以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<第1実施形態>
(1)空気調和装置10の概要
(1−1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置10の構成図である。また、図2は、空気調和装置10の風路構成を示すブロック図である。図1及び図2において、空気調和装置10は、電気自動車用のエアコンであって、冷媒回路40と、排気ファン50と、吸気ファン60と、制御部70と、風路80とを備えている。
(1−2)冷媒回路40
冷媒回路40では、圧縮機11、第1四路切換弁13、主熱交換器15、第1膨張弁17、第2四路切換弁18、第1吸着熱交換器19、第2膨張弁21、及び第2吸着熱交換器23が環状に繋がっている。
(1−3)排気ファン50
排気ファン50は、風路80内の車外排出口近傍に配置され、回転することによって車内吸気口から車外排気口に向う空気流、若しくは、外気取込口から車外排気口に向う空気流を発生させる。
(1−4)吸気ファン60
吸気ファン60は、風路80内の車内吹出口近傍に配置され、回転することによって車内吸気口から車内吹出口に向う空気流、若しくは、外気取込口から車内吹出口に向う空気流を発生させる。
(1−5)制御部70
制御部70は、第1四路切換弁13および第2四路切換弁18の切換方向、第1膨張弁17および第2膨張弁21の弁開度、圧縮機11、排気ファン50、及び吸気ファン60の回転数を制御して、冷媒回路40を循環する冷媒の流れや、主熱交換器15、第1吸着熱交換器19、及び第2吸着熱交換器23の熱交換量や、風路80内の各ダンパの切換方向を制御する。
(1−6)風路80
図2に示すように、風路80は、室内吸気口80a、外気取込口80b、室内供給口80c、および室外排気口80dを有している。
さらに、風路80は、第1風路81と、第2風路82と、第1風路83とを有している。第1風路81、第2風路82及び第1風路83は、室内吸気口80aまたは外気取込口80bから入った空気を室内供給口80cまたは室外排気口80dに導く。
また、風路80は、第1ダンパ91、第2ダンパ92、第3ダンパ93、第4ダンパ94、第5ダンパ95、第6ダンパ96、吸気切換ダンパ97、給排切換ダンパ100を有している。第1ダンパ91、第2ダンパ92及び第3ダンパ93それぞれは第1風路81、第2風路82及び第3風路83それぞれの入口に配置されている。第4ダンパ94、第5ダンパ95及び給排切換ダンパ100それぞれは第1風路81、第2風路82及び第3風路83それぞれの出口に配置されている。
第6ダンパ96は、第1風路81および第2風路82から出た空気を室内供給口80c及び主熱交換器15のいずれか一方に向わせる。
吸気切換ダンパ97は、室内吸気口80a及び外気取込口80bの下流に位置し、第1風路81、第2風路82及び第1風路83に流す空気を、室内吸気口80a及び外気取込口80bのいずれか一方から取り入れた空気に切り換える。
(2)冷媒回路40の詳細構成
(2−1)圧縮機11、及び四路切換弁13
圧縮機11は、ガス冷媒を吸入して圧縮する。四路切換弁13は、冷房運転および暖房運転のいずれかの運転から、暖房除湿運転およびデフロスト運転のいずれかの運転へ切り換えるとき、或いは、暖房除湿運転およびデフロスト運転のいずれかの運転から、冷房運転および暖房運転のいずれかの運転へ切り換えるとき、冷媒の流れの方向を切り換える。冷房運転および暖房運転のいずれかの運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と第2四路切換弁18とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と主熱交換器15のガス側とを接続する。つまり、図1の四路切換弁13内の実線で示された状態である。
また、暖房除湿運転およびデフロスト運転のいずれかの運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と主熱交換器15のガス側とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と第2四路切換弁18とを接続する。つまり、図1の四路切換弁13内の点線で示された状態である。
(2−2)主熱交換器15
主熱交換器15は、積層型熱交換器であって、空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮(超臨界冷媒の場合は放熱)又は蒸発させることができる。積層型熱交換器については多くの文献が存在するので、ここでは説明を省略する。なお、主熱交換器15は積層型熱交換器に限定されるものではなく、他の熱交換器であってもよい。
(2−3)第1膨張弁17
第1膨張弁17は、開度可変式の電動膨張弁であり、第2四路切換弁18と主熱交換器15との間に接続されている。第1膨張弁17は、運転モードによって、冷媒圧力を主熱交換器15で蒸発可能な圧力まで減圧することもあれば、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23で蒸発可能な圧力まで減圧することもある。
(2−4)第2四路切換弁18
第2四路切換弁18は、運転モードによって、第1四路切換弁13若しくは主熱交換器15から送られてくる冷媒を、第1吸着熱交換器19に流す方向および第2吸着熱交換器23に流す方向のいずれか一方に切り換える。
(2−5)第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23は、積層型熱交換器であって、空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮(超臨界冷媒の場合は放熱)又は蒸発させることができる。第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23では、各伝熱フィンの表面に吸着剤が担持されており、伝熱フィンの間を通過する空気が伝熱フィンに担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水蒸気を吸着できるものが用いられる。第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23は、調湿用部材を構成している。
なお、なお、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23は、積層型熱交換器に限定されるものではなく、他の熱交換器であってもよい。
(2−6)第2膨張弁21
第2膨張弁21は、開度可変式の電動膨張弁であり、第1吸着熱交換器19と第2吸着熱交換器23との間に接続されている。第2膨張弁21が全開のとき、第1吸着熱交換器19と第2吸着熱交換器23とは共に、蒸発器および凝縮器のいずれか一方になる。また、第2膨張弁21が開度を絞っているとき、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれか一方が蒸発器となり、他方が凝縮器となる。
(3)風路80の詳細構成
先ず、説明の便宜上、図2において、車内に供給するために車内吸気口または外気取込口から取り入れられた空気を給気とよび、最終的に車外へ排出されるために外気取込口から取り入れられた空気を外気とよぶ。
(3−1)第1風路81、第1ダンパ91及び第4ダンパ94
第1風路81では、入口に第1ダンパ91が、途中に第1吸着熱交換器19が、出口に第4ダンパ94が配置されている。
第1風路81の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bとダクトで繋がっており、第1ダンパ91が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が第1吸着熱交換器19に向って流れる。他方、第1ダンパ91が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が第1吸着熱交換器19に向って流れる。
第1風路81の出口は室外排出口80dに通じる第1排出路113と、室内供給口80cに通じる第1供給路115と繋がっており、第4ダンパ94が第1排出路113を閉じたとき第1吸着熱交換器19を通った空気は第1供給路115へ流れる。他方、第4ダンパ94が第1供給路115を閉じたとき第1吸着熱交換器19を通った空気は第1排出路113へ流れる。
(3−2)第2風路82、第2ダンパ92及び第5ダンパ95
第2風路82では、入口に第2ダンパ92が、途中に第2吸着熱交換器23が、出口に第5ダンパ95が配置されている。
また、第2風路82の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bとダクトで繋がっており、第2ダンパ92が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が第2吸着熱交換器23に向って流れる。他方、第2ダンパ92が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が第2吸着熱交換器23に向って流れる。
第2風路82の出口は室外排出口80dに通じる第2排出路213と、室内供給口80cに通じる第2供給路215と繋がっており、第5ダンパ95が第2排出路213を閉じたとき第2吸着熱交換器23を通った空気は第2供給路215へ流れる。他方、第5ダンパ95が第2供給路215を閉じたとき第2吸着熱交換器23を通った空気は第2排出路213へ流れる。
(3−3)第3風路83、第3ダンパ93、第3風路開閉ダンパ98、第6ダンパ96及び給排切換ダンパ100
第3風路83では、入口に第3ダンパ93が、途中に第3風路開閉ダンパ98及び主熱交換器15が、出口に給排切換ダンパ100が配置されている。
