JP5776633B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
自動車等の車両に搭載される内燃機関には、クランクシャフトの回転に伴ってクランク信号を間隔をおいて出力するクランクポジションセンサが設けられている。そして、内燃機関の運転によるクランクシャフトの回転時、クランクポジションセンサから間隔をおいて出力されるクランク信号に基づき内燃機関のクランク角が把握される。こうして把握されるクランク角に基づき、内燃機関の燃料噴射制御など同機関における各種の制御が実行される。
ただし、クランクポジションセンサの異常により、クランク信号に基づいてクランク角を把握することができなくなると、クランク角に基づく内燃機関の制御を実行することが困難になる。このため、クランクポジションセンサの異常時には、例えば特許文献1に示されるように、クランクシャフトからの回転伝達を受けるカムポジションセンサの回転に伴ってカム信号を上記クランク信号よりも長い間隔をもって出力するカムポジションセンサを利用してクランク角を把握することが提案されている。
ここで、カムポジションセンサを利用したクランク角の把握は、例えば次の[1]〜[4]に示す手順で行うことが考えられる。すなわち、[1]内燃機関の運転中、カムポジションセンサから出力されるカム信号のエッジ間隔を計時する。[2]上記[1]で計時されたカム信号のエッジ間隔を、同エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数で割ることにより、クランク信号が出力される時間間隔の推定値を算出する。[3]カム信号のエッジの発生時点を基準として上記[2]で算出された推定値に基づき、クランク信号の出力タイミングを推定する。[4]上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとしてクランク角を把握する。
こうした[1]〜[4]の手順を実施することにより、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握することが可能になる。このため、クランクポジションセンサの異常時においても、上記把握したクランク角に基づいて内燃機関の制御を実行することができる。
特開2009−293628公報
ところで、クランクポジションセンサの異常時であって、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握しているときに機関回転速度が上昇すると、その把握したクランク角が機関回転速度の上昇に伴う内燃機関の過渡運転中に実際のクランク角からずれるおそれがある。
これは、クランクポジションセンサの異常時に上記カムポジションセンサを利用してクランク角を把握する場合、そのクランク角の把握が機関回転速度の上昇に伴ってカム信号のエッジ間隔が短くなる前のエッジ間隔、言い換えれば機関回転速度の上昇が生じた後のカム信号のエッジ間隔よりも長いエッジ間隔に基づいて行われることが関係している。すなわち、機関回転速度の上昇が生じると、その機関回転速度の上昇に伴う内燃機関の過渡運転中、クランク角の把握に用いられるカム信号のエッジ間隔が実際の値よりも長い値となる。その結果、上記[2]で算出されるクランク信号が出力される時間間隔の推定値が実際の時間間隔よりも長い値になるとともに、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが実際のタイミングよりも遅い値になる。その結果、上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとして、上記[4]で把握されるクランク角が実際のクランク角よりも遅れ側にずれる。
このように、上記[1]〜[4]の手順で把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれると、上記[1]〜[4]の手順で把握されるクランク角に基づいて内燃機関の制御を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転を実現することが困難になる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、クランクポジションセンサの異常時であって、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明によれば、クランクシャフトの回転に伴ってクランク信号を間隔をおいて出力するクランクポジションセンサの異常時には、同センサからのクランク信号に基づきクランク角を把握する代わりに、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握することが行われる。上記カムポジションセンサは、クランクシャフトからの回転伝達を受けるカムポジションセンサの回転に伴い、上記クランク信号よりも長い間隔をもってカム信号を出力する。そして、クランクポジションセンサの異常時には、次の[1]〜[4]の手順により、カムポジションセンサを利用してクランク角が把握される。[1]カムポジションセンサから出力されるカム信号のエッジ間隔が計時される。[2]上記[1]によって計時されたカム信号のエッジ間隔を、同エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数で割ることにより、クランク信号が出力される時間間隔の推定値が算出される。[3]カム信号のエッジの発生時点を基準として上記[2]により算出された推定値に基づきクランク信号の出力タイミングが推定される。[4]上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとしてクランク角が把握される。そして、上記[1]〜[4]の手順によって把握されたクランク角をもとに内燃機関の制御が行われる。
ところで、クランクポジションセンサの異常時であって、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握しているときに機関回転速度が上昇すると、そのクランク角の把握が機関回転速度の上昇に伴ってカム信号のエッジ間隔が短くなる前のエッジ間隔に基づいて行われる。言い換えれば、上記機関回転速度の上昇に伴う内燃機関の過渡運転中においては、機関回転速度の上昇が生じた後のカム信号のエッジ間隔よりも長いエッジ間隔に基づいてクランク角の把握が行われる。このため、クランク角を把握するための上記[1]〜[4]の手順のうち、上記[2]で算出されるクランク信号が出力される時間間隔の推定値が実際の時間間隔よりも長い値になるとともに、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが実際の出力タイミングよりも遅い値になる。その結果、上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとして、上記[4]で把握されるクランク角が実際のクランク角よりも遅れ側にずれる。このように把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれると、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関の制御を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転を実現することが困難になる。
