分の長さに等しく、(5)の線分と(4)の線分の境目の節点を中心とする円を一時的に描く。そして、その円周上において(6)の線分の(5)側の節点をスライドさせつつ、(6)の線分の節点QをY軸の正の方向に移動することによって交差を解消している。線分の長さが変化することはない。
電線束レイアウト部25は、予め回転方向(時計周り又は半時計周り)の優先順位と、回転方向ごとの閾値(回転角度の限度)を記憶しておく。そして、処理中の線分の発点側の節点を中心として半径が処理中の線分の長さに等しい円を一時的に描く。そして、まず、その円周に沿って、時計周りに節点を回転させる。そして、交差が解消した時点で処理を終了する。閾値の角度だけ節点を時計回りに回転しても交差が解消しない場合は、半時計周りに移動する。
図14(b)は、移動方法2を説明する図である。上の図においては、(1)→(2)→・・・の順で線分が描画され、(6)の線分に至った時点で(3)の線分との交差が生じている。電線束レイアウト部25は、下の図のように、(6)の線分の節点Qを、円周上において時計回りに回転させることによって交差を解消している。
電線束レイアウト部25は、ステップS311の「第2」及び「第3」の処理をある電線のすべての線分について繰り返す。ある電線についての処理が終了した後、ステップS311の「第1」に戻り、次の未処理の電線束について同様の処理を繰り返す。未処理の電線束がなくなった時点で、ステップS311の処理は終了する。
電線束レイアウト部25は、第2に、ステップS312の「第1」において取得した経路、発点の座標値及び着点の座標値に基づいて、当該電線束を展開平面に展開した場合に最も左上に描画される点の座標値(当然2次元である)及び、最も右下に描画される点の座標値を取得し、さらに、当該電線束の重心の座標を求める。
電線束レイアウト部25は、ステップS312の「第1」及び「第2」の処理を未処理の電線束IDがなくなるまで繰り返す。
因みに、この電線束連続情報に基づいて、仮に、単純に電線束「B001」、「B002」及び「B003」を展開平面上に記載すると、図15のようになる。つまり、重なり合う部分が発生する。
(条件1)布線板等の作業台の形状を示す長方形領域(図16の符号261)の左上から順に、電線束範囲長方形を配置する。
(条件2)配置済みの電線束範囲長方形が存在する場合、その長方形のとの距離をdh(図16参照)だけ維持した上で、その右側に処理中の電線束範囲長方形を配置する。dhの値はユーザが任意に設定可能である。
(条件3)配置済みの電線束範囲長方形のうち、最も下まで伸びているものとの距離をdv(図16参照)だけ維持した上で、その下側に処理中の電線束範囲長方形を配置する。dvの値はユーザが任意に設定可能である。
その後処理手順を終了する。
前記では、電線末端方向統一部22は、3次元空間において、部品ごとに、末端の線分の方向を統一する処理を行っている(ステップS305)。そして、電線形状生成部24が2次元配線モデルデータ34を作成した(ステップS310)後に、電線束レイアウト部25は、交差する線分を移動し(ステップS311)、電線束を配置及び再配置している(ステップS313及びS315)。つまり、末端の線分の方向の統一が3次元座標値を変換する処理である一方、電線の交差の回避及び電線束の重なりの回避は、2次元座標値を変換する処理となっている。しかしながら、電線末端方向統一部22は、2次元座標値を変換することによって末端の線分の方向を統一することも可能である。また逆に、電線束レイアウト部25は、3次元座標値を変換することによって、線分の交差を回避し、電線束の重なりを回避することも可能である。このことを、以下に詳しく説明する(前記した内容と一部重複する)。
しかしながら、自動車メーカが、3次元配線モデルデータ31を作成し、部品メーカ向けに多くのコピーを作成して配布するような場合もある。このような場合、これらの処理を3次元空間において行うほうが、全体としての処理工数は少なく処理速度も速い。電線束の設計者及び製作者の実情を踏まえたうえで、何れかが選択され得る。
