JP5777163B2 - Pet用標識化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、PET用の標識化合物、および当該化合物を含む診断用組成物に関するものである。
近年、生体内情報を得るために種々の研究がなされており、とりわけ、目的の分子挙動を調べることができる「分子イメージング」技術が注目されている。分子イメージングは、種々の疾患の早期発見や、有効かつ副作用の少ない医薬の短期間での開発に有用であると考えられる。
生体内情報を得るための分子イメージングとしては、陽電子放射断層画像撮影法(PET)がよく知られている。PETは、陽電子が電子と衝突することによって放射されるγ線を用いて断層画像を撮影する技術であり、放射性のポジトロン放出核種で標識した目的の分子(いわゆる、分子プローブ)を生体に投与し、標識されている放射性核種が別の原子核に崩壊していく際に放出する陽電子と、その近傍に存在する電子との衝突によって放出されるγ線を検出する。これによって、目的の分子の存在部位を定量的に調べることができる。このようなPETは、臨床的な分子イメージング技術として広く利用されている。
乳癌等において発現していることが知られているアロマテース(aromatase)は、男性ステロイドを女性ステロイドに変換する酵素であり、精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等に関わることも知られている。このため、アロマテースの定量を高い精度で行うことができれば、これらの疾患の診断、原因解明、治療法の究明等に役立つと考えられる。
PETによるアロマテースのイメージング技術として、11Cで標識された(S)−6-[(4-chlorophenyl)(1,2,4-triazol-1-yl)methyl]-1-[11C]methylbenzotriazole([11C]vorozole)をPET用標識化合物として用いた技術が報告されている(例えば、非特許文献1,2参照)。
Lidstrom,P.;Bonasera,T. A.;Kirilovas,D.;Lindblom,B.;Lu,L.;Bergstrom,E.;Bergstrom,M.;Westlin,J.-E.;Langstrom,B. Nucl. Med. Biol. 1998,25,497-501. Takahashi,K.;Bergstrom,M.;Frandberg,P.;Vesstrom,E.-L.;Watanabe,Y.;Langstrom,B. Nucl. Med. Biol. 2006,33,599-605.
上述したように、PETによるイメージングを用いてアロマテースを可視化することが実際に行われている。しかしながら、上記非特許文献1,2に記載の化合物では、プローブにおけるN−11CH部位が代謝により脱落し、その代謝物が脳内へ再取り込みされている可能性があるため、定量性に劣るという問題があった。生体内分子をPETによって定量するには、優れた分子プローブの開発が必要である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アロマテースを高い精度で定量することができるPET用標識化合物を提供することにある。
本発明に係る化合物は、上記課題を解決するために、下記式(1)
(式中、Xは、11CH、CH 18F、CF 18F、18F、76Brまたは124Iであり、Xは、CNまたはNOであり、Rは、
で表される基の何れか一つである)
で表される構造、あるいは
下記式(2)
(式中、Xは、CH、CHF、CF、F、BrまたはIであり、Rは、上記式(1)と同義である)
で表される構造を有することを特徴としている。
上記構成によれば、X部位および11CN部位が代謝により脱落し難い。このため、アロマテースに対して選択的な親和性を示すだけでなく、PET用標識化合物として用いた際にアロマテースを高い精度で定量することができる。その結果、種々の疾患の診断を容易にするとともに、アロマテースを標的とする医薬品候補化合物のスクリーニングに活用することができる。また、例えば、アロマテースと結合することで副作用を発現するような、アロマテース以外の分子を標的とした医薬品候補化合物のスクリーニングにも活用することができる。
本発明に係る化合物は、下記式(1’)
(式中、X1’は、CHまたはCHFである)
で表される構造を有する。
上記化合物は、放射標識されていないこと以外は、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物と同じ構造を有するため、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物をPET用標識化合物として用いる際のコントロール(いわゆるコールド標品)として用いることができる。
本発明に係る診断用組成物は、本発明に係る、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、アロマテースを高い精度で定量することができるので、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患(例えば、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症、子宮筋腫等)を診断し得るとともに、精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等の診断(原因解明、治療法の究明を含む)が可能になる。さらには、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患の診断が可能になる。すなわち、本発明に係る診断用組成物は、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患(例えば、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症、子宮筋腫等)、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等を適用対象とする。また、本発明に係る診断用組成物は、アロマテースを標的とする医薬品候補化合物のスクリーニングに活用することもできる。また、例えば、アロマテースと結合することで副作用を発現するような、アロマテース以外の分子を標的とした医薬品候補化合物のスクリーニングにも活用することができる。
本発明に係る診断方法は、本発明に係る、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物、あるいは本発明に係る上記診断用組成物をPETに用いる工程を包含する。上記診断方法は、診断を補助するためのデータ収集方法でもあり得る。
アロマテースは男性ステロイドを女性ステロイドに変換する酵素であり、性ステロイドの合成に重要である。一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物をPET用標識化合物として用いることにより、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患(例えば、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症、子宮筋腫等)の診断を補助するためのデータを高い精度で収集することができる。さらに、精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等の診断に有用なデータを高い精度で収集し得る。
また、本発明に係る化合物は、下記式(3)
(式中、Xは、CNまたはNOであり、Xは、−CH、−CF、−SnR 、−B(OH)、−BF・K、−B(OR)(OR)または
(式中、Aは2価の炭化水素基である)
であり、Xは、Cl、Br、I、−OSOCH、−OSO(4−CH)および−OSOCFから選択される脱離基であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキル基であり、Rは、
で表される基の何れか一つである)
で表される構造、あるいは
下記式(4)
(式中、Xは、CH、CHF、CF、F、BrまたはIであり、Xは、Cl、Br、Iまたは−OSOCFから選択される脱離基であり、Rは、上記式(3)と同義である)
で表される構造を有する。
上記構成によれば、例えば、式(3)の化合物については、標識ヨウ化メチル等または標識フッ化カリウム等と反応させるか、または、あらかじめ置換基Xをベンゼン環上に有するベンジルハライド等を用いて、例えば、非特許文献3(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y.;Shikama,H.;Fujikura,T. Chem. Pharm. Bull. 1996,44,1871-1879)または、非特許文献4(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y. Chem. Pharm. Bull. 1996,45,333-337)に記載の方法を用いることにより、式(1)で表される上記化合物を得ることができる。
また、式(4)の化合物については、標識シアン化水素または標識シアン化銅(I)等と反応させることにより、式(2)で表される上記化合物を得ることができる。
さらには、本発明に係る、PET用標識化合物を製造するためのキットは、式(3)または式(4)で表される上記化合物を備えている。
上記構成によれば、簡便に、PET用標識化合物を製造することができる。
本発明に係る化合物は、以上のように、式(1)または式(2)で表される構造を有することを特徴としている。このため、アロマテースをより高い精度で定量することができるPET用標識化合物を提供することができ、種々の疾患の診断を容易にするとともに、アロマテースを標的とする医薬品候補化合物のスクリーニングに活用することができる。また、アロマテースと結合することで副作用を発現するような、アロマテース以外の分子を標的とした医薬品候補化合物のスクリーニングにも活用することができる。
本発明に係る化合物(10)のHPLC分取結果を示す図面である。 本発明に係る標識化合物と従来技術に係る標識化合物とを用いた場合における扁桃体の結合能画像をそれぞれ示す図面である。 本発明に係る標識化合物と従来技術に係る標識化合物とを用いた場合における側坐核の結合能画像をそれぞれ示す図面である。 本発明に係る標識化合物と従来技術に係る標識化合物とを用いた場合における、小脳、扁桃体、視床下部、側坐核のPET測定での時間経過によるSUVの変化を示すグラフである。 本発明に係る化合物(10)による置換実験における結合能画像を示す図面である。 図5に示す結合画像の結果を数値化したグラフである。 本発明に係る化合物(10)の結合実験の結果を示すグラフである。 本発明に係る標識化合物と従来技術に係る標識化合物とを用いた場合における、血液中の親化合物の含有率の時間経過に対する変化を示すグラフである。 本発明に係る標識化合物と従来技術に係る標識化合物とを用いた場合における、脳内の標識された代謝物の含有率の時間経過に対する変化を示すグラフである。 本発明に係る別の標識化合物を用いた場合における扁桃体の結合能画像をそれぞれ示す図面である。 本発明に係る化合物(22)を用いた場合における、扁桃体、視床下部、側坐核、小脳のPET測定での時間経過によるSUVの変化を示すグラフである。 本発明に係る化合物(33)を用いた場合における、扁桃体、視床下部、側坐核、小脳のPET測定での時間経過によるSUVの変化を示すグラフである。 本発明に係る化合物(39)を用いた場合における、扁桃体、視床下部、側坐核、小脳のPET測定での時間経過によるSUVの変化を示すグラフである。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態に係る化合物は、下記式(1)
(式中、Xは、11CH、CH 18F、CF 18F、18F、76Brまたは124Iであり、Xは、CNまたはNOであり、Rは、
で表される基の何れか一つである)
で表される構造、あるいは
下記式(2)
(式中、Xは、CH、CHF、CF、F、BrまたはIであり、Rは上記式(1)と同義である)
で表される構造を有する。
このような化合物は、男性ステロイドを女性ステロイドに変換する酵素であるアロマテースに対して選択的な親和性を示す。また、上記化合物は、代謝に対して安定な部位に短寿命放射核種を有する。このため、アロマテースの分布を可視化するだけでなく、定量性の高いPET画像を提供し得る。
ここで、Xとしては、11CHまたはCH 18Fが好ましく、被験者の被曝を少なくする観点、並びに他のPET用分子プローブによる検査を連続的に行うことができる観点から、半減期が比較的短い11CHであることがより好ましい。また、Xとしては、CNが好ましく、Xとしては、CHまたはBrが好ましい。
上記XおよびXの置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位の何れであってもよいが、パラ位であることが好ましい。
また、本実施の形態に係る化合物は、下記式(1’’)
(式中、X1’’は、CH、CHF、CF、F、BrまたはIであり、Xは、CNまたはNOであり、Rは上記式(1)と同義である)
で表される構造を有する。
上記化合物は、放射標識されていないこと以外は、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物と同じ構造を有する。このため、一般式(1)または一般式(2)で表される上記化合物をPET用標識化合物として用いる際のコールド標品として好適に用いることができる。
式(1’’)で表される上記化合物は、下記式(1’)
(式中、X1’は、CHまたはCHFである)
で表される構造を有することが好ましい。
また、上記式(1’)におけるX1’としては、CHであることがより好ましい。
なお、式(1'')におけるX1’’の置換位置、および式(1')におけるX1’の置換位置は、対応する、式(1)または式(2)で表される化合物におけるXまたはXの位置と同じ位置であればよく、オルト位、メタ位、パラ位の何れであってもよい。
式(1)で表される上記化合物は、下記式(3)
(式中、Xは、CNまたはNOであり、Xは、−CH、−CF、−SnR 、−B(OH)、−BF・K、−B(OR)(OR)または
(式中、Aは2価の炭化水素基である)
であり、Xは、Cl、Br、I、−OSOCH、−OSO(4−CH)または−OSOCF等の脱離基であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキル基であり、Rは一般式(1)と同義である)
で表される構造を有する化合物から合成することができる。
具体的には、Xが、−SnR 、−B(OH)、−BF・K、−B(OR)(OR)または式(i)の置換基である場合、式(3)で表される化合物を、標識ヨウ化メチル(11CHI)、標識フッ化ヨウ化メチル(18FCHI)(以下、両者を総称して、単に、「標識ヨウ化メチル等」と略する場合がある)と反応させることにより、Xが、11CH、CH 18Fである、式(1)で表される上記化合物を得ることができる。
が−SnR である場合における、上記反応は、例えば、非特許文献5(Suzuki,M.;Doi,H.;Bjorkman,M.;Andersson,Y.;Langstrom,B.;Watanabe,Y.;Noyori,R. Chem. Eur. J. 1997,12,2039-2042)に記載されている、有機スズ化合物とヨウ化メチルとをパラジウム錯体存在下に反応させメチル基を導入する方法に準じて行うことができる。具体的には、例えば、式(3)で表される化合物を、標識ヨウ化メチル等と、パラジウム(0)錯体、配位子、炭酸塩、任意にハロゲン化銅またはハロゲン化アルカリ金属の存在下に短時間で反応させることにより、式(1)で表される化合物を得ることができる。
また、ホウ素化合物からの[11C]メチル化と[18F]フルオロメチル化についても、例えば、非特許文献6(Doi,H.;Ban,I.;Nonoyama,A.;Sumi,K.;Kuang,C.;Hosoya,T.;Tsukada,H.;Suzuki,M. Chem. Eur. J. 2009,15,4165-4171)や国際公開WO2008/023780に記載の方法に準じて行うことができる。
また、Xが−CHである場合には、標識フッ化カリウム(K18F)等と反応させることにより、XがCH 18Fである、式(1)で表される上記化合物を得ることができる。
