JP5777522B2 - 初期段階の関節リウマチ治療用のil−3阻害剤 - Google Patents
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Description
A、コラーゲンによる再刺激後の脾細胞によるIL−3産生。コラーゲンによる初回免疫後31日目に、総脾細胞、またはx軸上に示されるように特定の白血球サブセットを除去した脾細胞を、コラーゲンII型と共に3日間インキュベートした。コラーゲン特異的なIL−3の産生は、コラーゲン不存在下でのIL−3の放出を差し引いて決定した。B、滑膜組織でのサイトカイン量の測定。関節炎の誘発後36日目に、マウスの後足を評価し、0−2(n=14)の臨床上の関節炎を伴う1つのグループ、および3−4(n=12)のスコアを有する他のグループを備える二つのグループに階層化した。各々の足の滑膜組織を、1mLのPBS中に調製し、サイトカイン量をELISAで測定した。高い炎症性の足は、有意に、より多量のTNF−α、IL−6およびIL−1βを含んでいたが、より少量のIL−3を含んでいた。IL−17、GM−CSFおよびIFN−γβの滑膜組織レベルは、炎症の程度と相関しなかった。C、好塩基球の活性化および生存に対するIL−3の影響。好塩基球は、マウスの骨髄から濃縮され、図示するように、様々な濃度のIL−3の存在下で、3つに分けて、4日目まで培養した。IL−3の不存在下では、IL−6およびIL−4の放出は検出できず、好塩基球の急速な細胞死が起こった。サイトカインの放出および好塩基球の生存は、低量のIL−3の添加により顕著に増加した。D、フローサイトメトリーによる炎症性の足の滑膜組織中の好塩基球およびマスト細胞の検出。単細胞浮遊液を、コラゲナーゼによる消化により、炎症性の足の滑膜組織から調製した。細胞を、CD45、c−kitおよびIgEの発現について分析し、好塩基球(IgE+、c−kit−)およびマスト細胞(IgE+、c−kit+)の頻度を、CD45陽性浸潤白血球の総量のパーセントとして与える。
コラーゲンによる初回免疫の後21−36日目の、35μgのα−IL−3(n=15)またはラットIgG(n=15)の連日注射により、マウスを処置した。A、関節炎スコアおよび発症率を、両方のグループにおいて決定した。B、コラーゲンによる初回免疫後37日目の前足の分析。滑膜組織から回収した細胞を、IgE、CD11b、CD45およびGR−1に対する抗体で染色し、単球(CD11b+、GR−1−/low)、好中球(CD11b+、GR−1+)および好塩基球(IgE+、GR−1−)を識別した。前足ごとの回収された細胞の絶対数を、左および中央パネルに示す。滑膜組織に存在するIL−6およびTNF−αの量を、ELISAにより定量化した(右パネル)。C、コラーゲンによる初回免疫後37日目の、コラーゲン特異的な総Ig(血漿希釈 1:100,000)およびコラーゲン特異的なIgG1(血漿希釈 1:5,000)(左パネル)の血漿力価ならびに末梢血白血球サブセット(中央および右パネル)の分析。図2bに記載するように、末梢血細胞を染色して識別し、白血球サブセットを総白血球のパーセントとして算出した。
マウス(グループにつきn=15)を、図2に記載するように処置し、下部の足根中足関節の組織学的変化をコラーゲンによる初回免疫後37日目に決定した。A、マウスの足根中足関節のH&E−染色した組織部分。抗IL−3で処置したマウス(左)では、軟骨または骨破壊のない低度の滑膜の過形成が見られた。コントロールマウスでは、顕著な滑膜の過形成を伴う、重度の骨破壊および穏やかな軟骨破壊が見られた。B、組織学的変化の概要。滑膜の過形成(増殖)、白血球浸潤(浸潤)、軟骨浸食(軟骨)および骨破壊(骨)を、0−2のスケールで評価した。
関節炎の誘導後、マウスの関節炎出現について毎日評価した。関節炎スコアが、少なくとも2となったとき、各マウスをランダムに、抗IL−3(n=10)またはラットIgG(n=10)による1日ごとの腹腔内処置に供した。抗IL−3またはラットIgGの初回投与の日を0日目として、処置を6日目まで続けた。IL−3の遮断は、既に確立された関節炎の進行を低減しなかった。
