特許文献1に開示された装置は、自車線と自車線以外の車線である他車線との間に、車両巡航速度等に代表される走行条件の有意な差が生じている場合には効果的であるが、実際の道路状況を想定した場合、このような車両巡航速度の有意な差が生じないことも多い。自車線を含む複数の車線の車両巡航速度に有意な差がない場合において特許文献1に記載の発明を適用すると、相対速度に大きな差が生じ難いことから、他車線を走行する車両としての他車線走行車両が自車線を走行する車両としての自車線走行車両であると誤認識される可能性がある。
即ち、特許文献1に記載された発明には、先行車両が自車線走行車両であるとの判別が高精度になされ難いという技術的問題点がある。
係る技術的問題点を抱えたままでは、例えば、車両の制駆動力の制御により、或いは、例えばEPS(Electronic controlled Power Steering:電子制御式パワーステアリング装置)やVGRS(Variable Gear Ratio Steering:可変ギア比ステアリング装置)等の操舵制御装置を介した舵角の制御により、例えば自車線上の先行車両と自車両との位置関係を保持する、或いは例えば自車線上の先行車両に自車両を追従させる等といった各種運転支援制御を、運転者に違和感や不快感を与えることなく遂行することが難しくなる。また、先行車両と自車両との間で車両情報を共有すると共にこの共有した車両情報を運転者の支援に利用する各種運転支援制御を、運転者に違和感や不快感を与えることなく遂行することが難しくなる。
本発明は、上述した技術的問題点に鑑みてなされたものであり、先行車両が自車線走行車両であるか否かを高精度に判別可能な装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る走行車線判別装置は、自車両の時間軸上における速度パターンを特定する第1特定手段と、車線が不確定な他車両の時間軸上における速度パターンを特定する第2特定手段と、他車線を走行する他車線走行車両の時間軸上における速度パターンを特定する第3特定手段と、前記特定された自車両の速度パターンと前記特定された他車両の速度パターンとの類似度としての第1類似度を判定する第1判定手段と、前記判定された第1類似度と所定の判別基準とに基づいて前記他車両が自車線を走行する自車線走行車両であるか否かを判別する判別手段と、前記特定された自車両の速度パターンと前記特定された他車線走行車両の速度パターンとの類似度としての第2類似度を判定する第2判定手段と、前記判定された第2類似度が高い程前記他車両が前記自車線走行車両であると判別され難くなるように、前記判定された第2類似度に応じて前記判別基準を変更する変更手段とを具備することを特徴とする(請求項1)。
本発明に係る走行車線判別装置によれば、第1乃至第3特定手段により、自車両、他車両及び他車線走行車両の各々の、時間軸上における速度パターンが特定される。
時間軸上における速度パターンとは、有限の時間範囲における車両速度の推移を規定する物理量、制御量又は指標値等を包含する概念である。例えば、時間軸上における速度パターンとは、縦軸に速度を、横軸に時刻を夫々軸要素として配してなる二次元座標系における、車両速度値の幾何学的な軌跡であってもよい。或いは、時間軸上における速度パターンとは、複数の定められたサンプリング時刻における車両速度値又は車両速度値の変化量若しくは変化率等であってもよい。
尚、本発明に係る「特定」とは、検出、算出、推定、選択及び取得等の各種実践的態様を伴い得る包括概念であり、各速度パターンを特定するにあたっての実践的態様に実質的な制限はない。例えば、自車両の速度パターンは、車速センサ等により検出される車速値や、ドライブシャフトの回転速度又は車輪速等の各種車速相当値から換算される車速値を、有限な設定期間にわたって時系列と対応付けて保持することにより容易に特定され得る。
また、ミリ波レーダ装置等のレーダ装置が車両に搭載される場合、このレーダ装置の探索範囲(例えば、角度及び距離により定義され得る)内に存在する車両の上記速度パターンは、このレーダ装置の出力値を解析することにより容易に特定され得る。このような解析の手法については既に各種公知のものが存在する。
また、レーダ装置が、検出対象と自車両との位置関係を考慮して設置される場合、このレーダ装置により存在が検出される車両の走行車線は概ね確定する。例えば、ある有限の探索範囲を有するレーダ装置が車両側方部に設置されている場合、係るレーダ装置により存在が検出される車両の走行車線を自車線とは異なる他車線であると判断するのは至極合理的である。また、ある有限の探索範囲を有するレーダ装置が車両前方部に設置されている場合、存在が検出された車両の走行車線は必ずしも自車線とは限らないが、自車両との直線距離及び自車両に対する方向が既知となることに鑑みれば、存在が検出された車両の走行車線が自車線であるか否かの判断は比較的容易である。この際、走行車線の路幅値が既知であれば更なる高精度な判断が可能である。
