JP5770115B2 - 光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および色素増感太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子および色素増感太陽電池に関する。
化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を電力に変換する太陽電池が注目されている。現在、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池および薄膜シリコン太陽電池などが実用化されている。しかし、前者の太陽電池には、シリコン基板の作製コストが高いという問題がある。後者の薄膜シリコン太陽電池には、多種の半導体製造用ガスおよび複雑な装置を用いる必要があるために製造コストが高くなるという問題がある。このため、いずれの太陽電池にも、光電変換の高効率化による発電出力当たりのコストを低減する努力が続けられているが、上記の問題を解決するには至っていない。
新しいタイプの太陽電池として、金属錯体の光誘起電子移動を応用した光電変換素子を含む色素増感太陽電池が提案されている(たとえば、特許文献1)。この色素増感太陽電池は、色素化合物が半導体層に吸着されて構成された光電変換層を有する電極(第1電極)、第1電極の対電極となる第2電極、および液体電解質などからなるキャリア輸送層とを備えている。このような色素増感太陽電池に光が照射されると、光電変換層で電子が発生し、発生した電子が外部電気回路を通って第2電極へ移動し、第2電極へ移動した電子が液体電解質中のイオンにより運ばれて光電変換層に戻る。このような一連の電子の流れにより、電気エネルギーが取り出される。
光電変換層に用いられる半導体材料(たとえばTiO2)のバンドギャップエネルギーは大きいため、半導体材料単独では太陽光のうち紫外線成分のみを利用できるにすぎない。そのため、光電変換層には色素化合物が含まれており、色素化合物の増感作用により太陽光の可視光を利用した光電変換を実現することができる。
このような色素増感太陽電池では、光電変換効率が色素化合物に大きく依存することが知られている。色素化合物としては、たとえば、下記化学式(XI)で表される「N3」と呼ばれる色素化合物、または下記化学式(XII)で表される「N719」と呼ばれる色素化合物などが知られている。なお、下記化学式(XII)におけるTBAは、テトラブチルアンモニウムを示す。
Figure 0005770115
Figure 0005770115
特開平01−220380号公報
色素増感太陽電池においては、光電変換効率の更なる向上が要求されている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光電変換効率に優れた光電変換素子および色素増感太陽電池を提供することである。
本発明にかかる光電変換素子は、下記化学式(I)で表される色素化合物が半導体層に吸着されて構成された光電変換層を含む。なお、下記化学式(I)において、Rは、−CF3、−CN、−OCH3、および−SCH3のいずれかである。
Figure 0005770115
本発明にかかる色素増感太陽電池は、上記化学式(I)で表される色素化合物が半導体層に吸着されて構成された光電変換層を含む第1電極と、第1電極の対電極となる第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられたキャリア輸送層とを備える。
本発明に係る光電変換素子および色素増感太陽電池では、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。
本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、半導体層に色素化合物が吸着されて構成された光電変換層を有し、色素化合物は上記化学式(I)で表される。上記化学式(I)において、Rは、−CF3、−CN、−OCH3、および−SCH3のいずれかである。上記化学式(I)で表される色素化合物は、光電変換効率に優れた光電変換素子の提供に貢献する。よって、本発明では、光電変換素子の光電変換効率を向上させることができる。
[半導体層の構成]
本発明の光電変換素子の光電変換層に使用される半導体層は、半導体材料からなる。半導体層の形態としては、粒子状の半導体材料を含む層、および多数の微細孔が形成された膜状(多孔性半導体層)などが挙げられるが、多数の微細孔が形成された膜状であることが好ましい。これにより、色素化合物の吸着量などを十分に確保することができる。
色素化合物の吸着量などを十分に確保するという観点では、半導体層の比表面積は10〜200m2/g程度であることが好ましい。ここで、半導体層の比表面積は、気体吸着法であるBET法によって求められる。
半導体層を構成する半導体材料としては、一般に光電変換材料に使用されるものであれば特に限定されない。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化亜鉛、リン化インジウム、銅−インジウム硫化物(CuInS2)、CuAlO2、またはSrCu22などの化合物が挙げられる。これらの化合物を単独で用いても良いし、これらの化合物を組み合せて用いても良い。これらの化合物の中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、または酸化ニオブを用いることが好ましい。光電変換効率、安定性、および安全性の点では、酸化チタンを用いることがより好ましい。
