以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の遊技機の説明図である。
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。
また、ガラス枠15の上部には、内部にランプ及びモータを内蔵した照明装置(ムービングライト)16や払出異常報知用のランプ(LED)17が設けられている。また、ガラス枠15の左右には内部にランプ等を内蔵し装飾や演出のための発光をする枠装飾装置18や、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ(上スピーカ)19aが設けられている。さらに、前面枠12の下部にもスピーカ(下スピーカ)19bが設けられている。
また、前面枠12の下部には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21、遊技機10の裏面側に設けられている球払出装置から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿23及び打球発射装置の操作部24等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した演出ボタン25が設けられている。さらに、前面枠12下部右側には、前面枠12を開放したり施錠したりするための鍵26が設けられている。
この実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作部24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を遊技盤30前面の遊技領域32に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25を操作することによって、表示装置41(図2参照)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行わせることができる。
さらに、上皿21上方のガラス枠15の前面には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。
次に、図2を用いて遊技盤30の一例について説明する。図2は、本実施形態の遊技盤30の正面図である。
遊技盤30の表面には、ガイドレール31で囲われた略円形状の遊技領域32が形成されている。遊技領域32は、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33及びガイドレール31に囲繞されて構成される。遊技領域32には、ほぼ中央に表示装置41を備えたセンターケース40が配置されている。表示装置41は、センターケース40に設けられた凹部に、センターケース40の前面より奥まった位置に取り付けられている。即ち、センターケース40は表示装置41の表示領域の周囲を囲い、表示装置41の表示面よりも前方へ突出するように形成されている。
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当たり表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
遊技領域32のセンターケース40の左側には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。センターケース40の左下側には、三つの一般入賞口35が配置され、センターケース40の右下側には、一つの一般入賞口35が配置されている。
これら一般入賞口35、…には、各一般入賞口35に入った遊技球を検出するための球検出手段としての入賞口スイッチ35a〜35n(図3参照)が配設されている。
また、センターケース40の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える始動入賞口36が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の可動部材37b、37bを備えるとともに内部に第2始動入賞口を有する普通変動入賞装置(普電)37が配設されている。
普通変動入賞装置37の一対の開閉部材37b,37bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、普通変動入賞装置37の上方には、始動入賞口36が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。
そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド37c(図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置37に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
さらに、普通変動入賞装置37の下方には、特図変動表示ゲームの結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)38が配設されている。
特別変動入賞装置38は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉を有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。
即ち、特別変動入賞装置38は、例えば、駆動装置としての大入賞口ソレノイド38b(図3参照)により駆動される開閉扉によって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。
なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する球検出手段としてのカウントスイッチ38a(図3参照)が配設されている。
特別変動入賞装置38の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口39が設けられている。
また、遊技領域32の外側(例えば、遊技盤30の上部)には、特図変動表示ゲームをなす第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲーム及び普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを一箇所で実行する一括表示装置50が設けられている。
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器(LEDランプ)等で構成された第1特図変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特図1表示器)51及び第2特図変動表示ゲーム用の第2特図変動表示部(特図2表示器)52を備える。また、LEDランプで構成された普図変動表示ゲーム用の変動表示部(普図表示器)、同じくLEDランプで構成された各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部、遊技状態を報知する表示部、エラーを表示するエラー表示部、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置38の開閉回数)を表示するラウンド表示部などからなるLED表示部53が設けられている。
特図1表示器と特図2表示器における特図変動表示ゲームは、例えば変動表示ゲームの実行中、即ち、表示装置41において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、中央のセグメントを点滅駆動させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、はずれの結果態様として例えば中央のセグメントを点灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときは、当りの結果態様(特別結果態様)としてはずれの結果態様以外の結果態様(例えば「3」や「7」の数字等)を点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
本実施形態の遊技機10では、図示しない発射装置から遊技領域32に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域32内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域32を流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に入賞するか、遊技領域32の最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置200によって制御される払出ユニットから、前面枠12の上皿21又は下皿23に排出される。
一方、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するための非接触型のスイッチなどからなるゲートスイッチ34a(図3参照)が設けられており、遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aにより検出されて普図変動表示ゲームが行われる。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置37が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。この普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50のLED表示部53の始動入賞数報知用の記憶表示部に表示される。
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられたLED表示部53の変動表示部(普図表示器)で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当たりを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成しても良い。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置37の一対の可動部材37bが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開状態となる。これにより、普通変動入賞装置37の内部の第2始動入賞口へ遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当たり値であるときには、LED表示部53の普図表示器に表示される普通図柄が当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、普通変動入賞装置37は、内蔵されている普電ソレノイド37c(図3参照)が駆動されることにより、可動部材37bが所定の時間(例えば、0.3秒間)だけ開放する状態に変換され、遊技球の入賞が許容される。
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図3参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても表示される。
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、一括表示装置50に設けられた特図1表示器または特図2表示器(変動表示装置)で第1または第2特図変動表示ゲームを行う。
第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器若しくは特図2表示器の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様も特別結果態様となる。
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
なお、特図1表示器、特図2表示器は、別々の表示器でも良いし同一の表示器でも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように各特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置41も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。また、遊技機10に特図1表示器、特図2表示器を備えずに、表示装置41のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。
