JP5769494B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキソ印刷版の製造原料として用いることができる感光性樹脂組成物と、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されるフレキソ印刷版に関するものである。
フレキソ印刷版を製造するための製造原料として、1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端に重合可能なエチレン性二重結合を有するプレポリマ、およびエチレン性不飽和単量体を樹脂分として用い、光重合開始剤を配合して感光性を付与した感光性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
前記感光性樹脂組成物において、光重合開始剤としては、ベンゾインアルキルエーテルを用いるのが一般的であり、特にベンゾインイソブチルエーテルが好ましい
また、熱履歴による熱重合反応の開始を防止して貯蔵安定性を向上するため、前記感光性樹脂組成物には、熱重合禁止剤が配合される場合もある。前記熱重合禁止剤としては、ヒドロキノンまたはその誘導体を用いるのが一般的である。
前記感光性樹脂組成物は、例えば液状、シート状、あるいは板状等の各種の状態で供給される。このうち液状の感光性樹脂組成物の場合は、例えば一定の厚みとなるように塗布したのち露光し、現像し、乾燥させ、さらに必要に応じて後露光することでフレキソ印刷版が製造される。
特公昭55−34930号公報
前記感光性樹脂組成物からなるフレキソ印刷版は適度なゴム弾性を有し、しかも耐溶剤性にも優れるため、フレキソ印刷の分野で広く普及している。
しかし、前記フレキソ印刷版を実際に使用している現場においては、例えば作業場にフレキソ印刷版を放置すると、2〜3日間程度のごく短期間で前記フレキソ印刷版が黄色に変色する、いわゆる黄変が発生するという問題を生じることが指摘されている。
黄変が発生すると、それによってゴム弾性や強度、あるいは耐溶剤性が低下したり、黄変物質がフレキソ印刷版の表面に析出したりして、フレキソ印刷版の印刷特性が低下することが懸念される。
そのため、単に黄変しているだけで実際にはこれらの問題を生じていなくても、使用が躊躇される場合がある。実際に印刷特性の低下が見られる場合もあるためである。
本発明の目的は、従来同様に適度なゴム弾性を有し、しかも耐溶剤性にも優れる上、従来に比べてより長期間に亘って黄変しにくいフレキソ印刷版を形成しうる、新規な感光性樹脂組成物と、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されるフレキソ印刷版を提供することにある。
発明者は、前記従来の感光性樹脂組成物からなるフレキソ印刷版が短期間で黄変する原因について検討した。
その結果、前記黄変は、フレキソ印刷版の印刷特性に大きく影響する樹脂分それ自体や、光重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテルそれ自体において発生しているのではなく、前記ベンゾインイソブチルエーテル中に不純物として含まれるベンゾインが、作業場の蛍光灯などからの可視光によって反応して黄変するのが主な原因であることが判明した。
そのためフレキソ印刷版の取り扱い、特に保管管理を厳密にすれば、前記フレキソ印刷版が短期間で黄変するのを防止できるとも考えられる。
しかし、実際の現場では印刷物の段替えが頻繁に行われるため、細かい管理を十分に行えず、フレキソ印刷版が作業場に放置されることが常態化しているのが現状であり、保管管理を徹底するのは実質的に困難である。
またベンゾインイソブチルエーテルは、一般に、その出発原料としてベンゾインを用いて合成されるため、ベンゾインの混入はどうしても避けられない上、先に説明した適度なゴム弾性や高い耐溶剤性をフレキソ印刷版に付与するための光重合開始剤として、前記ベンゾインイソブチルエーテルは必須の成分であるため、他の光重合開始剤と置き換えることも実質的に困難である。
そこで発明者は、前記ベンゾインの含有割合をどの程度まで少なくすれば、たとえフレキソ印刷版が作業場に放置されても短期間で黄変するのを防止できるかを検討した。
その結果、前記ベンゾインの含有割合を、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下に制限すれば、フレキソ印刷版の黄変をこれまでよりも長期間に亘って十分に抑制できることを見出した。
すなわち本発明は、1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端にエチレン性二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテルを含み、前記光重合開始剤中に含まれるベンゾインの含有割合が、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
