以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における検出装置の平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3は図2のIII部の拡大断面図、図4は図3のIV部の拡大断面図、図5は図4のV−V線に沿った断面図、図6〜図8は本実施形態における環状突起の変形例を示す断面図である。
本実施形態における検出装置1は、例えば、ナイトビジョン(Night vision)や、人間の体温を検知するために用いられる装置であり、図1及び図2に示すように、複数の赤外線センサ22を有する第1の基板2と、第2の基板3と、を接合して、両者の間に赤外線センサ22をパッケージングしたものである。なお、赤外線センサに代えて、画像センサ等をパッケージングしてもよい。
第1の基板2は、図3及び図4に示すように、第1の基板本体20と、上述した赤外線センサ22と、第1の電極23と、配線メタル24と、絶縁層25と、第1のメタル層26と、を有している。
第1の基板本体20は、例えばシリコン(Si)で構成された基板であり、第2の基板3と対向する第1の対向面201を有している。この第1の対向面201には、第1の凹部21が形成されている。
第1の凹部21は、図2及び図3に示すように、第1の対向面201において、赤外線センサ22の下方に位置し、赤外線センサ22と第1の基板本体20とを熱的に絶縁している。
赤外線センサ22は、赤外線を受光して温度が上昇すると、その温度上昇を電気信号に変換する。この赤外線センサ22としては、例えばボロメータやサーミスタを挙げることができる。
赤外線センサ22は、図3に示すように、第1の対向面201の中央部分において、第1の凹部21の開口部分に配置されている。赤外線センサ22は、第1の対向面201、第1の凹部21の底面及び壁面に対して非接触となるように、特に図示しない支持梁によって支持されている。なお、赤外線センサ22の数は特に限定されない。
第1の電極23は、赤外線センサ22から出力された電気信号を、配線メタル24を介して第2の基板3の第2の電極33(後述)に出力する電極であり、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属で構成されている。この第1の電極23は、図4に示すように、絶縁層25内で配線メタル24と接続されている。
この第1の電極23の表面231は、絶縁層25から露出しており、原子レベルで平坦化されて、第2の基板3の第2の電極33と常温接合(表面活性化接合)されている。
図4に示す配線メタル24は、赤外線センサ22と第1の電極23を導通させる部材であり、特に図示しないが、赤外線センサ22と電気的に接続されている。この配線メタル24は、例えば銅やアルミニウムで構成されている。
絶縁層25は、図4に示すように、第1の対向面201に積層されており、絶縁層25の表面251が、後述する環状突起32の先端面321と対応するように形成されている。この絶縁層25は、例えば二酸化珪素(SiO2)で構成されており、第1の電極23と第1のメタル層26とを電気的に絶縁させている。
第1のメタル層26は、第2の基板3の第2のメタル層34(後述)と共に、後述する第2の凹部31と第1の対向面201との間に形成される空間311を密封している。第1のメタル層26の表面261は、原子レベルで平坦化されており、第2のメタル層34の表面341と常温接合によって接合されている。
この第1のメタル層26の表面261は、図4に示すように、第1の電極23の表面231及び絶縁層25の表面251と実質的に同一の平面F1上に位置している。さらに、これらの第1の電極23、絶縁層25及び第1のメタル層26は、当該平面F1上でそれぞれ密着しているため、この平面F1は、連続的に平坦となっている。
本実施形態における第1のメタル層26は、例えば、銅、アルミニウム、金等の第1の電極23と同一の金属で構成されている。
第2の基板3は、第1の基板2との間に赤外線センサ22を収納すると共に、赤外線センサ22へ照射される赤外線を透過させる基板である。この第2の基板3は、図2〜図4に示すように、第2の基板本体30と、第2の電極33と、第2のメタル層34と、を有している。
第2の基板本体30は、赤外線を透過可能な硫化亜鉛(ZnS)で構成されており、第1の基板2と対向する第2の対向面301を有している。この第2の対向面301には、第2の凹部31と、環状突起32と、が形成されている。
第2の凹部31は、図2及び図3に示すように、複数の赤外線センサ22をまとめて取り囲むように第2の対向面301に形成されている。この第2の凹部31は、第1の基板2の第1の対向面201と共に、赤外線センサ22を収容する空間311を区画している。なお、この空間311は、大気よりも減圧された真空状態となっている。