ここで、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが実際のタイミングよりも遅れ側にずれると、カム信号のエッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数に対し、同エッジ間隔中でのクランク信号の上記推定される出力タイミングを迎える実回数が不足する可能性がある。請求項1記載の発明では、上記実回数の上記出力予定数に対する不足が生じたときには、同不足分が次回の上記[2]で用いられる出力予定数に対し加算される。このため、上記不足分が加算された出力予定数でエッジ間隔を割ることによってクランク信号が出力される時間間隔の推定値が算出されると、その推定値が上記出力予定数に対し上記不足分を加算しない場合よりも短くなる。このようにクランク信号が出力される時間間隔の推定値が短くされると、その推定値を用いて次回の上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが早められるため、同出力タイミングに基づき次回の上記[4]で把握されるクランク角が進み側に変化する。これにより、クランクポジションセンサの異常時であって、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる。従って、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関の制御を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転を実現することが困難になることを抑制できる。
なお、請求項記載の発明によれば、カム信号のエッジ間隔は、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されない第1クランク角領域に対応する第1期間と、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域に対応した第2期間とに分けられる。更に、上記エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数が、上記第1クランク角領域に対応する数Aと、上記第2クランク角領域に対応する数Bとに分けられる。
クランクポジションセンサの異常時、カム信号のエッジの発生時点において、前回のエッジの発生時点から今回のエッジの発生時点までのエッジ間隔中にクランク信号の推定された出力タイミングを迎える実回数が上記出力予定数に対し不足しているときには、上記[1]〜[4]の手順のうち[2]での推定値の算出が次のように行われる。すなわち、上記出力予定数に対する上記実回数の不足分を数Aに加算して第1期間を上記加算後の数Aで割ることにより同第1期間中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T1sが算出される。こうして算出される推定値T1sは、数Aに上記不足分を加算しない場合よりも短くなる。更に、第2期間を数Bで割ることにより同第2期間中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T2sが算出される。
そして、上記[3]において、カム信号のエッジの発生時点を基準として、第1期間中には上記推定値T1sに基づきクランク信号の出力タイミングが推定され、第2期間中には上記推定値T2sに基づきクランク信号の出力タイミングが推定される。なお、第1期間中においては、数Aに上記不足分が加算されて推定値T1sが短くなる分だけ、推定されるクランク信号の出力タイミングが早められる。その結果、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングに基づき次回の上記[4]で把握されるクランク角が進み側に変化する。
従って、クランクポジションセンサの異常時であって、カムポジションセンサを利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる。そのため、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関の制御を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転を実現することが困難になることを抑制できる。なお、上記第1期間中は、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されないクランク角領域に対応した期間であるため、上述したように推定値T1sが短くなって同推定値T1sに基づき推定されるクランク角の出力タイミングが進み側に変化したとしても、そのことが内燃機関の制御に影響を及ぼすことはない。
請求項記載の発明によれば、上記第2期間中でのクランク信号の出力タイミングを推定するための上記推定値T2sが、同第2クランク角領域での内燃機関の運転に伴うクランクシャフトの回転速度変化に応じて補正される。ここで、内燃機関においては、筒内での圧縮や燃焼に伴ってクランクシャフトの回転速度が変化し、それに伴いクランクポジションセンサからのクランク信号の出力タイミングも遅れ側や進み側に変化する。上述したようにクランクシャフトの回転速度変化に応じて上記推定値T2sを補正することにより、その補正後の推定値T2sに基づいて推定されるクランク信号の出力タイミングを上記クランクシャフトの回転速度変化に対応した適正値に合わせることができる。従って、上記推定されるクランク信号の出力タイミングに基づいてクランク角を把握し、その把握したクランク角に基づいて第2クランク角領域での内燃機関の制御を実行することにより、同制御をより適切なタイミングで実施することができる。
