JP3841705B2 - 占有度抽出装置および基本周波数抽出装置、それらの方法、それらのプログラム並びにそれらのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

占有度抽出装置および基本周波数抽出装置、それらの方法、それらのプログラム並びにそれらのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は複数の音や雑音下の音声信号などの音響信号からその基本周波数を狭い周波数帯域に分割して抽出する基本周波数抽出方法およびその装置、その基本周波数抽出に利用可能な、目的音の他の音源・雑音の影響を評価する尺度としての占有度を抽出する方法およびその装置、並びに基本周波数抽出プログラム、占有度抽出プログラム、これらの各記録媒体に関する。
基本周波数抽出は、音声合成、音声認識、音声符号化等の信号処理の前処理として利用されている。したがって、雑音下での高精度な基本周波数抽出は、後処理として実施される信号処理装置の性能を向上させることに寄与する。このような信号処理装置には、以下のようなものが含まれる。
1.基本周波数の情報をもとに複数音源の混合音から各構成音を分離する音源 分離装置
2.基本周波数の情報をもとに音声を符号化する音声符号化・復号化装置
3. 騒がしい環境で人が鼻歌で歌った音の基本周波数からメロディを抽出し て、楽曲を検索する音楽検索装置
4.音楽演奏を音響信号を受け取って楽譜、もしくは楽譜相当の音楽情報を抽 出する自動採譜装置
5.人が発した声の基本周波数の高さで機械にコマンドを渡す機械制御インタ ーフェース装置、および、機械との対話装置
【0002】
【従来の技術】
基本周波数抽出装置の従来例1を図14を参照して説明する。
この従来例1は基本周波数の整数倍の周波数で、対数パワースペクトル上に周期的なピークが現れることを利用する。信号入力部11よりの入力信号は対数パワースペクトル抽出部12で短時間フーリエ変換され、その各スペクトルの絶対値を2乗したものの対数をとって対数パワースペクトルが演算され、この対数パワースペクトルに対し、周期性抽出部13により短時間フーリエ逆変換が施され、各周期と対応したレベル、つまり周期性が抽出される。最大値抽出部14で周期性が最大になる時間差を抽出する。この抽出した時間差、つまり周期の逆数が基本周波数である。
【0003】
他の従来例2は、瞬時周波数を用いて、前記従来例1と同じ対数パワースペクトルのピークをより強調して、高精度な基本周波数を抽出しようとするものである。入力信号の瞬時周波数成分を抽出し、これを各周波数帯ごとの瞬時周波数φ′(ω)(ωは各周波数帯域ごとの中心周波数)と、対数パワースペクトル抽出部が抽出したスペクトルS(ω)から、以下の式を用いてピークを強調した瞬時周波数スペクトルG(λ0 )を求める。
【0004】
【数1】
Figure 0003841705
この瞬時周波数スペクトルG(λ0 )のピークの周期性を抽出することで、基本周波数を抽出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した基本周波数抽出装置の従来例1は、入力信号中に、目的音以外の複数音声や雑音が含まれている場合、対数パワースペクトル上に目的音以外の特徴が重畳されてしまう。このため、目的音以外の音のパワーが大きくなると、基本周波数抽出の誤差が大きくなってしまう問題点があった。
また、従来例2では、瞬時周波数スペクトルは、瞬時周波数の微小区間の傾きを用いて周波数ピークの強調を行うため、雑音下では、瞬時周波数の不安定な挙動がそのまま瞬時周波数スペクトルにあらわれてしまう。このため、雑音下で安定して基本周波数を抽出する特徴量としては不適切であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するために、
(1)本発明では、入力音の各周波数成分が雑音の影響を受けていない度合いを表す占有度を定義し、その占有度の抽出方法とその装置、またその占有度を利用した基本周波数抽出方法とその装置を提供する。このため、瞬時周波数に関する次の性質を利用する。
瞬時周波数φ′とは、例えば短時間フーリエ変換の各周波数ビン(bin)を、等間隔にならんだ狭帯域通過フィルタ出力群とみなした場合の、その各出力波の位相φの時間微分のことである。ある時刻のある帯域に強いパワーを持った占有的な周波数成分があると、短時間フーリエ変換(以下、STFTと記す)におけるその周波数近傍のbinでは、瞬時周波数がほぼ一定値になることが知られている。このため、雑音が少ない入力信号中の調波構造を持った音の瞬時周波数を縦軸に、STFTの周波数binを横軸にとってプロットすると、図15A中の細実線で示すような階段状になる。この階段の水平部分と各周波数binの中心周波数ωc が一致する点(φ′=ωc 、以下、不動点と呼ぶ)が、各高調波成分の周波数とみなすことができる。一方、強い雑音がある入力信号中では、瞬時周波数は明確な階段状にならず、図15B中の細実線の600Hz以上の部で示すように、なだらかな右上がりの線になる。
【0007】
上述の瞬時周波数の性質を用いて、調波構造が周波数binの出力をどの程度占めているかを評価するために、占有度(degree of dominance)D0 (ωc )を以下で定義する。
【数2】
Figure 0003841705
B(ωc2 は、中心周波数ωc を持つ周波数binの近傍(ω∈Ωc )のbinにおいて、各瞬時周波数(位相の微分値)φ′(ω)とωc の差分をパワースペクトルS(ω)2 で重み付き和をとったものである。占有的な周波数成分に対応する不動点近傍では、φ′(ω)とωc はほぼ同じ値をとるため、B(ωc2 は極小値をとると期待される。B(ωc2 の逆数(の対数)をとって、同じ点で極大値を取るようにしたものがD0 (ωc )である。なおS(ω)2 による重み付けは必ずしもしなくてもよいが、重み付けをした方が強いパワーを持つ周波数の特徴がより強調される。また式(2)の分母はパワーによる定規化である。
占有度D0 (ωc )は、それ自身で調波構造を強調したスペクトル(占有度スペクトルと呼ぶ)として見ることができるため、ケプストラム法のように対数パワースペクトルに基づく基本周波数抽出法を、占有度スペクトルにそのまま適用して基本周波数を抽出することができる。また、対数パワースペクトルを占有度で重み付けした以下のスペクトルDp も占有度スペクトルとして利用できる(式中のa,bは重み付け係数)。
Figure 0003841705
0 (ωc ),Dp (ωc )のどちらのスペクトルも、調波構造の強調効果により正確な基本周波数抽出が期待される。さらに、SNRの悪い状態でも、雑音の影響の少ない周波数成分はそのまま強調され、雑音に埋もれた成分は抑制される。この結果、雑音下でも頑健な基本周波数抽出が実現出来る。
【0008】
(2)また、本発明では、占有度の代用として、例えばSTFTの各周波数binの出力値である振幅の2乗を計算することで得られる各周波数のパワーを用いて基本周波数抽出方法を構成する。従来、信号のパワーは、マイクロフォンで収音する際などに加えられる周波数特性の変形の影響を受けやすいため、基本周波数抽出方法を構成するための特徴としては利用されてこなかった。そのかわりパワーに対数変換を加えた対数パワーが用いられてきた。対数パワーは周波数特性の変形の影響を低減する効果がある。しかし(1)の発明で示したように対数パワーは占有度に比べて背景雑音の影響を受けやすく、雑音下での基本周波数抽出には適さない。これに対して、対数変換を加えていない信号のパワーでは、雑音成分と周波数成分の差が大きいという性質を持つ。本発明では、信号のパワーのこの性質に着目して、周波数特性の変形を受けていない信号に対する基本周波数抽出方法を構成する。また、周波数特性の変形を受けた信号に対しても、その周波数特性の変形を受ける前の状態にもどす補償方法と組み合わせた基本周波数抽出方法を構成する。これにより、背景雑音下で頑健な基本周波数抽出が行えるようになる。
【0009】
本発明では更に精緻化した基本周波数を求めるために、以下で定義する不動点を利用する。STFTのとなりあった周波数binの中心周波数をωc1c2とし(ωc1<ωc2)、各周波数binの瞬時周波数をφ’(ωc1),φ’(ωc2)とし、以下の等式を満たす場合、ωc1とωc2の間にφ’(ω)=ωとなる周波数ωが存在し、これを不動点と呼ぶ。
