JP5768779B2 - ホースレスガン - Google Patents
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このようなシーラーガンとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。そこには、コーキング材の吐出及び充填の双方を、高圧空気を用いて自在に行うコーキングガンについて開示されている。
なお、ホースレスガンの開発にあたり、作業性を損なわない軽量なガンとするために、動力源には圧縮気体が利用されている。
また、一般的に圧縮機から供給される圧縮エアの圧力は、概ね0.4〜0.7MPaである。特許文献2のコーキングガンにおいて、これ以上の圧力で気体チャンバーに圧縮エアを充填するためには、別の圧縮機を用いる必要がある。また、特許文献2においては、ガン本体に対して着脱するカートリッジを用いており、コーキング剤を再充填する際に、カートリッジの着脱に時間がかかる。
上記粘性流体を吐出するためのノズルと、
上記ノズルの開度を調整するバルブと、
上記前端側シリンダ室から上記バルブの一端部まで形成され、該一端部に対して上記ノズルを開ける方向に上記粘性流体の圧力を加えるための流体圧力形成部と、
上記後端側シリンダ室から上記バルブの他端部まで形成され、該他端部に対して上記ノズルを閉じる方向に上記作動気体の圧力を加えるための気体圧力形成部と、
上記ノズルを開ける方向に上記バルブを付勢する付勢手段と、を備えており、
上記バルブの他端部における加圧断面積は、上記バルブの一端部における加圧断面積よりも大きくなっており、
上記流体圧力形成部から上記バルブの一端部に加わる力をP1、上記気体圧力形成部から上記バルブの他端部に加わる力をP2、上記付勢手段から上記バルブに加わる反力をP3としたとき、P3=P2−P1の関係を有しており、
上記粘性流体が上記ノズルから吐出されて上記作動気体の圧力が減少するに連れて、P2−P1が減少し、上記バルブが上記ノズルの開度を増加させるよう構成されていることを特徴とするホースレスガンにある(請求項1)。
このホースレスガンにおいては、まず、後端側シリンダ室に作動気体を充填しておく。このとき、シリンダタンク内のピストンは、シリンダタンクの最も前端側に押し出される。次いで、作動気体の圧力よりも高い圧力で、粘性流体を前端側シリンダ室に充填する。このとき、粘性流体は、後端側シリンダ室における作動気体を圧縮しながら充填される。
これらの構成により、気体圧力形成部からバルブの他端部に加わる力(作動気体によってノズルを閉じる方向にバルブに加わる力)P2から、流体圧力形成部からバルブの一端部に加わる力(粘性流体によってノズルを開ける方向にバルブに加わる力)P1を差し引いた力は、付勢手段からバルブに対してノズルを開ける方向に加わる反力P3と同じになる。そして、付勢手段の反力が作用していることにより、粘性流体の塗布をする際にノズルが開く状態が形成される。
また、力の差分であるP2−P1も減少し、反力であるP3も減少する。そして、作動気体の圧力が減少するに連れて、バルブがノズルを閉じようとする力が弱まり、バルブがノズルの開度を増加させることになる。
そのため、上記ホースレスガンによれば、作動気体の圧力が変化しても、粘性流体の吐出流量をできるだけ均一に保つことができる。
また、粘性流体をノズルから吐出させた後には、初期充填した作動気体を後端側シリンダ室内に維持したままで、再び前端側シリンダ室内に粘性流体を充填することができる。これにより、作動気体を再び充填することなく、前端側シリンダ室内に繰り返し粘性流体を充填することにより、繰り返し粘性流体をノズルから吐出させることができる。
さらに、ホースレスガンにシリンダタンクを直接設けており、粘性流体を再充填する際にタンクとなるカートリッジを交換するような必要もない。これにより、カートリッジを廃止することができ、粘性流体の再充填を短時間に行うことができる。
