JP5766744B2 - 燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置 - Google Patents

燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置 Download PDF

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本発明は、燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置に関し、より詳しくは、燃料電池の燃料である水素を製造する原燃料中に含まれているメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類、シクロヘキセンからなる付臭剤を吸着して除去するための装置に関する。
固体高分子形燃料電池(PEFC)や固体酸化物形燃料電池(SOFC)などの燃料電池の燃料である水素は、都市ガスやLPガス(液化石油ガス)、ガソリン、灯油などの原燃料を水蒸気改質法や部分酸化法により改質することで製造される。このうち水蒸気改質法は、水蒸気改質器で原燃料を水蒸気により改質して水素リッチな改質ガスを生成させる方法である。
水蒸気改質器は、概略、バーナあるいは白金等の燃焼触媒を配置した燃焼部(加熱部)と改質触媒を配置した改質部により構成される。改質部では原燃料と水蒸気との触媒反応により水素リッチな改質ガスが生成される。改質部で起こる反応は大きな吸熱を伴うので、反応の進行のためには外部からの熱が必要である。このため燃焼部での燃料ガスの空気による燃焼により発生した燃焼熱(ΔH)が改質部に供給される。改質触媒としては例えばNi系、Ru系等の触媒が用いられる。
図12は、水蒸気改質器を使用し、原燃料の処理からPEFCに至るまでの態様例を説明する図である。都市ガスやLPガスには漏洩保安を目的とする付臭剤としてメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類などの硫黄化合物、あるいは炭化水素であるシクロヘキセンが添加されている。また、ガソリン、灯油などでは、原油からの精製プロセスで脱硫しきれなかった微量の硫黄化合物が含まれている。
このうち、付臭剤として使われている硫黄化合物は一種とは限らず、二種以上を併用して使用され、また、シクロヘキセンはメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類の一種または二種以上と併用しても使用される。
改質部の改質触媒は、それらの付臭剤のうち、硫黄化合物により被毒して性能劣化を来たすので、原燃料は硫黄化合物を除去するために脱硫器へ導入される。
次いで、原燃料は、別途設けられた水蒸気発生器からの水蒸気が添加、混合されて水蒸気改質器の改質部へ導入され、改質部での原燃料の水蒸気による改質反応により水素リッチな改質ガスが生成される。
原燃料の成分のうち、例えばメタンの改質反応は「CH4+2H2O→CO2+4H2」で示される。生成する改質ガス中には未反応のメタン、未反応の水蒸気、炭酸ガスのほか、一酸化炭素(CO)が副生して8〜15%(容量%、以下%について同じ)程度含まれている。このため改質ガスは、副生COを炭酸ガスに変えて除去するためにCO変成器にかけられる。CO変成器では例えば銅−亜鉛系や白金触媒等の触媒が用いられる。CO変成器中での反応は「CO+H2O→CO2+H2」で示され、この反応で必要な水蒸気としては水蒸気改質器の改質部において未反応の残留水蒸気が利用される。
CO変成器から出る改質ガスは、未反応のメタンと余剰水蒸気を除けば、水素と炭酸ガスとからなっている。このうち水素が目的とする成分であるが、CO変成器を経て得られる改質ガスについても、COは完全には除去されず、微量のCOが含まれている。例えばPEFCに供給する燃料水素中のCO含有量は100ppm(容量ppm、以下ppmについて同じ)程度が限度であり、これを越えると電池性能が著しく劣化するので、CO成分はPEFCへ導入する前にできる限り除去する必要がある。
このため、改質ガスはCO変成器によりCO濃度を1%程度以下まで低下させた後、CO酸化器にかけられる(=導入される)。ここで空気等の酸化剤ガスが添加され、COの選択的酸化反応(CO+1/2O2=CO2)により、COを100ppm程度以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下というように低減させる。CO酸化器ではRu系などのCO酸化触媒が用いられ、その作動温度は100〜150℃程度である。こうして製造、精製された水素がPEFCの燃料極に供給される。
以上は、燃料電池がPEFCである場合の態様例であるが、燃料電池がSOFCである場合には、COも燃料となるので、CO変成器およびCO除去器は不要である。このため、水蒸気改質器で生成した水素及びCOを含む改質ガス、あるいは水素、CO及びメタン(メタンはSOFCの燃料極、支持基板のに含まれるNi等の金属により水素、COへ改質される)を含む改質ガスがSOFCの燃料極に供給される。
本明細書中、PEFCやSOFCの燃料水素を製造するために、水蒸気改質器での改質用に水蒸気改質器に供給する燃料を“原燃料”と称し、また、水蒸気改質器を含む水素製造システム、あるいは水蒸気改質器、CO変成器およびCO酸化器を含む水素製造システムを“改質器系”と称している。