φ’(ωc1)>ωc1andφ’(ωc2)< ωc2
不動点の周波数は、基本周波数を持つ音の各周波数成分の周波数に相当すると考えられる。特に、大きな占有度の値を持つ不動点は、背景雑音に比べて十分に強い周波数成分に相当することが予想されるため、この不動点の周波数は正確な周波数成分の周波数を与えるものと期待される。また、周波数成分の周波数をある整数で割ることで基本周波数の候補を得ることができる。本発明では、この不動点から導かれる基本周波数の候補に対し、大きな占有度を持つ値により大きな重みを置いて平均を計算することで、雑音下でも精度の高い基本周波数抽出法を構成する。
また、占有度のかわりに信号のパワー、または包絡成分を取り除いたパワーを用いる方法でも、同様に、精緻化した基本周波数の抽出法を構成できる。一般に、パワーの強い周波数成分に相当する不動点では、背景雑音に比べて周波数成分の影響が強いため、不動点の周波数が周波数成分の周波数の良い近似を与えるであろうことが期待される。したがって、本発明では、パワーの強い周波数により大きな重みを置いた基本周波数候補値の平均を計算することで、雑音下でも精度の高い基本周波数抽出法を構成する。
【0010】
(3)さらに、本発明では音源分離装置と組み合わせることでより高精度な基本周波数抽出法を構成する。音源分離装置を用いると、空間的に異なる位置で測定された二つ以上の入力信号中で、特定の位置の音源から出てくる信号を強調、もしくは抑制することができることが知られている。しかし、この分離信号も、分離結果にある程度以上のひずみが含まれているため、従来例1、2などの基本周波数抽出法では、ひずみの影響で基本周波数抽出性能が劣化してしまうことがあった。これに対し、この発明では、占有的な周波数成分のみで基本周波数を抽出するためひずみの影響も受けにくい。このため、音源分離装置が抑制する雑音の影響を回避しつつ、より高精度な基本周波数抽出を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を実施例により説明する。
占有度の抽出(装置)
この発明による占有度抽出装置の実施例を図1に示す。入力部11から音響信号が入力信号に変換されて入力され、この入力信号は瞬時周波数抽出部21で各周波数帯域ごとに各時刻の入力信号の瞬時周波数φ′(ω1 )〜φ′(ωn )がそれぞれ抽出される。ω1 〜ωn は各帯域の中心周波数である。この周波数帯域は例えば50〜100Hzの等間隔の帯域であり、例えば短時間フーリエ変換部22で30〜50msごとの入力信号が短時間フーリエ変換され、つまり周波数領域に変換され、この変換されたスペクトルが帯域分割位相検出部231 〜23n により、n個の周波数帯域に分割され、各帯域において、その複素スペクトルの位相φ(ω1 )〜φ(ωn )が検出される。入力信号の周波数領域の変換はウェーブレット変換、余弦変換など他の手法を用いてもよい。あるいは50〜100Hzの間隔の帯域通過フィルタ(フィルタバンク)により入力信号を帯域ごとに分割し、その各出力を正弦波とみなし、その位相を求めてもよい。なお、この装置においては一般にはディジタル処理で行われる。
このようにして帯域ごとの位相φ(ω1 )〜φ(ωn )が微分部241 〜24n でそれぞれ微分されて瞬時周波数φ′(ω1 )〜φ′(ωn )とされる。 これら瞬時周波数φ′(ω1 )〜φ′(ωn )は周波数差抽出部25に入力され、各周波数帯域ごとにその中心周波数ωc (c=1,2,…,n)を中心とした与えられた前後の帯域を含む帯域ωc −Δω〜ωc +Δωについてその各瞬時周波数と中心周波数ωc との差がそれぞれ求められる。つまりφ′(ω1 −Δω)−ω1 〜φ′(ω1 +Δω)−ω1 ,φ′(ω2 −Δω)−ω2 〜φ′(ω2 +Δω)−ω2 ,…,φ′(ωn −Δω)−ωn 〜φ′(ωn +Δω)−ωn が得られる。
なお、積分範囲は想定される基本周波数の50〜100%に該当する適当な固定値としてもよく後述のように適応的に変更してもよい。
【0012】
一方、入力信号が信号パワー抽出部26に入力され、各周波数帯域の中心周波数ωc の入力信号パワーS(ωc2 を抽出する。例えば短時間フーリエ変換部22などの周波数領域に変換された係数の該当中心周波数ωc のスペクトルS(ωc )を取り出し、それを2乗すればよい。
周波数差抽出部25からの各周波数差φ′(ωc −Δω)と信号パワー抽出部26からの中心周波数パワーS(ω)2 とが占有度演算部27に入力されて占有度が演算される。占有度は式(1)により定義されたD0 (ωc )又は式(3)あるいは(4)により定義されたDp (ωc )を演算して求められる。
占有度D0 (ωc )を求めるには例えば図2Aに示すように周波数差φ′(ωc −Δω)−ωc 〜φ′(ωc +Δω)−ωc が重み付き加算部271でパワースペクトルS(ωc2 の重み付き加算が行われる。つまり各周波数差φ′(p)−ωc (p=ωc −Δω,…,ωc ,…ωc +Δω)が2乗部272で2乗され、この2乗値(φ′(p)−ωc2 に対し乗算部273にS(ωc2 が乗算され、加算部274で加算され、重み付き加算結果Σ(φ′(p)−ωc2・S(ωc2 (Σはp=ωc −Δωからp=ωc +Δωまで)が得られる。
一方、その周波数差の帯域ωc −Δω〜ωc +Δωの各周波数の入力信号のパワースペクトルS(ωc −Δω)2 〜S(ωc +Δω)2 が加算部275に入力され、これらが加算され、その加算値により、重み付き加算部271よりの加算値が割算部276で割算されて、B(ωc2 が求まる。更に逆数・対数演算部278でB(ωc2 の逆数の対数log(1/B(ωc2 )=D0 (ωc )が演算されて出力される。
【0013】
式(3)による占有度Dp (ωc )を求めるには例えば図2Bに示すように、各帯域の中心周波数のパワーS(ωc2 がべき乗部279でaべき乗され、その結果S(ωc2aに対し、対数演算部281で対数演算される。一方、図2Aで求めたD0 (ωc )が乗算部282でb倍され、この結果bD0 (ωc )と対数演算部281の出力log(S(ωc2a)とが加算部283で加算されて、Dp (ωc )として出力される。
式(4)による占有度Dp (ωc )を求めるには例えば図2Cに示すように、S(ωc2 がべき乗部279でaべき乗され、一方図2A中の割算部276の出力B(ωc2 がべき乗部284でbべき乗され、これらべき乗結果が割算部285で割算され、S(ωc2a/B(ωc2bが計算され、この結果に対し対数演算部285で対数がとられてDp (ωc )として出力される。
図2B及び図2Cにおいてa=bとしてもよい。この場合は図2Bでべき乗算部279、乗算部282は省略され、図2Cでべき乗算部279,284が省略される。なおa,bは0より大きい値であればよく、S(ωc2 とD0 (ωc )又はB(ωc2 との何れを重視するか、かつその重視の程度により、a,bを決定する。これは入力信号の雑音混入状態などにより決定される。
【0014】
占有度演算部27では周波数差を中心周波数パワーS(ωc2 の重み付き加算したが、この重み付きを省略し、つまり図2Aで乗算部273を省略して周波数差を加算してもよい。つまり単なる周波数差の加算でも対数パワースペクトルよりも調波構造が強調される。場合によってはパワーによる正規化も省略してもよい。つまり図2Aで加算部275、割算部276を省略してもよい。
式(2)中の積分範囲、つまりωc −Δω〜ωc +Δωは固定としてもよいが、入力信号の基本周波数の概算値により適応的に変更することが望ましい。つまり図1中に破線で示すように、積分範囲決定部28を設け、この積分範囲決定部28で決定されたΔωが周波数差抽出部25に入力され、演算する周波数差の周波数範囲ωc −Δω〜ωc +Δωが決定される。
