JP5769670B2 - エコー抑圧ゲイン推定方法とそれを用いたエコー消去装置とプログラム - Google Patents

エコー抑圧ゲイン推定方法とそれを用いたエコー消去装置とプログラム Download PDF

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Description

この発明は、音響再生系を有する通信会議システム等に用いられるエコー消去装置及び、それに適用されるエコー抑圧ゲイン推定方法と、そのプログラムに関する。
短時間スペクトル振幅(STSA:Sort-Time Spectral Amplitude)推定に基づくエコー抑圧処理は、エコーと近端話者音声の無相関を仮定してエコーを抑圧するゲイン係数を推定し、振幅周波数領域でエコーを抑圧する方法であり、例えば非特許文献1に記載されている。これに対し、エコー抑圧後の音声品質向上のため、非特許文献1に記載される上記ゲイン係数の推定方法(以下、「エコー抑圧ゲイン推定方法」と称す)を改善した手法として、特許文献1が提案されている。ここでは、特許文献1に開示されたエコー抑圧ゲイン推定方法を用いたエコー消去装置10の機能構成例を、図7に示してその動作を簡単に説明する。
エコー消去装置10は、再生信号周波数分析部81と、収音信号周波数分析部82と、エコーパワー推定部83と、類似度係数計算部12と、エコー抑圧ゲイン計算部14と、乗算部85と、周波数合成部86とを備える。再生信号x(k)は、例えばサンプリング周波数16kHzで離散値とされた信号であり、スピーカ1によって音響信号に変換される。なお、再生信号を離散値化するAD変換器と、その離散値を連続値に変換するDA変換器については省略している。
再生信号周波数分析部81は、再生信号の離散値を256点集めて1フレームとし、1/2オーバーラップ加算による周波数分析を行い、フレーム単位で8kHzまでの周波数範囲を128個の再生信号スペクトルXωに変換する。kはフレーム番号であり、ωはこの例の場合64Hzの間隔で得られる周波数スペクトルの番号(1〜128)である。
マイクロホン2で収音される収音信号y(k)は、再生信号x(k)がスピーカ1から再生されたことによるエコーd(k)が、近端話者信号s(k)に重畳した信号である。その収音信号y(k)は、再生信号x(k)と同じように収音信号周波数分析部82によって収音信号スペクトルYωに変換される。YωはYω=Dω+Sω、Dωはエコースペクトル、Sωは近端話者信号スペクトル、である。
エコーパワー推定部83は、再生信号スペクトルXωと収音信号スペクトルYωとを入力として式(1)に示すエコーパワー推定値|Dω^|を計算する。^は推定値であることを表わすが、その表記は式及び図中に示すものが正しい。
Figure 0005769670
ここで、Hωはスピーカ1からマイクロホン2に回り込むエコー経路のスペクトル、|Hω^|は音響結合量の推定値であり、|Hω^| ̄は1フレーム過去の音響結合量の推定値である。min{ , }は最小値を選択する関数である。したがって、|Hω^|は隣接するフレーム間で小さい方の音響結合量がその推定値になる。
エコー抑圧ゲイン計算部14は、収音信号スペクトルYωと、エコーパワー推定値|Dω^|と、類似度係数|rω|を入力として式(2)に示すゲイン係数Gωを出力する。ゲイン係数Gωは0〜1の実数値をとり、収音信号スペクトルYω中にエコー成分が多い場合には小さな値、エコー成分以外の成分が多い場合には大きな値をとる。
Figure 0005769670
乗算部85は、収音信号スペクトルYωにゲイン係数Gωを乗算する。エコー成分が多い場合のゲイン係数Gωは小さな値となるので、乗算部85の出力信号はエコー成分が抑圧された近端話者信号スペクトル推定値Sω^となる。この各周波数成分ωに対応する近端話者信号スペクトル推定値Sω^は、周波数合成部86において時間領域の出力信号e(k)に再合成される。
類似度係数計算部12は、再生信号スペクトルXωと収音信号スペクトルYωとを入力として、内積<Xω,Yω>を例えば式(3)で、再生信号スペクトルのノルム値‖Xω‖と、収音信号スペクトルのノルム値‖Yω‖を、例えば式(4)と式(5)でそれぞれ計算する。
Figure 0005769670
ここで、*は複素共役、 ̄は1フレーム過去であることを表わす。εは0<ε≦1を満たす忘却係数であり、指数関数的な減衰の時定数を決定する。例えばε=0.016とする。εが1に近づくほど現在の再生信号スペクトルXωと収音信号スペクトルYωに依存した(重み付けされた)それぞれの値になる。なお、周波数軸方向にも着目した式(6)〜(8)を用いてもよい。
Figure 0005769670
ここでM1〜M2は所定の周波数範囲を表わす。式(6)〜(8)は周波数軸方向に相関を取った後に時間軸方向の相関を取る形である。相関を取る順番は逆でもよい。また、式(3)に替えて位相成分を考慮しない絶対値から求める式(9)を用いてもよい。
Figure 0005769670
類似度係数計算部12は、式(3)〜(5)でそれぞれの値を計算した後に、式(10)で類似度係数|rω|を計算する。
Figure 0005769670
ここで類似度係数|rω|を算出する式(10)の導出根拠について説明する。