また、例えば、GPS(Global Positioning System)等の測位システムが車両に搭載される構成において、自車両周辺に位置する車両との相対的位置関係を把握可能である場合には、このような測位システムから得られる情報を速度パターンの特定に流用してもよい。更には、例えば、車載カメラ等の撮像手段が車両に搭載される構成においては、当該撮像手段の撮像結果に対する画像認識処理やパターン認識処理等の結果に基づいて、撮像手段の撮像方向における車両の存在が検出されてもよい。この場合、予め実験的に、経験的に又は理論的に与えられたアルゴリズムや演算規則に従って、存在が検出された車両と自車両との相対速度を推定することが可能である。
これらレーダ装置、測位システム及び車載カメラ等を利用した速度パターンの特定は、自車両から比較的近距離にある車両に対し好適になされ、車線の特定作用も併有し得るものであって、上記第3特定手段及び後述する第4特定手段等が好適に採り得る態様の一例である。
これに対し、第2特定手段により速度パターンが特定される、本発明に係る「他車両」とは、車線が不確定な車両を意味しており、典型的には、上述した車線を確定し得る手段とは異なる手段を介してその存在が検出された車両を想定している。このような手段の好適な一例として、車両間通信又は車車間通信等と称される、所定の周波数帯域の無線電波を利用した通信装置がある。この種の通信装置では、所定の規格に準じていれば、或いは所定の認証手続きを経由すれば、比較的遠方の先行車両との間で存在を認識し合い、また車両情報を共有することが可能である。従って、例えばCAN(Controller Area Network)等の制御用シリアルバスを介して車速等の情報を通信情報に重畳することも容易にして可能であり、速度パターンの特定を行うに不足は無い。但し、この種の通信手段を介して得られる情報には、車線の判別に有用な情報が含まれない。即ち、この種の情報を利用して速度パターンが特定された車両は、車線が不確定な先行車両となる。
一方、駆動力及び制動力の制御或いは更に舵角の制御等を介して、例えば自車両を先行車両に追従させる等の各種運転支援を実現する技術が各種提案されている。或いは、先行車両と自車両との間で相互にその存在を確認し合い車両運行上有益な情報を交換することによって安全且つ快適な車両運行を実現する技術が各種提案されている。この種の運転支援を好適に発効せしめるためには、先行する他車両が自車線走行車両であることを高精度に判別する必要がある。他車線走行車両に対して車両を追従させる、或いは、他車線走行車両を自車線走行車両と誤認したまま情報を共有する等の事態が生じると、例えば、本来不要な加減速が発生し得る。このような本来不要な加減速は、運転者に違和感や不快感を生じさせる要因となる。
本発明に係る走行車線判別装置によれば、第1判定手段により、他車両の速度パターンと自車両の速度パターンとの類似度たる第1類似度が判定される。判別手段は、この判定された第1類似度と所定の判別基準とに基づいて、他車両が自車線走行車両であるか否か(即ち、他車両の走行車線が自車線であるか否か)を判別する構成となっている。
類似度とは、数値的又は幾何学的な類似の度合いを包括する概念であり、その実践的態様は多義的である。類似度とは、例えば、相関係数や平均二乗誤差等の統計学的指標値であってもよいし、公知のパターン認識処理等に基づいて両者の幾何学的類似を規格化された指標値に置き換えたものであってもよい(例えば、両者が幾何学的に一致する場合に類似度=100(%)等と定義してもよい)。
例えば、この第1類似度が、高い程類似の度合いが高くなる値として定義される場合、判別手段は、例えば、この第1類似度が上記判別基準としての判別基準値よりも高い場合に他車両が自車線走行車両であると判別してもよい。
ここで、このように時間軸上で規定される速度パターンは、ある時間軸上の一点で規定される相対速度と異なり、有限の時間範囲における車線毎に固有のプロファイルである。このため、ある時点で自車両と他車両との相対速度が概ね一致したとしても、或いは相対速度の時間平均値が概ね一致したとしても、この速度パターンは、自車線と他車線との間で必ずしも一致しない。従って、判別手段は、他車両が自車線走行車両であるか否かを判別することが出来る。
一方、車線の構成及び道路事情等によっては、自車両と、他車線を走行する他車線走行車両との間で、速度パターンが一致する場合がある。このような場合、第1類似度に基づいた車線判別では、自車線と他車線とを切り分けることが出来ないため、他車線走行車両を自車線走行車両と誤認識する可能性が排除されない。本発明に係る走行車線判別装置は、第2判定手段及び変更手段の作用により、係る問題を克服している。
具体的には、第2判定手段は、自車両の速度パターンと他車線走行車両の速度パターンとの類似度たる第2類似度を判定し、変更手段は、この判定された第2類似度に応じて、判別手段に係る判別基準を変更する。この際、変更手段は、判定された第2類似度が高い程、他車両が自車線走行車両であると判別され難くなるように判別基準を変更する。
