JP5773620B2 - センサ異常判定装置及びセンサ異常判定方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、実際には、エンジンモデルの演算結果と実際のエンジンの動作との間に誤差が含まれるため、エンジンモデルが出力するセンサ予測値にも誤差が含まれている。そのため、特許文献1の判定法を用いる場合、この誤差が品質パラメータに影響を与えるため、センサの不良識別の精度が低下してしまうという問題があった。
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるセンサ異常監視装置の構成を示す概略ブロック図である。
センサ異常判定装置は、ガスタービンのエンジンなどの監視対象装置に設けられたセンサが故障しているか否かを判定する装置であり、入力部101、監視対象制御部102、模擬部103、センサ値取得部104、センサ値差算出部105、センサ値差記憶部106、平均算出部107、標準偏差算出部108、判定部109を備える。
監視対象制御部102は、監視対象装置を制御する制御パラメータの入力を受け付け、当該制御パラメータは、監視対象装置及び模擬部103に当該制御パラメータを出力する。
センサ値取得部104は、監視対象装置に設けられたセンサからセンサ値を取得する。
センサ値差記憶部106は、所定の期間の間にセンサ値差算出部105が算出したセンサ値差を記憶する。
平均算出部107は、センサ値差記憶部106が記憶するセンサ値差の平均を算出する。
標準偏差算出部108は、センサ値差記憶部106が記憶するセンサ値差の標準偏差を算出する。
すなわち、センサ値差算出部105、センサ値差記憶部106、平均算出部107、標準偏差算出部108、判定部109は協働して、所定の期間内におけるセンサ値差の出現率を用いて、センサ値差の出現率が低い場合に監視対象装置のセンサが異常であると判定する異常判定部として機能する。
まず、センサの異常判定を行う前に、センサ値差記憶部106にセンサ値差を蓄積するまでの動作について説明する。
図2は、第1の実施形態によるセンサ異常判定動作を示すフローチャートである。
センサ異常判定動作を開始すると、センサ値差算出部105に、模擬部103から予測センサ値が入力され、センサ値取得部104からセンサ値が入力される。次に、センサ値差算出部105は、予測センサ値とセンサ値との差であるセンサ値差を算出する(ステップS11)。また、平均算出部107は、センサ値差記憶部106が記憶するセンサ値差の平均値を算出する(ステップS12)。
これにより、標準偏差算出部108は、センサ値差の標準偏差、すなわちセンサ値差の平均値からのばらつきの度合いを算出することができる。
判定部109は、センサ値差と平均値との差の絶対値が、標準偏差算出部108が算出した標準偏差のa倍以下であると判定した場合(ステップS15:YES)、監視対象装置に設置されているセンサが正常であると判定する(ステップS16)。他方、判定部109は、センサ値差と平均値との差の絶対値が、標準偏差算出部108が算出した標準偏差のa倍超であると判定した場合(ステップS15:NO)、監視対象装置に設置されているセンサが故障していると判定する(ステップS17)。
図3は、センサ値差と平均値との差の絶対値の出現率と標準偏差との関係を示す図である。
センサの誤差の分布が正規分布に近似できる場合、所定の期間内におけるセンサ値差の出現率は、図3に示すようになる。すなわち、所定の期間内におけるセンサ値差の平均値μの出現率が最も高く、平均値μから離れるに従って出現率が低くなる。また、正規分布において標準偏差σ以内の誤差を有する値の出現率は決まった値(約68%)となる。したがって、判定部109は、センサ値差と平均値との差の絶対値|μ−(y^−y)|が、標準偏差σの所定係数倍以下である場合に、出現率が低いと判定し、前記監視対象装置のセンサが異常であると判定することができる。
この場合、標準偏差算出部108は、式(3)を用いてセンサ値差の標本標準偏差σ´を算出することとなる。また、判定部109は、式(4)を用いてセンサの異常の有無の判定を行うこととなる。
次に、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態によるセンサ異常監視装置の構成を示す概略ブロック図である。
センサ異常判定装置は、入力部101、監視対象制御部102、模擬部103、センサ値取得部104、予測センサ値記憶部201、センサ値記憶部202、時間判定部203、第1の関数算出部204、第2の関数算出部205、積分値算出部206、判定部207を備える。
なお、入力部101、監視対象制御部102、模擬部103、センサ値取得部104の機能・動作は第1の実施形態の入力部101、監視対象制御部102、模擬部103、センサ値取得部104と同じであるため、同一の符号を用いて説明する。