本発明において、半導体層を構成する材料として酸化チタンを用いる場合、酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、またはオルソチタン酸などの各種の狭義の酸化チタンであっても良いし、水酸化チタンであっても良いし、含水酸化チタンであっても良い。これらを単独で用いても良いし、混合して用いても良い。アナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとについては、製法または熱履歴によりどちらの形態にもなり得るが、アナターゼ型酸化チタンが一般的である。特に、色素化合物の増感作用の向上という点では、半導体層におけるアナターゼ型酸化チタンの含有率は高いことが好ましく、たとえば80%以上であることが好ましい。
半導体層を構成する半導体材料は、安定性、結晶成長の容易さ、および製造コストの低減化などの観点から、微粒子(微粒子は半導体材料からなる)からなる多結晶焼結体であることが好ましい。
半導体材料の平均粒径は、特に限定されないが、光電変換層の光散乱性が半導体材料の平均粒径により調整可能であることを考慮して適宜設定することが好ましく、たとえば1〜500nm程度であることが好ましい。半導体層は、平均粒径が同一の半導体材料からなっても良いし、平均粒径が相対的に大きな半導体材料と平均粒径が相対的に小さな半導体材料とが混合されて構成されていても良い。なお、本明細書では、平均粒径は、SEM観察により測定された値である。
平均粒径が相対的に大きな半導体材料と平均粒径が相対的に小さな半導体材料とが半導体層に含まれる場合、半導体層は、平均粒径が相対的に大きな半導体材料からなる層と平均粒径が相対的に小さな半導体材料からなる層とが積層されて構成されていることが好ましい。平均粒径が相対的に大きな半導体材料からなる層は、光散乱性に優れるため、入射光を散乱させて光捕捉率の向上に寄与する。一方、平均粒径が相対的に小さな半導体材料からなる層は、色素化合物の吸着点を増加させ、よって、色素化合物の吸着量の増加に寄与する。色素化合物の吸着量の増加という点では、色素化合物の吸着作用に優れた半導体材料を平均粒径が相対的に小さな半導体材料とすることが好ましい。また、入射光を色素増感太陽電池の内部で最大限に利用できるという点では、平均粒径が相対的に小さな半導体材料からなる層(低散乱層)と平均粒径が相対的に大きな半導体材料からなる層(高散乱層)とが光の入射側から順に設けられていることが好ましい。
平均粒径が相対的に小さな半導体材料は、5nm以上50nm以下の平均粒径を有することが好ましく、10nm以上30nm以下の平均粒径を有することが好ましい。これにより、投影面積に対して十分に大きい実効表面積が得られるので、入射光を高い収率で電気エネルギーに変換できるという効果も得られる。また、平均粒径が相対的に大きな半導体材料は、平均粒径が相対的に小さな半導体材料の平均粒径の10倍以上の平均粒径を有することが好ましく、より好ましくは100nm以上500nm以下の平均粒径を有することである。
半導体層の膜厚は、特に限定されないが、光電変換効率の観点から、0.5〜50μm程度であることが好ましい。また、半導体層の幅は、特に限定されないが、1〜20mm程度であることが好ましい。
[半導体層の形成方法]
本発明では、半導体層はたとえば導電性支持体上に形成されることが好ましい。半導体層の形成方法は特に限定されず、下記(1)〜(4)のいずれかであることが好ましい。厚膜の半導体層を低コストで形成できるという点では、下記(1)を用いることが好ましい
(1) 半導体材料からなる粒子を含有するペーストをスクリーン印刷法またはインクジェット法などにより導電性支持体上に塗布してから、そのペーストを焼成する
(2) 所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法などにより、導電性支持体上に半導体層を形成する
(3) PVD法、蒸着法、またはスパッタリング法などにより、導電性支持体上に半導体層を形成する
(4) ゾル−ゲル法または電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、導電性支持体上に半導体層を形成する。
半導体材料として酸化チタンを用いた場合の半導体層の形成方法を以下に示す。
まず、チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125mLを0.1Mの硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLに滴下して加水分解させてから、80℃で8時間加熱する。これにより、ゾル液が調製される。得られたゾル液をチタン製オートクレーブ中で230℃で11時間加熱して酸化チタン粒子を成長させ、超音波分散を30分間行ない、平均粒径(平均一次粒径)15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液を調製する。得られたコロイド溶液に当該コロイド溶液の2倍容量のエタノールを加え、これを回転数5000rpmで遠心分離する。これにより、酸化チタン粒子を得る。
次いで、得られた酸化チタン粒子を洗浄する。その後、酸化チタン粒子をエチルセルロースとテルピネオールとを無水エタノールに溶解させたものと混合して攪拌する。これにより、酸化チタン粒子が分散する。その後、上記混合液を真空条件下で加熱してエタノールを蒸発させ、酸化チタンペーストを得る。最終的な組成として例えば酸化チタン固体濃度が20wt%、エチルセルロース濃度が10wt%、且つテルピネオール濃度が64wt%となるように、各濃度を調整する。