〈硫黄化合物付臭剤について〉
硫黄化合物のうち、メルカプタン類は、ターシャリーブチルメルカプタン(本明細書中“TBM”と略称する)やイソプロピルメルカプタンやノルマルプロピルメルカプタンやターシャリーアミルメルカプタンやターシャリーヘプチルメルカプタンやメチルメルカプタンやエチルメルカプタンなどがあり、スルフィド類は、ジメチルサルファイド(本明細書中“DMS”と略称する)やエチルメチルサルファイドやジエチルサルファイド、チオフェン類はテトラヒドロチオフェン(本明細書中“THT”と略称する)などである。
一般に添加される付臭剤としては、それらのうちTBM、DMS、THTが多く用いられ、その濃度はいずれも数ppmである。これらのメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類は水蒸気改質法で用いられる改質触媒に対して被毒影響があり、触媒の性能劣化を来たしてしまう。このため燃料ガス中のそれらの硫黄化合物は、燃料ガスから予め除去しておく必要がある。また、硫黄化合物を除去した燃料ガス中のそれらの硫黄化合物は、できるだけ低濃度であることが望ましい。
ところで、原燃料の付臭剤として、前述メルカプタン類、スルフィド類、あるいはチオフェン類などの硫黄化合物のほかに、硫黄分を含まない炭化水素の一種であるシクロヘキセン(cyclohexene=tetrahydrobenzene,分子式=C610、分子量=82.1、融点=−103.65℃、沸点=83.19℃)も知られており、シクロヘキセンはそれらの硫黄化合物と併用しても使用される(特開昭54−58701号公報)。
特開昭54−58701号公報
前述のとおり、都市ガス、LPガス等のPEFCやSOFCの原燃料中の付臭剤である硫黄化合物は、水蒸気改質器へ導入する前に除去することが必須である。しかし、原燃料に付臭剤としてシクロヘキセンを含む場合、シクロヘキセンは炭化水素であることから、従来、当該シロヘキセンを除去する必要はないと考えられていた。というのは、シクロヘキセンは炭化水素であることから燃料の一種であり、燃焼性もよく、各種ガス器具を使用するときにわざわざ除去する必要がなかったためである。
ところが、シクロヘキセンを付臭剤として添加した原燃料を改質器系の水蒸気改質器で改質し、改質器系を経たガスを燃料電池の燃料水素として使用する際に、その水蒸気改質器の改質部に配置した改質触媒の表面に炭素が析出し、これに起因して水素製造効率が低下するという問題があることがわかった。
また、燃料電池としてPEFCを用いるシステムにおいては、改質触媒に続きCO変成触媒、CO除去触媒が使用されるが、これらの触媒についても改質触媒の場合と同様、炭素が析出してしまう可能性がある。さらに、シクロヘキセンを含む原燃料を改質器系を停止する際のパージ用に使用するとシクロヘキセンが上記各触媒に吸着し、活性サイトが覆われる等の悪影響を及ぼす可能性がある。
これらの問題を解決するには、原燃料から当該シクロヘキセンを予め除去することが必須となる。原燃料からシクロヘキセンを除去するためには、原燃料に含まれるシクロヘキセンを“選択的に吸着する吸着剤”が必要である。しかしこれまで、シクロヘキセンを“選択的に吸着する吸着剤”は知られておらず、文献上もそのような特性をもつ吸着剤は見当たらない。
なお、特開平11−5020号公報、特開2005−319368号公報、特開2006−210163号公報には、排気ガス中の炭化水素を吸着する吸着剤としてゼオライト、あるいはゼオライトにCu、Ag、Au等の元素を含有させたものが開示されている。
特開平11−5020号公報 特開2005−319368号公報 特開2006−210163号公報
しかし、それらの吸着剤は、炭化水素を吸着するとは言え、排気ガス中の炭化水素であり、シクロヘキセンという特定の炭化水素を吸着するかどうかは一切不明である。また、もし万一、シクロヘキセンを吸着するにしても、各種炭化水素の混合物からシクロヘキセンを“選択的に吸着する”かどうかは一切不明である。
このような事実からして、ある物質がシクロヘキセンの吸着性、選択的吸着性についてどのような性能を示すかについては、現実の実験によるのでなければ確かめようはないが、本発明者らは、銀担持のゼオライトが燃料電池用原燃料中のシクロヘキセンを吸着すること、しかも、原燃料中の他の炭化水素を吸着することなく、シクロヘキセンを選択的に吸着する特性を有することを現実の実験により見い出した。
前述のとおり、シクロヘキセンはメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類等の硫黄化合物と併用しても使用される。そのうち、硫黄化合物は水蒸気改質法で用いられる改質触媒に対して被毒影響があり、また、シクロヘキセンは水蒸気改質器の改質部に配置した改質触媒の表面に炭素を析出することから、原燃料中の硫黄化合物およびシクロヘキセンはともに除去する必要があるが、本発明においては、銀担持のゼオライト(以下、銀担持ゼオライト、銀担持ゼオライト吸着剤、銀担持ゼオライトからなる吸着剤、銀担持ゼオライトからなる付臭剤吸着剤、等とも言う)を使用することにより、それらの問題を解決したものである。
すなわち、本発明は、銀担持ゼオライトからなる吸着剤を使用して燃料電池用原燃料中の付臭剤である硫黄化合物およびシクロヘキセンを吸着、除去するための燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置を提供することを目的とするものである。
