JP5772118B2 - 昇降装置の駆動システム及びそれを備えた無動力昇降装置 - Google Patents
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Description
このような駆動システムを用いて昇降装置をインバータ制御する場合、昇降装置が下降する際等に電動機が発電機となって回生エネルギ(電力)がインバータ側に帰ってくる。
ここで、決められたシーケンスに従って速度制御するためには、直流母線回路電圧を所定の定電圧に維持するように制御しなければならないため、回生エネルギの処理方法として、直流主回路に制動ユニットを設置し、直流母線回路電圧が一定値以上に上昇した場合に駆動制御部からの指令で制動ユニットのトランジスタをオンにしてこのトランジスタに直列に接続された抵抗器に回生エネルギを流し込み、熱として消費することで直流母線回路の電圧上昇を防止する方法が多用されている。
その上、電動機単体ごとに回生蓄電したエネルギを各電動機の力行運転時に使い切ることができれば有効なものであるが、回生運転が主体の昇降装置では、蓄電装置の蓄電量が満杯となった時点で回生電力の行き場がなくなり、直流母線間電圧が予め設定された制動ユニットのトランジスタの起動電圧に到達し、この直流母線間電圧が設定電圧以上の間は抵抗器に放電して熱エネルギとして捨ててしまうことになる。
その上、定電圧・定電流電源装置による定電流モード及び定電圧モードを切り替えて行うキャパシタの充電により、電荷が貯まっていない状態でキャパシタに電圧を掛けた際に流れる非常に大きな突入電流を防止することができるため、電源装置の破損を防止することができる。
その上さらに、駆動制御部で予測される昇降装置の電動機の動作並びに駆動制御部の消費分で回生エネルギを消費しきれない場合に、予測される回生エネルギ量がキャパシタの蓄電可能容量を超えると判断した場合のみ、放熱抵抗用スイッチをオンにして放熱抵抗により放熱するように構成しており、負荷となる装置の動作を予測して放熱抵抗に電流を流すタイミングを制御しているため、熱エネルギにして捨てる量を抑制することができる。
このような構成によれば、定電圧・定電流電源装置の昇圧した定電圧出力値の電圧値までキャパシタが充電されて蓄電量が増大してキャパシタによるアシスト電力量を増大させることができ、特別な事態を想定して出力電流定格の大きな定電圧・定電流電源装置を準備する必要がなくなるため製造コストを低減することができる。
一端にケージCが取り付けられたローラーチェーン(ベルト等であってもよい。)Rが、高位置のスプロケットP1、低位置のスプロケットP2及び高位置のスプロケットP3に掛け渡され、ローラーチェーンRの他端にはウェイトBが取り付けられており、スプロケットP2には昇降用電動機M1が連結され、ケージCのスライドフォークはスライドフォーク用電動機M2により駆動される。
このような構成の荷下ろしリフタ1は、高位置でケージCにワークWを積載して下降する動作は勿論、低位置でワークWを受け渡して空荷でケージCが上昇する動作の際にも回生運転となるように重量バランスが設定されている回生運転が主体の昇降装置であり、図2に示す本発明の実施の形態に係る昇降装置の駆動システム2により駆動制御される。
なお、回生エネルギ蓄電用のキャパシタはリチウムキャパシタ6に限定されるものではなく、このキャパシタには、リチウムイオンキャパシタ6の他、電気二重層キャパシタ及び急速充放電が可能な特性を持った2次電池も含まれる。
すなわち、出力側にダイオードを経由して接続されたリチウムイオンキャパシタ6は内部抵抗が非常に小さいことから、電荷が貯まっていない状態で電圧を掛けると非常に大きな突入電流が流れて電源装置を破損してしまう危険性があるため、定電圧・定電流電源装置4を用いており、最初に電圧を印加するときは予め設定された定電流モードにて一定電流でリチウムイオンキャパシタ6を充電して行き、予め設定された電圧値(例えば、V1=282V)まで充電が進んだときには出力電圧を一定とする定電圧モードに切り替えるようにして突入電流が流れるのを防止している。
また、蓄電装置Sの蓄電装置制御部8は、定電圧・定電流電源装置4から出力される信号が「定電流」から「定電圧」に切り替わったことを判断してスイッチ7をオンにするように制御しており、これによりリチウムイオンキャパシタ6の初期充電中は駆動制御部11が機能しないようにインターフェース12を介してインターロックを取っている。
なお、直流母線の電流及び電圧は、電流計A及び電圧計Vにより測定され、その信号が蓄電装置制御部8へ送られる。