ここで、酸化チタンペーストを調製するために用いる溶剤としては、上記以外にエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶剤、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶剤、または水などが挙げられる。酸化チタン以外の半導体粒子を含むペーストを調製する場合にも、これらの溶剤を用いることができる。
次いで、上記の方法により酸化チタンペーストを導電層上に塗布し、乾燥させてから焼成する。これにより、酸化チタンからなる半導体層が得られる。ここで、乾燥条件および焼成条件、たとえば温度、時間、または雰囲気などの条件は、使用する支持体の材料または半導体材料により適宜調整される。焼成は、例えば、大気雰囲気下または酸素ガス雰囲気下で、50〜800℃程度の範囲内(好ましくは50〜550℃の範囲内)で、10秒〜12時間程度で行なわれることが好ましい。また、乾燥および焼成は、それぞれ、単一の温度で1回行なわれても良いし、温度を変化させて2回以上行なわれても良い。
[色素化合物]
上記化学式(I)で表わされる色素化合物は、たとえば下記化学式(II)で表されるbis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine)2−(4−trifluoromethylphenyl)pyridine Ruthenium(II)であっても良いし、下記化学式(II)のTBA塩であっても良い。以下、これらの色素化合物の合成方法の一例を示す。
Figure 0005770115
[bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) 2−(4−trifluoromethylphenyl)pyridine Ruthenium(II)の合成方法]
上記化学式(II)で表される色素化合物は、下記化学式(III)で表されるcis−dichloro−bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) Rutheniumを用いて合成されることが好ましい。以下では、下記化学式(III)で表される化合物の合成方法を示してから、下記化学式(III)で表される化合物を用いた上記化学式(II)で表される化合物の合成方法を示す。
Figure 0005770115
1. cis−dichloro−bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) Rutheniumの合成
ジムロート冷却管が装着された500mL三口フラスコに、5.0g(20.5mmol)の2,2’−Bipyridine−4,4’−dicarboxylic Acidと、3.14g(5.1mmol)のDichloro(p−cymene)−ruthenium(II) dimerと、240mLのジメチルホルムアミドとを加え、窒素雰囲気下において170℃で1.5時間攪拌する。反応容器(三口フラスコ)を空冷した後に反応液をろ過し、得られたろ液を90℃で減圧濃縮する。これにより、目的物の粗生成物が得られる。
得られた粗生成物に200mLのアセトンを加える。析出した成分を吸引ろ過により分取してから、アセトンで洗浄後、真空乾燥させる。これにより、6.61g(収率98%)のcis−dichloro−bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) Rutheniumが得られる。
本発明者らは、上記方法により得られた化合物に対して1H−NMRスペクトルおよびIR吸収スペクトルを測定し、目的の化合物が得られていることを確認している。1H−NMRスペクトルの測定結果は以下の通りである。
1H−NMRスペクトル(溶媒:d6−DMSO)に現れたピークの化学シフトσ:10.08ppm(ピリジン環上水素、2H)、9.03ppm(ピリジン環上水素、2H)、8.86ppm(ピリジン環上水素、2H)、8.21ppm(ピリジン環上水素、2H)、7.73ppm(ピリジン環上水素、2H)、7.47ppm(ピリジン環上水素、2H)。
2. bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) 2−(4−trifluoromethylphenyl)pyridine Ruthenium(II)の合成
500mL三口フラスコに、1.32g(2.00mmol)のcis−Dichloro−bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) Ruthenium(上記合成方法にしたがって得られた化合物)と、0.92g(4.1mmol)の2−[4−(Trifluoromethyl)phenyl]pyridineと、250mLのエチレングリコールとを加え、窒素雰囲気下において170℃で1.5時間攪拌する。得られた反応溶液を室温まで冷却した後、この反応溶液に8.8mLの37%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液を加え、窒素雰囲気下において170℃で7時間撹拌する。反応容器を空冷してから反応液をろ過し、得られたろ液を90℃、2mmHgで減圧濃縮してから、溶媒を留去する。溶媒留去後の残渣に100mLの蒸留水を加えて撹拌した後、0.5N硝酸水溶液をさらに加えることにより溶液のpHを1.8とする。この溶液を室温で12時間静置し、析出した結晶を吸引ろ過により分取する。得られた結晶を、蒸留水と酢酸エチルとで洗浄してから真空乾燥させる。これにより、1.11gの粗結晶が得られる。