マウスを、コラーゲンによる初回免疫後20日目から日30日目まで、毎日2回の、100ngのIL−3(n=21)またはPBS(n=18)の腹腔内注射による処置を施した。A、関節炎スコアおよび発症率を、両方のグループで観察、計測した。B、末梢血中の好塩基球の数は、IgEおよびCD45に対する抗体を用いた細胞染色により測定し、総白血球のパーセンテージとして算出した(左パネル)。コラーゲン特異的なIgG1(血漿希釈 1:1,000)およびコラーゲン特異的なIgG2a(血漿希釈 1:2,000)(中央パネル)の血漿力価ならびにIL−6の血漿濃度(右パネル)を、コラーゲンによる初回免疫後31日目にELISAにより測定した。
A、x軸に示すように、CD4+T細胞を、CD11+細胞およびα−CD3と共に、CD19+B細胞およびα−CD3と共に、またはα−CD3/28ビーズと共に、3日間培養した。図中の凡例に示されるように、LPS(10μg/mL)、CpG DNA(1μM)またはα−CD3/28ビーズ(1ウェル当たり50,000)も加えた。上澄み中のIL−3の濃度を、ELISAにより測定した。B、CD11b+細胞、α−CD3およびLPSと共に(上パネル)、またはB細胞、α−CD3およびLPS(下パネル)と共に3日間培養された、CD4+T細胞における細胞内IL−3のフローサイトメトリー検出。IL−3は、CD4+T細胞内のみで検出可能である。C、LPSは、CD19+B細胞に対して作用することによって、CD4+T細胞のIL−3発現を増加させる。x軸に示すように、野生型マウス(WT)由来、またはTLR4−欠損C3Hマウス(C3H)由来のCD4+T細胞を、野生型マウス由来のB細胞の存在下、またはC3Hマウス由来のB細胞の存在下、α−CD3およびLPSで刺激した。IL−3の濃度を、ELISAにより上澄み中で測定した。D−F、IL−4およびIL−6は、活性化されたCD4+T細胞からのIL−3の放出を抑制する。CD4+T細胞を、CD11b+細胞およびα−CD3と共に、またはCD11b+細胞、α−CD3およびLPS(パネルD)と共に、またはCD19+B細胞およびα−CD3と共に、またはCD19+B細胞、α−CD3およびLPS(パネルE)と共に、または励起なしで、またはα−CD3/28ビーズ(パネルF)と共に3日間培養した。IL−4、IL−6または両方を、x軸に示されるように、それぞれ10ng/mLの濃度で加えた。IL−3の濃度を、ELISAにより上澄み中で測定した。
IL−3は、活動性RAを伴う8人の患者中6人で検出可能であったが、非活動性RAまたは他のタイプの関節炎を伴う患者では検出可能でなかったことが分かる。
IL−3は、脾臓中のコラーゲン特異的なCD4+T細胞により多量に産生され、関節炎の発症の間滑膜組織に存在するが、重度の炎症を伴う足では少量に抑えられる。関節炎の発症の間のIL−3の遮断は、滑液白血球、滑液サイトカイン、コラーゲンに対する抗体価、および末梢血の好塩基球の減少を伴う、関節炎の顕著な向上を生ずる。関節炎の後期相におけるIL−3の遮断は、有益な効果を有しない。関節炎の発症の間の、組換えIL−3の投与は、末梢血の好塩基球の増加、血漿IL−6の増加、およびコラーゲンに対する抗体価の増加を伴って、関節炎の顕著な悪化を誘発する。加えて、我々は、LPSおよびCpG−DNAが、活性化されたCD4+T細胞からのIL−3の分泌を、共刺激細胞に対して作用することによって増加させる一方で、どのように、IL−3の発現が、CD4+T細胞中で制御され、IL−6およびIL−4が、活性化されたCD4+T細胞によりIL−3の放出を抑制するのかを調査した。
(導入)
関節炎におけるIL−3の役割を分析した。最近、IgEに対する抗体による好塩基球の活性化によるコラーゲン関節炎の顕著な悪化が観察された。好塩基球は、表層IgEの架橋構造だけでなく、他の因子、特にIL−3によっても活性化され得る。好塩基球は、IL−4だけでなく、関節炎促進性のサイトカインIL−6をも放出する(下記参照)。培養物において、IL−3濃度が極めて低くても、マウスの好塩基球からのIL−6の顕著な放出を誘導し、好塩基球の生存を長期化させる(下記参照)。DBA/1マウスでのコラーゲン関節炎モデルにおいて、疾患の様々な段階での足におけるIL−3の発現を分析し、滑膜組織における好塩基球およびマスト細胞の数を定量し、かつ、IL−3の遮断または投与が疾患の発症率および活動性に与える影響を調査した。加えて、関節炎における疾患段階に特異的なIL−3の放出の理解を深めるために、生体外(in vitro)でのT細胞からのIL−3の放出の制御を調査した。
(コラーゲン関節炎の誘発−マウスの処置)
