JP5777597B2 - ボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法 - Google Patents

ボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法 Download PDF

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Description

本開示は、ボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法に関する。
ボイラ火炉の壁(ボイラ壁)を構成するボイラ管においては、ボイラの運転により減肉が生じる。このため、定期又は不定期にてボイラを停止し、ボイラ管の肉厚検査が応じて行われている。
例えば特許文献1には、肉厚計探触子を用いてボイラ管の肉厚を検査しながら、肉厚計探触子と一体の受波器を用いて肉厚検査位置を測定し、肉厚の検査結果と検査位置の測定結果をモバイルPCに表示させることが記載されている。具体的には、受波器は、2つ以上の送波器から発信された音波を受信し、音波の到達時間と送波器の位置座標に基づいて、受波器の位置座標が演算により求められる。
一方、特許文献2には、検査位置の測定の基準点となるマーカをボイラに設けることが記載されている。
特開2012−132844号公報 特開2012−132845号公報
ボイラ管の肉厚を検査する場合、最も肉厚が薄くなっている部位を見つける必要がある。そのために、肉厚計探触子をボイラ管の外周面に沿って周方向に移動(回転)させながら、複数の周方向位置で肉厚測定が行なわれる。この場合、周方向位置に応じて、ボイラ壁に対する肉厚計探触子の傾きが変化し、位置測定のための受波器の傾きも変化する。受波器の傾きが大きくなると、検査位置の測定精度が低下してしまうという問題がある。
そこで本発明の少なくとも一実施形態は、ボイラ管の肉厚測定位置の測定精度が向上したボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ボイラ壁を構成するボイラ管の肉厚を測定するための肉厚計探触子、測距信号を受信可能な超音波受信器、同期信号を受信可能な同期信号受信器、及び、前記ボイラ壁に対する前記肉厚計探触子の傾きを測定可能な角度センサを有する可搬ユニットと、それぞれ前記測距信号を送信可能な第1超音波送信器及び第2超音波送信器、並びに、前記同期信号を送信可能な同期信号送信器を有する固定ユニットと、作業者が持ち運び可能であり、前記肉厚計探触子による肉厚の測定結果を表示可能な肉厚表示器と、前記超音波受信器によって測定された測距信号、及び、前記角度センサによって測定された前記肉厚計探触子の傾きに基づいて、前記肉厚計探触子の位置を演算により求める演算器と、作業者が持ち運び可能であり、前記演算器によって求められた前記肉厚計探触子の位置を表示可能な位置座標表示器と、を備えることを特徴とするボイラ管の肉厚検査システムが提供される。
この構成によれば、角度センサにより、ボイラ壁に対する肉厚計探触子の傾きが測定される。測定された傾きを考慮して肉厚計探触子の位置、即ち肉厚の測定位置を演算により求めることで、測定位置を高精度にて測定することができる。
一実施形態では、前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、前記ボイラ管の肉厚検査システムは、相対的な位置関係が既知である3つの基準点を有するスケールを更に備える。
この構成によれば、スケールの3つの基準点を利用することにより、超音波の速度を測定することができる。そして、測定した超音波の速度を用いることにより、位置測定を高精度に行うことができる。
一実施形態では、前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、前記同期信号送信器は、前記同期信号として、赤外線の同期信号を送信する赤外線送信器であり、前記支持装置によって変位可能に支持されている。
この構成では、赤外線送信器が変位可能に支持されている。赤外線送信器には赤外線の照射方向に指向性があり、赤外線送信器と赤外線受信器との間では、赤外線の指向性や強度に依存して、送受信可能な範囲が限定される。赤外線を送受信できない場合、第1超音波送信器及び第2超音波送信器と超音波受信器との間で同期をとることができず、位置測定を行うことができない。この構成では、支持装置の位置を変化させずに、赤外線送信器の位置を変化させることで、赤外線を送受信可能な範囲に赤外線送信器を配置することができ、位置測定可能範囲を拡大することができる。
一実施形態では、前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、前記第1超音波送信器と前記第2超音波送信器の間隔が可変である。
この構成では、第1超音波送信器と第2超音波送信器の間隔が可変である。第1超音波送信器及び第2超音波送信器には、超音波の照射方向に指向性があり、第1超音波送信器及び第2超音波送信器と超音波受信器との間では、超音波の指向性に依存して、送受信可能な範囲が限定される。超音波を送受信できない場合、位置測定を行うことができない。この構成では、支持装置の位置を変化させずに、第1超音波送信器と第2超音波送信器の間隔を変化させることで、超音波を送受信可能な範囲に超音波受信器を配置することができ、位置測定範囲を拡大することができる。
一実施形態では、前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器は、前記支持装置及び前記ボイラ壁の何れにも取付可能である。
この構成では、第1超音波送信器及び第2超音波送信器が、支持装置及びボイラ壁の何れにも取付可能である。このため、例えば障害物等の存在により、ボイラ壁に対して支持装置を取り付けられなくても、ボイラ壁に第1超音波送信器及び第2超音波送信器を取り付けることができる。このため、ボイラ壁において、位置測定不能な領域を減らすことができる。
一実施形態では、ボイラ管の肉厚検査装置は、雰囲気の温度を測定可能な温度センサと、前記温度センサによって測定された温度の変化に基づいて警報を発生可能な警報器とを更に備える。
この構成では、温度センサによって、雰囲気の温度を測定することができる。超音波の速度は、雰囲気の温度によって変化し、温度変化に応じて位置測定精度も変化する。この構成では、雰囲気の温度変化を警報により知ることができ、作業者は、位置測定精度の低下に適切に対応することができる。
一実施形態では、ボイラ管の肉厚検査装置は、雰囲気の温度を測定可能な温度センサを更に備え、前記演算器は、前記温度センサによって測定された温度を考慮して、前記肉厚計探触子の位置を演算するように構成されている。
この構成では、温度センサによって測定された温度に基づいて、測定位置が演算される。超音波の速度は、雰囲気の温度によって変化する。この構成では、温度を考慮して測定位置を演算することにより、超音波の速度変化を考慮して測定位置を演算することができ、位置測定精度が向上する。
一実施形態では、前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取り付け可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置と、前記ボイラ壁に設けられた1つの基準点に対し前記支持装置を位置合わせするために用いられる、互いに交差する2つの基準面とを有する。
この構成では、2つの基準面が交差する点を、ボイラ壁の基準点に一致させるように、ボイラ壁に対し支持装置を取り付けることで、ボイラ壁に対し支持装置を高精度で位置決めすることができる。この結果として、位置測定精度を向上させることができる。
一実施形態では、ボイラ管の肉厚検査装置は、前記演算器により演算された前記肉厚計探触子の位置を記憶装置に記憶させるための位置座標取込スイッチを更に備える。