がCF 18Fである、式(1)で表される上記化合物は、例えば、非特許文献7(Prabhakaran,J.;Underwood,M. D.;Parsey,R. V.;Arango,V.;Majo,V. J.;Simpson,N. R.;Heertum,R. V.;Mann,J. J.;Kumar,J. S. D. Bioorg. Med. Chem. 2007,15,1802-1807)や、非特許文献8(Angelini,G.;Speranza,M.;Shiue,C.-Y.;Wolf,A. P. J. Chem. Soc.,Chem. Commun. 1986,924-925)に記載の方法に準じて、Xが−CFBrまたは−CFClである、式(3)で表される化合物に対して、18Fで標識された[18F]フッ素アニオンを用いた求核置換反応により得ることができる。
18Fである、式(1)で表される上記化合物は、Xが−SnR である、式(3)で表される化合物に対して、18Fで標識された[18F]フッ素ガスあるいは[18F]アセチルハイポフルオライト等を反応させることにより得ることができる。
76Brまたは124Iである、式(1)で表される上記化合物は、Xが−SnR である、式(3)で表される化合物に対して、76Brで標識された[76Br]臭素アニオンあるいは124Iで標識された[124I]ヨウ素アニオンを、クロラミンT等の酸化剤存在下で反応させることにより得ることができる。
上記Aは、2価の炭化水素基であり、
で表される基の何れか1つであることが好ましい。
式(3)において、Xが−CFである場合、Xとしては、ClまたはBrであることが好ましい。
上記R、RおよびRは、炭素数が1〜6のアルキル基であり、炭素数4〜6のアルキル基であることが好ましい。上記Rとして具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、シクロペンチルメチル基、およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記パラジウム(0)錯体としては、式(1)で表される化合物と、標識ヨウ化メチル等とのカップリング反応を触媒するものであれば特には限定されない。例えば、Pd(dba)、Pd(dba)CHCl、Pd[P(o−CH、Pd[P(tert−C等が挙げられる。
また、上記配位子としては特には限定されず、例えば、パラジウム(0)錯体がPd(dba)である場合、P(o−CH等が挙げられる。
上記ハロゲン化銅としては、CuCl、CuBr等が挙げられる。また、当該ハロゲン化銅の量は、上記パラジウム(0)錯体に含まれるパラジウム原子に対して、例えば2当量以上で用いることができる。
上記ハロゲン化アルカリ金属としては、CsF等が挙げられる。当該ハロゲン化アルカリ金属の量は、上記パラジウム(0)錯体に含まれるパラジウム原子に対して、例えば2当量以上で用いることができる。
上記炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられ、炭酸カリウムが好ましい。当該炭酸塩の量は、上記パラジウム(0)錯体に含まれるパラジウム原子に対して、例えば2当量以上で用いることができる。
また、式(1)で表される化合物を得るための上記反応では溶剤を用いてもよい。このような溶剤としては、例えば、DMF、DMFと水との混合物等が挙げられる。
また、式(2)で表される上記化合物は、下記式(4)
(式中、Xは、一般式(2)と同義であり、Xは、Cl、Br、IまたはOSOCF等の脱離基であり、Rは上記式(1)と同義である)
で表される構造を有する化合物を、標識シアン化水素(H11CN)または標識シアン化銅(I)(Cu11CN)等と反応させることにより得ることができる。
より具体的には、例えば、標識シアン化銅(I)と反応させる場合には、DMF中で180℃程度に加熱すれば得られ、標識シアン化水素と反応させる場合には、(PhP)Pd等のパラジウム触媒存在下で加熱することにより得ることができる。
なお、式(4)におけるXの置換位置は、対応する、式(2)で表される化合物におけるXの位置と同じ位置であればよく、オルト位、メタ位、パラ位の何れであってもよい。
式(3)で表される上記化合物は、例えば、下記式(5)
(式中、Xは、式(3)と同義であり、Xは、Cl、Br、IまたはOSOCF等の脱離基であり、Rは上記式(1)と同義である)
で表される構造を有する化合物から製造することができる。
なお、式(5)におけるXの置換位置は、対応する、式(3)で表される化合物におけるXの位置と同じ位置であればよく、オルト位、メタ位、パラ位の何れであってもよい。
式(3)におけるXがSnR である場合、式(5)で表される上記化合物を、例えば、Pd(PPh存在下で、(SnR と反応させることにより製造することができる。
また、式(3)におけるXが、−B(OR)(OR)や式(i)で表される基である場合には、例えば、非特許文献9(Ishiyama,T.;Murata,M.;Miyaura,N. J. Org. Chem. 1995,60,7508-7510)に記載されているように、式(3)で表される上記化合物を、PdCl(dppf)、および酢酸カリウムの存在下で、式(i)で表される基を供与し得るアルコキシジボロンと反応させることにより製造することができる。
式(3)におけるXが、−B(OH)、−BF・Kである場合には、例えば、非特許文献10(Murphy,J. M.;Tzschucke,C. C.;Hartwig,J. F. Org. Lett. 2007,9,757-760)に記載の方法によりピナコールボロン酸エステルから合成することができる。
式(3)におけるXがCHである場合には、式(5)で表される上記化合物のXがOH(水酸基)である化合物を、例えば、トリエチルアミン等の塩基存在下、適当なスルホニルクロリドと反応させるかまたは、三ハロゲン化リンと反応させること等により製造することができる。
また、式(3)におけるXがCFである場合には、式(3)で表される上記化合物のXがH(水素)である化合物を、例えば、塩素または臭素、あるいはN-ブロモコハク酸イミドと反応させること等により製造することができる。XがI、−OSOCH、−OSOCFである場合も、上記方法に準じて製造することができる。
式(5)で表される上記化合物は、あらかじめ置換基Xをベンゼン環上に有するベンジルハライド等を用いて、例えば、非特許文献3(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y.;Shikama,H.;Fujikura,T. Chem. Pharm. Bull. 1996,44,1871-1879)または非特許文献4(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y. Chem. Pharm. Bull. 1996,45,333-337)に記載の方法により、合成することができる。式(4)で表される上記化合物も、これらの方法に準じて合成することができる。
なお、式(1’’)で表される上記化合物は、例えば、上記非特許文献3または非特許文献4に記載の方法により、4−(4H−1,2,4−トリアゾール−4−イルアミノ)ベンゾニトリル(実施例の化合物(3)参照)、1−ニトロ−4−(4H−1,2,4−トリアゾール−4−イルアミノ)ベンゼン、4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルアミノ)ベンゾニトリル、または、1−ニトロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルアミノ)ベンゼンに、炭酸カリウム等の塩基存在下、メチルベンジルハライド、フッ化メチルベンジルハライド、三フッ化メチルベンジルハライド、フッ化ベンジルハライド、塩化ベンジルハライド、臭化ベンジルハライド、ヨウ化ベンジルハライド等をそれぞれ反応させることにより得ることができる。また、上述した式(1)または式(2)で表される化合物の製造方法において、標識化ヨウ化メチル等の代わりに標識化されていないヨウ化メチル等(CHI、FCHI)、または、標識化シアン化水素または標識化シアン化銅(I)等の代わりに標識化されていないシアン化水素またはシアン化銅(I)等を用いることによっても同様に得ることができる。
また、原理的には、式(1)および式(2)で表される化合物は、上述した上記非特許文献3または非特許文献4に記載の方法において、あらかじめポジトロン放出核種でラベル化された各種ベンジルハライドや、あらかじめポジトロン放出核種でラベル化された各種ベンゾニトリルを用いることによっても得ることができる。
分子プローブ中の放射能の低下を抑制することができれば、より少ない投与量にてPETを行うことができる。本発明者らはこれまでに、非常に短時間で完了するメチル化反応を開発している。これにより、寿命が非常に短い放射線核種を用いて製造した化合物であっても、PET用分子プローブとして有効に利用し得る。すなわち、本発明の好ましい実施形態において、式(1)で表される上記化合物は、上記メチル化反応を適用し得るものであり得る。また、このような化合物は、上記メチル化反応を用いて製造されることが好ましい。
上記キットとしては、式(3)で表される上記化合物を含有する場合には、または式(3)で表される上記化合物の他に、上述した、標識ヨウ化メチル等、パラジウム(0)錯体、配位子、および炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つを更に備えていてもよく、更に任意に、ハロゲン化銅またはハロゲン化アルカリ金属や、上述した反応に用い得る他の試薬、溶媒、触媒を備えていてもよい。
また、上記キットとして式(4)で表される上記化合物を含有する場合には、式(4)で表される上記化合物の他に、上述した、標識シアン化水素(H11CN)または標識シアン化銅(I)(Cu11CN)を更に備えていてもよく、更に任意に、反応に用い得る溶媒や触媒を備えていてもよい。
なお、本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュ等)を備えた包装が意図される。好ましくは各材料を使用するための指示書を備える。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器の何れかの中に内包されている状態が意図される。また、本実施の形態に係るキットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であり得る。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。
本実施の形態に係るキットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。さらに、本実施の形態に係るキットは、用途に応じて必要な器具をあわせて備えていてもよい。
また、アロマテースは、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症、子宮筋腫等において発現することが知られているため、式(1)または式(2)で表される上記化合物を標識化合物として用いてPETを行えばこれらの疾患を診断することや、これらの疾患の診断を補助するためのデータ収集をすることや、治療薬(アロマテース阻害薬)の開発を補助することができる。つまり、本実施の形態では、式(1)または式(2)で表される上記化合物をPETに用いる工程を包含する、疾患の診断方法、疾患の診断を補助するためのデータ収集方法、またはアロマテースを標的とする医薬品候補化合物、あるいはアロマテースと結合することで副作用を発現するような、アロマテース以外の分子を標的とした医薬品候補化合物のスクリーニング方法を提供する。
さらには、アロマテースは、精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等に関わることが知られているため、式(1)または式(2)で表される上記化合物をPET用標識化合物として用いて脳内アロマテースの定量を行うことは、これらの疾患の原因解明や治療法の究明に役立つ。
本発明に係る化合物は、一実施形態において、組成物形態で提供され得る。本実施形態に係る組成物は、PETによりアロマテースをイメージングするために用いられるだけでなく、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患(例えば、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症、子宮筋腫等)を診断するために、あるいは精神障害、更年期障害、慢性疲労症候群等の診断を目的として、使用される。本実施形態に係る組成物は、溶液または懸濁液のいずれかの形態にて調製されていても、液体(例えば、緩衝液)に溶解もしくは懸濁するために適切な固体形態として調製されていてもよい。
また、本実施形態に係る組成物は、式(1’’)で表される上記化合物をさらに含み得る。
なお、本実施形態に係る組成物は、キットとして提供されてもよい。「組成物」は各種成分が一物質中に含有されている形態であり、「キット」は各種成分の少なくとも1つが別物質中に含有されている形態であるが、本明細書中にて用いられる場合、「主成分を含有している組成物」は「主成分を備えているキット」を包含する。組成物中に含まれ得る他の成分は、主成分である化合物の機能を阻害しないものであれば特に限定されない。
なお、本実施の形態に係る化合物を生体に適用する場合の投与は、種々の経路による注入により行うことが好ましいが、これに限定されない。また、投与量も、必要に応じて当業者によって適宜設計され得る。
なお、上述したように、本発明に係る化合物は、式(1)で表される化合物であって、X11CHであることが好ましい。
上記構成によれば、11CHは半減期が比較的短いため、被験者の被曝を少なくすることができ、さらには他のPET用標識化合物による検査を連続的に行うことができる。
本発明に係る化合物は、式(2)で表される化合物であって、XがCHまたはBrであることが好ましい。
また、本発明に係る診断用組成物では、下記式(1’’)
(式中、X1’’は、CH、CHF、CF、F、BrまたはIであり、Xは、CNまたはNOであり、Rは、
で表される基の何れか一つである)
で表される構造を有する化合物をさらに含んでいることが好ましい。
さらには、本発明に係る診断用組成物では、適用対象が、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、および慢性疲労症候群からなる群より選択されることが好ましい。
また、本発明に係る診断方法では、適用対象が、アロマテースまたは性ステロイドの関与が疑われる疾患、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、および慢性疲労症候群からなる群より選択されることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下に示す実験操作において、TLC(thin-layer chromatography)は、シリカゲル0.25mmがプレコートされたプレート(Merck Chemicals,Silica Gel 60 F254,Cat. No. 1.05715)を用いて行った。
カラムクロマトグラフィは、シリカゲル(関東化学(株),Silica Gel 60N,spherical neutral,粒径40-50 μm,Cat. No. 37563-85または粒径63-210 μm,Cat. No. 37565-85)を用いて行った。
融点(Mp)は、YANACO MP-J3 instrumentにより測定し、補正は行っていない。
1Hおよび13C NMRは、Varian MERCURY 300 spectrometerを用い、それぞれ300MHzおよび75.5MHzで測定を行った。またはJEOL JNM-EX270 spectrometerを用い、 それぞれ270MHzおよび67.8MHzで測定を行った。NMRスペクトル用の溶媒としては、CDCl3 (CIL,Cat. No. DLM-7TB)およびDMSO-d6 (CIL,Cat. No. DLM-10)を用いた。また、化学シフト(δ)は、(CH34Si (CDCl3の場合、δ 0.00(1H NMR)若しくは上記溶媒ピーク(DMSO-d6の場合、δ 2.49(1H NMR)およびδ 39.5(13C NMR)、並びにCDCl3の場合、δ 77.0(13C NMR))を内部基準として、結合定数(Hz)と共に、ppmで与えられる。さらには、略記”s”,”d”,”t”,”m”,および”br”は、それぞれ”singlet”,”doublet”,”triplet”,”multiplet”,および”broad”をそれぞれ意味する。