得られた粗結晶をセファデックス(登録商標)カラムで精製する。具体的には、まず蒸留水を溶離液として用い流出する成分を除去した後、1N水酸化ナトリウム水溶液を溶離液として用い流出する成分を分取する。分取されたこの成分に対して減圧留去を行なって溶媒を除いた後、残渣を60mLの蒸留水に溶解させる。残渣が溶解された溶液に0.5N硝酸水溶液を加えることにより溶液のpHを1.8とする。この溶液を室温で12時間、静置し、析出した結晶を吸引ろ過により分取する。分取された結晶を蒸留水で洗浄してから、真空乾燥する。これにより、0.51gの目的物(結晶)が得られる。
本発明者らは、上記方法により得られた化合物に対してH−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、およびIR吸収スペクトルを測定するとともにLC−MSを行って、目的の化合物が得られていることを確認している。H−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、およびIR吸収スペクトルの測定結果は以下に示すとおりである。
1H−NMRスペクトル(溶媒:d4−MeOH−MeONa)に現れたピークの化学シフトσ:9.02ppm(芳香環上水素、1H)、8.95ppm(芳香環上水素、1H)、8.92ppm(芳香環上水素、1H)、8.89ppm(芳香環上水素、1H)、8.19ppm(芳香環上水素、1H)、8.04ppm(芳香環上水素、1H)、8.00ppm(芳香環上水素、1H)、7.86ppm(芳香環上水素、2H)、7.78ppm(芳香環上水素、3H)、7.71ppm(芳香環上水素、1H)、7.67ppm(芳香環上水素、1H)、7.63ppm(芳香環上水素、2H)、7.13ppm(芳香環上水素、1H)、7.05ppm(芳香環上水素、1H)、6.66ppm(芳香環上水素、1H)。
19F−NMRスペクトル(溶媒:d4−MeOH−MeONa)に現れたピークの化学シフトσ:−64.3ppm。
IR吸収スペクトル(KBr錠剤法で測定)に現れたピークのピーク波数:3090cm-1、2879cm-1、2821cm-1、1941cm-1、1716cm-1、1604cm-1、1540cm-1、1471cm-1、1405cm-1、1375cm-1、1317cm-1、1255cm-1、1230cm-1、1159cm-1、1116cm-1、1072cm-1、1006cm-1、894cm-1、769cm-1、682cm-1
[Bis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) 2−(4−trifluoromethylphenyl)pyridine Ruthenium(II)のTBA(テトラブチルアンモニウム)塩の作製方法]
合成された240mg(0.30mmol)のbis(4,4’−dicarboxy−2,2’−bipyridine) 2−(4−trifluoromethylphenyl)pyridine Ruthenium(II)に、50mLのメタノールを加え、3.8mL(1.50mol)の10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液をさらに加えて、均一な溶液とする。この溶液に0.5N硝酸水溶液を加えることにより溶液のpHを3.8とした後、5℃で12時間保管する。このようにして析出した結晶を吸引ろ過により分取し、分取された結晶を蒸留水およびジエチルエーテルで洗浄してから真空乾燥させる。これにより、236mgの目的物(結晶)が得られる。
本発明者らは、上記方法により得られた化合物に対して1H−NMRスペクトルおよび19F−NMRスペクトルを行い、目的の化合物が得られていることを確認している。分析結果は以下に示す通りである。
1H−NMRスペクトル(溶媒:d4−MeOH−MeONa)に現れたピークの化学シフトσ:9.07ppm(芳香環上水素、1H)、8.99ppm(芳香環上水素、1H)、8.96ppm(芳香環上水素、1H)、8.94ppm(芳香環上水素、1H)、8.21ppm(芳香環上水素、1H)、8.10ppm(芳香環上水素、1H)、8.02ppm(芳香環上水素、1H)、7.96〜7.90ppm(芳香環上水素、4H)、7.81ppm(芳香環上水素、1H)、7.78ppm(芳香環上水素、1H)、7.73ppm(芳香環上水素、1H)、7.69ppm(芳香環上水素、1H)、7.60ppm(芳香環上水素、1H)、7.14ppm(芳香環上水素、1H)、7.08ppm(芳香環上水素、1H)、6.62ppm(芳香環上水素、1H)、3.23ppm(N−CH2−CH2−CH2−CH3、8H)、1.67ppm(N−CH2−CH2−CH2−CH3、8H)、1.42ppm(N−CH2−CH2−CH2−CH3、8H)、1.02ppm(N−CH2−CH2−CH2−CH3、12H)。
19F−NMRスペクトル(溶媒:d4−MeOH−MeONa)に現れたピークの化学シフトσ:−64.5ppm。
半導体層に対する色素化合物の吸着量は、1×10-8mol/cm2以上1×10-6mol/cm2以下であることが好ましく、5×10-8mol/cm2以上5×10-7mol/cm2であることがより好ましい。半導体層に対する色素化合物の吸着量が1×10-8mol/cm2未満であれば、光電変換効率の低下を招くおそれがある。一方、半導体層に対する色素化合物の吸着量が1×10-6mol/cm2を超えると、開放電圧が低下するという不具合を招くことがある。