また、第2特図変動表示ゲームは、第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。即ち、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームの始動記憶がある場合であって、特図変動表示ゲームの実行が可能となった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
なお、特に限定されるわけではないが、上記始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ58や前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ59には、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
図3は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。
遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAMに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
この実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、即ち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、実施形態のように、電源装置400若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
上記バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111C及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
遊技用マイコン111は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段を構成している。具体的には、遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111B又はRAM111Cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターンテーブルを記憶している。
変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機10において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。
そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、スペシャル3リーチ、プレミアリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。即ち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定すると(はずれとなる場合)における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力して遊技機10全体の制御を行う。
また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当たり判定用乱数等を生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
また、CPU111Aは、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態或いは高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(通常動作状態或いは時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。
払出制御装置200は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、払出ユニットの払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置200は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
遊技用マイコン111の入力部120には、始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aが、中継端子基板80を介して接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでローレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換する近接スイッチ用インタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。
近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出する機能を有し、異常を検知すると異常信号を出力するように構成されている。近接I/F121には、かかる異常検出機能を実現するため、入力電圧と所定の判定レベルとしての参照電圧とを比較する電圧比較回路(コンパレータ)と、該電圧比較回路の判定結果を異常信号として出力する出力回路(ドライバ)とが設けられている。
図3の実施例では、近接I/F121の出力はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、即ち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
従って、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路112を設けずに直接遊技用マイコン111へ検出信号を入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aからの負論理の信号を直接遊技用マイコン111へ入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。上記のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
また、入力部120には、上記近接I/F121により変換された始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第2入力ポート122の他、第1入力ポート123が設けられている。
第2入力ポート122に保持されているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることでイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することによって、読み出すことができる。
第1入力ポート123には、遊技機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ56、振動センサスイッチ57、遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ58及び前面枠(遊技枠)12等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ59からの信号が中継端子基板80を介して、また払出制御装置200からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号が入力されている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
第1入力ポート123に保持されている各信号は第1入力ポート123に割り当てられているアドレスをデコードすることでイネーブル信号CE2をアサートすることによってデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるように構成されている。
また、入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦第1入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。
なお、リセット信号RSTは入力部120の各ポート122,123には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132とを備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。
また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を保証するために第1出力ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
一方、磁気センサスイッチ56や振動センサスイッチ57のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開成させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)38bや普通変動入賞装置37の可動部材37bを開成させるソレノイド(普電ソレノイド)37cの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機10に関する情報を外部情報端子79へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子79から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
さらに、出力部130には、第3出力ポート135から出力される大入賞口ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する第1ドライバ(駆動回路)138a、第3出力ポート135から出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する第2ドライバ138b、第4出力ポート136から出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する第3ドライバ138c、第5出力ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子79へ出力する第4ドライバ138dが設けられている。
上記第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ138cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ138bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子79へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ134や第3出力ポート135、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、即ち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。
さらに、出力部130には、外部の検査装置500へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置500との間でシリアル通信によってデータの送受信を行なえるように双方通信可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行なわれるため、入力ポート122,123のようなポートは設けられていない。
次に、図4を用いて、演出制御装置300の構成について説明する。
演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314を備えている。