即ち、変更手段による判別基準変更の要諦は、判別手段が車線判別の拠り所とする第1類似度が信頼するに足る指標であるか否かを、自車両と他車線走行車両との速度パターンの類似度に応じて個別具体的に判断し、第1類似度の信頼性の大小に応じて当該判別基準を夫々緩和及び厳格化する点にある。このような変更手段の作用によれば、第2類似度が大きく、必然的に第1類似度の判断要素としての信頼性が低下している状況において、判別基準(例えば、第1類似度との比較に供される判別基準値等)が厳しくなって、他車両が自車線走行車両であるとは容易に判別され難くなる。従って、本発明に係る走行車線判別装置は、他車両が自車線走行車両であるか否かの判別に係る判別精度を、道路状況や走行環境等に対して安定ならしめることが出来る。
本発明に係る走行車線判別装置の一の態様では、前記変更手段は、前記判定された第2類似度が第1閾値以上である場合に、前記判別基準を前記他車両が前記自車線走行車両であると判別され難くなる側へ変更する(請求項2)。
この態様によれば、第2類似度が第1閾値以上である場合に判別基準が厳格化される。従って、変更手段に係る実践上の利益を比較的簡便にして享受することが出来る。
本発明に係る走行車線判別装置の他の態様では、前記変更手段は、前記判定された第2類似度が前記第1閾値よりも高い第2閾値以上である場合に前記他車両が前記自車線走行車両であるか否かに係る判別を中止する(請求項3)。
この態様によれば、第2類似度が第2閾値(第2閾値>第1閾値)以上である場合に、自車線走行車両と他車線走行車両との判別自体が困難であるとの判断の下、判別手段による判別自体が中止される。従って、他車両が自車線走行車両であるか否かの判別に係る判別精度を維持することが出来る。
本発明に係る走行車線判別装置の他の態様では、自車線を走行する自車線走行他車両の時間軸上における速度パターンを特定する第4特定手段と、前記特定された自車両の速度パターンと前記特定された自車線走行他車両の速度パターンとの類似度としての第3類似度を判定する第3判定手段とを更に具備し、前記変更手段は、前記判定された第3類似度が低い程前記他車両が前記自車線走行車両であると判別され難くなるように、前記判定された第3類似度に応じて前記判別基準を変更する(請求項4)。
この態様によれば、第4特定手段により、自車両を除く自車線走行車両の速度パターンが特定され、この自車線走行車両の速度パターンと自車両の速度パターンとの類似度である第3類似度が第3判定手段により判定される。
第3類似度が低い場合、自車両を含む、自車線を走行中の車両各々の走行態様に明確な規則性がなく、第1類似度に基づいた車線判別の信頼性は必然的に低下する。従って、第3類似度が低い程他車両が自車線走行車両であるとの判別がなされ難くなるように、第3類似度に応じて二値的に、段階的に又は連続的に判別基準を変更することによって、他車両の車線判別に係る判別精度を好適に担保することが出来る。
尚、第3判定手段は、自車両の速度パターンと自車線走行車両との速度パターンとの類似度を第3類似度として特定するが、自車線走行車両が複数存在する場合には、自車両を除くこれら複数の自車線走行車両の速度パターン同士の類似度が第3類似度として判定されてもよい。但し、判別手段は、自車両の速度パターンと他車両の速度パターンとの類似度に基づいて他車両の車線判別を行う構成であるから、自車線走行車両の数量に関係なく、第3類似度の要素値として自車両の速度パターンが含まれるのがより望ましい。
第4特定手段及び第3判定手段を備える本発明に係る走行車線判別装置の一の態様では、前記変更手段は、前記判定された第3類似度が第3閾値未満である場合に、前記他車両が前記自車線走行車両であるか否かに係る判別を中止する(請求項5)。
第3類似度が低い場合、即ち、自車線走行車両と自車両との速度パターンが均一性を著しく欠く場合、第1類似度に基づいた車線判別に係る技術的意義が小さくなる。このような状況で車線判別を継続すると、必然的に車線の誤判別の可能性が高まって判別精度のロバスト性が低下する。本態様によれば、このような場合に車線判別自体を中止することによって、他車両の車線判別に係る判別精度のロバスト性を維持することが出来る。
第4特定手段及び第3判定手段を備える本発明に係る走行車線判別装置の他の態様では、複数の前記他車線走行車両について特定された前記速度パターン相互間の類似度である第4類似度を判定する第4判定手段を更に具備し、前記変更手段は、前記判定された第3類似度が第3閾値以上である場合に、前記判定された第4類似度が高い程前記他車両が前記自車線走行車両であると判別され難くなるように、前記判定された第4類似度に応じて前記判別基準を変更する(請求項6)。
この態様によれば、他車線走行車両が複数存在する場合に、この複数の他車線走行車両の速度パターンの類似度としての第4類似度が第4判定手段により判定される。第4類似度が高い場合、他車線走行車両の速度パターンの信頼性が増すことから、第2類似度に基づいた判別基準の変更に係る技術的意義が大きくなる。従って、第4類似度が高い程他車両が自車線走行車両であると判別され難くなるように、第4類似度に応じて判別基準を二値的に、段階的に又は連続的に変更することによって、他車両の車線判別に係る判別精度を維持することが可能となる。