センサ値記憶部202は、センサ値取得部104が取得したセンサ値を記憶する。
時間判定部203は、異常判定動作を開始した時刻からの経過時間を計測し、当該経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する。
第2の関数算出部205は、センサ値記憶部202が記憶するセンサ値を用いてセンサ値と当該センサ値の出現度との関係を示す第2の関数を算出する。
なお、第1の関数及び第2の関数としては、確率密度関数を用いる。
判定部207は、積分値算出部206が算出した積分値が所定の閾値以下である場合に、センサが異常であると判定する。
すなわち、予測センサ値記憶部201、センサ値記憶部202、時間判定部203、第1の関数算出部204、第2の関数算出部205、積分値算出部206、判定部207は協働して、所定の期間内におけるセンサ値差の出現率を用いて、センサ値差の出現率が低い場合に監視対象装置のセンサが異常であると判定する異常判定部として機能する。
図5は、第2の実施形態によるセンサ異常判定動作を示すフローチャートである。
まず、入力部101は、監視対象装置の運転条件を示す運転条件パラメータの入力を受け付け、模擬部103に出力する(ステップS21)。次に、監視対象制御部102は、制御パラメータの入力を受け付け、監視対象装置及び模擬部103に出力する(ステップS22)。模擬部103に入力部101及び監視対象制御部102からパラメータが入力されると、監視対象装置の動作の模擬を開始する(ステップS23)。
次に、積分値算出部206は、第1の関数算出部204が算出した第1の関数と第2の関数算出部205が算出した第2の関数との重複部分の積分値を算出する(ステップS29)。なお、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値は、図6の斜線部の面積と等価である。具体的には、以下の手順により積分値の算出を行う。
まず、積分値算出部206は、式(5)、(6)からX=X^となる解ycを算出する。次に、式(5)からX^=thとなる解y^ −th、y^ +thを算出する。また、式(6)からX=thとなる解y−th、y+thを算出する。ここで、thとは、任意の閾値を示す。そして、積分値算出部206は、以下に示す式(8)を用いて、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値を算出する。
判定部207は、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値が、所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS30:NO)、監視対象装置に設置されているセンサが正常であると判定する(ステップS31)。他方、判定部207は、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値が、所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS30:YES)、監視対象装置に設置されているセンサが故障していると判定する(ステップS32)。
図6から、予測センサ値の平均値μy^とセンサ値の平均値μyとの差が小さく、かつ第1の関数と第2の関数が描くグラフの形状が似ているほど、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値が大きくなる。予測センサ値の平均値μy^とセンサ値の平均値μyとの差が小さいこと、及び第1の関数と第2の関数が描くグラフの形状が似ることは、模擬部103によるシミュレーションが監視対象装置の実際の動作に近いことを示す。
したがって、第1の関数と第2の関数との重複部の積分値が所定の閾値以下であるか否かを判定することで、監視対象装置に設けられたセンサ固有の誤差と、模擬部103によるシミュレーションの誤差とを加味して、センサの異常の有無を判定することができる。
次に、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態による模擬部103の動作を示す図である。
第3の実施形態によるセンサ異常判定装置は、第1の実施形態によるセンサ異常判定装置と模擬部103の動作が異なるものである。
模擬部103には、入力部101から運転条件パラメータとして稼働時間が入力され、図7に示すように、稼働時間に応じて出力する予測センサ値が変化するようなシミュレーションを行う。これは、監視対象装置の経年変化をモデル化したものである。