また、第2の凹部31の底面には、赤外線センサ22と対向する部分に、凸レンズ状のマイクロレンズ312が形成されている。本実施形態では、このマイクロレンズ312により、赤外線センサ22に赤外線を集光することを可能としている。なお、図3における点線は、第2の基板3を透過して赤外線センサ22に集光される赤外線の経路を示している。
環状突起32は、図4及び図5に示すように、第2の電極33を囲繞するように、第2の対向面301上に形成された突起であり、第2の電極33と第2のメタル層34の間に位置して、第2の電極33と第2のメタル層34を電気的に絶縁している。本実施形態における環状突起32は、先端面321(断面形状)がリング状となっているが、この先端面321は、特に限定されず、例えば矩形の枠状となっていてもよい。
また、この環状突起32の外周面322は、図4に示すように、第2の基板3の厚み方向Aに対して角度θで傾斜したテーパー状の斜面となっており、環状突起32の幅Wが、第2の対向面301から環状突起32の先端面321に向かうに従って、連続的に狭くなるようになっている。
なお、本実施形態では、環状突起32の外周面322のみをテーパー状の斜面としたが、図6に示すように、内周面323及び外周面322の両方をテーパー状の斜面としてもよい。或いは、図7に示すように、外周面322を厚み方向Aに対して傾斜させず、内周面323のみをテーパー状の斜面としてもよい。
また、図8に示すように、外周面322を、所定の曲率で角度θが変化するように傾斜させてもよい。同様に、特に図示しないが、環状突起の内周面を斜面とした場合には、この内周面を、所定の曲率で角度θが変化するように傾斜させてもよい。
第2の電極33は、図3に示すように、第2の基板3に形成された貫通孔35を介して、第1の電極23から入力された電気信号を、検出装置1の外部に出力する電極である。本実施形態では、図1に示すように、第1の電極23に対応した数の第2の電極33が第2の基板3に設けられている。
この第2の電極33は、図3及び図4に示すように、第1の基板2の第1の電極23と対向するように配置されており、表面331が、原子レベルで平坦化(例えば、算術平均粗さRaが2nm程度)され、上述のように第1の電極23の表面231と常温接合されている。第2の電極33は、例えば銅、アルミニウム又は金等の第1の電極23と同一の金属で構成されている。
第2のメタル層34は、第1のメタル層26と共に、第2の凹部31と第1の対向面201との間に形成される空間311を密封している。この第2のメタル層34の表面341は、原子レベルで平坦化されて、第1の基板2の第1のメタル層26と常温接合されている。
この表面341は、図4に示すように、環状突起32の先端面321及び第2の電極33の表面331と実質的に同一の平面F2上に位置している。さらに、これらの環状突起32、第2の電極33及び第2のメタル層34は、当該平面F2上でそれぞれ密着しているため、この平面F2は、連続的に平坦となっている。
本実施形態における第2のメタル層34は、例えば、銅、アルミニウム、金等の金属で構成されている。本実施形態では、この第2のメタル層34を構成する金属が、第1の電極23、第1のメタル層26及び第2の電極33と同一の金属となっている。
次に、本実施形態における検出装置1の製造方法について説明する。
図9は本実施形態における検出装置の製造方法を示すフローチャート、図10は図9の第2の工程における第2の基板を示す断面斜視図、図11は図10のXI−XI線に沿った断面図、図12は図9の第2の工程における第2の基板を示す断面斜視図、図13は図12のXIII−XIII線に沿った断面図、図14は図9の第3の工程における第2の基板を示す断面斜視図、図15は図14のXV−XV線に沿った断面図、図16は図9の第3の工程を示す断面図である。なお、図10〜図15においては、第2の対向面301を図中上側に向けて図示している。
本実施形態における検出装置1の製造方法は、図9に示すように、第1の工程S10と、第2の工程S20と、第3の工程S30と、第4の工程S40と、を備えている。
第1の工程S10は、第1の凹部21が形成された第1の基板本体20と、第1の凹部21の開口部分に配置された赤外線センサ22と、赤外線センサ22と電気的に接続された第1の電極23と、第1のメタル層26と、を有する第1の基板2を準備する工程である。この第1の工程S10で準備される第1の基板2では、第1のメタル層26の表面261と、第1の電極23の表面231とが実質的に同一の平面F1上に位置している。なお、第1の凹部21は、例えば第1の基板本体20をエッチングすることで形成されてる。