尚、このような第4類似度に基づいた判別基準の変更は、第1類似度に基づいた車線判別自体が有効に機能し得る場合に限って有効であることから、上述のように第3類似度が第3閾値以上である場合、即ち、車線判別が中止されない場合における車線判別を補助する意味合いとして重要である。
尚、この態様では、前記変更手段は、前記判定された第2類似度が第1閾値以上である場合に、前記判別基準を前記他車両が前記自車線走行車両であると判別され難くなる側へ変更すると共に、前記判定された第2類似度が前記第1閾値よりも高い第2閾値以上である場合に、前記他車両が前記自車線走行車両であるか否かに係る判別を中止し、前記変更手段は、前記判定された第3類似度が前記第3閾値以上である場合において、前記判定された第4類似度が第4閾値以上である場合に、前記第1及び第2閾値のうち少なくとも一方を小さくしてもよい(請求項7)。
上述したように第2類似度と第1閾値及び第2閾値との比較結果を判別基準の変更に利用する構成においては、第4類似度が第4閾値以上である場合、即ち、複数の他車線走行車両相互間の速度パターンの類似度が高い場合において、この第1閾値又は第2閾値或いはその両方を小さくすることによって、第4類似度に応じた判別基準の変更作用の好適な一例を実現することが出来る。尚、第1閾値又は第2閾値を小さくした場合、小さくしない場合と較べより広範囲において判別基準が厳格化されることになるから、実践上、判別基準自体が変更されたことと等価な意味合いを持つ。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、本発明の各種実施形態について、適宜図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10のブロック図である。
図1において、車両1は、ECU(Electronic Control Unit)100、エンジン200、操舵システム300、制動システム400、車両間通信装置500、前後方レーダ600、側方レーダ700及び車速センサ800を備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、制御バスであるCANを介して車両10の動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「走行車線判別装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する車線判別処理を実行可能に構成されている。
エンジン200は、車両10の動力源となる公知の内燃機関である。尚、エンジン200の実践的態様は、本発明との関係性が低いのでここでは割愛する。エンジン200は、燃料の燃焼に伴って生じる熱エネルギをクランクシャフト等の動力取り出し軸の回転エネルギに変換可能な機関を包括する概念としての内燃機関の一態様であり、その詳細な構成は、燃料種別、燃料の供給態様、吸排気系の構成、動弁系の構成及び補機類の構成に至るまで如何様にも限定されるものではない。尚、ECU100は、後述する運転支援制御を実行する過程において、適宜燃料噴射量及び吸入空気量を変化させ、車両10の駆動力としてのエンジントルクを増減させることが出来る。
操舵システム300は、EPSやVGRSを含む公知の舵角可変装置と、この舵角可変装置により最終的に操舵輪の舵角を物理的に変化させる操舵機構とを含むシステムである。ECU100は、後述する運転支援制御を実行する過程において、これら舵角可変装置を適宜制御することにより、車両10の進行方向或いは更にヨーレートや車体スリップ角等の状態制御量を可変に制御することが出来る。
制動システム400は、車両10の前後左右の車輪に個別に制動力を付与可能な、公知の四輪独立型電子制御式制動装置である。制動システム400は、ブレーキアクチュエータ、作動油の配管、電磁弁、ホイールシリンダ及び制動部材等を含んでおり、ブレーキアクチュエータから供給される作動油の油圧が電磁弁の開閉状態に応じて配管に伝達され、ホイールシリンダを介して制動部材に伝達される構成となっている。従って、各車輪に付与される摩擦制動力は、ブレーキアクチュエータ及び電磁弁、ひいてはこれらを制御するECU100により可変である。ECU100は、後述する運転支援制御を実行する過程において、各輪に付与される制動力を可変に制御することが出来る。
車両間通信装置500は、所定の通信規格に基づいた無線通信を行うための公知の通信装置である。車両間通信装置500は、所定の周波数帯域を伝送帯域として使用し、車両10の周辺に位置する車両に対して、路側インフラ中継設備を介して或いはこのような中継設備を介することなく直接的に各種情報の送受信を行うことが可能な車車間通信装置である。このような車両間通信装置としては、公知の各種装置を適用可能である。車両間通信装置500は、ECU100と電気的に接続されており、車両間通信装置500を介して他の車両とやり取りされる情報は、ECU100が絶えず把握する構成となっている。