また、第3風路83の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bとダクトで繋がっており、第3ダンパ93が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が主熱交換器15に向って流れる。他方、第3ダンパ93が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が主熱交換器15に向って流れる。
第3風路83の出口は室外排出口80dに通じる主排出路101と、室内供給口80cに通じる主供給路103と繋がっており、給排切換ダンパ100が主排出路101を閉じたとき主熱交換器15を通った空気は主供給路103へ流れる。他方、給排切換ダンパ100が主供給路103を閉じたとき主熱交換器15を通った空気は主排出路101へ流れる。
なお、第6ダンパ96は、第1風路81および第2風路82からの空気を主熱交換器15あるいは室内供給口80cに選択的に向かわせることができる。
(4)空気調和装置の動作
空気調和装置の動作を、図1、図2、図3、図4及び図5を参照しながら説明する。図3は、空気調和装置10の風路配置図である。図4は、各運転モードにおける各熱交換器および各ダンパの働きを示す機能表である。ここで、各熱交換器および各ダンパの働きを示すとは、主熱交換器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23それぞれが蒸発器および凝縮器のいずれの機能を果たしているのか、各ダンパが空気をどの方向に流すのかを示すことである。
また、図5は、各運動モードにおける空気の流れを示すブロック図である。図3、図4及び図5において、各部の名称は記号で表されており、D1は第1吸着熱交換器19、D2は第2吸着熱交換器23、Mainは主熱交換器15、V0は給排切換ダンパ、V1〜V6は第1ダンパ91〜第6ダンパ96を示す。さらに、図5において「給」は給気、「外」は外気、「室内」は室内供給を、「室外」は室外排気を意味する。
(4−1)第1冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図1において、第1冷房運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と第2四路切換弁18とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と主熱交換器15のガス側とを接続する(図1実線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられている(図1実線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第1吸着熱交換器19及び主熱交換器15で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19及び主熱交換器15が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は第6ダンパ96との連通位置に、第5ダンパ95は室外排気口82dとの連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、第2吸着熱交換器23に送られる。
第2吸着熱交換器23に送られた高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図5参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19及び主熱交換器15に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器19で除湿された給気は、第6ダンパ96を経て主熱交換器15に至り、そこで熱交換をする(図5参照)が、すでに第1吸着熱交換器19での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。このため、主熱交換器15では、潜熱処理がほとんど行われずに顕熱処理のみが行われることになり、主熱交換器15においてほとんど凝縮水が発生しない。
主熱交換器15で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。第1吸着熱交換器19及び主熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−2)第2冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1吸着熱交換器19で水分を吸着し、第2吸着熱交換器23で水分を放出する形態が継続されると、第1吸着熱交換器19の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第1吸着熱交換器19の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置10では、第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能し第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能する第1冷房運転モードが、定期的に、第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能し第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能する第2冷房運転モードに切り替わる。
以下、第2冷房運転モードについて説明する。図1において、第2冷房運転では、第1冷房運転モードの状態から、第2四路切換弁18によって、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられる(図1点線)。その結果、第1吸着熱交換器19が冷媒の凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23及び主熱交換器15が冷媒の蒸発器として機能する。また、図4において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は室外排気口82dとの連通位置、第5ダンパ95は第6ダンパ96との連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、第1吸着熱交換器19に送られる。
第1吸着熱交換器19に送られた高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図5参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23及び主熱交換器15に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された給気は、第6ダンパ96を経て主熱交換器15に至り、そこで熱交換をする(図5参照)が、すでに第2吸着熱交換器23での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。このため、主熱交換器15では、潜熱処理がほとんど行われずに顕熱処理のみが行われることになり、主熱交換器15においてほとんど凝縮水が発生しない。
主熱交換器15で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。第2吸着熱交換器23及び主熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−3)第3冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1冷房運転モードおよび第2冷房運転モードでは、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23のいずれか一方で潜熱処理を行い、主熱交換器15で顕熱処理を行っていたが、空調負荷が大きいときなどは、主熱交換器15で潜熱処理と顕熱処理とを行うのが好ましい。つまり、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23を凝縮器として、主熱交換器15を蒸発器として機能させる。
以下、第3冷房運転モードについて説明する。図1において、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と第2四路切換弁18とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と主熱交換器15のガス側とを接続する(図1実線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれかへ流せる状態に切り換えられている。また、第2膨張弁21は全開であり、第1膨張弁17は冷媒を主熱交換器15で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、主熱交換器15が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は外気取り込み位置、第3ダンパ93は給気取り込み位置、第4ダンパ94及び第5ダンパ95は室外排気口82dとの連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96はフリーに、第3風路開閉ダンパ98は全開位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に送られる。
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第1膨張弁17に送られ減圧され、主熱交換器15に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。主熱交換器15では、潜熱処理と顕熱処理とが行われる。