第2の工程S20は、第2の基板本体30と、第2の電極33と、第2のメタル層34と、を有する第2の基板3を準備する工程である。
この第2の工程S20は、基板成形工程と、めっき工程と、を含んでいる。
基板成形工程は、図10及び図11に示すように、マイクロレンズ312を底面に有する第2の凹部31と、環状突起32と、環状突起32の略中央部分に位置する貫通孔35と、を有する第2の基板本体30を成形する工程である。
この基板成形工程では、例えば、成形用の金型に、第2の基板本体30の材料となる粉状の硫化亜鉛(ZnS)を充填し、数10MPaで加圧した状態で、約1000度に5分程度加熱することで、硫化亜鉛を焼結させて第2の基板本体30を形成する。なお、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、成形用の金型内に薄膜を蒸着させることで、この第2の基板本体30を成形してもよい。
このように、焼結法やCVD法によって成形された状態の第2の基板本体30は、マイクロレンズ312を有する第2の凹部31と、環状突起32となる円錐台の突起と、を有している。本実施形態では、この円錐台の突起の中央部分をドリル加工して、第2の基板本体30に貫通孔35を形成すると共に、突起を円錐台から環状(環状突起32)に形成する。
めっき工程では、図12及び図13に示すように、マイクロレンズ312を保護膜50で被覆し、第2の基板本体30全体を無電解めっきする。次いで、第2の基板本体30を電解めっきする。これにより、第2の基板本体30の両面にめっき層41,42が積層され、第2のメタル層34が形成されると共に、貫通孔35内がめっきの材料で充填されて、第2の電極33が形成される。なお、このめっきの材料としては、例えば、銅、アルミ、金等の金属を挙げることができる。
第3の工程S30では、図14及び図15に示すように、第2の基板本体30の主面302に積層されためっき層42をラッピング及び研磨して主面302を露出させる。さらに、第2の基板本体30の第2の対向面301に積層されためっき層41をラッピング及び研磨して、環状突起32の先端面321をめっき層41から露出させ、第2の電極33と第2のメタル層34とを電気的に絶縁させる。
この際に、第2の電極33の表面331及び第2のメタル層34の表面341の算術平均粗さRaを2nm程度に仕上げると共に、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2を、設計値に対して所定の範囲内(例えば±15μm)となるように仕上げる。
本実施形態では、環状突起32の幅Wが、先端面321から第2の対向面301に向かうに従って連続的に広くなっているので、ラッピング量及び研磨量に比例して、先端面321の幅Wが広くなる。
このため、本実施形態では、先端面321の幅Wに基づいて、環状突起32、第2の電極33及び第2のメタル層34をラッピング及び研磨する量を決定することが可能となっている。例えば、環状突起32の外周面322の角度θ(図4参照)が45度の場合には、ラッピング及び研磨によって、環状突起32の先端面321の幅Wが10μm広くなったことで、環状突起32、第2の電極33及び第2のメタル層34を10μm分削ったものと判断できる。
ここで、第3の工程S30における研磨工程について説明すると、図16に示すように、第2の基板3を、WAX62を用いて冶具63に固定し、回転する研磨パッド61に、押し付ける。なお、この研磨パッド61上には、スリラー60が塗布されている。
この研磨工程において平面F2を研磨する際には、同図に示すように、治具63に、環状突起32に向かって発光する発光デバイス64を取り付ける。これにより、研磨パッド61において環状突起32と対向する部分には、環状突起32を透過した発光デバイス64の光が照射される。一方、第2の電極33及び第2のメタル層34は、光を透過できないため、研磨パッド61において第2の電極33及び第2のメタル層34と対向する部分には、発光デバイス64の光が照射されない。
このような状態で研磨を実施すれば、上述したように、研磨量に比例して環状突起32の先端面321の幅Wが広くなることに伴って、研磨パッド61に照射される光の像の面積(環状の線幅)も広くなる。本実施形態では、この光の像の面積(環状の線幅)を、目視による確認やカメラを用いて画像解析することで、所定の研磨量に至ったか否かを判断することができる。
具体的には、研磨の工程中に、一旦、第2の基板3を治具63と共に研磨パッド61から離反させ、研磨パッド61に照射された光の像を、目視やカメラで確認する。光の像の面積(幅)が所定値に達しておらず、研磨量が所定量に至っていない場合には、再度、治具63を介して第2の基板3を研磨パッド61に押し付けて研磨を続行する。このように、本実施形態では、研磨の加工状況を確認するために基板を治具から取り外す必要がないので、研磨工程における工数の削減を図ることが可能となっている。