上記ホースレスガンにおいては、上記作動気体は、上記後端側シリンダ室に密封されており、上記前端側シリンダ室への上記粘性流体の充填は、該粘性流体の充填時圧力によって上記ピストンを後端側へ押し出すことによって、上記後端側シリンダ室に充填された上記作動気体を圧縮しながら行うよう構成されており、上記粘性流体の充填と吐出とを繰り返し行うよう構成されていてもよい(請求項2)。
この場合には、作動気体の再充填を行わずに、ホースレスガンを極めて簡単に繰り返し使用することができる。
この場合には、バルブのニードル部がノズルの端部に挿入配置される量を調整することにより、流量制御隙間の大きさを調整することができる。そのため、粘性流体の吐出流量の調整を容易に行うことができる。
この場合には、圧縮コイルバネを用いることによって、粘性流体の吐出流量の調整を極めて容易に行うことができる。また、開閉用アクチュエータを用いてノズルの開閉を行うことにより、粘性流体の吐出の有無を容易に制御することができる。
この場合には、ガススプリング(ガスクッション)を用いることによって、粘性流体の吐出流量の調整を極めて容易に行うことができる。また、ガススプリングに気体を供給する気体供給手段を利用することにより、ノズルの開閉を容易に行うことができる。
なお、圧縮コイルバネの代わりにガススプリングを用い、ノズルの開閉は、開閉用アクチュエータによって行うことができる。
この場合には、多関節ロボットによって、粘性流体を吐出するホースレスガンを移動させる際に、被塗布対象の各部位に塗布する粘性流体の量をできるだけ均一にすることができる。また、多関節ロボットによって、ホースレスガンに対する粘性流体の充填を容易に繰り返し行うことができる。
本例のホースレスガン1は、図1、図2、図5に示すごとく、被塗布対象8に対する粘性流体Lの塗布を、粘性流体Lのホース及び作動気体Aのホースが取り付けられていない状態で行うことができるものである。ホースレスガン1は、次のシリンダタンク2、ノズル4、バルブ5、流体圧力形成部211、気体圧力形成部221及び付勢手段53を備えている。
シリンダタンク2は、ピストン3を摺動可能に収容し、ピストン3に対する前端側に、粘性流体Lを充填する前端側シリンダ室21を有するとともに、ピストン3に対する後端側に、作動気体Aが充填された後端側シリンダ室22を有している。ノズル4は、前端側シリンダ室21に対する前端側に設けられており、粘性流体Lを吐出するよう構成されている。バルブ5は、ノズル4と前端側シリンダ室21との間に設けられており、ノズル4の開度を調整するよう構成されている。
図5に示すごとく、本例のホースレスガン1は、自動車の製造工場において、三次元に位置・姿勢を変更できる多関節ロボット6の先端部61に取り付けられ、この先端部61の移動によって、被塗布対象8に対して繰り返し粘性流体Lを塗布するよう構成されている。本例の粘性流体Lは、自動車のボディパネル、フレーム等を封止(シール)して接着するために用いるシーラー剤である。本例の作動気体Aは空気である。
これ以外にも、バルブ5及びノズル4は、シリンダタンク2の前後方向に対して直交する方向又は傾斜する方向に向けて配置することもできる。
ホースレスガン1は、多関節ロボット6によって移動して、粘性流体Lを貯留する供給タンク71から前端側シリンダ室21への粘性流体Lの充填、及びノズル4からの吐出される粘性流体Lの被塗布対象8への塗布を行うよう構成されている。
充填ユニット73及び減圧装置721は、温度調整配管72に対して複数取り付けられており、いずれかの充填ユニット73からホースレスガン1へ粘性流体Lを充填している間に、他の充填ユニット73において供給タンク71から粘性流体Lを充填できるようになっている。
流体充填口212は、流体用のカプラによって形成してある。流体用のカプラは、通常は流体充填口212を閉塞しており、流体充填口212が充填ユニット73の供給口に装着されたときに流体充填口212を開口させるよう構成されている。また、本例においては、多関節ロボット6によってホースレスガン1を移動させ、流体充填口212を充填ユニット73の供給口に接続して、前端側シリンダ室21へ粘性流体Lを充填することができる。