主熱交換器15で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。主熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−4)通常暖房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図1において、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と第2四路切換弁18とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と主熱交換器15のガス側とを接続する(図1実線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれかへ流せる状態に切り換えられている。また、第2膨張弁21は全開であり、第1膨張弁17は冷媒を主熱交換器15で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、主熱交換器15が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93は外気取り込み位置、第4ダンパ94及び第5ダンパ95は第6ダンパ96との連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は室内供給口80cとの連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全開位置に、給排切換ダンパ100は室外排気口80dとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に送られる。
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を暖める。
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第1膨張弁17に送られ減圧され、主熱交換器15に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。主熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−5)第1暖房除湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図1において、第1暖房除湿運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と主熱交換器15のガス側とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と第2四路切換弁18とを接続する(図1点線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられている(図1点線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第1吸着熱交換器19で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、第2吸着熱交換器23及び主熱交換器15が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は第6ダンパ96との連通位置に、第5ダンパ95は室外排気口82dとの連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、主熱交換器15及び第2吸着熱交換器23に送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図5参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器19で除湿された給気は、第6ダンパ96を経て主熱交換器15に至り、そこで熱交換をする(図4参照)が、すでに第1吸着熱交換器19での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。主熱交換器15で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を除湿しながら暖める。
第1吸着熱交換器19において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−6)第2暖房除湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1吸着熱交換器19で水分を吸着し、第2吸着熱交換器23で水分を放出する形態が継続されると、第1吸着熱交換器19の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第1吸着熱交換器19の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置10では、第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能し第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能する第1暖房除湿運転モードが、定期的に、第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能し第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能する第2暖房除湿運転モードに切り替わる。
以下、第2暖房除湿運転モードについて説明する。図1において、第2暖房除湿運転では、第1暖房除湿運転モードの状態から、第2四路切換弁18によって、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられる(図1実線)。その結果、第1吸着熱交換器19及び主熱交換器15が冷媒の凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する。また、図4において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は室外排気口82dとの連通位置、第5ダンパ95は第6ダンパ96との連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、主熱交換器15及び第1吸着熱交換器19に送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図5参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された給気は、第6ダンパ96を経て主熱交換器15に至り、そこで熱交換をする(図5参照)が、すでに第2吸着熱交換器23での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。主熱交換器15で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を除湿しながら暖める。
第2吸着熱交換器23において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−7)デフロスト運転時の冷媒の流れと空気の流れ
制御部70は、通常暖房運転時に主熱交換器15への着霜を検知したとき、または着霜を推定したとき、デフロスト運転を行う。デフロスト運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と主熱交換器15のガス側とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と第2四路切換弁18とを接続する(図1点線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれかへ流せる状態に切り換えられている。また、第2膨張弁21は全開であり、第1膨張弁17は冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主熱交換器15が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94及び第5ダンパ95は室外排気口82dとの連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96はフリーに、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室外排気口80dとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、主熱交換器15に送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで熱交換を行って凝縮する。このとき放出された熱が主熱交換器15に付着した霜を融解させる。主熱交換器15において凝縮した高圧の冷媒は、第1膨張弁17に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−8)第1暖房加湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図1において、第1暖房加湿運転時、四路切換弁13は、圧縮機11の吐出側と主熱交換器15のガス側とを接続するとともに圧縮機11の吸入側と第2四路切換弁18とを接続する(図1点線)。第2四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられている(図1実線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第2吸着熱交換器23で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主熱交換器15及び第1吸着熱交換器19が冷媒の凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図4において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は第6ダンパ96との連通位置に、第5ダンパ95は室外排気口80dとの連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、主熱交換器15及び第1吸着熱交換器19に送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が給気に付与され、水分を含んだ給気は室内へ供給される(図5参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に外気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された外気は、室外に吹き出される。