前記本発明の感光性樹脂組成物によれば、従来同様に適度なゴム弾性を有し、しかも耐溶剤性にも優れる上、ベンゾインの含有割合を前記範囲に制限することで、従来に比べて長期間に亘って黄変しにくいフレキソ印刷版を形成することができる。
なお前記本発明の感光性樹脂組成物は、熱重合禁止剤としてヒドロキノンまたはその誘導体を含んでいてもよい。その場合、前記熱重合禁止剤の配合割合は、感光性樹脂組成物の総量の10ppm以上、40ppm以下であるのが好ましい。
発明者の検討によると、熱重合禁止剤としての機能は、前記ヒドロキノンまたはその誘導体が最も優れている。しかし前記ヒドロキノンまたはその誘導体は、蛍光灯などからの可視光によって反応して黄変しやすく、フレキソ印刷版を短期間で黄変させる原因となり得る成分でもある。しかも熱重合禁止剤を全く配合しない場合には、熱履歴による熱重合反応の開始を防止できず、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
これに対し、熱重合禁止剤としてのヒドロキノンまたはその誘導体の配合割合を前記範囲内とすれば、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性を低下させることなしに、フレキソ印刷版の黄変をより一層有効に防止することが可能となる。
前記本発明の感光性樹脂組成物は、以上の説明から明らかなように、フレキソ印刷版の製造原料として、好適に使用することができる。
すなわち本発明は、前記本発明の感光性樹脂組成物を用いて製造されることを特徴とするフレキソ印刷版である。
本発明によれば、従来同様に適度なゴム弾性を有し、しかも耐溶剤性にも優れる上、従来に比べてより長期間に亘って黄変しにくいフレキソ印刷版を形成しうる、新規な感光性樹脂組成物と、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されるフレキソ印刷版を提供することができる。
〈感光性樹脂組成物〉
本発明の感光性樹脂組成物は、1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端にエチレン性二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテルを含み、前記光重合開始剤中に含まれるベンゾインの含有割合が、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下であることを特徴とするものである。
(プレポリマ)
プレポリマとしては、前記のように1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端に重合可能なエチレン性二重結合を有する種々のプレポリマがいずれも使用可能である。
前記プレポリマは、例えば
(a) 末端水酸基を有する水添加1,2−ポリブタジエン化合物、および
(b) 前記(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物を、ジイソシアナートによって鎖延長して得られる化合物、
のうち少なくとも一方の化合物の末端に、重合可能なエチレン性二重結合を少なくとも1個導入して得られる。
前記(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物は、末端水酸基が、1分子あたり1.2個以上、特に1.5個以上であるのが好ましく、2.0個以下であるのが好ましい。末端水酸基の個数が前記範囲未満では、フレキソ印刷版に十分な機械的強度を付与できないおそれがある。
また、前記水添加1,2−ポリブタジエン化合物としては、1,2−ポリブタジエン構造の側鎖ビニル基が50%以上水素添加された化合物が好ましい。水添化率が50%未満では、フレキソ印刷版のゴム弾性が低下したり、硬くなったりして印刷特性が低下するおそれがある。
前記水添加1,2−ポリブタジエン化合物としては、例えばポリ−1−ブテンの水添化物や、1,2−ポリブタジエンの水添化物等の少なくとも1種が挙げられる。このうち1,2−ポリブタジエンには、微細構造としてシス−1,4体、およびトランス−1,4体が含まれることがあるが、その含有率は50%以下であるのが好ましい。
前記(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物は、種々の方法で合成することができる。
例えば、ブタジエンをリビングアニオン重合させ、これにエチレンオキサイドを付加させて末端に水酸基を導入したのち側鎖のビニル基を水添する方法、
NaPdCl、KPdCl、NHPdCl、PdBr等の金属塩を重合開始剤としてブタジエンを重合させ、末端に水酸基を導入したのち側鎖のビニル基を水添する方法、
t−ブチル−β-ヒドロキシエチルパーオキサイド、4,4′−アゾビス−4−シアノ−n−アミルアルコール等の、分子中に水酸基を有するパーオキサイドやアゾ化合物を重合開始剤として1−ブテンをラジカル重合させる方法、
等が挙げられる。