前後方レーダ600は、車両10のフロントバンパに埋設されたフロントレーダと、車両10のリアバンパに埋設されたリアレーダとを含む公知の76GHz帯車載ミリ波レーダ装置である。前後方レーダ600を構成するフロント/リアレーダの各々は、直線探索距離が約100mであり、また夫々車両10の左右方向に所定角だけ回動可能に構成されているため、その探索範囲は略扇状をなす。尚、前後方レーダ600は、各レーダに対応する前後方物体の、車両10に対する相対位置及び相対速度を検出可能に構成されている。前後方レーダ600は、上述したように制御バスとしてのCANによりECU100と電気的に接続されており、前後方レーダ600による車両前後方向における物体の探索結果は、ECU100が絶えず把握する構成となっている。
側方レーダ700は、車両10の右サイドパネルに埋設された右側方レーダと、車両10の左サイドパネルに埋設された左側方レーダとを含む公知の76GHz帯車載ミリ波レーダ装置である。側方レーダ700を構成する左右レーダの各々は、直線探索距離が約100mであり、また夫々車両10の前後方向に所定角だけ回動可能に構成されているため、その探索範囲は略扇状をなす。尚、側方レーダ700は、各レーダに対応する側方物体の、車両10に対する相対位置及び相対速度を検出可能に構成されている。側方レーダ700は、上述したように制御バスとしてのCANによりECU100と電気的に接続されており、側方レーダ700による車両側方における物体の探索結果は、ECU100が絶えず把握する構成となっている。
車速センサ800は、車両10の速度たる車速Vhを検出可能に構成されたセンサである。車速センサ800は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vhは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
<実施形態の動作>
以下、本実施形態の動作について説明する。
<運転支援制御の概要>
車両10においては、前方先行車両との車間距離を維持する制御や、前方先行車両から取得した又は前方先行車両と共有した情報に基づいた車両制御を含む各種の運転支援制御が行われる。尚、前者の制御では、例えば、前後方レーダ600を構成する前方レーダにより検出される、前方先行車両との相対距離が設定値に維持されるように、ECU100により、エンジン200の制御(例えば、アクセルペダル又はスロットルバルブの開閉を介した吸入空気量の制御)及び制動システム400の制御が適宜行われる。また、後者の制御では、例えば、車両間通信装置500により相互に通信状態にある前方先行車両から車両情報(例えば、車速、アクセルペダルやブレーキペダルの操作情報、或いは、ハザードランプやヘッドランプの点灯情報等)が取得され、例えば前方先行車両との相対車速が所定範囲に収束するように、前方先行車両との車間距離が開かないように、或いは、前方先行車両との車間距離が過度に縮まらないように、エンジン200や制動システム400が制御される。この際、道路形状等に応じて適宜操舵システム300も制御され、道路形状に即した車両10の挙動制御も実現される。このような各種運転支援制御の詳細については、従来各種提案されている。
<車線判別処理の概要>
上述した如き各種運転支援制御を実現するにあたって、車両10の前方において、前後方レーダ600及び側方レーダ700の探索範囲外に存在する車両が、車両10の走行車線を走行する自車線走行車両であるか否かを判別することの重要性は大である。車両10を追従させる場合は元より、情報共有による運転支援を行うにあたり、自車線走行車両と他車線走行車両とでは、共有又は取得すべき情報も、共有又は取得した情報の活用方法も自ずから異なるからである。然るに、車両間通信装置500を介した前方先行車両との通信では、前方先行車両が自車線走行車両であるか否かは判別出来ない。従って、車両10のように各種運転支援制御を実行可能な車両においては、存在が検出された前方先行車両が自車線走行車両であるか否かを正確に判別する仕組みが必要となる。本実施形態では、ECU100が車線判別処理を実行することにより、係る高精度な車線判別が可能となっている。
尚、高精度な車線判別には、車線判別の精度自体を向上させるアプローチと、車線の誤判別を防止することによってロバスト性を向上させるアプローチとが考えられるが、本実施形態に係る車線判別処理により実現される高精度な車線判別とは択一的には後者を意味する。
ここで、図2を参照し、車線判別制御が実行される状況について説明する。ここに、図2は、車両10の一走行状況を例示する概念図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、車両10が片側三車線の道路を走行している。この道路は、センターラインCLから遠い順に、左車線LKL、中央車線LNC及び右側車線LKRの三つの車線を有している。図2には、車両10が中央車線LNCを走行している状況が示される。即ち、この場合、中央車線LNCは本発明に係る「自車線」の一例であり、右側車線LNR及び左側車線LNLは本発明に係る「他車線」の一例である。