ノズル4の後端部402には、ノズル4の開閉を行う開閉用アクチュエータ42が配設されている。開閉用アクチュエータ42は、電動式のソレノイドバルブ5等として構成することができる。また、ノズル4の後端部402には、ニードル部511が挿入配置されて、ノズル4に流入する粘性流体Lの流量を調整する流量制御隙間41が形成されている。バルブ5が前端側へ移動すると、ニードル部511がノズル4の後端部402に挿入配置される量が多くなって、流量制御隙間41が小さくなり、粘性流体Lの吐出流量が減少する。これに対し、バルブ5が後端側へ移動すると、ニードル部511がノズル4の後端部402に挿入配置される量が少なくなって、流量制御隙間41が大きくなり、粘性流体Lの吐出流量が増加する。
図4に示すごとく、気体圧力形成部221により、バルブ5の後端面54に対して、ノズル4を閉じる方向に作動気体Aの圧力が加わり、流体圧力形成部211により、バルブ5のニードル部511に対して、ノズル4を開ける方向に作動気体Aによる圧力が粘性流体Lを介して加わる。
ホースレスガン1は、シリンダタンク2内に、粘性流体Lを充填する前端側シリンダ室21と、作動気体Aが充填された後端側シリンダ室22とを有している。そして、被塗布対象8に対して粘性流体Lを塗布する際には、ホースレスガン1は、粘性流体Lのホース及び作動気体Aのホースを取り外して使用できるものである。
なお、粘性流体Lは非圧縮性であるため、粘性流体Lの充填が終わった後には、シリンダタンク2内において粘性流体Lに加わる圧力は、圧縮性の作動気体Aによる圧力とほぼ同じになる。
また、図6に示すごとく、バルブ5の後端部502における後端面54の加圧断面積A2を、バルブ5の前端部501におけるニードル部511の加圧断面積A1よりも大きくしている。なお、加圧断面積A1は、バルブ5の摺動方向に投影されるニードル部511の面積となり、ニードル部511の断面積となる。加圧断面積A2は、後端面54の面積と同じである。
そのため、本例のホースレスガン1によれば、作動気体Aの圧力が変化しても、粘性流体Lの吐出流量をできるだけ均一に保つことができる。
また、粘性流体Lをノズル4から吐出させた後には、初期充填した作動気体Aを後端側シリンダ室22内に維持したままで、再び前端側シリンダ室21内に粘性流体Lを充填することができる。これにより、作動気体Aを再び充填することなく、前端側シリンダ室21内に繰り返し粘性流体Lを充填することにより、繰り返し粘性流体Lをノズル4から吐出させることができる。
図6に示すごとく、バルブ5に作用する力の釣り合いより、P2−P1=P3となり、P2−P1をΔPとして、ΔP=k×xとなる。そして、圧縮コイルバネ53の圧縮量xが小さくなるほど、流量制御隙間41が大きくなり(バルブ5のニードル部511がノズル4の後端部402に挿入配置される量が小さくなり)、粘性流体Lの吐出流量が増加する。
ここで、バルブ5の前端部501におけるニードル部511の断面積をA1、バルブ5の後端面54の断面積をA2、圧縮コイルバネ53のバネ定数をkとする。
また、粘性流体Lが所定量吐出された吐出時102(図2参照)において、シリンダタンク2内の作動気体Aの圧力をpb、流体圧力形成部211からバルブ5の前端部501におけるニードル部511に加わる力をP1b、気体圧力形成部221からバルブ5の後端面54に加わる力をP2b、圧縮コイルバネ53の圧縮量をxb、圧縮コイルバネ53からバルブ5に加わる力をP3b=k×xbとする。
ガススプリング53Aには、ガススプリング53Aへ供給する気体Bの圧力を変化させる気体供給手段55を設けることができる。そして、気体供給手段55による気体Bの供給を遮断又は減少させることによってノズル4を閉じ、気体供給手段55による気体Bの供給を行うことによってノズル4を開けることができる。この場合には、開閉用アクチュエータ42を用いることなく、ノズル4の開閉を行うことができる。
11 ベース部材
2 シリンダタンク
21 前端側シリンダ室
211 流体圧力形成部
22 後端側シリンダ室
221 気体圧力形成部
24 収容部
241 壁部
3 ピストン
4 ノズル
41 流量制御隙間
42 開閉用アクチュエータ