本発明(1)は、燃料電池用原燃料中の付臭剤であるメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類およびシクロヘキセンの除去装置であって、容器中に銀担持のゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置である。本発明(1)は、参考発明である。
本発明(2)は、燃料電池用原燃料中の付臭剤であるメルカプタン類、スルフィド類およびシクロヘキセンの除去装置であって、容器中に銀担持のY型ゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置である。
本発明(2)は、本願請求項3に係る発明である。
本発明(3)は、燃料電池用原燃料中の付臭剤であるメルカプタン類およびシクロヘキセンの除去装置であって、容器中に銀担持のY型ゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置である。
本発明(3)は、本願請求項1に係る発明である。
本発明(4)は、燃料電池用原燃料中の付臭剤であるスルフィド類およびシクロヘキセンの除去装置であって、容器中に銀担持のY型ゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置である。
本発明(4)は、本願請求項2に係る発明である。
本発明の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置によれば、下記(1)〜(3)の効果が得られる。
(1)燃料電池用原燃料中の(a)メルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類およびシクロヘキセン、(b)メルカプタン類、スルフィド類およびシクロヘキセン、(c)メルカプタン類およびシクロヘキセン、(d)スルフィド類およびシクロヘキセンを、それぞれ同時に除去することができる。
(2)PEFCまたはSOFCの燃料水素製造用の原燃料から、それら(a)〜(d)の付臭剤成分を予め除去することにより、水蒸気改質器の改質部の改質触媒の表面への炭素析出を防止し、水素製造効率の低下を防止することができる。
(3)改質触媒に続き配置して使用されるCO変成触媒、CO除去触媒への炭素析出を防止するとともに、それら触媒へのシクロヘキセンの吸着により活性サイトが覆われことによる悪影響を回避することができる。
本発明(1)〜(4)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置は、いずれも、容器中に銀担持のゼオライトからなる吸着剤を充填することで構成される。すなわち、銀担持ゼオライトからなる付臭剤吸着剤を充填した容器として構成される。
そして、本発明(1)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置においては、付臭剤としてメルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類およびシクロヘキセンを含む原燃料を前記銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填した容器に通すことにより原燃料中のそれらの付臭剤を同時に吸着して除去する。
本発明(1)は、参考発明である。
本発明(2)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置においては、付臭剤としてメルカプタン類、スルフィド類およびシクロヘキセンを含む原燃料を前記銀担持のゼオライトからなる吸着剤を充填した容器に通すことにより原燃料中のそれらの付臭剤を同時に吸着して除去する。
本発明(2)は、本願請求項3に係る発明である。
本発明(3)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置においては、付臭剤としてメルカプタン類およびシクロヘキセンを含む原燃料を前記銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填した容器に通すことにより原燃料中のそれらの付臭剤を同時に吸着して除去する。
本発明(3)は、本願請求項1に係る発明である。
本発明(4)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置においては、付臭剤としてスルフィド類およびシクロヘキセンを含む原燃料を前記銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填した容器に通すことにより原燃料中のそれらの付臭剤を同時に吸着して除去する。
本発明(4)は、本願請求項2に係る発明である。
本発明において、銀担持ゼオライトからなる吸着剤におけるゼオライトとしては、好ましくはX型ゼオライト、Y型ゼオライトまたはβ型ゼオライトが用いられる。
銀担持ゼオライト吸着剤は、メルカプタン類、スルフィド類、チオフェン類等の硫黄化合物およびシクロヘキセンを有効に吸着する。銀担持ゼオライト吸着剤は、原燃料の成分であるメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素は吸着せず、シクロヘキセンを選択的に吸着するので、原燃料の成分であるそれら炭化水素中からシクロヘキセンを選択的に吸着、除去することができる。銀担持ゼオライトのうちでも、銀担持Y型ゼオライトが特に有効であり、硫黄化合物を吸着、除去すると同時に、シクロヘキセンを選択的に吸着、除去することができる。