つまり入力音声の基本周波数によって、積分範囲の最適値は変化するため、よりよい精度で基本周波数を求めるためには、より適切な積分範囲を選択することが望ましい。例えば、入力信号の音源である話者が男性か女性かが事前にわかっていることを想定して、それぞれに最適な固定の積分範囲、例えば男性の場合Δωを約80Hz、女性の場合Δωを約140Hz程度とし、これを積分範囲決定部28に設定する。また、別の方法では、式(2)を適用する前に、従来技術の項で説明した基本周波数抽出法、その他の方法など別の基本周波数抽出法を用いて積分範囲決定部28で基本周波数の初期推定値F0を求め、その初期推定基本周波数に応じて例えば基本周波数に対して2・Δωを約50〜100%程度、好ましくは2・Δω≒ F0×0.75として積分範囲を決定し、そのΔωが周波数差抽出部25へ供給されるようにしてもよい。
【0015】
占有度の抽出(方法)
次に前述した占有度抽出装置における処理手順、つまり占有度の抽出方法を以下に説明する。
図3に基本的手順の例を示す。入力信号の各周波数帯域ごとの瞬時周波数を瞬時周波数抽出過程(S1)で抽出する。この瞬時周波数抽出は先の装置説明で行ったように例えば入力信号を短時間フーリエ変換により周波数領域信号に変換し(Sa)、この周波数領域信号を狭い周波数帯域の信号に帯域分割し(Sb)、この各帯域の信号の位相φ(ωc )をそれぞれ抽出し(Sc)、その各位相φ(ωc )を微分して瞬時周波数φ′(ωc )を求める(Sd)。
これら瞬時周波数φ′(ωc )について、その中心周波数ωc を中心とした前後の帯域を含むωc −Δω〜ωc +Δωの範囲の各値から中心周波数をωc を差し引いて周波数差を抽出する(S2)。
これら周波数差の各ωc −Δω〜ωc +Δωの成分の和を求め、この和を用いてそのωc の占有度を演算する(S3)。
このステップS3の占有度演算における占有度D0 (ωc )を求める場合の例を図4を参照して説明する。まず各帯域について周波数差のパワースペクトルの重み付き加算を行う(S1)。即ち各ωc についてωc −Δω〜ωc +Δωの帯域における各周波数差を2乗し(S1a)、その2乗値にパワースペクトルS(ωc2 を乗算し(S1b)、このパワースペクトルを乗算したものを、この帯域ωc −Δω〜ωc +Δωについて加算する(Sc)。
一方、各中心周波数ωc について同一の帯域ωc −Δω〜ωc +Δωのパワースペクトルの和を求め(S2)、このパワースペクトルの和で、同一帯域の前記重み付き和を割算して正規化してB(ωc2 を求める(S3)。そのB(ωc2 の逆数を取り、その逆数に対数演算を行ってD0 (ωc )を得る(S4)。図4Aにおいて、ステップS1とS2は順を逆にしてもよい。
【0016】
次に占有度Dp (ωc )を式(3)により求めた順を図5Aを参照して説明する。図4Aで求めた占有度D0 (ωc )に重み定数bを乗算してbD0 (ωc )を求め(S1)、またωc のパワースペクトルに対し重み定数aをべき乗してS(ωc2aを求め(S2)、その対数log(S(ωc2a)を演算し(S3)、これとbD0 (ωc )を加算して占有度Dp (ωc )とする(S4)。ステップS1〜S3の順は任意でよい。
更に式(4)による占有度Dp (ωc )を求める手順を図5Bを参照して説明する。図4A中のステップS3で求めたB(ωc2 に対し重み定数bのべき乗を計算し(S1)、またωc のパワースペクトルに対し重み定数aのべき乗を計算し(S2)、これらべき乗算結果の比S(ωc2a/B(ωc2bを求め(S3)、この比の対数をとり占有度Dp (ωc )とする(S4)。ここでステップS1とS2は何れを先に行ってもよい。
【0017】
図3乃至図5を参照して説明した占有度抽出方法について、先に説明した占有度抽出装置における変形は同様に行うことができ、また各種条件も同様である。例えば積分範囲Δωの適応的決定も同様にこの方法にも適用できる。図1中の瞬時周波数抽出部21、図3中の瞬時周波数抽出ステップS1における瞬時周波数抽出の手法としてはこれらの図に示した手法に限らず、例えば「L.コーエン著、『時間−周波数解析』(吉川昭・佐藤俊輔訳)、第2章、朝倉書店(1998)」に示す手法、その他の手法を用いてもよい。
【0018】
基本周波数抽出(装置)
次に上述したこの発明の占有度抽出装置を用いたこの発明の基本周波数抽出装置の実施例を説明する。
図6に示すように入力部11からの入力信号は前述したこの発明による占有度抽出装置(以下では占有度抽出部と記す)31は入力されて、各帯域の占有度D0 (ω1 )〜D0 (ωn )又はDp (ω1 )〜Dp (ωn )が抽出される。これら占有度は周期性演算部32に入力されて、周波数軸上での占有度の周期性が演算される。例えば各時刻、例えば30〜50ミリ秒ごとに得られる占有度スペクトルD0(ω1 )〜D0 (ωn )又はDp (ω1 )〜Dp (ωn )に対し短時間フーリエ逆変換を行い、スペクトルピークの周期性P0(T1 )〜P0 (Tn )が抽出される。この周期性は例えば図16に横軸に時間(周期)Tを縦軸にレベルをとって示すようになる。
これら周期性P0 (T1 )〜P0(Tn )は最大値抽出部33に入力され、その最大値を与える周期T0 が抽出され、その周期T0 の逆数が逆数計算部34で計算され、基本周波数F0 =1/T0 として出力される。
【0019】
次にこの発明の基本周波数抽出装置の他の実施例を図7を参照して説明する。図6に示した場合と同様に、入力部11からの入力信号は占有度抽出部31で占有度(スペクトル)が抽出される。この実施例においてはこれら占有度スペクトルは調波構造占有度演算部35に入力され、以下で定義される調波構造に関する占有度の和Dt0(ω0 )(もしくはDtp(ω0 ))を最大にするω0 を求めることで基本周波数を求める。
t0(ω0 )=Σq0 (r(q・ω0 )) (5)
tp(ω0 )=Σqp (r(q・ω0 )) (6)
ここで、ω0 は任意の周波数、qは高調波の次数、r(・)はq・ω0 で求まる周波数を、占有度抽出に用いられた帯域分割における帯域中心周波数ωc の最も近い周波数に変換する関数である。qの次はいくらでも高い値としてもよいが、演算量を単に増加させることになる。この点からq・ω0 の値が1500Hz程度乃至は3000Hz程度までとしても十分である。
【0020】
調波構造占有度演算部35で演算されたDt0(ω1 )〜Dt0(ωn )又はDtp(ω1 )〜Dtp(ωn )が最大値抽出部36に入力され、これらの中の最大値が抽出され、その最大値を与えるDt0(ωc )又はDtp(ωc )と対応するω0 が基本周波数F0 として出力される。
調波構造占有度演算部35は例えば図8に示すように乗算部351に順次ω0 を設定してその各ω0 についてq・ω0 を計算する。男性のピッチ周期の平均を125Hzとすると、90Hz〜100Hz程度から1乃至数Hzずつ増加した周波数をω0 として順次設定すればよい。乗算部351の乗算結果q・ω0 は対応中心周波数検出部352に入力されて、ω1 〜ωn 中のq・ω0 に最も近いωc がωcqとして求められ、占有度取出部353において各ωcqに対する占有度D0 (ωcq)又はDp (ωcq)を取り出し、各ω0 について取り出された各qの占有度が加算されてDt0(ω0 )又はDtp(ω0 )として出力される。
占有度D0 (ωc )を利用する場合は次式を最大とするω0 を求めることにより、式(5)を用いる場合より更に雑音に強い基本周波数抽出装置とすることができる。
t0(ω0 )=Σq (D0 (r(q・ω0 ))−D0AV ) (7)
ここでD0AV は占有度D0 (ω1 )〜D0 (ωn )の平均値である。
この場合は図8中に破線で示すように平均値計算部355においてD0 (ω1 )〜D0 (ωn )の平均値D0AV が計算され、加算部356でΣq (D0 (ωcq)−D0AV )が計算され、Dt0(ω0 )として出力される。
占有度Dp (ωc )を利用する場合は、Dp (ω1 )〜Dp (ωn )を時間系列とみなして高域通過フィルタ処理を行い、そのフィルタ処理したDp (ω1 )〜Dp (ωn )を式(6)に用いることにより更に高い精度の基本周波数抽出装置とすることができる。つまり図8中に破線で示すようにフィルタ処理部357でDp (ω1 )〜Dp (ωn )がこれらを時間系列とみなして高域通過フィルタ処理され、この系列の変化における細かい変化成分D′p (ω1 )〜D′p (ωn )が取り出され、検出された各ωcqと対応するD′p (ωcq)が占有度取出部358で取り出され、これらが加算部359で加算され、Dtp(ω0 )=Σq D′p (ωcq)として出力される。