IRスペクトルは、「DRS-8000A」を装着した「SHIMADZU IR Prestige-21 spectrometer」を用い、拡散反射法により測定した。
元素分析は、「YANACO CHN CORDER MT-5」により行った。
高分解能質量スペクトル(HRMS)は、「JEOL JMS-700 mass spectrometer」により、ポジティブ高速原子衝突(FAB+)条件下で測定した。または、「Bruker micrOTOF mass spectrometer」により、ポジティブエレクトロスプレーイオン化(ESI+)条件下で測定した。
なお、本実施例では、化合物(1)(4-fluorobenzonitrile)(Cat. No. 329-70013)、化合物(2)(4-amino-4H-1,2,4-triazole)(Cat. No. 326-41573)、tert−ブトキシカリウム(Cat. No. 161-08421)、4−メチルベンジルブロミド(Cat. No. 021-03131)、4−ブロモベンジルブロミド(Cat. No. 325-36072)、炭酸カリウム(Cat. No. 162-03495)、化合物(5)(4-bromobenzyl alcohol)(Cat. No. 320-77123)、トリブチルスズ(IV)クロリド(Cat. No. 202-08981)、メタンスルホニルクロリド(Cat. No. 131-01583)、トリエチルアミン(Cat. No. 202-02646)、ビス(ピナコラート)ジボロン(Cat. No. 329-56970)、m−ブロモベンジルブロミド(Cat. No. 32-6642)、p-フルオロニトロベンゼン(Cat. No. 064-02081)、化合物(18)(3−ブロモベンジルアルコール)(Cat. No. 326-21852)、臭化ナトリウム(Cat. No. 193-01505)、化合物(26)(p−キシレン−α,α’-ジオール)(Cat. No. 248-00562)、および四臭化炭素(Cat. No. 038-16555)は和光純薬工業(株)からそれぞれ購入した。PdCl2(dppf)・CH2Cl2(Cat. No. B2064)は東京化成工業(株)から購入した。
また、(PhP)Pd(Cat. No. 216666)および(n-Bu3Sn)(Cat. No. 251127)、化合物(13)(4−ヨードベンジルアルコール)(Cat. No. 523496)、3−メチルベンジルブロミド(Cat. No. B83509)、および(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド(Cat. No. 235253)はシグマアルドリッチジャパン(株)からそれぞれ購入した。n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(Cat. No. 04937-25)および臭化カリウム(Cat. No. 32319-30)、酢酸カリウム(32299-30)およびトリフェニルホスフィン(Cat. No. 40950-25)は関東化学(株)からそれぞれ購入した。
他の全ての化学試薬は、市販されている等級のものをそのまま使用した。
また、化合物(3)(4-(4H-1,2,4-Triazol-4-ylamino)benzonitrile)は、非特許文献3(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y.;Shikama,H.;Fujikura,T.,Chem. Pharm. Bull. 1996,44,1871-1879)に記載の方法により、DMSO中、tert−ブトキシカリウム存在下で化合物(1)と化合物(2)とを反応させることにより合成した。化合物(9)、化合物(31)および化合物(37)も非特許文献3に記載の方法によって合成した。
〔化合物の合成〕
(I)化合物(4)(4-[(4H-1,2,4-Triazol-4-yl){4-(tributylstannyl)benzyl}amino ]benzonitrile)の合成
<方法A>
化合物(4)は、以下のスキームに従って合成した。
ここで、化合物(8)は、以下のスキームに従って合成した。
以下に、各化合物についての合成方法について具体的に説明する。
(i)化合物(6)(4-(Tributylstannyl)benzyl alcohol)の合成(非特許文献11(Huang, Y.; Hammond, P. S.; Wu, L.; Mach, R. H., J. Med. Chem. 2001, 44, 4404-4415)、非特許文献12(Kopka, K.; Faust, A.; Keul, P.; Wagner, S.; Breyholz, H.-J.; Holtke, C.; Schober, O.; Schafers, M.; Levkau, B..J. Med. Chem. 2006, 49, 6704-6715)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(5)(4.15g,22.2mmol)の無水THF(150mL)溶液に、n−ブチルリチウム(1.63M,30.0mL,48.9mmol)のn−ヘキサン溶液を−78℃でゆっくりと加えた。上記混合物を同温度下で50分間攪拌した後、当該混合物に、トリブチルスズ(IV)クロリド(13.3mL,48.9mmol)を−78℃で加え、混合物を室温まで昇温した。1.5時間攪拌した後、上記反応混合物を減圧下で濃縮した。
その残留物に水(200mL)を加え、混合物をCHCl(80mL×2)で抽出した。有機層を全て混合し、水(150mL×3)、食塩水(150mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。
その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル200g,n-hexane/EtOAc = 8/1)により精製し、化合物(6)(無色油状物,7.14g,81.0%)を得た。
TLC Rf = 0.44 (n-hexane/EtOAc = 4/1),Rf= 0.50(n-hexane/CH2Cl2/EtOAc = 4/1/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.2 Hz,3CH3),0.93-1.16 (m,6H,3CH2),1.26-1.39 (m,6H,3CH2),1.43-1.67 (m,6H,3CH2),4.68 (d,2H,J = 5.8 Hz,benzylic CH2),7.30-7.37 (AA’BB’,2H,aromatic),7.39-7.56 (AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 37.4 Hz,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,CDCl3) δ 9.3 (3C,1J(119Sn-13C) = 339.2 Hz,1J(117Sn-13C) = 324.5 Hz),13.5 (3C),27.2 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 54.7 Hz),28.9 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 19.7 Hz),64.2,126.5 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 41.3 Hz),136.2 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 31.4 Hz),140.2,140.5
IR (KBr,cm-1)514,598,621,662,689,743,791,833,864,961,1015,1069,1207,1290,1375,1393,1418,1462,2851,2870,2924,2955,3296
Anal. Calcd. for C19H34Sn: C,57.46;H,8.63. Found: C,57.29;H,8.88
HRMS (FAB+/NBA+NaI) m/z 421.1536 ([M+Na]+,C19H34O120SnNa requires 421.1529)。
(ii)化合物(7)(4-(Tributylstannyl)benzyl methanesulfonate)の合成(非特許文献12参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(6)(6.90g,17.4mmol)のCHCl(100mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(3.63mL,26.0mmol)およびメタンスルホニルクロリド(1.61mL,20.8mmol)を順次加え、混合物を同温度下で35分間攪拌した。
これに、水(200mL)を加え、混合物をCHCl(80mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、食塩水(150mL×3)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮した。その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル200g,n-hexane/EtOAc = 4/1)で精製し、化合物(7)(無色油状物,7.17g,86.8%)を得た。
TLC Rf = 0.45(n-hexane/EtOAc = 4/1),Rf = 0.57(n-hexane/CH2Cl2/EtOAc = 4/1/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.2 Hz,3CH3),0.94-1.19 (m,6H,3CH2),1.23-1.41 (m,6H,3CH2),1.42-1.67 (m,6H,3CH2),2.90 (s,3H,CH3),5.23 (s,2H,benzylic CH2),7.33-7.41 (AA’BB’,2H,aromatic),7.43-7.60 (AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 36.5 Hz,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,CDCl3) δ 7.0 (3C,1J(119Sn-13C) = 340.7 Hz,1J(117Sn-13C) = 325.5 Hz),13.3 (3C),26.9 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 55.4 Hz),28.7 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.0 Hz),37.3,71.4,127.8 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 40.3 Hz),132.9,136.4 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 30.8 Hz),143.1
IR (KBr,cm-1)513,529,664,691,816,862,932,1069,1175,1356,1396,1416,1464,2851,2870,2924,2955
Anal. Calcd. for C20H36O3SSn: C,50.54;H,7.63. Found: C,50.32;H,7.80
HRMS (FAB+/NBA+NaI) m/z 499.1301 ([M+H]+,C20H36O3S120SnNa requires 499.1305)。
(iii)化合物(8)(4-(Tributylstannyl)benzyl bromide)の合成(非特許文献13(Patel, H. K.; Kilburn, J. D.; Langley, G. J.; Edwards, P. D.; Mitchell, T.; Southgate, R., Tetrahedron Lett. 1994, 35, 481-484)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(7)(6.91g,14.5mmol)のDMF(100mL)溶液に、臭化カリウム(3.46g,29.1mmol)を室温下で加え、混合物を同温度下で12時間攪拌した。
これに、水(100mL)を加え、混合物をEtO(80mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(150mL×3)、食塩水(150mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル200g,n-hexane/Et2O= 49/1)により精製し、化合物(8)(無色油状物,6.43g,96.1%)を得た。
TLC Rf = 0.39(n-hexane)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.2 Hz,3CH3),0.92-1.18 (m,6H,3CH2),1.25-1.40 (m,6H,3CH2),1.42-1.64 (m,6H,3CH2),4.49 (s,2H,benzylic CH2),7.30-7.39 (AA’BB’,2H,aromatic),7.39-7.54 (AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 36.6 Hz,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,CDCl3) δ 7.3 (3C,1J(119Sn-13C) = 340.0 Hz,1J(117Sn-13C) = 324.8 Hz),13.6 (3C),27.3 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 55.4 Hz),29.0 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 19.3 Hz),33.4,128.2 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 41.2 Hz),136.6 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 30.5 Hz),137.2,142.2
IR (KBr,cm-1)627,669,777,797,839,937,1011,1086,1113,1406,1462,1485,2857,2884,2928,2953
Anal. Calcd. for C19H33BrSn: C,49.60;H,7.23. Found: C,49.44;H,7.41。
(iv)化合物(4)(4-[(4H-1,2,4-Triazol-4-yl){4-(tributylstannyl)benzyl}amino ]benzonitrile)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(1.17g,6.33mmol)、化合物(8)(3.49g,7.59mmol)、および炭酸カリウム(1.76g,12.7mmol)の混合物のアセトン(50mL)溶液を室温下で8時間攪拌した。これに、水(100mL)を加え、上記混合物をCHCl(100mL×3)により抽出した。有機層を全て混合し、水(100mL×1)、食塩水(100mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。
その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル110g、CH2Cl2/CH3OH = 20/1)により精製し、化合物(4)(無色固体,2.62g,73.5%)を得た。n−ヘキサンによって再結晶することによって無色板状晶が得られた(2.26g,63.4%)。
TLC Rf = 0.57 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