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データ、コマンドリストが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音声ROM324が接続されている。
主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312の作業領域を提供するRAMは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップの外部に設けるようにしてもよい。
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行なわれ、映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行なわれるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)305や、画像データを描画処理するための描画回路306、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する表示回路308などが設けられている。VDP313については後に詳しく説明する。
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠12や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、主制御用マイコン(1stCPU)311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン(1stCPU)311とは別に映像制御用マイコン(2ndCPU)312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン(1stCPU)311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン(2ndCPU)312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくる演出制御コマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
なお、本実施形態においては、演出制御コマンドは16ビットで構成されており、これを8ビットのデータバスとストローブ信号SSBTで送信するため、16ビットの演出制御コマンドを8ビットの前半コマンド(MODE)と後半コマンド(ACTION)とに分けて、ストローブ信号SSBTを2度立ち上げることで送信し、受信側ではSSBの立ち上がりに同期してコマンドを取り込むようになっている。
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠12に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(例えば枠装飾装置18等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている盤演出装置(例えば表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物等)44を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠12に設けられているモータ(例えば前記ムービングライト16を動作させるモータ等)45を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332〜335は、アドレス/データバス304を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。
さらに、演出制御装置300には、前面枠12に設けられた演出ボタン25に内蔵されているスイッチ25aや上記盤演出装置44内のモータの初期位置を検出する演出モータスイッチのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336、前面枠12に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠12に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。
遊技制御装置100は、飾り特図変動表示ゲームが行われる場合に後述の変動コマンド(飾り図柄保留数コマンド、飾り図柄指定コマンド、変動パターンコマンド)を所定の順番で演出制御装置300へ送信する。そして、演出制御装置300は、当該変動コマンドを受信すると、1stCPU311の制御下にてコマンド解析を行い、当該解析の結果、飾り図柄1指定コマンド及び飾り図柄1保留数コマンドに基づく飾り図柄1パラメータ情報(飾り図柄情報及び保留数情報)は、2ndCPU312のRAMの飾り図柄1パラメータ情報格納領域に、また、飾り図柄2指定コマンド及び飾り図柄2保留数コマンドに基づく飾り図柄2パラメータ情報は、同RAMの飾り図柄2パラメータ情報格納領域に一時記憶されることとなる。
一方、上記変動コマンドのうち変動パターンコマンドについても、1stCPU311によりコマンド解析が行われることとなる。当該解析の結果、変動パターンコマンドは、2ndCPU312へ送信され、2ndCPUの制御下にて、飾り図柄1又は2パラメータ情報格納領域から飾り図柄1又は2パラメータ情報を読み出して、VDPにて飾り特図変動表示ゲームにおける画像処理が行われ、表示装置41にて飾り特図変動表示ゲームにおける図柄の変動表示が行われることとなる。
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン(1stCPU)311や映像制御用マイコン(2ndCPU)312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、ランプやモータなどを駆動制御する制御回路332〜335、スピーカを駆動するアンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、この実施形態においては、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
次に、遊技制御装置100において行われる遊技制御について説明する。
遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。そして、LED表示部53において、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、LED表示部53に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の開閉部材37b、37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。
なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、LED表示部53に、はずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。
また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御情報(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、一括表示装置50の特図1表示器や特図2表示器に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
また、演出制御装置300は、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
さらに、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、特図1表示器や特図2表示器に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。
特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉を開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。
また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器や特図2表示器にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として確変状態を発生可能となっている。
この確変状態は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態に比べて高い状態(高確率状態)である。また、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき確変状態となっても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの両方が確変状態となる。
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として時短状態を発生可能となっている。
この時短状態においては、普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御を行う。具体的には、時短状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間が第1の変動表示時間よりも短い第2の変動表示時間となるように制御され(例えば、10秒が1秒)、これにより、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放回数が実質的に多くなるように制御される。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、開放時間が通常状態の第1開放時間よりも長い第2開放時間となるように制御される(例えば、0.3秒が1.7秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数が1回の第1開放回数ではなく、2回以上の複数回(例えば、3回)の第2開放回数に設定される。
なお、普図変動表示ゲームの実行時間を第2の変動表示時間(例えば、1秒)とする制御と、普通変動入賞装置37の開放態様を開放時間が第2開放時間(例えば、1.7秒)とし、且つ、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対する開放回数が第2開放回数(例えば、3回)とする制御は、何れか一方のみを行っても良いし、両方を行っても良い。また、時短動作状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率が通常動作状態より高くなるように制御してもよい。
これにより、普通変動入賞装置37に遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
なお、確変状態と普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37の時短動作状態は、それぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし、一方のみを発生させることも可能である。
以下、上記のような遊技制御を実行する上記遊技制御装置100の遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)111によって実行される処理について説明する。遊技用マイコン111による制御処理は、主に図5及び図6に示すメイン処理と、所定時間周期(例えば4msec)で行われる図7に示すタイマ割込み処理とからなる。
〔メイン処理〕
先ず、メイン処理について説明する。メイン処理は、電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、図5に示すように、まず、割込み禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS4)を行う。