第2吸着熱交換器23において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−9)第2暖房加湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第2吸着熱交換器23で水分を吸着し、第1吸着熱交換器19で水分を放出する形態が継続されると、第2吸着熱交換器23の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第2吸着熱交換器23の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置10では、第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能し第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能する第1暖房加湿運転モードが、定期的に、第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能し第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能する第2暖房加湿運転モードに切り替わる。
以下、第2暖房加湿運転モードについて説明する。図1において、第2暖房加湿運転では、第1暖房加湿運転モードの状態から、第2四路切換弁18によって、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられる(図1点線)。その結果、主熱交換器15及び第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19が冷媒の蒸発器として機能する。また、図4において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は室外排気口80dとの連通位置、第5ダンパ95は第6ダンパ96との連通位置に切り換えられている。また、第6ダンパ96は主熱交換機15との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に、給排切換ダンパ100は室内供給口80cとの連通位置に切り換えられている。
このような状態の冷媒回路40および風路80において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁13を通じて、主熱交換器15及び第2吸着熱交換器23送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が給気に付与され、水分を含んだ給気は室内へ供給される(図5参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に外気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器19で除湿された外気は、室外に吹き出される。
第1吸着熱交換器19において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(5)特徴
(5−1)
空気調和装置10では、制御部70が、冷房運転において、空気を第1吸着熱交換器19または第2吸着熱交換器23で潜熱処理し、その空気を主熱交換器15で顕熱処理することができる。主熱交換器15では顕熱処理だけが行なわれるので、制御部70は主熱交換器15内での冷媒の蒸発温度を上げることができ、その結果、成績係数が向上する。
(5−2)
空気調和装置10では、主熱交換器15を通った空気を室外および室内のいずれに向わせるかは、運転モードによって異なる。それゆえ、冷媒回路40と風路80とを一ユニット化した空気調和装置に適しており、車載用に有用である。
(5−3)
空気調和装置10では、主排出路101、主供給路103、第1排出路113、第1供給路115、第2排出路213および第2供給路215それぞれは、互いに完全に独立した通路ではなく、共通の空気流路と複数のダンパによって形成されるので、空気流路の大型化を抑制することができる。
(5−4)
空気調和装置10では、制御部70が、冷房運転時、第1冷房運転、第2冷房運転および第3冷房運転のいずれか一つを選択する。第1冷房運転および第2冷房運転は、空気の潜熱処理を第1吸着熱交換器19または第2吸着熱交換器23で行い、空気の顕熱処理を主熱交換器15で行なう運転である。第3冷房運転は、空気の潜熱処理および顕熱処理を主熱交換器15で行なう運転である。ユーザーは、省エネ運転させたいときは第1冷房運転または第2冷房運転を選択し、能力を上げたいときは第3冷房運転を選択すればよいので、ユーザーにとって使い勝手がよい。
(5−5)
空気調和装置10では、制御部70が、暖房運転時、通常暖房運転、暖房除湿運転、および暖房加湿運転のいずれかを選択する。通常暖房運転とは、空気への加熱を第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23で行なう運転である。暖房除湿運転とは、空気の除湿を第1吸着熱交換器19または第2吸着熱交換器23で行い、空気への加湿を主熱交換器15で行なう運転である。暖房加湿運転とは、空気への加湿を第1吸着熱交換器19または第2吸着熱交換器23で行い、空気への加熱を主熱交換器15で行なう運転である。さらに、制御部70は、通常暖房運転時に室外排出モードを選択し、主熱交換器15を通った空気を室外へ向わせる。さらに、制御部70は、暖房除湿運転及び暖房加湿運転時に室内供給モードを選択、主熱交換器15を通った空気を室内へ向わせる。ユーザーは、通常暖房運転、暖房除湿運転及び暖房加湿運転から適当な暖房運転を選択できるので、ユーザーにとって使い勝手がよい。さらに、暖房加湿運転であっても加湿用の貯水タンクを必要としないので、給水作業が不要となり、かつ装置の小型化が図れる。
(6)第1実施形態の変形例
冒頭で記載したとおり、第1実施形態に係る空気調和装置は電気自動車用のエアコンである。電気自動車用のエアコンでは、走行モータ、モータインバータおよび車載バッテリを冷却する必要がある。
ここでは、空気調和用の冷媒回路40が走行モータ及びモータインバータの冷却用冷媒回路を兼ねている第1変形例と、空気調和用の冷媒回路40が走行モータ、モータインバータおよび車載バッテリの冷却用冷媒回路を兼ねている第2変形例について説明する。
(6−1)第1変形例
図6は、第1変形例に係る空気調和装置10の構成図である。図6において、第1実施形態と第1変形例との主な違いは、第1変形例の冷媒回路40が駆動部冷却用冷媒路47を有している点、および圧縮機11が圧縮工程途中にガス冷媒を導入するインジェクション・ポートEPを有している点である。
駆動部冷却用冷媒路47は、第1膨張弁17の両側に設けられた分岐点A及びBと第2膨張弁21の両側に設けられた分岐点C及びDと圧縮機11のインジェクション・ポートEPとを繋ぐ冷媒路である。駆動部冷却用冷媒路47では、分岐点A側から第1逆止弁31、駆動部冷却用膨張弁33、インバータ熱交換器35、及びモータ熱交換器37が直列に接続されている。また、分岐点Bは第2逆止弁32によって、分岐点Cは第3逆止弁34によって、分岐点Dは第4逆止弁36によって、それぞれ駆動部冷却用膨張弁33と連絡されている。なお、第1逆止弁31、第2逆止弁32、第3逆止弁34、第4逆止弁36は全て合流点Eの下流側が繋がっている。また、分岐点Cと第3逆止弁34との間及び分岐点Dと第4逆止弁36との間にはキャピラリ等の圧力損失要素が設けられており、ガス冷媒が流れにくく構成されている。
したがって、主熱交換器15から第1膨張弁17に向って流れる冷媒の一部は、分岐点Aから駆動部冷却用冷媒路47に流れる。他方、第2四路切換弁18から第1膨張弁17に向って流れる冷媒の一部は分岐点Bから、第1吸着熱交換器19から第2膨張弁21に向かって流れる冷媒の一部は分岐点Cから、第2吸着熱交換器23から第2膨張弁21に向かって流れる冷媒の一部は分岐点Dから、それぞれ駆動部冷却用冷媒路47に流れる。
インバータ熱交換器35は、インバータ85を温調するための熱交換器である。インバータ85は、走行モータ87に所定の波形に制御された交流出力を供給する。モータ熱交換器37は、走行モータ87を温調するための熱交換器である。
インバータ85及び走行モータ87は冷却しなければ温度が上昇し続け破損するが、例えば100℃以下に保持すれば破損しないので、それらの冷却には高圧液冷媒を利用すればよい。それゆえ、駆動部冷却用膨張弁33は、減圧器ではなく流量調整弁として機能し、モータ熱交換器37の出口冷媒が過熱ガス冷媒となるように流量を制御する。なお、インバータ熱交換器35とモータ熱交換器37とは一体の熱交換器であってもよい。
このような状態の冷媒回路において、例えば、第3冷房運転時および通常暖房運転時には分岐点Bから第2逆止弁32を介して高圧の液冷媒が駆動部冷却用冷媒路47に流入し、デフロスト運転時には分岐点Aから第1逆止弁31を介して高圧の液冷媒が流入する。