Mp 93-94 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.2 Hz,3CH3),0.93-1.18 (m,6H,3CH2),1.23-1.41 (m,6H,3CH2),1.44-1.58 (m,6H,3CH2),4.88 (s,2H,benzylic CH2),6.62-6.70 (AA’BB’,2H,aromatic),7.09-7.19 (AA’BB’,2H,aromatic),7.36-7.53(AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 36.0 Hz,aromatic),7.55-7.62 (AA’BB’,2H,aromatic),8.12 (br s,2H,triazole)
13C NMR (75.5 MHz,DMSO-d6) δ 9.1 (3C,1J(119Sn-13C) = 338.8 Hz,1J(117Sn-13C) = 324.2 Hz),13.6 (3C),26.7 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 53.7 Hz),28.6 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.3 Hz),57.3,102.8,113.6 (2C),119.1,127.9 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 40.9 Hz),133.9 (2C),134.7,136.4 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 31.9 Hz),141.0,143.3 (2C),151.5
IR (KBr,cm-1)669,826,1065,1179,1292,1335,1395,1462,1508,1605,2222,2851,2870,2924,2955
Anal. Calcd. for C28H39N5Sn: C,59.59;H,6.97;N,12.41. Found: C,59.47;H,6.65;N,12.44
HRMS (FAB+/NBA) m/z 566.2318 ([M+H]+,C28H40N5 120Sn requires 566.2306)。
<方法B>
また、化合物(4)は以下のスキームに示す別の方法によっても合成した。
具体的には、以下のように合成した。
なお、化合物(9)(4-{(4-Bromobenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile(YM511)は、文献1(Okada,M.;Yoden,T.;Kawaminami,E.;Shimada,Y.;Kudoh,M.;Isomura,Y.;Shikama,H.;Fujikura,T.,Chem. Pharm. Bull. 1996,44,1871-1879)に記載の方法により、アセトニトリル中、炭酸カリウム存在下で化合物(3)と4−ブロモベンジルブロミドとを反応させることにより合成した。
まず、アルゴン雰囲気下、化合物(9)(685mg,1.93mmol)のDME(20mL)溶液に、(PhP)Pd(66.9mg,57.9μmol)および(n−BuSn)(2.50mL,2.93mmol)を順次加え、混合物を100℃で20時間還流させた。
混合物を室温に冷却後、混合物に、飽和フッ化カリウム水溶液(50mL)を加え、生じた沈殿物を濾過により除去した。濾液を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、有機相を全て混合した。それを飽和フッ化カリウム水溶液(100mL×1)、水(100mL×1)、食塩水(100mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。
その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル50g,CH2Cl2/EtOAc = 9/1)により精製し、化合物(4)(無色固体,551mg,50.5%)を得た。
(II)化合物(10)(4-{(4-[11C]Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile,[11C]cetrozole)の合成
化合物(10)は以下のように合成した。
まず、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(1.8mg、1.6μmol)およびトリ−o−トリルホスフィン(2.0mg、6.3μmol)のDMF溶液(0.3mL)を反応容器(A)中に準備し、室温下に置いた。反応容器(A)中の溶液は、[11C]ヨウ化メチルを吹き込む10〜20分前に準備した。
一方、合成した化合物(4)(4.0mg、13μmol)、CuCl(2.0mg、20μmol)、およびKCO(2.4mg、18μmol)を反応容器(B)に準備し、室温下に置いた。
続いて、反応容器(A)に[11C]ヨウ化メチルを吹き込み、その後1分間静置した。得られた溶液を反応容器(B)に添加した。
反応溶液(B)中の混合溶液を70℃で5分間加熱した後、HPLC(high-performance liquid chromatography)を用いて下記条件下で分離および精製を行なった。
分離精製条件:ガードカラム Pd pack,AR-II 10 x 50 mm,分取カラム Cholester Waters 10 x 250 mm,UV検出波長 254nm,溶離液 CH3CN:30mM酢酸アンモニウム=40:60,流速5.0 mL/min,保持時間約14分,目的化合物(10)のHPLC分析収率91%以上(HPLC放射線スペクトルの面積比より算出),単離した(10)の総放射能2.3 GBq;分析条件(純度測定、比放射能測定):AR-II 4.6 x 100 mm,UV検出波長254 nm,溶離液CH3CN:30mM酢酸アンモニウム=40:60,流速1.0 mL/min,保持時間約4.5分,放射化学純度99%,化学純度96-99%,比放射能72 GBq/μmol
希釈用溶液:生理食塩水5.0 mL,プロピレングリコール0.5 mL,Tween 80界面活性剤0.08 mL。
11C−標識化合物(10)のHPLC分取結果を図1に示す。なお、図1中、ベースラインが下側にあるピークはRI検出によるものであり、ベースラインが上側にあるピークはUV検出によるものである。
HPLCによる分離後、目的の11C−標識化合物(10)を含むフラクションを減圧下、エバポレーターにより濃縮し、希釈用溶液を加えてサル臨床研究用の投与溶液とした。
また、化合物(10)は、以下の方法によっても合成した。
サイクロトロン(製品名;住友CYPRIS HM-12Sサイクロトロン、住友重機械工業社製)を用いて、14N(p,α)11C反応によって、[11C]二酸化炭素を合成し、その後、標識用合成装置(RIKEN original automated radiolabeling system)によって、水素化アルミニウムリチウム、ヨウ化水素酸をこの順で加える処理を行い、[11C]ヨウ化メチルへ変換させた。得られた [11C]ヨウ化メチルは、以下に示す、パラジウム(0)触媒を用いた高速C-[11C]メチル化反応に用いた。
[11C]ヨウ化メチルを、Heガス流(30mL/分)によって、室温の反応容器(A)中の、Pd(dba)(2.0mg,1.8μmol)およびP(o-tolyl)(3.2mg,10.1μmol)のDMF(0.3mL)溶液へ移送した。当該混合物を、化合物(4)(2.5mg,4.4μmol)、CuCl(2.0mg,20μmol)、およびKCO(2.5mg,19μmol)を含む反応容器(B)へ移送した。
反応容器(A)の内部をDMF(0.5mL)でリンスし、その溶液を反応溶液(B)へ続けて移送した。
得られた混合物を70℃で5分間加熱した。反応混合物における塩およびパラジウム残留物を、固相抽出、CHCN:30mM CHCOONH(35:65)溶液1mLで洗浄することによって除去した。
一体化した溶出液を、γ検出器を備えた分取HPLC(移動相,CHCN:30mM CHCOONH(35:65);カラム,Nacalai COSMOSIL AR-II C18,10mm×250mm,5mm;ガードカラム,Sumika SUMIPAK Filter PG-ODS;流速,6mL/分;UV検出波長,254nm;化合物(10)の保持時間,13.5分)へ注入した。
所望のフラクションをフラスコに取り、減圧下で有機溶媒を除去した。所望の11Cでラベル化した化合物を、ポリソルベート80(0.05mL)、プロピレングリコール (0.3mL)、および生理食塩水(4mL)の混合物に溶解させた。
HPLC精製および静脈内投与のための放射性医薬品処方を含めた全ての合成時間は38分であった。
投与のために作製された化合物(10)の放射能は、1.5〜2.3GBqであり、比放射能は50〜120GBq/μmolであった。
化合物(10)の同定は、ラベル化していないオーセンティックサンプルである化合物(11)を、γ検出器を備えた分析用HPLC(移動相,CHCN:30mM CHCOONH(40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL,AR-II C18,4.6mm×100mm;流速,1mL/分;UV検出波長,254nm;化合物(10)の保持時間,4.5分)へ共注入することによって確認した。化学純度および放射化学純度は95%以上であった。
(III)化合物(11)(4-{(4-Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile (cetrozole))の合成
化合物(10)のコントロールとして、放射標識されていない化合物(11)を以下のスキームに従って合成した。
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(2.00g,10.8mmol)、4−メチルベンジルブロミド(Cat. No. 021-03131、和光純薬工業(株)から購入)(2.00g,10.8mmol)、および炭酸カリウム(2.99g,21.6mmol)の混合物のアセトニトリル(80mL)溶液を室温下で2時間攪拌した。これに、水(200mL)を加え、上記混合物をCHCl(100mL×3)により抽出した。有機層を全て混合し、水(30mL×2)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。
その残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル 200g、CH2Cl2/EtOAc = 1/1から1/4)により精製し、化合物(11)(無色固体,1.60g,51.2%)を得た。酢酸エチル(64mL)からの再結晶により、無色板状結晶(1.27g,40.6%)が得られた。
TLC Rf= 0.30 (CH2Cl2/EtOAc = 1/1)
Mp 201-202℃
1H NMR (300 MHz,DMSO-d6) δ 2.25 (s,3H,CH3),4.99 (s,2H,benzylic CH2),6.70-6.78 (AA’BB’,2H,aromatic),7.06-7.14 (AA’BB’,2H,aromatic),7.14-7.22 (AA’BB’,2H,aromatic),7.70-7.79 (AA’BB’,2H,aromatic),8.76 (br s,2H,triazole)
13C NMR (75.5 MHz,DMSO-d6) δ 20.7,56.9,102.8,113.7 (2C),119.1,128.5 (2C),129.3 (2C),131.2,133.9 (2C),137.4,143.4 (2C),151.6;IR (KBr,cm-1) 548,606,667,741,814,833,858,870,1069,1180,1207,1234,1265,1287,1302,1389,1456,1501,1512,1605,2220,2340,2359,3121
Anal. Calcd. for C17H15N5: C,70.57;H,5.23;N,24.21. Found: C,70.41;H,5.10;N,24.48
HRMS (FAB+/NBA+NaI) m/z 312.1220 ([M+Na]+,C17H15N5Na requires 312.1225)。
(IV)化合物(12)(4-[{4-(4,4,5,5-Tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzyl}(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino]benzonitrile)の合成
<方法A>
化合物(12)は、以下のスキームに従って合成した。
ここで、化合物(16)は、以下のスキームに従って合成した。
(i)化合物(14)(4-(4,4,5,5-Tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzyl alcohol)の合成(非特許文献14(Filippis, A.; Morin, C.; Thimon, C., Synth. Commun. 2002, 32, 2669-2676)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(13)(2.34g,10.0mmol)のDMSO(30mL)溶液に、室温でPdCl(dppf)・CHCl(245mg,300μmol),酢酸カリウム(2.94g,30.0mmol)、およびビス(ピナコラート)ジボロン(2.79g,11.0mmol)を順次加え、当該混合物を85℃で18時間攪拌した。
当該混合物を室温に冷却後、水(250mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。
有機層を全て混合し、水(100mL×3)および食塩水(100mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,n-hexane/EtOAc = 5/1)で精製することによって、化合物(14)を無色固体として得た。
TLC Rf = 0.41 (n-hexane/EtOAc = 2/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 1.35 (s,12H,4CH3),4.72 (s,2H,benzylic CH2),7.34-7.41 (AA’BB’,2H,aromatic),7.78-7.84 (AA’BB’,2H,aromatic)。
(ii)化合物(15)(4-(4,4,5,5-Tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzyl methanesulfonate)の合成(非特許文献14参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(14)(3.48g,14.9mmol)のCHCl(60mL)溶液に、0℃で、トリエチルアミン(3.15mL,22.6mmol)およびメタンスルホニルクロリド(1.40mL,18.1mmol)を順次加え、当該混合物を0℃で2時間攪拌した。この混合物に対して、水(150mL)を加え、CHCl(100mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(70mL×3)および食塩水(70mL×3)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル110g,n-hexane/EtOAc = 3/1)で精製することによって、化合物(15)を無色固体として得た。化合物(15)は、これ以上精製を行わずに次工程に用いた。
TLC 0.41 (n-hexane/EtOAc = 2/1)。
(iii)化合物(16)(4-(4,4,5,5-Tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzyl bromide)の合成(非特許文献14参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(15)(3.55g,11.4mmol)のDMF(25mL)溶液に、臭化カリウム(2.03g,17.1mmol)を室温で加え、その混合物を室温で19時間攪拌した。この混合物に対して、水(150mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(100mL×3)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g,n-hexane/EtOAc = 9/1)で精製することによって、化合物(16)を無色固体として得た。