原燃料に対し、付臭剤として添加される硫黄化合物とシクロヘキセンの組み合わせには(a)メルカプタン類とスルフィド類とチオフェン類とシクロヘキセン、(b)メルカプタン類とスルフィド類とシクロヘキセン、(c)メルカプタン類とチオフェン類とシクロヘキセン、(d)スルフィド類とチオフェン類とシクロヘキセン、(e)メルカプタン類とシクロヘキセン、(f)スルフィド類とシクロヘキセン、(g)チオフェン類とシクロヘキセンと言う態様がある。
それらの組み合わせのうち、本発明(1)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置は、メルカプタン類とスルフィド類とチオフェン類とシクロヘキセンを同時に吸着、除去することができ、本発明(2)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置は、メルカプタン類とスルフィド類とシクロヘキセンを同時に吸着、除去することができ、本発明(3)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置は、メルカプタン類とシクロヘキセンを同時に吸着、除去することができ、本発明(4)の燃料電池用原燃料中の付臭剤除去装置は、スルフィド類とシクロヘキセンを同時に吸着、除去することができる。
〈本発明(1)の構成態様〉
図1は本発明(1)の構成態様を説明する図である。図1のとおり、容器中に銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填し、この容器に付臭剤としてメルカプタン類とスルフィド類とチオフェン類とシクロヘキセンを含む原燃料を通すことにより、原燃料からそれらの付臭剤を同時に吸着除去する。
〈本発明(2)の構成態様〉
図2は本発明(2)の構成態様を説明する図である。図2のとおり、容器中に銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填し、この容器に付臭剤としてメルカプタン類とスルフィド類とシクロヘキセンを含む原燃料を通すことにより、原燃料からそれらの付臭剤を同時に吸着除去する。
〈本発明(3)の構成態様〉
図3は本発明(3)の構成態様を説明する図である。図3のとおり、容器中に銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填し、この容器に付臭剤としてメルカプタン類とシクロヘキセンを含む原燃料を通すことにより、原燃料からそれらの付臭剤を同時に吸着除去する。
〈本発明(4)の構成態様〉
図4は本発明(4)の構成態様を説明する図である。図4のとおり、容器中に銀担持ゼオライトからなる吸着剤を充填し、この容器に付臭剤としてスルフィド類とシクロヘキセンを含む原燃料を通すことにより、原燃料からそれらの付臭剤を同時に吸着除去する。
容器の形状は、図1〜4では円筒状の場合を例示しているが、被処理ガスである原燃料の流れ方向に対して、その横断面矩形状その他、適宜の形状とすることができる。本発明(1)〜(4)のいずれの構成態様においても、銀担持ゼオライトを層状に充填する。銀担持ゼオライトは粒状、ペレット状、その他適宜の形状で使用するが、その上下に多孔板やメッシュ等を配置することにより、銀担持ゼオライト層を支持することができる。
図1〜4のとおり、原燃料の入口側の容器内に多孔板やメッシュ等との間にスペースS1を設けることにより、銀担持ゼオライト層への原燃料の分配を均一にすることができる。また、原燃料の出口側の容器内に多孔板やメッシュ等との間にスペースS2を設けることにより、銀担持ゼオライト層からの原燃料の流れを均一にすることができる。本装置は縦置きでも横置きでも斜め置きでもよいが、図1〜4には縦置きの場合を示している。
〈銀担持ゼオライトについて〉
本発明で使用する銀担持ゼオライトは、好ましくは銀イオン(Ag+)を含む水溶液を使用したイオン交換法により銀をゼオライトに担持することで製造される。より詳しくは、硝酸銀等の銀化合物を水に溶解して水溶液とし、その水溶液中で銀を銀イオンとして存在させ、この水溶液を用いてイオン交換する。ゼオライトに対する銀担持量は、シクロヘキセンを吸着する上で有意な量であればよいが、好ましくはゼオライトに対して3〜24wt%(ゼオライト100gに対して銀3〜24g)の範囲で選択することができる。
例えば、ゼオライトがY型ゼオライトであり、それがNa−Y型ゼオライトの場合、その中の陽イオン(Na+)を水溶液中の銀イオンとイオン交換する。イオン交換は、Na−Y型ゼオライトとその水溶液とを(1)撹拌法、(2)含浸法、(3)流通法、等により接触させることにより、Y型ゼオライト中の陽イオンを銀イオンと交換させる。次いで、水等で洗浄した後、乾燥することにより銀担持のY型ゼオライトが得られる。乾燥後、窒素雰囲気等で焼成してもよいが、焼成は必ずしも必要ではない。
なお、(1)撹拌法は、容器にゼオライトと銀イオン水溶液を入れ攪拌機で攪拌することで行われ、(2)含浸法は、例えばナス形フラスコにゼオライトと銀イオン水溶液を入れて回転し、その後真空下で溶液を蒸発濃縮することで行われ、(3)流通法は、ゼオライトを入れたカラム内に銀イオン水溶液をポンプを介して通すことにより行われる。