【0021】
所で図6に示した基本周波数抽出装置は雑音に強く、図7に示した基本周波数抽出装置は精度が高い性質がある。このような点から、図6に示すように、占有度スペクトルの周期性を演算し、その最大値の周期を抽出して、その逆数から基本周波数F0 を求め、図6中に破線で示すように、その基本周波数F0 が調波構造占有度利用基本周波数抽出部38へ供給され、この抽出部38では入力された基本周波数F0 の近傍、例えばF0 ±F0 の10%の各周波数をω0 として、先に説明した、図7及び図8に示した調波構造占有度演算が行われ、式(5)又は(6)あるいは(7)若しくはΣq D′p (r(q・ω0 ))を最大にするω0 が求められ、そのω0 が正しい基本周波数F0 として出力される。このようにすれば、雑音に強く、かつ精度が高い基本周波数抽出装置が構成される。
【0022】
基本周波数抽出(方法)
次に先に説明したこの発明の基本周波数抽出装置の処理手順、つまりこの発明による基本周波数抽出方法の実施例を説明する。
図9は図6に示した装置と対応するものであり、まず、図3乃至図5に示したこの発明による占有度抽出方法により、入力信号からのその占有度(スペクトル)D0 (ωc )又はDp (ωc)を抽出し(S1)、この占有度スペクトルの周波数軸上での占有度の周期性を演算する、例えば、各時刻ごとの占有度スペクトルに短時間フーリエ変換して周期性を求める(S2)。この占有度の周期性の最大値を与える周期(時間)T0 を抽出し(S3)、その周期T0 の逆数1/T0 =F0 を求めて基本周波数F0 を得る(S4)。
【0023】
次に図7に示した装置と対応する基本周波数抽出方法の実施例を図10を参照して説明する。先の場合と同様に図3乃至図5に示したこの発明による占有度抽出方法により、入力信号からその占有度(スペクトル)D0 (ωc )又はDp (ωc )を抽出する(S1)。次にこの実施例ではその占有度に対して、複数のある周波数ω0 について、その整数倍の周波数に関する占有度の和をそれぞれ求めて調波構造占有度Dt0(ω0 )又はDtp(ω0 )を求める(S2)。
このステップS2は例えば各ω0 をq倍(q=1,2,…)し(S2a)、その各q・ω0 と最も近いωc 、つまり占有度を抽出する際に入力信号を狭い周波数帯域に分割した時の各帯域の中心周波数ω1 ,…,ωn 中のq・ω0 に最も近いものを求める、そのωc をωcqと書く(S2b)。求めた各ωcqの占有度D0 (ωcq)又はDp (ωcq)を求め(S2c)、更にその各ω0 についてその求めたD0 (ωcq)又はDp (ωcq)の和Σq 0 (ωcq)又はΣqp (ωcq)を求め、つまり調波構造占有度Dt0(ω0 )又はDtp(ω0 )を得る(S2d)。
このようにして求めた各ω0 に対する調波構造占有度Dt0(ω0 )又はDtp(ω0 )中の最大のものを抽出し、その抽出した最大のDt0(ω0 )又はDtp(ω0 )のω0 を基本周波数F0 とする(S3)。
【0024】
この図10に示す方法においては図8を参照して説明したと同様の変形例が考えられる。つまり図10中に破線で示すように、ステップS2の次に又は予め、占有度D0 (ω1 )〜D0 (ωn )の平均値D0AV を計算し(S4)、各ω0 についてその求めたD0 (ωcq)と平均値D0AV との差の和Σq (D0 (ωcq)−D0AV )をDt0(ω0 )として求め(S5)、これよりステップS3に移り、これらDt0(ω0 )中の最大値を与えるω0 を求めてF0 を得る。
あるいはステップS2bの次に又は予め占有度Dp (ω1 )〜Dp (ωn )を時系列として高域通過フィルタ処理を施し、ゆるやかに変化する成分を除く、細かい変化成分のみからなるD′p (ω1 )〜D′p (ωn )を求め(S6)、ステップS2cではDp (ωcq)の代りにD′p (ωcq)を各qについて求め、ステップS2dではDtp=Σq D′p (ωcq)を計算してステップS3に移る。
図6中に示したように、占有度の周期性を求め、その最大値を与える周期T0 を求め、その逆数F0 =1/T0 を基本周波数として求め、図6中に破線で示すように更に調波構造占有度利用基本周波数抽出部38によりF0 の近傍の周波数をω0 として、更に高い精度の基本周波数を求める構成とすることができる。基本周波数抽出方法においても図9に破線で示すように、ステップS4の次にステップS4で得られた基本周波数F0 の近傍周波数、例えばF0 ±F0 ×0.1の帯域の各周波数をω0 として図10に示したステップS2以後の処理を行って、より精度が高い基本周波数を求める(S5)ようにしてもよい。このステップS5では図10中に破線で示した各種変形も適用できる。
【0025】
変形実施例
図11にこの発明の基本周波数抽出装置の変形実施例を示す。図6及び図7に示した装置と違う点は、占有周期性演算部32よりの占有度周期性P0 (T1 )〜P0 (Tn )又は調波構造占有度演算部35よりの占有度和Dt0(ω1 )〜Dt0(ωn )あるいはDtp(ω1 )〜Dtp(ωn )は基本周期又は基本周波数平滑化部37で時間的に連続するように平滑化され、その平滑化された占有度周期性又は占有度和が最大値抽出部35又は36へ供給され、異常値に基づく誤抽出を防止するようにすることもできる。
つまり各時刻において求められた基本周波数の抽出精度を、時間的な連続性を用いてさらに抽出精度を向上するものである。これは、図9に示した基本周波数抽出法の周期性、または、図10に示した基本周波数抽出法の調波構造に関する占有度の和の時系列に対して、図9中のステップS2の次に破線で示すように、また図10中のステップS2dの次に破線で示すように、平滑化処理ステップS7において、周波数ギャップの少ないピーク位置を時間軸に沿って追跡することで実現する。
【0026】
このピーク追跡には、例えば、ダイナミックプログラミング(以下DPと呼ぶ)などの既知のアルゴリズムを適用できる。また、基本周波数抽出は、様々な音声処理の前処理として想定されているため、DPのようなバッチ処理ではなく逐次処理であることが望ましい場合もある。この場合は、DPのアルゴリズムを改良した逐次DPが適用できる。逐次DPでは、各時刻において、すでに求められた現在時刻以前の周期性または占有度の和の時系列に対して、通常のDPを実行して現在の基本周波数を求める。この方法で、過去から現在にわたる周波数の連続性について考慮した現在時刻の基本周波数推定ができる。しかも、もともとDPは、実行途中において、現在時刻までの最適パスを更新する逐次アルゴリズムであるため、逐次DPにしても通常のDPと比べて余分な計算は発生しない。
【0027】
次に音源分離装置により分離した音源信号の基本周波数抽出装置の実施例を図12に示す。信号入力部41により2チャネル以上の音響信号が入力され、これら複数チャネルの入力信号は音源分離装置42で音源と信号入力部との位置関係から目的音源信号が強調、もしくは目的音源信号以外の音響信号が抑圧されて目的音源信号が分離され、その分離された目的音源信号の基本周波数が、図6、図7、図11の何れかに示した基本周波数抽出装置43により抽出される。
【0028】
図13にダミーヘッドマイクロフォンを用いた音源分離装置42の構成例を示す。各左右の耳の信号入力部41L及び41Rから入力された2チャネルの入力信号のそれぞれに対し、周波数解析部421R,421Lにおいて例えば短時間フーリエ変換が施され、この変換されたスペクトルにより、左右の各周波数ごとに信号の強度と位相がそれぞれ求められ、その各周波数ごとに左右の入力の強度差と位相差が強度差抽出部422、位相差抽出部423でそれぞれ求められる。目的音源の方向からくる音の強度差と位相差に関するダミーヘッドの特性を使うと、各周波数ごとに、目的方向からくる音の強度差と時間差の範囲が求められる。この性質を利用して、目的方向周波数帯域選択部424,425で各周波数で入力音がこの範囲に入っているかどうかを調べ、目的方向周波数帯域信号通過部426で目的方向以外の音の場合は、その周波数の入力信号を0と置き換える。その結果得られる左右の信号に、短時間フーリエ逆変換を施すことで、目的方向からくる音だけを分離することが出来る。この音源分離装置は例えばJ. Acoust. Soc. Jpn(E)20, 2(1999)147〜149頁を参照されたい。