TLC Rf = 0.73 (n-hexane/EtOAc = 3/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 1.34 (s,12H,4CH3),4.49 (s,2H,benzylic CH2),7.36-7.43 (AA’BB’,2H,aromatic),7.75-7.83 (AA’BB’,2H,aromatic)。
(iv)化合物(12)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(1.36g,7.33mmol)、化合物(16))(2.61g,8.79mmol)および炭酸カリウム(2.03g,14.7mmol)の混合物のアセトン(50mL)溶液を室温で5時間攪拌した。この混合物に対して、水(150mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル110g,CH2Cl2/CH3OH = 40/1)で精製することによって、化合物(12)(無色固体,2.02g,68.5%)を得た。
TLC Rf = 0.57 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
Mp 193-194 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 1.34 (s,12H,4CH3),4.91 (s,2H,benzylic CH2),6.63-6.70 (AA’BB’,2H,aromatic),7.18-7.25 (AA’BB’,2H,aromatic),7.55-7.63 (AA’BB’,2H,aromatic),7.75-7.83 (AA’BB’,2H,aromatic),8.11 (s,2H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,CDCl3) δ 24.7 (4C),58.2,83.9 (2C),104.8,113.3 (2C),118.5,127.2 (2C),133.9 (2C),135.5 (2C),136.3,142.5 (2C),150.4 (the carbon adjacent to boron was not observed)
IR (KBr,cm-1) 546,656,671,733,826,858,912,962,1020,1065,1088,1142,1179,1213,1271,1325,1360,1398,1508,1603,2222,2978,3115,3401
HRMS (ESI+) m/z 424.1912 ([M+Na]+,C22H24BN5NaO2 +requires 424.1915)。
<方法B>
また、化合物(12)は以下のスキームに示す別の方法によっても合成した。
具体的には、以下のように合成した。
アルゴン雰囲気下、化合物(9)(324mg,915μmol)のDMSO(5.5mL)溶液に、PdCl(dppf)・CHCl(22.5mg,27.5μmol)、酢酸カリウム(270mg,2.75mmol)、およびビス(ピナコラート)ジボロン(256mg,1.01mmol)を室温で順次加え、当該混合物を80℃で2時間攪拌した。当該混合物を室温に冷却後、水(80mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×3)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル30g,CH2Cl2/CH3OH = 20/1)で精製することによって、化合物(12)(薄灰色固体,330mg,89.9%)を得た。
(V)化合物(12)から化合物(10)の合成
サイクロトロン(製品名;住友CYPRIS HM-12Sサイクロトロン、住友重機械工業社製)を用いて、14N(p,α)11C反応によって、[11C]二酸化炭素を合成し、その後、標識用合成装置(RIKEN original automated radiolabeling system)によって、水素化アルミニウムリチウム、ヨウ化水素酸をこの順で加える処理を行い、[11C]ヨウ化メチルへ変換させた。得られた[11C]ヨウ化メチルは、以下に示す、パラジウム(0)触媒を用いた高速C-[11C]メチル化反応に用いた。
[11C]ヨウ化メチルを、Heガス流(30mL/分)によって、室温で、化合物(12)(4.0mg,10μmol),Pd(dba)(2.9mg,2.5μmol),P(o-tolyl)3(4.0mg,12.6μmol)、およびKCO(4.0mg,30μmol)のDMF(0.5mL)溶液へ移送した。
得られた混合物を65℃で2分間加熱した。反応混合物における塩およびパラジウム残留物を、固相抽出、CHCN:30mM CHCOONH(35:65)溶液1mLで洗浄することによって除去した。
一体化した溶出液を、γ検出器を備えた分取HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (35:65);カラム,Nacalai COSMOSIL AR-II C18,10 mm ×250 mm;ガードカラム,Sumika SUMIPAK Filter PG-ODS;流速,6 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(10)の保持時間,13.5分)へ注入した。所望のフラクションをフラスコに取り、減圧下で有機溶媒を除去した。所望の11Cでラベル化した化合物を、ポリソルベート80(0.05mL)、プロピレングリコール(0.3mL)、および生理食塩水(4mL)の混合物に溶解させた。
HPLC精製および静脈内投与のための放射性医薬品処方を含めた全ての合成時間は30分であった。投与のために作製された化合物(10)の放射能は、2.6〜6.2GBqであり、比放射能は90〜110GBq/μmolであった。
化合物(10)の同定は、ラベル化していないオーセンティックサンプルである化合物(11)を、γ検出器を備えた分析用HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL,AR-II C18,4.6 mm ×100 mm;流速,1 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(10)の保持時間,4.5分)へ共注入することによって確認した。化学純度および放射化学純度は95%以上であった。
(VI)化合物(22)(4-{(3-[11C]Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成
化合物(22)は、以下のスキームに従って合成した。
(i)化合物(19)(3-(Tributylstannyl)benzyl alcohol)の合成(非特許文献15(Efange, S. M. N.; Michelson, R. H.; Khare, A. B.; Thomas, J. R., J. Med. Chem. 1993, 36, 1754-1760)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(18)(2.66mL,22.2mmol)の無水THF(150mL)溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム(1.63M,30.0mL,48.9mmol)n−ヘキサン溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を−78℃で30分間攪拌後、−78℃でトリブチルスズ(IV)クロリド(13.5mL,49.8mmol)を加え、室温まで暖めた。1時間攪拌後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物に対して、水(200mL)を加え、CHCl(80mL×3)で抽出した。
有機層を全て混合し、水(100mL×3)および食塩水(100mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル220g,n-hexane/EtOAc = 10/1)で精製することによって、化合物(19)(無色油状物,7.47g,84.8%)を得た。
TLC Rf = 0.52 (n-hexane/EtOAc = 4/1),Rf = 0.52 (n-hexane/CH2Cl2/EtOAc = 5/2/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.86 (t,9H,J = 7.4 Hz,3CH3),0.93-1.18 (m,6H,3CH2),1.22-1.44 (m,6H,3CH2),1.45-1.63 (m,6H,3CH2),4.67 (s,2H,benzylic CH2),7.26-7.54 (m,4H,aromatic)。
(ii)化合物(20)(3-(Tributylstannyl)benzyl methanesulfonate)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(19)(7.12g,17.9mmol)のCHCl(35mL)溶液に対して、0℃でトリエチルアミン(3.80mL,27.3mmol)およびメタンスルホニルクロリド(1.66mL,21.5mmol)を順次加え、当該混合物を0℃で3時間攪拌した。これに、水(100mL)を加え、CHCl(80mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル220g,n-hexane/EtOAc = 9/1)で精製することによって、化合物(20)(無色油状物,4.85g,56.9%)を得た。
TLC 0.48 (n-hexane/EtOAc = 4/1),Rf= 0.65 (n-hexane/CH2Cl2/EtOAc = 5/2/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.89 (t,9H,J = 7.3 Hz,3CH3),0.94-1.20 (m,6H,3CH2),1.26-1.40 (m,6H,3CH2),1.46-1.59 (m,6H,3CH2),2.88 (s,3H,CH3),5.24 (s,2H,benzylic CH2),7.29-7.58 (m,4H,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,CDCl3) δ 9.5 (3C,1J(119Sn-13C) = 366.8 Hz,1J(117Sn-13C) = 341.7 Hz),13.6 (3C),27.2 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 56.0 Hz),28.9 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.2 Hz),38.2,72.0,128.2 (3J(119/117Sn-13C) = 39.5 Hz),128.6,132.5 (3J(119/117Sn-13C) = 38.9 Hz),136.8 (2J(119/117Sn-13C) = 30.8 Hz),137.4 (2J(119/117Sn-13C) = 28.7 Hz),143.1
IR (KBr,cm-1) 507,529,700,783,829,918,935,1175,1356,1464,2851,2870,2926,2957
Anal. Calcd. for C20H36O3SSn: C,50.54;H,7.63. Found: C,50.32;H,7.28
HRMS (FAB+/NBA+NaI) m/z 499.1322 (M+H,C20H36O3S120SnNa requires 499.1305)。
(iii)化合物(21)(3-(Tributylstannyl)benzyl bromide)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(20)(2.66mL,22.2mmol)のDMF(30mL)溶液に対して、臭化ナトリウム(1.93g,18.8mmol)を室温で加え、当該混合物を室温で16時間攪拌した。この混合物に、水(200mL)を加え、ジエチルエーテル(80mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×3)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g,n-hexane/Et2O = 20/1)で精製することによって、化合物(21)(無色油状物,4.03g,93.3%)を得た。
TLC Rf = 0.68 (n-hexane)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.89 (t,9H,J = 7.4 Hz,3CH3),0.93-1.19 (m,6H,3CH2),1.25-1.41 (m,6H,3CH2),1.43-1.67 (m,6H,3CH2),4.50 (s,2H,benzylic CH2),7.26-7.53 (m,4H,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,CDCl3) δ 9.5 (3C,1J(119Sn-13C) = 340.8 Hz,1J(117Sn-13C) = 325.7 Hz),13.6 (3C),27.3 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 56.3 Hz),29.0 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.1 Hz),33.9,128.1 (3J(119/117Sn-13C) = 40.3 Hz),128.6,136.4 (2J(119/117Sn-13C) = 29.6 Hz),136.8,137.1 (3J(119/117Sn-13C) = 38.8 Hz),142.8
IR (KBr,cm-1) 664,700,1125,1462,2851,2870,2924,2955
Anal. Calcd. for C19H33BrSn: C,49.60;H,7.23. Found: C,49.66;H,6.84。
(iv)化合物(17)(4-[(4H-1,2,4-Triazol-4-yl){3-(tributylstannyl)benzyl}amino]benzonitrile)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(500mg,2.70mmol)、化合物(21)(1.49g,3.24mmol)、および炭酸カリウム(746mg,5.40mmol)の混合物のアセトン(30mL)溶液を室温で21時間攪拌した。当該混合物を減圧下で濃縮した。残留物に水(100mL)を加え、CHCl(70mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,CH2Cl2 to CH2Cl2/CH3OH = 40/1)で精製することによって、化合物(17)(無色固体,1.46g,95.8%)を得た。n−ヘキサンによって再結晶することによって無色板状晶が得られた(1.13g,74.2%)。
TLC Rf = 0.63 (CH2Cl2/EtOAc = 9/1)
Mp 116-117 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.87 (t,9H,J = 7.3 Hz,3CH3),0.92-1.16 (m,6H,3CH2),1.23-1.37 (m,6H,3CH2),1.42-1.56 (m,6H,3CH2),4.89 (s,2H,benzylic CH2),6.63-6.71 (AA’BB’,2H,aromatic),7.09 (d,1H,J = 7.1 Hz,aromatic),7.19-7.35 (m,2H,aromotic),7.36-7.53 (d,1H,J = 7.1 Hz,3J(119/117Sn-1H) = 36.1 Hz,aromatic),7.55-7.63 (AA’BB’,2H,aromatic),8.08 (s,2H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,CDCl3) δ 9.5 (3C,1J(119Sn-13C) = 342.1 Hz,1J(117Sn-13C) = 326.8 Hz),13.6 (3C),27.2 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 56.0 Hz),28.9 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.2 Hz),58.2,104.7,113.2 (2C),118.5,127.5,128.5 (3J(119/117Sn-13C) = 38.7 Hz),132.8 (3J(119/117Sn-13C) = 38.0 Hz),133.9 (2C),135.6 (2J(119/117Sn-13C) = 30.0 Hz),137.0 (2J(119/117Sn-13C) = 28.5 Hz),142.5 (2C),143.9,150.5