なお、研磨の加工状況の確認方法は、上記の方法に限定されない。例えば、第2のメタル層によって反射した発光デバイスの光をモニタリングしてもよい。
第4の工程S40では、赤外線センサ22とマイクロレンズ312を対向させた状態で、第1及び第2のメタル層26,34を常温接合すると共に、第1及び第2の電極23,33を常温接合する。この際に、第1及び第2の基板2,3の間に形成される空間311を、大気圧よりも減圧された真空状態に密封する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、第2の電極33と第2のメタル層34との間に、環状突起32を設けている。この環状突起32は、第2の電極33と第2のメタル層34とを絶縁させるという機能を発揮することに加えて、環状突起32の先端面321が第1の基板2との接合面としても機能している。
本実施形態では、この環状突起32によって、第2の基板3の平面F2全面を第1の基板2に接合させることができるため、第1及び第2の基板2,3の接合面積を広くすることが可能となる。これにより、空間311の気密性を向上させ、検出装置1におけるパッケージとしての信頼性を向上させることが可能となっている。
また、第2の基板3に環状突起32を設けることで、環状突起32の先端面321、第2の電極33の表面331及び第2のメタル層34の表面341から構成される平面F2が、連続的に平坦となる。これにより、上述した常温接合のために平面F2をラッピング及び研磨する際(平坦化する際)に、第2の電極33や第2のメタル層34のエッジ部分に面ダレや欠けが発生するのを防止することができ、第1及び第2の基板2,3の接合面の面積が狭くなることを抑制している。
ここで、こういったラッピングや研磨をする際には、マイクロレンズ312を保護するために、保護膜50(図12〜図15参照)でマイクロレンズ312を覆う必要がある。このため、ラッピングや研磨を実施している間は、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2(図15参照)を直接的に測定することが不可能となっている。
これに対し、本実施形態では、環状突起32の幅Wが、先端面321から第2の対向301に向かうに従って連続的に広くなっている。このため、第2の電極33、第2のメタル層34及び環状突起32をラッピング及び研磨する際には、この環状突起32の先端面321の幅Wがラッピング量及び研磨量に比例して広くなる。
これにより、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2を直接的に測定しなくても、環状突起32の幅Wを測定することで、当該距離L2を推測することが可能となる。すなわち、本実施形態では、環状突起32の先端面321の幅Wに基づいて、第2の電極33、第2のメタル層34及び環状突起32におけるラッピング量及び研磨量を決定することが可能となっている。こういった方法でラッピング量及び研磨量を決定することで、めっき層41の厚さのバラツキの影響を受けることなく、正確にラッピング及び研磨できる。
このように、環状突起32、第2の電極33及び第2のメタル層34におけるラッピング量及び研磨量を判断できることで、図3に示すように、第1及び第2の基板2,3を接合した状態において、マイクロレンズ312から赤外線センサ22までの距離L1を、設計値に対して精度よく仕上げることが可能となる。その結果、赤外線を赤外線センサ22に集中させることができ、赤外線センサ22の感度を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態では、図4に示すように、環状突起32の外周面322をテーパー状の斜面としたが、図8に示すように、環状突起32の外周面322を所定の曲率で傾斜させた場合には、設計値付近の高さにおいて曲率が大きくなるようにしてもよい。これにより、ラッピング又は研磨する際に、設計値付近で先端面321の幅Wの広がり方が顕著となるので、所定のラッピング量又は研磨量に至ったことが分かりやすくなり、ラッピング又は研磨の精度を向上させることができる。
ここで、本実施形態では、上述のように、常温接合で第1及び第2の電極の接合を行っているが、第1及び第2の電極を半導体装置内部の空間内に露出させて、バンプを介して両者を接合することも可能である。しかしながら、この方法では、バンプの高さのバラツキや、電極の高さのバラツキを修正できず、第1及び第2の基板を接合した際に両者の間に応力が生じ易くなる。