車両10の右前方には車両R1が位置しており、左後方には車両L1が位置している。これらは夫々前方レーダの探索範囲RDf及び左側方レーダの探索範囲RDl内を走行する車両であり、ECU100は、各レーダの探索結果に基づいて、これらが夫々右車線LNR及び左車線LNLを走行している車両であると判断する。即ち、車両R1及びL1は、他車線を走行していることが確定した車両であり、本発明に係る「他車線走行車両」の一例である。
一方、車両10の前方には、車両X1が走行中であり、ECU100は、車両間通信装置500を介してこの車両X1の存在を認識している。ところが、この車両X1は、前後方レーダ600及び側方レーダ700の探索範囲外であり、走行する車線がいずれの車線であるかは不明である(図2では、車両X1は右車線LNRの左側寄りを走行している)。即ち、車両X1は、本発明に係る「他車両」の一例である。尚、車両X1のように、通信により存在が確認される一方でその車線が不確定である車両を、これ以降適宜「通信車両」と表現する。
次に、図3を参照し、車線判別処理の詳細について説明する。ここに、図3は、車線判別処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、通信車両たる車両X1と自車両たる車両10との間の速度パターンの類似度S1を演算する(ステップS101)。即ち、ステップS101は、本発明に係る「第1判定手段」に係る「第1類似度を判定する」動作の一例である。以下、この値を「第1類似度S1」と表現する。
ここで、第1類似度S1は、通信車両たる車両X1の時間軸上における車速の推移(速度パターン)と、自車両たる車両10の時間軸上における車速の推移(速度パターン)との類似の度合いである。本実施形態において、第1類似度S1は、現時点から所定時間過去に遡った時間範囲における、一定又は不定のサンプリング時刻毎に得られた、車両10の車速Vhと車両X1の車速との相関係数である。相関係数は、高い程両者に相関があることを意味する公知の統計指標値である。尚、第1類似度S1としては、このような相関係数に代えて、平均二乗誤差が使用されてもよい。この場合、第1類似度S1が低い程両者が類似していることを意味する。
第1類似度S1が演算されると、ECU100は、他車線を走行中の車両を探索する(ステップS102)。この検索には、前後方レーダ600及び側方レーダ700は、車両10との相対的位置関係を検出出来るため、検出された車両が他車線走行車両であるか否かを確実に判別することが出来る。他車線を走行中の車両の探索が行われると、ECU100は、係る探索の結果、他車線走行車両が存在するか否かを判別する(ステップS103)。他車線走行車両が検出されない場合(ステップS103:NO)、ECU100は、処理をステップS109に移行させる。
ステップS109においては、通常の車線判別が実行される。通常の車線判別とは、第1類似度S1と基準値S1th(即ち、本発明に係る「判別基準」の一例である)との比較に基づいた車線判別を意味する。この場合、第1類似度S1が基準値S1th以上である場合に、自車両と通信車両(ここでは、車両X1)とが同一車線を走行しているとの判別がなされる。即ち、本発明における「他車両が自車線走行車両である」との判別がなされる。
一方、他車線走行車両が存在する場合(ステップS103:YES)、ECU100は、自車両(即ち、車両10)の速度パターンと、この他車線走行車両(例えば、図2における車両R1やL1等)の速度パターンとの類似度S2を演算する(ステップS104)。即ち、ステップS104は、本発明に係る「第2判定手段」に係る「第2類似度を判定する」動作の一例である。以下、この値を「第2類似度S2」と表現する。
ここで、第2類似度S2は、他車線走行車両(ここでは、車両L1及びR1)の時間軸上における車速の推移(速度パターン)と、自車両たる車両10の時間軸上における車速の推移(速度パターン)との類似の度合いである。本実施形態において、第2類似度S2は、現時点から所定時間過去に遡った時間範囲における一定又は不定のサンプリング時刻毎に得られた、車両10の車速Vhと車両R1又はL1或いはその双方の車速との相関係数である。尚、第2類似度S2としては、第1類似度S1と同様に、相関係数に代えて平均二乗誤差が使用されてもよい。この場合、第2類似度S2が低い程両者が類似していることを意味する。
ECU100は、第2類似度S2が演算されると、第2類似度S2が所定の第2閾値以上であるか否かを判別する(ステップS105)。第2類似度S2が第2閾値以上である場合(ステップS105:YES)、通信車両たる車両X1が自車線走行車両であるか否かに係る判別が中止される(ステップS107)。
一方、第2類似度S2が第2閾値未満である場合(ステップS105:NO)、ECU100は、第2類似度S2が第1閾値(第1閾値<第2閾値)以上であるか否かを判別する(ステップS106)。第2類似度S2が第1閾値以上である場合(ステップS106:YES)、ECU100は、通信車両が自車線走行車両であるか否かに係る判別基準としての基準値S1thを大きくし、判別基準を厳格化(即ち、厳しく)する(ステップS108)。また、第2類似度S2が第1閾値未満である場合(ステップS106:NO)、ECU100は、処理をステップS109に移行させ、上述した通常の車線判別を実行する。