IR (KBr,cm-1) 704,837,874,1069,1179,1269,1379,1462,1508,1605,2224,2851,2870,2924,2957
Anal. Calcd. for C28H39N5Sn: C,59.59;H,6.97;N,12.41. Found: C,59.55;H,6.81;N,12.38。
(v)化合物(22)(4-{(3-[11C]Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成
サイクロトロン(製品名;住友CYPRIS HM-12Sサイクロトロン、住友重機械工業社製)を用いて、14N(p,α)11C反応によって、[11C]二酸化炭素を合成し、その後、標識用合成装置(RIKEN original automated radiolabeling system)によって、水素化アルミニウムリチウム、ヨウ化水素酸をこの順で加える処理を行い、[11C]ヨウ化メチルへ変換させた。得られた [11C]ヨウ化メチルは、以下に示す、パラジウム(0)触媒を用いた高速C-[11C]メチル化反応に用いた。
[11C]ヨウ化メチルを、Heガス流(30mL/分)によって、室温の反応容器(A)中の、Pd(dba)(2.7mg,2.4μmol)およびP(o-tolyl)3(3.0mg,9.5μmol)のDMF(0.3mL)溶液へ移送した。当該混合物を、化合物(17)(3.0mg,5.3mmol)、CuCl(2.0mg,20μmol)、およびKCO(2.4mg,18μmol)を含む反応容器(B)へ移送した。反応容器(A)の内部をDMF(0.5mL)でリンスし、その溶液を反応溶液(B)へ続けて移送した。
得られた混合物を70℃で5分間加熱した。反応混合物における塩およびパラジウム残留物を、固相抽出、CHCN:30mM CHCOONH(40:60)溶液1mLで洗浄することによって除去した。
一体化した溶出液を、γ検出器を備えた分取HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL AR-II C18,10 mm × 250 mm;ガードカラム,Nacalai COSMOSIL Cholester 若しくはSumika SUMIPAK Filter PG-ODS;流速,5 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(22)の保持時間,12分)へ注入した。所望のフラクションをフラスコに取り、減圧下で有機溶媒を除去した。
所望の11Cでラベル化した化合物を、ポリソルベート80(0.05mL)、プロピレングリコール(0.3mL)、および生理食塩水(4mL)の混合物に溶解させた。
HPLC精製および静脈内投与のための放射性医薬品処方を含めた全ての合成時間は38分であった。
投与のために作製された化合物(22)の放射能は、0.4〜4.5GBqであり、比放射能は30〜60GBq/μmolであった。
化合物(22)の同定は、ラベル化していないオーセンティックサンプルである化合物(23)を、γ検出器を備えた分析用HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL,AR-II C18,4.6 mm ×100 mm;流速,1 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(22)の保持時間,4.6分)へ共注入することによって確認した。化学純度および放射化学純度は95%以上であった。
(VII)化合物(23)(4-{(3-Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成
化合物(22)のコントロールとして、放射標識されていない化合物(23)を以下のスキームに従って合成した。
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(300mg,1.62mmol)、3−メチルベンジルブロミド(265μL,1.96mmol)、および炭酸カリウム(448mg,3.24mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で5時間攪拌した。当該混合物に水(50mL)を加え、CHCl(50mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル30g,CH2Cl2/CH3OH = 9/1)で精製することによって、化合物(23)(無色固体,373mg,79.6%)を得た。酢酸エチルによって再結晶することによって無色板状晶が得られた(293mg,62.5%)。
TLC Rf = 0.41 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
Mp 185-186 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 2.32 (s,3H,CH3),4.86 (s,2H,benzylic CH2),6.63-6.72 (AA’BB’,2H,aromatic),6.95-7.15 (m,2H,aromatic),7.17 (d,1H,J = 7.5 Hz,aromatic),7.23 (d,1H,J = 7.5 Hz,aromatic),7.55-7.64 (AA’BB’,2H,aromatic),8.10 (s,2H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 20.9,57.2,102.7,113.6 (2C),119.1,125.4,128.5,128.7,128.8,133.9 (2C),134.7,137.9,143.4 (2C),151.6
IR (KBr,cm-1) 513,546,615,648,669,704,737,766,791,827,860,949,1007,1040,1069,1140,1182,1213,1300,1321,1391,1425,1460,1510,1605,1692,2218,2868,2918,3011,3051,3100,3121
Anal. Calcd. for C17H15N5: C,70.57;H,5.23;N,24.21. Found: C,70.33;H,5.30;N,23.94。
(VIII)化合物(24)(4-{(3-Bromobenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成(非特許文献3参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(300mg,1.62mmol)、3−ブロモベンジルブロミド(485mg,1.94mmol)、および炭酸カリウム(448mg,3.24mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で5時間攪拌した。当該混合物に水(50mL)を加え、CHCl(50mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル20g,CH2Cl2/CH3OH = 40/1)で精製することによって、化合物(24)(無色固体,511mg,89.3%)を得た。酢酸エチル(13mL)およびn−ヘキサン(7mL)によって再結晶することによって無色板状晶が得られた(380mg,66.4%)。
TLC Rf = 0.53 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.88 (s,2H,benzylic CH2),6.62-6.70 (AA’BB’,2H,aromatic),7.14 (d,1H,J = 7.9 Hz,aromatic),7.23 (dd,1H,J = 7.9,7.9 Hz,aromotic),7.43 (s,1H,aromatic),7.51 (d,1H,J = 7.9 Hz,aromotic),7.57-7.65 (AA’BB’,2H,aromatic),8.18 (s,2H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 56.6,103.0,113.7 (2C),119.0,121.9,127.4,130.8,131.0,131.1,133.9 (2C),137.6,143.3 (2C),151.3
IR (KBr,cm-1) 546,615,664,700,735,787,826,997,1067,1138,1179,1206,1273,1298,1331,1395,1429,1474,1508,1572,1605,2222,3117
Anal. Calcd. for C16H12N5Br: C,54.25;H,3.41;N,19.77. Found: C,54.25;H,3.51;N,19.84。
(IX)化合物(25)(4-{(4-Fluoromethylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成
尚、化合物(28)は、以下のスキームに従って合成した。
(i)化合物(27)(4-Bromomethylbenzyl alcohol)の合成(非特許文献16(Vassiliou, S,; Xeilari, M.; Yiotakis, A,; Grembecka, J.; Pawelczak, M.; Kafarskib, P.; Muchab, A., Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 3187-3200)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(26)(5.00g,36.2mmol)および四臭化炭素(18.0g,54.3mmol)のDMF(50mL)溶液へ、トリフェニルホスフィン(14.2g,54.3mmol)を0℃で加え、室温まで暖めた。1時間攪拌後、当該混合物に水(300mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(100mL×3)および食塩水(100mL×3)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル220g,n-hexane/EtOAc = 4/1)で精製することによって、化合物(27)(無色固体,3.28g,45.1%)を得た。
TLC Rf = 0.25 (n-hexane/EtOAc = 3/1)
1H NMR (270 MHz,CDCl3) δ 1.78 (br s,1H,OH),4.50 (s,2H,benzylic CH2),4.69 (s,2H,benzylic CH2),7.30-7.36 (AA’BB’,2H,aromatic),7.37-7.45 (AA’BB’,2H,aromatic)。
(ii)化合物(28)(4-Fluoromethylbenzyl bromide)の合成(非特許文献17(Ichikawa, J.; Sugimoto, K.; Sonoda, T.; Kobayashi, H., Chem. Lett. 1987, 10, 1985-1988)参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(27)(500mg,2.49mmol)のCHCl(10mL)溶液に、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)(660μL,5.04mmol)を0℃で加え、0℃で1時間攪拌した。当該混合物にNaHCO飽和水溶液を加え、CHCl(50mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×3)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル30g,n-hexane/Et2O = 50/1)で精製することによって、化合物(28)(黄白色固体,352mg,69.7%)を得た。
TLC Rf = 0.52 (n-hexane/EtOAc = 6/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.50 (s,2H,benzylic CH2),5.38 (d,2H,JH-F = 47.6 Hz,benzylic CH2),7.33-7.40 (AA’BB’,2H,aromatic),7.41-7.47 (AA’BB’,2H,aromatic)。
(iii)化合物(25)(4-{(4-Fluoromethylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}benzonitrile)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(3)(191mg,1.03mmol),化合物(28)(251mg,1.24mmol),および炭酸カリウム(285mg,2.06mmol)の混合物のアセトン(10mL)溶液を室温で4時間攪拌した。当該混合物に水(50mL)を加え、CHCl(30mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(30mL×1)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル30g,CH2Cl2/CH3OH = 50/1)で精製することによって、化合物(25)(淡黄色固体,264mg,83.3%)を得た。
TLC Rf = 0.54 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
Mp 158-159 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.92 (s,2H,benzylic CH2),5.38 (d,2H,JH-F = 47.4 Hz,benzylic CH2),6.63-6.73 (AA’BB’,2H,aromatic),7.20-7.30 (AA’BB’,2H,aromatic),7.33-7.43 (AA’BB’,2H,aromatic),7.55-7.65 (AA’BB’,2H,aromatic),8.13 (s,2H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 57.0,83.8 (d,1JC-F = 162.0 Hz),102.9,113.7 (2C),119.0,128.1 (2C,d,3JC-F = 5.6 Hz),128.6 (2C),133.9 (2C),135.3 (d,5JC-F = 3.3 Hz),136.0 (d,2JC-F = 16.2 Hz),143.3 (2C),151.5
19F NMR (282 MHz,CDCl3) δ-47.9 (t,JF-H = 47.4 Hz)
IR (KBr,cm-1) 546,669,735,826,951,1001,1067,1179,1219,1298,1333,1379,1423,1460,1510,1603,2222,3117
Anal. Calcd. for C17H14N5F: C,66.44;H,4.59;N,22.79. Found: C,66.51;H,4.79;N,22.69。
(X)化合物33(4-{(4-[11C]Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}nitrobenzene)の合成