この構成では、位置座標登録スイッチを操作することにより、位置測定結果を記憶装置に記憶させることができる。この構成によれば、ボイラ管外周に沿って周方向に肉厚計探触子を移動(回転)させることにより、最も薄肉な部分を見つけ、当該部分の肉厚測定結果を記憶装置に簡単に記憶させることができる。
また、本発明の少なくとも一実施形態によれば、ボイラ壁を構成するボイラ管の肉厚を測定するための肉厚計探触子、測距信号を受信可能な超音波受信器、同期信号を受信可能な同期信号受信器、及び、前記ボイラ壁に対する前記肉厚計探触子の傾きを測定可能な角度センサを有する可搬ユニットと、それぞれ前記測距信号を送信可能な第1超音波送信器及び第2超音波送信器、並びに、前記同期信号を送信可能な同期信号送信器を有する固定ユニットと、作業者が持ち運び可能であり、前記肉厚計探触子による肉厚の測定結果を表示可能な肉厚表示器と、前記超音波受信器によって測定された測距信号、及び、前記角度センサによって測定された前記肉厚計探触子の傾きに基づいて、前記肉厚計探触子の位置を演算により求める演算器と、作業者が持ち運び可能であり、前記演算器によって求められた前記肉厚計探触子の位置を表示可能な位置座標表示器と、を備えるボイラ管の肉厚検査システムを用いたボイラ管の肉厚検査方法であって、相対的な位置関係が既知である少なくとも3つの基準点を有するスケールを用いて、前記第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器に対する前記超音波受信器の相対的な配置を決定する配置工程と、前記配置工程で決定された配置にて、前記第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器の各々から前記超音波受信器まで超音波が伝搬するのに要する時間を測定し、前記時間に基づいて前記超音波の速度を演算する音速測定工程と、を備えることを特徴とするボイラ管の肉厚検査方法が提供される。
この構成では、温度センサによって測定された温度に基づいて、超音波の速度が演算される。超音波の速度は、雰囲気の温度によって変化し、温度変化を考慮しない場合、温度変化に伴い位置測定精度が変化する。この構成では、温度に基づいて超音波の速度を演算により求めており、演算により求めた超音波の速度を用いて位置測定を行うことで、位置測定が高精度にて行われる。
一実施形態では、ボイラ管の肉厚検査方法は、前記肉厚計探触子により肉厚測定を行った位置に対し、前記固定ユニットを位置決めする工程を更に備える。
この構成によれば、肉厚測定を行った位置に対し、固定ユニットを位置決めすることで、ボイラ壁にマーカを設ける作業を削減することができ、作業者は効率的に作業を行うことができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ボイラ管の肉厚測定位置の測定精度が向上したボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法が提供される。
ボイラ火炉の概略的な外観を示す斜視図である。 ボイラ火炉の内壁の構造を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムの概略的な構成を示すブロック図である。 図4中の可搬ユニットの外観を概略的に示す斜視図である。 図5の可搬ユニットの外観を概略的に示す平面図である。 図4中の固定ユニットの外観を概略的に示す側面図である。 図6の固定ユニットの外観を概略的に示す平面図である。 図3中のコンター図表示部の表示内容を説明するための概略的な図である。 図3のボイラ管の肉厚検査システムによる検査対象のボイラ壁の一部を示す図である。 図9のボイラ壁のボイラ管に固定ユニットが取り付けられた状態を示す図である。 ボイラ管の周りで可搬ユニットを回転させる様子を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムに適用される、スケールを概略的に示す平面図である。 図12のスケールを用いた音速測定のための可搬ユニットの配置方法を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムにおける、赤外線送信器の同期信号の受信可能範囲を概略的に示す図である。 赤外線送信器の位置が可変である一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムにおける、赤外線送信器を支持レールに対して相対的に変位させたときの、同期信号の受信可能範囲の変化を概略的に示す図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムにおける、第1超音波送信器及び第2超音波送信器の測距信号の受信可能範囲を概略的に示す図である。 第1超音波送信器と第2超音波送信器の間隔が可変である一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムにおいて、第1超音波送信器及び第2超音波送信器を支持レールに対して相対的に変位させたときの、同期信号の受信可能範囲の変化を概略的に示す図である。 温度センサを有する一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムの構成の一部を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムに適用される、位置座標取込ボタンを有するモバイルPCの構成を説明するための図である。 図19の位置座標取込ボタンの使用方法を説明するための図である。 複数の測定区画に対し1つのマーカが設けられている場合の肉厚測定及び位置測定方法を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムを用いた、複数の測定区画に対し1つのマーカが設けられている場合の肉厚測定及び位置測定方法を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムに適用される、変形例のアダプタを有する可搬ユニットの構成を説明するための図である。 図23のXXIII−XXIII線に沿う概略的な断面図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムに適用される、位置測定可能範囲表示ユニットを備える固定ユニットを概略的に示す図である。 図25の位置測定可能範囲表示ユニットの機能を説明するための図である。 赤外線以外の同期手段を有する一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムの構成を概略的に示す図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムが有する、肉厚測定位置のナビゲーション機能を説明するための図である。 一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムが有する、肉厚測定位置のナビゲーション機能を説明するための図である。 図29のボイラ管の肉厚検査システムによってボイラ壁のデスラッガ部周辺の肉厚測定を行って得られる測定結果を概略的に示すコンター図である。 図30のコンター図の未測定領域の肉厚を、未測定領域周辺の肉厚によって補間して得られるコンター図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、ボイラ火炉10の外観を概略的に示す図である。ボイラ火炉10は、内部で燃料を燃焼させ、発生した熱を利用して蒸気を生成する。ボイラ火炉10の内壁(ボイラ壁)は、図2に示したように、互いに平行に配置される複数のボイラ管12と、ボイラ管12同士を繋ぐ平板形状のフラップ14とからなる。
図3は、本発明の一実施形態に係るボイラ管の肉厚検査システム(以下、単に肉厚検査システムともいう。)の構成を概略的に示している。肉厚検査システムは、ボイラ管12の肉厚(壁厚)を検査するためのシステムである。