以下の方法でオスDBA/1マウスに関節炎を発症させた。0日目の検体に、完全フロイントアジュバンド条件下、100−200μgのウシコラーゲンII型(シグマ社、C1188)を、尾基部に回の皮内/皮下注射、21日目の検体に、アジュバンドなしでの、100−200μgのコラーゲンII型の腹腔内注射による再投与。臨床上の関節炎スコアを、盲検方式で以下のように評価した:0、通常;1、1つの関節での腫脹;2、複数の関節での腫脹;3、足全体の腫脹;4、変形および/または強直。図2および3に示す実験のために、検体動物を、35μgのブロッキング抗IL−3抗体(クローン MP2−8F8、バイオゾル社、ドイツ)、または精製ラットIgG(シグマ−アルドリッチ社)を1日ごとに腹腔内注射による処置を施した。検体のマウスは、37日目に屠殺した。図4に示す実験のために、個々のマウスの関節炎スコアが少なくとも2となったときに、50μgの抗IL−3抗体または精製ラットIgGを用いた毎日の腹腔内処置を開始した。処置は7日間継続した。図5に示す実験のために、20−30日目のマウスに、100ngのIL−3(ペプロテック社)またはPBSの、1日2回の腹腔内注射の処置を施した。臨床上の関節炎スコアを、盲検方式で以下のように評価した:0、通常;1、1つの関節での腫脹;2、複数の関節での腫脹;3、足全体の腫脹;4、変形および/または強直。動物実験は、バイエルン政府の法規(Az.55.2−1−54−2531−109−05)に従って行った。
足首関節から足を切断し、炎症を生じた足から皮膚を除去し、残りの組織を、500μL/1000μLの量のPBS中に、外科用メスを用いて注意深く取り出した。遅滞なく、試料を400×gで10分間遠心分離した。上澄みを直ちに凍結させ、サイトカインのELISAに用いた。滑膜組織を、コラゲナーゼI(シグマ社)により37℃、20分間で消化し、単細胞浮遊液を得て、FACS分析に用いた。
後足を、3.7%ホルマリンで24時間固定し、RDO高速脱灰器(メディツ ゲーエムベーハー、ドイツ)を用いて脱灰し、パラフィンに包埋した。少なくとも10個の、足根中足関節の5μmの厚さの部分をHEで染色し、全ての分類:滑膜炎(1、限局的な炎症性浸潤;2、細胞組織学的に支配的な炎症性浸潤)、滑膜の過形成(1、連続的であり、1つの関節に少なくとも三層の厚い滑膜表層;2、連続的であり、複数の関節に少なくとも三層の厚い滑膜表層)、パンヌス形成および軟骨喪失(1、パンヌスにより部分的に覆われた軟骨、軟骨喪失なし;2、軟骨喪失あり)、および骨破壊(1、小範囲の骨破壊;2、広範囲の骨破壊)について、0(通常)から2までのスケールで、盲検方式で評価した。
フローサイトメトリーまたは磁気細胞分離のために、以下の抗体を使用した:フルオレセインイソチオシアネート−抗CD45(LCA;30−F11)、アロフィコシアニン−抗CD45(LCA;30−F11)、フルオレセインイソチオシアネート−抗CD11b(M1/70)、フィコエリトリン−抗CD11b(M1/70)、Fc−ブロック(2.4G2)、フィコエリトリン−抗CD19(1D3)、アロフィコシアニン−抗GR−1(RB6−8C5)、アロフィコシアニン−抗CD4(RM4−5)、フィコエリトリン−抗c−kit(2B8)、フルオレセインイソチオシアネート−抗IgE(R35−72)、フィコエリトリン−抗IL−3(MP2−8F8)、フルオレセインイソチオシアネート−およびフィコエリトリン−標識アイソトープコントロール(全てBDバイオサイエンス社)、アロフィコシアニン−抗CD49b(DX5;ミルテニー社)。未固定の細胞を、Fc−ブロック(5μg/mL)と共に15分間氷冷し、その後、直接標識化された抗体と組み合わせて45分間氷冷した。3回洗浄した後、赤血球をFACS−溶解液(BDバイオサイエンス社)で溶解させ、試料をFACSCalibur(BDバイオサイエンス社)で分析した。細胞内IL−3の定量化のために、細胞をまずアロフィコシアニン−抗CD4で、その後、製造業者の指示に従ってFix−PermおよびPerm−洗浄溶液(BDバイオサイエンス社)を用いて処理し、そしてIL−3に対するPE−標識化抗体で染色した。
コラーゲン関節炎に罹患したマウス由来の脾細胞から、B細胞およびCD4+T細胞を、CD19およびCD4を標的とする磁気ビーズ(ミルテニー社)を用いて取り除いた。好塩基球、単球または好中球を、脾細胞のIgE、CD11bもしくはGR−1に対するフルオロクロム標識化抗体とのインキュベーション、およびその後のフルオロクロムを標的とする磁気ビーズとのインキュベーションにより、取り除いた。全脾細胞または特定の白血球サブセットを除去した脾細胞を、ウシコラーゲンII型を用いて、または用いることなく、96−ウェル平底プレート(2Mio細胞/200μL培地)中で3日間培養した。細胞培養の上清をELISAに用い、コラーゲン特異的なIL−3の放出を以下の通りに測定した:コラーゲンによるIL−3の放出−コラーゲンによらないIL−3の放出。