これに対し、本実施形態では、第1の電極23の表面231と第1のメタル層26の表面261を一括してラッピング及び研磨することで、第1の電極23の表面231と第1のメタル層26の表面261を、実質的に同一の平面F1上に位置させている。さらに、第2の電極33の表面331と第2のメタル層34の表面341を一括してラッピング及び研磨することで、第2の電極33の表面331と第2のメタル層34の表面341を、実質的に同一の平面F2上に位置させている。これにより、本実施形態では、第1及び第2の電極23,33の高さのバラツキや、第1及び第2のメタル層26,34の高さのバラツキを低減させて、第1及び第2の基板2,3の間に応力を生じ難くしている。
また、本実施形態では、第1及び第2の基板2,3を常温接合することで、接合時に第1及び第2の基板2,3に生じる残留応力を低減させており、パッケージの信頼性を向上させている。
ここで、常温接合を行うためには、基板同士を原子レベルで平坦化する必要がある。本実施形態では、仮に、第1及び第2の基板2,3自体を原子レベルで平坦化できない場合においても、原子レベルで平坦化可能な第1及び第2のメタル層26,34をそれぞれ設けることで、第1及び第2の基板2,3の常温接合を可能としている。
また、本実施形態では、第1及び第2の基板2,3を接合して、空間311を真空状態に密封しているので、外部からの衝撃やダストから赤外線センサ22を保護することができると共に、赤外線センサ22の吸湿も抑制可能となっている。
また、本実施形態では、ウェハレベルでのパッケージングが可能となっているため、検出装置1の製造コストを低減させることも可能となっている。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図17は本実施形態における検出装置の環状突起を示す断面図、図18は本実施形態における第3の工程の環状突起を示す断面図、図19は図18の環状突起を下面側から見た平面図である。
本実施形態では、環状突起32aの形状が第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については、第1実施形態と同様である。以下に、本実施形態における検出装置1aを、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
本実施形態では、図17に示すように、環状突起32aの幅Wが、第2の対向面301から先端面321aに向かって段階的に狭くなるようになっている。すなわち、第2の環状突起32aの外周面322aは、階段状に形成されている。
本実施形態においても、第2の電極33と第2のメタル層34との間に、環状突起32aを設けることで、第1及び第2の基板2,3の接合面積を広くしている。これにより、空間311の気密性を向上させ、検出装置1aにおけるパッケージとしての信頼性を向上させることを可能としている。
次に、本実施形態における検出装置1aの製造方法について説明する。
本実施形態における第3の工程S30では、環状突起32aをラッピング及び研磨するに従って、図18に示すように、第2のメタル層34から露出した環状突起32aの幅Wが段階的に広くなる。図18及び図19では、環状突起32aを、表面321aからH1の深さまで削ると、幅WがW0からW1となり、さらにH2の深さまで削ると、幅WがW2となる様子が分かる。これにより、例えば、環状突起32aの幅WがW0からW1になったことにより、H1分のラッピング及び研磨を実行したことが分かる。或いは、環状突起32aの線端面321aの幅WがW1となった時点で、所定のラッピング量及び研磨量に至ったことを確認できる。
このように、本実施形態においても、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2(図15参照)を直接的に測定しなくとも、環状突起32aの先端面321aの幅Wに基づいて、ラッピング量及び研磨量を決定することができる。