請求項記載の発明によれば、カム信号のエッジ間隔は、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されない第1クランク角領域に対応する第1期間と、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域に対応した第2期間とに分けられ、その第2期間が上記エッジ間隔の後期に位置するようカム信号のエッジの出力タイミングが設定される。ここで、上記[1]〜[4]の手順でクランク角を把握するに当たり、上記実回数の上記出力予定数に対する不足分が上記[2]で用いられる出力予定数に対し加算される際には、クランク信号が出力される時間間隔の推定値が短くなる。このようにクランク信号が出力される時間間隔の推定値が短くされると、その推定値を用いて上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングがカム信号のエッジ間隔中の後期になるほど早められる。従って、上述したように第2期間が上記エッジ間隔の後期に位置するようカム信号のエッジの出力タイミングを設定することにより、上記第2期間中に推定されるクランク信号の出力タイミングをより早めて実際の出力タイミングに近づけることができる。その結果、第2期間中に推定される上記クランク角の出力タイミングに基づきクランク角を把握したとき、その把握したクランク角を正確なものとすることができ、同把握したクランク角に基づく内燃機関の制御を適切なタイミングで実施することができる。
本発明が適用される内燃機関の制御装置全体を示す略図。 (a)〜(c)は、クランク角の変化に対する気筒番号、クランク信号、カム信号の変化を示すタイミングチャート。 (a)〜(d)は、クランク角の変化に対するクランク信号の変化、及び、同クランク信号の推定の出力タイミングと真の出力タイミングとのずれ量の変化を示すタイミングチャート。 クランク角把握処理の実行手順を示すフローチャート。 (a)〜(d)は、クランク角の変化に対するクランク信号の変化、及び、同クランク信号の推定の出力タイミングと真の出力タイミングとのずれ量の変化を示すタイミングチャート。 クランクシャフトが10°回転するために要する時間のクランク信号の出力タイミング毎の推移傾向を示すグラフ。 クランクシャフトの角速度の平均値に対するずれ量の機関回転速度毎の推移を示すグラフ。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示す内燃機関1は、コモンレール式の燃料噴射装置を備えた直列四気筒のディーゼル機関である。この内燃機関1では、吸気通路2から燃焼室3に吸入された空気を圧縮した状態のもと、コモンレールからの高圧燃料の供給を受けるインジェクタ4から燃焼室3内に向けて燃料が噴射される。この噴射された燃料が空気の圧縮により高圧状態となった燃焼室3内に曝されて燃焼すると、その際の燃焼エネルギによってピストン5が往復移動するとともにクランクシャフト6が回転する。なお、燃焼室3内での燃料の燃焼後のガスは、排気として排気通路7に送り出される。
内燃機関1におけるクランクシャフト6の回転は、チェーン等を介して吸気カムシャフト8及び排気カムシャフト9に伝達される。そして、クランクシャフト6からの回転伝達を受けて吸気カムシャフト8が回転すると、その回転に伴う吸気バルブ10の開閉動作により燃焼室3と吸気通路2との間が連通・遮断される。また、クランクシャフト6からの回転伝達を受けて排気カムシャフト9が回転すると、その回転に伴う排気バルブ11の開閉動作により燃焼室3と排気通路7との間が連通・遮断される。
内燃機関1のクランクシャフト6にはクランクロータ12が固定されている。クランクロータ12の近傍には、上記クランクロータ12の外周形状に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ13が設けられている。このクランクロータ12の外周部は、クランクシャフト6の回転時にクランクポジションセンサ13から図2(b)に示すクランク信号が出力される形状となっている。クランクポジションセンサ13からのクランク信号は、内燃機関1のクランク角0〜720°の間でクランク角が所定角度(この例では10°)進む毎に出力される。ただし、クランク角150〜180°の間、及び、クランク角690〜0°の間は、クランクポジションセンサ13からクランク信号が出力されない欠歯期間となっている。
一方、図1に示す内燃機関1の吸気カムシャフト8にはカムロータ15が固定されている。カムロータ15の近傍には、上記カムロータ15の外周形状に対応した信号を出力するカムポジションセンサ14が設けられている。このカムロータ15の外周部は、吸気カムシャフト8の回転時にカムポジションセンサ14から図2(c)に示すカム信号が出力される形状となっている。この例では、クランク角120〜300°、クランク角360〜480°、及びクランク角660〜0(720)°のとき、カムポジションセンサ14からのカム信号が出力される。従って、カムポジションセンサ14からのカム信号は、クランク信号よりも長い間隔をもって出力される。カム信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのうち、クランク角480°、660°、120°、300°で生じるエッジについては、180°分のクランク角の変化に相当する吸気カムシャフト8の回転方向についての角度間隔を識別するための基準エッジeとして用いられる。
次に、本実施形態の内燃機関1の制御装置の電気的構成について、図1を参照して説明する。
同制御装置は、内燃機関1の各種制御を実施するための電子制御装置20を備えている。この電子制御装置20は、機関制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。電子制御装置20の入力ポートには、クランクポジションセンサ13及びカムポジションセンサ14が接続されている。また、電子制御装置20の出力ポートにはインジェクタ4等の駆動回路が接続されている。
電子制御装置20は、図2(b)に示すクランク信号に基づき内燃機関1のクランク角を把握する。詳しくは、クランク信号の出力タイミング毎に内燃機関1のクランク角を把握するためのカウンタCのカウント値を「1」ずつ増加させてゆき、クランクポジションセンサ13からのクランク信号に基づき欠歯期間であることが認識されたときにはカウンタCのカウント値を「2」だけ増加させる。このように増加するカウンタCのカウント値は、内燃機関1のクランク角が基準値(例えば0°)に達したときに初期値「0」にリセットされる。そして、この状態からクランクシャフト6が回転すると、カウンタCのカウント値が増加してゆく。その後、クランクシャフト6が2回転してクランク角が720°(0°と同一)になると、言い換えればカウンタCのカウント値が「72」になると、上述したように再度カウンタCのカウント値が初期値「0」にリセットされる。電子制御装置20は、クランク信号の出力に基づいて変化するカウンタCのカウント値に基づき内燃機関1のクランク角を把握する。