エラーバーは、全図における平均値の標準誤差を示す。細胞培養実験は、三回行った。有意性を示すP値を、片側t−検定を用いて算出し、1つの星印(p<0.05)または2つの星印(p<0.01)を用いて示した。
(コラーゲン関節炎におけるIL−3および好塩基球)
我々はまず、IL−3が関節炎マウスの脾臓および滑膜組織中で産生されるかどうかを調査した。コラーゲンによる初回免疫後31日目に、我々は、全脾細胞または特定の白血球サブセットを除去した脾細胞を、コラーゲンにより再刺激し、コラーゲン不存在下でのIL−3の放出を差し引くことによってコラーゲン特異的なIL−3の放出を測定した。全脾細胞、またはCD19+細胞(B細胞)、IgE+細胞(好塩基球)もしくはGR−1+細胞(主に好中球)を除去した脾細胞は、コラーゲンによる刺激の後、大量のIL−3を産生した。対照的に、CD4+T細胞またはCD11b+細胞(主に単球)の除去は、コラーゲン特異的なIL−3の放出を完全に停止させ、IL−3の産生が、CD4+T細胞およびCD11b+共刺激細胞(図1a)の存在を両方とも必要とすることを示した。B細胞は、CD4+T細胞によるIL−3の産生を補助するために必要とされず、単独では十分な効果を奏しない。B細胞不存在下でのIL−3の放出の増加は、分析に用いた多数のT細胞および単球により生じる。T細胞及び単球の数は、ウェル当たりの総白血球数を一定に保った上で、B細胞が脾臓中の白血球の50%超となるようにするために、多くしたものである。後足の滑膜組織中のサイトカインの産生を、コラーゲンによる初回免疫後36日目に測定した(図1b)。このため、足を足首関節で切断し、皮膚を除去し、そして軟部組織を1mLのPBS中に全部取り出した。400×gで10分間遠心分離した後、上澄み中のサイトカインをELISAにより測定した。0−2のスコアを有する14の足および3−4のスコアを有する12の足を用いて、臨床上明らかな関節炎の程度に従って、試料とした足を、2つのグループに階層化した。予想したように、顕著な炎症を伴う足は、多量のIL−6およびIL−1β(それぞれ、683および619pg/mL)を有し、炎症を伴わないまたは低度の炎症を伴う足は、数倍低いIL−6およびIL−1β量(それぞれ、144および72pg/mL)を有した。TNF−αは、極めて少量でのみ検出可能であったが、3−4のスコアを有する足では増加した。対照的に、IL−3は、0−2のスコアの足では容易に検出可能だったが(66pg/mL)、重度の炎症を伴う足では大いに有意に減少した(14pg/mL)。IL−17、GM−CSFまたはIFN−γの局所レベルは、足の炎症の程度と相関しなかった(図1b)。
コラーゲン関節炎の初期型におけるIL−3の存在、およびIL−6またはIL−1などの炎症性サイトカインを放出することによってIL−3に対して応答することができる細胞(例えば、好塩基球および単球)の存在は、IL−3が関節炎の発症に関わっている可能性があることを示唆する。
活性化されたCD4+T細胞は、IL−3の主要な発生源細胞であるとみられる。しかしながら、T細胞によるIL−3の分泌がどのように制御されるかは、ほとんど知られていない。したがって、我々はどの因子がIL−3産生を増加または減少させるのかを、生体外(in vitro)で調査した。CD3に対する可溶性抗体および補助細胞としてのB細胞による、精製CD4+T細胞のポリクローナルな活性化は、IL−3の産生をほとんど生じない。CD11b+単球が補助細胞として用いられた場合、可溶性のα−CD3により活性化されたCD4+T細胞によるIL−3産生が、3倍超増加した(図6a)。TLRのリガンドLPSおよびCpG−DNAの添加は、補助細胞であるB細胞または単球の存在下における、ポリクローナルに活性化されたCD4+T細胞によるIL−3分泌を顕著に増加させた(図6a)。α−CD3の不存在下におけるLPSまたはCpG DNAによるCD4+T細胞および補助細胞の刺激は、検出可能なIL−3放出を生じなかった(図示せず)。