これにより、当該距離L2を設計値に対して精度よく実現することが可能となり、第1及び第2の基板2,3を接合した状態において、マイクロレンズ312から赤外線センサ22までの距離L1(図3参照)を、設計値に対して精度よく仕上げることができる。その結果、赤外線を赤外線センサ22に集中させることができ、赤外線センサ22の感度を向上させることが可能となる。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第2の基板3を治具63に固定した状態で、研磨の加工状況を確認することが可能となっているため、研磨工程における工数の削減を図ることができる。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても平面F2が連続的に平坦となっているため、第3の工程S30の際に、第2の電極33や第2のメタル層34のエッジ部分に面ダレや欠けが発生するのを防止することができる。これにより、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3における接合面の面積が狭くなることが抑制されている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1の電極23の表面231と第1のメタル層26の表面261を、実質的に同一の平面F1上に位置させ、第2の電極33の表面331と第2のメタル層34の表面341を、実質的に同一の平面F2上に位置させて、第1及び第2の基板2,3をバンプレスで接合している。これにより、第1及び第2の電極23,33の高さのバラツキや、第1及び第2のメタル層26,34の高さのバラツキが低減され、第1及び第2の基板2,3の間に応力が生じ難くなっている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を常温接合することで、接合時に第1及び第2の基板2,3に生じる残留応力を低減させており、パッケージの信頼性を向上させている。また、本実施形態においても、原子レベルで平坦化可能な第1及び第2のメタル層26,34を設けることで、原子レベルで平坦化できない基板同士の常温接合を可能としている。
また、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を接合して、空間311を真空状態で密封しているので、外部からの衝撃やダストから赤外線センサ22を保護することができると共に、赤外線センサ22の吸湿も抑制可能となっている。
また、本実施形態においても、ウェハレベルでのパッケージングが可能となっているため、検出装置1aの製造コストを低減させることも可能となっている。
<<第3実施形態>>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図20は本実施形態における検出装置の環状突起及び補助突起を示す断面図、図21は図20のXXI−XXI線に沿った断面図、図22は本実施形態における第3の工程の環状突起及び補助突起を示す断面図である。
本実施形態では、環状突起32bが円筒状に形成されている点と、環状突起32bの他に補助突起36a,36bが第2の基板3に設けられている点と、において第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については、第1実施形態と同様である。以下に、本実施形態における検出装置1bを、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
本実施形態では、図20に示すように、環状突起32bの他に補助突起36a,36bが第2の基板本体30の第2の対向面301に設けられている。補助突起36a,36bは、いずれも環状突起32bから離れた位置に設けられている。
また、この補助突起36aの高さは、検出装置1bが完成した状態においては、環状突起32bと実質的に同一となっており、補助突起36aの先端面361aが第2のメタル層34から露出している。一方、補助突起36aがラッピング及び研磨される前の状態においては、補助突起36aの高さは、図22に示すように、環状突起32bよりも低くなっている。
一方、補助突起36bの高さは、図21に示すように、環状突起32b及び補助突起36aよりも若干低くなっており、補助突起36bの先端面361bが第2のメタル層34から僅かに露出した状態となっている。すなわち、本実施形態における補助突起36bの先端面361bは、環状突起32bの先端面321bよりも低い部分を含んでいる。
なお、本実施形態では、上記のように、第2の基板3に2つの補助突起36a,36bが形成されているが、補助突起の数は特に限定されず、例えば3つ以上であってもよい。
本実施形態においても、第2の電極33と第2のメタル層34との間に、環状突起32bを設けることで、第1及び第2の基板2,3の接合面の面積を広くしている。これにより、空間311の気密性を向上させ、検出装置1bにおけるパッケージとしての信頼性を向上させることを可能としている。
次に、本実施形態における検出装置1bの製造方法について説明する。
本実施形態における第2の工程S20では、補助突起36a,36bに対応する凹部が形成された成形用の金型を用いて、焼結法又はCVD法によって第2の基板本体30を形成する。