銀担持ゼオライトは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素は吸着せず、シクロヘキセンを選択的に吸着する。このため、例えば都市ガス等の燃料ガスの成分(燃料種)であるそれらの炭化水素中からシクロヘキセンを選択的に吸着し、除去することができる。
ここで、天然ガスには、主成分であるメタンのほか、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、炭素数6(C=6)以上の炭化水素が含まれている。例えば見附油田(新潟)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.40%、申川油田(秋田)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.43%、片貝ガス田(新潟)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.10%、勇払沖(北海道)からの天然ガスには炭素数6以上の炭化水素が0.04%と言うように含まれている(非特許文献1)。
平成9年7月、社団法人日本ガス協会発行「都市ガス工業概要(製造編)」p.12〜14
そして、都市ガスは通常、その種の天然ガスを主原料とし、付臭剤を添加することで製造される。付臭剤としてシクロヘキセンが添加された都市ガスにおいては、主成分であるメタンのほか、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、炭素数6以上の炭化水素〔それらのうち炭素数4(=ブタン)以上の炭化水素は異性体を含む〕が含まれており、それらの成分は、シクロヘキセンを含めて何れも炭化水素である。
このため、シクロヘキセンを吸着する吸着剤ではあっても、同じく炭化水素であるそれらの成分(=メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、炭素数6以上の炭化水素)をも吸着する吸着剤では使い物にならず、シクロヘキセンを選択的に吸着する吸着剤であることが必須、不可欠である。本発明においては、それら各種炭化水素の混合物から実質的にシクロヘキセンのみを吸着する吸着剤として“銀担持ゼオライト”が有効であることを見い出したものである。
以下、本発明を、原燃料中のシクロヘキセンの選択的吸着特性に係る実験例、これ続く、原燃料中のシクロヘキセンとTBM、DMS、THTなどの硫黄化合物の選択的吸着特性に係る実験例を基に、さらに詳しく説明する。なお、以下においてシクロヘキセンを適宜“CH”と略称している。
〈実験装置、操作〉
図5は、使用した実験装置、その操作を説明する図である。図5のとおり、恒温槽中に銀担持ゼオライト充填容器(銀担持ゼオライト吸着剤を充填した容器)7を配置する。「吸着剤試験サンプル」として示す箇所に銀担持ゼオライトを充填する。
銀担持ゼオライト充填容器7への試験ガス供給側にはCH、TBM、DMS、THT等を含む試験ガスを供給する導管6を連結している。すなわち、銀担持ゼオライト充填容器7への試験ガス供給側に脱硫器、流量調節器、開閉弁V1を備える都市ガス(13A)導管1を配置する。また、流量調節器、開閉弁V2を備えるCH標準ガス導管2、流量調節器、開閉弁V3を備えるTBM標準ガス導管3、流量調節器、開閉弁V4を備えるDMS標準ガス導管4、流量調節器、開閉弁V5を備えるTHT標準ガス導管5を配置する。
本実験装置は、開閉弁V1、V2〜V5を操作することにより、CH、TBM、DMS、THTの一種または二種以上を所定量含有する試験ガスを生成することができる。例えば、CHを含む試験ガスは、脱硫器で脱硫済みの都市ガスに対して、CH標準ガス導管の開閉弁V2を開とし、その流量を流量調節器により調節して混合することにより調製し、CHとTBMを含む試験ガスは、脱硫器で脱硫済みの都市ガスに対して、CH標準ガス導管の開閉弁V2とTBM標準ガス導管の開閉弁V3を開とし、その流量を流量調節器により調節して混合することにより調製する。
なお、都市ガス(13A)を脱硫器に供給して脱硫し、硫黄化合物付臭剤を除去するのは、都市ガス(13A)中に含まれている硫黄化合物付臭剤を予め除去して、都市ガスと同じ炭化水素組成の試験ガスとするためである。CH、TBM、DMS、THTの各標準ガスは、CH、TBM、DMS、THTをそれぞれ窒素に添加含有させることでつくったものである。
銀担持ゼオライト充填容器7には、その入口側の導管6に試験ガスのサンプリング用導管9を配置し、その出口側の導管8に銀担持ゼオライト充填容器7を経た試験ガスのサンプリング用導管10を配置し、それぞれ容量1Lのサンプルバッグにガスを採取し、分析装置〔GC(=ガスクロマトグラフ)−MS(=質量分析計)〕にて分析する。なお、図5中、サンプルバッグの記載は省略している。
本実験装置の操作に際しては、恒温槽中の温度を例えば25℃というように一定に保つ。試験ガス、すなわち脱硫器で脱硫した都市ガスに、CH、TBM、DMS、THTのうち所定の組み合わせについて、各添加量を設定して添加した試験ガスを銀担持ゼオライト充填容器7(以下、適宜“カラム”とも称する)に流通させる。銀担持ゼオライト充填容器7中を流れて流出するガス全量を石けん膜式流量計で測定する。