【0029】
こうして分離された音声信号は、いくつかの周波数帯域の音を0に置き換えられているため、大きなひずみを持った音信号である。しかしながら、雑音に比べて強度の強い占有的な周波数成分を目的音信号が持つときは、分離音信号にもそのままその成分は残されている。したがって、この発明による占有度を用いた基本周波数抽出法をそのまま適用することができ、音源分離装置の雑音抑制効果に加えて、分離ひずみの影響も受けにくい基本周波数抽出法を構成できる。
なお、複数マイクロホンによる音源分離法は、独立成分分析法、ヌルビームフォーマ法、ディレイサム法、ミント法など多数のものが知られている。どの方法を用いる場合も、分離音信号に対しこの発明による占有度を用いる方法で基本周波数を抽出することで、占有度が分離ひずみの影響を受けにくい評価尺度であるため高精度の分離装置を構成することが出来る。
【0030】
適応的な積分範囲決定方法
図19に、入力信号の概算基本周波数が得られていない場合に、適応的に積分範囲を決定し基本周波数を抽出する処理手順を示す。
まず、入力部から入力された入力信号を占有度に基づく基本周波数抽出部が受け取り、式(1)、(2)で求められる占有度を抽出する。この際、式(2)で必要な積分範囲については、入力音に含まれる音の基本周波数に共通に利用できる積分範囲(大人の話者の発声の場合、約260Hz幅)を利用する。このようにして求められた占有度に対し、次に、同基本周波数抽出部は調波構造占有度を求める。これは、例えば、図8において説明した方法に関連して以下の式を用いて計算される。
【数3】
Figure 0003841705
ここでlは高調波の次数、r(・)はl・ω0を最も近い周波数binの中心周波数ωcに変換する関数、E(D0(ωc))はD0(ωc)の全周波数にわたる平均値である。同基本周波数抽出部はこうして求められた調波構造占有度に関して、以下の式に従って、最大値を与える基本周波数の初期設定値を抽出する(S1)。
【数4】
Figure 0003841705
【0031】
次に、こうして求められた初期基本周波数に対して最適な積分範囲を積分範囲決定部28が決定する(S2)。最適な積分範囲は、STFTの各周波数binを中心として、基本周波数の初期推定値の60%〜100%程度の範囲である。
こうして求められた積分範囲を用いて、同じ入力信号に対して、占有度に基づく基本周波数抽出部は、基本周波数の初期設定と同じ方法で、占有度、調波構造占有度、および最大値を抽出し、より正確な基本周波数を抽出する(S3)。
なお、占有度の抽出は、基本周波数の初期設定値を求めるために式(2)を計算する過程において、積分を部分的に行った時点の計算途中結果を保存しておくことで、2回目には、式(2)の計算をしなくても1回目の途中結果を利用することができる。これにより計算コストを短縮することができる。
【0032】
占有度の代わりにパワースペクトルを用いる基本周波数抽出法
図20、21に、包絡成分を取り除いた入力信号のパワーを用いる基本周波数抽出装置、処理手順を示す。
まず、前処理を用いて入力信号の周波数特性を基本周波数抽出に適したものに変形する。これには、例えば、時系列入力信号に対して高域通過フィルタを適用することで、低域の周波数を抑制して高域の周波数を強調する処理や、逆に低域通過フィルタを適用して高域を抑制する処理などがあげられる。周波数特性の変形を受けていない入力信号、または、その補正をする必要がない入力信号の場合は、この処理は省略することができる。(以上がS1の処理である。)
次に、パワー抽出部51が、入力信号の周波数ωc(ωc1〜ωcn)ごとにパワーS(ωc2を計算する。これには、例えば、STFTの各周波数binの出力の2乗をとることで計算することができる。
【0033】
次に、包絡成分除去部52がそのパワーの包絡成分を取り除く。これには、例えば次の方法を用いることができる。まず、各周波数のパワーS(ωc2を周波数軸に沿って並べたもの(周波数特性と呼ぶ)に対して、更に離散フーリエ変換を適用する。次に、この離散フーリエ変換の低い周波数に相当する信号を0と置き換えてから、離散逆フーリエ変換をかけて周波数特性に相当する信号にもどす。このとき、得られる信号は、一般に複素数になるため、この信号の実部を抽出したものが、包絡成分を除去したパワーとなる。
【0034】
次にこうして求めた包絡を取り除いたパワーに対して、調波構造パワー抽出部53が以下の式に基づいて調波構造パワーSt0(ω02を抽出する。
【数5】
Figure 0003841705
ここで、l(エル)は高調波の次数、r(・)はl・ω0を最も近い周波数binの中心周波数ωcに変換する関数、E(S(ωc))はS(ωc)の全周波数にわたる平均値(平均値抽出部54)である。
こうして求められた調波構造パワーの最大値を最大値抽出部55が抽出し、以下の式に従って、最大値を与える基本周波数を抽出する。(以上がS2の処理である。)
【数6】
Figure 0003841705
なお、図22に示したように、包絡成分抽出部を省略すれば計算精度はやや落ちるが、その見返りとして計算コストを削減することができる。
【0035】
精緻化した基本周波数抽出法
図23に、概算で求められている基本周波数F'0をより精緻化して求めるための機能構成を示す。
入力信号を受け取ると瞬時周波数抽出部61は各周波数ごとに瞬時周波数を抽出する。得られた瞬時周波数から不動点抽出部62は、以下の式を満たす不動点とその周波数φ’を抽出する。
【数7】
Figure 0003841705
( ここで、φ1’>ωc1 、 φ2’<ωc2
ここで、ωc1、ωc2は、となりあった周波数binの中心周波数(ωc1<ωc2)、φ1’,φ2’はそれぞれの瞬時周波数である。また、式(5)を計算する代わりにφ’=ωc1、または、φ’=ωc2とすることで、計算精度はやや落ちるが計算コストを少なくすることができる。
上記の計算と並行して、占有度抽出部63が各周波数binの占有度を抽出する。概算基本周波数抽出部64において、概算基本周波数を抽出する際に占有度がすでに計算されている場合には、この処理は必要ない。
【0036】
最後に、精緻化基本周波数抽出部65は、概算基本周波数F'0の整数倍(=i)の周波数の近傍(±10%程度)に含まれる不動点φ’∈Φ’(i・F'0)(Φ’(F)は周波数Fの近傍にある不動点の集合を表す。)を抽出するとともに、不動点の瞬時周波数φ’を整数(=i)で割った値を基本周波数候補値として、その平均値を各占有度D0(r(φ’))で重み付けして計算することで、精緻化した基本周波数を求める。これには、以下の式に従い計算する。
【数8】
Figure 0003841705
ここで、cはすべての不動点の占有度を正の値にするためのバイアスで、εは任意の小さい正の値でよい。
この占有度を用いた基本周波数の精緻化法は、占有度の代わりに、パワ−抽出部51で抽出したパワーもしくは包絡成分除去部68において包絡成分を取り除いたパワーを用いることで、全く同様に構成することができる。図24にその機能構成を示す。
【0037】
上述した占有度抽出装置、基本周波数抽出装置はそれぞれ、コンピュータによりプログラムを実行させることにより、機能させることもできる。この場合は実施例に示した何れかの占有度抽出方法をコンピュータに実行させるため占有度抽出プログラム、あるいは基本周波数抽出方法をコンピュータに実行させるための基本周波数抽出プログラムを、CD−ROM、可撓性磁気ディスクなどの記録媒体、又は通信回線を介してコンピュータ内にインストールして行えばよい。
【0038】
【発明の効果】
図15A,15Bに雑音のない場合と、0dBの白色雑音を加えた場合の音声について、各周波数binにおける占有度D0 (ωc )を太い実線で示す。この太い実線の占有度によれば図15Aより、各高調波成分の中心付近の周波数においても鋭いピークがえられているのがわかる。また、図15Bより、第3高調波までは鋭いピークがあるが、第4高調波以上のピークが抑制されており、白色雑音の影響が大きいことがわかる。これは、破線で示す対数パワースペクトルを目視で評価した結果とよく一致しており、占有度が雑音の影響を評価する適切な尺度であることを示している。