また、第2冷房運転時、第2暖房除湿運転時および第1暖房加湿運転時には分岐点Cから第3逆止弁34を介して高圧の液冷媒が駆動部冷却用冷媒路47に流入し、第1冷房運転時、第1暖房除湿運転時および第2暖房加湿運転時には分岐点Dから第4逆止弁36を介して高圧の液冷媒が流入する。
この高圧の液冷媒は、駆動部冷却用膨張弁33で流量調整され、インバータ熱交換器35、及びモータ熱交換器37に入り、インバータ85及び走行モータ87と熱交換し、インバータ85及び走行モータ87それぞれの温度を破損しない温度に維持する。
モータ熱交換器37を出た冷媒は、圧縮機11のインジェクション・ポートEPから圧縮工程途中に噴射される。冷媒は、圧縮機11の中間圧に噴射されるので、圧縮機11の動力増加が抑制される。
以上のように、第1変形例に係る空気調和装置10では、冷媒回路40が駆動部冷却用冷媒路47を有している。それゆえ、この空気調和装置では、空気調和とは別に、インバータ85及び走行モータ87の温度を所定の温度に維持することができる。
(6−2)第2変形例
図7は、第2変形例に係る空気調和装置10の構成図である。図7において、第1変形例と第2変形例との主な違いは、冷媒回路40がバッテリ温調用冷媒路42をさらに有している点である。
バッテリ温調用冷媒路42は、合流点Eから延びる冷媒路であって、合流点E側から第4膨張弁25、バッテリ熱交換器27及び第5膨張弁29の順に接続され、第5膨張弁29の下流側で第1分岐路471、第2分岐路472、及び第3分岐路473の3方向に分岐している。
第1分岐路471は、第3逆止弁203を含み、その下流側が主熱交換器15と第1膨張弁17との間に接続されている。また、第2分岐路472は、第4逆止弁204を含み、その下流側が第2吸着熱交換器23と第2膨張弁21との間に接続されている。さらに、第3分岐路473は、第3逆止弁205を含み、その下流側が第1吸着熱交換器19と第2膨張弁21との間に接続されている。
このような状態の冷媒回路において、高圧の液冷媒が合流点Eからバッテリ温調用冷媒路42に流入し、第4膨張弁25で中間圧力まで減圧された後、バッテリ熱交換器27に入る。中間圧まで低下した冷媒は2相冷媒となってバッテリ熱交換器27を流れる。この2相冷媒は、バッテリ熱交換器27を介して車載バッテリ80と熱交換する。車載バッテリ80は、バッテリ熱交換器27によって冷却あるいは加熱され所定温度に調節される。なお、本実施形態では、第4膨張弁25の開度を適宜制御することによって、中間圧力が調整され、冷媒温度が調整される。この作用により車載バッテリ80を20℃〜40℃の範囲内の任意温度に調節している。バッテリ熱交換器27を出た中間圧の冷媒は、第5膨張弁29によって主熱交換器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれか最も圧力の低い熱交換器で蒸発可能な圧力まで減圧される。
例えば、第1冷房運転時、第2冷房運転時、第3冷房運転時および通常暖房運転時には、第5膨張弁29によって減圧された冷媒は、第1分岐路421を経て主熱交換器15に入り、そこで蒸発する。また、第2暖房除湿運転時、第1暖房加湿運転時およびデフロスト運転時には、第5膨張弁29によって減圧された冷媒は、第2分岐路422及び第3分岐路423を並列に流れて第1吸着熱交換器19に入り、そこで蒸発する。さらに、第1暖房除湿運転時および第2暖房加湿運転時には、第5膨張弁29によって減圧された冷媒は、第2分岐路422を流れて第2吸着熱交換器23に入り、そこで蒸発する。また、第2暖房除湿運転時および第1暖房加湿運転時には、第5膨張弁29によって減圧された冷媒は、第3分岐路423を流れて第1吸着熱交換器19に入り、そこで蒸発する。
<第2実施形態>
(1)空気調和装置110の概要
(1−1)全体構成
図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置110の構成図である。また、図9は空気調和装置110の風路構成図である。図8において、空気調和装置100は、電気自動車用のエアコンであって、冷媒回路140と、排気ファンと、吸気ファンと、制御部170と、風路180とを備えている。排気ファンおよび吸気ファンは、第1実施形態と同じであるので、図示せず、説明も省略する。
(1−2)冷媒回路140
冷媒回路140では、圧縮機11、第1主熱交換機15、第2主熱交換器16、第1膨張弁17、四路切換弁18、第1吸着熱交換器19、第2膨張弁21、及び第2吸着熱交換器23が環状に繋がっている。
(1−3)制御部170
制御部170は、第1膨張弁17の弁開度、圧縮機11、排気ファン、及び吸気ファンの回転数を制御して、冷媒回路140を循環する冷媒の流れや、主熱交換器15、第1吸着熱交換器19、及び第2吸着熱交換器23の熱交換量や、風路180内の各ダンパの切換方向を制御する。
(1−4)風路180
図9において、風路180は、室内吸気口80a、外気取込口80b、室内供給口80c、および室外排気口80dを有している。
さらに、風路180は、第1風路81と、第2風路82と、第1風路83とを有している。第1風路81、第2風路82及び第1風路83は、室内吸気口80aまたは外気取込口80bから入った空気を室内供給口80cまたは室外排気口80dに導く。
また、風路180は、第1ダンパ91、第2ダンパ92、第3ダンパ93、第4ダンパ94、第5ダンパ95、吸気切換ダンパ97、給排切換弁200を有している。第1ダンパ91、第2ダンパ92及び第3ダンパ93それぞれは第1風路81、第2風路82及び第3風路83それぞれの入口に配置されている。
第4ダンパ94及び第5ダンパ95それぞれは第1風路81及び第2風路82それぞれの出口に配置されている。給排切換弁200は、室内供給口80c及び室外排気口80dの手前に配置されている。
吸気切換ダンパ97は、室内吸気口80a及び外気取込口80bの下流に位置し、第1風路81、第2風路82及び第3風路83に流す空気を、室内吸気口80a及び外気取込口80bのいずれか一方から取り入れた空気に切り換える。
(2)冷媒回路140の詳細構成
(2−1)圧縮機11
圧縮機11は、ガス冷媒を吸入して圧縮する。
(2−2)主凝縮器15及び主蒸発器16
主凝縮器15及び主蒸発器16は、積層型熱交換器であって、空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮(超臨界冷媒の場合は放熱)又は蒸発させることができる。積層型熱交換器については多くの文献が存在するので、ここでは説明を省略する。なお、主凝縮器15及び主蒸発器16は積層型熱交換器に限定されるものではなく、他の熱交換器であってもよい。
(2−3)第1膨張弁17
第1膨張弁17は、開度可変式の電動膨張弁であり、四路切換弁18と主蒸発器16との間に接続されている。第1膨張弁17は、運転モードによって、冷媒圧力を主蒸発器16で蒸発可能な圧力まで減圧する。
(2−4)四路切換弁18
四路切換弁18は、運転モードによって、主凝縮器15から送られてくる冷媒を、第1吸着熱交換器19に流す方向および第2吸着熱交換器23に流す方向のいずれか一方に切り換える。
(2−5)第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23
第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23は、積層型熱交換器であって、空気との熱交換によって内部を流れる冷媒を凝縮(超臨界冷媒の場合は放熱)又は蒸発させることができる。第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23では、各伝熱フィンの表面に吸着剤が担持されており、伝熱フィンの間を通過する空気が伝熱フィンに担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水蒸気を吸着できるものが用いられる。第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23は、調湿用部材を構成している。
なお、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23は、積層型熱交換器に限定されるものではなく、他の熱交換器であってもよい。
(2−6)第2膨張弁21
第2膨張弁21は、開度可変式の電動膨張弁であり、第1吸着熱交換器19と第2吸着熱交換器23との間に接続されている。第2膨張弁21が全開のとき、第1吸着熱交換器19と第2吸着熱交換器23とは共に、蒸発器および凝縮器のいずれか一方になる。また、第2膨張弁21が開度を絞っているとき、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれか一方が蒸発器となり、他方が凝縮器となる。
(3)風路180の詳細構成
先ず、説明の便宜上、車内に供給するために車内吸気口または外気取込口から取り入れられた空気を給気とよび、最終的に車外へ排出されるために外気取込口から取り入れられた空気を外気とよぶ。
(3−1)第1風路81、第1ダンパ91及び第4ダンパ94
第1風路81では、入口に第1ダンパ91が、途中に第1吸着熱交換器19が、出口に第4ダンパ94が配置されている。
第1風路81の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bと繋がっており、第1ダンパ91が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が第1吸着熱交換器19に向って流れる。他方、第1ダンパ91が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が第1吸着熱交換器19に向って流れる。
第1風路81の出口は凝縮器風路811及び蒸発器風路822の入口と繋がっている。第4ダンパ94が蒸発器風路822の入口を閉じたとき第1吸着熱交換器19を通った空気は凝縮器風路811へ流れる。他方、第4ダンパ94が凝縮器風路811の入口を閉じたとき第1吸着熱交換器19を通った空気は蒸発器風路822へ流れる。