開閉弁V6、V7を操作してサンプリング用導管9、10から試験ガスをサンプリングし、CH、TBM、DMS、THTのうち所定の組み合わせで添加したCH、TBM、DMS、THTの含有量を分析装置(GC−MS)により計測する。以下では、CHの含有量を分析装置(GC−MS)により計測する場合を例にして説明するが、TBM、DMS、THTについても同様である。
すなわち、銀担持ゼオライト充填容器7への入口側の導管6から分岐したサンプリング用導管9から試験ガスをサンプリングし、添加したCHの含有量を分析装置(GC−MS)により計測する。また、銀担持ゼオライト充填容器7からの出口側の導管8から分岐したサンプリング用導管10から試験ガスをサンプリングし、銀担持ゼオライト充填容器7を経た試験ガス中のCHの含有量を分析装置(GC−MS)により計測する。
〈実験操作、結果〉
以上〈実験装置、操作〉のようにして、脱硫済み都市ガスにCHを10mg/m3添加した試験ガスを銀担持ゼオライト吸着剤充填容器(吸着剤試験サンプル)7に流通させた。この吸着剤は、Y型ゼオライトに対して銀を15wt%(Y型ゼオライト100gに対して銀15g)イオン交換法により担持したものである。この点、以下における銀担持Y型ゼオライトについても同じである。
温度=25℃、圧力=常圧(1気圧)、LV(線速度)=33cm/s、SV(空間速度)=60000h-1とし、銀担持ゼオライト充填容器7の入口側と出口側との試験ガスについてGC−MSによる成分測定を行った。これにより試験ガス中の各成分の同定、定量分析を行うものである。
図6〜7は、銀担持ゼオライトとして銀担持Y型ゼオライトを使用した場合の実験結果である。図6中、横軸は時間(min=分)、縦軸は検出電圧(=検出イオン電圧:μV)である。脱硫済み都市ガスにCHを添加した試験ガスの各成分がガスクロマトグラフのカラム(Al23−KCl plot)内で分離する。このカラムでは小さな分子から順に検出器で検出される。図7は、図6中“Z”として示す枠で囲った部分の拡大図である。
図6〜7中、Aとして示した線が銀担持ゼオライト吸着剤充填容器7(カラム)の入口側ガスの測定結果であり、Bとして示した線が銀担持ゼオライト吸着剤充填容器7(カラム)の出口側ガスの測定結果である。図6のとおり、シクロヘキセン(CH)以外の成分(=脱硫済み都市ガスの成分)は、カラム前後、すなわちカラム入口側ガス、カラム出口側ガスでピーク高さは同じ乃至ほぼ同じであり、カラムへの入口側ガスと、カラムからの出口側ガスとで含有濃度は変わっていないことがわかる。
一例として、図6〜7中、シクロヘキセン(CH:C610)の左側にあるシクロヘキサン(C612)のピークを見ると、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとでピーク高さは同じであり、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとで当該シクロヘキサン(C612)の濃度は変わっていないことがわかる。
これに対して、シクロヘキセン(CH:C610)については、Bのピークの高さがAのピークの高さに比べて格段に低くなっている。すなわち、銀担持ゼオライト充填容器7(カラム)中を通過することで、当該シクロヘキセンの濃度が低下しており、銀担持Y型ゼオライト吸着剤に吸着され除去されたことを示している。このように、銀担持ゼオライト吸着剤によって、シクロヘキセン(CH)を添加した脱硫済み都市ガス中の他の成分の濃度はそのままで、シクロヘキセンのみを選択的に吸着することができる。
図6には、縦軸方向のピークの関係で2,2−ジメチルプロパンと炭素数6以上(C6を含む)の成分について示しているが、表1は酸素等のほか、炭素数1〜5(C1〜5)の成分について補足したものである。実験装置、操作は以上と同じで、試験開始後1日経過の時点でのカラム入口側ガス、カラム出口側ガスを採取し、各ガスの成分分析を行った結果である。表1のとおり、そこに示す10種の成分のいずれの成分も吸着層の前後で濃度変化はないか殆どなく、測定誤差の範囲内の変化であることを示している。
Figure 0005766744
〈実用温度でのCH吸着試験(その1)〉
図5の実験装置を使用し、試験開始時以降のCH吸着量如何について試験した。都市ガス(13A)を脱硫し、脱硫済み都市ガスにCHを濃度10mg/m3となるように添加した試験ガスを銀担持Y型ゼオライト吸着剤容器7に通し、銀担持Y型ゼオライト充填容器7の入口側と出口側での試験ガス中のCH濃度(mg/m3)の経時的な変化を測定した。銀担持Y型ゼオライト充填量は0.5g、温度は25℃、試験ガス流量は1L/minとした。図8はその結果である。
図8中、横軸は試験開始時以降の時間(day=日)、縦軸は銀担持Y型ゼオライト吸着剤容器4の入口側と出口側の試験ガスのCH濃度(mg/m3)である。図8のとおり、試験開始時以降71時間まで(≒3日間)は、出口側の試験ガス中のCH濃度が0mg/m3(本試験での検出下限界に相当する)であり、CHが良好に吸着され、除去されている。なお、試験開始時以降約3日間は、当該吸着剤がCHに対して十分な吸着能力を発揮できる時間帯に相当している。
また、前述図6〜7に示すデータでは、カラム出口側ガス中にもシクロヘキセン(CH:C610)が検出されているが〔ただし、カラム入口側ガス中のシクロヘキセン(CH:C610)よりも格段に少ない〕、図8に見るように、試験開始後1日経過の時点でのカラム入口側ガス、カラム出口側ガスを採取し、シクロヘキセンの成分分析によりその検出下限界について実測したところ、検出下限界0.5mg/m3以下にまで下げることができた。