前記(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物をジイソシアナートによって鎖延長して得られる(b)の化合物は、1分子あたりのウレタン結合数が2個以上であるのが好ましく、20個以下であるのが好ましい。ウレタン結合の数が多くなるほど、フレキソ印刷版のゴム弾性は向上するものの耐溶剤性が低下する傾向があるためである。ウレタン結合の数を前記範囲内とすれば、ゴム弾性と耐溶剤性のバランスに優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
前記(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物、およびまたは(b)の化合物(以下「プレポリマ前駆体」と総称する場合がある)の末端にエチレン性二重結合を導入してプレポリマを合成する方法としては、種々の方法を採用することができる。
例えば、前記プレポリマ前駆体の水酸基にあらかじめジイソシアナートを反応させて末端ジイソシアナート基を導入しておき、そこへエチレン性二重結合と活性水素を有する基とを含む化合物を反応させる方法、
プレポリマ前駆体の末端にカルボキシル基を導入しておき、そこへエチレン性二重結合を有するエポキシ化合物を反応させる方法、
等が挙げられる。
また、特に(b)の化合物をプレポリマ前駆体として用いる場合は、そのもとになる(a)の水添加1,2−ポリブタジエン化合物の末端水酸基に対して過剰のジイソシアナートを用いることにより、鎖延長と同時に、その末端に末端ジイソシアナート基を導入することもできる。
前記鎖延長反応は、第3級アミンやスズ化合物等のウレタン化触媒の存在下で実施できる。ただし、ウレタン化触媒が存在しない条件下で鎖延長反応させることもできる。反応温度は特に限定されないが、40℃以上であるのが好ましく、100℃以下であるのが好ましい。
プレポリマ前駆体に、末端ジイソシアナート基と活性水素を有する基とのウレタン化反応を利用してエチレン性二重結合を導入してプレポリマを合成する反応も同様の条件で実施できる。その際には、適当な重合禁止剤を存在させておくのが好ましい。
前記ウレタン化反応に用いる、エチレン性二重結合と活性水素を有する基とを含む化合物としては、例えばヒドロキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、第2アミノアルキレン(メタ)アクリレート、N−モノ置換アクリルアミド、不飽和カルボン酸等の1種または2種以上が挙げられる。
前記化合物の具体例としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸モノエステル、フマル酸モノエステル、マレイン酸モノエステル、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
またジイソシアナートとしては、脂肪族ジイソシアナート、脂環式化合物のジイソシアナートおよび芳香族ジイソシアナートの1種または2種以上が挙げられる。
前記ジイソシアナートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、ω,ω′−ジイソシアナート−1,3−ジメチルベンゾール、2,6−および/または2,4−トリレンジイソシアナート(2,6−および/または2,4−TDI)、パラフェニレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、水添化2,6−および/または2,4−TDI、水添化MDI、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアナ―ト、リジンイソシアナート等が挙げられる。
プレポリマの平均分子量は、数平均分子量Mnで表して1000以上であるのが好ましく、30000以下であるのが好ましい。
数平均分子量Mnが前記範囲未満では、フレキソ印刷版のゴム弾性が不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、感光性樹脂組成物の粘度が大きくなって、液状の感光性樹脂組成物の流動性等、加工性が低下したり、現像性が低下したりして、製版の作業性が低下するおそれがある。
(エチレン性不飽和単量体)
エチレン性不飽和単量体は、前記プレポリマを架橋させる架橋剤として機能するものであり、前記エチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えばビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、(メタ)アクリル酸またはそのエステル、(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアクリルシアヌレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、マレイン酸、およびこれら酸のモノ、またはジアアルキルエステル等の1種または2種以上が挙げられる。