このような色素化合物を半導体層に吸着させる方法としては、たとえば、色素化合物が溶解された溶液(色素溶液)に半導体層を浸漬させるという方法が挙げられる。このとき、色素溶液を半導体層に十分に浸透させるという点においては、色素溶液を加熱することが好ましい。ここで、色素溶液の溶媒としては、上記化学式(I)で表される色素化合物を溶解可能な溶媒であれば特に限定されずに用いることができ、たとえば、エタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルもしくはテトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、または水などを用いることができる。また、これらの溶媒を混合して用いても良い。
<色素増感太陽電池>
図1は、本発明の色素増感太陽電池の構成の一例を示す断面図である。図1に示す色素増感太陽電池は、第1電極112と、第1電極112の対電極である第2電極111と、第1電極112と第2電極111との間に設けられたキャリア輸送層107とを備える。ここで、第1電極112は、本発明における光電変換層104を含む。よって、図1に示す色素増感太陽電池では、光電変換効率の更なる向上を図ることができる。図1に示す色素増感太陽電池では、触媒層105がキャリア輸送層107と第2電極111との間に設けられていることが好ましく、第1電極112における光電変換層104とキャリア輸送層107とが封止部材103により環囲されていることが好ましい。
[第1電極]
第1電極112は、たとえば光電変換層104が導電性支持体110上に形成されて構成されていることが好ましい。本発明に用いられる導電性支持体110としては、たとえば導電層102が絶縁基板100の表面上に形成されて構成されたものを用いることができる。
絶縁基板100は、色素増感太陽電池の受光面となる部分では光透過性を必要とするため、光透過性の材料からなることが好ましい。たとえば、絶縁基板100は、ソーダガラス、溶融石英ガラス、または結晶石英ガラスなどのガラス基板であっても良く、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂板であっても良い。ただし、絶縁基板100は、受光面として使用される場合であっても、少なくとも色素化合物に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過する(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)ものであることが好ましく、必ずしも全ての波長の光に対して透過性を有しなくても良い。
可撓性フィルム(以下、「フィルム」ともいう)を構成する材料としては、たとえばテトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、フェノキシ樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
加熱を伴って絶縁基板100上に他の層を形成する場合、たとえば250℃程度の加熱を伴って絶縁基板100上に半導体層を形成する場合には、上記のフィルムを構成する材料の中でも250℃以上の耐熱性を有するポリテトラフルオロエチレンを用いることが特に好ましい。
作製された色素増感太陽電池を他の構造体に取り付けるときに、絶縁基板100を利用できる。すなわち、金属加工部品とねじとを用いて、ガラス基板などの絶縁基板100の周辺部を他の支持体に容易に取り付けることができる。
絶縁基板100の厚みは特に限定されないが、0.05〜5mm程度であることが好ましく、光透過性などを考慮すれば0.2mm〜5mm程度であることがより好ましい。
導電層102を構成する材料は、一般に色素増感太陽電池の導電層に使用可能で、かつ本発明の効果を発揮し得る材料であれば、特に限定されない。しかし、導電層102は、色素増感太陽電池の受光面となる場合には光透過性を必要とするため、光透過性の材料からなることが好ましい。たとえば、導電層102は、インジウム錫複合酸化物(ITO)、フッ素をドープした酸化錫(FTO)、または酸化亜鉛(ZnO)などからなることが好ましい。ただし、導電層102は、絶縁基板100と同じく、受光面として使用される場合であっても、少なくとも色素化合物に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過する(当該光の透過率がたとえば80%以上、好ましくは90%以上)ものであることが好ましく、必ずしも全ての波長の光に対して透過性を有しなくても良い。
導電層102の膜厚は、特に限定されないが、0.02〜5μm程度であることが好ましい。導電層102の膜抵抗は、低いほど好ましく、40Ω/sq以下であることが好ましい。
導電層102の抵抗を下げるために、金属リード線を用いることができる。たとえば、スパッタ法、蒸着法、またはスクリーン印刷法等により金属リード線が形成された絶縁基板101上に導電層102を形成しても良いし、絶縁基板100上に導電層102を形成した後、その導電層102上に金属リード線を形成しても良い。金属リード線の材料としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、またはチタン等が好ましいが、金属リード線が後述するキャリア輸送層107により腐食する材料からなる場合には酸化珪素が含まれるガラス材料などで金属リード線を保護することが好ましい。なお、金属リード線が太すぎると受光面からの入射光量の低下を招くおそれがあるため、金属リード線の太さは0.1〜4mm程度であることが好ましい。