ここで、放熱抵抗14に電流を流すタイミングは、蓄電装置制御部8によりリチウムイオンキャパシタ6の電圧(蓄電量)を監視しておき、駆動制御部11で予測される荷下ろしリフタ1の電動機M1及びM2の動作並びに駆動制御部11の消費分で回生エネルギを消費しきれない場合に、予測される回生エネルギ量がリチウムイオンキャパシタ6の蓄電可能容量を超えると判断した場合のみ、放熱抵抗用スイッチ13をオンにする。
このような構成によって、直流母線回路電圧が予め設定された電圧値を超えた場合に必然的に放電(放熱)するのではなく、負荷となる装置の動作を予測して放熱抵抗14に電流を流すタイミングを制御しているため、熱エネルギにして捨てる量を抑制することができる。
(1)電流の流れI1に関して
定電圧・定電流電源装置4の一次電源投入により、リチウムイオンキャパシタ6の定電流充電が開始され、その後、リチウムイオンキャパシタ6の電位が設定値(例えば、V1=282V)に到達すると、定電圧・定電流電源装置4は定電圧出力に切り替わる。
定電流モードから定電圧モードへの切替りを検出すると、蓄電装置制御部8(図2参照。)でスイッチ7をオンにして負荷側へ電力を供給する。
その後、蓄電装置制御部8はインターフェース12を介して駆動制御部11(図2参照。)に対してインバータ運転可信号を出力する。
図4において、リチウムイオンキャパシタ6に回生電力が蓄電されていない状態においてはV1=V2となっており、負荷側から回生電力が帰ってくると、リチウムイオンキャパシタ6に蓄電され、リチウムイオンキャパシタ6の電位は定電圧出力値(V1=282V)を超えて上昇する。何らかの状況下で、駆動制御部11(図2参照。)が通常の蓄電可能量を超えて回生エネルギが発生すると判断した場合に、蓄電装置制御部8に対して「過大回生予告信号」を出力し、蓄電装置制御部8からの指令「出力電圧・降圧指示」により定電圧・定電流電源装置4がその定電圧出力値V1を予め設定された電圧値まで例えば数%程度低下させる(例えば、V1を282Vから270Vに変更する)ように構成することができる。
このような構成により、降圧した定電圧出力値V1の電圧値(例えば、270V)までリチウムイオンキャパシタ6の蓄電エネルギが優先的に負荷に供給される(具体的には、電動機M1,M2及びインバータ部9並びに駆動制御部11等の負荷に供給して消費し、それでも足りない場合は、図2の放熱抵抗用スイッチ13をオンにして放熱抵抗14に放電する)ことから、リチウムイオンキャパシタ6の蓄電量が減少するため、回生電力の蓄電スペースを増大させることができる。
よって、特別な事態を想定して容量の大きなリチウムイオンキャパシタ6を準備する必要がなくなるため製造コストを低減することができる。
回生電力が蓄電された状態(リチウムイオンキャパシタ6の電位がV1=282V以上の状態)で負荷側に電流が流れると、電位の高いリチウムイオンキャパシタ6側の電力から消費されるとともに、回生電力を双方向DC/DCコンバータを通して充放電しないことから双方向DC/DCコンバータによる電圧変換ロスがないため、リチウムイオンキャパシタ6に蓄電された回生電力が有効に活用される。
(4)電流の流れI4に関して
定電圧・定電流電源装置4が定電圧モードで動作中であってリチウムイオンキャパシタ6に蓄電された回生電力が(3)の動作により消費され、さらにキャパシタ電位Vc<電源装置出力電圧Voとなっている状態においては、負荷側へ消費電流が流れた場合は定電圧・定電流電源装置4から電力が供給される。
さらに、負荷電流が定電圧・定電流電源装置4の電流制限値(例えば、25A)を超えて流れた場合を想定すると、定電圧・定電流電源装置4の出力電圧は低下(垂下特性)するので、Vc>Voとなった時点でキャパシタ6側からアシスト電流が負荷側へ流れることになる。
この結果、キャパシタ電位Vcは282Vよりさらに低下することになるため、何らかの原因で設計量を超えるアシスト電流(電力)がキャパシタ6から供給されて直流母線電圧Vdcが設定値(例えば、V3=260V)を下回ると、蓄電装置制御部8がインターフェース12を介して駆動制御部11に対して過放電アラームを出力してインバータ運転可信号をオフにするため電動機M1,M2の運転が停止する。
このような状況下で、例えば、負荷に複数の電動機が接続され、これらが同時に起動する場合でリチウムイオンキャパシタ6のアシストがないと定電圧・定電流電源装置4の出力電流定格を超えるような場合、駆動制御部11(図2参照。)から蓄電装置制御部8に対して「アシスト要求信号」を出力し、蓄電装置制御部8からの指令「出力電圧・昇圧指示」により定電圧・定電流電源装置4がその定電圧出力値V1を予め設定された電圧値まで例えば数%程度上昇させる(例えば、V1を282Vから290Vに変更する)ように構成することができる。