(i)化合物32(4-[(4H-1,2,4-Triazol-4-yl){4-(tributylstannyl)benzyl}amino]nitrobenzene)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(31)(449mg,2.19mmol)、化合物(8)(1.21g,2.63mmol),および炭酸カリウム(605mg,4.38mmol)の混合物のアセトン(20mL)溶液を室温で18時間攪拌した。当該混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。
有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,n-hexane/EtOAc = 1/1)で精製することによって、化合物(32)(薄茶色固体,718mg,56.1%)を得た。酢酸エチル(3mL)およびn−ヘキサン(30mL)での再結晶によって淡黄色板状晶が得られた(534mg,41.8%)。
TLC Rf = 0.43 (n-hexane/EtOAc = 1/1)
Mp 112-113 ℃
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.2 Hz,3CH3),0.94-1.19 (m,6H,3CH2),1.24-1.40 (m,6H,3CH2),1.41-1.63 (m,6H,3CH2),4.94 (s,2H,benzylic CH2),6.61-6.72 (AA’BB’,2H,aromatic),7.11-7.21 (AA’BB’,2H,aromatic),7.36-7.55 (AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 36.0 Hz,aromatic),8.14 (s,2H,triazole),8.16-8.22 (AA’BB’,2H,aromatic)
13C NMR (67.8 MHz,CDCl3) δ 9.6 (3C,1J(119Sn-13C) = 341.9 Hz,1J(117Sn-13C) = 327.4 Hz),13.6 (3C),27.2 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 56.5 Hz),28.9 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.1 Hz),58.3,112.3 (2C),126.0 (2C),127.2 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 39.1 Hz),132.8,137.3 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 30.8 Hz),141.7,142.6 (2C),143.8,151.9
IR (KBr,cm-1) 596,617,637,665,691,750,837,860,997,1016,1065,1123,1132,1196,1221,1263,1339,1375,1395,1460,1501,1595,2851,2924,3117
Anal. Calcd. for C27H39N5O2Sn: C,55.50;H,6.73;N,11.99. Found: C,55.48;H,6.36;N,11.95。
(ii)化合物33(4-{(4-[11C]Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}nitrobenzene)の合成
サイクロトロン(製品名;住友CYPRIS HM-12Sサイクロトロン、住友重機械工業社製)を用いて、14N(p,α)11C反応によって、[11C]二酸化炭素を合成し、その後、標識用合成装置(RIKEN original automated radiolabeling system)によって、水素化アルミニウムリチウム、ヨウ化水素酸をこの順で加える処理を行い、[11C]ヨウ化メチルへ変換させた。得られた [11C]ヨウ化メチルは、以下に示す、パラジウム(0)触媒を用いた高速C-[11C]メチル化反応に用いた。
[11C]ヨウ化メチルを、Heガス流(30mL/分)によって、室温の反応容器(A)中の、Pd(dba)(2.0mg,1.8μmol)およびP(o-tolyl)3(3.0mg,9.5μmol)のDMF(0.3mL)溶液へ移送した。当該混合物を、化合物(32)(3.0mg,5.1μmol)、CuCl(2.0mg,20μmol)、およびKCO(2.4mg,18μmol)を含む反応容器(B)へ移送した。反応容器(A)の内部をDMF(0.5mL)でリンスし、その溶液を反応溶液(B)へ続けて移送した。
得られた混合物を70℃で5分間加熱した。反応混合物における塩およびパラジウム残留物を、固相抽出、CHCN:30mM CHCOONH(40:60)溶液1mLで洗浄することによって除去した。
一体化した溶出液を、γ検出器を備えた分取HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL AR-II C18,10 mm × 250 mm;ガードカラム,Nacalai COSMOSIL Cholester 若しくはSumika SUMIPAK Filter PG-ODS;流速,6 mL/min;UV検出波長,225 nm;化合物(33)の保持時間,12分)へ注入した。所望のフラクションをフラスコに取り、減圧下で有機溶媒を除去した。
所望の11Cでラベル化した化合物を、ポリソルベート80(0.05mL)、プロピレングリコール(0.3mL)、および生理食塩水(4mL)の混合物に溶解させた。
HPLC精製および静脈内投与のための放射性医薬品処方を含めた全ての合成時間は38分であった。投与のために作製された化合物(33)の放射能は、0.5〜2.6GBqであり、比放射能は20〜44GBq/μmolであった。
化合物(33)の同定は、ラベル化していないオーセンティックサンプルである化合物(34)を、γ検出器を備えた分析用HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (40:60);カラム,Nacalai COSMOSIL,AR-II C18,4.6 mm ×100 mm;流速,1 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(33)の保持時間,6.1分)へ共注入することによって確認した。化学純度および放射化学純度は95%以上であった。
(XI)化合物(34)(4-{(4-Methylbenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}nitrobenzene)の合成(非特許文献3参照)
化合物(33)のコントロールとして、放射標識されていない化合物(34)を以下のスキームに従って合成した。
アルゴン雰囲気下、化合物(31)(500mg,2.44mmol),4−メチルベンジルブロミド(542mg,2.93mmol),および炭酸カリウム(674mg,4.88mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で22時間攪拌した。当該混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,n-hexane/EtOAc = 1/2)で精製することによって、化合物(34)(薄茶色固体,340mg,45.1%)を得た。酢酸エチル(60mL)およびn−ヘキサン(30mL)によって再結晶することによって淡黄色板状晶が得られた(254mg,33.7%)。
TLC Rf = 0.48 (n-hexane/EtOAc = 1/4)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 2.35 (s,3H,CH3),4.91 (s,2H,benzylic CH2),6.63-6.73 (AA’BB’,2H,aromatic),7.05-7.12 (AA’BB’,2H,aromatic),7.13-7.20 (AA’BB’,2H,aromatic),8.10 (s,2H,triazole),8.15-8.20 (AA’BB’,2H,aromatic)
13C NMR (75.5 MHz,DMSO-d6) δ 20.7,57.0,113.0 (2C),125.8 (2C),128.5 (2C),129.3 (2C),131.4,137.4,140.6,143.3 (2C),153.1
IR (KBr,cm-1) 665,748,818,835,851,870,1063,1111,1188,1211,1223,1288,1335,1395,1495,1595,3067,3123
Anal. Calcd. for C16H15N5O2: C,62.13;H,4.89;N,22.64. Found: C,62.21;H,4.88;N,22.68。
(XII)化合物35(4-{(4-Bromobenzyl)(4H-1,2,4-triazol-4-yl)amino}nitrobenzene)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(31)(500mg,2.44mmol)、4−ブロモベンジルブロミド(732mg,2.93mmol)、および炭酸カリウム(674mg,4.88mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で22時間攪拌した。当該混合物に水(100mL)を加え、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。
有機層を全て混合し、水(50mL×1)および食塩水(50mL×1)で順次洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,n-hexane/EtOAc = 1/2)で精製することによって、化合物(35)(茶色固体,160mg,17.5%)を得た。酢酸エチル(30mL)およびn−ヘキサン(15mL)によって再結晶することによって茶色板状晶が得られた(85.5mg,9.4%)。
TLC Rf = 0.32 (n-hexane/EtOAc = 1/4)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.91 (s,2H,benzylic CH2),6.63-6.71 (AA’BB’,2H,aromatic),7.07-7.15 (AA’BB’,2H,aromatic),7.48-7.55 (AA’BB’,2H,aromatic),8.15 (s,2H,triazole),8.17-8.25 (AA’BB’,2H,aromatic)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 56.6,113.0 (2C),121.4,125.8 (2C),130.6 (2C),131.6 (2C),134.0,140.7,143.3 (2C),152.9
IR (KBr,cm-1) 600,665,735,750,818,849,885,908,1015,1063,1111,1223,1277,1341,1503,1591,3125,3429
Anal. Calcd. for C15H12N5BrO2: C,48.15;H,3.23;N,18.72. Found: C,48.24;H,3.35;N,18.56。
(XIII)化合物(39)(4-{(4-[11C]Methylbenzyl)(1H-1,2,4-triazol-1-yl)amino}benzonitrile)の合成
(i)化合物38(4-[(1H-1,2,4-Triazol-1-yl){4-(tributylstannyl)benzyl}amino]benzonitrile)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(37)(300mg,1.62mmol)、化合物(8)(893mg,1.94mmol)、および炭酸カリウム(448mg,3.24mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で21時間攪拌した。当該混合物に水(50mL)を加え、CHCl(30mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(30mL×1)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,CH2Cl2 to CH2Cl2/EtOAc = 4/1)で精製することによって、化合物(38)(無色油状物,891mg,97.5%)を得た。
TLC Rf = 0.63 (CH2Cl2/EtOAc = 9/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 0.88 (t,9H,J = 7.3 Hz,3CH3),0.92-1.18 (m,6H,3CH2),1.23-1.39 (m,6H,3CH2),1.45-1.56 (m,6H,3CH2),4.89 (s,2H,benzylic CH2),6.64-6.72 (AA’BB’,2H,aromatic),7.16-7.23 (AA’BB’,2H,aromatic),7.33-7.51 (AA’BB’,2H,3J(119/117Sn-1H) = 36.9 Hz,aromatic),7.52-7.61 (AA’BB’,2H,aromatic),7.86 (s,1H,triazole),8.03 (s,1H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,CDCl3) δ 9.5 (3C,1J(119Sn-13C) = 341.4 Hz,1J(117Sn-13C) = 326.3 Hz),13.6 (3C),27.2 (3C,3J(119/117Sn-13C) = 55.8 Hz),28.9 (3C,2J(119/117Sn-13C) = 20.6 Hz),58.2,105.2,114.7 (2C),118.7,127.5 (2C,3J(119/117Sn-13C) = 39.6 Hz),133.5,133.6 (2C),136.9 (2C,2J(119/117Sn-13C) = 30.2 Hz),142.8,143.9,151.3,151.4
IR (KBr,cm-1) 669,826,986,1130,1279,1273,1375,1454,1508,1605,2224,2851,2870,2924,2955
Anal. Calcd. for C28H39N5Sn: C,59.59;H,6.97;N,12.41. Found: C,59.41;H,6.86;N,12.38。
(ii)化合物39(4-{(4-[11C]Methylbenzyl)(1H-1,2,4-triazol-1-yl)amino}benzonitrile)の合成
サイクロトロン(製品名;住友CYPRIS HM-12Sサイクロトロン、住友重機械工業社製)を用いて、14N(p,α)11C反応によって、[11C]二酸化炭素を合成し、その後、標識用合成装置(RIKEN original automated radiolabeling system)によって、水素化アルミニウムリチウム、ヨウ化水素酸をこの順で加える処理を行い、[11C]ヨウ化メチルへ変換させた。得られた [11C]ヨウ化メチルは、以下に示す、パラジウム(0)触媒を用いた高速C-[11C]メチル化反応に用いた。
[11C]ヨウ化メチルを、Heガス流(30mL/分)によって、室温の反応容器(A)中の、Pd(dba)(2.7mg,2.4μmol)およびP(o-tolyl)3(3.0mg,9.5μmol)のDMF(0.3mL)溶液へ移送した。当該混合物を、化合物(38)(3.0mg,5.3μmol)、CuCl(2.0mg,20μmol)、およびKCO(2.4mg,18μmol)を含む反応容器(B)へ移送した。反応容器(A)の内部をDMF(0.5mL)でリンスし、その溶液を反応溶液(B)へ続けて移送した。
得られた混合物を70℃で5分間加熱した。反応混合物における塩およびパラジウム残留物を、固相抽出、CHCN:30mM CHCOONH(50:50)溶液1mLで洗浄することによって除去した。
一体化した溶出液を、γ検出器を備えた分取HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (50:50);カラム,Nacalai COSMOSIL AR-II C18,10 mm × 250 mm;ガードカラム,Nacalai COSMOSIL Cholester 若しくはSumika SUMIPAK Filter PG-ODS;流速,5 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(39)の保持時間,13.2分)へ注入した。所望のフラクションをフラスコに取り、減圧下で有機溶媒を除去した。
