JP5768995B2 - 部分表面処理装置 - Google Patents
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Description
上記部分表面処理装置では、従来、第2電極部材の側に設けた弾性シール材を周溝の幅方向から圧縮して変形させることにより、弾性シール材の内周側を被処理物の外周面に圧接させて、被処理物と第2電極部材との隙間をシールする(例えば、特許文献1参照)。
また、弾性シール材の圧縮量が変動すると、被処理物の外周面に対する弾性シール材の圧接位置も圧接幅(周溝の幅方向における圧接長さ)も変動する。
つまり、図11に例示するように、圧縮量が小さい弾性シール材40aによる圧接位置の中心P1が、圧縮量が大きい弾性シール材40bによる圧接位置の中心P2よりも周溝A1から離れており、かつ、圧縮量が小さい弾性シール材40aによる圧接幅D1が、圧縮量が大きい弾性シール材40bによる圧接幅D2よりも狭い。
したがって、弾性シール材40の圧縮量が変動すると、電解液が被処理物Aの外周面Bに対して接触する領域(以下、電解液接触領域という)を所定の領域になるように設定し難く、所定の電解液接触領域を越えて表面処理が実施されて、処理効率が低下し易い欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、被処理物の外周面に対する弾性シール材のシール性も、表面処理の処理効率も低下し難い部分表面処理装置を提供することを目的とする。
このために、ピストンが、第2電極部材の内側に、その外周面と第2電極部材の内周面との隙間が全周に亘って所定間隔になるようにセットされていないときでも、ピストンの外周面に対する弾性シール材の圧接力にバラツキが生じ難い。
また、仮に加圧流体の流体圧が変動しても、ピストンの外周面に対する弾性シール材の圧接位置も圧接幅も変動し難く、電解液接触領域を所定の領域になるように設定し易い。
したがって、本構成の部分表面処理装置であれば、ピストンの外周面に対する弾性シール材のシール性も、表面処理の処理効率も低下し難い。
したがって、弾性シール材の密着性を高めることができると共に、装着部に装着された弾性シール材の姿勢を安定させ易い。
凹部の奥側の部分は全周に亘って外周面の側に均等に弾性変形させることができる。このため、ピストンが第2電極部材の内側に全周に亘って等間隔でセットされていないときには、弾性シール材の弾性変形に伴うピストンとの接触により当該ピストンが押圧されて、等間隔になるようにピストンの位置が修正される。
したがって、ピストンと第2電極部材との間における電解液の流動条件を全周に亘って均一化することができ、ピストンの全周に亘って表面処理を均一に行うことができる。
また、表面処理の終了時に、弾性シール材の開口側部分よりも凹部の奥側の部分を移動規制部の側に弾性的に復帰変形させて、次回の表面処理時に、ピストンを弾性シール材に接触しないようにセットし易い。
〔第1実施形態〕
本発明に係る部分表面処理装置は、金属製の被処理物の表面処理を行うことが可能である。本実施形態では、金属製の被処理物がアルミニウム合金製ピストンAのピストンリング溝A1であり、表面処理が陽極酸化処理であるとして説明する。したがって、部分表面処理装置が陽極酸化処理装置である場合の例を挙げて説明する。図1〜図6には、アルミニウム合金製ピストンAのピストンリング溝A1の陽極酸化処理を行うための陽極酸化処理装置が示されている。なお、「アルミニウム合金製ピストンAのピストンリング溝A1」、「陽極酸化処理」、及び「陽極酸化処理装置」は一例であり、他のものに適用することは当然に可能である。
ピストンリング溝A1が、ピストン外周面Bに形成した周溝に相当している。
第1電極部13は、導電性を備えた銅やSUS316などの金属製の第1電極部材15と、第1電極部材15を第2電極部14に対して昇降させる昇降装置16とを備えている。
第1電極部材15はピストンAを保持する保持具で兼用され、通電部4の陽極端子4aに電気的に接続されている。
したがって、各鍔板部29,30の電極内周面31が、ピストン外周面Bに対して全周に亘って一定間隔を隔てて対向する円環状の内周面として形成されている。
下側固定板19と支持基盤20とに亘って、電解液の供給路7に接続される接続流路33と、円形凹面部32に溜まった電解液を自然流下により電解液槽1に排出する排出孔34とが設けられている。
各装着部41a,41bには、先端部44が電極内周面31よりもピストン外周面Bの側に突出しないように、弾性シール材40が装着される。
図5に示すようにピストンAがピストン挿通孔25に挿通されて円形凸面部35に載置されると、給排制御部53は、空気給排路54を通して各弾性シール材40の凹部42の夫々に加圧空気が供給されるように、空気給排装置52を作動させる。
図8は、本発明の別実施形態の要部を示す。
本実施形態では、陽極酸化処理装置に装着される弾性シール材40が、その先端部44に、ピストン外周面Bに接触させる接触面57と、周溝A1の側においてピストン外周面Bに対して交差する直角の方向に沿う側面58とに屈曲させる角部59が全周に亘って環状に形成されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、陽極酸化処理装置に装着される弾性シール材40が、上記第1実施形態と異なる。それ以外の構成については、第1実施形態と同様であるので、以下では第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