次に、払出制御装置(払出基板)200のプログラムが正常に起動するのを待つため例えば4msecの時間待ちを行う(ステップS5)。これにより、電源投入の際に仮に遊技制御装置100が先に立ち上がって払出制御装置200が立ち上がる前にコマンドを払出制御装置200へ送ってしまい、払出制御装置200がコマンドを取りこぼすのを回避することができる。その後、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ:RAM111C)のアクセス許可をし、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(ステップS6,S7)。また、シリアルポート((遊技用マイコン111に予め搭載されているポート)この実施形態では、払出制御装置200や演出制御装置300とパラレル通信を行っているため使用しない)を使用しない状態に設定する処理を行う(ステップS8)。
続いて、電源装置400内の初期化スイッチがオンしているか否か判定する(ステップS9)。ここで、初期化スイッチがオフ(ステップS9;No)と判定すると、RWM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックし(ステップS10)、正常であれば(ステップS11;Yes)、RWM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックする(ステップS12)。次に、停電検査領域2の値が正常であれば(ステップS13;Yes)、RWM内の所定領域のチェックサムを算出し(ステップS14)、算出されたチェックサムと電源断時のチェックサムを比較して(ステップS15)、一致するかを判定する(ステップS16)。そして、一致する場合(ステップS16;Yes)は、図6のステップS17へ移行し、停電から正常に復旧した場合の処理を行う。
また、初期化スイッチがオン(ステップS9;Yes)と判定された場合や、停電検査領域のチェックデータが正常なデータでないと判定された場合(ステップS11;NoもしくはステップS13;No)、チェックサムが正常でない(ステップS16;No)と判定された場合は、図6のステップS24へ移行して初期化の処理を行う。
図6のステップS17では全ての停電検査領域をクリアし、チェックサム領域をクリアして(ステップS18)、エラーや不正監視に係る領域をリセットする(ステップS19)。次に、RWM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態であるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、高確率でない(ステップS20;No)と判定した場合は、ステップS21,S22をスキップしてステップS23へ移行する。
また、ステップS20で高確率である(ステップS20;Yes)と判定した場合は、高確率報知フラグ領域にON情報をセーブし(ステップS21)、例えば一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(エラー表示器)のON(点灯)データをセグメント領域にセーブする(ステップS22)。そして、後述の特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する電源復旧時のコマンドを演出制御装置300へ送信する処理(ステップS23)を行ってステップS29へ進む。
一方、ステップS9、S11、S13、S16からステップS24へジャンプした場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域をクリアし(ステップS24)、アクセス禁止領域より後の全スタック領域をクリアして(ステップS25)、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS26)。そして、RWMクリアに関する外部情報を出力する期間の時間値を設定し(ステップS27)、電源投入時のコマンドを演出制御装置300へ送信して(ステップS28)、ステップS29へ進む。ステップS29では、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動する処理を行う。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン111内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、分周された信号に基づいてCPU111Aに対して所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号及び乱数生成回路へ供給する乱数更新のトリガを与える信号CTCを発生するCTC回路とを備えている。
上記ステップS29のCTC起動処理の後は、乱数生成回路を起動設定する処理を行う(ステップS30)。具体的には、乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)へ乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)の設定などがCPU111Aによって行われる。それから、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数(大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図の当たりを決定する乱数(当り乱数))の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブしてから(ステップS31)、割込みを許可する(ステップS32)。本実施形態で使用するCPU111A内の乱数生成回路においては、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変わるように構成されているため、この値を各種初期値乱数の初期値(スタート値)とすることで、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことができ、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。
続いて、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理(ステップS33)を行う。なお、本実施形態においては、特に限定されるわけではないが、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数(大当り乱数)を使用して生成するように構成されている。つまり、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。
上記ステップS33の初期値乱数更新処理の後、電源装置400から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS34)、停電監視信号がONであるかの判定を行う(ステップS35)。停電監視信号がONでない場合(ステップS35;No)は、初期値乱数更新処理(ステップS33)に戻る。すなわち、停電が発生していない場合には、初期値乱数更新処理と停電監視信号のチェック(ループ処理)を繰り返し行う。初期値乱数更新処理(ステップS33)の前に割り込みを許可する(ステップS32)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると割込み処理が優先して実行されるようになり、タイマ割込みが初期値乱数更新処理によって待たされることで割込み処理が圧迫されるのを回避することができる。
なお、上記ステップS33での初期値乱数更新処理は、メイン処理のほか、タイマ割込み処理の中においても初期値乱数更新処理を行う方法もあり、そのような方法を採用した場合には両方で初期値乱数更新処理が実行されるのを回避するため、メイン処理で初期値乱数更新処理を行う場合には割込みを禁止してから更新して割込みを解除する必要があるが、本実施形態のようにタイマ割込み処理の中での初期値乱数更新処理はせず、メイン処理内のみにした場合には初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても何ら問題はなく、
それによってメイン処理が簡素化されるという利点がある。
また、停電監視信号がONである場合(ステップS35;Yes)は、ステップS34で設定したチェック回数分停電監視信号のON状態が継続しているかを判定する(ステップS36)。そして、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続していない場合(ステップS36;No)は、停電監視信号がONであるかの判定(ステップS35;Yes)に戻る。また、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続している場合(ステップS36;Yes)、すなわち、停電が発生していると判定した場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS37)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS38)を行う。
その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS39)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS40)。さらに、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS41)、チェックサムをセーブする処理(ステップS42)を行った後、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS43)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ。このように、停電復旧検査領域にチェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判断することができる。
〔タイマ割込み処理〕
次に、タイマ割込み処理について図7のフローチャートを用いて説明する。
図7に示すタイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、まず所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すレジスタ退避の処理(ステップS51)を行う。なお、本実施形態において遊技用マイコンとして使用しているZ80系のマイコンでは、当該処理を表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避することで置き換えることができる。次に、各種センサ(始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、カウントスイッチ38aなど)からの入力の取込み、即ち、各入力ポートの状態を読み込む入力処理(ステップS52)を行う。それから、各種処理でセットされた出力データに基づき、ソレノイド(大入賞口SOL38b、普電SOL37c)等のアクチュエータの駆動制御などを行うための出力処理(ステップS53)を行う。
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置300や払出制御装置200等に出力するコマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a…35n、カウントスイッチ38aからの信号の入力があるか否かの監視を行い、各スイッチに対応する入賞球カウンタを更新するスイッチ監視処理(ステップS57)を行う。また、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS58)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS59)を行う。
次に、遊技機10に設けられ、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDを所望の内容を表示するように駆動するセグメントLED編集処理(ステップS60)、球検出スイッチとしての入賞口スイッチ35a〜35nやカウントスイッチ38a等からの検出信号をチェックして異常がないか判定するエラー監視処理(ステップS61)を行う。それから、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS62)を行う。続いて、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する処理(ステップS63)を行い、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰する処理(ステップS64)を行った後、割込みを許可する処理(ステップS65)を行って、タイマ割込み処理を終了する。なお、エラー監視処理については、後に図16を用いて詳しく説明する。