具体的には、肉厚検査システムは、可搬ユニット16、肉厚計測制御器18、インターフェース20、モバイルPC(パーソナルコンピュータ)22、及び、固定ユニット24を有する。
〔可搬ユニット〕
可搬ユニット16は、ボイラ管12を検査するための検査器としての肉厚計探触子26と、肉厚計探触子26の位置を測定するための超音波受信器28、赤外線受信器30、及び、角度センサ32とを有する。
図4は、可搬ユニット16の外観を概略的に示しており、肉厚計探触子26は軸線を有し、一端に超音波の入出射面を有する。肉厚計探触子26は、入出射面から軸線に沿って超音波を出射し、該超音波の反射波を入出射面で受信する機能を有する。
肉厚計探触子26は、ボイラ管12の肉厚を測定する際、軸線がボイラ管12の外周面に対し直交し、且つ、一端がボイラ管12の外周面に接触するように配置される。肉厚計探触子26は、ケーブルを介して肉厚計測制御器18に接続され、肉厚計探触子26は、肉厚計測制御器18によって制御される。
超音波受信器28、赤外線受信器30、及び、角度センサ32は、例えばプラスチック又は金属製の円柱形状のアダプタ34に取り付けられ、アダプタ34を介して、肉厚計探触子26に固定されている。超音波受信器28、赤外線受信器30、及び、角度センサ32は、それぞれケーブルを介してインターフェース20に接続され、インターフェース20は、ケーブルを介してモバイルPC22に接続されている。
角度センサ32は、肉厚計探触子26の軸線の方位を検出可能であり、例えば、磁気センサやジャイロによって構成される。
また本実施形態では、可搬ユニット16は位置決め用ブロック36を有し、位置決め用ブロック36は、肉厚計探触子26に取り付けられている。図5は、可搬ユニット16を概略的に示す平面図であり、位置決め用ブロック36は、互いに直交する2つの基準面36a,36bを有し、基準面36a,36b同士がなす角を利用して、肉厚計探触子26を希望する位置に正確に配置することができる。
〔肉厚計測制御器〕
再び図3を参照すると、肉厚計測制御器18は、持ち運び可能な小型の計測制御機器であり、肉厚表示部(肉厚表示器)42及び肉厚取込ボタン44を有する。肉厚計測制御器18の制御の下、肉厚計探触子26は超音波を出射し、超音波の反射波を受信する。肉厚計測制御器18は、超音波の出射から反射波の受信までに要した時間に基づいて、ボイラ管12の肉厚を演算して、例えば液晶からなる肉厚表示部42に表示する。
また、肉厚計測制御器18は、ケーブルを介してモバイルPC22に接続されている。肉厚取込ボタン44は、測定した肉厚をモバイルPC22に送信するためのボタンである。肉厚取込ボタン44を押すと、肉厚表示部42に表示されている肉厚がモバイルPC22に送信される。
〔固定ユニット〕
固定ユニット24は、肉厚計探触子26の位置を測定するための第1超音波送信器46、第2超音波送信器48、及び、赤外線送信器50を有する。赤外線送信器50は、赤外線の同期信号を送信可能な同期信号送信器であり、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48は、赤外線送信器50の同期信号と同期して、超音波の距離測定信号(測距信号)をそれぞれ送信可能である。
可搬ユニット16の超音波受信器28及び赤外線受信器30は、測距信号及び同期信号をそれぞれ受信可能な測距信号受信器及び同期信号受信器であり、超音波受信器28及び赤外線受信器30によって受信された測距信号及び同期信号は、ケーブルを介してモバイルPC22に入力される。
ここで、図6は、固定ユニット24の外観を概略的に示しており、固定ユニット24は、第1超音波送信器46、第2超音波送信器48、及び、赤外線送信器50を支持する支持装置52を有する。
支持装置52は、角柱形状の支持レール54、及び、支持レール54の両端部に固定された支持脚56を有する。支持脚56は、例えばマグネットベースからなり、支持装置54は、着脱可能にボイラ管12に取り付けられる。
第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48は、支持レール54の両端部に固定され、赤外線送信器50は、支持レール54の中央部に固定されている。第1超音波送信器46、第2超音波送信器48、及び、赤外線送信器50は、支持レール54の軸線と直交する方向に向けて、それぞれ測距信号又は同期信号を出射可能である。そして、第1超音波送信器46、第2超音波送信器48、及び、赤外線送信器50は、固定ユニット24がボイラ管12に取り付けられた状態では、ボイラ壁に沿うように、換言すれば、ボイラ管12の配列方向に、それぞれ測距信号又は同期信号を出射可能である。
固定ユニット24は、ボイラ管12に対し固定ユニット24を位置決めするための1つ以上の基準点を有し、本実施形態では、2つの基準点を有する。固定ユニット24において、基準点に対する第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48の相対的な位置は既知である。
本実施形態では、図7に示したように、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48が、それぞれ互いに直交する基準面46a,46b,48a,48bを有し、基準面46a,46b,48a,48b同士が交わる角が基準点を構成している。
〔インターフェース〕
インターフェース20は、モバイルPC22が、超音波受信器28及び赤外線受信器30を制御して計測を行うためのマシンマシンインターフェースである。
〔モバイルPC〕
モバイルPC22は、例えばタブレット型PCである。モバイルPC22は、測距信号表示部58、演算部60、位置座標表示部62、記憶部64、及び、コンター図表示部66を有する。
〔測距信号表示部〕
測距信号表示部(測距信号表示器)58は、液晶パネルの一部によって構成される。測距信号表示部58は、超音波受信器28が受信した測距信号を作業者が確認できるように、インターフェース20を介して超音波受信器28から受信した測距信号を表示する。
なお、赤外線受信器30が受信した同期信号をトリガとして、超音波受信器28は測距信号の受信を開始する。従って、同期信号の受信時刻を原点とする測距信号の時間変化が測距信号表示部58に表示される。
〔演算部〕
モバイルPC22には、インターフェース20を介して、角度センサ32が出力した信号(角度信号)も入力されている。演算部(演算器)60は、角度信号と測距信号に基づいて、可搬ユニット16の位置を演算により求める。演算部60は、CPU(中央演算処理装置)によって構成される。
具体的には、演算部60は、受信強度の時間変化に基いて、第1超音波送信器46からの測距信号の到達時刻、及び、第2超音波送信器48からの測距信号の到達時刻を決定する。そして、演算部60は、測距信号の到達時刻及び音速に基いて、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48の各々と超音波受信器28との距離を演算により求める。
ここで、第1超音波送信器46と第2超音波送信器48は、ボイラ壁と平行なXY面内の所定の位置座標に設置される。従って、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48の各々と超音波受信器28との距離が求められれば、XY面内における超音波受信器28の位置座標を求めることができる。
それから、演算部60は、角度センサ32の角度信号に基づき肉厚計探触子26の軸線の傾きを考慮して、超音波受信器28の位置座標から、肉厚計探触子26の超音波入出射面の位置座標、即ち肉厚の検査位置の位置座標を演算により求める。
〔位置座標表示部〕
位置座標表示部(位置座標表示器)62は、液晶パネルの一部によって構成される。位置座標表示部62は、演算部60によって求められた位置座標を表示する。
〔記憶部〕
記憶部64は、例えば、ハードディスク等の記憶装置によって構成される。本実施形態では、記憶部64は、肉厚取込ボタン44が押され、モバイルPC22が肉厚の測定値を受信したときに、受信した肉厚の測定値と、その受信時に測定されている位置座標とを対応付けて記憶する。