ビーズに固定されたCD3およびCD28に対する抗体の組み合わせによるCD4+T細胞の活性化は、補助細胞の存在またはLPSまたはCpG DNAによる刺激によらず、非常に多量のIL−3の放出を生じさせた(図6a)。IL−3の産生は、CD4+T細胞によるものでであって、B細胞または単球によるものでないということを実証するために、我々は、細胞内のIL−3量をフローサイトメトリーにより測定した(図6b)。CD4+T細胞を、LPSで刺激したB細胞またはLPSで刺激した単球の存在下、α−CD3と共に3日間培養した。IL−3の細胞内染色は、CD4+T細胞においてのみ検出可能であり、CD4陰性のB細胞または単球においては検出できなかった。TLR−4欠損マウス(C3Hマウス)を用いて、我々は、どのようにLPSがIL−3の放出を向上させるかを更に詳細に分析した(図6c)。補助細胞であるB細胞がLPSに応答することができない場合、CD4+T細胞によるIL−3の放出の向上は検出できなかった。TLR−4欠損のCD4+T細胞が用いられた場合、IL−3産生は減少するよりむしろ増加した。これらのデータは、LPSが補助細胞を刺激することによってCD4+T細胞によるIL−3放出を増大させ、かつ、CD4+T細胞に対して提供される共刺激のレベルがIL−3の発現に決定的に影響することを示す。
この試験において、我々は、IL−3が後期相ではなく初期相のコラーゲン関節炎の発達に寄与する重要な因子であることを明らかにする。関節炎の発症の間の、モノクローナル抗体によるIL−3の遮断は、臨床上および組織学上の関節炎の徴候および浸潤細胞数を顕著に低減させたが、確立した関節炎を伴うマウスにおけるIL−3の遮断は全く効果がなかった。IL−3の投与が関節炎の重症度および発症率を顕著に増大させたため、関節炎の初期相では、IL−3の有効性が疾患限定因子と見られる。IL−3は、脾臓中のCD4+T細胞により全身的に、かつ滑膜組織中の細胞により局所的に産生され、全身的に、かつ関節内で局所的に作用することによって、初期の関節炎を悪化させ得る。IL−3の遮断は、α−IL−3治療の終了時に測定される、末梢血中の好塩基球数の有意な低減、およびコラーゲンに対する抗体の血漿力価の低減を生じた。我々は最近、活性化された好塩基球が、液性記憶免疫応答の発達に大いに寄与することを明らかにした。活性化された好塩基球は、可溶性因子(主にIL−6)を放出し、B細胞の増殖およびその生体外および生体内における血漿細胞への分化を促進する細胞間接着依存性因子を供給する(22)。IL−3は、末梢血中の好塩基球数を増大させること、好塩基球を活性化させること、およびコラーゲンに対する抗体の血漿力価を増大させることによって、初期の関節炎を悪化させると推測される。我々は、IL−3が非常に強力な好塩基球の活性化因子であり、生体外での好塩基球の生存を顕著に長期化すること、および生体内のIL−3の投与が、コラーゲンに対する抗体の血漿レベルを高め、末梢血中の好塩基球数を2倍に高め、血漿中のIL−6量を5倍に高めることを明らかにする。しかしながら、IL−3は、関節炎の発達に寄与し得るいくつかの他の標的細胞(例えば、導入で詳述した単球および樹状細胞)も有していることに留意されたい。全身的効果とは別に、IL−3は関節中の局所的な効果を有し得る。IL−3は、軽度の炎症が生じた関節(スコア0−2)で容易に検出可能であるが、重度の炎症が生じた関節(スコア3−4)では低量に抑えられる。関節中には、やはり、IL−3についてのいくつかの潜在的な標的細胞が存在する。IL−3は、単球からのIL−1の放出を増大させることができ、破骨細胞の発達を誘発させることができる(14、17)。我々は、コラーゲン関節炎マウスの関節中の好塩基球およびマスト細胞の存在をより詳細に分析し、関節炎マウスの炎症が生じた滑膜組織中の好塩基球数の増加(約0.4%の総浸潤白血球)を見出したが、一方でマスト細胞をほとんど検出しなかった。様々な関節炎モデル、および異なった種のマスト細胞欠損マウスにおける矛盾した結果のため、関節炎の発達に対するマスト細胞の役割は、現在のところ明らかでない(23−25)。我々のデータは、IL−3の関節炎促進性の効果が、好塩基球の活性化により部分的に仲介され、いずれも好塩基球を活性化することが知られている、抗IgEまたは抗CCR2抗体の投与による関節炎の悪化を示す以前のデータと一致することを示唆する(26、27)。