電子制御装置20は、把握したクランク角に基づき、内燃機関1での燃料噴射制御など同機関1における各種の制御を実行する。例えば内燃機関1での上記燃料噴射制御として、圧縮行程でインジェクタ4からの燃料のパイロット噴射、メイン噴射、アフター噴射、及びポスト噴射を実現するための制御が実施される。なお、インジェクタ4からの上述した燃料の噴射のうち、パイロット噴射は、メイン噴射の前に予め少量の燃料を筒内に供給して熱源を生じさせておくことにより、メイン噴射が行われたときの燃料の着火性を向上させるためのものである。また、アフター噴射は、メイン噴射後に少量の燃料を筒内に供給することにより、メイン噴射による燃料の燃焼によって生じた微粒子を燃焼させたり、メイン噴射による燃料のうち燃焼しきれない分を燃焼させたりするためのものである。更に、ポスト噴射は、燃焼に寄与しない少量の燃料を筒内に供給して内燃機関1の排気通路7に設けられた触媒やフィルタに燃料成分を送り、その燃料成分により触媒やフィルタの温度を上昇させるためのものである。
上述したインジェクタ4からの各種の燃料の噴射は、クランク信号を用いて把握したクランク角に基づき、吸気下死点から圧縮上死点までの範囲にある気筒、すなわち圧縮行程となる気筒において同圧縮行程の定められたタイミングで実施される。
なお、図2(a)は、内燃機関1の各気筒#1〜#4のうち圧縮行程中の気筒を識別するための気筒番号iの変化を示している。この気筒番号iは、クランク角の変化に伴い、例えばi=「0(気筒#1)」、i=「1(気筒#3)」、i=「2(気筒#4)」、i=「3(気筒#2)」のように設定される。圧縮行程中におけるクランク信号の出力タイミングに「0」から始まる番号を割り付けてゆくと、気筒番号iが「0」もしくは「2」のときには上記圧縮行程中に0番から17番までのクランク信号の出力タイミングを迎える。一方、気筒番号iが「1」もしくは「3」のときには、上記圧縮行程中に欠歯期間が存在することから、同圧縮行程中に0番から15番までのクランク信号の出力タイミングを迎える。
インジェクタ4からの上記各種の燃料の噴射のうち、メイン噴射は9番のクランク信号の出力タイミングに対応するクランク角に基づいて行われ、パイロット噴射は上記クランク角よりも早い時期のクランク角にて行われる。また、アフター噴射は、9番のクランク信号の出力タイミングに対応するクランク角よりも遅い時期のクランク角にて行われ、ポスト噴射は同クランク角よりも更に遅い時期のクランク角にて行われる。従って、パイロット噴射、アフター噴射、及びポスト噴射は、メイン噴射の実行されるクランク角(9番のクランク信号の出力タイミングに対応)をもとに行われる。
なお、図2(b)に示すカム信号の基準エッジeの出力タイミングは、12番のクランク信号の出力タイミングと一致している。そして、所定の基準エッジeから次の基準エッジeまでの間において、12番のクランク信号の出力タイミングから1番のクランク信号の出力タイミングまでのクランク角領域は、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されない領域(以下、第1クランク角領域CA1という)となる。より具体的には、この第1クランク角領域CA1は、インジェクタ4からのメイン噴射等の燃料噴射時期制御のためのインジェクタ4の駆動が実行されない領域となる。また、所定の基準エッジeから次の基準エッジeまでの間において、1番のクランク信号の出力タイミングから12番のクランク信号の出力タイミングまでのクランク角領域は、上記燃料噴射時期制御など内燃機関1の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される領域(以下、第2クランク角領域CA2という)となる。より具体的には、この第2クランク角領域CA2は、インジェクタ4からのメイン噴射等の燃料噴射時期制御のためのインジェクタ4の駆動が実行される領域となる。なお、基準エッジeの出力タイミングを12番のクランク信号の出力タイミングと一致させることにより、所定の基準エッジeから次の基準エッジeまでの期間において、その期間の後期に第2クランク角領域CA2が位置するようになる。
ところで、クランクポジションセンサ13の断線等の異常により、電子制御装置20にクランク信号が入力されなくなり、そのクランク信号に基づいてクランク角を把握することができなくなると、クランク角に基づく内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を実行することが困難になる。このため、クランクポジションセンサ13の異常時には、クランクポジションセンサ13からのクランク信号に基づいてクランク角を把握することに代えて、カムポジションセンサ14からのカム信号を利用してクランク角を把握することが行われる。こうしたカム信号を利用したクランク角の把握は、例えば次の[1]〜[4]の手順で行うことが考えられる。
[1]カム信号における所定の基準エッジeから次回の基準エッジeまでの時間間隔(エッジ間隔E)が計時される。こうして計時されたエッジ間隔Eは、電子制御装置20のRAMに記憶される。
[2]上記[1]によって計時されたエッジ間隔Eを、同エッジ間隔E中におけるクランク信号の出力予定数で割ることにより、クランク信号が出力される時間間隔の推定値Tsが算出される。なお、エッジ間隔E中におけるクランク信号の出力予定数として、本実施形態では、同エッジ間隔E中のクランク角の変化量(180°)をクランク信号の出力間隔に対応するクランク角の変化量である(10°)で割ることによって得られる数(「18」)が用いられる。
[3]カム信号の基準エッジeの発生時点を基準として上記[2]により算出された推定値Tsに基づきクランク信号の出力タイミングが推定される。
[4]上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとしてクランク角が把握される。詳しくは、上記[3]で推定されたクランク信号の出力タイミングに基づいて、例えば図3(a)に示すような擬似的なクランク信号が生成され、その生成されたクランク信号に基づきクランク角が把握される。
上記[1]〜[4]の手順によって把握されたクランク角をもとに内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を行うようにすれば、クランクポジションセンサ13の異常時にクランク角が把握できなくなって内燃機関1の制御を行うことが困難になるという状況の発生を回避することができる。