〔コンター図表示部〕
コンター図表示部(コンター図表示器)66は、液晶パネルの一部によって構成される。コンター図表示部66は、記憶部64に記憶された肉厚の測定値と位置座標のデータに基づいて、肉厚の等高線図(コンター図)を表示する。
コンター図表示部は、図8に示すように、ボイラ壁の画像又は図面と重ね合わせて、等高線図を表示することができる。ボイラ壁の画像データ又は図面データは、予め用意され、記憶部64に格納されている。
なお、モバイルPC22は、肉厚の測定結果を視覚的に表示可能な表示部を有していればよく、表示形式は等高線図に限定されない。例えば、モバイルPC22は、肉厚の測定結果を段彩図として表示する表示部を有していてもよく、肉厚の測定結果を色付きの記号を用いて表示する表示部を有していてもよい。
或いは、モバイルPC22は、肉厚の測定結果が同程度である範囲を、該範囲に渡って延びる両端に矢印を有する線で表示する表示部を有していてもよい。或いは、モバイルPC22は、肉厚の測定結果が所定の範囲内である領域(許容可能領域)と、肉厚の測定結果が所定の範囲外である領域(許容不可領域)を識別できるように表示する表示部を有していてもよい。この表示部は、例えば、肉厚の測定結果が所定の範囲内である領域と、肉厚の測定結果が所定の範囲外である領域を色分けして表示すればよい。
なお、本実施形態では、肉厚計測制御器18、インターフェース20及びモバイルPC22が別体であるが、肉厚計測制御器18、インターフェース20及びモバイルPC22の機能を有する作業者が持ち運び可能な一つの計測制御器を用いてもよい。
〔使用方法〕
以下、上述した一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムの使用方法について説明する。
図9は、検査対象のボイラ壁の一部を概略的に示す図である。ボイラ壁は側壁であり、複数のボイラ管12が相互に水平方向に離間して配列され、各ボイラ管12は鉛直方向に延びている。ボイラ壁の近傍には、作業員のために高さ2m間隔で足場70が組まれている。
ボイラ管12には、位置測定の基準点となるマーカ72が設けられている。本実施形態では、複数のマーカ72が、鉛直方向及び水平方向に所定の間隔で設けられている。
本実施形態では、ボイラ管の肉厚検査は、ボイラ壁の検査対象の領域を複数の測定区画に分けて、測定区画単位で順次行う。図9中の1点点線の四角形は、1つの測定区画74を示している。測定区画74は、例えば、縦が2mで横が3mの広さを有する。マーカ72は測定区画74毎に設けられている。
図10は、固定ユニット24がボイラ管12に取り付けられた状態を示す図である。固定ユニット24は、マーカ72を基準点として、ボイラ管12に対し位置決めされている。本実施形態では、直交する基準面46a,46bによって形成される角がマーカ72に一致するとともに、レーザ水準器を用いて支持レール54が鉛直方向に沿うように、固定ユニット24が配置される。基準面46a,46bによって形成される角に対する、第1超音波発信器46及び第2超音波発信器48の相対的な位置は既知であり、固定ユニット24をマーカ72に対して位置決めすることは、第1超音波発信器46及び第2超音波発信器48をマーカ72に対して位置決めすることに相当する。
固定ユニット24の配置後、測定区画74内でボイラ管12の肉厚測定及び位置測定が実行される。
肉厚測定は、各ボイラ管12について、ボイラ管12の軸線方向にて所定間隔で実行される。具体的には、ボイラ管12の各軸線方向位置において、図11に示すように、ボイラ管12の外周面に肉厚計探触子26を当接させながら、ボイラ管12の軸線周りにて肉厚計探触子26を回転させる。そして、肉厚計探触子26を回転させる間、肉厚計測制御器18の肉厚表示部42を見て、肉厚が最も薄い薄肉部を見つけ出す。
それから、作業員は、薄肉部の肉厚が肉厚表示部42に表示されている状態で、肉厚取込ボタン44を押し、肉厚の値を肉厚計測制御器18からモバイルPC22に送信する。
モバイルPC22では、肉厚測定の間、肉厚測定を行っている位置座標の測定を所定間隔で繰り返し行っており、測定座標表示部62が、位置座標の最新の測定結果を表示している。つまり、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48の各々と超音波受信器28との距離L1,L2が測定されるとともに、肉厚計探触子26の軸線の傾きθが測定され、距離L1,L2及び傾きθに基づいて、肉厚の測定位置の位置座標が演算されている。つまり、モバイルPC22は、傾きθに基づく、ボイラ管12の配列方向での超音波受信器28からの肉厚計探触子26の超音波入出射面のずれΔpを補正して、肉厚の測定位置の位置座標を演算している。
そして、モバイルPC22は、肉厚計測制御器18から肉厚の値を受信すると、受信した肉厚の値を、受信時に測定している位置座標の値と関連付けて、記憶部64に記憶する。
コンター図表示部66は、適当な時間間隔で等高線図を更新し、更新のたびに、新しく記憶された肉厚の値が、等高線図に加えられていく。
なお、測定される位置座標は、マーカ72の位置座標を基準とする相対的な位置座標である。
上述したボイラ管の肉厚検査システムによれば、角度センサ32により、ボイラ壁に対する肉厚計探触子26の傾きが測定される。測定された傾きを考慮して、肉厚測定の測定位置を演算により求めることで、測定位置を高精度にて測定することができる。
本発明は、上述した一実施形態に限定されることはなく、種々変形が可能である。なお、以下の実施形態の説明において、先行する実施形態と同一又は類似の構成については、同一の符号を付して説明を簡略化又は省略する。
例えば、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、図12に示すような、スケール75を更に備えていてもよい。スケール75は、音速の測定に用いられる。
スケール75は、3つ以上の基準点を有し、本実施形態では、第1基準点76a,第276b及び第3基準点76cを有する。スケール75は、例えばL字型スケールであり、相互に直交する長辺及び短辺を有する。第1基準点76aは、長辺の先端部に設けられ、第2基準点76bは短辺の先端部に設けられ、第3基準点76cは、長辺と短辺とが直交する角部に設けられている。基準点76a,76b,76cの相対的な位置関係は既知である。
超音波の音速を測定するために、スケール75は、例えば図13に示したように、固定ユニット24が位置合わせされたマーカ72に対して、第1基準点76aを位置合わせして配置される。この際、レーザ水準器を用いて、スケール75の長辺が水平に配置される。
それから、可搬ユニット16が、基準面36a,36b同士のなす角を利用して第2基準点76bに位置合わせして配置され、第1超音波送信器46、第2超音波送信器48及び超音波受信器28を用いて、距離測定が行なわれる。
次に、可搬ユニット16が、基準面36a,36b同士のなす角を利用して第3基準点76cに位置合わせして配置され、第1超音波送信器46、第2超音波送信器48及び超音波受信器28を用いて、距離測定が行なわれる。
つまり、第2基準点76b及び第3基準点76cの2つの位置で距離測定が行われる。なお、距離測定の順番は逆であってもよく、第3基準点76cで先に距離測定を行ってもよい。
相対的な位置関係が既知の2つの位置に超音波受信器28を配置し、各位置で、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48と超音波受信器28との間の距離測定を行えば、たとえ支持レール54が鉛直方向から傾いていたとしても、距離測定結果に基づいて、音速を演算により求めることができる。そして、求めた音速を用いて肉厚の測定位置を測定することで、測定位置を高精度に測定することができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、支持レール54に対する赤外線送信器50の相対的な位置は可変であってもよい。赤外線送信器50が出射する同期信号には指向性があり、同期信号は、図14に一点鎖線で示すように、ある程度の広がりをもって伝搬する。また、同期信号は減衰するため、同期信号の伝搬距離には限界がある。このため、固定ユニット24と可搬ユニット16の距離が短すぎても長すぎても、同期信号の受信強度が低下し、同期がとれなくなる。このため、固定ユニット24の近傍及び遠方には、位置測定不能領域が存在する。