〈実用温度でのCH吸着試験(その2)〉
図5の実験装置を使用し、脱硫済み都市ガスにCHを添加した試験ガスを銀担持ゼオライト吸着剤容器7に通し、実用温度でのCH吸着量如何について試験した。吸着量は、試験開始時から銀担持ゼオライト吸着剤容器7の出口側ガスでCHが検出され始めるまでのガス流通量から算出した。図9は、銀担持Y型ゼオライト充填量0.5g、温度5℃、25℃、55℃での結果である。試験ガス流量は1L/minとした。図9中、横軸は試験ガス中のCH濃度(mg/m3)、縦軸は銀担持Y型ゼオライト吸着剤1g当たりのCH吸着量(mg)である。
図9のとおり、温度5℃でのCH吸着量は、例えば試験ガス中のCH濃度3.2mg/m3で30mg/g、試験ガス中のCH濃度5.5mg/m3で46mg/g、試験ガス中のCH濃度9mg/m3で54mg/gである。また、温度25℃でのCH吸着量は、試験ガス中のCH濃度5.5mg/m3で79mg/g、試験ガス中のCH濃度9.8mg/m3で81mg/g、試験ガス中のCH濃度13.5mg/m3で82mg/gである。
温度55℃の場合にも、温度25℃の場合と同様の結果を示し、例えば試験ガス中のCH濃度5.3mg/m3で77mg/g、試験ガス中のCH濃度9.8mg/m3で89mg/gである。温度5℃でのCH吸着量は、温度25℃、55℃の場合よりも少ないが、有意な量が吸着され、除去されている。このように、銀担持ゼオライト吸着剤は、実用温度においてCHを有効に吸着し、除去し得ることを示している。
〈CH、DMS、TBM吸着試験〉
前述〈実験装置、操作〉のようにして、脱硫済み都市ガスにCHを5mg/m3、DMSを2.5mg/m3、TBMを5mg/m3添加した試験ガスを銀担持ゼオライト充填容器(吸着剤試験サンプル)7に流通させた。
温度=25℃、圧力=常圧(1気圧)、LV(線速度)=33cm/s、SV(空間速度)=60000h-1とし、銀担持ゼオライト充填容器7(カラム)の入口側と出口側との試験ガスについてGC−MSによる成分測定を行った。これにより試験ガス中の各成分の同定、定量分析を行うものである。
図10は、銀担持ゼオライトとして銀担持Y型ゼオライトを使用した場合のCH、DMS、TBMの吸着実験の結果である。図10中、横軸は時間、縦軸は検出電圧(μV)である。試験ガス(=脱硫済み都市ガス)の各成分がガスクロマトグラフのカラム(Al23−KCl plot)内で分離する。このカラムでは小さな分子から順に検出器で検出される。
図10中、Aとして示した線がカラム入口側ガスの測定結果であり、Bとして示した線がカラム出口側ガスの測定結果である。図10のとおり、DMS、TBM、CH以外の成分(=脱硫済み都市ガスの成分)は、カラム前後、すなわちカラム入口側ガス、カラム出口側ガスでピーク高さは同じ乃至ほぼ同じであり、カラムへの入口側ガスと、カラムからの出口側ガスとで含有濃度は変わっていないことがわかる。
一例として、図10中、シクロヘキセン(CH:C610)の左側にあるシクロヘキサン(C612)のピークを見ると、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとでピーク高さは同じであり、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとで当該シクロヘキサン(C612)の濃度は変わっていないことがわかる。
これに対して、DMS、TBM、CHともに、出口側のピークの高さが入口側のピークの高さに比べて格段に低くなっている。詳しく説明すると、図10のとおり、入口側ガスに含まれていたDMSは約10分で検出されたが、出口側ガスでは同じ約10分のところにはピークが無い。つまり、出口側ガスではDMSが除去されていることがわかる。DMSの場合と同じく、入口側ガス中のTBMは3−メチルペンタン直後の約13分で検出されたが、出口側ガスでは同じところにはピークが無く、TBMが除去されていることがわかる。図10のとおり、CHについては、入口側ガスでは約17分で検出されたが、出口側ガスで検出されたピークは入口側ガスに比べて半分以下となり、その濃度が低下していることがわかる。
すなわち、銀担持ゼオライト充填容器7(カラム)中を通過することで、DMS、TBM、CHともに濃度が低下しており、銀担持Y型ゼオライト吸着剤に吸着され除去されたことを示している。なお、CHに関して、この実験では銀ゼオライト吸着剤によるCH吸着を開始してから十分な時間を経過してからガスサンプルを採取したため、出口側ガスでもCHが検出されたが、吸着剤がCHに対して十分な吸着能力を発揮できる時間帯で採取したガスではCHは検出されていないことは前述〈実用温度でのCH吸着試験(その1)〉で述べたとおりである。
このように、銀担持ゼオライト吸着剤によって、都市ガス中の他の成分の濃度はそのままで、DMS、TBM、CHを選択的に吸着することができる。
〈CH、TBM吸着試験〉
〈実験操作、結果〉
前述〈実験装置、操作〉のようにして、脱硫済み都市ガスにCHを5mg/m3、TBMを10mg/m3添加した試験ガスを銀担持ゼオライト充填容器(吸着剤試験サンプル)7に流通させた。
温度=25℃、圧力=常圧(1気圧)、LV(線速度)=33cm/s、SV(空間速度)=60000h-1とし、銀担持ゼオライト充填容器7(カラム)の入口側と出口側との試験ガスについてGC−MSによる成分測定を行った。これにより試験ガス中の各成分の同定、定量分析を行うものである。