導電層102を絶縁基板101上に形成する方法は特に限定されず、たとえばスパッタ法またはスプレー法などであることが好ましい。
[第2電極]
本発明に用いられる第2電極111は、たとえば導電層106が絶縁基板101上に形成されて構成されても良いし、導電層106のみからなっても良い。導電層106は、導電性材料からなることが好ましく、たとえば、n型半導体材料またはp型半導体材料からなっても良いし、金、白金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、タンタルまたはタングステンなどの金属からなっても良いし、SnO2、ITO、CuIまたはZnOなどからなる透明導電膜であっても良い。
導電層106が絶縁基板101上に形成されて第2電極111が構成されている場合、第2電極111は、ガラス、プラスチックまたは透明ポリマーシートなどからなる絶縁基板101の表面に導電層が形成されて構成された電極であることが好ましく、すなわち第1電極112の導電性支持体110と同様に構成されていることが好ましい。このとき、絶縁基板101は、第1電極112における絶縁基板100と同様に構成されていることが好ましい。
[キャリア輸送層]
本発明において、「キャリア輸送層」とは、封止部材103よりも内側であって且つ第1電極112(具体的には第1電極112における光電変換層104)と第2電極111とで挟まれた領域に、キャリア輸送材料が注入されて構成されている。したがって、少なくとも光電変換層104にはキャリア輸送材料が充填される。
キャリア輸送材料は、イオンを輸送可能な導電性材料であることが好ましく、たとえば液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質などであることが好ましい。
液体電解質は、酸化還元種を含む液状物であればよく、一般に電池または太陽電池などにおいて使用できるものであれば特に限定されない。具体的には、液体電解質としは、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶剤とからなるもの、酸化還元種と酸化還元種を溶解可能な溶融塩とからなるもの、または酸化還元種と上記溶剤と上記溶融塩とからなるものなどを挙げることができる。
酸化還元種としては、たとえばI-/I3-系、Br2-/Br3-系、Fe2+/Fe3+系、またはキノン/ハイドロキノン系などが挙げられる。具体的には、酸化還元種は、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、またはヨウ化カルシウム(CaI2)などの金属ヨウ化物とヨウ素(I2)との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、テトラエチルアンモニウムアイオダイド(TEAI)、テトラプロピルアンモニウムアイオダイド(TPAI)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)、またはテトラヘキシルアンモニウムアイオダイド(THAI)などのテトラアルキルアンモニウム塩とヨウ素との組み合わせであっても良い。酸化還元種は、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、または臭化カルシウム(CaBr2)などの金属臭化物と臭素との組み合わせであっても良い。これらの中でも、LiIとI2との組み合わせが特に好ましい。
酸化還元種を溶解可能な溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤、エタノールなどのアルコール類、水、または非プロトン極性物質などが挙げられる。これらの中でも、カーボネート化合物またはニトリル化合物が特に好ましい。これらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
液体電解質中の電解質濃度は、0.001〜1.5mol/Lの範囲が好ましく、0.01〜0.7mol/Lの範囲が特に好ましい。
固体電解質は、電子、ホール、またはイオンを輸送できる導電性材料であり、色素増感太陽電池の電解質として用いることができ、且つ流動性がないものであることが好ましい。具体的には、固体電解質は、ポリカルバゾールなどのホール輸送材、テトラニトロフロオルレノンなどの電子輸送材、ポリロールなどの導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した高分子電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅などのp型半導体、または溶融塩を含む液体電解質を微粒子により固体化した電解質などが挙げられる。
ゲル電解質は、通常、電解質とゲル化剤からなる。電解質は、たとえば上記液体電解質であっても良いし、上記固体電解質であっても良い。ゲル化剤としては、たとえば、架橋ポリアクリル樹脂誘導体、架橋ポリアクリロニトリル誘導体、ポリアルキレンオキシド誘導体、シリコーン樹脂類、または側鎖に含窒素複素環式四級化合物塩構造を有するポリマーなどの高分子ゲル化剤などが挙げられる。
溶融塩ゲル電解質は、通常、上記のようなゲル電解質と常温型溶融塩とからなる。常温型溶融塩としては、たとえばピリジニウム塩類またはイミダゾリウム塩類などの含窒素複素環式四級アンモニウム塩類などが挙げられる。