本実施形態によれば、監視対象装置の性能の経年変化を加味してシミュレーションを行うことができるため、センサの異常判定の精度をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、模擬部103が稼働時間に応じて予測センサ値が変化するようなシミュレーションを実行する場合を説明したが、これに限られない。例えば、模擬部103は、稼働時間に関連付けて複数のシミュレーションプログラムを記憶しておき、入力された稼働時間に最も近い稼働時間に関連付けられたシミュレーションプログラムを実行することで、稼働時間に応じて異なる模擬動作を実行するようにしても良い。
次に、本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態によるセンサ異常監視装置の構成を示す概略ブロック図である。
第4の実施形態によるセンサ異常判定装置は、第1の実施形態によるセンサ異常判定装置に更新部301を更に備えるものである。
更新部301は、入力部101から入力された運転条件パラメータと標準偏差算出部108が算出した標準偏差とを用いて模擬部103の内部パラメータを更新する。例えば、更新部301はカルマンフィルタによって実装すると良い。つまり更新部301は、センサ値差の出現率を用いて模擬部103による模擬動作の実行に用いる内部パラメータを更新する。
なお、本実施形態によるセンサ異常判定装置は、第1の実施形態によるセンサ異常判定装置に更新部301を備えるものとして説明したが、これに限られず、第2の実施形態によるセンサ異常判定装置と同様の機能を備えるものとしても良い。
例えば、第1〜第4の実施形態では、センサ異常判定装置が監視対象の制御とセンサの異常判定とを行う場合を説明したが、これに限られず、例えば、模擬部103及び異常判定部を備える判定装置が、通信回線を介して監視対象制御部102とセンサ値取得部104とを備える制御装置から信号を受信する、いわゆる遠隔監視診断システムの構成を有するようにしても良い。これにより、詳細分析や専門の担当者による診断が可能となる。また、制御システムの設置場所の自由度を増すことができる。
Claims (4)
- 監視対象装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定するセンサ異常判定装置であって、
前記センサからセンサ値を取得するセンサ値取得部と、
前記監視対象装置の模擬を行い、前記センサ値の予測値である予測センサ値を算出する模擬部と、
所定の期間内に前記模擬部が出力した予測センサ値を用いて前記予測センサ値と当該予測センサ値の出現度との関係を示す第1の関数を算出する第1の関数算出部と、
所定の期間内に前記センサ値取得部が取得したセンサ値を用いて前記センサ値と当該センサ値の出現度との関係を示す第2の関数を算出する第2の関数算出部と、
前記模擬部が出力した予測センサ値と前記センサ値取得部が取得したセンサ値から算出されるセンサ値差の出現率として前記第1の関数と前記第2の関数との重複部分の積分値を算出する積分値算出部と、
前記積分値が所定の閾値以下である場合に、前記出現率が低いと判定し、前記監視対象装置のセンサが異常であると判定する異常判定部と
を備えることを特徴とするセンサ異常判定装置。 - 前記模擬部は、前記監視対象装置の稼働時間の入力を受け付け、当該稼働時間に応じて異なる模擬動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のセンサ異常判定装置。
- 前記センサ値差の出現率を用いて前記模擬部による模擬動作の実行に用いる内部パラメータを更新する更新部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ異常判定装置。
- 監視対象装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定するセンサ異常判定装置を用いたセンサ異常判定方法であって、
センサ値取得部は、前記センサからセンサ値を取得し、
模擬部は、前記監視対象装置の模擬を行い、前記センサ値の予測値である予測センサ値を算出し、
第1の関数算出部は、所定の期間内に前記模擬部が出力した予測センサ値を用いて前記予測センサ値と当該予測センサ値の出現度との関係を示す第1の関数を算出し、
第2の関数算出部は、所定の期間内に前記センサ値取得部が取得したセンサ値を用いて前記センサ値と当該センサ値の出現度との関係を示す第2の関数を算出し、
積分値算出部は、前記模擬部が出力した予測センサ値と前記センサ値取得部が取得したセンサ値から算出されるセンサ値差の出現率として前記第1の関数と前記第2の関数との重複部分の積分値を算出し、
異常判定部は、前記積分値が所定の閾値以下である場合に、前記出現率が低いと判定し、前記監視対象装置のセンサが異常であると判定する
ことを特徴とするセンサ異常判定方法。
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