ステップS107、S108及びS109のいずれかが実行されると、処理はステップS101に戻され、これまで説明した処理が繰り返される。車線判別処理は以上のように実行される。
ここで、図4を参照し、車線判別処理の効果について説明する。ここに、図4は、車線判別処理の効果に係る、各車両の速度パターンの概念図である。
図4において、縦軸に車速、横軸に時刻が表されてなる平面上で、車両10、車両R1、車両L1及び車両X1について、速度パターンが夫々図示PRF_10(実線参照)、PRF_R1(二点鎖線参照)、PRF_L1(破線参照)及びPRF_X1(一点鎖線参照)として表される。
図4において、左車線LNLを走行する車両L1の速度パターンは他と大きく異なる一方で、他の車両については、時間軸上で相前後するものの速度パターン自体は極めて類似している。即ち、図4は、中央車線LNC及び右側車線LNRにおける車両の巡行速度及び走行状況が殆ど等しい状況を表している。このような道路状況において、車両X1と車両10との速度パターンが一致することを根拠として(即ち、第1類似度S1のみを拠り所として)車両X1の走行車線が中央車線LNCであると判別することは、誤判別防止の観点から望ましくない。また、実際に車両X1は車線LNRを走行しているので、この場合、車両X1の車線が誤判別されることとなる。
これに対し、車線LNRを走行する車両R1の速度パターンと車両10の速度パターンとの類似度である第2類似度S2が考慮される本実施形態によれば、第2類似度S2が第1閾値以上であることをもって判別基準が厳格化され、また第2類似度S2が第2閾値以上であることをもって判別自体が禁止される。即ち、車両X1の車線を判別するにあたっての判断指標である第1類似度S1の信頼性の低下を、判別基準の変更により補償することが可能となる。従って、このような誤判別の発生を未然に防止することが可能となるのである。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、第2実施形態に係る車両構成は、第1実施形態に係る車両10と等しいものとする。
始めに、図5を参照し、第2実施形態に係る道路状況について説明する。ここに、図5は、車両の一走行状況を例示する概念図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、車両10の前方には、前方レーダの探索範囲RDfにおいて車両C2が、同じく後方には、後方レーダの探索範囲RDrにおいて車両C1が位置している。これらはECU100により自車線走行車両として認識される。また、左車線LNLには、車両L2、L3及びL4の計3台の車両が走行中である。これらは夫々後方レーダの探索範囲RDr、左側方レーダの探索範囲RDl及び前方レーダの探索範囲RDfに位置しているため、ECU100に他車線走行車両として認識される。
一方、左車線LNLにおける各レーダの探索範囲から外れた位置に、本発明に係る「他車両」の他の一例としての車両X2が存在している。ECU100は、第1実施形態における車両X1と同様、この車両X2と車両間通信装置500を介して通信可能となっている。
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る車線判別処理について説明する。ここに、図6は、車線判別処理のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、第2実施形態に係る車線判別処理は、第1実施形態に係る車線判別処理を支援する処理としての位置付けであり、第1実施形態に係る車線判別処理と並行して実施される。
図6において、ECU100は、自車線走行車両、即ち、車両10以外に中央車線LNCを走行する車両が有るか否かを判別する(ステップS201)。自車線走行車両が存在する場合(ステップS201:YES)、ECU100は、自車両たる車両10の速度パターンと、当該自車線走行車両(図6におけるC1、C2)の速度パターンとの類似度S3を演算する(ステップS202)。ステップS202は、本発明に係る「第3判定手段」に係る「第3類似度を判定する」動作の一例である。以下、この値を「第3類似度S3」と表現する。
ここで、第3類似度S3は、自車線走行車両の時間軸上における車速の推移(速度パターン)と、自車両たる車両10の時間軸上における車速の推移(速度パターン)との類似の度合いである。本実施形態において、第3類似度S3は、現時点から所定時間過去に遡った時間範囲における一定又は不定のサンプリング時刻毎に得られた、車両10の車速Vhと車両C1又はC2或いはその双方の車速との相関係数である。尚、第3類似度S3としては、相関係数に代えて平均二乗誤差が使用されてもよい。この場合、第3類似度S3が低い程両者が類似していることを意味する。
第3類似度S3が演算されると、ECU100は、第3類似度S3が第3閾値以上であるか否かを判別する(ステップS203)。第3類似度S3が第3閾値未満である場合(ステップS203:NO)、ECU100は、車両X2の車線判別を中止する(ステップS107)。