そこで、図15に示すように、赤外線送信器50の位置を、支持レール54と直交する方向に変化させることで、超音波受信器28が同期信号を受信可能な範囲を広げ、もって位置測定可能範囲を広げることができる。例えば、支持レール54に対し、可搬ユニット16と同じ側に赤外線送信器50を配置することで、同期可能範囲を支持レール54から遠方に移動させることができ、支持レール54に対し、可搬ユニット16と反対側に赤外線送信器50を配置することで、同期可能範囲を支持レール54の近傍に移動させることができる。
なお、赤外線送信器50は、例えば、多関節アームのような伸縮機構や、ロッド及びロッドに対してスライド可能なスライダからなるスライド機構等の支持手段によって、支持レール54に取り付けることができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、支持レール54上における第1超音波送信器46と第2超音波送信器48の間隔は、可変であってもよい。第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48が出射する測距信号には指向性があり、測距信号は、図16に一点鎖線で示すように、ある程度の広がりをもって伝搬する。測距信号の広がりは有限であるため、測定位置が近すぎると、測距信号の受信強度が低下し、測定精度が低下してしまう。このため、固定ユニット24の近傍には、位置測定の測定精度が低くなる測定不能領域が存在する。
そこで図17に示すように、第1超音波送信器46と第2超音波送信器48の間隔を縮小することができれば、測距信号の重なりが大きくなり、測定不能領域が縮小される。つまり、第1超音波送信器46と第2超音波送信器48の間隔を変更することによって、位置測定の測定可能領域を広げることができる。
なお、第1超音波送信器46と第2超音波送信器48の間隔が可変である場合も、第1超音波送信器46と第2超音波送信器48の相対的な位置関係は既知であるものとする。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48は、支持装置52及びボイラ壁の何れにも取り付け可能であってもよい。この場合、障害物の存在により支持装置52をボイラ壁に取り付けることができなくても、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48を直接ボイラ壁に取り付けることで、位置測定を行うことができる。この結果、ボイラ壁において、位置測定不能な領域を減らすことができる。
なお、この場合、例えばマグネットベースを用いて、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48をボイラ管12に固定することができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、図18に示したように、更に温度センサ78を備えていてもよい。温度センサ78は、インターフェース20を介して、モバイルPC22に接続される。温度センサ78は、肉厚測定が行われているボイラ火炉10内の雰囲気の温度を測定可能である。
超音波の速度は、雰囲気の温度によって変化する。このため、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48と、超音波受信器28との距離を音速及び測距信号の到達時間に基づいて演算により求める場合、雰囲気温度が変化すると誤差が大きくなる。そして、距離の誤差が大きくなると、肉厚測定位置の測定精度も低下してしまう。
雰囲気の温度を測定可能な温度センサ78を備えていれば、作業者に雰囲気の温度変化を知らせることができ、作業者は適切な対応をとることができる。そのために、本実施形態では、モバイルPC22が、作業者に温度変化を知らせるための警報手段(警報器)として、警報表示部80及び警報音出力部82を有する。
警報表示部80は、液晶パネルの一部によって構成され、温度変化が生じたときに、温度変化を表す文字や図形からなる警報を表示する。作業者は、視覚により警報を認識して、適切な対応をとることができる。
警報音出力部82は、スピーカによって構成され、温度変化が生じたときに、温度変化を表す警報音を出力する。作業者は、聴覚により警報を認識して、適切な対応をとることができる。
なお、警報手段は、スケール75を用いて超音波の音速を測定し、測定した音速を用いて位置座標を演算している場合、音速の測定のときに比べて温度が±2℃以上変化したときに、警報を出力するのが好ましい。つまり、警報手段は、温度が許容範囲から外れたときに警報を出力するのが好ましい。また、温度センサ78は、雰囲気の温度を測定可能であればどこに設置されていてもよく、例えば、インターフェース20に固定される。
ただし、警報を出力するか否かを判定するための温度変化の許容値は2℃に限定されることはなく、位置測定に求められる測定精度に応じて変更してもよい。この場合、作業者が温度変化の許容値をモバイルPC22に手入力してもよく、或いは、作業者が、位置測定に求められる測定精度をモバイルPC22に手入力し、演算部60が入力された測定精度に基づいて温度変化の許容値を演算して求めてもよい。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、温度センサ78を備えている場合、演算部60は、雰囲気温度の変化による音速変化を考慮して、肉厚測定位置の位置座標を演算するようにしてもよい。音速vは、比熱比κ、気体常数R、温度T、及び、分子量Mを用いて、次式:
v=(κRT/M)^0.5・・・(1)
により表すことができる。この式(1)を用いて、音速vを随時補正することにより、位置測定の測定精度を向上させることができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、演算部60が、位置座標の測定結果のばらつきを演算してもよい。そして、警報手段が、ばらつきが大きくなった場合に、警報を出力してもよく、即ち、ばらつきが許容範囲から外れたときに、警報を出力するようにしてもよい。ばらつきの大きさの判定は、実際の肉厚測定位置が同じであるときの位置測定結果のばらつきの最大値や、標準偏差が、所定の最大許容値を超えたか否かを判定することによって行うことができる。
ばらつきの最大値Dmaxは、直近の一定時間内のN回の位置座標の測定結果を(xi,yi)とすると(ただし、i=1〜N)、次式:
Dmax=MAX[MAX(xi−xm),MAX(yi−ym)]・・・(2)
(ただし、i=1〜Nであり、xm及びymは、それぞれxi及びyiの平均値である。)
によって表される。ばらつきの最大値Dmaxが所定の最大許容値Dtを超えたことは、警報表示部80や警報音出力部82を用いることによって、作業者に知らせることができる。
ばらつきの標準偏差σは、次式:
により求めることができる(ただし、i=1〜Nであり、liは路程((xi^2+yi^2)^0.5)であり、lmは路程の平均値である)。標準偏差σが所定の最大許容値σtを超えたことは、警報表示部80や警報音出力部82を用いることによって、作業者に知らせることができる。
従って、作業者は、ばらつきの最大値Dmaxや標準偏差σが最大許容値Dt,σtを超えたことを速やかに認識することができ、肉厚の測定作業を一時的に中止したり、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48の出力を上げる等の適切な対応をとることができる。