(3−2)第2風路82、第2ダンパ92及び第5ダンパ95
第2風路82では、入口に第2ダンパ92が、途中に第2吸着熱交換器23が、出口に第5ダンパ95が配置されている。
また、第2風路82の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bとダクトで繋がっており、第2ダンパ92が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が第2吸着熱交換器23に向って流れる。他方、第2ダンパ92が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が第2吸着熱交換器23に向って流れる。
第2風路82の出口は凝縮器風路811及び蒸発器風路822の入口と繋がっている。第5ダンパ95が蒸発器風路822の入口を閉じたとき第2吸着熱交換器23を通った空気は凝縮器風路811へ流れる。他方、第5ダンパ95が凝縮器風路811の入口を閉じたとき第2吸着熱交換器23を通った空気は蒸発器風路822へ流れる。
(3−3)第3風路83、第3ダンパ93、第3風路開閉ダンパ98
第3風路83では、入口に第3ダンパ93が、途中に第3風路開閉ダンパ98が配置されている。第3風路83の入口は室内吸気口80aおよび外気取込口80bとダクトで繋がっており、第3ダンパ93が室内吸気口80a側ダクトを閉じたとき外気が主熱交換器15に向って流れる。他方、第3ダンパ93が外気取込口80b側ダクトを閉じたとき給気が主蒸発器16に向って流れる。第3風路83の出口は蒸発器風路822に繋がっている。
(3−4)給排切換弁200
給排切換弁200は、四路切換弁である。図9に示すように、実線で示された状態(第1状態とよぶ)のとき、凝縮器風路811と室外排出路201とを接続するとともに蒸発器風路822と室内供給路203とを接続する。
また、点線で示された状態(第2状態とよぶ)のとき凝縮器風路811と室内供給路303とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続する。
(4)空気調和装置の動作
空気調和装置の動作を、図8、図9、図10及び図11を参照しながら説明する。図10は、各運転モードにおける各熱交換器および各ダンパの働きを示す機能表である。ここで、各熱交換器および各ダンパの働きを示すとは、主凝縮器15、主蒸発器16、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23それぞれが蒸発器および凝縮器のいずれの機能を果たしているのか、各ダンパが空気をどの方向に流すのかを示すことである。
また、図11は、各運動モードにおける空気の流れを示すブロック図である。図10及び図11において、各部の名称は記号で表されており、D1は第1吸着熱交換器19、D2は第2吸着熱交換器23、Condは主凝縮器15、Evaは主蒸発器16、V0は給排切換弁200、V1〜V5は第1ダンパ91〜第5ダンパ95を示す。さらに、図11において「給」は給気、「外」は外気、「室内」は室内供給を、「室外」は室外排気を意味する。
(4−1)第1冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図8において、第1冷房運転時、四路切換弁18は、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられている(図1実線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は蒸発器風路822との連通位置に、第5ダンパ95は凝縮器風路811との連通位置に切り換えられている。また、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第1状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室外排出路201とを接続するとともに蒸発器風路822と室内供給路203とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は主凝縮器15、四路切換弁18及び第2吸着熱交換器23の順に流れる。
高圧の冷媒は、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23で外気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図11参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。
第1吸着熱交換器19で除湿された給気は、蒸発器風路822を経て主蒸発器16に至り、そこで熱交換をする(図11参照)が、すでに第1吸着熱交換器19での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。このため、主蒸発器16では、潜熱処理がほとんど行われずに顕熱処理のみが行われることになり、主蒸発器16においてほとんど凝縮水が発生しない。
主蒸発器16で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−2)第2冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1吸着熱交換器19で水分を吸着し、第2吸着熱交換器23で水分を放出する形態が継続されると、第1吸着熱交換器19の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第1吸着熱交換器19の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置110では、第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能し第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能する第1冷房運転モードが、定期的に、第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能し第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能する第2冷房運転モードに切り替わる。
以下、第2冷房運転モードについて説明する。図8において、第2冷房運転では、第1冷房運転モードの状態から、四路切換弁18によって、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられる(図1点線)。その結果、主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19が冷媒の凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23及び主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は凝縮器風路811との連通位置に、第5ダンパ95は蒸発器風路822との連通位置に切り換えられている。また、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第1状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室外排出路201とを接続するとともに蒸発器風路822と室内供給路203とを接続している。
このような状態の冷媒回路40および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は主凝縮器15、四路切換弁18及び第1吸着熱交換器19の順に流れる。
高圧の冷媒は、主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19で外気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図11参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23及び主蒸発器16に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された給気は、蒸発器風路822を経て主蒸発器16に至り、そこで熱交換をする(図11参照)が、すでに第2吸着熱交換器23での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。このため、主蒸発器16では、潜熱処理がほとんど行われずに顕熱処理のみが行われることになり、主蒸発器16においてほとんど凝縮水が発生しない。
主蒸発器16で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。第2吸着熱交換器23及び主熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−3)第3冷房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1冷房運転モードおよび第2冷房運転モードでは、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23のいずれか一方で潜熱処理を行い、主蒸発器16で顕熱処理を行っていたが、空調負荷が大きいときなどは、主蒸発器16で潜熱処理と顕熱処理とを行うのが好ましい。つまり、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23を凝縮器として、主蒸発器16を蒸発器として機能させる。