【0039】
図17Aに、白色雑音下での、図17Bに白色雑音と妨害音声下での目的音声の基本周波数抽出正解率(抽出した基本周波数が正解値から±5%に入っている割合)を示す。目的音声には男女各2名(計4名)が発話した30種類の文(計120文)を用い、背景雑音には、白色雑音単独(雑音−1)と、白色雑音にさらに1名の妨害音声(男女各1名の計60文)をくわえたもの(雑音−2)を用いた。雑音−2では、2つの雑音同士のパワーは同一とし、目的音声と片方の雑音とのパワー比をSNRとして記している。この発明で適応的に積分範囲を決める方法(本発明1)、この発明で事前情報(入力信号が男性か女性か)を用いる方法(本発明2)、および、ケプストラム法(従来法)を、それぞれ破線、太実線、□付破線で示した。なお、目的音声の正解基本周波数は音声集音時に同時に収集したEGG(electro glottal graph)波形から求めた。また占有度としてDp(ωc )を用いた。両図より、どの背景雑音下でも本発明2が最も安定して基本周波数が抽出できていることがわかる。また、本発明1も雑音の強度増加に応じた性能劣化が少なく、0dB付近で、本発明2についで正解率が高い。このことから、占有度を用いることで雑音に強い基本周波数抽出が行えているといえる。
【0040】
図18に、0dBの白色雑音下で、ケプストラム法(従来法)および占有度としてDp (ωc )を用いた本発明1で抽出した基本周波数の時系列を示す。図18Aは正解を、図18Bは従来法を、図18Cは本発明1をそれぞれ示す。正解値と比較して、ケプストラム法では非常に誤差が大きいのに比べ、本発明1では安定して正解に近い値が抽出されていることがわかる。
図25に、背景雑音下における目的音声のF0正解率(推定したF0が正解値から±5%に入っている割合)を示す。目的音声には男女各2名(計4名)の30種類の文(計120文)を用い、背景雑音には白色雑音とマルチトーカ雑音を用いた。マルチトーカ雑音はカクテルパーティ環境を模擬する雑音で、上記120文からランダムに選んだ10個の発話を同時に重複して作成した。本発明のうち、占有度を用いて適応的に積分範囲を決定する基本周波数抽出法(調波構造占有度を最大化に式(1)を利用)と、占有度を用いて精緻化する方法とを組み合わせた基本周波数抽出法(proposedと表記)と、従来から知られているケプストラム法を比較した。正解F0は音声収音時に同時に収集したEGG(electro glottal graph)信号から各F0抽出法を用いて抽出し、雑音下の目的音声から抽出したF0と比較した。図より本発明が従来法より各SNR下で頑健にF0抽出が行えている。
【0041】
図26に、proposedで占有度D0(ωc)の代わりに包絡成分を取り除いたパワーを用いる基本周波数抽出法を利用した場合の結果を示す。抽出処理の前に周波数特性の補正のために入力信号に高域通過フィルタ処理を施さない方法(PowerSpec-1)、施す方法(PowerSpec-2)、および正解F0を求める場合のみ高域通過フィルタ処理を施す方法(PowerSpec-3)を比較した。結果は、PowerSpec-3が一番よい。これは、包絡成分を取り除いた信号のパワーを用いる方法では、正解F0と目的音声のF0抽出のために前処理を変えなければならない場合があることを示している一方で、適切に、前処理を選択した場合は、背景雑音に対して頑健であることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による占有度抽出装置の実施例の機能構成を示す図。
【図2】図1中の占有度演算部の具体例の機能構成を示す図。
【図3】この発明による占有度抽出方法の実施例の手順を示す流れ図。
【図4】図3中のステップS3における占有度処理の具体的手順の例を示す流れ図。
【図5】図3中のステップS3における占有度演算処理の具体的手順の他の例を示す流れ図。
【図6】この発明による基本周波数抽出装置の実施例の機能構成を示す図。
【図7】この発明による基本周波数抽出装置の他の実施例の機能構成を示す図。
【図8】図7中の調波構造占有度演算部35の各具体例の機能構成を示す図。
【図9】この発明による基本周波数抽出方法の実施例の手順を示す流れ図。
【図10】この発明による基本周波数抽出方法の他の実施例の手順を示す流れ図。
【図11】この発明による基本周波数抽出装置の実施例の一部変形の機能構成を示す図。
【図12】音源分離装置を備えるこの発明の基本周波数抽出装置の実施例を示す図。
【図13】図12中の音源分離装置42の具体例の機能構成を示す図。
【図14】従来の基本周波数抽出装置の機能構成を示す図。
【図15】有声音の瞬時周波数と対数パワースペクトルと占有度の例を示す図。
【図16】占有度スペクトルの周期性の例を示す図。
【図17】従来技術およびこの発明による各基本周波数抽出方法の正解率の実験結果を示す図。
【図18】基本波抽出の実験結果を示し、Aは正解、Bは従来法、Cはこの発明方法である。
【図19】適応的な積分範囲決定方法、およびそれを利用した基本周波数抽出方法の手順を示す流れ図。
【図20】包絡成分を取り除いた入力信号のパワーを用いる基本周波数抽出装置の機能構成を示す図。
【図21】入力信号のパワー、もしくは包絡成分を取り除いたパワーを用いる基本周波数抽出方法と、周波数特性補正を組み合わせた基本周波数抽出方法の手順を示す流れ図。
【図22】入力信号のパワーを用いる基本周波数抽出装置の機能構成を示す図。
【図23】占有度を用いたより精緻化した基本周波数抽出装置の機能構成を示す図。
【図24】入力信号のパワー、もしくは包絡成分を取り除いたパワーを用いた、より精緻化した基本周波数抽出装置の機能構成を示す図。
【図25】占有度を用いて適応的に積分範囲を決定する基本周波数抽出方法と占有度を用いて精緻化する方法とを組み合わせた基本周波数抽出方法と従来のケプストラム法を比較する正解率の実験結果を示す図。
【図26】包絡成分を取り除いたパワーを用いる基本周波数抽出方法の高域通過フィルタ処理を施さない方法(PowerSpec-1)、施す方法(PowerSpec-2)、正解を求める場合のみ高域通過フィルタを施す方法(PowerSpec-3)における正解率の実験結果を示す図。

Claims (32)

  1. 入力された音声信号又は音楽信号(以下、入力信号という。)に対し各周波数帯域の中心周波数の瞬時周波数を抽出する瞬時周波数抽出部と、
    各周波数帯域の中心周波数の入力信号のパワーを抽出する信号パワー抽出部と、
    各周波数帯域の中心周波数ごとに、その中心周波数と、その中心周波数を中心として設定された入力信号に対し想定される基本周波数の50〜100%の周波数幅に含まれる上記各瞬時周波数との周波数の差を抽出する周波数差抽出部と、
    上記周波数差抽出部から出力された周波数の差の2乗を上記信号パワーで重み付き加算する重み付き加算部と、上記周波数幅に含まれる上記抽出された中心周波数の入力信号パワーの和を求める加算部と、上記重み付き加算値を上記信号パワーの和により割算する割算部と、その割算結果の逆数の対数を占有度とする逆対数演算部とからなる占有度演算部と、
    を備える占有度抽出装置。
  2. 上記占有度演算部は上記中心周波数の信号パワーのa乗の対数を演算する対数演算部と、その演算された対数信号パワーと上記占有度のb倍とを加算して占有度として出力する加算部とを備えることを特徴とする請求項1記載の占有度抽出装置。ここで、aとbは重み付け係数である。
  3. 入力された音声信号又は音楽信号(以下、入力信号という。)に対し各周波数帯域の中心周波数の瞬時周波数を抽出する瞬時周波数抽出部と、
    各周波数帯域の中心周波数の入力信号のパワーを抽出する信号パワー抽出部と、
    各周波数帯域の中心周波数ごとに、その中心周波数と、その中心周波数を中心として設定された入力信号に対し想定される基本周波数の50〜100%の周波数幅に含まれる上記各瞬時周波数との周波数の差を抽出する周波数差抽出部と、
    上記周波数差抽出部から出力された周波数の差の2乗を上記信号パワーで重み付き加算する重み付き加算部と、上記周波数幅に含まれる上記抽出された中心周波数の入力信号パワーの和を求める加算部と、上記重み付き加算値を上記信号パワーの和により割算する割算部と、その割算結果のb乗で上記中心周波数の信号パワーのa乗を割算する割算部と、その割算結果の対数を演算して占有度として出力する対数演算部とからなる占有度演算部と、