例えばウィナーフィルタ法(Wiener Filter以下「WF法」と称す)では、式(11)の評価量εを最小とするゲイン係数Gωを推定してエコーを抑圧する。
Figure 0005769670
式(11)をGωで微分すると次式で表せる。
Figure 0005769670
式(12)を0と置いた式からゲイン係数Gωを求めると式(13)となる。
Figure 0005769670
式(13)を変形するとゲイン係数Gωは式(14)で表せる。
Figure 0005769670
ここでrωはエコースペクトルDωと近端話者信号スペクトルSωの複素コヒーレンスを示す。Dω=Hω ωを用いてrωから未知のベクトルDωを消去すると式(15)で表せる。
Figure 0005769670
ここで*は複素共役を表す。式(15)から分かるようにDωを消去しても未知の変数であるHωが存在するため、rωを求めることは困難である。しかし、その絶対値ならば式(16)に示すようにHωが消去可能なことに着目する。
Figure 0005769670
そしてゲイン係数を次式に示すように与える。
Figure 0005769670
この式(17)から明らかなようにゲイン係数Gωは、類似度係数|rω|が1に近づくほど小さな値になりエコーが抑圧される。と同時にこのようにして求めたゲイン係数は、近端話者信号s(k)の欠損を軽減するように動作する。つまり、<Dω,Sω>=0となるほどの長時間を要することなく、短時間のスペクトル振幅を用いてエコーを抑圧するので、内積値が0でない分が誤差となって発生するミュージカルノイズの発生を抑圧することができる。
特許第4787851号
阪内澄宇、羽田陽一、片岡章俊著「STSA推定に基づくエコー抑圧処理のゲイン強調化方式」信学論(A),1vol.J88-A,no.6,Jun.2005,p695-703
類似度係数|rω|は、収音信号中のエコー成分の割合を表す値で0〜1の間の値をとる係数である。したがって、近端話者信号s(k)の欠損を軽減するように動作するが、類似度係数|rω|は1より大きな値をとることができないため、エコーをより大きく抑圧するようには動作しない。その結果、エコーが十分に抑圧できない場合があり、抑圧し切れなかったエコー成分が音質劣化として聴感上知覚される場合がある。エコーが十分に抑圧できない場合とは、近端話者信号s(k)の相関が残ってエコーが真値より小さく見積もられてしまう場合である。また、近端話者信号s(k)の相関が残る現象は、近端話者信号s(k)が大きい場合に顕著になる。
この発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、エコー成分が残ることに起因する音質劣化を防止するエコー抑圧ゲイン推定方法と、それを用いたエコー消去装置とそのプログラムを提供することを目的とする。
この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法は、再生信号周波数分析段階と、収音信号周波数分析段階と、エコーパワー推定段階と、エコーパワー補正係数計算段階と、エコー抑圧ゲイン計算段階と、を有する。再生信号周波数分析段階は、再生信号を周波数領域の再生信号スペクトルXωに変換する。収音信号周波数分析段階は、収音信号を周波数領域の収音信号スペクトルYωに変換する。エコーパワー推定段階は、再生信号スペクトルXωと収音信号スペクトルYωとを入力としてエコーパワー推定値|Dω^|を計算する。エコーパワー補正係数計算段階は、収音信号スペクトルYωとエコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と収音信号スペクトルの大きさ|Yω|との内積値を2分のα乗した値を、エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αで除した値をエコーパワー補正係数推定値γω^として計算する。エコー抑圧ゲイン計算段階は、収音信号スペクトルYωと、エコーパワー補正係数推定値γω^と、エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、エコーを抑圧するゲイン係数を上記エコーパワー補正係数推定値γω^が大きな値をとるほど小さな値になるように計算する。
この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法によれば、エコーパワー補正係数推定値が0〜無限大の範囲の値をとり、エコーパワー補正係数推定値が大きな値をとるほどゲイン係数が小さくなりエコーが抑圧され、逆にエコーパワー補正係数推定値が小さな値をとるほどゲイン係数が大きくなり近端話者信号の欠損を軽減するように動作する。したがって、従来法に比べてエコーを十分に抑圧できるように動作し、音声歪みに対してより頑健な音質劣化の少ないエコー抑圧を行うことが可能になる。