なお、Nの値は適当に設定することができる。例えば、Nを15に設定する場合、同一の位置で位置測定を1/30秒間隔で15回行い、15回の位置測定でばらつきの最大値Dmaxや標準偏差σを求めることができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、過去に行った肉厚測定結果と、今回の肉厚測定結果とを比較し、肉厚が増大する等、肉厚測定結果に異常が見つかった場合に、警報表示部80や警報音出力部82を用いて警報を発し、作業者に異常を知らせるように構成されていてもよい。なおそのために、過去に行った肉厚測定結果が、記憶部64に予め記憶させられる。
この構成によれば、作業者は、肉厚測定結果の異常を速やかに把握することができ、適切な対応をとることができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、肉厚測定結果を予め設定された許容値と比較し、肉厚測定結果が許容値を下回ったときに、即ち許容範囲から外れたときに、警報表示部80や警報音出力部82を用いて警報を発し、作業者に異常を知らせるように構成されていてもよい。
この構成によれば、作業者は、肉厚測定の測定点が多くても、肉厚が薄い箇所を速やかに認識することができる。
なお、肉厚測定結果と予め設定された許容値との間で大小を比較する以外に、減肉量と減肉量の許容値との間で大小を比較し、減肉量が許容値を上回ったときに、警報を発するようにしてもよい。或いは、減肉量を減肉量の許容値で割って得られる割合と、該割合の許容値との間で大小を比較し、該割合が許容値を超えたときに、警報を発するようにしてもよい。このような構成によれば、減肉量の許容値が場所によって異なるときでも、減肉量の許容値に応じて、的確に警報を発することができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムには、図19に示したように、位置座標取込ボタン84が設けられていてもよい。位置座標取込ボタン84は、モバイルPC22のモニタの一部によって構成され、位置座標取込ボタン84を押すことにより、位置座標表示部62に表示されている肉厚測定位置の位置座標が、肉厚取込ボタン44を押すことによって肉厚計測制御器18から送信された肉厚の測定値と対応付けて、記憶部64に記憶される。
この構成では、肉厚の測定値と、位置座標の測定値とを同時に取り込まなくてもよく、肉厚の測定と位置座標の測定を、時間及び場所をずらして別々に行うことができる。例えば、図20に示すように、ボイラ管12の薄肉部がボイラ壁の垂線に対し傾きθだけ傾いた位置にあるとする。このような場合でも、図20に一点鎖線で示すように、肉厚計探触子26の軸線が、ボイラ壁に直交するように可搬ユニット16が配置された状態(立てた状態)で、位置測定を行なうことができる。
このように、可搬ユニット16を立てた状態で位置測定を行うことにより、ボイラ管12の幅方向中央で位置測定を行うことができる。このような位置測定によれば、肉厚測定位置について、ボイラ管12における周方向位置の情報までは得ることはできないが、角度センサ32の機能を用いなくても、ボイラ管12同士を確実に区別することができる。
この場合、角度センサ32により測定された傾きθを考慮して位置座標を演算するモードと、角度センサ32により測定された傾きθを考慮せずに位置座標を演算するモードの両方を実行可能にモバイルPCを構成し、作業者が何れかのモードを選択して実行可能にしておいてもよい。更に、モバイルPC22は、位置座標を作業者が手入力するモードも選択的に実行可能に構成されていてもよい。
なお、この場合、肉厚測定と位置測定の順番は、どちらが先であってもよい。つまり、肉厚測定で薄肉部を見つけてから位置測定を行っても、位置測定を行ってから肉厚測定を行って薄肉部を見つけてもどちらでもよい。
また、上述した実施形態では、ボイラ壁の各測定区画74に1つマーカ72が設けられていたが、複数の測定区画74に対し1つのみマーカ72を設けるようにしてもよい。この場合、最初に、マーカ72に対して固定ユニット24を位置決めして、このマーカ72を含む測定区画74内で、可搬ユニット16を移動させて肉厚測定を行う。それから、この肉厚測定の間に位置座標を測定した肉厚測定位置のうち一つに、目印を付けて暫定マーカ86を作成する。
そして、マーカ72を含む測定区画74内の肉厚測定が終了した後、図22に示すように、暫定マーカ86に対して固定ユニット24を位置決めする。そして、暫定マーカ86を含む新しい測定区画74内で肉厚測定を行い、先と同様に他の暫定マーカ86を作成する。これを繰り返すことによって、マーカ72が一つであっても、複数の測定区画74について位置測定を行うことができる。マーカ72の数を減らすことができれば、マーカ72を予め設ける作業を減らすことができ、肉厚測定に要する時間を短縮することができる。
また、上述した実施形態では、可搬ユニット16がアダプタ34を有していたが、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、図23及び図24に示すようなアダプタ88を有していてもよい。アダプタ88は、外径の異なる複数種類の肉厚計探触子26に対応可能である。具体的には、アダプタ88は、貫通孔90を有するブロック92と、ブロック92を貫通して貫通孔90内に突出する螺子94と、ブロック92に超音波受信器28及び赤外線受信器30を取り付けるための取付板95とからなる。アダプタ88は、螺子94の先端と貫通孔90の壁面が肉厚計探触子26を挟むことによって、肉厚計探触子26に固定される。
なお、ブロック92及び取付板95は金属や樹脂からなり、ブロック92の一部に、超音波受信器28及び赤外線受信器30を取り付けるための取付部が一体に設けられていてもよい。
そして、本実施形態では、貫通孔90の壁面の一部が、貫通孔90の軸線方向に延びるV字形状の溝96を構成している。螺子94は、貫通孔90の径方向にて、螺子94の先端が溝96のV字の頂点と対向するように配置されている。
この構成では、貫通孔90の中心と肉厚計探触子の中心との間の距離Dcを予め把握することができ、距離Dcを考慮して、肉厚測定位置の位置座標を演算により求めることができる。そして、この構成では、アダプタ88を介して、複数種類の肉厚計探触子26に対して超音波受信器28及び赤外線受信器30を取り付けることができる。このため、作業者は、肉厚計探触子26を変えるたびにアダプタ88を交換する必要が無く、効率的に作業を行うことができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、図25に示すように、位置測定可能範囲を表示する位置測定可能範囲表示ユニット(以下、範囲表示ユニットともいう)98を更に有していてもよい。
範囲表示ユニット98は、それぞれ固定ユニット24に取り付けられるニア側境界表示器100とファー側境界表示器102とを有する。ニア側境界表示器100及びファー側境界表示器102は、それぞれ、例えば、複数の発光素子を列状に配列したアレイからなる。
ニア側境界表示器100は、図26に示すように、ボイラ壁の壁面上に、支持レール54と平行な輝線からなるニア側境界線104を表示可能である。ニア側境界線104よりも固定ユニット24側の領域は位置測定不能領域である。
また、ファー側境界表示器102は、ボイラ壁の壁面上に、支持レール54と平行な輝線からなるファー側境界線106を表示可能である。ファー側境界線106は、固定ユニット24に対し、ニア側境界線104よりも遠くに位置し、ファー側境界線106よりも更に遠くの領域は、位置測定不能領域である。
作業者は、ニア側境界線104及びファー側境界線106を視認することができ、ニア側境界線104及びファー側境界線106の間の位置測定可能領域で肉厚測定を行うことができる。このため、肉厚測定に対応して、必ず位置測定を行うことができる。