(付記項1)本発明による部分表面処理装置は、弾性シール材を、装着部及び第2電極部材で形成された内径方向に開口Xを有する環状の溝部に対して内径方向に出没可能に設けても良い。このような構成とすれば、ピストン外周面と内周面との間の隙間を狭くすることができる。よって、この狭い隙間に大量に電解液を供給することが可能となる。したがって、表面処理速度を向上させるのに好適である。
(付記項2)本発明による部分表面処理装置は、弾性シール材が、凹部を形成する側壁部を有し、当該側壁部の厚みを凹部の軸方向長よりも薄く設けても良い。このような構成とすれば、側壁部が弾性変形しやすくなるため、加圧流体により側壁部が溝部の壁面に押圧されやすくなることから、シール性を高めることができる。また、加圧が解除された場合、壁部の押圧力が弱められた状態で、弾性シール材が外径方向に拡径する。そのため、拡径時に弾性シール材に掛かる力が緩和され、弾性シール材の耐久性を向上させるのに好適である。
(付記項3)本発明による部分表面処理装置は、凹部が、弾性シール材の内周縁部側に底面(底部)Yを有し、当該底面が、弾性シール材の外周縁部と内周縁部との中間位置よりも内周縁部側にあっても良い。このような構成とすれば、弾性シール材の縮径方向の弾性変形が容易となり、ピストン外周面に対して弾性シール材を圧接させやすくなることから、シール性を高めることができる。
(付記項4)本発明による部分表面処理装置は、凹部が、弾性シール材の内周縁部側に底面(底部)Yを有し、当該底部が被処理物の外周面に接触させる弾性シール材の接触面に沿って、弾性シール材の軸方向に平行な面であっても良い。このような構成とすれば、凹部の底部となる底面が、被処理物の外周面に接触させる弾性シール材の接触面Zと平行な面となる。よって、加圧流体により、弾性シール材の被処理物との接触面を均一に押圧させやすくなることから、シール性を高めることができる。
(付記項5)本発明による部分表面処理装置は、弾性シール材が、縮径する際に、溝部の壁面を押圧しながら内径方向に摺動されても良い。このような構成とすれば、加圧流体の漏れが抑制され、ピストン外周面に対して弾性シール材を圧接させる力が高まることから、シール性を高めることができる。よって、この狭い隙間に大量の電解液を供給することが可能となる。したがって、表面処理速度を向上させるのに好適である。
(付記項6)本発明による部分表面処理装置は、凹部が、弾性シール材が溝部に挿入された際、凹部の底面Yよりも開口Xの軸方向長が長く設けられても良い。この場合、加圧流体により溝部に対して弾性シール材を押圧させつつ、縮径させやすくなり、シール性を高めることができる。
1.本発明による部分表面処理装置は、加圧流体としての作動油などの加圧液体を供給する加圧機構を備えていてもよい。
2.本発明による部分表面処理装置は、弾性シール材に、被処理物の外周面に接触させる接触面と、周溝の側において被処理物の外周面に対して交差する斜め方向に沿う側面とに屈曲させる角部が全周に亘って環状に形成されていてもよい。
3.本発明による部分表面処理装置は、表面処理としての電気メッキ処理を行うための電気メッキ処理装置であってもよい。
A1 ピストンリング溝
B 外周面
C 隙間
X 開口
Y 底面(底部)
Z 接触面
15 第1電極部材
17 第2電極部材
31 内周面
37 供給流路
40 弾性シール材
41 装着部
42 凹部
45 移動規制部
51 加圧機構
57 接触面
58 側面
59 角部
Claims (6)
- 外周面にピストンリング溝を形成した金属製のピストンに電気的に接続される第1電極部材と、
前記外周面及び前記ピストンリング溝に対して間隔を隔てて対向する内周面を環状に形成した第2電極部材と、
前記ピストンリング溝の軸方向に沿って前記ピストンリング溝を挟むように一対で設けられ、前記外周面と前記内周面との隙間をシール可能な非導電性の環状の弾性シール材と、
前記弾性シール材を前記外周面に対して全周に亘って間隔を隔てて装着可能な装着部と、
前記装着部に装着された弾性シール材の外周側に加圧流体を供給することにより、当該弾性シール材の内周側を全周に亘って前記外周面に圧接し、かつ、圧接を解除自在な加圧機構と、
前記内周面に開口され、前記ピストンリング溝に電解液を供給する供給流路と、を備え、
前記弾性シール材に、前記外周面に接触させる接触面と、前記ピストンリング溝の側において前記外周面に対して交差する方向に沿う側面とに屈曲させる角部が全周に亘って環状に形成されている部分表面処理装置。 - 前記弾性シール材に、その外周側に向けて開口する凹部を全周に亘って形成してある請求項1に記載の部分表面処理装置。
- 前記弾性シール材の外周縁部及び内周縁部の双方が、前記加圧流体の供給に応じて前記弾性シール材の径方向中央側に縮径する請求項1又は2に記載の部分表面処理装置。
- 前記外周面に接触させる前記弾性シール材の接触面が、前記弾性シール材の軸方向に平行な面からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の部分表面処理装置。
- 前記弾性シール材が前記装着部及び前記第2電極部材で形成された溝部に挿入され、
前記溝部に挿入される前の弾性シール材の外周縁部の軸方向長が前記溝部の開口幅よりも長く設定されていると共に、前記溝部に挿入される前の弾性シール材の内周縁部の軸方向長が前記溝部の開口幅よりも短く設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の部分表面処理装置。 - 前記弾性シール材における前記凹部の開口側部分が前記外周面の側に移動するのを規制する移動規制部を、前記開口側部分の全周に亘って設けてある請求項2に記載の部分表面処理装置。
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