以下、第3冷房運転モードについて説明する。図8において、四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれかへ流せる状態に切り換えられている。また、第2膨張弁21は全開であり、第1膨張弁17は冷媒を主蒸発器16で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能し、主蒸発器16が蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は外気取り込み位置、第3ダンパ93は給気取り込み位置、第4ダンパ94及び第5ダンパ95はともに凝縮器風路811との位置連通に、第3風路開閉ダンパ98は全開位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第1状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室外排出路201とを接続するとともに蒸発器風路822と室内供給路203とを接続している。
このような状態の冷媒回路40および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、主凝縮器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に送られる。
主凝縮器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。凝縮した高圧の冷媒は、第1膨張弁17に送られ減圧され、主蒸発器16に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。主蒸発器16では、潜熱処理と顕熱処理とが行われる。
主蒸発器16で冷却された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を冷却する。主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−4)通常暖房運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図8において、暖房運転時、四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23のいずれかへ流せる状態に切り換えられている。また、第2膨張弁21は全開であり、第1膨張弁17は冷媒を主蒸発器16で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主凝縮器15、第1吸着熱交換器19および第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93は外気取り込み位置、第4ダンパ94及び第5ダンパ95はともに凝縮器風路811との位置連通に、第3風路開閉ダンパ98は全開位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、主凝縮器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に送られる。
主凝縮器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を暖める。
凝縮した高圧の冷媒は、第1膨張弁17に送られ減圧され、主蒸発器16に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び圧縮機11に吸入される。
(4−5)第1暖房除湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図8において、第1暖房除湿運転時、四路切換弁18は、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられている(図8実線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第1吸着熱交換器19で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は凝縮器風路811との連通位置に、第5ダンパ95は蒸発器風路822との連通位置に、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23に送られる。
主凝縮器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図11参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19で給気と熱交換を行って蒸発する。続いて主蒸発器16に入った冷媒は、そこで外気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器19で除湿された給気は、凝縮器風路811を経て主凝縮器15に至り、そこで熱交換をする(図11参照)が、すでに第1吸着熱交換器19での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。主熱交換器15で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を除湿しながら暖める。第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−6)第2暖房除湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第1吸着熱交換器19で水分を吸着し、第2吸着熱交換器23で水分を放出する形態が継続されると、第1吸着熱交換器19の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第1吸着熱交換器19の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置110では、第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能し第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能する第1暖房除湿運転モードが、定期的に、第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能し第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能する第2暖房除湿運転モードに切り替わる。
以下、第2暖房除湿運転モードについて説明する。図8において、第2暖房除湿運転では、第1暖房除湿運転モードの状態から、四路切換弁18よって、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられる(図8点線)。その結果、主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19が冷媒の凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23及び主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。また、図10において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は蒸発器風路822との連通位置、第5ダンパ95は凝縮器風路811との位置連通、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19に送られる。
主凝縮器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19に入った高圧の冷媒は、そこで外気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が外気に付与され、水分を含んだ外気は室外へ排出される(図11参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23に入り、そこで給気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された給気は、凝縮器風路822を経て主凝縮器15に至り、そこで熱交換をする(図11参照)が、すでに第2吸着熱交換器23での熱交換によって除湿された結果、絶対湿度が低い状態(すなわち、乾燥した状態)にある。主熱交換器15で加熱された空気は、室内(車内乗車室)に吹き出され車内乗車室を除湿しながら暖める。第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁13を経て、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−7)デフロスト運転時の冷媒の流れと空気の流れ
制御部170は、通常暖房運転時に主蒸発器16への着霜を検知したとき、または着霜を推定したとき、排気ファン及び吸気ファンを停止して通常暖房運転時と同じ冷媒循環サイクルのまま運転を行う、デフロスト運転を行う。このとき、第1膨張弁17及び第2膨張弁21はともに全開となり、いわゆる正サイクルデフロストを構成する。
また、図10において、第1ダンパ91及び第2ダンパ92は通常暖房運転時と同じ給気取り込み位置である。第3ダンパ93は給気取り込み位置、第4ダンパ94及び第5ダンパ95は蒸発器風路822の連通位置に切り換えられる。また、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられる。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、冷媒の流れは通常暖房運転と同じであるので、冷媒は、主凝縮器15、第1吸着熱交換器19及び第2吸着熱交換器23を流れるが、排気ファン及び吸気ファンがともに停止しているので、積極的な熱交換は行なわれない。このため圧縮機11から吐出された高温の冷媒はほぼ熱を失うことなく主蒸発器16に送られ、この熱が主蒸発器16に付着した霜を融解させる。
(4−8)第1暖房加湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