この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法を用いたエコー消去装置100の機能構成例を示す図。 この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法の動作フローを示す図。 エコーパワー補正係数計算部110の機能構成例を示す図。 エコー抑圧ゲイン計算部120の機能構成例を示す図。 エコー抑圧ゲイン計算部120の動作フローを含めたエコー抑圧ゲイン推定方法の動作フローを示す図。 シミュレーション結果を示す図。 従来のエコー消去装置10の機能構成を示す図。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。複数の図面中同一のものには同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
〔発明の基本的な考え〕
実施例の説明の前に、この発明のエコー抑圧方法の基本的な考えを説明する。この発明は、エコースペクトルDωと近端話者信号スペクトルSωとの相関を踏まえた評価量εの最小解を新たに得ることで、エコー抑圧ゲイン推定の高精度化を図る考えである。
上記した式(13)を変形するとゲイン係数Gω は次式で表せる。なお、Gω のpは、上記した従来技術のゲイン係数Gωと区別するための記号である。
Figure 0005769670
ここで、γωはエコーパワー補正係数であり、エコースペクトルDωと収音信号スペクトルYωの内積値を、エコースペクトルの二乗ノルム値‖Dωで除した値を示す。式(18)から分かるように未知の変数であるDωが存在するため、このままではゲインを求めることは困難である。
そこで、この発明では、エコースペクトルDωと収音信号スペクトルYωの内積値を、エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と収音信号スペクトルの大きさ|Yω|の内積値で代用すると共に、エコースペクトルの二乗ノルム値‖Dωをエコーパワー推定値の平方根の二乗ノルム値‖Dω^‖で代用する。つまり、エコーパワー補正係数推定値γω^を式(19)で計算する。
Figure 0005769670
ここで内積<|Dω^|,|Yω|>を例えば式(20)で、エコーパワー推定値の平方根の二乗ノルム値‖Dω^‖を例えば式(21)で、それぞれ計算する。
Figure 0005769670
なお、式(20)、式(21)に置き換えて、周波数軸方向にも着目した式(22)、式(23)を用いてもよい。
Figure 0005769670
そして、ゲイン係数を次式に示すように与える。
Figure 0005769670
式(19)は一般化すると次式で表せる。
Figure 0005769670
エコーパワー補正係数推定値γω^は、エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と収音信号スペクトルの大きさ|Yω|との内積値を2分のα乗した値を、エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値で除した値である。
つまり式(19)は、α=2とした場合であり、α=2である式(24)は、ウィナーフィルタに近いフィルタであることを表している。αは強調係数、その値は0より大きな整数である。なお、式(24)を一般化すると次式で表せる。
Figure 0005769670
式(26)のエコーパワー補正係数推定値γω^は、上記式(25)に示した一般化したγω^である。このエコーパワー補正係数推定値γω^は0〜無限大の範囲で値をとる。よって、エコーパワー補正係数推定値γω^が大きければゲイン係数Gω が小さくなりエコーが抑圧される。また、エコーパワー補正係数推定値γω^が小さければゲイン係数Gω が大きくなり近端話者信号の欠損を軽減するように動作する。その結果、エコーを十分に抑圧できるように動作し、音声歪みに対してより頑健な音質劣化の少ないエコー抑圧を行うことが可能になる。
図1に、この発明のエコー消去装置100の機能構成例を示す。その動作フローを図2に示す。エコー消去装置100は、再生信号周波数分析部81と、収音信号周波数分析部82と、エコーパワー推定部83と、エコーパワー補正係数計算部110と、エコー抑圧ゲイン計算部120と、乗算部85と、周波数合成部86と、を具備する。エコー消去装置100は、例えばROM、RAM、CPU等で構成されるコンピュータに所定のプログラムが読み込まれて、CPUがそのプログラムを実行することで実現されるものである。
再生信号周波数分析部81は、再生信号x(k)を周波数領域の再生信号スペクトルXωに変換する(ステップS81)。収音信号周波数分析部82は、収音信号y(k)を周波数領域の収音信号スペクトルYωに変換する(ステップS82)。
エコーパワー推定部83は、再生信号スペクトルXωと収音信号スペクトルYωとを入力としてエコーパワー推定値|Dω^|を計算する(ステップS83)。エコーパワー補正係数計算部110は、エコーパワー推定値|Dω^|と収音信号スペクトルYωとを入力として、エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と収音信号スペクトルの大きさ|Yω|との内積値を2分のα乗した値を、エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αで除した値をエコーパワー補正係数推定値γω^として計算する(ステップS110)。