このような構成により、昇圧した定電圧出力値V1の電圧値(例えば、290V)までリチウムイオンキャパシタ6が充電されて蓄電量が増大するため、リチウムイオンキャパシタ6によるアシスト電力量を増大させることができる。
よって、特別な事態を想定して出力電流定格の大きな定電圧・定電流電源装置4を準備する必要がなくなるため製造コストを低減することができる。
(4)の動作において、リチウムイオンキャパシタ6がアシストしながら荷下ろしリフタ1の動作が終了すると、キャパシタ電位Vcは定電圧出力値(例えば、V1=282V)より低下している。また、荷下ろしリフタ1の動作が止まれば負荷電流は電源装置の電流制限値(例えば、25A)未満に低下するので、定電圧・定電流電源装置4の出力電圧Voは設定値(例えば、V1=282V)まで回復する。その結果、Vo>Vcとなるので、ここで再度リチウムイオンキャパシタ6への充電が行われる。
すなわち、定電圧・定電流電源装置4によりリチウムイオンキャパシタ6を最初に1回充電しておくことにより、定電圧・定電流電源装置4に対する一次側からの電源供給がなくても、荷下ろしリフタ1の動作により発生する回生エネルギの再利用により、この装置を連続して運転することができる無動力(無電源)昇降装置が構成される。
B ウェイト
C ケージ
M1 昇降用電動機
M2 スライドフォーク用電動機
P1,P2,P3 スプロケット
S 蓄電装置
V 電圧計
R ローラーチェーン
W ワーク
1 荷下ろしリフタ(無動力昇降装置)
2 昇降装置の駆動システム
3 商用交流電源
4 定電圧・定電流電源装置
5 逆流防止ダイオード(逆流防止手段)
6 リチウムイオンキャパシタ(キャパシタ)
7 スイッチ
8 蓄電装置制御部
9 インバータ部
9A,9B インバータ
10 DC/DCコンバータ
11 駆動制御部
12 インターフェース
13 放熱抵抗用スイッチ
14 放熱抵抗
Claims (3)
- 一次電源が供給される定電圧・定電流電源装置と、
該定電圧・定電流電源装置の出力側に接続された逆流防止手段と、
該逆流防止手段の二次側に接続され、その二次側に昇降装置の負荷が接続されるスイッチと、
前記逆流防止手段と前記スイッチの間に接続された回生エネルギ蓄電用のキャパシタと、
前記定電圧・定電流電源装置を制御する蓄電装置制御部と、
前記スイッチの負荷側に接続された、昇降装置の電動機駆動用インバータ部と、
該インバータ部と同じ直流母線回路に接続された駆動制御部と、
該駆動制御部に並列に接続された放熱抵抗及び前記駆動制御部によって制御される放熱抵抗用スイッチとを備え、
前記一次電源がオンになると、前記定電圧・定電流電源装置から予め設定された定電流モードにて一定電流で前記キャパシタを充電し、予め設定された電圧値まで充電が進むと、前記定電圧・定電流電源装置から出力電圧が一定の定電圧モードに切り替えて前記キャパシタを充電し、前記定電圧・定電流電源装置が定電圧モードに切り替わると、前記蓄電装置制御部が前記スイッチをオンにし、
前記蓄電装置制御部で前記キャパシタの蓄電量を監視しておき、前記駆動制御部で予測される前記昇降装置の電動機の動作並びに前記駆動制御部の消費分で回生エネルギを消費しきれない場合に、予測される回生エネルギ量が前記キャパシタの蓄電可能容量を超えると判断した場合のみ、前記放熱抵抗用スイッチをオンにし、
前記駆動制御部が通常の蓄電可能量を超えて回生エネルギが発生すると判断した場合に、前記蓄電装置制御部に対して「過大回生予告信号」を出力し、この信号を受けた前記蓄電装置制御部からの「出力電圧・降圧指示」により前記定電圧・定電流電源装置がその定電圧出力値を予め設定された電圧値まで低下させることを特徴とする昇降装置の駆動システム。 - 前記キャパシタのアシストがないと前記定電圧・定電流電源装置の出力電流定格を超える場合に、前記駆動制御部が前記蓄電装置制御部に対して「アシスト要求信号」を出力し、この信号を受けた前記蓄電装置制御部からの「出力電圧・昇圧指示」により前記定電圧・定電流電源装置がその定電圧出力値を予め設定された電圧値まで上昇させる請求項1記載の昇降装置の駆動システム。
- 請求項1又は2の昇降装置の駆動システムを用いて駆動される昇降装置であって、
該昇降装置が、前記定電圧・定電流電源装置から前記キャパシタへの初回の充電によりそれ以降は前記定電圧・定電流電源装置への一次電源供給が不要になる回生運転が主体の昇降装置である、昇降装置の駆動システムを備えた無動力昇降装置。
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