また、前記のうち(メタ)アクリル酸のエステルとしては、例えばアルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフルフリル、アリル、グリシジル、ヒドロキシアルキルのモノ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノまたはジ(メタ)アクリレート(例えばポリプロピレングリコールジメタクリレート等)、トリメチロールプロバンのモノ、ジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットのモノ、ジ、トリまたはテトラ(メタ)アクリレート等の1種または2種以上が挙げられる。
さらに(メタ)アクリルアミドの誘導体としては、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N′−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の1種または2種以上が挙げられる。
またオクチル、カプリル、ノニル、デシル、ラウリル、セリル等の炭素数8〜30の一価アルコールのモノ(メタ)アクリレート(例えばラウリルメタクリレート等)、1,3−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−ステアランジオール等の炭素数4〜30の二価アルコールのモノ、またはジ(メタ)アクリレート(例えば1,3−ブタンジオールジメタクリレート等)は、特にフレキソ印刷版の耐溶剤性の向上に効果がある。
エチレン性不飽和単量体は、フレキソ印刷版に求められる特性に応じて2種以上を併用するのが好ましい。
エチレン性不飽和単量体は、プレポリマ100質量部に対して5質量部以上、100質量部以下の割合で配合できる。特に製版の作業性やフレキソ印刷版の印刷特性を向上すること等を考慮すると40質量部以上、60質量部以下の割合で配合するのが好ましい。前記配合割合は、2種以上のエチレン性不飽和単量体を併用する場合は、その総量の、プレポリマ100質量部に対する割合である。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテルが用いられる。
前記光重合開始剤は、先に説明したように、不純物として含まれるベンゾインの含有割合が、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下となるように、精製されている必要がある。これにより、前記ベンゾインが黄変することによるフレキソ印刷版の黄変を、これまでよりも長期間に亘って十分に抑制することができる。
なおベンゾインの含有割合は、フレキソ印刷版の黄変をより一層良好に抑制することを考慮すると、前記範囲内でも210ppm以下、特に180ppm以下であるの好ましい。
またベンゾインの含有割合は、前記範囲内でも100ppm以上、特に150ppm以上であるのが好ましい。ベンゾインの含有割合を前記範囲未満としてもフレキソ印刷版の黄変を抑制する効果はさほど向上しない上、ベンゾインイソブチルエーテルを高度に精製しなければならず、手間と時間がかかるためである。
光重合開始剤は、プレポリマとエチレン性不飽和単量体の総量の0.001質量%以上、10質量%以下の割合で配合できる。特に、フレキソ印刷版を製版するのに最適な感光速度を得るためには、前記範囲内でも0.01質量%以上、5質量%以下の割合で配合するのが好ましい。
(熱重合禁止剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、先に説明したように熱重合禁止剤を配合してもよい。
前記熱重合禁止剤は、感光性樹脂組成物を構成する前記各成分を混合するときに、同時に配合してもよいが、混合前の各成分、特にプレポリマやエチレン性不飽和単量体に、あらかじめ配合しておいてもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えばヒドロキノンまたはその誘導体、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、ジ−p−フルオロフェニルアミン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等の1種または2種以上が挙げられる。
これらの熱量合禁止剤は、光架橋反応に影響を与えることなく、熱量合反応(暗反応)を防止するものであることが望ましい。かかる効果に優れた熱重合禁止剤としては、前記のうちヒドロキノン、またはその誘導体が好適に使用される。
またヒドロキノンの誘導体としては、例えばメチルヒドロキノン、モノ−tert−ブチルヒドロキノン等の、ヒドロキノンの中心骨格である六員環に1〜4個のアルキル基が置換した化合物等が挙げられる。
しかし、かかるヒドロキノンまたはその誘導体は、先に説明したように蛍光灯などからの可視光によって反応して黄変しやすく、フレキソ印刷版を短期間で黄変させる原因となり得る。