〔入力処理〕
次に、上述のタイマ割込み処理における入力処理(ステップS42)の詳細について説明する。
図8(A)に示すように、入力処理においては、先ず入力ポート1、即ち、第1入力ポート123に取り込まれたスイッチの検出信号の状態を読み込むためのパラメータの準備(ステップS421)を行ってから、スイッチ読込処理を行う(ステップS422)。
続いて、入力ポート2、即ち、第2入力ポート122に取り込まれた信号の状態を読み込むためのパラメータの準備(ステップS423)を行なってから、スイッチ読込み処理(ステップS424)を実行する。このように、入力ポート1の信号を読み込んでから入力ポート2の信号を読み込むため、ディレイが生じることとなる。
〔スイッチ読込み処理〕
次に、上述の入力処理におけるスイッチ読込み処理(ステップS422,S424)の詳細について説明する。
図8(B)に示すように、スイッチ読込み処理においては、先ずステップS422またはS424にて準備されたパラメータで指定された入力ポート、即ち、第1入力ポート123または第2入力ポート122に取り込まれた信号の状態を読み込む(ステップS251)。そして、8ビットのポートのうち未使用ビットがあればそのビットの状態をクリアする(ステップS252)。続いて、読み込まれた入力ポート1または入力ポート2の状態をRWM内のスイッチ制御領域1または2のポート入力状態1にセーブ(格納)する(ステップS253)。それから、2回目の読込みまでのディレイ時間(0.1ms)が経過するのを待つ(ステップS254)。
ディレイ時間(0.1ms)が経過すると、第1入力ポート123または第2入力ポート122に取り込まれた信号の状態の2回目の読込みを行う(ステップS255)。そして、8ビットのポートのうち未使用ビットがあればそのビットの状態をクリアする(ステップS256)。続いて、読み込まれた入力ポート1または入力ポート2の状態をスイッチ制御領域1または2のポート入力状態2にセーブ(格納)する(ステップS257)。それから、1回目と2回目の読込みで変化したビット、即ち、信号を検出する(ステップS258)。
その後、今回の2回の読込み、即ち、ステップS251〜S258の処理で確定できるビットを抽出する(ステップS259)。一方、2回の読込みでは確定できないビットについては前回の割込み時におけるスイッチ読込み処理で読み込んだ値を抽出する(ステップS260)。これにより、スイッチのチャタリング等によるノイズを除去した信号の状態を得ることができる。次に、ステップS259とS260で抽出した値を合成して、今回の読込み処理の確定状態としてRWMにセーブする(ステップS261)。その後、確定状態がハイレベルに変化したビットを検出して、対応する信号の立上りエッジの検出としてRWMにセーブして、スイッチ読込み処理を終了する(ステップS262)。
なお、スイッチの読込みは、タイマ割込みの周期が短い場合(例えば2ms)には、各割込みの処理ごとにそれぞれ1回ずつスイッチの読込みを行なって前回の読込みの結果と比較することで信号が変化したか否か判定する方法があるが、そのようにすると次の割込み処理までに前回の割込みで読み込んだスイッチの状態が失われた場合、正しい判定が行なえないおそれがある。これに対し、本実施例のように、所定の時間差をおいて1回の割込み処理の中で2回のスイッチ読込み処理を行うことで、上記のような不具合を回避することが可能となる。
次に、本実施形態の遊技機に使用される球検出スイッチについて、図9を用いて説明する。本実施例の球検出スイッチ60は、磁性体からなる遊技球による磁界の変化を検出するコイルを備えた磁気近接センサであり、図9(A)に示すように、磁性体が近傍に存在するかしなかでインダタンス値Lが変化するコイル61と、該コイル61のインダタンス値Lの変化を検出する検出回路62と、検出回路62の電源電圧端子と接地端子とが接続された外部端子としてのV+端子63およびV−端子64と、これらの端子63と94との間に直列に接続されたツェナーダイオード65およびトランジスタ66とを備え、これらの部品が樹脂製のパッケージに封入されてなる。
ツェナーダイオード65は、そのツェナー電圧Vzによって検出回路62が動作するのに必要な最小動作電圧を保証するための素子である。検出回路62は、コイル61とともにLC共振型の発振回路を形成する回路と、該発振回路が発振しているか否かを検出する例えばローパスフィルタなどからなる発振検出回路とから構成することができる。また、発振検出回路62は、コイル61の近傍に磁性体すなわ遊技球が存在しない場合にはハイレベルの信号を出力し、遊技球が存在する場合にはローレベルの信号を出力するようにされる。そして、検出回路62の出力が上記トランジスタ66のベース端子に印加され、検出回路62の出力に応じてトランジスタ66がオン状態またはオフ状態にされる。
図9(A)から分かるように、トランジスタ66はコレクタがダイオード65を介してV+端子63に接続されたオープンコレクタのトランジスタである。従って、この実施例の近接センサは、V+端子63がプルアップ抵抗67を介して、電源電圧端子Vswに接続される。これにより、検出回路62がコイル61の近傍に遊技球が存在しないことを検出してハイレベルの信号を出力すると、トランジスタ66がオン状態にされてプルアップ抵抗67が大きな電流を引き込み、それによってV+端子63の電位は低くなっている。
そして、検出回路62がコイル61の近傍に遊技球が存在することを検出してローレベルの信号を出力すると、トランジスタ66がオフ状態にされてプルアップ抵抗67に流れる電流が減少し、それによってV+端子63の電位は高くなる。これにより、センサの端子間電圧Voutは、図9(C)に示すように、遊技球の有無に応じて変化することとなる。よって、制御装置によりセンサの端子間電圧Voutを監視すれば、遊技球の有無すなわち接近/離反を検知することができる。
なお、プルアップ抵抗67の抵抗値Rpは、トランジスタ66がオン状態にされたときにV+端子63へ流れ込む電流をIHiとすると、そのときの抵抗67の電圧降下すなわちIHi・RpによるV+端子63の電位(=Vsw−IHi・Rp)が、所定の判定レベルVLよりも低くなるように設定される。また、トランジスタ66がオフ状態にされたときにV+端子63へ流れ込む電流(=検出回路62の動作電流)をILoとすると、判定レベルVHはそのときの抵抗67の電圧降下すなわちILo・Rpにより生じるV+端子63の電位(=Vsw−ILo・Rp)よりも低い値に設定される。
次に、上記のような特性を有する近接スイッチの出力電圧Voutを利用した本実施形態の遊技機におる判定方法について、図10および図11を用いて説明する。図10および図11は、上述した近接スイッチからの信号を受ける回路の入力電圧Vinの電位と、各種判定レベルを示したものである。
上述した近接スイッチからの信号を受ける回路(例えば図3の近接I/F121)側の判別動作においては、“玉無し”を検出するための判定レベルVLと“球有り”を検出するための判定レベルVHの他に、判定レベルVHよりも高く電源電圧Vswよりも低い電位の断線判定レベルVopと、V+端子とV−端子との間の短絡を検出するための短絡判定レベルVshが設けられている。電源電圧Vswを例えば12Vとした場合、Vopは11.5V、VHは10V、VLは7.0V、Vshは4.0Vのような値に設定される。
具体的には、例えば図9の符号Aで示すような箇所で断線が発生したとすると、近接スイッチ60内の検出回路62やトランジスタ66へは電流が流れ込まないため、判別回路(近接I/F121)の入力インピーダンスが高いとプルアップ抵抗67にはほとんど電流が流れないこととなる。そのため、判別回路(近接I/F121)の入力電圧Vinは図10(A)の期間T2のように、電源電圧Vswに近い電位となるので、“球有り”判定レベルVHよりも高い断線判定レベルVopを設けることで、断線状態を検知することができる。
また、V+端子とV−端子との間で短絡が発生したとすると、判別回路(近接I/F121)の入力電圧Vinは、図10(A)の期間T3のように、接地電位GND(0V)に近い電位となるので、“球無し”判定レベルVLよりも低い断線判定レベルVshを設けることで、短絡状態を検知することができる。なお、図10(A)の期間T1は球有り検出状態での入力電圧Vinの電位、期間T1,T2,T3以外はセンサ正常時の球無し検出状態での入力電圧Vinの電位である。
なお、本実施形態において、球有り検出状態での入力電圧Vinの電位をハイレベルに設定しているのは、以下のような理由による。すなわち、カミナリ等の影響で電源電圧が瞬間的に下がった場合(以下、電源瞬断と称する)を考えたときに、仮に球有り検出状態の電位がローレベルであったとすると、センサ(近接スイッチ)の出力のローレベルへの変化は非常に速いため、電源瞬断により電圧が下がった時に球有りと判定しまうおそれがある。これに対し、球有り検出状態の電位がハイレベルに設定されていると、仮に電源瞬断により電源電圧が一時的に下がってセンサ(近接スイッチ)の出力のローレベルへ変化したとしても、これを球有りと判定することはないためである。
また、オープンコレクタの出力形式において、球有り検出状態の電位がハイレベルに設定されていると、電源電圧にノイズが乗ったとしても、プルアップ抵抗67の時定数により信号線L1の電位は急には上昇しないので、ノイズにより誤って球有りと判定しまうこともない。つまり、論理を逆にして球有り検出状態の電位をローレベルに設定することも可能であるが、そのようにすると、信号線L1の電位の立ち下がり方向への変化に対してはプルアップ抵抗の時定数が働かなくなるため、ノイズにより入力電圧Vinがローレベルに向かって変化し易くなり誤検出の可能性が高くなるが、球有り検出状態の電位がハイレベルに設定することでそのような不具合を回避することができる。
次に、コネクタの半差しによる誤動作とその防止対策について説明する。従来より遊技機においては、近接スイッチの検出信号を伝達する信号線としてのケーブル端部は、コネクタを介して基板に接続されていた。そのため、図9(A)のようなプルアップ抵抗を基板に設けているシステムでは、コネクタが半差し状態になっていると、通常は端子が離れたときに断線と同じ状態になって上記断線判定レベルVopによって検知されるが、端子が離れている時間が短いと、図10(B)に示す期間T4のように、球有り”判定レベルVHを超えるものの断線検知レベルVopは超えないような波形となることがある。そして、このような波形の信号が入力されると、制御基板は誤って複数の球検出信号が入力されたと判定し、複数の球払出し指令信号を出力してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態においては、後述のように、上記プルアップ抵抗を備え近接スイッチの検出信号を伝達する信号線としての第1ケーブルが接続される中継端子基板を設け、該中継端子基板を介して制御装置側へ信号を伝送する信号線としての第2ケーブルが接続される制御基板にプルダウン抵抗を設けることとした。これにより、第2ケーブルのコネクタが半差し状態になったとしても、判別回路(図3の近接I/F121)の入力電圧Vinは、図10(B)に示す期間T5のように、短絡判定レベルVshを横切る波形となり“球無し”判定レベルVLを繰り返し横切るような波形とはならないため、誤って球有り検出信号と判定してしまうのを防止できるとともに、短絡判定レベルVshを横切る波形となることにより異常と判定することもできるようになる。
なお、第1ケーブルのコネクタは、もともと半差し状態になりにくいとともに、中継端子基板を制御基板の背部に設けることでわざと半差し状態にする不正行為も困難にすることで、図10(B)に示す期間T4のような波形が生じにくいようにすることができる。従って、上記のように第2ケーブルのコネクタが半差し状態になることにより、誤って球有り検出信号と判定してしまうのを防止する対策が有効となる。その理由については、後の具体例の中で説明する。