エコー抑圧ゲイン計算部120は、収音信号スペクトルYωと、エコーパワー補正係数推定値γω^と、エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、エコーを抑圧するゲイン係数Gω をエコーパワー補正係数推定値γω^が大きな値をとるほど小さな値になるように計算する(ステップS120)。なお、乗算部85と周波数合成部86の処理ステップは省略している。
エコー消去装置100は、従来のエコー消去装置10(図7)の類似度係数計算部12がエコーパワー補正係数計算部110に、エコー抑圧ゲイン計算部14がエコー抑圧ゲイン計算部120に置き換わった以外は、従来技術と同じ構成である。この新しい構成のエコーパワー補正係数計算部110とエコー抑圧ゲイン計算部120について、更に詳しく説明する。
〔エコーパワー補正係数計算部〕
図3に、エコーパワー補正係数計算部110のより具体的な機能構成例を示す。エコーパワー補正係数計算部110は、内積演算手段110aと、ノルム演算手段110bと、除算手段110cと、レジスタ110dと、レジスタ110eと、を備える。
内積演算手段110aは、エコーパワー推定部83が出力するエコーパワー推定値|Dω^|と収音信号周波数分析部82が出力する収音信号スペクトルYωとを入力として、式(27)でその内積を演算する。
Figure 0005769670
ここでαは強調係数であり、その値はレジスタ110eに記憶されている。また、εは上記した忘却係数であり、例えばε=0.016といった値が、予めレジスタ110dに記憶されている。εが1に近づくほど現在のエコーパワー推定値の平方根|Dω^|と収音信号スペクトルの大きさ|Yω|に依存した(重み付けされた)それぞれの値になる。
ノルム演算手段110bは、式(28)でエコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αを演算する。
Figure 0005769670
除算手段110cは、その内積値を、エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αで除してエコーパワー補正係数推定値γω^を演算する。エコーパワー補正係数推定値γω^は、式(25)で表せる。
〔エコー抑圧ゲイン計算部〕
図4に、エコー抑圧ゲイン計算部120のより具体的な機能構成例を示す。エコー抑圧ゲイン計算部120は、エコーパワー調整手段120aと、減算手段120bと、除算手段120cと、エコーの消し残りを無くす定数Cを記録したレジスタ120dと、強調係数αを記録したレジスタ120eとを備える。
エコーパワー調整手段120aは、エコーパワー推定値|Dω^|とエコーパワー補正係数推定値γω^を入力として、エコーパワー推定値の平方根|Dω^|を強調係数αでべき乗した後にお互いを乗算し、さらにその値に定数Cを乗算してエコーパワー調整値を計算する(図5のステップS120a)。このエコーパワー調整過程を含むことで、エコー成分を十分に抑圧することが可能になる。
減算手段120bは、エコーパワー調整値と収音信号スペクトルYωとを入力とし、収音信号スペクトルの大きさ|Yω|を強調係数αでべき乗した値からエコーパワー調整値を減算する(ステップS120b)。
除算手段120cは、減算手段120bの出力信号を、収音信号スペクトルの大きさ|Yω|を強調係数αでべき乗した値で除算してゲイン係数Gω を出力する(ステップS120c)。つまり、エコー抑圧ゲイン計算部120は、式(29)を計算してゲイン係数Gω を出力する。
Figure 0005769670
式(29)のエコーパワー補正係数推定値γω^は、上記式(25)に示した一般化したγω^である。ここで強調係数αは正の数であるとして例えば2とする。定数Cは正の数であるとして例えば1.0とする。強調係数αと、定数Cは、ゲイン係数Gω を適当な値に調整するものである。強調係数α=2とするとウィナーフィルタに近い式になる。
以上のようにして求めたゲイン係数Gω は、近端話者信号s(k)の欠損を軽減するようにエコー消去装置100を動作させる。したがって、従来法に比べて音声歪みに対して頑健なミュージカルノイズ発生の少ないエコー抑圧を行うことが可能になる。
〔シミュレーション結果〕
この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法を、短時間スペクトル振幅エコー抑圧処理に適用して従来法と性能比較を行った。従来法は、非特許文献1に記載されたWF法とした。性能の比較は、音声特徴量の差(ベクトル距離)であるケプストラム距離を用いて行った。シミュレーション条件は、サンプリング周波数16kHz、周波数分析長256点、1/2オーバーラップ加算による周波数分析合成、エコー経路d(k)の残響時間は300msの部屋とした。
シミュレーション結果を図6に示す。図6の横軸は時間[秒]、縦軸はケプストラム距離である。試験で用いた収音信号のうち、0秒から4秒までの区間はエコーのみの(近端話者信号が存在しない)区間、4秒から8秒までの区間は近端話者信号のみの(エコーが存在しない)区間、8秒から12秒までの区間はエコーと近端話者信号が混在する区間である。このうち、図6には、8秒から12秒までのエコーと近端話者信号が混在する区間を示した。破線がWF法、実線が本発明である。図6より、この発明のエコー抑圧ゲイン推定方法の方が、ケプストラム距離の値が小さいことが分かる。つまり、全体を通して近端話者信号を再現できていることが分かる。