そのため、熱重合禁止剤としてヒドロキノンまたはその誘導体を配合する場合は、その配合割合を、感光性樹脂組成物の総量の10ppm以上、40ppm以下に設定するのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、熱重合禁止剤を配合することによる、熱履歴による熱重合反応の開始を防止して貯蔵安定性を向上する効果が十分に得られないおそれがあり、前記範囲を超える場合にはフレキソ印刷版が短期間で黄変しやすくなるおそれがある。
なお、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性をより一層向上し、かつフレキソ印刷版の黄変をより一層有効に防止することを考慮すると、前記熱重合禁止剤としてヒドロキノンまたはその誘導体の配合割合は、感光性樹脂の総量の20ppm以上、30ppm以下であるのが好ましい。
(その他)
本発明の感光性樹脂組成物には、その粘度やフレキソ印刷版のゴム弾性や強度、耐溶剤性、あるいは耐候性等を調整するために、種々の添加剤を配合してもよい。
前記添加剤としては、例えばジオクチルフタレート、プロセスオイル、流動パラフィン等の軟化剤や液状ゴム(ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム等)、酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、波長200nm〜700nmの光によって硬化反応させることができる。本発明の感光性樹脂組成物は液状、シート状、あるいは板状等の各種の状態で供給される。このうち液状の感光性樹脂組成物を用いてフレキソ印刷版を形成するには、従来同様の工程を採用することができる。
すなわち液状の感光性樹脂組成物を一定の厚みとなるように塗布したのち、印刷パターンに対応したネガまたはポジフィルムを重ねて露光するか、もしくはレーザ光を照射して直接に印刷パターンを露光することで画線部を選択的に硬化させる。
次いで、例えばn−ヘキサン、灯油、ベンゼン、トルエン、トリクレン、パークレン、クロロセン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤や界面活性剤水溶液等を現像剤として用いて現像して非画線部を除去し、乾燥させ、さらに必要に応じて後露光することでフレキソ印刷版が作製される。
なお本発明の感光性樹脂組成物は、前記のようにフレキソ印刷版の製造原料として好適に使用できる他、例えば光照射によって硬化する種々のエラストマとしての用途、例えば塗料、コーティング材、接着剤、フィルム、シート状物、含浸物、その他成形品等に適用することもできる。
〈フレキソ印刷版〉
本発明のフレキソ印刷版は、前記本発明の感光性樹脂組成物を用いること以外は、従来と同様にして製造することができる。
例えば液状の感光性樹脂組成物の場合は、一定の厚みとなるように塗布したのち露光し、現像し、乾燥させ、さらに必要に応じて後露光することでフレキソ印刷版を製造できる。シート状、板状等の、他の形状の感光性樹脂を用いる場合も、それに応じた適宜の工程を経ることにより、フレキソ印刷版を製造できる。
前記本発明のフレキソ印刷版は、前記本発明の感光性樹脂組成物の機能により、従来同様に適度なゴム弾性を有し、しかも耐溶剤性にも優れる上、従来に比べてより長期間に亘って黄変しにくいという特性を有している。
〈実施例1〉
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテルを精製して、不純物としてのベンゾインの含有量を1.2質量%に調製したものを用いた。
(感光性樹脂組成物の調製)
末端水酸基化ポリブタジエン(数平均分子量Mn=3000)、TDI(2,4−体と2,6−体の混合物)、および2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを反応させて、1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端にエチレン性二重結合を有する、数平均分子量Mn=15000のプレポリマを合成した。
次いで前記プレポリマ100質量部に、エチレン性不飽和単量体としてのラウリルメタクリレート、1−3ブタンジオールジメタクリレート、およびポリプロピレングリコール−ジメタクリレート計50質量部、および前記光重合開始剤2.275質量部を配合して感光性樹脂組成物を調製した。
前記感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合は179ppmであった。
〈実施例2〉
光重合開始剤として、ベンゾインイソブチルエーテルを精製して、不純物としてのベンゾインの含有量を1.4質量%に調製したものを同量用いたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。
前記感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合は209ppmであった。