次に、本実施形態における電波ゴトによる不正とその防止対策について説明する。従来より電波ゴトによる不正を防止するため、不正電波を検出するセンサを設けているものがある。しかし、上記のような近接スイッチおよび球検出方式を採用し球検出スイッチから信号に基づいて球有りを検知する判別回路においては、近接スイッチに向けて電波を照射すると、判定回路に入力される信号のレベルが前記断線検知レベルVopを超えるため、不正電波を検出するセンサを設けなくても不正を検知することができる。
しかし、不正電波の照射時間が短いと、図11に示すように、判定回路に入力される信号のレベルが前記“球有り”判定レベルVHを超えるものの断線検知レベルVopは超えないような信号が生成されてしまい、このような短時間の電波照射を繰り返し行うと、たまたま検出タイミングt0と一致した時に、球有りとして検知されてしまうおそれがあることが分かった。そこで、本実施形態においては、後に説明するように、球検出スイッチからの信号のデータが入力される入力ポートおよびそのポートのデータの読込みタイミングを工夫することによって、上記のような完結的な不正電波照射が行われたとしても異常な検出信号であると判定できるようにした。
以下、コネクタの半差しによる誤動作防止対策と電波ゴトによる不正防止対策を施した具体的な実施例について説明する。
図12は、球検出スイッチの接続方式と検出信号の検知方式の第1の実施例を示した回路図である。図12において、符号60a,60b……60hが付されているのが上述した構成を有するオープンコレクタ出力の近接スイッチを使用した球検出スイッチ、80は中継端子基板であり、各球検出スイッチ60a,60b……60hは各々独立したケーブル71a,71b……71hによって中継端子基板80に接続され、さらに複数の信号線を有する第2のケーブル72によって遊技制御装置100に接続されている。
スイッチ側のケーブルとして独立したケーブル71a,71b……71hを使用しているのは、各球検出スイッチ60a,60b……60hがそれぞれ遊技盤の別個の位置に設けられているためである。本実施例においては、中継端子基板80上に上記ケーブル71a,71b……71hの終端のコネクタ73a,73b……73hと接続可能なコネクタ81a,81b……81hと、前記第2ケーブル72の始端側のコネクタ74が接続可能なコネクタ82と、コネクタ81a,81b……81hとコネクタ82とを接続するプリント配線からなる信号線83a,83b……83hと、各コネクタに接地電位を印加するグランド線84a,84bが設けられている。
第2ケーブル72の始端側のコネクタ74と中継端子基板80上のコネクタ82は、複数の信号に共通の一体型のコネクタである。一体型のコネクタを使用しているのは、別々のコネクタとする場合よりも接続作業が容易であるためである。ただし、このような一体型のコネクタを使用すると、コネクタ81a,81b……81hのような独立したコネクタを使用する場合に比べて、挿入抵抗が大きいため半差し状態を生じ易いという不具合がある。そこで、本実施例では、半差し状態を検出可能とするため、上記中継端子基板80に、各信号線83a,83b……83hと電源電圧端子VSWとの間に接続されたプルアップ抵抗Rp1,Rp2……Rp8が設けられている。なお、このプルアップ抵抗Rp1,Rp2……Rp8は、従来は遊技制御装置100側に設けられていた。
また、遊技制御装置100の基板上には、上記第2ケーブル72の終端端側のコネクタ77と接続可能な一体型のコネクタ94が設けられ、該コネクタ94と近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121の入力端子A1,A2……A8とを接続するプリント配線からなる信号線91a,91b……91hが設けられている。そして、各信号線91a,91b……91hと接地端子GNDとの間に接続されたプルダウン抵抗Rd1,Rd2……Rd8が設けられている。
さらに、遊技制御装置100の基板上には、入力ポート122,123(図3参照)を構成するICが実装されており、上記近接I/F121の出力端子Y1,Y2……Y8と入力ポート122の入力端子A1,A2……A8とを接続するプリント配線からなる信号線92a,92b……92hが設けられている。従って、上記近接I/F121は検出情報伝達手段として機能する。また、近接I/F121は入力信号の異常を検出する機能と、異常を知らせる信号を出力するエラー端子Eを備えており、該エラー端子Eと入力ポート123の入力端子A1とを接続する信号線92iが設けられている。そして、近接I/F121の出力はオープンコレクタであるため、信号線92a,92b……92iと電源電圧端子Vccとの間に接続されたプルアップ抵抗群PR3が設けられている。
さらに、入力ポート123の入力端子A2,A3……A8に、図示しない他の検出スイッチ(図3の前枠開放検出スイッチ58等)からの信号を入力するための信号線93a,93b……93hも設けられている。なお、入力ポート122,123の各出力端子Y1,Y2……Y8はデータバス140の信号線と接続され、遊技用マイコン111のCPU111A(図3)がデータバス140を介して各ポートのデータを読み出すことができるようにされている。CE1,CE2は、入力ポート122,123に割り当てられたアドレスをデコードすることによって生成されるチップイネーブル信号であり、該チップイネーブル信号が有効レベルにされたIC(ポート)がデータバス140上へデータを出力するように制御される。なお、特に限定されるわけではないが、球検出スイッチ60にはTL−PP153、近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121には2STB155PP、入力ポート122、123には74HC244等を用いることが考えられる。
上述したように、本実施例においては、中継端子基板80にプルアップ抵抗Rp1,Rp2……Rp8が設けられ、遊技制御装置100の基板上にプルダウン抵抗Rd1,Rd2……Rd8が設けられているため、第2ケーブル72の始端側のコネクタ74または終端端側のコネクタ77が半差し状態になったり不正により半差し状態にされたとしても、判別回路としての近接I/F121の入力電圧Vinは、図10(B)に示す期間T5のように、“球無し”判定レベルVLよりも低い短絡判定レベルVshを横切る波形となるため異常と判定することもできるようになる。また、第2ケーブル72において断線があった場合にも、近接I/F121の入力電圧Vinが接地電位になることによって異常を判定することができる。
従って、上記実施例には、入賞口が設けられた遊技領域と、前記入賞口への遊技球の入賞に応じて遊技者に特定の遊技価値を付与する遊技制御装置とを有する遊技機において、
前記入賞口に入賞した遊技球を検出すると所定範囲の電圧レベルを出力する球検出手段と、前記球検出手段と前記遊技制御装置との間で信号の中継を行う中継基板と、を備え、
前記遊技制御装置は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、前記球検出手段から出力される電圧レベルに基づいて前記入賞口に遊技球が入賞したか否かを特定可能な入賞信号を前記遊技制御手段に出力する検出情報伝達手段と、を含み、前記球検出手段と前記遊技制御手段とを接続する信号配線には、前記球検出手段に所定の電圧を印加するためのプルアップ抵抗を接続し、前記中継基板と前記検出情報伝達手段とを接続する信号配線には、前記遊技制御装置と前記中継基板との間の電気的な接続が切断された場合に、前記検出情報伝達手段に入力される電圧レベルを遊技球が非検出となる電圧レベルに保持するためのプルダウン抵抗を接続し、前記プルアップ抵抗を前記中継基板に配置するとともに、前記プルダウン抵抗を前記遊技制御装置に配置するようにした発明が含まれることが分かる。
そして、上記のような発明によれば、中継基板と検出情報伝達手段とを接続する信号配線には、前記遊技制御装置と前記中継基板との間の電気的な接続が切断された場合に、前記検出情報伝達手段に入力される電圧レベルを遊技球が非検出となる電圧レベルに保持するためのプルダウン抵抗を接続しているため、入賞口に入賞した遊技球を検出する球検出手段からの配線等に接触不良や断線が発生した場合でも、遊技制御手段へ誤った遊技球の入賞検出信号が入力されることがないので、誤った遊技価値の付与が行われないようにすることができるとともに、球検出センサの信号線を操作して遊技価値としての遊技球の払い出しを受けるゴト行為を防止することができる。
図13には、上記第1実施例の第1の変形例が示されている。この第1変形例は、図12の実施例において、近接I/F121のエラー端子Eから出力される異常信号を入力ポート123の入力端子A1へ入力しているものを、入力ポート122の入力端子A8へ入力するように構成したものである。このように、球検出スイッチ60a,60b……60gからの検出信号が伝送される入力ポートと同じ入力ポート122に、近接I/F121から出力される異常信号を入力することで、データバスを介したCPUによる信号の状態の読込みタイミングと近接I/F121から出力される異常信号の状態の読込みタイミングとが同じになる。その結果、電波ゴトによる不正をより検知し易くなるという利点がある。
すなわち、近接I/F121からの異常信号が入力ポート123の入力される図12の実施例においては、図14(A)に示すように、入力ポート122と入力ポート123の読込みタイミングt1,t2が異なるため、球の検出信号と異常信号の読込みタイミングも異なり、不正な電波を入力ポート122の読込みタイミングt1の前後に渡って照射し、入力ポート123の読込みタイミングt2では不正な電波を照射しないようにすることによって、エラーとして検知されるのを回避することができる。なお、球検出信号の読込みは、図7のタイマ割込み処理の入力処理S52で実行されるので、入力ポートの読込みタイミングはタイマ割込みのクロックと呼応して周期的に発生する。
これに対し、図13の第1変形例においては、異常信号を球の検出信号と同じ入力ポートへ入力しているため、図14(B)に示すように、球の検出信号の読込みタイミングと異常信号の読込みタイミングが同じになるため、不正な電波を近接スイッチへ照射して球検出信号を出力されたとしてもエラーとして検知され、賞品球が払い出されるのを防止することができる。なお、この変形例における入力ポート122へ入力可能な球検出信号の数は、図12の実施例における入力ポート122へ入力可能な球検出信号の数よりも1つ少なくなる。
従って、上記実施例には、検出情報伝達手段としての近接I/F121は、球検出手段と電気的に接続された信号配線から入力される電圧レベルに基づいて異常を検出可能であり異常を検出した場合に異常信号を出力する機能を備え、遊技制御装置は、遊技制御手段からの指示に基づいて、入力された複数の信号を前記遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路を備え、前記検出情報伝達手段から出力される前記異常信号と前記入賞信号は同一の入力ポート回路に入力されるように構成され、前記遊技制御手段は、前記入賞信号と前記異常信号とを前記同一の入力ポート回路から同一タイミングで取得する発明が含まれる。
そして、上記発明によれば、遊技制御装置が複数の入力ポート回路を備える場合にも、前記検出情報伝達手段から出力される前記異常信号と前記入賞信号は同一の入力ポート回路に入力され、遊技制御手段は、入賞信号の検出と同期して異常信号(検出SW異常)を検出するように構成されているので、球検出手段または信号伝送路の異常によって発生した入賞信号を確実に検出することができる。また、これによって、誤った遊技価値の付与が行われないようにすることができるとともに、球検出センサの信号線を操作して遊技価値としての遊技球の払い出しを受けるゴト行為を防止することができる。
図15には、上記第1実施例の第2の変形例が示されている。この第2変形例は、図12の実施例において、近接I/F121のエラー端子Eから出力される異常信号を入力ポート123の入力端子A1へ入力しているものを、入力ポート122の入力端子A8と入力ポート123の入力端子A8の両方へ入力するように構成したものである。この変形例も第1変形例と同じように、球検出スイッチ60a,60b……60gからの検出信号が伝送される入力ポートと同じ入力ポート122に近接I/F121から出力される異常信号を入力することで、データバスを介したCPUによる信号の状態の読込みタイミングと近接I/F121から出力される異常信号の状態の読込みタイミングとが同じになり、電波ゴトによる不正をより検知し易くなるという利点がある。