    を備える占有度抽出装置。ここで、aとbは重み付け係数である。
  4. 上記入力信号に対し想定される基本周波数と同程度の周波数幅が入力され、その入力された周波数幅を、上記想定される周波数幅として設定する積分範囲決定部を備えることを特徴とする請求項1〜3記載の占有度抽出装置。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の占有度抽出装置と、
    上記入力信号についての、各周波数帯域の中心周波数と瞬時周波数が一致する周波数である不動点を抽出する不動点抽出部と、
    上記入力信号についての基本周波数の概算値を計算する概算基本周波数抽出部と、
    上記入力信号についての概算基本周波数を更に精緻化する基本周波数精緻化部とを備え、
    前記基本周波数精緻化部では、概算基本周波数の整数倍の周波数近傍に存在する不動点を選択して、その周波数を整数で割って求められる基本周波数候補に対し、その基本周波数候補の不動点の中心周波数の、上記入力信号について求めた占有度又は上記概算基本周波数を抽出する直前に求まった占有度を重みとして平均をとることで、より精緻化した基本周波数を抽出することを特徴とする基本周波数抽出装置。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の占有度抽出装置と、
    占有度抽出装置が抽出した占有度に対して、短時間フーリエ逆変換を行い、周波数軸上での占有度の周期性を演算して、その占有度の周期性を出力する周期性演算部と、
    上記占有度の周期性の最大値を与える周期を抽出してその逆数を基本周波数として出力する最大値抽出部と、
    を備える基本周波数抽出装置。
  7. 請求項6に記載した基本周波数抽出装置で得られた基本周波数を仮の基本周波数とし、その仮の基本周波数を中心として予め定められた周波数幅の中に含まれる各周波数について、その周波数の整数倍の周波数に近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数の上記占有度の和を求める調波構造占有度演算部と、
    上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、上記各周波数のうち、この抽出した最大値を与える周波数を基本周波数として出力する第2最大値抽出部と、
    を備える請求項6記載の基本周波数抽出装置。
  8. 請求項1〜4の何れかに記載の占有度抽出装置と、
    上記入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数についての、上記占有度抽出装置が抽出した占有度の和を求める調波構造占有度演算部と、
    上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数として出力する最大値抽出部と、
    を備える基本周波数抽出装置。
  9. 請求項1記載の占有度抽出装置と、
    上記占有度抽出装置で求めたある時刻におけるすべての中心周波数の占有度の平均値を求める平均値演算部と、
    上記占有度の平均値を求めた入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数について、その中心周波数の上記占有度の平均値を求めた入力信号についての占有度から上記平均値を引いたものの和を求める調波構造占有度演算部と、
    上記基本周波数の各候補についての上記和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数として出力する最大値抽出部と、
    を備える基本周波数抽出装置。
  10. 請求項2又は3記載の占有度抽出装置と、
    上記占有度抽出装置が抽出した上記各周波数帯域の中心周波数ごとの上記占有度の系列を、その周波数順に各占有度の大きさを持ったサンプルをならべた時系列とみなして、高域通過フィルタ処理を行うフィルタ部と、
    上記入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数についての、上記フィルタ部において上記高域通通過フィルタにより抑制された占有度の和を求める調波構造占有度演算部と、
    上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数として出力する最大値抽出部と、
    を備える基本周波数抽出装置。
  11. 上記周期性演算部からの出力としての複数の占有度周期性を連続する時刻にわたって受け取り、その対応する占有度周期性をその前後の時刻で連続的に変化するように平滑化を行って、上記最大値抽出部へ出力する基本周期平滑部を有することを特徴とする請求項6記載の基本周波数抽出装置。
  12. 上記調波構造占有度演算部からの出力としての基本周波数の各候補ごとの上記占有度の和を連続する時刻にわたって受け取り、その占有度の和をその前後の時刻で連続的に変化するように平滑化を行って、上記最大値抽出部へ出力する基本周波数平滑部を有することを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の基本周波数抽出装置。
  13. 音響信号を入力する2チャネル以上の信号入力部と、
    音源と信号入力部の位置関係から目的音源を強調、もしくは目的音源以外の音を抑制する音源分離装置と、
    上記分離した目的音源の基本周波数を抽出する請求項8〜12の何れかに記載
    の基本周波数抽出装置と、
    を具備する基本周波数抽出装置。
  14. 請求項1〜4の何れかに記載の占有度抽出装置は、上記中心周波数ごとの上記周波数差を設定された一定の周波数幅について求めて、占有度を求めるものであり、上記求めた占有度を用いて請求項6〜13の何れかに記載の基本周波数抽出装置により基本周波数を初期推定値として求める基本周波数初期推定部と、
    占有度を求める際の上記中心周波数ごとの一定の周波数幅を上記基本周波数の初期推定値の60%〜100%と決定する第2積分範囲決定部と、
    上記決定された一定の周波数幅を用いて、上記入力信号に対し、請求項1〜3の何れかに記載の占有度抽出装置により第2の占有度を抽出し、これら第2の占有度を用い請求項6〜13の何れかに記載の基本中心周波数抽出装置により基本周波数を抽出して出力する基本周波数抽出部と、
    を備える基本周波数抽出装置。
  15. 瞬時周波数抽出手段が、入力された音声信号又は音楽信号(以下、入力信号という。)に対し各周波数帯域の中心周波数の瞬時周波数を抽出する瞬時周波数抽出過程と、
    信号パワー抽出手段が、各周波数帯域の中心周波数の入力信号のパワーを抽出する信号パワー抽出過程と、
    周波数差抽出手段が、各周波数帯域の中心周波数ごとに、その中心周波数と、その中心周波数を中心として設定された入力信号に対し想定される基本周波数の50〜100%の周波数幅に含まれる上記各瞬時周波数との周波数の差を抽出する周波数差抽出過程と、
    占有度演算手段が、上記周波数差抽出過程で抽出された周波数の差の2乗を上記信号パワーで重み付き加算する過程と、上記周波数幅に含まれる上記抽出された中心周波数の入力信号パワーの和を求める過程と、上記重み付き加算値を上記信号パワーの和により割算する過程と、その割算結果の逆数の対数を占有度とする過程とからなる占有度演算過程と、
    を有する占有度抽出方法。
  16. 上記占有度演算過程は、上記中心周波数の信号パワーのa乗の対数を演算する過程と、その演算された対数信号パワーと上記占有度のb倍とを加算して占有度とする過程とを有することを特徴とする請求項15記載の占有度抽出方法。ここで、aとbは重み付け係数である。
  17. 瞬時周波数抽出手段が、入力された音声信号又は音楽信号(以下、入力信号という。)に対し各周波数帯域の中心周波数の瞬時周波数を抽出する瞬時周波数抽出過程と、
    信号パワー抽出手段が、各周波数帯域の中心周波数の入力信号のパワーを抽出する信号パワー抽出過程と、