〈比較例1〉
光重合開始剤として、精製していないベンゾインイソブチルエーテル(不純物としてのベンゾインの含有量:6.4質量%)を同量用いたこと以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。
前記感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合は956ppmであった。
〈可視光曝露による黄変試験〉
前記実施例1、2、比較例1で調製した感光性樹脂組成物を、それぞれ2mmの間隔を隔てて保持した2枚の透明平板の間に挟み、前記透明平板の外部から紫外線を照射して感光性樹脂組成物を光重合反応させて、厚み2mmの平板状のサンプルを作製し、各サンプルを、分光測色計〔コニカミノルタセンシング(株)製のCM−3500d〕を用いて測色して、可視光曝露前のL*a*b*値を求めた。
また、前記サンプルを蛍光灯下で静置して可視光に曝露した後、前記と同様にしてL*a*b*値を求めた。曝露時間は5日間、および10日間とした。
そして、前記可視光曝露前後のL*a*b*値の差、すなわちΔL、Δa、Δbを求め、前記ΔL、Δa、Δbから、下記式(1):
ΔE=(Δa+Δb+ΔL1/2 (1)
により可視光曝露前後の色差ΔEを求めた。色差ΔEが大きいほど色変化、すなわち黄変が大きいことを意味している。
結果を表1に示す。
Figure 0005769494
表1より、感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合を500ppm以下、中でも210ppm以下、特に180ppm以下とすることで、より長期間に亘って黄変を抑制できることが判った。
〈実施例3〉
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテルを精製して、不純物としてのベンゾインの含有量を1.4質量%に調製したものを用いた。
(感光性樹脂組成物の調製)
前記実施例1で合成したのと同じプレポリマ100質量部に、エチレン性不飽和単量体としてのラウリルメタクリレート、1−3ブタンジオールジメタクリレート、およびポリプロピレングリコール−ジメタクリレート計50質量部、前記光重合開始剤2.275質量部、および熱重合禁止剤としてのメチルヒドロキノン0.0038質量部を配合して感光性樹脂組成物を調製した。
前記感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合は209ppm、メチルヒドロキノンの配合割合は25ppmであった。
〈比較例2〉
光重合開始剤として、精製していないベンゾインイソブチルエーテル(不純物としてのベンゾインの含有量:6.4質量%)を同量用いるとともに、熱重合禁止剤としてのメチルヒドロキノンの量を0.0122質量部としたこと以外は実施例3と同様にして感光性樹脂組成物を調製した。
前記感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合は209ppm、メチルヒドロキノンの配合割合は80ppmであった。
前記実施例3、比較例2で調製した感光性樹脂組成物を用いて、前記と同様にして作製したサンプルについて、先に説明した可視光曝露による黄変試験を実施した。曝露時間は5日間、10日間、および20日間とした。
結果を表2に示す。
Figure 0005769494
表2より、熱重合禁止剤としてメチルヒドロキノンを含む系では、感光性樹脂組成物の総量に対するベンゾインの含有割合を500ppm以下、メチルヒドロキノンの配合割合を40ppm以下とすることで、より長期間に亘って黄変を抑制できることが判った。

Claims (4)

  1. 1,2−ポリブタジエン構造を有し、かつ末端にエチレン性二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤としてのベンゾインイソブチルエーテルを含み、前記光重合開始剤中に含まれるベンゾインの含有割合が、感光性樹脂組成物の総量の500ppm以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
  2. 熱重合禁止剤としてのヒドロキノンまたはその誘導体をも含み、前記熱重合禁止剤の配合割合は、感光性樹脂組成物の総量の10ppm以上、40ppm以下である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. フレキソ印刷版の製造原料である請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記請求項1ないし3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて製造されることを特徴とするフレキソ印刷版。
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