また、近接I/Fを介さない他の検出スイッチからの信号が入力される入力ポート123にも近接I/F121から出力される異常信号が入力されることで、不正行為や異常による検出信号をより検知し易くなるという利点がある。さらに、近接I/F121から出力される異常信号を入力ポート122と123の同一の入力端子でA8に入力しているため、入力ポート122と123に関する異常信号の監視処理を簡略化することができ、プログラムの規模を小さくすることができるという利点もある。
従って、上記実施例には、検出情報伝達手段としての近接I/F121から出力される信号には複数の前記球検出手段に対応した複数の入賞信号が含まれ、前記検出情報伝達手段から出力される前記入賞信号を複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記入賞信号が伝達される全ての入力ポート回路に前記異常信号を伝達するようにし、遊技制御手段としての遊技用マイコン111は、前記入力ポート回路毎に前記入賞信号と前記異常信号とを同一タイミングで取得するようにした発明が含まれる。
そして、上記発明によれば、遊技制御装置の複数の入力ポートへ球検出手段からの入賞信号が伝達されるような場合でも、入賞信号が伝達される全ての入力ポート回路に検出情報伝達手段から出力される異常信号が伝達されるため、入賞信号の検出と同期して異常信号(検出SW異常)が検出されることとなるので、球検出手段または信号伝送路の異常によって発生した入賞信号を確実に検出することができる。よって、また、これによって、誤った遊技価値の付与が行われないようにすることができるとともに、球検出センサの信号線を操作して遊技価値としての遊技球の払い出しを受けるゴト行為を防止することができる。
図16には、遊技制御装置の遊技用マイコン111によって実行される図7のタイマ割込み処理内のエラー監視処理S61の具体的な手順の一例が示されている。
このエラー監視処理においては、先ず繰り返し数を「2」に設定する(ステップS611)。次に、入力ポート122と123のそれぞれの入力信号の状態を示すデータを格納するためRAM内に割り当てられているスイッチ制御領域(図8のステップS422,S424で読み込まれたポートの立ち上がりエッジが記憶されている)の先頭アドレスを設定する(ステップS612)。それから、先頭アドレスを設定したスイッチ制御領域に対応する入力ポートの値を取得し(ステップS613)、取得した値とバイナリコード“10000000”との論理積をとることで上記A8の入力である異常検出ビットY8を抽出する(ステップS614)。その後、異常があるか否か判定する(ステップS615)。
ステップS615の判定で、異常なし(=No)と判定されるとステップS616へ移行して、ステップS612で設定したスイッチ制御領域のアドレスを更新(+1)し、ステップS611で設定した繰り返し回数を減算(−1)する(ステップS617)。
次のステップS618では、繰り返し数が「0」になったか否か判定し、「0」でない(=No)と判定した場合はステップS613へ戻って上記処理を繰り返し、「0」である(=Yes)と判定した場合は当該エラー監視処理を終了する。なお、繰り返し数が「2」の時に入力ポート1の監視が、また繰り返し数が「1」の時に入力ポート2の監視が行われる。
一方、ステップS615で、異常あり(=Yes)と判定される、つまり入力ポート122と123の少なくとも一方の異常検出ビットY8が異常(=1)を示しているとステップS619へ移行して、異常報知コマンドを準備してから、コマンド設定処理(ステップS620)を実行して異常報知コマンドを演出制御装置300へ送信して当該エラー監視処理を終了する。なお、ステップS615で、異常あり(=Yes)と判定された場合に、監視タイマを起動させ、所定時間にわたって異常が繰り返し検出された場合にステップS619へ移行して、異常報知コマンドを送信して異常報知を行わせるようにしてもよい。
従って、上記実施例には、遊技制御手段としての遊技用マイコン111は、遊技制御に必要な情報を記憶可能な作業領域を備え、前記作業領域は、アドレスが連続するように配置され、検出された前記入賞信号及び前記異常信号を前記複数の入力ポート回路毎に記憶する信号格納領域を含み、前記異常信号を前記複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記異常信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに前記異常信号が伝達されるように構成した発明が含まれる。
かかる発明によれば、異常信号を複数の入力ポート回路に入力する場合には、異常信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに異常信号が伝達されるため、プログラムで異常判定を行う場合に、監視ビットを規定した判定値を共通して使用することができるのでプログラムを簡素化することができる。
図17および図18には、球検出スイッチからの検出信号の検知方式の第2の実施例が示されている。
第2の実施例は、図17に示すように、近接I/F121エラー端子Eから出力される異常信号をラッチ可能なフリップフロップ(D−FF)からなるラッチ回路125の出力を入力ポート123の入力端子A1へ入力するようにしたものである。従って、本実施例においては、ラッチ回路125は異常信号保持手段として機能する。なお、特に限定されるわけではないが、ラッチ回路には74HC273等を用いることが考えられる。
なお、図17の実施例では、入力ポート123の他の入力端子A2〜A8は接地電位に固定されているが、前記実施例と同様に、他のスイッチからの検出信号を入力するように構成してもよい。また、図15と同様に、近接I/F121から出力される異常信号Eを入力ポート122と123の同一の入力端子A8へ入力するように構成してもよい。異常信号Eをラッチするラッチ回路125は、電源投入時もしくはエラー回復時にCPUから供給されるクリア信号によってクリア状態にされる。
前述した、近接I/F121からの異常信号が入力ポート123の入力される図12の実施例においては、図18(A)に示すように、入力ポート122と入力ポート123の読込みタイミングt1,t2が異なるため、球の検出信号と異常信号の読込みタイミングも異なり、不正な電波を入力ポート122の読込みタイミングt1の前後に渡って照射し、入力ポート123の読込みタイミングt2では不正な電波を照射しないようにすることによって、エラーとして検知されるのを回避することができる。
これに対し、図17の第2の実施例を適用した場合においては、異常信号をラッチ回路125によってラッチし、その出力信号を入力ポート123へ入力するようにしているので、図18(B)に示すように、入力ポート123の読込みタイミングt2においても異常信号がハイレベルになる。そのため、入力ポート122の読込みタイミングt1に合わせて不正な電波を近接スイッチへ照射して不正な球検出信号を出力させたとし・BR>トもCPUによってエラーを検知することができる。また、入力ポート122の読込みタイミングt1でないタイミングで不正な電波が照射されたり短絡や断線などの異常が発生して近接I/F121により検出された場合にも、入力ポート123の読込みタイミングt2においても異常を検知することができる。
従って、上記実施例には、遊技制御装置は、検出情報伝達手段としての近接I/F121が異常を検出した場合に出力する異常信号を保持する異常信号保持手段としてのラッチ回路125を備え、前記異常信号保持手段が保持する前記異常信号を、前記検出情報伝達手段から出力される異常信号が異常でない状態に変化した後も前記入力ポート回路に入力するように構成し、前記遊技制御手段によって前記異常信号を取得可能にした発明が含まれる。
かかる発明によれば、検出情報伝達手段が異常を検出した場合に出力する異常信号を保持する異常信号保持手段を備えるため、異常信号(検出SW異常)の検出タイミング以外のタイミングで球検出手段または信号伝送路に異常が発生した場合でも、異常状態を確実に検出することができるので、接触不良等の異常により誤って遊技価値の付与が行われるのを未然に防ぐことができる。
図19には、上記第2実施例の変形例が示されている。この変形例は、図17の実施例において、近接I/F121からの異常信号をラッチ回路125へ直接入れていたものを、近接I/F121から出力される複数の近接スイッチの検出信号の論理をとるORゲート126と該ORゲート126の出力と近接I/F121からの異常信号の論理積をとるANDゲート127とを設けて、いずれかの球検出信号が出力されたときに異常信号が出力されたならばラッチ回路125にラッチするように構成したものである。また、ラッチ回路125の出力を入力ポート123の入力端子A8へ入力するとともに、近接I/F121から出力される異常信号を入力ポート122の入力端子A8へも入力するようにしている。
この変形例によれば、球検出信号があった場合に出力された異常信号のみをラッチするので、ノイズ等によって誤って異常信号がラッチされるのを回避しつつ異常な球検出信号が検知されるのを確実に防止することができる。また、異常信号を入力ポート122と123の同一の入力端子A8へ入力しているため、図15の実施例と同様に、なお、図19の実施例では、近接I/F121から出力される異常信号をANDゲート127以外に入力ポート122の入力端子A8へも入力しているが、プログラムによる異常信号の監視処理を簡略化することができる。図17と同様に、ラッチ回路125の出力を入力ポート123へのみ入力する構成も可能である。その場合、入力端子はA8に限定されず他の端子であってもよい。また、異常信号をデータバスを介して入力ポート123より読み込んだら直ちにラッチ回路125をクリアするように構成してもよい。
図20には、球検出スイッチからの検出信号の検知方式の第3の実施例が示されている。
第3の実施例は、球検出スイッチ60a〜60g以外に、電波センサ55a,55bおよび該センサの信号を伝送するケーブル71i,71jを設けるとともに、電波センサ55a,55bからの検出信号を入力とするORゲート126を設け、該ORゲート126の出力を入力ポート122と123の同一の入力端子A7へ入力させるように構成したものである。
なお、近接I/F121から出力される異常信号も入力ポート122と123の同一の入力端子A8へ入力されている。この実施例においては、電波センサ55a,55bを設けているため、不正な電波が検出された際に、球検出スイッチからの検出信号が入力されると、CPUはそれを不正な球検出信号であると判定することができる。従って、本実施例においては、ラッチ手段としてのラッチ回路125は不正信号保持手段として機能する。
なお、この実施例においては、電波センサ55a,55bの代わりに磁気センサあるいは振動センサを用いてもよい。また、図20においては、電波センサ55a,55bからの検出信号を直接ORゲート126へ入力させているが、センサの種類によってはORゲート126の前段にインタフェース回路を設けて、インタフェース回路を介して検出信号をORゲート126へ入力する構成をとる場合もある。また、図17や図19の実施例のように、ORゲート126の出力をラッチする回路を設けるように構成してもよい。なお、近接I/F121から出力される異常信号と、ORゲート126からの出力とのORを入力ポート122、123の同一の入力端子に入力させるように構成してもよい。
従って、上記実施例には、入賞口が設けられた遊技領域と、前記入賞口への遊技球の入賞に応じて遊技者に特定の遊技価値を付与する遊技制御装置とを有する遊技機において、
不正に遊技球入賞信号を発生させる不正状態を検出し、該不正状態を検出した場合に不正信号を出力する不正検出手段と、前記入賞口に入賞した遊技球を検出すると所定範囲の電圧レベルを出力する球検出手段と、を備え、
前記遊技制御装置は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、前記球検出手段から出力される電圧レベルに基づいて前記入賞口に遊技球が入賞したか否かを特定可能な入賞信号を前記遊技制御手段に出力する検出情報伝達手段と、を備え、前記遊技制御手段は、前記入賞信号と前記不正信号とを同一タイミングで取得するようにした発明が含まれていることが分かる。