一方、第3類似度S3が第3閾値以上である場合(ステップS203:YES)、ECU100は更に、同一の他車線を走行する車両が複数存在するか否かを判別する(ステップS204)。同一の他車線を走行する車両が複数存在しない場合(ステップS204:NO)、ECU100は処理をステップS201へ戻す。尚、本実施形態では、図5に例示したように左車線LNLに3台の他車線走行車両(L2、L3及びL4)が存在する。
同一の他車線を走行する車両が複数存在する場合(ステップS204:YES)、ECU100は、これら他車線走行車両間の速度パターンの類似度S4を演算する(ステップS205)。ステップS205は、本発明に係る「第4判定手段」に係る「第4類似度を判定する」動作の一例である。以下、この値を「第4類似度S4」と表現する。
ここで、第4類似度S4は、複数の他車線走行車両相互間の時間軸上における車速の推移(速度パターン)の類似の度合いである。本実施形態において、第4類似度S4は、現時点から所定時間過去に遡った時間範囲における一定又は不定のサンプリング時刻毎に得られた、車両L2、L3及びL4の車速の相関係数である。尚、第4類似度S4としては、相関係数に代えて平均二乗誤差が使用されてもよい。この場合、第4類似度S4が低い程両者が類似していることを意味する。
第4類似度S4が演算されると、ECU100は、第4類似度S4が第4閾値以上であるか否かを判別する(ステップS206)。第4類似度S4が第4閾値未満である場合(ステップS206:NO)、処理はステップS201へ戻される。一方、第4類似度S4が第4閾値以上である場合(ステップS206:YES)、ECU100は、第1実施形態に係る車線判別処理における第1及び第2閾値を減少側へ補正する(ステップS207)。ステップS207が実行されると処理はステップS201へ戻される。第2実施形態に係る車線判別処理は以上のように実行される。
ここで、図7を参照し、第2実施形態に係る車線判別処理の効果について説明する。ここに、図7は、第2実施形態に係る車線判別処理の効果に係る各車両の速度パターンの概念図である。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、図7(a)は、車両10並びに自車線走行車両である車両C1及びC2の速度パターンを示した図である。この図では、車両10の速度パターンたる図示PRF_10(実線参照)、車両C1の速度パターンたる図示PRF_C1(破線参照)及び車両C2の速度パターンたる図示PRF_C2(二点鎖線参照)が夫々相互に大きく異なっており、これらの間の類似度が低い場合が示されている。
このように自車線を走行する自車両及び自車線走行車両相互間の速度パターンの類似度(第3類似度S3)が低い場合、第1類似度S1に基づいた車両X2の車線判別の信頼性は低くなる。何故なら、車両X2の速度パターンが車両10の速度パターンと大きく異なっていても、車両X2が自車線(ここでは、中央車線LNC)を走行している可能性を排除出来ないからである。本実施形態では、このような状況(即ち、第3類似度S3が第3閾値未満となる状況(ステップS203:NO))において、車両X2の車線判別が中止される。従って、車線不確定の通信車両である車両X2(他車両)に対する車線判別精度の低下を防止することが出来る。
一方、図7(b)は、複数の他車線走行車両である車両L2、L3及びL4の速度パターンを示した図である。この図では、車両L2の速度パターンたる図示PRF_L2(実線参照)、車両L3の速度パターンたる図示PRF_L3(破線参照)及び車両L4の速度パターンたる図示PRF_L4(二点鎖線参照)が夫々時間軸上のずれを除いて殆ど等しいものとなっており、これらの間の類似度が高い場合が示されている。
このように他車線を走行する複数の他車線走行車両相互間の速度パターンの類似度(第4類似度S4)が高い場合、第1類似度S1に基づいた車両X2の車線判別の信頼性は低くなる。何故なら、この場合、他車線を走行する車両の速度パターンにばらつきが少なく、未知の車両についても同様の速度パターンで走行しているとの推定が成立する。従って、例え第1類似度S1が大きくても、第2類似度S2が相応に大きければ、車両X2が他車線走行車両である可能性を排除出来ないからである。本実施形態では、このような状況(即ち、第4類似度S4が第4閾値以上となる状況(ステップS206:YES))において、第1類似度S1との比較に供される判別基準値S1thが厳格側(即ち、他車両が自車線走行車両であると判別され難くなる側)に変更される条件を規定する第1閾値及び第2閾値が減少側に補正され、判別基準値S1thが変更され易くなる。即ち、相対的に、判別基準が厳格化されることとなり、車線不確定の他車両に対する車線判別精度の低下を防止することが出来る。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う走行車線判別装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。