また、上述した実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48と、超音波受信器28との間で同期をとるための同期手段として、赤外線送信器50と赤外線受信器30を備えていたが、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムは、同期信号のキャリアとして赤外線以外の媒体を用いてもよく、電波や電気信号を用いて同期をとってもよい。
例えば、図27に示したように、固定ユニット24に電波送信器108及び電気信号送信器110を設け、可搬ユニット16に電波受信器112及び電気信号受信器114を設けてもよい。この場合、赤外線送信器50と赤外線受信器30との間で赤外線の同期信号を送受信することにより同期をとることができるほか、電波送信器108と電波受信器112との間で電波の同期信号を送受信することにより同期をとることができ、電気信号送信器110と電気信号受信器114との間で電気信号の同期信号を送受信することにより同期をとることができる。
そして、この構成では、同期手段を使い分けるために、例えば固定ユニット24に、同期手段切替器116、同期手段自動選択器118及び同期手段選択スイッチ120を設けてもよい。同期手段切替器116は、例えばリレー等によって構成され、赤外線送信器50、電波送信器108及び電気信号送信器110の何れかをオンにし、残りをオフにする機能を有する。
同期手段自動選択器118は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、状況に応じて最適な同期手段を選択し、同期手段切替器116を介して、選択した同期手段をオンにする。
例えば、同期手段自動選択器118は、赤外線送信器50及び赤外線受信器30で同期をとれないときに、電波送信器108を選択してオンにし、電波送信器108及び電波受信器112で同期をとれないときに、電気信号送信器110をオンにするように構成される。
同期手段選択スイッチ120は、作業者が手動で同期手段を選択するためのスイッチである。同期手段選択スイッチ120は、例えば、自動選択、赤外線、電波及び電気信号の4つの位置を有し、同期手段選択スイッチ120が自動選択に設定されると、同期手段自動選択器118が自動的に同期手段を選択する。一方、同期手段選択スイッチ120が、赤外線、電波及び電気信号の何れかの位置に設定されると、これに対応して赤外線送信器50、電波送信器108及び電気信号送信器110の何れかがオンにされる。
なお、電気信号送信器110と電気信号受信器114は、通信ケーブルで接続される必要があり、通信ケーブルが接続されたことを検知したときに、他の同期手段に対し優先して、電気信号送信器110が自動的にオンになるように構成されていてもよい。
この構成によれば、同期手段自動選択器118が、第1超音波送信器46及び第2超音波送信器48と超音波受信器28との間で同期をとるための最適な同期手段を自動的に選択する。このため、作業者が同期手段を意識しなくても、安定して同期をとることができる。この結果、作業者は同期手段の設定に煩わされることなく、作業を効率的に進めることができる。
また、この構成によれば、同期手段として、赤外線又は電波を選択することにより、固定ユニット24と可搬ユニット16との間を接続する通信ケーブルを無くすことができる。ボイラ管12の肉厚を検査する場合、作業者は、防護服、防塵マスク、および手袋などを着用しており、目配りも動きも悪いため、通信ケーブルが有ると、誤って通信ケーブルに引っ掛かって通信ケーブルが断線したり、固定ユニット24を引っ張って壊してしまう虞がある。
この構成では、通信ケーブルを無くすことで、作業員が、通信ケーブルや固定ユニット24に注意を払うことなく行動でき、通信ケーブルに引っ掛かって固定ユニット24を壊す可能性を無くすことができる。
一方、他の精密機器への影響等を考慮して、ボイラ火炉10の管理規定等により、電波を用いることが禁止されているような場合には、作業者は、同期手段選択スイッチ120を操作することにより、電波以外の同期手段を容易に選択することができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、演算部60は、肉厚の測定結果と位置測定の測定結果に基づいて、次に肉厚測定すべき位置(測定候補位置)を作業者に指示するナビゲーション機能(誘導機能)を有していてもよい。つまり、演算部60は、測定候補位置を決定する測定候補位置決定部を構成していてもよい。
例えば、薄肉部を1箇所発見したときに、薄肉部を補修するため、薄肉部の形状や広がりを調査する必要がある。このような調査を行う場合、薄肉部の形状や広がりを予想しながら、肉厚の変化量の大きい領域では測定間隔を狭くし、肉厚の変化量が小さい領域では測定間隔を広くすることにより、少ない測定数で薄肉部の形状や広がりを正確に調査することができる。
ベテランの作業者であれば、薄肉部の形状や広がりを的確に予想できるので、少ない測定数で薄肉部の形状や広がりを調査することができるが、経験の浅い作業者の場合、薄肉部の形状や広がりをベテラン作業者のように的確に予想できず、測定点数が多くなり、調査に時間を要してしまう。
そこで、ナビゲーション機能により、次に肉厚測定すべき位置を作業者に指示することで、経験の浅い作業者であっても、短時間で調査を終了することができる。
例えば、ボイラ管12の軸線と平行な方向にX軸を設定し、ボイラ管12の軸線と直交するボイラ管12の配列方向にY軸を設定する。そして、図28に示すように、X軸方向の間隔がΔxで、Y軸方向の間隔がΔyで、複数の測定位置Pmn(ただし、m,nは整数とする)にて、XY面内で格子状に肉厚測定を行っているとする。
ここで、X軸方向に関して、測定位置Pij(xi,yj)(ただし、i,jは任意の整数とする)での肉厚Tijと、位置P(i+1)j(xi+1,yj)での肉厚T(i+1)jの差Δtが、予め設定された閾値Δtthを超えた場合、演算部60は、位置Pij(xi,yj)と位置P(i+1)j(xi+1,yj)との中間の肉厚追加測定位置(測定候補位置)Pa1で、追加の肉厚測定を作業者に指示する。追加肉厚測定位置Pa1と測定済みの測定位置Pij(xi,yj)の間隔は、例えば、測定済みの間隔Δxの半分に設定される。
なお、作業者への追加測定位置Pa1での肉厚測定の指示は、例えば、ボイラ壁の画像、設計図、又は、コンター図上に、カーソル等のインジケータを表示することによって行うことができる。
そして、追加肉厚測定位置Pa1での追加の肉厚測定が行われると、演算部60は、追加肉厚測定位置Pa1での肉厚Ta1と、測定済みの両隣の肉厚Tij,T(i+1)jとの差Δtを更に演算する。例えば、位置Pij(xi,yj)と追加肉厚測定位置Pa1との間で肉厚の差Δtが閾値Δtthを超えていれば、演算部60は、追加肉厚測定位置Pa2での測定を指示する。演算部60は、隣り合う測定位置の肉厚の差Δtが閾値Δtth以下になるまで、追加の肉厚測定を指示する。
ただし、追加測定位置の間隔を測定済みの間隔Δxの半分とする場合、追加肉厚測定位置の最小間隔Δxminを予め設定しておいてもよい。この場合、最小間隔Δxmin以下では追加測定を指示しないようにすることができる。
Y軸方向についても同様に、測定位置Pij(xi,yj)(ただし、i,jは任意の整数とする)での肉厚Tijと、位置Pi(j+1)(xi,yj+1)での肉厚Ti(j+1)の差Δtが、予め設定された閾値Δtthを超えた場合、演算部60は、位置Pij(xi,yj)と位置Pi(j+1)(xi,yj+1)との中間の肉厚追加測定位置Pa3で、追加の肉厚測定を作業者に指示する。追加肉厚測定位置Pa3と測定済みの測定位置Pij(xi,yj)の間隔は、例えば、測定済みの間隔Δyの半分に設定される。
なお、追加測定位置と測定済みの測定位置との間隔は、測定済みの間隔Δyの半分とするほか、肉厚の差Δtの大きさに応じて決めてもよい。
このようなナビゲーション機能によって、作業者は、肉厚の変化が大きい領域で追加の肉厚測定を的確に行って肉厚データを補間し、薄肉部の形状及び広がりを正確に示すコンター図を迅速に作成することができる。