上記の電解質(具体的には、液体電解質、固体電解質、ゲル電解質、または溶融塩ゲル電解質)は、必要に応じて、次に示す添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、t−ブチルピリジン(TBP)などの含窒素芳香族化合物であっても良いし、ジメチルプロピルイミダゾールアイオダイド(DMPII)、メチルプロピルイミダゾールアイオダイド(MPII)、エチルメチルイミダゾールアイオダイド(EMII)、エチルイミダゾールアイオダイド(EII)、またはヘキシルメチルイミダゾールアイオダイド(HMII)などのイミダゾール塩であっても良い。
[触媒層]
触媒層105は、キャリア輸送層107と、第2電極111における導電層106との間に設けられている。触媒層105を構成する材料は、キャリア輸送層107の酸化還元反応を活性化可能な材料であることが好ましく、たとえば、白金(仕事関数:6.35eV)であっても良いし、カーボンブラック、グラファイト、ガラス炭素、アモルファス炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンホイスカー、カーボンナノチューブ、またはフラーレンなどカーボン材料(仕事関数4.7ev)であっても良い。
白金からなる触媒層105の形成方法としては、PVC法、蒸着法、またはスパッタリング法等により、第2電極111の導電層106上に白金層を形成するという方法が挙げられる。また、カーボンからなる触媒層105の形成方法としては、スクリーン印刷法などの塗布法により、カーボンを溶媒に分散してペースト状にしたものを導電層106上に塗布するという方法が挙げられる。
[封止部材]
封止部材103は、色素増感太陽電池の内部への水などの浸入を防止するために設けられ、キャリア輸送層107が液体電解質から構成される場合には液体電解質の蒸発を防止するために設けられる。また、封止部材103は、色素増感太陽電池への落下物による衝撃または応力を吸収するという役割、および長期にわたる使用により絶縁基板100,101に作用するたわみなどを吸収するという役割なども担う。
封止部材103は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、またはガラスフリットなどからなることが好ましい。これらの材料のうち2種類以上の材料を混合して封止部材103を形成しても良いし、単一の材料からなる二種以上の層を積層して封止部材103を形成しても良い。
キャリア輸送層107においてニトリル系溶剤またはカーボネート系溶剤が酸化還元性電解質の溶剤として使用される場合には、封止部材103は、シリコーン樹脂、ホットメルト樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂、またはガラスフリットからなることが好ましい。
封止部材103がシリコーン樹脂、エポキシ樹脂またはガラスフリットからなる場合には、ディスペンサーを用いることにより、封止部材103を中空に形成することができる。封止部材103がホットメルト樹脂からなる場合には、ホットメルト樹脂からなるシートにパターニングした穴を開けることにより、封止部材103を中空に形成することができる。このようにして形成された中空部分は、光電変換層104およびキャリア輸送層107が形成される領域となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示す色素増感太陽電池を作製した。具体的には、導電性支持体110として、SnO2膜からなる導電層102がガラスからなる絶縁基板100上に形成されて構成されたガラス基板(日本板硝子社製、商品名「SnO2膜付ガラス」)を用いた。スクリーン印刷機(ニューロング精密工業製LS−150)を用いて、上記導電性支持体110の導電層102の所定の位置に、市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名「Ti−Nanoxide T/SP」)を塗布した。焼成炉(デンケン社製のKDF P−100)を用いて、酸化チタンペーストが塗布された導電性支持体110を500℃で40分間、空気中で焼成した。これにより、酸化チタンからなる膜厚8μmの半導体層が得られた。スクリーン印刷機を用いて、得られた半導体層の上に市販の酸化チタンペースト(Solaronix社製、商品名「Ti−Nanoxide D/SP」)を塗布し、上記焼成炉を用いて、酸化チタンペーストが新たに塗布された導電性支持体110を500℃で40分間、空気中で焼成した。これにより、酸化チタンからなる膜厚が12μmである半導体層が形成された。
アセトニトリルとn−ブタノールとを体積比1:1で混合した溶剤に、上記化学式(I)(RがCF3である)で表される色素化合物を0.3mmol/Lの濃度で溶解させた。このようにして得られた色素溶液に上記半導体層を浸漬させ、室温で24時間放置した。これにより、上記色素化合物が半導体層に吸着され、よって、光電変換層104が得られた。その後、絶縁基板100をエタノールで洗浄し、約35℃で約1分間乾燥させた。
第2電極111として、SnO2膜からなる導電層106がガラスからなる絶縁基板101上に形成されて構成されたガラス基板(日本板硝子社製、商品名「SnO2膜付ガラス」)を用いた。蒸着機(アネルバ製のEVD500A)を用いて、上記第2電極111の導電層106の所定の位置に、白金を0.1nm/secの蒸着速度で蒸着した。これにより、厚さ50nmの触媒層105が導電層106の上に形成された。その後、第2電極111の所定の位置に電解液注入口を2か所形成した(図示せず)。