5 バルブ
511 ニードル部
53 付勢手段(圧縮コイルバネ)
53A ガススプリング
55 気体供給手段
6 多関節ロボット
A 作動気体
L 粘性流体
Claims (6)
- ピストンを摺動可能に収容し、該ピストンに対する前端側に、粘性流体を充填する前端側シリンダ室を有するとともに、上記ピストンに対する後端側に、作動気体が充填された後端側シリンダ室を有するシリンダタンクと、
上記粘性流体を吐出するためのノズルと、
上記ノズルの開度を調整するバルブと、
上記前端側シリンダ室から上記バルブの一端部まで形成され、該一端部に対して上記ノズルを開ける方向に上記粘性流体の圧力を加えるための流体圧力形成部と、
上記後端側シリンダ室から上記バルブの他端部まで形成され、該他端部に対して上記ノズルを閉じる方向に上記作動気体の圧力を加えるための気体圧力形成部と、
上記ノズルを開ける方向に上記バルブを付勢する付勢手段と、を備えており、
上記バルブの他端部における加圧断面積は、上記バルブの一端部における加圧断面積よりも大きくなっており、
上記流体圧力形成部から上記バルブの一端部に加わる力をP1、上記気体圧力形成部から上記バルブの他端部に加わる力をP2、上記付勢手段から上記バルブに加わる反力をP3としたとき、P3=P2−P1の関係を有しており、
上記粘性流体が上記ノズルから吐出されて上記作動気体の圧力が減少するに連れて、P2−P1が減少し、上記バルブが上記ノズルの開度を増加させるよう構成されていることを特徴とするホースレスガン。 - 請求項1に記載のホースレスガンにおいて、上記作動気体は、上記後端側シリンダ室に密封されており、
上記前端側シリンダ室への上記粘性流体の充填は、該粘性流体の充填時圧力によって上記ピストンを後端側へ押し出すことによって、上記後端側シリンダ室に充填された上記作動気体を圧縮しながら行うよう構成されており、
上記粘性流体の充填と吐出とを繰り返し行うよう構成されていることを特徴とするホースレスガン。 - 請求項1又は2に記載のホースレスガンにおいて、上記バルブは、上記シリンダタンクに形成された収容部に摺動可能に配置され、上記一端部に円錐状のニードル部を有しており、
上記ノズルの端部には、上記ニードル部が挿入配置されて、上記ノズルに流入する上記粘性流体の流量を調整する流量制御隙間が形成されていることを特徴とするホースレスガン。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のホースレスガンにおいて、上記付勢手段は、上記収容部に設けられた壁部と上記バルブの上記他端部との間であって上記バルブの外周側に配置された圧縮コイルバネであり、
上記ノズルには、該ノズルの開閉を行う開閉用アクチュエータが配設されていることを特徴とするホースレスガン。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のホースレスガンにおいて、上記付勢手段は、上記収容部に設けられた壁部と上記バルブの上記他端部との間であって上記バルブの外周側に形成されたガススプリングであり、
該ガススプリングには、該ガススプリングへ供給する気体の圧力を変化させる気体供給手段が設けられており、
該気体供給手段による上記気体の供給を遮断又は減少させることによって上記ノズルを閉じ、上記気体供給手段による上記気体の供給を行うことによって上記ノズルを開けるよう構成されていることを特徴とするホースレスガン。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のホースレスガンにおいて、上記シリンダタンクは、上記後端側シリンダ室の側に、多関節ロボットの先端部に取り付け可能なベース部材を有しており、
上記多関節ロボットによって移動して、上記粘性流体を貯留する供給タンクから上記前端側シリンダ室への上記粘性流体の充填、及び上記ノズルからの吐出される上記粘性流体の被塗布対象への塗布を行うよう構成されていることを特徴とするホースレスガン。
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