本実施形態によれば、部品メーカ等において、製作者が、布線板等の作業台上に製作用図面を配置し、その上に平面治具を突き刺し、平面治具間に電線を渡らせる作業の効率が向上する。
11 中央制御装置(制御部)
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置(記憶部)
15 補助記憶装置(記憶部)
21 3次元配線情報取得部
22 電線末端方向統一部
23 電線束モデル生成部
24 電線形状生成部
25 電線束レイアウト部
31 3次元配線モデルデータ
32 電線形状情報
33 電線束情報
34 末端線分展開方向情報
35 座標値対応情報
36 2次元配線モデルデータ
Claims (4)
- 複数の電線束を示す情報に関連付けて、前記電線束に含まれる電線を示す情報と、前記電線が接続される部品を示す情報と、前記電線の両端及び経路の位置を示す3次元データと、が記憶される3次元配線モデルデータが格納される記憶部と、
前記3次元配線モデルデータを参照し、同一の前記電線束に含まれ、かつ、同一の前記部品に接続される複数の前記電線が含まれる群を特定し、前記特定された群に含まれる電線の末端の線分の方向を前記群ごとに1つ決定し、
前記決定した方向に基づいて、前記末端の線分を含む前記電線の両端及び経路の位置を示すデータを3次元から2次元に変換し、変換された前記データを2次元配線モデルデータとし、
前記変換された2次元配線モデルデータにおいて、前記部品の配置に合わせて電線形状を作成し、
前記電線形状を作成する際に、前記電線束が平面に表示された場合に前記電線束同士が重なることがないように、かつ、前記電線束に含まれる前記電線同士が交差することがないように、前記2次元モデルデータにおける電線の両端及び経路の位置を示す2次元データを変更する制御部と、
を有することを特徴とする配線展開装置。 - 前記制御部は、
前記群に含まれる前記末端の線分のうち最も長さが大きいものの3次元成分を比較し、前記比較した3次元成分のうち最も絶対値が大きい成分を特定し、前記特定した成分に基づいて前記方向を決定し、又は、
前記群に含まれる前記末端の線分の3次元成分の値の2乗和を比較し、前記3次元成分のうち最も前記2乗和が大きい成分を特定し、前記特定した成分に基づいて前記方向を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の配線展開装置。 - 配線展開装置の配線展開方法であって、
前記配線展開装置の記憶部は、
複数の電線束を示す情報に関連付けて、前記電線束に含まれる電線を示す情報と、前記電線が接続される部品を示す情報と、前記電線の両端及び経路の位置を示す3次元データと、が記憶される3次元配線モデルデータを格納しており、
前記配線展開装置の制御部は、
前記3次元配線モデルデータを参照し、同一の前記電線束に含まれ、かつ、同一の前記部品に接続される複数の前記電線が含まれる群を特定し、前記特定された群に含まれる電線の末端の線分の方向を前記群ごとに1つ決定し、
前記決定した方向に基づいて、前記末端の線分を含む前記電線の両端及び経路の位置を示すデータを3次元から2次元に変換し、変換された前記データを2次元配線モデルデータとし、
前記変換された2次元配線モデルデータにおいて、前記部品の配置に合わせて電線形状を作成し、
前記電線形状を作成する際に、前記電線束が平面に表示された場合に前記電線束同士が重なることがないように、かつ、前記電線束に含まれる前記電線同士が交差することがないように、前記2次元モデルデータにおける電線の両端及び経路の位置を示す2次元データを変更すること、
を特徴とする配線展開方法。 - 前記制御部は、
前記群に含まれる前記末端の線分のうち最も長さが大きいものの3次元成分を比較し、前記比較した3次元成分のうち最も絶対値が大きい成分を特定し、前記特定した成分に基づいて前記方向を決定し、又は、
前記群に含まれる前記末端の線分の3次元成分の値の2乗和を比較し、前記3次元成分のうち最も前記2乗和が大きい成分を特定し、前記特定した成分に基づいて前記方向を決定すること、
を特徴とする請求項3に記載の配線展開方法。
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