ここで、上記[1]〜[4]の手順により、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握しているとき、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが例えば図3(a)に示す状態であって機関回転速度が一定であれば、上記[1]〜[4]の手順により上記把握したクランク角が実際のクランク角とほぼ一致する。ただし、こうした状況のもとで機関回転速度が上昇すると、上記[1]〜[4]の手順により把握したクランク角よりも実際のクランク角が進み側に変化する。このときにクランクポジションセンサ13から実際にクランク信号が出力されたと仮定した場合、その実際のクランク信号の出力タイミングは、例えば図3(d)に示されるように早められ、且つ互いの時間間隔が短くされるようになる。更に、このときにはカムポジションセンサ14からのカム信号の基準エッジeの実際の発生時期が早められ、且つ同基準エッジeの実際のエッジ間隔Eが短くなる。
一方、上述したように機関回転速度が上昇したとき、上記[1]〜[4]の手順によるクランク角の把握は、機関回転速度の上昇に伴ってカム信号のエッジ間隔Eが短くなる前のエッジ間隔Eに基づいて行われる。言い換えれば、上記機関回転速度の上昇に伴う内燃機関1の過渡運転中においては、機関回転速度の上昇が生じた後のカム信号のエッジ間隔Eよりも長いエッジ間隔Eに基づいて上記クランク角の把握が行われる。このため、クランク角を把握するための上記[1]〜[4]の手順のうち、上記[2]で算出されるクランク信号が出力される時間間隔の推定値Tsが実際の時間間隔よりも長い値になるとともに、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミング(図3(a))が実際のタイミング(図3(d))よりも遅い値になる。その結果、上記[3]で推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたものとして、上記[4]で把握されるクランク角が実際のクランク角よりも遅れ側にずれる。
このように把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれると、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関1の制御を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転を実現することが困難になる。例えば、燃料噴射制御を通じて行われる燃料の各種の噴射のうち、メイン噴射は9番のクランク信号の出力タイミングに対応するクランク角に基づいて行われ、他の噴射はメイン噴射を基準として設定されたクランク角に基づいて行われる。しかし、上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれると、上記燃料の各種の噴射を適切なタイミングで行えなくなり、それに伴い良好な機関運転を実現することが困難になる。
ちなみに、良好な機関運転を実現することが困難になる程度まで、上記把握されるクランク角が実際のクランク角よりも遅れ側にずれる場合、機関回転速度の上昇に伴いカム信号の基準エッジeの発生時期が例えば図3の状態に早められる。この場合、カム信号のエッジ間隔E中におけるクランク信号の出力予定数「18」に対し、同エッジ間隔E中でのクランク信号の上記推定される出力タイミングを迎える実回数が不足する。なお、図3の例では、上記出力予定数に対し上記実回数が2回だけ不足しており、図3(a)における二点鎖線で囲んだ10番及び11番のクランク信号の出力タイミングを迎える前に基準エッジeが発生している。
この実施形態では、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されたクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれる際、上記出力予定数に対し上記実回数が不足することに着目し、次のように上記把握されたクランク角の実際のクランク角に対する遅れ側へのずれに対処するようにしている。すなわち、上記実回数の上記出力予定数に対する不足が生じたとき、同不足分が次回の上記[2]で用いられる出力予定数に対し加算される。言い換えれば、上記[2]での推定値Tsの算出が、エッジ間隔E、通常の出力予定数「18」、及び上記不足分αに基づき、次の式(1)「Ts=E/(18+α) …(1)」を用いて行われる。なお、上記不足分αは、図3(a)の例では「2」となるが、「0」や「1」となったり、「3」以上になったりする可能性もある。
次に、本実施形態の制御装置の動作について説明する。
上記式(1)から分かるように、上記不足分αが加算された出力予定数「18+α」でエッジ間隔Eを割ることによって上記推定値Tsが算出されると、その推定値Ts(図3(b))が上記出力予定数に対し上記不足分αを加算しない場合(図3(a))よりも短くなる。このように推定値Tsが短くされると、その推定値Tsを用いて次回の上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングが例えば図3(b)に示すように早められる。詳しくは、基準エッジeの発生時点が10番のクランク信号の出力タイミングとして推定され、その後に上記推定値Tsを用いて11番以降のクランク信号の出力タイミングが推定される。
なお、上記推定されるクランク信号の出力タイミングは、次回のエッジ間隔E中(図3の「e〜e」)の後期になるほど早められる。その結果、図3(c)に示すように、上記推定されるクランク信号の出力タイミングと同出力タイミングの真の値とのずれ量が、次回のエッジ間隔E中において徐々に小さくなってゆく。
そして、上記推定されたクランク角の出力タイミングに基づき次回の上記[4]でクランク角の把握が行われると、その把握されたクランク角が進み側に変化するようになる。このため、クランクポジションセンサ13の異常時であって、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる。従って、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転の実現が困難になることを抑制できる。
図4は、クランクポジションセンサ13の異常時にクランク角を把握する処理の実行手順を示すフローチャートである。