図11は、銀担持ゼオライトとして銀担持Y型ゼオライトを使用した場合の実験結果である。図11中、横軸は時間、縦軸は検出電圧(μV)である。試験ガス(=脱硫済み都市ガス)の各成分がガスクロマトグラフのカラム(Al23−KCl plot)内で分離する。このカラムでは小さな分子から順に検出器で検出される。
図11中、Aとして示した線がカラム入口側ガスの測定結果であり、Bとして示した線がカラム出口側ガスの測定結果である。図11のとおり、TBM、CH以外の成分(=脱硫済み都市ガスの成分)は、カラム前後、すなわちカラム入口側ガス、カラム出口側ガスでピーク高さは同じ乃至ほぼ同じであり、カラムへの入口側ガスと、カラムからの出口側ガスとで含有濃度は変わっていないことがわかる。
一例として、図11中、シクロヘキセン(CH:C610)の左側にあるシクロヘキサン(C612)のピークを見ると、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとでピーク高さは同じであり、カラム入口側ガスとカラム出口側ガスとで当該シクロヘキサン(C612)の濃度は変わっていないことがわかる。なお、12分過ぎあたりから入口側ガスの検出電圧はやや上昇しているが、これはガスクロマトグラフのカラムによるノイズによるもので、それらの分離能如何に影響するものではない。
これに対して、TBM、CHともに、出口側のピークの高さが入口側のピークの高さに比べて格段に低くなっている。詳しく説明すると、図11のとおり、入口側ガス中のTBMは3−メチルペンタン直後の約13分で検出されたが、出口側ガスでは同じ箇所にはピークが無く、TBMが除去されていることがわかる。CHについても同様に、入口側ガスでは約17分で検出されたが、出口側ガスで検出されたピークは入口側ガスに比べて半分以下となり、濃度が低下していることがわかる。
すなわち、銀担持ゼオライト充填容器7(カラム)中を通過することで、TBM、CHともに濃度が低下しており、銀担持Y型ゼオライト吸着剤に吸着され除去されたことを示している。なお、入口側ガスの検出電圧(=検出イオン電圧)は、12分過ぎあたりからの上昇に続き、15分を過ぎたあたりからさらになだらかに上昇しているが、これはガスクロマトグラフのカラムによるノイズによるもので、特定の成分に由来するピークなどではなく、シクロヘキサンやCHなどの分離能如何に影響するものではない。
このように、銀担持ゼオライト吸着剤によって、都市ガス中の他の成分の濃度はそのままで、TBM、CHを選択的に吸着することができる。
本発明(1)の構成態様を説明する図 本発明(2)の構成態様を説明する図 本発明(3)の構成態様を説明する図 本発明(4)の構成態様を説明する図 実験例で使用した実験装置、操作を説明する図 図5の実験装置を使用し、銀担持Y型ゼオライト吸着を使用した場合の実験結果を示す図 図6中“Z”として示す枠で囲った部分の拡大図 図5の実験装置を使用し、銀担持ゼオライト吸着剤による実用温度でのCH吸着量如何についての試験結果を示す図 図5の実験装置を使用し、銀担持ゼオライト吸着剤による、温度5℃、25℃、55℃での試験結果を示す図(吸着等温線) 銀担持ゼオライトとして銀担持Y型ゼオライトを使用した場合のCH、DMS、TBMの吸着実験の結果を示す図 銀担持ゼオライトとして銀担持Y型ゼオライトを使用した場合のCH、TBMの吸着実験の結果を示す図 水蒸気改質器を用い、原燃料の処理からPEFCに至るまでの態様例を説明する図
1 都市ガス(13A)導管
2 CH(シクロヘキセン)標準ガス導管
3 TBM標準ガス導管
4 DMS標準ガス導管
5 THT標準ガス導管
6 CH、TBM、DMS、THT等を含む試験ガスを銀担持ゼオライト充填容器7へ供給する導管
7 銀担持ゼオライト充填容器
8 銀担持ゼオライト充填容器7からの出口側の導管
9 銀担持ゼオライト充填容器7の入口側の試験ガスのサンプリング用導管
10 銀担持ゼオライト充填容器7の出口側の試験ガスのサンプリング用導管
V1〜V7 開閉弁

Claims (3)

  1. 燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤であるメルカプタン類およびシクロヘキセンを共に吸着除去するための除去装置であって、容器中に銀担持のY型ゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤除去装置。
  2. 燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤であるメルカプタン類、スルフィド類およびシクロヘキセンを共に吸着除去するための除去装置であって、容器中に銀担持のY型ゼオライトからなる吸着剤を充填してなることを特徴とする燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤除去装置。
  3. 請求項1、2のいずれか1項に記載の燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤除去装置において、前記燃料電池が固体高分子形燃料電池または固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする燃料電池用原燃料ガス中の付臭剤除去装置。








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