スクリーン印刷機(ニューロング精密工業製のLS−150)を用いて、光電変換層104の外周に、光電変換層104に接触しないように紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、品番「31X−101」)を塗布した。塗布された紫外線硬化樹脂の上部に、触媒層105が絶縁基板101よりも紫外線硬化樹脂側に位置するように第2電極111を貼り合わせた。そして、紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社製のHR10001N−4)を用いて、紫外線硬化樹脂を硬化させるとともに、この紫外線硬化樹脂(封止部材103)を介して光電変換層104を含む第1電極112と第2電極111とを接着した。
その後、電解液を、第2電極111に形成された電解液注入口からキャピラリー効果により注入した。電解液としては、アセトニトリル(Aldrich Chemical Company製)に、濃度が0.1mol/LとなるようにLiI(Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.05mol/LとなるようにI2(Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.5mol/LとなるようにTBP(Aldrich Chemical Company製)を溶解させ、濃度が0.6mol/LとなるようにDMPII(四国化成製)を溶解させて調製したものを用いた。電解液の注入後、電解液注入口に紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製、品番「31X−101」)を塗布し、紫外線ランプ(セン特殊光源株式会社のHR10001N−4)を用いてその紫外線硬化樹脂を硬化させた。これにより、実施例1の色素増感太陽電池を作製した。
得られた色素増感太陽電池に対して1kW/m2の強度の光(AM1.5ソーラーシミュレータ)を照射して、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および光電変換効率(η)を測定した。
<実施例2>
色素化合物を化学式(I)で表される化合物(RがCNである)としたことを除いては上記実施例1と同様にして実施例2の色素増感太陽電池を作製した。上記実施例1と同様の方法にしたがって、得られた色素増感太陽電池の短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および光電変換効率(η)を測定した。
<実施例3>
色素化合物を化学式(I)で表される化合物(RがOCH3である)としたことを除いては上記実施例1と同様にして実施例3の色素増感太陽電池を作製した。上記実施例1と同様の方法にしたがって、得られた色素増感太陽電池の短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および光電変換効率(η)を測定した。
<実施例4>
色素化合物を化学式(I)で表される化合物(RがSCH3である)としたことを除いては上記実施例1と同様にして実施例4の色素増感太陽電池を作製した。上記実施例1と同様の方法にしたがって、得られた色素増感太陽電池の短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および光電変換効率(η)を測定した。
<比較例1>
色素化合物を化学式(XI)で表される化合物としたことを除いては上記実施例1と同様にして比較例1の色素増感太陽電池を作製した。上記実施例1と同様の方法にしたがって、得られた色素増感太陽電池の短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)および光電変換効率(η)を測定した。
測定結果を表1に示す。
Figure 0005770115
表1に示すように、化学式(I)で表される色素化合物を使用した色素増感太陽電池(実施例1〜4)では、化学式(XI)で表される色素化合物を使用した色素増感太陽電池(比較例1)よりも、Jscが大きく、Vocが高く、ηが高いことが分かった。その理由としては、化学式(I)で表される色素化合物は、化学式(XI)で表される色素化合物に比べて、光電変換素子の光電変換効率の向上に貢献するということが考えられる。
100,101 絶縁基板、102,106 導電層、103 封止部材、104 光電変換層、105 触媒層、107 キャリア輸送層、110 導電性支持体、111 第2電極、112 第1電極。

Claims (2)

  1. 下記化学式(I)で表される色素化合物が半導体層に吸着されて構成された光電変換層を含む光電変換素子。
    Figure 0005770115
    上記化学式(I)において、Rは、−CF3、−CN、−OCH3、および−SCH3のいずれかである。
  2. 下記化学式(I)で表される色素化合物が半導体層に吸着されて構成された光電変換層を含む第1電極と、
    前記第1電極の対電極となる第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に設けられたキャリア輸送層と
    を備えた色素増感太陽電池。
    Figure 0005770115
    上記化学式(I)において、Rは、−CF3、−CN、−OCH3、および−SCH3のいずれかである。
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