また、一つ以上の他の実施形態と組み合わせ可能な一実施形態のボイラ管の肉厚検査システムでは、ナビゲーション機能を実行する際に用いる座標系は、直交座標ではなく、図29に示すように、極座標であってもよい。
この場合、図28における直交座標のX軸を極座標のR軸に置き換え、直交座標のY軸を角度θに置き換えればよい。図29のような極座標を用いたナビゲーション機能は、図30に示すように、ボイラ壁にデスラッガ部122のような円形の開口が設けられているときに有効である。
図30は、図29で示したような極座標のナビゲーション機能を利用して、肉厚測定を行った結果を概略的に示すコンター図である。図30を見ればわかるように、ナビゲーション機能を利用すれば、相当数の未測定領域を残しながら、デスラッガ部122周辺の薄肉部の形状及び広がりを正確に把握することができる。
なお、図31は、演算部60が、図30の測定結果における未測定領域に、未測定領域の周辺の肉厚に基づいて適当な値を代入して作成したコンター図である。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ボイラ管の肉厚検査位置の測定精度が向上したボイラ管の肉厚検査システム及び肉厚検査方法が提供される。
10 ボイラ火炉
12 ボイラ管
14 フラップ
16 可搬ユニット
18 肉厚計測制御器
20 インターフェース
22 モバイルPC
24 固定ユニット
26 肉厚計探触子
28 超音波受信器
30 赤外線受信器
32 角度センサ
34 アダプタ
42 肉厚表示部
44 肉厚取込ボタン
46 第1超音波送信器
48 第2超音波送信器
50 赤外線送信器
52 支持装置
58 測距信号表示部
60 演算部
62 位置座標表示部
64 記憶部
66 コンター図表示部
72 マーカ
74 測定区画

Claims (11)

  1. ボイラ壁を構成するボイラ管の肉厚を該ボイラ管の外側から測定するための肉厚計探触子、測距信号を受信可能な超音波受信器、同期信号を受信可能な同期信号受信器、及び、前記ボイラ壁に対する前記肉厚計探触子の傾きを測定可能な角度センサを有する可搬ユニットと、
    それぞれ前記測距信号を送信可能な第1超音波送信器及び第2超音波送信器、並びに、前記同期信号を送信可能な同期信号送信器を有する固定ユニットと、
    作業者が持ち運び可能であり、前記肉厚計探触子による肉厚の測定結果を表示可能な肉厚表示器と、
    前記超音波受信器によって測定された測距信号、及び、前記角度センサによって測定された前記肉厚計探触子の傾きに基づいて、前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を演算により求める演算器と、
    作業者が持ち運び可能であり、前記演算器によって求められた前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を表示可能な位置座標表示器と、
    を備えることを特徴とするボイラ管の肉厚検査システム。
  2. 前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、
    前記ボイラ管の肉厚検査システムは、相対的な位置関係が既知である3つの基準点を有するスケールを更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  3. 前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、
    前記同期信号送信器は、前記同期信号として、赤外線の同期信号を送信する赤外線送信器であり、前記支持装置によって変位可能に支持されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  4. 前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、
    前記第1超音波送信器と前記第2超音波送信器の間隔が可変である
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  5. 前記固定ユニットは、前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置を有し、
    第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器は、前記支持装置及び前記ボイラ壁の何れにも取付可能である
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  6. 雰囲気の温度を測定可能な温度センサと、
    前記温度センサによって測定された温度の変化に基づいて警報を発生可能な警報器と
    を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  7. 雰囲気の温度を測定可能な温度センサを更に備え、
    前記演算器は、前記温度センサによって測定された温度を考慮して、前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を演算するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  8. 前記固定ユニットは、
    前記ボイラ壁に取付可能であり、且つ、前記第1超音波送信器、前記第2超音波送信器及び前記同期信号送信器を支持可能な支持装置と、
    前記ボイラ壁に設けられた1つの基準点に対し前記支持装置を位置合わせするために用いられる、互いに交差する2つの基準面と
    を有することを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  9. 前記演算器により演算された前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を記憶装置に記憶させるための位置座標取込スイッチを更に備えることを特徴とする請求項1に記載のボイラ管の肉厚検査システム。
  10. ボイラ壁を構成するボイラ管の肉厚を該ボイラ管の外側から測定するための肉厚計探触子、測距信号を受信可能な超音波受信器、同期信号を受信可能な同期信号受信器、及び、前記ボイラ壁に対する前記肉厚計探触子の傾きを測定可能な角度センサを有する可搬ユニットと、
    それぞれ前記測距信号を送信可能な第1超音波送信器及び第2超音波送信器、並びに、前記同期信号を送信可能な同期信号送信器を有する固定ユニットと、
    作業者が持ち運び可能であり、前記肉厚計探触子による肉厚の測定結果を表示可能な肉厚表示器と、
    前記超音波受信器によって測定された測距信号、及び、前記角度センサによって測定された前記肉厚計探触子の傾きに基づいて、前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を演算により求める演算器と、
    作業者が持ち運び可能であり、前記演算器によって求められた前記肉厚計探触子による肉厚測定位置を表示可能な位置座標表示器と、を備えるボイラ管の肉厚検査システムを用いたボイラ管の肉厚検査方法であって、
    相対的な位置関係が既知である少なくとも3つの基準点を有するスケールを用いて、前記第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器に対する前記超音波受信器の相対的な配置を決定する配置工程と、
    前記配置工程で決定された配置にて、前記第1超音波送信器及び前記第2超音波送信器の各々から前記超音波受信器まで超音波が伝搬するのに要する時間を測定し、前記時間に基づいて前記超音波の速度を演算する音速測定工程と、
    を備えることを特徴とするボイラ管の肉厚検査方法。
  11. 前記肉厚計探触子により肉厚測定を行った位置に対し、前記固定ユニットを位置決めする工程を更に備えることを特徴とする請求項10に記載のボイラ管の肉厚検査方法。
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