図8において、四路切換弁18は、冷媒を第1吸着熱交換器19側へ流せる状態に切り換えられている(図8点線)。また、第1膨張弁17は全開であり、第2膨張弁21は冷媒を第2吸着熱交換器23で蒸発可能な圧力まで減圧する。その結果、主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能し、第2吸着熱交換器23及び主蒸発器16が蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91は給気取り込み位置に、第2ダンパ92は外気取り込み位置に、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は凝縮器風路811との連通位置に、第5ダンパ95は蒸発器風路822との連通位置、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、主凝縮器15及び第1吸着熱交換器19に送られる。
主凝縮器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が給気に付与され、水分を含んだ給気は室内へ供給される(図11参照)。
第1吸着熱交換器19において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第2吸着熱交換器23及び主蒸発器16に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で冷却された吸着剤に外気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器23で除湿された外気は、室外に吹き出される。主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(4−9)第2暖房加湿運転時の冷媒の流れと空気の流れ
第2吸着熱交換器23で水分を吸着し、第1吸着熱交換器19で水分を放出する形態が継続されると、第2吸着熱交換器23の吸着剤が吸着された水分で飽和するので、定期的に第2吸着熱交換器23の吸着剤から水分を放出させておく必要がある。この空調調和装置110では、第2吸着熱交換器23が蒸発器として機能し第1吸着熱交換器19が凝縮器として機能する第1暖房加湿運転モードが、定期的に、第2吸着熱交換器23が凝縮器として機能し第1吸着熱交換器19が蒸発器として機能する第2暖房加湿運転モードに切り替わる。
以下、第2暖房加湿運転モードについて説明する。図8において、第2暖房加湿運転では、第1暖房加湿運転モードの状態から、四路切換弁18によって、冷媒を第2吸着熱交換器23側へ流せる状態に切り換えられる(図8実線)。その結果、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23が冷媒の凝縮器として機能し、第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16が冷媒の蒸発器として機能する。
また、図10において、第1ダンパ91は外気取り込み位置、第2ダンパ92は給気取り込み位置、第3ダンパ93はフリー、第4ダンパ94は蒸発器風路822との連通位置、第5ダンパ95は凝縮器風路811との位置連通、第3風路開閉ダンパ98は全閉位置に切り換えられている。また、給排切換弁200は第2状態に切り換えられ、凝縮器風路811と室内供給路203とを接続するとともに蒸発器風路822と室外排出路201とを接続している。
このような状態の冷媒回路140および風路180において、低圧の冷媒は、圧縮機11に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機11から吐出された高圧の冷媒は、主凝縮器15及び第2吸着熱交換器23に送られる。
主熱交換器15に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23に入った高圧の冷媒は、そこで給気と熱交換を行って凝縮する。第2吸着熱交換器23では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が離脱し、この離脱した水分が給気に付与され、水分を含んだ給気は室内へ供給される(図11参照)。
第2吸着熱交換器23において凝縮した高圧の冷媒は、第2膨張弁21に送られ減圧され、第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16に入り、そこで外気と熱交換して蒸発する。第1吸着熱交換器19では、冷媒で冷却された吸着剤に給気内の水分が吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器19で除湿された外気は、室外に吹き出される。第1吸着熱交換器19及び主蒸発器16において蒸発した低圧の冷媒は、再び、圧縮機11に吸入される。
(5)第2実施形態の変形例
第1実施形態と同様に第2実施形態に係る空気調和装置は電気自動車用のエアコンである。電気自動車用のエアコンでは、走行モータ、モータインバータおよび車載バッテリを冷却する必要がある。
ここでは、空気調和用の冷媒回路140が走行モータ及びモータインバータの冷却用冷媒回路を兼ねている第1変形例と、空気調和用の冷媒回路140が走行モータ、モータインバータおよび車載バッテリの冷却用冷媒回路を兼ねている第2変形例について説明する。
(5−1)第1変形例
図12は、第1変形例に係る空気調和装置110の構成図である。図12において、第2実施形態と第1変形例との違いは、第1変形例の冷媒回路140が駆動部冷却用冷媒路147を有している点、および圧縮機11が圧縮工程途中にガス冷媒を導入するインジェクション・ポートEPを有している点である。
駆動部冷却用冷媒路147は、主凝縮器15と四路切換弁18との間に設けられた分岐点Fと圧縮機11のインジェクション・ポートEPとを繋ぐ冷媒路である。駆動部冷却用冷媒路147では、分岐点F側から駆動部冷却用膨張弁33、インバータ熱交換器35、及びモータ熱交換器37が直列に接続されている。
したがって、主凝縮器15から四路切換弁18に向って流れる冷媒の一部は、分岐点Fから駆動部冷却用冷媒路147に流れる。
インバータ熱交換器35は、インバータ85を温調するための熱交換器である。インバータ85は、走行モータ87に所定の波形に制御された交流出力を供給する。モータ熱交換器37は、走行モータ87を温調するための熱交換器である。
インバータ85及び走行モータ87は冷却しなければ温度が上昇し続け破損するが、例えば100℃以下に保持すれば破損しないので、それらの冷却には高圧液冷媒を利用すればよい。それゆえ、駆動部冷却用膨張弁33は、減圧器ではなく流量調整弁として機能し、モータ熱交換器37の出口冷媒が過熱ガス冷媒となるように流量を制御する。なお、インバータ熱交換器35とモータ熱交換器37とは一体の熱交換器であってもよい。
このような状態の冷媒回路において、運転時には分岐点Fから高圧の液冷媒が駆動部冷却用冷媒路147に流入する。
この高圧の液冷媒は、駆動部冷却用膨張弁33で流量調整され、インバータ熱交換器35、及びモータ熱交換器37に入り、インバータ85及び走行モータ87と熱交換し、インバータ85及び走行モータ87それぞれの温度を破損しない温度に維持する。
モータ熱交換器37を出た冷媒は、圧縮機11のインジェクション・ポートEPから圧縮工程途中に噴射される。冷媒は、圧縮機11の中間圧に噴射されるので、圧縮機11の動力増加が抑制される。
以上のように、第1変形例に係る空気調和装置110では、冷媒回路140が駆動部冷却用冷媒路147を有している。それゆえ、この空気調和装置では、空気調和とは別に、インバータ85及び走行モータ87の温度を所定の温度に維持することができる。
(5−2)第2変形例
図13は、第2変形例に係る空気調和装置110の構成図である。図13において、第1変形例と第2変形例との違いは、冷媒回路140がバッテリ温調用冷媒路42をさらに有している点である。
バッテリ温調用冷媒路42は、主凝縮器15と四路切換弁18との間に設けられた分岐点Fから主蒸発器16の入口に至る冷媒路であって、分岐点F側から第4膨張弁25、バッテリ熱交換器27及び第5膨張弁29が順に接続されている。
このような状態の冷媒回路において、高圧の液冷媒が分岐点Fからバッテリ温調用冷媒路42に流入し、第4膨張弁25で中間圧力まで減圧された後、バッテリ熱交換器27に入る。中間圧まで低下した冷媒は2相冷媒となってバッテリ熱交換器27を流れる。この2相冷媒は、バッテリ熱交換器27を介して車載バッテリ80と熱交換する。車載バッテリ80は、バッテリ熱交換器27によって冷却あるいは加熱され所定温度に調節される。なお、本実施形態では、第4膨張弁25の開度を適宜制御することによって、中間圧力が調整され、冷媒温度が調整される。この作用により車載バッテリ80を20℃〜40℃の範囲内の任意温度に調節している。バッテリ熱交換器27を出た中間圧の冷媒は、第5膨張弁29によって主蒸発器16で蒸発可能な圧力まで減圧される。
(5−3)第3変形例
第2実施形態では、デフロスト運転時は排気ファン及び吸気ファンを止めるので、暖房が行われない。そこで、第3変形例では、デフロスト運転中も暖房が可能となる構成を提案する。
図14は、第3変形例に係る空気調和装置の風路配置図である。第3変形例は、第6ダンパ96が設けられている点で第2実施形態と異なる。図14において、第6ダンパ96は、第3風路83において第3風路開閉ダンパ98の下流に配置されている。第6ダンパ96は、第3風路83内の空気を凝縮器風路811及び蒸発器風路822のいずれか一方へ導くことができる。
例えば、デフロスト運転時に、給気を第3風路93へ導入し、第6ダンパ96で凝縮器風路811へ導き、凝縮器15を通過した空気を、給排切換弁200を介して室内供給路203へ導くことができる。その結果、蒸発器16で除霜を進行させながら、室内に温風を供給することが可能となる。