本実施形態における第3の工程S30では、図22に示すように、H3までラッピング及び研磨すると、補助突起36aの先端面361aが第2のメタル層34から露出し、さらに、H4までラッピング及び研磨すると、補助突起36bの先端面361bが第2のメタル層34から露出する。
本実施形態では、例えば、補助突起36bが第2のメタル層34から露出し始めた状態に基づいて、所定のラッピング量又は研磨量に至ったことを確認することができる。また、この場合においては、補助突起36aの先端面361aが第2のメタル層34から露出した段階で、残りL3(L3=H4−H3)分を、ラッピング及び研磨すればよいことが分かる。
すなわち、本実施形態では、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2(図15参照)を直接的に測定しなくても、先端面361a,361bの露出面積(露出パターン)に基づいて、削るべきラッピング量及び研磨量を判断することが可能となっている。
これにより、マイクロレンズ312から赤外線センサ22までの距離L1(図3参照)を、設計値に対して精度よく仕上げることができる。その結果、赤外線を赤外線センサ22に集中させることができ、赤外線センサ22の感度を向上させることが可能となっている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第2の基板3を治具63に固定した状態で、研磨の加工状況を確認することが可能となっているため、研磨工程における工数の削減を図ることができる。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、平面F2が連続的に平坦となっているため、第3の工程S30の際に、第2の電極33や第2のメタル層34のエッジ部分に面ダレや欠けが発生するのを防止することができる。これにより、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3の接合面積が狭くなることが抑制されている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1の電極23の表面231と第1のメタル層26の表面261を、実質的に同一の平面F1上に位置させ、第2の電極33の表面331と第2のメタル層34の表面341を、実質的に同一の平面F2上に位置させて、第1及び第2の基板2,3をバンプレスで接合している。これにより、第1及び第2の電極23,33の高さのバラツキや、第1及び第2のメタル層26,34の高さのバラツキが低減され、第1及び第2の基板2,3の間に応力が生じ難くなっている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を常温接合することで、接合時に第1及び第2の基板2,3に生じる残留応力を低減させており、パッケージの信頼性を向上させている。また、本実施形態においても、原子レベルで平坦化可能な第1及び第2のメタル層26,34を設けることで、原子レベルで平坦化できない基板同士の常温接合を可能としている。
また、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を接合して、空間311を真空状態に密封しているので、外部からの衝撃やダストから赤外線センサ22を保護することができると共に、赤外線センサ22の吸湿も抑制可能となっている。
また、本実施形態においても、ウェハレベルでのパッケージングが可能となっているため、検出装置1bの製造コストを低減させることも可能となっている。
<<第4実施形態>>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図23は本実施形態における検出装置の環状突起及び補助突起を示す断面図、図24は図23のXXIV−XXIV線に沿った断面図である。
本実施形態では、環状突起32cが円筒状に形成されている点と、環状突起32cの他に補助突起36cが第2の基板3に設けられている点と、において第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については、第1実施形態と同様である。以下に、本実施形態における検出装置1cを、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して、説明を省略する。
本実施形態では、図23及び図24に示すように、環状突起32cの外側に、環状突起32cを囲繞する補助突起36cが設けられている。この補助突起36cの先端面361cは、先端面361c全面の約3分の2の部分が、第2のメタル層34から露出し、先端面361c全面の約3分の1の部分が、第2のメタル層34に覆われている。すなわち、本実施形態における補助突起36cの先端面361cは、環状突起32cの先端面321cよりも低い部分を含んでいる。