所望の11Cでラベル化した化合物を、ポリソルベート80(0.05mL)、プロピレングリコール(0.3mL)、および生理食塩水(4mL)の混合物に溶解させた。
HPLC精製および静脈内投与のための放射性医薬品処方を含めた全ての合成時間は38分であった。投与のために作製された化合物(39)の放射能は、0.6〜2.8GBqであり、比放射能は50〜116GBq/μmolであった。
化合物(39)の同定は、ラベル化していないオーセンティックサンプルである化合物(38)を、γ検出器を備えた分析用HPLC(移動相,CH3CN:30 mM CH3COONH4 (50:50);カラム,Nacalai COSMOSIL,AR-II C18,4.6 mm × 100 mm;流速,1 mL/min;UV検出波長,254 nm;化合物(39)の保持時間,4.5分)へ共注入することによって確認した。化学純度および放射化学純度は95%以上であった。
(XIV)化合物40(4-{(4-Methylbenzyl)(1H-1,2,4-triazol-1-yl)amino}benzonitrile)の合成(非特許文献4参照)
化合物(39)のコントロールとして、放射標識されていない化合物(40)を以下のスキームに従って合成した。
アルゴン雰囲気下、化合物(37)(300mg,1.62mmol)、4−メチルベンジルブロミド(359mg,1.94mmol)、および炭酸カリウム(448mg,3.24mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で20時間攪拌した。当該混合物を減圧下で濃縮した後、水(50mL)を加え、CHCl(30mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(30mL×1)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル30g,CH2Cl2 to CH2Cl2/EtOAc = 4/1)で精製することによって、化合物(40)(無色固体,448mg,95.6%)を得た。酢酸エチル(8mL)およびn−ヘキサン(32mL)での再結晶によって無色板状晶が得られた(395mg,84.3%)。
TLC Rf = 0.46 (CH2Cl2/CH3OH = 9/1)
1H NMR (270 MHz,DMSO-d6) δ 2.25 (s,3H,CH3),4.96 (s,2H,benzylic CH2),6.68-6.81 (AA’BB’,2H,aromatic),7.04-7.16 (AA’BB’,2H,aromatic),7.17-7.27 (AA’BB’,2H,aromatic),7.66-7.81 (AA’BB’,2H,aromatic),8.14 (s,1H,triazole),8.58 (s,1H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 20.7,56.7,103.3,114.6 (2C),119.0,128.4 (2C),129.1 (2C),131.7,133.7 (2C),137.2,145.0,151.0,151.4
IR (KBr,cm-1) 548,617,669,719,827,943,988,1022,1130,1179,1204,1229,1275,1304,1333,1350,1368,1420,1450,1510,1605,2222,2864,2920,3049,3123
Anal. Calcd. for C17H15N5: C,70.57;H,5.23;N,24.21. Found: C,70.76;H,5.20;N,24.29。
(XV)化合物41(4-{(4-Bromobenzyl)(1H-1,2,4-triazol-1-yl)amino}benzonitrile)の合成(非特許文献4参照)
アルゴン雰囲気下、化合物(37)(300mg,1.62mmol)、4−ブロモベンジルブロミド(485mg,1.94mmol)、および炭酸カリウム(448mg,3.24mmol)の混合物のアセトン(15mL)溶液を室温で20.5時間攪拌した。当該混合物を減圧下で濃縮した後、水(50mL)を加え、CHCl(30mL×3)で抽出した。有機層を全て混合し、水(30mL×1)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、減圧下で濃縮した。
残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60g,CH2Cl2 to CH2Cl2/EtOAc = 4/1)で精製することによって、化合物(41)(無色固体,575mg,quant.)を得た。酢酸エチル(10mL)およびn−ヘキサン(30mL)での再結晶によって無色板状晶が得られた(458mg,79.8%)。
TLC Rf = 0.48 (CH2Cl2/EtOAc = 9/1)
1H NMR (300 MHz,CDCl3) δ 4.87 (s,2H,benzylic CH2),6.64-6.75 (AA’BB’,2H,aromatic),7.09-7.22 (AA’BB’,2H,aromatic),7.41-7.52 (AA’BB’,2H,aromatic),7.53-7.65 (AA’BB’,2H,aromatic),7.87 (s,1H,triazole),8.03 (s,1H,triazole)
13C NMR (67.8 MHz,DMSO-d6) δ 56.2,103.5,114.6 (2C),119.0,121.1,130.7 (2C),131.4 (2C),133.8 (2C),134.4,145.0,151.1,151.2
IR (KBr,cm-1) 509,548,615,669,735,827,943,986,1013,1070,1130,1179,1204,1227,1275,1333,1373,1406,1445,1508,1605,1767,2222,3121
Anal. Calcd. for C16H12N5Br: C,54.25;H,3.41;N,19.77. Found: C,54.28;H,3.40;N,19.96。
〔化合物の評価〕
(I)PET測定
(i)化合物(10)について
オスのアカゲザルを用いてPET測定を行った。具体的には、アカゲザルをケタラール(10mg/kg)で沈静させ、脚部にRI投与用の静脈カテーテルを設置した。その後、プロポフォール(10mg/kg/h)で持続麻酔を行い、PETスキャナに保定した。
PET測定では、30分間のトランスミッションスキャン後、化合物(10)(33MBq/kg)を静脈より注入し90分間スキャンを行った。画像再構成後、小脳を参照領域として結合能(Binding Potential:BP)の画像が構成された。この場合の結合能とは、結合速度定数を解離速度定数で割った値である。
なお、比較のために、化合物(10)の代わりに、[11C]vorozole(〔背景技術〕における非特許文献1,2参照)を用いて上記と同様の操作を別途行った。これらの結果を図2〜4に示す。
なお、図2および図3において、「coronal」は、前額(冠状)断面を意味し、「transaxial」は水平断面を意味する。
図2は、本発明に係る化合物(10)と、従来技術に係る[11C]vorozole(VOR)とを用いた場合における扁桃体の結合能(BP)画像をそれぞれ示す図面である。なお、図2における矢印は扁桃体を示す。
図2から明らかなように、本発明に係る化合物(10)を用いた場合では、従来技術に係る[11C]vorozole(VOR)を用いた場合と同様に、扁桃体において特異的な結合を示した。しかも、本発明に係る化合物(10)を用いた場合では、従来技術に係る[11C]vorozole(VOR)を用いた場合と比べて標識化合物の大脳皮質等への非特異的結合が抑制されていた。
図3は、本発明に係る化合物(10)と、従来技術に係る標識化合物(VOR)とを用いた場合における側坐核の結合能(BP)画像をそれぞれ示す図面である。なお、図3における矢印は側坐核を示す。
図3から明らかなように、側坐核においても同様の挙動を示した。
また、図4は、小脳、扁桃体、視床下部、側坐核のPET測定における、時間経過によるSUV(standardized uptake value)の変化を示すグラフであり、(a)は従来技術に係る[11C]vorozole(VOR)を用いた場合を示し、(b)は本発明に係る化合物(10)を用いた場合を示す。SUVは、組織1mlあたりの放射能濃度を体重1gあたりの放射能濃度で割った値、つまり、
SUV = 組織1mlあたりの放射能濃度/体重1gあたりの放射能濃度
で表される値である。
なお、図4中、小脳、扁桃体、視床下部、および側坐核は、それぞれ「CRB」、「Amy」、「HT」、および「Acb」と示す。図4に示すように、従来技術に係る[11C]vorozole(VOR)を用いた場合では、スキャンの後半において、時間の経過と共にSUVの値はフラット若しくは若干増加しており、代謝物の脳内への再取り込みが起こっている可能性を示唆している。
一方、本発明に係る化合物(10)を用いた場合では、スキャンの後半において、時間の経過と共にSUVが減少しており、代謝物の再取り込みの可能性は低いと考えられる。従って、本発明に係る化合物(10)を用いれば、より高い精度で脳内アロマテースを定量することができると考えられる。
標識された代謝物の再取り込みについて確認するために、イソフルレン麻酔下のオスラットに化合物(10)を尾静脈より注射し、その5、10、20分後にそれぞれ血液を腹部大静脈よりサンプリングした後、脳を取り出しホモジナイズした。血液と脳ホモジネートにアセトニトリルを加え遠心し、抽出物をHPLCにかけて標識された代謝物を測定した。
血液中における親化合物の含有率を図8に、脳内における標識された代謝物の含有率を図9にそれぞれ示す。
尚、図8におけるMonkeyのデータは、PET撮像と並行して静脈血をサンプリングして遠心をかけ、血漿にアセトニトリルを加え遠心し、抽出物をHPLCにかけて血漿中の親化合物を測定することによって求めた。
その結果、図9に示すように、VORは、標識された代謝物が脳内に再取り込みされていたが、本発明に係る化合物(10)ではその現象は認められなかった。
(ii)化合物(22)、化合物(33)、化合物(39)について
化合物(10)の代わりに、化合物(22)、化合物(33)、および化合物(39)をそれぞれ用いたこと以外は、上記と同様にPET測定を行った。これらの結果を図10〜13に示す。
図10から明らかなように、本発明に係る化合物(22)(33)(39)を用いた場合では、化合物(10)を用いた場合と同様に、扁桃体において特異的な結合を示した。
また、図11〜13に示すように、化合物(10)を用いた場合と同様に、スキャンの後半において、時間の経過と共にSUVが減少しており、代謝物の再取り込みの可能性は低いと考えられる。従って、本発明に係る化合物(22)(33)(39)を用いても、より高い精度で脳内アロマテースを定量することができると考えられる。
また、本発明に係る化合物(22)(33)(39)の何れを用いた場合も化合物(10)と同じ分布様相を呈したが、その結合能には差が見られた。化合物(22)は結合能が比較的低く、化合物(39)は比較的高い結果となった。
このように、本発明を用いれば、男性ステロイドを女性ステロイドに変換する酵素であるアロマテースの分布を可視化し、かつ精度よく定量し得る。本発明によって、従来のPETプローブよりも非特異的結合が有意に減少し、精度のより高いアロマテース定量が可能になった。
(II)本発明に係る化合物(10)による置換実験
化合物(10)の投与5分前に非標識vorozole(VOR)(100μg/kg)を投与して、アカゲザルの脳の結合能(BP)画像を観察した。
図5における、上段(全結合)に、化合物(10)のみを投与した場合の結合能画像を示し、下段(置換した結合)に、非標識VOR(100μg/kg)を投与した5分後に化合物(10)を投与した場合の結合能(BP)画像を示す。
なお、図5においても、「coronal」は、前額(冠状)断面を意味し、「transaxial」は水平断面を意味する。
また、図6に、図5に示す結合画像の結果を数値化したグラフを、VORで同様の実験を行った結果と共に、視床下部(HT)および側坐核(Acb)における結果と併せて示す。
図5に示すように、非標識VORを投与した5分後に、化合物(10)を投与した場合では、化合物(10)のみを投与した場合には確認されていた扁桃体への取り込みが見えなかった。これは、非標識VORにより化合物(10)の結合が阻害されていると考えられる。視床下部、側坐核においても同様の結果が得られた。
また、図6に示すように、本発明に係る化合物(10)は、VORと比較して置換した結合が少ない。置換した結合は非特異的結合であると考えられるため、本発明によって、従来のPETプローブよりも非特異的結合が有意に減少し、精度のより高いアロマテース定量を提供し得ることが確認できた。
(III)本発明に係る化合物(10)の結合実験
インビトロ実験で、化合物(10)の結合試験を行った。
具体的には、メスのラットに対しジエチルエーテルで深く麻酔をかけ、0.01Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS,pH7.4)で、経心臓的にかん流させた。これらの卵巣を直ぐに取り除き、0.32Mスクロース溶液1mL中でホモジナイズした。
リガンド飽和実験のため、ホモジナイズした組織を、2連で、化合物(10)の濃度を上げながら(0.03、0.05、0.1、0.3、1.0、および2.0nM)、室温で30分間インキュベートした。非特異性結合は、化合物(10)を添加する直前に1μMの非標識VORを添加し、サンプルとインキュベートすることにより得られた。濾過およびγカウンターによるカウントを行い、Kの平均は、Scatchard plot analysisにより計算した。
図7に、上記結合試験の結果の一例を示す。(a)には、参照として、ラットの扁桃体でのVORの結果を示し、(b)には、化合物(10)の上記実験結果を示す。
その結果、結合能を示す解離定数(K)は、化合物(10)で0.30nMであり、vorozole(VOR)で0.60nMであり、本発明に係る化合物(10)の方が、VORよりも親和性が約2倍高いことが確認できた。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の化合物は、アロマテースの分布を可視化し、定量するためのPET用分子プローブに好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 下記式
    で表される構造を有する、化合物。
  2. 請求項に記載の化合物を含んでいる、診断用組成物。
  3. 下記式
    で表され、かつ放射標識されていないことを除いて前記化合物と同一である構造を有する化合物をさらに含んでいる、請求項に記載の組成物。
  4. 適用対象が、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症または子宮筋腫、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、および慢性疲労症候群からなる群より選択される、請求項に記載の組成物。
  5. 陽電子放射断層画像撮影法に用いて診断するための、請求項3または4に記載の組成物。
  6. 適用対象が、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症または子宮筋腫、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、および慢性疲労症候群からなる群より選択される、請求項3〜の何れか1項に記載の組成物。
  7. 下記式
    で表される構造を有する、化合物。
  8. 請求項に記載の化合物を備えている、陽電子放射断層画像撮影法用標識化合物を製造するためのキット。
  9. 前記陽電子放射断層画像撮影法用標識化合物が診断に用いられる、請求項に記載のキット。
  10. 前記診断の適用対象が、乳癌、乳腺症、子宮体癌、子宮内膜症または子宮筋腫、アロマテースの誘導を伴う炎症性疾患、精神障害、更年期障害、および慢性疲労症候群からなる群より選択される、請求項に記載のキット。
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