この処理では、まずクランクポジションセンサ13が異常であるか否かが判断される(S101)。ここで否定判定であれば、クランクポジションセンサ13からのクランク信号に基づきクランク角を把握する通常の処理が実行される(S106)。一方、S101の処理でクランクポジションセンサ13が異常である旨判断されると、上記[1]で計時されて電子制御装置20のRAMに記憶された直近のエッジ間隔Eが取り込まれる(S102)。そして、上記エッジ間隔E等に基づき、上記[2]における式(1)を用いて次回のエッジ間隔E中におけるクランク信号の出力タイミングの時間間隔の推定値Tsが算出される(S103)。その後、上記[3]に相当するS103の処理において、直前の基準エッジeの発生時期を基準に上記推定値Tsに基づきクランク信号の出力タイミングが推定される)。更に、上記[4]に相当するS105の処理として、上記推定されたクランク信号の出力タイミングに基づきクランク角が把握される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)クランクポジションセンサ13の異常時であって、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握する際には、その把握されたクランク角が機関回転速度の上昇に伴い実際のクランク角から遅れ側にずれるおそれがある。しかし、そのずれに起因して、カム信号のエッジ間隔E中におけるクランク信号の出力予定数「18」に対し、同エッジ間隔E中でのクランク信号の上記推定される出力タイミングを迎える実回数が不足すると、その不足分αに基づき式(1)を用いてクランク信号の出力タイミングの時間間隔の推定値Tsが算出される。こうして算出される推定値Tsは上記不足分αを考慮せずに算出したときの値よりも短くなり、それに伴い同推定値Tsを用いて推定されるクランク角の出力タイミングが早められる。そして、上記推定されたクランク角の出力タイミングに基づきクランク角の把握が行われることにより、その把握されたクランク角が進み側に変化する。このため、クランクポジションセンサ13の異常時であって、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる。従って、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転の実現が困難になることを抑制できる。
(2)図3に示すように、カム信号における所定の基準エッジeから次の基準エッジeまでの期間(エッジ間隔E中)は、第1期間t1と第2期間t2とに分けられる。この第1期間t1は、燃料噴射時期制御など内燃機関1の制御のためのアクチュエータ(この例ではインジェクタ4)の駆動が実行されない第1クランク角領域CA1に対応する期間である。また、第2期間t2は、上記制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域CA2に対応する期間である。そして、上記第2期間t2がエ上記エッジ間隔E中の後期に位置するよう、カムポジションセンサ14からのカム信号の基準エッジeの出力タイミングが設定される。ここで、式(1)で用いられる不足分αが「1」以上になり、その分だけ推定値Tsが短くされて同推定値Tsに基づき推定されるクランク信号の出力タイミングが早められる場合、その出力タイミングは上記エッジ間隔E中の期間の後期になるほど早められる。その結果、上記推定されるクランク信号の出力タイミングと同出力タイミングの真の値とのずれ量は、上記エッジ間隔E中において徐々に小さくなってゆく(図3(c)参照)。従って、第2期間t2が上記エッジ間隔E中の後期に位置することにより、上記第2期間t2中に推定されるクランク信号の出力タイミングをより早めて実際の出力タイミングに近づけることができる。このため、第2期間t2中に推定される上記クランク角の出力タイミングに基づきクランク角を把握したとき、その把握したクランク角を正確なものとすることができ、同把握したクランク角に基づく内燃機関1の制御を適切なタイミングで実施することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図5を参照して説明する。
図5(a)は、第1実施形態における図3(a)と同一であって、カム信号から把握される擬似的なクランク信号の出力タイミングを表している。また、図5(d)は、第1実施形態における図3(d)と同一であって、クランクポジションセンサ13の異常時に同センサ13からクランク信号が出力されたと仮定した場合の真のクランク信号の出力タイミングを表している。
この実施形態は、第1実施形態に対し、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握しているとき、不足分αに対応する分だけ、推定されるクランク信号の出力タイミングを早める仕方が異なっている。詳しくは、カム信号を利用してクランク角を把握するための第1実施形態における[1]〜[4]の手順のうち、[2]及び[3]が異なっている。
本実施形態の手順[2]では、計時されたエッジ間隔Eが、第1クランク角領域CA1に対応する第1期間t1と、第2クランク角領域CA2に対応する第2期間t2とに分けられる。なお、第1期間t1は、エッジ間隔E、同エッジ間隔Eに対応するクランクシャフト6の回転角度(180°)、第1クランク角領域CA1に対応する角度(70°)、及び、不足分αに対応する角度(10α°)を用いて、次の式(2)「t1=E・{(70°+10α°)/180°} …(2)」で表される。また、第2期間t2は、エッジ間隔E、同エッジ間隔Eに対応するクランクシャフト6の回転角度(180°)、第2クランク角領域CA2に対応する角度(110°)を用いて、次の式(3)「t2=E・(110°/180°) …(3)」で表される。
上記手順[2]では、エッジ間隔E中におけるクランク信号の出力予定数(「18」)が、第1クランク角領域CA1に対応する数Aと、第2クランク角領域CA2に対応した数Bとに分けられる。上記数Aとしては、第1クランク角領域CA1に対応する角度(70°)をクランク信号の出力間隔に対応する角度(10°)で割ることによって得られる値(「7」)が用いられる。また、上記数Bとしては、第2クランク角領域CA2に対応する角度(110°)をクランク信号の出力間隔に対応する角度(10°)で割ることによって得られる値(「11」)が用いられる。
上記手順[2]では、不足分αを加算した数Aで第1期間t1を割ることにより、第1期間t1中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T1sが算出される。この推定値T1sは、次の式(4)「T1s=t1/(A+α) …(4)」で表される。更に、数Bで第2期間t2を割ることにより、第2期間t2中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T2sが算出される。この推定値T2sは、次の式(5)「T2s=t2/B …(5)」で表される。