本実施形態における補助突起36cは、ラッピング又は研磨される前の状態においては、先端面361cが、先端361dから末端361eに向かって螺旋状に低くなるように形成されている。
なお、本実施形態では、補助突起36cを、環状突起32cを囲繞するように形成したが、特に限定されず、例えば、この補助突起を、直線状に形成してもよい。
本実施形態においても、第2の電極33と第2のメタル層34との間に、環状突起32cを設けることで、第1及び第2の基板2,3の接合面積を広くしている。これにより、空間311の気密性を向上させ、検出装置1cにおけるパッケージとしての信頼性を向上させることを可能としている。
次に、本実施形態における検出装置1cの製造方法について説明する。
本実施形態における第2の工程S20では、補助突起36cに対応する凹部が形成された成形用の金型を用いて、焼結法又はCVD法によって第2の基板本体30を形成する。
本実施形態における第3の工程S30では、平面F2をラッピング及び研磨するに従って、補助突起36cの先端面361cが、先端361dから露出し始めて、図24中の右周りに第2のメタル層34から徐々に露出する。
このため、本実施形態では、マイクロレンズ312から平面F2までの距離L2(図15参照)を直接的に測定しなくとも、第2のメタル層34から露出した先端面361cの面積や形状(パターン)に基づいて、ラッピング量及び研磨量を決定することができる。
これにより、マイクロレンズ312から赤外線センサ22までの距離L1(図3参照)を、設計値に対して精度よく仕上げることができる。その結果、赤外線を赤外線センサ22に集中させることができ、赤外線センサ22の感度を向上させることが可能となっている。
なお、ラッピング量及び研磨量の決定方法については、上記の方法に限定されず、例えば、先端361dと補助突起36cの中心Oを結ぶ直線と、先端面361cにおいて第2のメタル層34から露出した部分の端361fと当該中心Oを結ぶ直線と、によって形成される角度Bに基づいて、ラッピング量及び研磨量を決定してもよい。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第2の基板3を治具63に固定した状態で、研磨の加工状況を確認することが可能となっているため、研磨工程における工数の削減を図ることができる。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても平面F2が連続的に平坦となっているため、第3の工程S30の際に、第2の電極33や第2のメタル層34のエッジ部分に面ダレや欠けが発生するのを防止することができる。これにより、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3の接合面積が狭くなることが抑制されている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1の電極23の表面231と第1のメタル層26の表面261を、実質的に同一の平面F1上に位置させ、第2の電極33の表面331と第2のメタル層34の表面341を、実質的に同一の平面F2上に位置させて、第1及び第2の基板2,3をバンプレスで接合している。これにより、第1及び第2の電極23,33の高さのバラツキや、第1及び第2のメタル層26,34の高さのバラツキが低減され、第1及び第2の基板2,3の間に応力が生じ難くなっている。
また、第1実施形態と同様に、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を常温接合することで、接合時に第1及び第2の基板2,3に生じる残留応力を低減させており、パッケージの信頼性を向上させている。また、本実施形態においても、原子レベルで平坦化可能な第1及び第2のメタル層26,34を設けることで、原子レベルで平坦化できない基板同士の常温接合を可能としている。
また、本実施形態においても、第1及び第2の基板2,3を接合して、空間311を真空状態に密封しているので、外部からの衝撃やダストから赤外線センサ22を保護することができると共に、赤外線センサ22の吸湿も抑制可能となっている。
また、本実施形態においても、ウェハレベルでのパッケージングが可能となっているため、検出装置1cの製造コストを低減させることも可能となっている。
第1〜第4実施形態における赤外線センサ22が本発明における検出素子の一例に相当し、第1〜第4実施形態における第2の凹部31が本発明における凹部の一例に相当する。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。