滑液中または血漿中のIL−3の存在は、関節リウマチの活性化型についての指標であることが見いだされた。このことは、以下の試験で示される。IL−3が関節炎患者の滑液または血漿中で検出可能かどうかを分析するために、関節炎の症状を伴いリウマチ専門家の元を訪れた、21人の患者を試験した。これらの患者から、標準的な方法により血漿を入手した。更に、関節穿刺により滑液を入手して、遠心分離の後、試験のために用いた。
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Claims (19)
- 関節リウマチの予防処置用、初期のもしくは悪化の初期相の間の関節リウマチの治療用、または被験者の疾患再燃もしくは疾患進行を妨げる維持療法用の、抗IL−3抗体を含む組成物。
- 1つまたは複数の関節におけるIL−3量の増加が検出される、被験者の関節リウマチの治療用の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 進行した関節リウマチを罹患しているが、疾患活動性がないかまたは低度から中程度である被験者の関節リウマチの治療に使用される、請求項1または請求項2に記載の維持療法に使用される抗IL−3抗体を含む組成物。
- 被験者における疾患活動性スコア28(DAS28)の値が5.1までである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 被験者における疾患活動性スコア28(DAS28)の値が3.2までである請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- IL−6の血漿濃度を低減させるために使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 関節リウマチの進行を阻害する、または低減させるために使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 軟骨破壊を回避する、または低減させるために使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 滑膜組織の細胞浸潤を低減させるために使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 好塩基球数を減少させるために使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 被験者が、哺乳動物、特にヒトである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 前記抗IL−3抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、またはこれらの断片もしくは変異体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 前記抗IL−3抗体がヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項12に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 前記抗IL−3抗体が、IL−3を遮断する、またはIL−3のその受容体に対する結合を遮断する、またはIL−3の産生を遮断する薬剤である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 抗IL−3抗体が、IL−3を特異的に阻害する、または、
IL−3のその受容体への結合を特異的に遮断する、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。 - ヒトIL−3の生物活性を中和する濃度の抗IL−3抗体、および製薬学的に許容可能な担体を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体を含む組成物。
- 関節リウマチを治療する薬剤を調製するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の抗IL−3抗体の使用。
- 中和用量(ND50)の抗IL−3抗体が用いられる、請求項17に記載の使用。
- 併用薬として、NSAIDsおよびDMARDs等から選択される関節リウマチの治療に有効な薬剤と組み合わせた、抗IL−3抗体を含む、関節リウマチの治療のための組成物。
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