    周波数差抽出手段が、各周波数帯域の中心周波数ごとに、その中心周波数と、その中心周波数を中心として設定された入力信号に対し想定される基本周波数の50〜100%の周波数幅に含まれる上記各瞬時周波数との周波数の差を抽出する周波数差抽出過程と、
    占有度演算手段が、上記周波数差抽出過程から出力された周波数の差の2乗を上記信号パワーで重み付き加算する過程と、上記周波数幅に含まれる上記抽出された中心周波数の入力信号パワーの和を求める過程と、上記重み付き加算値を上記信号パワーの和により割算する過程と、その割算結果のb乗で上記中心周波数の信号パワーのa乗を割算する過程と、その割算結果の対数を演算して占有度
    とする過程とからなる占有度演算過程と、
    を有する占有度抽出方法。ここで、aとbは重み付け係数である。
  18. 上記入力信号に対し想定される基本周波数と同程度の周波数幅が入力され、その入力された周波数幅を、上記想定される周波数幅として設定する積分範囲決定過程を有することを特徴とする請求項15〜17記載の占有度抽出方法。
  19. 請求項15〜18の何れかに記載の占有度抽出方法を有し、
    不動点抽出手段が、上記入力信号についての、各周波数帯域の中心周波数と瞬時周波数が一致する周波数である不動点を抽出する不動点抽出過程と、
    概算基本周波数抽出手段が、上記入力信号についての基本周波数の概算値を計算する概算基本周波数抽出過程と、
    基本周波数精緻化手段が、上記入力信号についての概算基本周波数を更に精緻化する基本周波数精緻化過程と、を有し、
    前記基本周波数精緻化過程では、概算基本周波数の整数倍の周波数近傍に存在する不動点を選択して、その周波数を整数で割って求められる基本周波数候補に対し、その基本周波数候補の不動点の中心周波数の、上記入力信号について求めた占有度又は上記概算基本周波数を抽出する直前に求まった占有度を重みとして平均をとることで、より精緻化した基本周波数を抽出することを特徴とする基本周波数抽出方法。
  20. 請求項15〜18の何れかに記載の占有度抽出方法により占有度を求める過程と、
    周期性抽出手段が、これら占有度に対して、短時間フーリエ逆変換を行い、周波数軸上での占有度の周期性を演算して、その占有度の周期性を出力する過程と、
    最大値抽出手段が、これら演算された占有度の周期性の最大値を与える周期を抽出して、その逆数を基本周波数とする過程と、
    を有する基本周波数抽出方法。
  21. 調波構造占有度演算手段が、請求項20に記載した基本周波数抽出方法で得られた基本周波数を仮の基本周波数とし、その仮の基本周波数を中心として予め定められた周波数幅の中に含まれる各周波数について、その周波数の整数倍の周波数に近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数の上記占有度の和を求める調波構造占有度演算過程と、
    第2最大値抽出手段が、上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、上記各周波数のうち、この抽出した最大値を与える周波数を基本周波数とする第2最大値抽出過程と、
    を有することを特徴とする請求項20記載の基本周波数抽出方法。
  22. 請求項15〜18の何れかに記載の占有度抽出方法と、
    調波構造占有度演算手段が、上記入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数についての、上記占有度抽出方法で得られた占有度の和を求める調波構造占有度演算過程と、
    最大値抽出手段が、上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数とする最大値抽出過程と、
    を備える基本周波数抽出方法。
  23. 請求項15記載の占有度抽出方法により占有度を抽出する過程と、
    平均値計算手段が、上記占有度抽出装置で予め求めたある時刻におけるすべての中心周波数の占有度の平均値を求める過程と、
    調波構造占有度演算手段が、上記占有度の平均値を求めた入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数について、その中心周波数の上記占有度の平均値を求めた入力信号についての占有度から上記平均値を引いたものの和を求める調波構造占有度演算過程と、
    最大値抽出手段が、上記基本周波数の各候補についての上記和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数とする過程と、
    を有する基本周波数抽出方法。
  24. 請求項16又17記載の占有度抽出方法により占有度を抽出する過程と、
    フィルタ処理手段が、上記占有度抽出過程から得られた上記各周波数帯域の中心周波数ごとの上記占有度の系列を、その周波数順に各占有度の大きさを持ったサンプルをならべた時系列とみなして、高域通過フィルタ処理を行う過程と、
    調波構造占有度演算手段が、上記入力信号に対し基本周波数が存在すると想定される周波数範囲が入力され、その周波数範囲の中の複数の各周波数を基本周波数の候補とし、基本周波数の各候補の整数倍の周波数と近い中心周波数をそれぞれ求め、上記各周波数ごとに上記求めた整数倍に近い各中心周波数についての、上記フィルタ部において上記高域通通過フィルタにより抑制された占有度の和を求める調波構造占有度演算過程と、
    最大値抽出手段が、上記各周波数についての上記占有度の和の最大値を抽出し、この抽出した最大値と対応する基本周波数の候補を基本周波数とする過程と、
    を有する基本周波数抽出方法。
  25. 平滑化手段が、上記周期性演算過程から複数の占有度周期性を連続する時刻にわたって受け取り、その対応する占有度周期性をその前後の時刻で連続的に変化するように平滑化を行う過程を有することを特徴とする請求項20記載の基本周波数抽出方法。
  26. 平滑化手段が、上記調波構造占有度演算過程から基本周波数の各候補ごとの上記占有度の和を連続する時刻にわたって受け取り、その占有度の和をその前後の時刻で連続的に変化するように平滑化を行う過程を有することを特徴とする請求項21〜24の何れかに記載の基本周波数抽出方法。
  27. 信号入力手段が、2チャネル以上の音響信号を音響分離手段に入力する過程と、
    音源分離手段が、音源と信号入力部の位置関係から目的音源を強調、もしくは目的音源以外の音を抑制する過程と、
    上記分離された目的音源の基本周波数を請求項20〜26の何れかに記載の方法により抽出する過程とを有する基本周波数抽出方法。
  28. 請求項15〜18の何れかに記載の占有度抽出方法は、上記中心周波数ごとの上記周波数差を設定された一定の周波数幅について求めて、占有度を求めるものであり、
    積分範囲決定手段が、上記求めた占有度を用いて請求項21〜26の何れかに記載の基本周波数抽出方法により基本周波数を初期推定値として求める積分範囲決定過程と、
    第2積分範囲決定手段が、占有度を求める際の上記中心周波数ごとの一定の周波数幅を上記基本周波数の初期推定値の60%〜100%と決定する第2積分範囲決定過程と、
    上記決定された一定の周波数幅を用いて、上記入力信号に対し、請求項15〜17の何れかに記載の占有度抽出方法により第2の占有度を抽出し、これら第2の占有度を用い請求項21〜26の何れかに記載の基本中心周波数抽出方法により基本周波数を抽出する基本周波数抽出過程と、
    を有する基本周波数抽出方法。
  29. 請求項15〜18の何れかに記載の占有度抽出方法の各過程をコンピュータに実行させるための占有度抽出プログラム。
  30. 請求項19〜28の何れかに記載の基本周波数抽出方法の各過程をコンピュータに実行させるための基本周波数抽出プログラム。
  31. 請求項29記載の占有度抽出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  32. 請求項30記載の基本周波数抽出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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