そして、上記のような発明によれば、遊技制御装置は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、球検出手段から出力される電圧レベルに基づいて入賞口に遊技球が入賞したか否かを特定可能な入賞信号を遊技制御手段に出力する検出情報伝達手段と、遊技制御手段からの指示に基づいて、入力された複数の信号を遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路とを備え、遊技制御手段は入賞信号と不正信号とを同一のタイミングで取得するため、不正に発生された入賞信号を確実に検出することができ、これによって不正に遊技価値の付与を受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、遊技制御装置は、遊技制御手段としての遊技用マイコン111からの指示に基づいて、入力された複数の信号を前記遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路を備え、前記不正検出手段から出力される前記不正信号と、前記検出情報伝達手段から出力される前記入賞信号とを同一の入力ポート回路に入力するように接続され、前記遊技制御手段は、前記同一の入力ポート回路から前記入賞信号と前記不正信号とを同一タイミングで取得する発明が含まれる。
かかる発明によれば、入力された複数の信号を遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路を備える場合にも、不正検出手段から出力される不正信号と検出情報伝達手段から出力される入賞信号とが同一の入力ポート回路に入力するように接続されることにより、遊技制御手段は入賞信号と不正信号とを同一のタイミングで取得することができるので、不正によって発生した入賞信号を確実に検出することができ、不正に遊技価値の付与を受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、検出情報伝達手段としての近接I/F121から出力される信号には複数の球検出手段に対応した複数の入賞信号が含まれ、前記検出情報伝達手段から出力される前記入賞信号を、複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記入賞信号が伝達される全ての入力ポート回路に前記不正信号を伝達するようにし、遊技制御手段としての遊技用マイコン111は、前記入力ポート回路毎に前記入賞信号と前記不正信号とを同一タイミングで取得する発明が含まれる。
かかる発明によれば、複数の入力ポート回路へ球検出手段からの入賞信号を伝達するように構成した場合でも、遊技制御手段は入賞信号の検出タイミングに同期して不正信号(電波、磁気不正)を取得するので、不正によって発生した入賞信号を確実に検出することができ、これによって、不正に遊技価値の付与を受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、遊技制御手段としての遊技用マイコン111は、遊技制御に必要な情報を記憶可能な作業領域を備え、前記作業領域は、アドレスが連続するように配置され、検出された前記入賞信号及び前記不正信号を前記複数の入力ポート回路毎に記憶する信号格納領域を含み、前記異常信号を前記複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記不正信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに前記不正信号が伝達されるように構成した発明が含まれる。
かかる発明によれば、異常信号を複数の入力ポート回路に入力する場合には、異常信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに異常信号が伝達されるため、プログラムで異常判定を行う場合に、監視ビットを規定した判定値を共通して使用することができるのでプログラムを簡素化することができる。
また、上記実施例には、遊技制御装置は、不正検出手段としての電波センサ55a,55bから出力される不正信号を保持する不正信号保持手段としてのフリップフロップを備え、前記不正信号保持手段が保持する前記不正信号を、該不正信号が不正検出でない状態に変化した後も前記入力ポート回路に入力するように構成し、前記遊技制御手段によって前記不正信号を取得可能にした発明が含まれる。
かかる発明によれば、不正検出手段から出力される不正信号を保持する不正信号保持手段を備えるため、不正信号(電波、磁気不正)の検出タイミング以外のタイミングで不正が行われた場合でも、不正状態を確実に検出することができるので、ゴト行為により誤って遊技価値の付与が行われるのを未然に防ぐことができる。
さらに、上記実施例には、入賞口が設けられた遊技領域と、前記入賞口への遊技球の入賞に応じて遊技者に特定の遊技価値を付与する遊技制御装置とを有する遊技機において、
不正に遊技球入賞信号を発生させる不正状態を検出し、該不正状態を検出した場合に不正信号を出力する不正検出手段と、前記入賞口に入賞した遊技球を検出すると所定範囲の電圧レベルを出力する球検出手段と、を備え、
前記遊技制御装置は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、前記球検出手段と電気的に接続された信号配線から入力される電圧レベルに基づいて異常を検出可能であり異常を検出した場合に異常信号を出力するとともに、前記球検出手段から出力される電圧レベルに基づいて前記入賞口に遊技球が入賞したか否かを特定可能な入賞信号を前記遊技制御手段に出力する機能を有する検出情報伝達手段と、を備え、前記遊技制御手段は、前記入賞信号と前記異常信号および前記不正信号を同一タイミングで取得する発明が含まれる。
そして、上記のような発明によれば、遊技制御装置は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、球検出手段と電気的に接続された信号配線から入力される電圧レベルに基づいて異常を検出可能であり異常を検出した場合に異常信号を出力するとともに、前記球検出手段から出力される電圧レベルに基づいて入賞口に遊技球が入賞したか否かを特定可能な入賞信号を前記遊技制御手段に出力する機能を有する検出情報伝達手段とを備え、遊技制御手段は入賞信号の取得と同一のタイミングで不正信号および異常信号を取得するので、不正および接触不良等の異常によって発生した入賞信号を確実に検出することができる。また、これによって、不正電波の照射や意図的に接触不良を発生させる等の行為により遊技価値の付与を受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、前記遊技制御装置は、前記遊技制御手段からの指示に基づいて、入力された複数の信号を前記遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路を備え、前記不正検出手段から出力される前記不正信号と、前記検出情報伝達手段から出力される前記入賞信号及び前記異常信号とを同一の入力ポート回路に入力するように接続され、前記遊技制御手段は、前記同一の入力ポート回路から前記入賞信号と前記異常信号および前記不正信号を同一タイミングで取得する発明が含まれる。
かかる発明によれば、発明によれば、入力された複数の信号を遊技制御手段に一括して出力する複数の入力ポート回路を備える場合にも、不正検出手段から出力される不正信号と検出情報伝達手段から出力される入賞信号および異常信号とが同一の入力ポート回路に入力するように接続されることにより、遊技制御手段は入賞信号と異常信号および不正信号とを同一のタイミングで取得することができるので、不正および接触不良等の異常によって発生した入賞信号を確実に検出することができ、不正電波の照射や意図的に接触不良を発生させる等の行為により遊技価値の付与を受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、前記検出情報伝達手段から出力される信号には複数の前記球検出手段に対応した複数の入賞信号が含まれ、前記検出情報伝達手段から出力される前記入賞信号を複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記入賞信号が伝達される全ての入力ポート回路に前記異常信号および前記不正信号を伝達するようにし、前記遊技制御手段は、前記入力ポート回路毎に前記入賞信号と前記異常信号および前記不正信号とを同一タイミングで取得するようにした発明が含まれる。
かかる発明によれば、遊技制御装置の複数の入力ポートへ球検出手段からの入賞信号が伝達されるように構成されている場合でも、入賞信号が伝達される全ての入力ポート回路に検出情報伝達手段から出力される異常信号と不正検出手段からの不正信号が伝達されるため、入賞信号の検出と同期して異常信号(検出SW異常)および不正信号(電波、磁気不正)が検出されることとなるので、球検出手段または信号伝送路の異常や不正によって発生した入賞信号を確実に検出することができる。また、これによって、故障により誤った遊技価値の付与が行われないようにすることができるとともに、球検出センサの信号線を操作して遊技価値としての遊技球の払い出しを受けるゴト行為を防止することができる。
また、上記実施例には、前記遊技制御手段は、遊技制御に必要な情報を記憶可能な作業領域を備え、前記作業領域は、アドレスが連続するように配置され、検出された前記入賞信号と前記異常信号及び前記不正信号を前記複数の入力ポート回路毎に記憶する信号格納領域を含み、前記異常信号を前記複数の入力ポート回路に入力する場合には、前記異常信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに前記異常信号と前記不正信号が伝達されるように構成した発明が含まれる。
かかる発明によれば、異常信号と不正信号を複数の入力ポート回路に入力する場合には、異常信号と不正信号が伝達される全ての入力ポート回路において、同一のビットに異常信号と不正信号が伝達されるため、プログラムで異常及び不正の判定を行う場合に、監視ビットを規定した判定値を共通して使用することができるのでプログラムを簡素化することができる。
また、上記実施例には、前記遊技制御装置は、前記検出情報伝達手段が異常を検出した場合に出力する異常信号を保持する異常信号保持手段と、前記不正検出手段から出力される不正信号を保持する不正信号保持手段と、を備え、前記異常信号保持手段が保持する前記異常信号を、前記検出情報伝達手段から出力される異常信号が異常でない状態に変化した後も前記入力ポート回路に入力するように構成し、前記遊技制御手段によって前記異常信号を取得可能とし、前記不正信号保持手段が保持する前記不正信号を、該不正信号が不正検出でない状態に変化した後も前記入力ポート回路に入力するように構成し、前記遊技制御手段によって前記不正信号を取得可能にした発明が含まれる。
かかる発明によれば、検出情報伝達手段が異常を検出した場合に出力する異常信号を保持する異常信号保持手段と、不正検出手段から出力される不正信号を保持する不正信号保持手段とを備えるため、異常信号および不正信号の検出タイミング以外のタイミングで不正が行われるような場合でも、球検出手段の異常および不正を確実に検出することができる。これによって、ゴト行為を未然に防止することができ、ゴト行為による遊技店の被害を最小限に止めることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、今回開示した実施形態は、あくまでも例示であって制限的なものではない。例えば、前記実施形態では、球検出センサとして磁気近接スイッチがプルアップ抵抗を内蔵していない場合について説明したが、プルアップ抵抗を内蔵した磁気近接スイッチを使用することも可能であり、その場合、中継端子基板80を設けずスイッチからのケーブルの終端のコネクタを直接遊技制御装置のコネクタに接続するように構成してもよい。
また、前記実施形態では、球検出センサとして磁気近接スイッチを使用した例を示したが、出力がオープンコレクタ形式のものであれば光電型センサやマイクロスイッチ型センサなど他の方式のセンサやスイッチを使用する場合にも適用することができる。
また、前記実施形態では、2線式の近接センサを使用した例を示したが、3線式の近接センサを使用することも可能であり、その場合、検出信号が伝達される信号線にプルアップ抵抗が接続されるように構成してもよい。
さらに、以上の説明では本発明をパチンコ遊技機に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はパチンコ遊技機に限定されず、アレンジボール遊技機、雀球遊技機など遊技球を使用する他の遊技機にも適用可能である。