また、本実施形態の手順[3]では、カム信号の基準エッジeの発生時点を基準として、第1期間t1中には推定値T1sに基づきクランク信号の出力タイミングが推定され、第2期間t2中には推定値T2sに基づきクランク信号の出力タイミングが推定される。このように推定されたクランク信号の出力タイミングに基づき、例えば図5(b)に示すような擬似的なクランク信号が生成され、その生成されたクランク信号に基づきクランク角が把握される。なお、第1期間t1中においては、数Aに加算される不足分αが「1」以上である場合、不足分αが数Aに加算されて推定値T1sが短くなる分だけ、推定されるクランク信号の出力タイミングが早められる。その結果、上記[3]で推定されるクランク信号の出力タイミングに基づきクランク角を把握する際、その把握されるクランク角が進み側に変化する。
従って、クランクポジションセンサ13の異常時であって、カムポジションセンサ14を利用してクランク角を把握しているとき、機関回転速度の上昇に伴い上記把握されるクランク角が実際のクランク角から遅れ側にずれることを抑制できる。そのため、上記把握されるクランク角に基づいて内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を実行する際、同制御を適切なタイミングで実行することができなくなって良好な機関運転の実現が困難になることを抑制できる。
本実施形態によれば、第1実施形態に記載した(1)及び(2)の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(3)不足分αが「1」以上である場合、その不足分αが数Aに加算されることで第1期間t1中における推定値T1sが短くなり、その分だけ第1期間t1中に推定されるクランク信号の出力タイミングが早められる。このため、図5(c)に示す上記推定されるクランク信号の出力タイミングと同出力タイミングの真の値とのずれ量は、エッジ間隔E中(図5の「e〜e」)において、第2期間t2では緩やかに小さくなる一方、第1期間t1では急速に小さくなる。なお、この第1期間t1中は、内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)のためのアクチュエータの駆動が実行されない第2クランク角領域CA2に対応した期間である。このため、上述したように推定値T1sが短くなって同推定値T1sに基づき推定されるクランク角の出力タイミングが進み側に変化したとしても、そのことが内燃機関1の制御に影響を及ぼすことはない。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。
この実施形態は、第2実施形態における第2期間t2中の推定値T2sに対し、第2クランク角領域CA2での内燃機関1の運転に伴うクランクシャフト6の回転速度変化に応じた補正を加えるようにしたものである。
内燃機関1においては、筒内での空気の圧縮や燃料の燃焼に伴ってクランクシャフト6の回転速度が変化し、それに伴いクランクポジションセンサ13からのクランク信号の出力タイミングも遅れ側や進み側に変化する。このため、内燃機関1の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域CA2に対応する第2期間t2中おいても、クランクシャフト6の上記回転速度変化に応じてクランクポジションセンサ13からのクランク信号の出力タイミングが遅れ側や進み側に変化する。
図6は、エッジ間隔E中における12番のクランク信号の出力タイミングから次回の12番のクランク信号の出力タイミングまでのクランクシャフト6の回転速度変化の傾向、正確にはクランクシャフト6が10°回転するために要する時間(角速度に対応)の変化の傾向を示している。同図から分かるように、第2期間t2の初期ではクランクシャフト6の角速度が遅くなる一方、第2期間t2期間の後期ではクランクシャフト6の角速度が急速に早くなってピークを迎えた後に急速に遅くなる。
図7は、エッジ間隔E中におけるクランクシャフト6の角速度の平均値(図6の一点鎖線)に対する同角速度の瞬時値のずれ量の機関回転速度毎の推移を示したグラフである。なお、同図における実線L1は、9番のクランク信号の出力タイミングに対応した上記角速度の瞬時値と上記平均値とのずれ量における機関回転速度毎の推移を示している。また、実線L2は、6番のクランク信号の出力タイミングに対応した上記角速度の瞬時時と上記平均値とのずれ量における機関回転速度毎の推移を示している。同図から分かるように、機関回転速度が低いほど上記ずれ量が大きくなる傾向がある。これは、内燃機関1の筒内での圧縮や膨張によるクランクシャフト6の回転速度への影響が機関低回転ほど大きくなるためである。
この実施形態では、第2期間t2中における1番から12番までのクランク信号の出力タイミングに対応する各々の推定値T2sに対し、図6に示す第2期間t2中におけるクランクシャフト6の回転速度(角速度)の変化傾向に対応した補正がそれぞれ加えられる。このように推定値T2sの補正を行うことにより、その補正後の推定値T2sに基づいて推定されるクランク信号の出力タイミングを上記クランクシャフト6の回転速度変化(角速度変化)に対応した適正値に合わせることができる。なお、推定値T2sに対する上記補正については、少なくとも、内燃機関1の筒内での圧縮や膨張によるクランクシャフト6の回転速度への影響が大きくなる機関低回転領域で行うことが好ましい。
本実施形態によれば、第2実施形態に記載した(3)の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(4)補正後の推定値T2sに基づいて推定されるクランク信号の出力タイミングをクランクシャフト6の回転速度変化に対応した適正値に合わせることができるため、上記出力タイミングに基づいて把握されるクランク角を実際のクランク角に正確に合わせることができる。従って、上記把握したクランク角に基づき第2クランク角領域CA2での内燃機関1の制御(燃料噴射制御等)を実行することにより、同制御をより適切なタイミングで実施することができる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1〜第3実施形態において、クランクポジションセンサ13の異常時、カム信号に基づいてクランク信号の出力タイミングを推定した後、その推定した出力タイミングに基づいて擬似的なクランク信号を生成し、その生成したクランク信号に基づいてクランク角を把握したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カム信号の基準エッジeの発生時期を基準として推定値Ts、T1s、T2sを用いてクランク信号の出力タイミングを推定し、その推定された出力タイミングと上記基準エッジeからの時間経過とに基づいてクランク角を把握するようにしてもよい。