以上のようにこの発明のエコー抑圧ゲイン推定方法を用いることでエコー成分が残ることに起因する音質劣化を防止すると共に、高いエコー抑圧性能を達成しながらミュージカルノイズ発生も軽減することができる。
なお、この発明の方法及び装置は上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記方法及び装置において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
また、上記装置における処理手段をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、各装置における処理手段がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−
R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記録装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
また、各手段は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよいし、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。

Claims (5)

  1. 再生信号を周波数領域の再生信号スペクトルXωに変換する再生信号周波数分析段階と、
    収音信号を周波数領域の収音信号スペクトルYωに変換する収音信号周波数分析段階と、
    上記再生信号スペクトルXωと上記収音信号スペクトルYωとを入力としてエコーパワー推定値|Dω^|を計算するエコーパワー推定段階と、
    上記収音信号スペクトルYωと上記エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、上記エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と上記収音信号スペクトルの大きさ|Yω|との内積値を2分のα乗した値を、上記エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αで除した値をエコーパワー補正係数推定値γω^として計算するエコーパワー補正係数計算段階と、
    上記収音信号スペクトルYωと上記エコーパワー補正係数推定値γω^と上記エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、エコーを抑圧するゲイン係数を上記エコーパワー補正係数推定値γω^が大きな値をとるほど小さな値になるように計算するエコー抑圧ゲイン計算段階と、
    を有するエコー抑圧ゲイン推定方法。
  2. 請求項1に記載のエコー抑圧ゲイン推定方法において、
    上記エコー抑圧ゲイン計算段階は、上記エコーパワー推定値の平方根|Dω^|を上記αでべき乗した値に、上記エコーパワー補正係数推定値γω^を乗算したエコーパワー調整値を生成するエコーパワー調整過程を、含むことを特徴とするエコー抑圧ゲイン推定方法。
  3. 請求項2に記載のエコー抑圧ゲイン推定方法において、
    上記エコー抑圧ゲイン計算段階は、
    上記エコーパワー調整過程と、
    上記収音信号スペクトルの大きさ|Yω|を上記αでべき乗した値から上記エコーパワー調整値を減算する減算過程と、
    上記減算過程の出力信号を上記収音信号スペクトルの大きさ|Yω|を上記αでべき乗した値で除算する除算過程と、
    から成ることを特徴とするエコー抑圧ゲイン推定方法。
  4. 再生信号を周波数領域の再生信号スペクトルXωに変換する再生信号周波数分析部と、
    収音信号を周波数領域の収音信号スペクトルYωに変換する収音信号周波数分析部と、
    上記再生信号スペクトルXωと上記収音信号スペクトルYωとを入力としてエコーパワー推定値|Dω^|を計算するエコーパワー推定部と、
    上記収音信号スペクトルYωと上記エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、上記エコーパワー推定値の平方根|Dω^|と上記収音信号スペクトルの大きさ|Yω|との内積値を2分のα乗した値を、上記エコーパワー推定値の平方根のα乗ノルム値‖Dω^‖αで除した値をエコーパワー補正係数推定値γω^として計算するエコーパワー補正係数計算部と、
    上記収音信号スペクトルYωと上記エコーパワー補正係数推定値γω^と上記エコーパワー推定値|Dω^|とを入力として、エコーを抑圧するゲイン係数を上記エコーパワー補正係数推定値γω^が大きな値をとるほど小さな値になるように計算するエコー抑圧ゲイン計算部と、
    を具備するエコー抑圧ゲイン推定装置。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載したエコー抑圧ゲイン推定方法を、コンピュータで処理するためのプログラム。
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