1…内燃機関、2…吸気通路、3…燃焼室、4…インジェクタ、5…ピストン、6…クランクシャフト、7…排気通路、8…吸気カムシャフト、9…排気カムシャフト、10…吸気バルブ、11…排気バルブ、12…クランクロータ、13…クランクポジションセンサ、14…カムポジションセンサ、15…カムロータ、20…電子制御装置(制御手段、計時手段、算出手段、推定手段)。

Claims (3)

  1. クランクシャフトの回転に伴ってクランク信号を間隔をおいて出力するクランクポジションセンサと、前記クランクシャフトからの回転伝達を受けるカムポジションセンサの回転に伴ってカム信号を前記クランク信号よりも長い間隔をもって出力するカムポジションセンサと、前記クランクポジションセンサから出力される前記クランク信号に基づいて把握されるクランク角をもとに内燃機関の制御を行う制御手段とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記カムポジションセンサから出力される前記カム信号のエッジ間隔を計時する計時手段と、
    前記クランクポジションセンサの異常時、前記計時手段によって計時された前記カム信号のエッジ間隔を、同エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数で割ることにより、クランク信号が出力される時間間隔の推定値を算出する算出手段と、
    前記クランクポジションセンサの異常時、前記カム信号のエッジの発生時点を基準として前記算出手段により算出された前記推定値に基づき、前記クランク信号の出力タイミングを推定する推定手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記クランクポジションセンサの異常時、前記推定手段によって推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたとしてクランク角を把握し、そのクランク角をもとに内燃機関の制御を行うものであり、
    前記算出手段は、前記カム信号のエッジの発生時点において、前回のエッジの発生時点から今回のエッジの発生時点までのエッジ間隔中にクランク信号の推定された出力タイミングを迎える実回数が前記出力予定数に対し不足しているときには、その不足分を前記算出手段による前記推定値の次回の算出の際に用いられるクランク信号の出力予定数に加算するものであるが、前記計時手段によって計時された前記カム信号のエッジ間隔を、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されない第1クランク角領域に対応する第1期間と、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域に対応した第2期間とに分ける一方、前記エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数を、前記第1クランク角領域に対応する数Aと、前記第2クランク角領域に対応する数Bとに分け、前記クランクポジションセンサの異常時に、前記カム信号のエッジの発生時点において、前回のエッジの発生時点から今回のエッジの発生時点までのエッジ間隔中にクランク信号の推定された出力タイミングを迎える実回数が前記出力予定数に対し不足しているときには、その不足分を前記数Aに加算して前記第1期間を前記加算後の数Aで割ることにより同第1期間中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T1sを算出し、且つ、前記第2期間を前記数Bで割ることにより同第2期間中にクランク信号が出力される時間間隔の推定値T2sを算出するものであり、
    前記推定手段は、前記カム信号のエッジの発生時点を基準として、第1期間中には前記推定値T1sに基づきクランク信号の出力タイミングを推定し、第2期間中には前記推定値T2sに基づきクランク信号の出力タイミングを推定するものである
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記推定手段は、前記第2期間中でのクランク信号の出力タイミングを推定するために用いられる前記推定値T2sを、前記第2クランク角領域での内燃機関の運転に伴う前記クランクシャフトの回転速度変化に応じて補正する
    請求項記載の内燃機関の制御装置。
  3. クランクシャフトの回転に伴ってクランク信号を間隔をおいて出力するクランクポジションセンサと、前記クランクシャフトからの回転伝達を受けるカムポジションセンサの回転に伴ってカム信号を前記クランク信号よりも長い間隔をもって出力するカムポジションセンサと、前記クランクポジションセンサから出力される前記クランク信号に基づいて把握されるクランク角をもとに内燃機関の制御を行う制御手段とを備える内燃機関の制御装置において、
    前記カムポジションセンサから出力される前記カム信号のエッジ間隔を計時する計時手段と、
    前記クランクポジションセンサの異常時、前記計時手段によって計時された前記カム信号のエッジ間隔を、同エッジ間隔中におけるクランク信号の出力予定数で割ることにより、クランク信号が出力される時間間隔の推定値を算出する算出手段と、
    前記クランクポジションセンサの異常時、前記カム信号のエッジの発生時点を基準として前記算出手段により算出された前記推定値に基づき、前記クランク信号の出力タイミングを推定する推定手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記クランクポジションセンサの異常時、前記推定手段によって推定された出力タイミングでクランク信号が出力されたとしてクランク角を把握し、そのクランク角をもとに内燃機関の制御を行うものであり、
    前記算出手段は、前記カム信号のエッジの発生時点において、前回のエッジの発生時点から今回のエッジの発生時点までのエッジ間隔中にクランク信号の推定された出力タイミングを迎える実回数が前記出力予定数に対し不足しているときには、その不足分を前記算出手段による前記推定値の次回の算出の際に用いられるクランク信号の出力予定数に加算するものであり、
    前記計時手段によって計時された前記カム信号のエッジ間隔は、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行されない第1クランク角領域に対応する第1期間と、内燃機関の制御のためのアクチュエータの駆動が実行される第2クランク角領域に対応した第2期間とに分けられ、
    前記第2期間が前記エッジ間隔の後期に位置するよう前記カム信号のエッジの出力タイミングが設定される
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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